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論 文 内 容 の 要 旨

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Academic year: 2021

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様式第5号(第 9条関係)

論 文 内 容 の 要 旨

報告番号 氏 名 池 下 克 実

P r o f i l i n

g critahicsyP tneitapnI cideSui Attempts ni Japan (日本における精神科入院患者の自殺企図の特徴)

論文内容の要旨

日本における自殺者数は1998 年以降14 年間にわたり年間3万人を超え、 2012 年以降は3万人を下回 ったものの依然として高い自殺死亡率が続いている。自殺で、亡くなったものの90% 以上は生前に何らかの 精神疾患に擢患していたことは多くの研究で報告されており、精神疾患の擢患は自殺の重要な危険因子 であるといわれている。また精神科入院患者は自殺の危険性が高いという報告があり、アメリカの第3者医 療施設評価認証機構(The tnioJ Commission) の医療事故報告制度において自殺事故が病院内の重大事 故件数として2番目に多いことが明らかにされている。しかし我が国では病院内の自殺事故の実態はほとん ど明らかにされていない。今回我々は奈良県内の精神病棟における入院患者の自殺の実態を把握すると ともに、その特徴を分析し自殺防止対策について検討した。

奈良県保健予防課に提出された精神病棟において発生した自殺事故の報告書をもとに後方視的に年 齢、性別、精神科診断、自殺手段、事故発生時間、発生場所、転帰などについて情報を収集した。結果、

11 年間で35 件の自殺企図が報告された。それらの転帰は不明1件を除き、 28 件が既遂(死亡)し、 6件は 未遂で、あったが植物状態や認知機能障害などの重篤な後遺症を残した。男女比は3:2 で男性が多く、平 均年齢は50. 5歳で、あった。精神科診断については、統合失調症(5

. 1

4%) 、気分障害(40%) の順に多 く、自殺企図の発生時聞は夜間(20

寺 日

8'-" 時) (31 %)に比して日中 8( 02'"- 時) (66%) に多く認めた。

また病院内で発生した自殺企図19 件においても日中の自殺企図(58%) が夜間の発生(42%) を上回っ た。病院外で発生した 61 件の自殺企図のうち11 件は外出または外泊中に起こり、 5件は離院した後に発 生した。院外で認めた自殺企図においても75% が日中に発生した。自殺企図手段では総首(60%) が最 も多く、次いで電車等への飛び込み(14. 3%) 、高所からの飛び降り1(

. 1

4%) で、あった。院内の自殺企 図においては総首によるものが約 8 割と高い割合を示した。総首に用いた物品としてドアノブやベッド柵に タオルやベルトを掛ける方法が用いられ、これは閉鎖病棟でも入手可能な物品を用いており病室内での自 殺企図手段として多く認められた。一方、院外の企図において総首は37.5% に留まり、飛び込み(3

. 1

3

%)、飛び降り .(18 8%) 等の手段も多くみられた。

これらの結果において男女の割合、精神科診断、手段に関して欧米の先行研究と類似する結果を示し、

統合失調症や気分障害は自殺企図の危険因子として重要であることが確認された。また精神科入院患者 の自殺企図は病院スタッフ数が減少する夜勤帯に多く発生するという予測に反して、日中に多く発生するこ とがわかった。また特に院内の自殺企図手段は病室内での総首が多いことが確認され、スタッフ数が多い 日勤帯においても病室内の自殺企図に十分注意した観察が必要であり、病棟内でも容易に入手できるタ オノレやベルトなどの持ち物にも注意を払い、それらを掛けることができる器具を可能な範囲で除去すること

により入院患者の自殺企図を減らせる可能性が示唆された。

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