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古川 睦久*・横山 哲夫*

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(1)

ポリウレタン網目の力学物性への合成法の影響

古川 睦久*・横山 哲夫*

Effects of Preparation Methods on Mechanical Properties       of Polyurethane Networks

       by

Mutsuhisa FURUKAWA*and Tetsuo YOKOYAMA*

  Mechanical properties of polyurethane networks prepared by three different methods were studied.

The polyurethanes were prepared from poly(oxypropylene)glycol,2,4−tolylene dhsocyanate, and 1,

4−butalle dio1. The used preparation methods were prepolymer method(P−sedes), on¢一shot method(0一 忌eries), and semトpolymer method(S−series). The networks obtained were characterized through measurements of allophanate concentration, density, swelHng behavior in benzene, thermal properties by means of DSC, wide angle X−ray diffraction scattering, electron microscopy, stress−strain behaviors, and dynamic mechanical properties. Concentration of aHophanate lhlkages in O−series polyurethanes was higher than that of S一, and T−series polyurethanes. Glass transition temperature of O−series polyurethanes was slightly higher than that of other series polyurethanes. X−ray diffraction pattems showed a di血se amorphous halo for aU series polyurethanes. Microgloblues were observed for P一, and S series poly亡rethanes with high hard seglnent contents. Young s moduli of P一, and S−series polyurethanes were higher than those of O−serie$polyurethanes.

1.緒 言

 ポリウレタンのゴム弾性の発現には,化学橋かけ点 のみならず網目鎖の化学構造に依存する二次橋かけ,

特に種々の長さのハードセグメントを含む鎖の凝集構 造がかなりの程度寄与している。この二次橋かけを作 る網目鎖の凝集構造はハードセグメントの長さや分子 分布に関係づけられ,それらの生起は反応試薬の反応 性・化学構造・配合比だけでなく,重合条件(原料の 添加順序,温度,掩はん法,溶媒,触媒など)による。

ハードセグメントの長さや分布の理論的考察は,

       ユ       ヨ 

Floryの縮合理論やPeeblesの理論により行われて いる。しかし,これらの理論はいくつかの仮定に基づ いており,ハードセグメントの含量・シークエンス長

さ・分子分布は,実際は理論の予測と多少とも相違す ると考えられる。特に,原料の添加順序の変化による        ヘア  最終生成物の物性値への影響は二三の研究 により検 討されでいるが詳細には検討されていない。

 本研究では合成時における原料の添加順序の変化の 力学物性に及ぼす影響を,従来から用いられてきたプ レポリマー法,ワンショット法に加えてセミポリマー 法(まずジイソシアナートの両末端にポリエーテルグ

リコールを付加させ,さらに残りのジイソシアナート と架橋剤を反応させる方法)により同一配合比を持つ ポリウレタンを合成し,化学橋かけ点濃度,力学的性 質及びモルホロジーを調べることによりその影響を明

らかにすることを目的とした。

平成2年10月1日受理

  *材料工学科(Department of Materials Science and Engineering)

(2)

82 ポリウレタン網目の力学物性への合成法の影響

2.実験方法

2.1ポリウレタンの合成

 原料にはポリ(オキシプロピレソ)グリコール

(PPG, Mn=1057),2,4一トリレンジイソシアナート

(TDI)及び1,4一ブタンジオール(BD)を用いた。

PPGの乾燥, TDI及びBDの精製等は既述の方法に

      う

より行った。ポリウレタンの合成において原料の配

合比を:式(1),(2)で定義した。

  K=(イソシアナート基のモル数)!(PPGの水酸     基のモル数)  .         』(1)

  M=(BDのモル数)1(イソシアナート基のモル数     一PPGの水酸基のモル数)      (2)

 ポリウレタンの合成手順をFig.1に示す。プレポ リマー法では,PPGとTDIを配合比Kで反応させイ ソシアナート末端のプレポリマーをまず合成し,次に 配合比MでこれにBDを加え,撹はん・脱泡後,窒

PPG TDI

OCN一一一一一亀略NCO・

      M↓←BD

    Elastomer B. Semi一・polymer Method

PPG    TDI

HO〜OH

    K↓←TD・

OCNへ一NCO

      M↓←BD     Elastomer

素雰囲気下職100℃の恒温槽中で約40〜48時間保ち橋 かけ反応を行った。セミポリマー法では,PPG と TDIをモル比1:0.5で反応させ水酸基末端のセミポ

リマーを始めに合成した。次に配合比Kとなるよう に残りのTDIを加え反応させた後,配合比MでBD を加え,撹はん・脱泡後,窒素雰囲気下で橋かけ反応 を行った。ワソショット法では,PPG, TDI, BDを所 定の配合比K,Mで三者を同時に混合し皮応させた。

