市川 ゆき 内容の要旨
論文内容の要旨
乳癌手術の術後鎮痛に胸神経ブロックは有効である(後方視的研究) 【目的】乳癌手術後の痛みは軽微であると考えられがちであるが、急性期痛を適切に管理する 事は重要である。今回、超音波ガイド下に胸神経ブロックが有効であるかを検討した。 【方法】埼玉医大国際医療センターにおいて全身麻酔下で乳癌根治術を施行された患者 254 名を PECS 群(胸神経ブロック施行群)とコントロール群に分け、 年齢・身長・体重・ASA-PS 分類・手術時間・麻酔時間・術中フェンタニル使用量・ 術後0,1,2,4,6,12,24 時間の Visual Analog Scale・追加鎮痛剤使用量・悪心嘔吐等の 訴えを調査した。PECS 群においては第 3 肋間大胸 筋と小胸筋間に0.25%レボブピバカイン 10ml、第 4 肋間小胸筋と前据筋間に 20ml を超音波ガイド下穿刺にて投与した。術中の鎮痛薬としては静脈内フェンタニル、レ ミフェンタニル投与と、手術終了時にアセトアミノフェン1g もしくはフルルビプロ フェン50mg の静脈内投与を行った。 【結果】PECS 群 115 例、コントロール群 139 例の合計 254 例の乳癌手術が調査期間内に 行われた。うち25 例を除外症例とした。両群の患者背景に有意差はなかった。 術中フェンタニル使用量はコントロール群で平均304.91μg、PECS 群において平均 280.37μg と PECS 群で有意に少なく(P< 0.0011)、術後の追加アセトアミノフェン 投与回数もコントロール群平均2.2 回、PECS 群平均 1.4 回と PECS 群で有意に少な かった(P= 0.0012)。術後悪心嘔吐についてはコントロール群で 27 例に認められたの に対しPECS 群で 11 例と、PECS 群で有意に少なかった(P= 0.016)VAS スコアも PECS 群で顕著に低かった。追加のアセトアミノフェン投与量も PECS 群で少なかった。ペンタゾシン静注を含む追加鎮痛剤投与例は1例もなかった。 【考察】乳癌根治術の急性期疼痛管理はこれまで重要視されてこなかったが、これにより多く の患者において慢性期疼痛が生じており、QOL 低下の原因となっている。乳癌手術 後の急性期疼痛管理はフェンタニル静脈内投与による悪心嘔吐リスクを回避するた 氏 名 市川 ゆき 学位の種類 博士(医学) 学位記番号 乙第1392 号 学位授与の日付 平成30 年 6 月 22 日 学位授与の要件 学位規則第3 条第 1 項第 4 号に該当 学位申請論文タイトル及び掲載誌
PECS Block Provides Effective Postoperative Pain Management for Breast Cancer Surgery – A Retrospective Study
PECS ブロックは乳癌手術の術後疼痛管理において効果的である
Internal Journal of Clinical Medicine Vol.8 No.3 2017 2017 年 3 月 31 日掲載 学位審査委員(主査)教授 椎橋 実智男