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植物精油成分の駆虫作用に関する研究 第3報 「マウス」に対する毒性と蛔虫および蚯蚓筋に対する作用との関係 利用統計を見る

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全文

(1)

第3報 「マウス」に.対する毒性と面面M・Sよび 蛆虫引筋に対する作用との関係

    野 沢 保 二

札幌医科大学藥理学教室(主任 田辺教授)

A Report on studies of anthelmintic actions      of principles of volatile oils.

 rll. Toxieity for mice and the eMcacy against     pig ascaris and earthworm museles.

By

      YAsuJI NozAwA

DePUαrtmene qf Phαrmαcology, Sαpporo Univers吻of Medicine        (Ch,tef: Prof. T,suivEJ vsJll TtiivtiBE)

緒  言

  余は前報1)9)にお・いて植物精油成分の駆虫作 用を槍討する口的で,28種の精油成分の豚蜘虫に 対する毒=性並びに虹蛆筋に対する作用に就いて詳 細に報告した。然らばこれら精油成分の温血動物 に対する毒性は如何なるものであろうか。また 温 血動物に対する毒性と豚姻虫および虫匠虫引臼に対す

る作用との聞にぽ如何なる関係が見られるもので あろうか。

  ここにおいて,余はそれら精油成分の「マウ ス」に対する毒性を検討する目的で,既に報告さ

れている。Thym 013J 4), Mentho13), Menthon3♪, Di一 . hydrochavibeto15), Gua5aco15), p−Cymo14), Chlorcar−

vacro16), Ascarido14)等以外の下記の精油成分に:就 V、て葡i性試験を行った、

実駿方法

実瞼動物としては一定の飼料で飼養した体重10gから

15gの「マウス」を使用した。*llf油戌分を沈射全:配力9 O.3cc 以下になるように適当な濃度に「オリブ」油巾に溶解し,

これを「マウス」の背部皮下に注射した。一群の動物数は 5匹とし,藥量は対数的階段とした,各群につき,4S時問 後の死亡商を求め,これを基礎としてvan der Waerden7)

の光琳により LD.・oを求めた、また同li斜こ中毒症状につ いても観擦ξした⊃

  毒;性試験に供した精油成分はSafrol, Isosafrol, Di−

hydroeugenol, Carvaerol, Chlorthymol, Linalool, Terpi−

neol, Euealyptol, Geraniol, Citronellolj Menthoglycol, d−

Limonen, Menthonなどの合計13睡である。なおMen七hon は型幅症状についてのみ観寮した}

実二成綾

  A,「マウス」に対する毒性

  上記の精油成分について各藥量重蛎招梅に死亡商歪求 め,日量の対数を横軸に死亡商を縦軸ずことると第1〜3図 のごとき死亡曲線が得られた。こオしらのLDr,oは第1表に 示すごとくなった。ただし,表中Thymo13), Menthol,3)

Men七bon3), Dihydrochavibeto15), Guajaeo15)のしD50は:文

  *本研究に関して甚大なる御支援と御指導を辱うした 北大医学郡藥理学教室眞崎教授に深甚なる謝意を表します。

1)野沢:札幌医誌,掲載予定:

2)野沢:札幌医誌,描載予定 3)田辺:日藥一理誌,44,16.(il召24》

4) Oelkers; Areh. exper. Path. u. Phairmakol., 195,

73

 315. .〈1940).

5)田中等:北海道医誌,24,113.(昭24)

6)Kochmann=Arch. exper. Pa七b. u, Phaemakol.,161,

 ユ96.(1931).

7) カロ藤:凹藥王里誌, 37, 1.(11召18).

(2)

74

奪商

ro

as

O.6

O,4

O.2

野沢一植物精油成分の駆虫作用に關する研究

第1図 「マウス」にi封ずる毒;性比較

e  v 一

一 x o1 25

ot e

i   i

4︐▲

(]) Carvacrol

(2) Citronellol

(3) Geraniol

(4) Linalool

葦0,。1鴇1、。、、,一15、、、、。2、。用量・tUg/・・g)

第2図 「マウス」に封ずる毒性比較

1.0

O.8

O.6

0一4

a2

奪尚・

札幌医誌1952

第3図 「マウス」に封ずる毒性比較.