ポリオールの:水酸基濃度に相当するNCO基が反応し たことを確認した後,脱泡し橋かけ反応を行った。な お,鎖延長反応及び橋かけ反応の反応条件は上述した

3つの方法とも同じ条件とした。

2.2 ポリウレタン網目のキャラクタリゼーション  アロハナート基濃度:n一ブチルアミソージメチル       ラスルポキシド溶液を分解液とするアミン分解法によ

り定量した。

 密度:試料重量を空気中と水中で測定することによ       うり算出した。

 膨潤度及びゲル分率:50℃のべソセソ中で平衡膨潤        の挙動を重量法により追跡することにより求めた。

 熱的性質:理学電機製の示差走査型熱量計を用い空 気中で昇温速度10℃1minで測定した。

 応カーひずみ測定:ポリウレタンシートから打ち抜 いた長さ約40㎜,幅1.8㎜,厚さ1〜3㎜の試験片を,

島津オートグラフ IS5000を用いて,50℃でひずみ速 度約0.331minで行った。

 動的粘弾性:東洋ボールドイン製のレオバイブロン DDV一皿B型を用い,110Hz,約5℃1minの四温速

度で測定した。

 モルホロジー観察:広角X線回折図形を東芝簡易 型x線回折計(cuKα, Niフィルター付,30Kv,16 mA)により測定した。光学的構造観察は,日本光学 製SUG−Ke型偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で 行った。2段レプリカ法により作製した試料の透過型 電子顕微鏡による観察を,日本電子製JEOL−100U を用いて行った。

C. One−shot Method

PPG TDI BD

K,M

Elastomer

Fig. I Preparation methods of polyurethane net−

    works.

3.結果と考察

 3種の方法で合成したポリウレタンの構造パラメー ターと物性値をTable lに示す。プレポリマー法,セ ミポリマー法,ワンショット法で合成した試料を各々,

P系,S系,及び0系試料と略記する。 Table lの極 性基濃度は配合比から求めた化学量論値であり,アロ ハナート基濃度[A]obsはアミン分解法により実測 した値である。応カーひずみ曲線から,ヤング率Eは

(3)

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(4)

84 ポリウレタン網目の力学物性への合成法の影響

        ロ 

Smith らの方法により,.また2Cl値はMooney一

       ユ コ

Rivlinプロットすることにより決定した。各方法で 合成したポリウレタンのゲル分率はP−1,S−1,

0−1の試料を除いて97〜100%であり,合成した試 料はほぼ完全な網目を形成していることがわかる。ま た,これらの試料は淡黄色あるいは無色透明なゴム状 試料であった。

 密度は1.10〜1.17の間にあり,合成法の影響は見ら れなかった。いずれの系の試料においても配合比M を約0.32と一定としKを増すと,密度は極性基(NH 基やウレタン基)濃度や橋かけ点濃度の増加により著

しく増加した。

、Fig.2に,化学橋かけ点であるアロハナート基の 濃度の化学量論値[A]calcとアミン分解法により求 めた実測値[A]obsの関係を示す。いずれの系の試 料においても実測値[A]obsは計算値[A]calcより かなり小さかった。Fig.2からアロハナート基生成 への合成法の影響がわずかにあることがわかる。すな わち,同一の計算値[A]calcで比較すると0系の試 料の[AコobsがP系, S系試料のそれより大きく,P 系とS系試料の[A]obsはほぼ同一の値を示した。

 Fig.3に応カーひずみ関係の代表例として配合比 K≒2,M≒0.26系ポリウレタンについて示す。 Fig.

3に示した試料のアロハナート基濃度[A]obsを比 較すると,0系:S系:P系=1.8:1.2:1であるが,

弾性率,引張り強度はP系≧S系>0系の順となり,

弾性率はゴム弾性論から予想される傾向と異なった。

破断伸びは0系>S系>P系の順であった。これらの 結果は力学物性が合成法により影響を受けること,ま た,その差が化学橋かけ点濃度の差では説明できず,

化学橋かけ点濃度の他に物理橋かけの寄与があること

5

1.5

1.0

0.5

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       ルB

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0.5

Straln

1.0 1.5

Fig. 3  Stress−strain cuhzes of polyurethane net慮     works(K=2, M=0.26)prepared by the     various methods.

