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第 50 回東京医科大学医科学フォーラム The 50 th Medical Science Forum ( MSF )

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Academic year: 2021

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50 回東京医科大学医科学フォーラム The 50 th Medical Science Forum MSF

山 本 謙 吾 1    勝 村 俊 仁 2 Kengo YAMAMOTO 1 , Toshihito KATSUMURA 2

オーガナイザー

1)東京医科大学整形外科学分野

2)東京医科大学健康増進スポーツ医学分野

1

東医大誌 73(3)

: 294

-

295, 2015

プ ラ ザ

第 50 回医科学フォーラムは、 2015 年 2 月 5 日(木)

午後 6 時 30 分より、東京医科大学病院教育研究棟(自 主自学館)維持会記念講堂で開催された。今回は、 「近 赤外分光法による筋代謝の評価」をメインテーマと し、東京医科大学健康増進スポーツ医学分野の木目 良太郎講師と村瀬訓生講師に講演をお願いした。

1. 木目良太郎講師による講演

「筋循環・代謝の基礎的研究」

1) なぜ筋機能の計測が重要なのか?

健康増進スポーツ医学分野では、生活習慣病の予 防・改善、動脈硬化性疾患の予防、高齢者の体力維 持のための運動に関する運動生理学的研究、および、

社会医学の教室として他に類を見ない心臓リハビリ テーションセンターの運営を主な活動としている。

体力維持に関する運動生理学的研究であれば,呼気 ガス分析装置を用いて運動耐容能を測定すればよい が,本教室は特に筋組織の有酸素能に着目して長年 に渡り研究を行なっている。運動耐容能(全身持久 力)は,呼吸機能,循環機能,筋機能により制御さ れている事が Fick の法則より明らかとなっている。

その中でも,健常成人においては,筋組織での酸素 拡散コンダクタンスが運動耐容能と正の相関関係に ある事が報告されており(Esposito et al, 2013),筋 組織での有酸素能が運動耐容能の制御因子であると 考えられる。また,慢性心不全患者の運動耐容能に 及ぼす影響については,中心循環の機能低下よりも,

骨格筋での酸素代謝や末梢循環の機能低下の方が大 きいことも報告されていることから( Okita et al, 2013 ),健常成人だけでなく,循環器系疾患患者も また筋組織での有酸素能が運動耐容能の制限因子と なっている可能性が高い。

2)  近赤外分光法(NIRS)による筋代謝および

酸素供給機能の評価方法

NIRS により得られる指標は,組織での酸素の需 要と供給のバランスを反映している。従って,筋酸 素消費量を計測したい場合は,筋血流を一時的に遮 断し,その際の酸素濃度の減少率から評価する(動 脈血流遮断法)。この方法は四肢でしか計測出来な い,痛みを伴う,血圧が上昇するなどの欠点がある。

これに対し,NIRS は運動時における酸素濃度のダ イナミックな変化を連続的に捉える事が可能なの で,酸素バランスの変化を複数部位より検出する研 究が増えてきている(Kime et al 2010)。また,運動 終了後の再酸素化速度から筋への酸素供給能の評価 が可能なことから,高齢者や閉塞性動脈硬化症など の末梢循環機能が低下している被験者に対しても応 用されている( Ichimura et al 2006, Takagi et al 2014 )。

2.  村瀬訓生講師による講演「心血管疾患患者の 骨格筋酸素動態・運動療法の評価」

心臓リハビリテーションセンターは 2008 年 4 月

に開設され、心大血管疾患患者を対象としたリハビ

リテーションを実施している。また、健康増進スポー

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50

回東京医科大学医科学フォーラム ─

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(  ) ツ医学分野では、従来より、運動中の筋酸素動態の 変化について近赤外線分光法を用いた評価を行って きている。今回は、末梢動脈閉塞性疾患、急性心筋 梗塞、慢性心不全の各疾患を対象とした運動中の筋 酸素動態に関する研究について紹介する。

1 ) 末梢動脈閉塞性疾患( PAD )

PAD に関する歩行運動療法の効果については、

エビデンスレベル A として評価されている。しかし、

自転車エルゴメータでの運動効果を示した研究は少 ない。当院では運動実施スペースの関係から、歩行 運動を実施することは容易ではなく、自転車エルゴ メータを中心とした運動を実施している。週 3 回、

6 週間の自転車エルゴメータ運動でも最大歩行距離 の有意な延長が示され、そのメカニズムとしては腓 腹筋への酸素供給の改善すなわち側副血行路の発達 が示唆された。

2 ) 急性心筋梗塞( AMI )

AMI 後の患者に対して、心肺運動負荷試験(CPX)

中の外側広筋における酸素動態を測定したところ、

同年代の健常者と比較して活動筋での酸素利用能が

2

低下しており、この酸素利用能は最高酸素摂取量や 無酸素性作業閾値(AT)と関連することが示された。

また、 3 ヶ月間の運動療法後には最高酸素摂取量と ともに筋酸素利用能も改善することが示された。

3) 慢性心不全(CHF)

CHF 患者では、同年代の健常者と比較して CPX 中の最大心拍出量が有意に低下しており、活動筋に おける酸素利用能も有意に低下していた。また、最 大酸素摂取量は最大心拍出量と正の相関が認められ たが、活動筋における酸素利用能とは明らかな関連 は見いだせなかった。

講演後には、心血管疾患の運動療法で得られる効 果とそのメカニズムに関して活発な質疑応答があっ た。また、病院 6 階のカフェテリアで開催された懇 親会の席でも、演者を囲んで活発な意見・情報交換 があった。今回の講演内容は、人口の高齢化が進ん でいるわが国における健康寿命の延伸に必要な運動 療法の適切な評価法を考える上で重要な情報が提供 され、大変有意義な医科学フォーラムであった。

(文責 山本謙吾)

参照

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