   と変%置12    .ノ

  .,1

     (9) lsosafrol      (lo> Safrol

     (11> Dihydroeugenol      (lo.) MenthQglyeol

︒/ア//

憾●

1,0

O,8

a6

O,4

O,2 6〃 5●

o

!り隅 7  8

0  i

o  ム

 o 1 (5) Euealyptol      (6) Terpit]eol      (7) Chlorthymol

O Ji     (S) d−Limonen

A

ZX 10,0 IS,5 IS,8 20,0 25,0 51,6

D。5qo畷殉)

第1表

5,0 6.3 Z9 100 12,5

       用量(甥・y)

15,S 20.0 25,0

献から引用した。 これらの成緕から明らかなごとく,d・

LimonenのLDεoは体重10 g当り31.7士216 mgで虚性 がもっとも小さく,GuajacolのLDbOは3.2±0.2mgで 毒性がもっとも大であった。

  B. 「マウ.ス」に対する一般中:f験症状

  各種精油成分の中毒症状を略記すれば第1表のごと.く であった。すなわち,中毒症状によりこれらの精油戌分は 廓痒を主症状とするものと,興奮あるいは痙攣を主知{状と するものとに大別されることを知った。前者に属..するもの はDibydroeu湾eno1, Clalorthymol, Linaloo1, Geraniol,

Citronellol, d Limonen, Thytnol, Menthol,. Dihydro:ha−

vibetolなどであり,後着に淫するものはSaErol, IsosaErol,

Carvaerol, Terpineol, Euealyptol, Menthoglycol, Men−

tbon.などで.あった。

各種緒汕成分のLD50および主要申毒症状

糟 汕 戌 分 名 Carvaerol Citronellol Geraniol Linalool Euealyptol Terpineol Chlorthymol d−Limonen Isosafrol

  

L㎎

  ︵

6.8土0.5 S.8土0.5 10.9土0.9

『14.7士1.4 10.7±O,5

:13.6=ヒ2.7 24,6=ヒ2.2 31.7土2.6 10.3±O.9

主要中毒症状

四肢の痙攣 四肢の麻擁   11   /1

四肢の細り車後痙攣i   ク

四肢の麻痔   11

興奮状になりII隻筋の痙攣

精油成 分 名 Safrol

Dihydroeuncrenol Mentho.rlyeol

ThymQl Menthol Menthon Dihydrochavibetol Guajaeol

 LDr)u

gmL−gZLtgg)Og) 「掻中毒症胱

10.2±1.1 14.5± O.8

12.4士1.2

6.6 =e一 o.6

10.2士0.7

」8 7士1.6 6.4土0.1.

3.2±O.2

興奮状になり.運動川州す 四肢の聯藏

llH代引痙攣

!廟1痺・望墨襟.なし8)

鵬卑ρ)

興奮・四肢の陶代性三痙攣

廓・痒5)

Phenolに似ているが.痙

攣少ない11,)

8> Valverde: Arch. exper. Path. u. Pharmakol., 4,

 280. (1875).

9)Pellacani:ebenda.70,71.(1912)より引用 10) Gadamer: Lehrbuch d. Toxikol., S. 325. (1909).

(3)

総括および考按

   1.「マウス」に対する毒性と豚姻虫に対する  毒性との関係

          ・各種精油成分の「マウス」に対する毒性をLDoo

で表わし,余が先に報告した豚蝸虫に対する毒性  をTIT二豚姻虫の・運動を完全に停止するに要し

た時閲)で思して,聖5・×…で精野分の三

三(E)を表わせば,上記の精油成分の藥効率(E)は 第2表に示す如くであった。但し,第2表記載の  完全麻痺時聞(T)は最頻値または中間の値を示す  ものである。これによると,Eの値はChlorthymol  が最大で164.0となり,ついでDihydroeugenolの