    A.prepolymer method, B. semi−p61ymer     method, C. one・shot method

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隻3

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Fig.2

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15

Comparison of the observed allophanate con−

centration with that estimated from sto−

ichiometrical calculation.

O prepolymer method,● semi−polymer method,△ one−shot method

一・ ・曹tiVale耳t hne

を示唆している。

 化学橋かけと物理橋かけの力学物性への寄与を定量 するために,ヤング率E,及び2C1項の値から次式

(3),(4)により弾性に有効な網目鎖濃度(レe1V)を求め

た。

 (りe1V)s_s, E=E!3RT      (3)

 (りe1V)s_s,2c1=2ClIRT         (4)

ここで,Rは気体定数:, Tは応カーひずみ関係の測定 時の温度でここでは3230Kである。また, Floryの網 目鎖の記述に従って求めると,アロハナート基濃度と       ラ有効網目鎖濃度は等しいことがわかっているので,

アロハナート基濃度の実測値から化学橋かけに基づく 有効網目鎖濃度(レ。1V)、h,mを求めた。(レ。1V)、渦E,

(り,1V)、一、,2c1とアロハナート基濃度の実測値から算 出した有効網目鎖濃度(レ,/V),h,mとの関係をFig.4,

5に示す。

 これらの有効網目鎖濃度(レ。1V)に合成法の影響が 見られ,(レ,1V),_、,E,(レ,1V),_餌2c1ともP系≧S系>

0系の順で減少した。P系, S系試料の(レ,1V),一,,E,

及び(レ。1V)、一、,2clは(レ,1V),h。mより大きく,0系試料 の(り。1V)、_詑は(レ。1V)、h。mとほぼ等しいが,(りel V)、喝2c1は(り。1V)、h,mより小さい値を示した。 P系

とS系試料の(レ,/V)、一、,Eと(り,/V)、h。mの差は(レ。1V),h。m

の増加とともに大きくなる傾向を示したが,(ッ。1

V)、一、,2c1と(り。ノV),h,mの差は一定となるかわずかに増

(5)

86

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3

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El「

E5

O Prepolymer method

● Semi−polymer method ロ One−shot method

K÷2,   M≒0.26

Fig.4 Comparison between the nu卑ber of elasticaL     ly effective network chains determined from     Young s moduli and that determined from     a110phanate concentration observed.

    O prepolymer method,● semi−polymer     method,△ one−shot method

    − equivalent line

一150

_6

隻4

×

O

一100       −50  temperature (OC)

0

Fig.6 The effect of preparation methods on     dynamic nlechanical properties     of polyurethane networks(K=2,

    M=0.26).

δ

ミ2

0

O

o

 △△

△△

△△

0    2       4

(》も/V)chem・104(・・1/・m3)

Fig.5 Comparison between the number of elastica1−

    ly effective network chains determined from     2Cl term of Mooney・Rivlin equation and     that determined from allophanate concentra−

    tion observed.

    O prepolymer method,● semi−polymer     method,△ one−shot method

    − equivalent line .

加する傾向を示した。(り,1V)、h。mは実測によるアロハ ナート基濃度から求めた有効網目鎖濃度であるので,

化学橋かけ点(一次橋かけ)に起因する有効網目鎖濃 度を表す。Fig.4,5において縦軸の値で。(即ち 横軸)から実線までが化学橋かけにより生成される網 目の有効網目鎖濃度(り,バリ,h,mを示す。(り。1V),一s2c1 は化学橋かけのほかに永久的な絡み合いやハードセグ メントのドメインの形成に基づく網目の有効網目鎖濃 度を,(レ,1V)、呪Eは,これらに加え,二次橋かけ及 び長い緩和時間を持つ流動項の粘弾性的寄与に基づく       ラ

有効網目鎖濃度を表している。このように考えると,

P系及びS系試料の力学物性はかなりの部分が物理架 橋によると言える。一方,0系試料の(レ,1V)、一,,2Cl が(レ。バ「)、h,mより小さいことは,生成したアロハナー

ト基が力学的に有効な橋かけ点として作用していない ことを示しており,アロハナート基が近接して生成し ていることや末端鎖を生成していることが可能性と して考えられる。また,0系試料でも(り,1V)、一,,Eと

(り,1V),喝2c1との差が存在することにより,少なか らず物理橋かけの寄与があると考えられる。

 Fig.6,7にK≒2,M≒o.26系試料(P−2,

S−3,0−1)及びK≒3,M≒0」32系試料(P−

4,S−4,0−5)の動的粘弾性の温度分散を示す。

損失弾性率E の主分散ピーク温度Tα(E )はP系くS 系く0系試料の順に高くなり,その上昇の程度はP 系とS系試料の間では5〜10℃であるが,S系と0 系試料の間では10〜20℃であった。主分散ピークの強 度はこの順序でわずかに低くなり,ピーク幅はS系

(6)

86 ポリウレタン網目の力学物性への合成法の影響

3

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隅2

1

O  Prepolymer method

●  Semi−polymer method 口  One shot method

EI

E8。

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一150 一100      欄50  temperature  (OC}

0

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⊂}0 ρ 一20

一40

O Prepolymer method

● Sem董一polymer method

△ One−shot method

        智    o∂ ●

△8込ひ。

△●

o O

Fig.7 The effect of preparation methods on     dynamic mechanical properties     of polyurethane n6tworks(K=3,

    M=0.32).

≦P系≦0系試料の順で大きくなり,低温側での広が りが大きくなっていった。貯蔵弾性率Eの転移域で の傾きはほとんど変化せず,合成法の影響は見られな かった。Fig.6,7よりK, Mの増加にともない主分 散ピークの強度は低下し,その分散幅は広がって行く

ことがわかる。これらのE の主分散の分散幅の増加 と強度の低下はその緩和機構の増加を,また主分散 ピーク温度の上昇は,合成法の違いにより網目鎖のミ クロブラヴソ運動のし易さの難易が異なることを示し ている。同じ配合比の試料であれば合成法のいかんに よらず試料に含まれる極性基,側鎖三等の原子団の濃 度はほぼ一定であるので,これらの結果は,化学橋か け点濃度の差に加えて網目鎖の凝集状態(高次構造)

の相違に起因していると考えられる。

 Fig.8にDsc測定から求めたガラス転移温度Tg とNH:基濃度の関係を示す。この図とTable 1の結果 から,NH基濃度が2.5×10一3moyc㎡下の範囲では三 つの系の試料のTgにはほとんど影響しないが, NH 基濃度がそれ以上の範囲では,S系試料のTgがP系 及び0系試料のTgより低くなる傾向を示した。また 0系とP系試料の間にはほとんどTgの差は認められ なかった。このTgの観察結果はS系試料が, P系及 び0系試料よりウレタン基に富んだ部分とエーテル 基に富んだ部分の相分離が進んでいることを示してい る。すなわちS系試料はセグメソティドポリウレタ ソやハードセグメント含量の大きいヘキサメチレンジ        ヨエイソシアナートーPPG−BD系ポリウレタン網目に 見られるような相分離はしていないもののP系や0 系試料より脱混合の傾向にあると言える。

2 2.5       3.0       365

 圖x103(m・11cm3) 4.0

Fig.8 Relationships between Tg and concentration     of NH group in polyurethanes prepared by     the various methods.

 Fig.9に室温から250℃付近までのDsc曲線を K=2.0,M=0.26及びK=3.0, M=0.32の試料につ いて示す。いずれの試料においても75〜80℃と150〜

200℃に吸熱ピークが見られた。75〜80℃に見られる 小さな吸熱ピークはいずれの系においても配合比K,

Mが増加してもピーク温度は変化しなかった。しか し,合成法による影響がみられP系>S系>0系の順 に高くなった。また,150〜250℃に見られる吸熱ピー クは,合成法により出現する温度とピークの形状が異 なっていた。すなわち,K=2.0, M=0.26でP系で

A__ノー一一一一一一一ψ〜

、_一で τ蒲,

50 100 150 200

C K=2.0, M;0.26

50 100 150 200

         temperature (OC)

Fig.9 The effects of preparation methods on DSC     thermogams of the polyurethane networks     A.prepolymer method, B. semi−polymer     method, C. one−shot method

(7)

は180℃付近のピークがS系では185℃,0系では196

℃にあった。K=3.0, M=0.32になると各系ともピー ク温度が上昇し,ピークの形状もS系,0系で変化 し二つあるいは三つの小さな吸熱ピークとなり,各温 度域は180〜200℃と広がった。合成法により,また配 合比によっても150〜200℃付近の吸熱ピークの温度と 形状が異なっているが,これらの吸熱ピークは網目鎖 の凝集構造の変化に基づくと考えられる。