48.3,Geraniolの36.3, Carvacrolの34・0,

 Thymolの33.0, Dihydrochavibetolの32・0 の順となり,その他ではEのf直がはるか  に小であり,Guajacolの如きは毒性が最

大であったにも拘 bらすEの値は0・1で 最小であった。すなわち,Chlorthymolは  「マウス」に:対する毒性に比較して豚蝸

に対する毒性がきわめて大きかったので

 ある。

第2表各種精汕成分の藥効傘

        LDso 精油戌分名

       .玉mg/109)

d−Limonen Chlorthy皿oI Menthon

Linalool Dihydroeu.crenol Terpineol Menthoglyeol Geraniol Euealyptol Isosafrol Menthol

Saf倉ol Ci七ronellol Carvaerol Thymol

Dihydrochavibetol Guajacol

豚酒虫 の完全 癩算に

要. ffet Pfi ..T ,

端鼎撚粥⁝畿驚a8離翻

11 ¶ hPO  隆U O   一  ユ h m hの召 0  =U   りO 11 m h4 0 SOん 凸0 4凸 11  11  U  11pO  −﹁pO  − m m mO  O  O2  0召 2

Sh 4

E−LDro LT一

)Sll!,!09

ρ0  0  1

0  4  りU−  ρ0    ︼

3 2 1

       63  pO  8S  4  0

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Φ0 4  4占6  0  り﹂

3

0  4  ケ.ワ● 3  41     1 0  0  041a 2りU リリ 0.﹂

01

  つぎに精油成分の「マウス」に対する毒性係 数を鵡・1…で表わ・,豚・附・に対す翻蠕

撫÷・1…(T・一豚虫1・1虫碗刷掃杢に椥・さ せるに要する時言)で表わすと,「マウス」に対す る毒性係数と豚廿日に対する毒性係数との関係は 第4図に示す如くであった。この図から杢般的に:

見て両者の係数の闇に午行関係が成立つとは思わ

れない。

  2・「マウス」に:対する中毒症状と豚蜘虫に対 する毒性との関係

  前記の如く精油成分は中毒症状により,癖痺:

を主症歌とするものと,興奮あるV・は痙攣を主症

難生 第4図 「マウス」、 蕎る

する毒性係数との比較に対する毒性係数と豚回虫に対

難膿 了0

20

P70

《ク隷麹網射蛎二凱

■ら。

轡虫に削る鰍鰍

』0

ユ70 嚇弦押目拗ζ幽ごり

1』o ﹂︐

150 P40

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0 4り之!矛 ク▽ル!チ予︐〆 メゾトン 51声4﹁・レ ゲヒド6オイブル タ﹁ピ希オ1〃 メント¶︐プリコ﹁〃 0 1デ

宴Nオ﹇レ オイ灯1﹂グト1レ イゾイク41レ メント1レ イフ・コ﹁レ ケト百ネ41ル〆 幻﹂レ︐︑クつ1ル ケ名5レ 才」L

、ド4たくへト1ル

(4)

76 野沢一植物精油成分の駆虫作用に關する研究 札幌医誌1952

歌とするものの2群に:分けられた。余が楡曝せる 精油成分中麻癖を主症歌とするChlorthymol, Di一・

hydrochavibetol, Thymol, Dihydroeugenol, Geraniol

等は総て豚蛆虫に対する毒性が大で,これに反し 痙:i攣あるV・は興奮を主症状とするものはCarvacroI を除きいすれも豚回虫に対する毒性は小で,運動 完杢停止に5時聞以上を要した。

  廓痺を主症状とする精油成分のみに就いて,

「マウス」に対する毒性係数と豚姻虫に対する毒 性係数との関係を見ると,この内Chlorthymol,

Dihydroeugenol, Geraniol等の如く「マウス」対 する毒性係数に較べて豚蛆虫に対する毒性係数の 大なるものを除外すれば,「マウス」と豚蛆虫と に対する毒性の間にある程度のA9行関係が見られ

た。

  3・「マッス」に対する毒性と寸寸筋に対する 作用強度との関係

  前報にて報告した精油成分の蛭虫引筋に対する 作川強度と「マウス」に対するLD。・oとの関係は

・第3表に示す如くである。これによると,「マウス」

第3表

に対する毒性の比較的小さなChlorthymolと比較 的大きなCitronellol, Thymol, Dihydrochavibetol 等とが虹蛆筋に対して全く等しい作用彊度を示し ている。このことから「マウス」に対する毒性と 蛆矧縦筋および環筋の蓮動,緊張に:対する作用強 度と.の聞には何等の関係もないと見て差支えなか

.ろう。

各種精油戌分の「マウス」に対する毒二性と 蛆虫引筋に対する興奮作用強度との比較

結  論

  1・植物精油成分の温thL動物に対する毒性と,

それらの豚蜘虫に対する毒性および蟻矧筋に対す る作用強度との満洲関係を検討する「1的で,Safro1,

Isosafrol, Dihydroeugenol, Carvacrol, Chlorthymol,

Linalool, Terpineol, Eucalyptol, Geranio1, Citrone一・

      ダ

1101,MenthoglycoL d−Limonen等の「マウス」に 対するLD5〔1を求め,同時にその中毒症状を:観察

した。

  2.上記の精油成分の中毒症歌は麻輝を主とす るものと,興奮あるV・は痙攣を主とするものに大 別される。

  3.「マウス」に対する毒性と豚朗虫に対する        毒性とは全般的に見てエド行ずると        はいえない。

精油戌山名

「マウス」

に対する 諒三 性

LDi,o

(mg/1( g)

d−Limonen Chlorthymo1 Menthon Linalool Dihydroeugenol Terpineol Menthoglycol Geraniol Eucalyp七〇l Isosafrol Men七bol Safro]

Citronellol Carvaerol Thymol

DihydrochaN ibetol Guajaeo1

76775649732288642148443200000S6663

りUの召1111111111

1i申経を除去せる血魍i筋に対する

  最小有効濃度

却〃

緊張 1蓮 動

2×10−4

2× lo一 rD

2×10−4

,2×lo−4 2×10−4 2×lo−or

  ,?・

2 × lo一 rD

2×10一一4 2×10一・S

*2×10−4 2×lo−5

2× 10一 tfi

2×10一;)

2sx lo−r,

2× lo一 r,

 2×10一一6

2×10一(S 2×10一モ,

2×10−5 2×10−4   ?

2×10−6 2×10−6 2×lo−or 2×10−6

2×10一一{s 2×lo−or

*2×10−4 2×10−6

z> lo−r,

2 × IO−5

2×10−5 2×10−D 2×lo−fs

 環    筋

緊一 」一u蓮一動

2×10−4i 2×lo−6

2><10−5   2>〈10−5 2><]〇一5   2×10−5

.2 × 10−4 1 2 × 10一一

2×10−41 ?

2 × 10−a 1 2 × 10一}

 ? 1 2×lo−6

2 × 10−5 1. 2 × lo−5 2× 10一 L ,.) × 10 一6

2×10−51 2×lo−6     2xlo−r,2×10−4     *2 × lo−a 2>(10−6   2>く10一6

2 × lo一 o 1 2 ×. lo一 一r)

2》く10−5  2×10−6

.) × 10−5 1 2 × lo−5

2×10−51 2×10−5 2×10−5  2×10−5

*抑制を示す。?2×10−4の濃度にても興奮を示さず。

  4,麻輝揃訓ノこを毛とする辛齢由成

分のみに就いては「マウス」に対 する毒性と豚蝸虫に対する寿町と が.2,3の例を除きあ程度≧卜行ず るように思われる。しかしてこの 種精油成分中には豚蜘虫に対する 毒・性が非常に大きいものが多い。

  5.「マウス」に対する毒性と 虫丘矧筋に対する作用強度との聞に は一定の関係は見られない。

r

(5)

       の

      Summary . 一

       Toxicity for mice was compared with stimulatin.cr effects on isolated ea, rthworm muscles a, nd    ascaricidal propert ies of the following compounds; safrol, iso−s afrol, dihydro−eugenol, carvacrol,

   chlorthymol linalool, terpineol, eucalyptol, geraniol, citronellol, menthoglycol and d−limonone.

       1. No definite relationship can be perceived between toxicity for mice and the sti mulating    actlon on earthworm muscles.

       2. Large does of these compounds cause either convulsions or paralysis in !nica

       ,3. GeneralLv speaking, toxicity fer mi.ce does not always run pararlel with the. ascaricrdal .    properties・ However, in regard to the compounds whtch produr.e convulsive toxic effects on mice,

   there seems to be a parallel between toxicites for mice and pig ascaris.

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