 Fig. loに三つの方法で合成した試料のx線回折図 形を示す。いずれの合成法及び配合比の試料において        も2θニ20。(d=4.38A)にブロードなピークが,2θ         =12。(d=7.36A)付近に小さなピーク(あるいは肩)

が観察された。2θ=120付近のピークはK,Mの増加 にともない強度を増す傾向を示し,合成法の異なる試 料間でわずかに差が見られP系,S系試料より0系 試料の方がブロードになる傾向を示した。異なる方法 で合成したこれらのポリウレタンは,クロスニコル下 での偏光顕微鏡での観察では暗視野を与え,無定形状 態であることを示した。しかしながら,電子顕微鏡に よりレプリカ法を用いて観察した結果,Fig.11に示 すようにK=2,M=0.3の試料において合成法の差 は見られずほぼ平滑で均一な相をしているが,K=3,

M=0.3のP系,S系試料では球状物が均一な相中に

Prepolymer method

Semi−polymer method

One−shot 凹ethod

K=5.2g M=0.33

K=2.1, 図=0.34

K=2.1, M=0.20

k琶5。2, M=0.30

K=2.0, M=0.30

K=2.1, M=0.21

K=3.0, M=0.32

K=2.0, 凹=0.26

10 20

30

Fig.10 The effect of preparation methods on wide     angle X−ray diffraction intensity in the     polyurethane networks.

K:=3.0

Prepo:Lymer Method

K=3.00, M=0.322

Semi−polymer Method

K=3.00, M=0.322

One−shot method

K塁2.98, M=0.322

1(=2.0

K=2.06, M=0.339 K=2.05, M=0.303 K=1.96, M=0。259

  o・2ノ乙

Fig.ll The effect of preparation methods on TEM micrographs of replicas of the polyurethane networks.

(8)

88 ポリウレタン網目の力学物性への合成法の影響

現れγ・0系試料ではほぼ平滑な均一相をなしたままで あった。

 合成法の違いによるこれらの結果は,鎖延長剤の低 分子グリコールとジイソシアナートの反応により生成 するハードセグメントであるウレタンセグメントにつ         ヨう

いてのpeebles の考察,すなわち,アロハナートの 生成がないという仮定のもとで,ジイソシアナートの 二つのイソシアナート基の反応性の相違がもたらすウ レタンセグメントの生成のしゃすさと分子分布の影響 についての理論的考察,によって説明できる。すなわ ち,TDIの。一位とp一位のイソシアナート基の反応 性が異なるため,ワンショット法に比較してプレポリ マー法ではウレタンセグメントの平均鎖長は若干短く なるが,分子分布はより狭くなる。また,プレポリマー 法ではジイソシアナートによる:PPGの連結が先行し ているので,ハードセグメント生成にあずかるモノ マージイソシアナート量が増え,ハードセグメント含 量が増加する。セミポリマー法では水酸基末端のプレ ポリマーを合成するので,ソフトセグメントの鎖長は プレポリマー法の場合より長くなるとともに,残存モ ノマージイソシアナートの含量は増加する。このため ウレタンセグメントの含量と平均渾々は増大し,分子 分布は広がる傾向にある。このようにハードセグメン トの平均鎖長,分子分布,含量の違いにより生じる高 次構造が力学物性へ寄与し,上述の結果が生じると考 えられる。

4.結 言

 これらの結果から,同一配合比で合成しても合成法 が異なると生成する化学橋かけ濃度や高次構造が変わ ることがわかった。すなわち,原料の添加順序の変化 により最終生成物の物性値に影響が見られた。プレポ リマー法及びセミポリマー法で合成したポリウレタン ではウレタンセグメントが生成し易く,ミクロ凝集構 造を取り易くなり,ソフトセグメント相のTgの低下 及び充唄効果による力学物性の上昇が見られた。他方,

ワソショット法で合成したポリウレタンではアロハ ナート結合が生成し易く,プレポリマー法,セミポリ マー法で合成したそれに比較してミクロ相混合し易く Tgが上昇する傾向が見られた。

 ポリウレタン網目中でもハードセグメントの凝集構 造が物性に重要な寄与をしており,合成方法の違いに

よりその影響が異なることがわかった。

      文  献

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参照

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