第 3 章 複素関数の極限・連続性・導関数
3.1
複素平面上の点集合複素数,複素関数を議論する際に, 「近傍」とか「領域」などの言葉がよく用いられる。そ こで,複素関数の議論を展開する前に,それらの言葉の定義を示す。
近傍 複素平面上の点 z0 を中心として半径 ε(ε >0)の円の内部の点全体
|z−z0|< ε (3.1)
をz0 のε近傍という。(上の式で等号を含まないことに注意。)
集積点 複素平面上の点 z0 と集合 S に対して,点 z0 の任意の近傍が,z0 と異なるS の点 を少なくとも1つ含むとき,z0 をS の集積点という。
有限個の点からなる集合は集積点をもたない。
点の分類 複素平面上の点z0 と集合S があるとき,点z0 は次の3つの場合のいずれかに分 類される。
内点 点z0 のある近傍が集合S の点のみを含むとき,z0 をS の内点という。
外点 点z0 に対して,集合S の点を含まない近傍があるとき,z0 をS の外点という。
境界点 点z0 が集合 S の内点でも外点でもない場合,z0 をS の境界点という。すな わち,z0 のどんな近傍も S に属する点とS に属さない点を含む。
集合 S の境界点全体を S の 境界という。
集合 S の境界点は S の集積点である。
開集合・閉集合 複素平面上の点の集合は,境界点を含むか否かに応じて,次のように分類 される。
開集合 境界点を含まない集合を開集合という。
「S は開集合 ⇐⇒ S の点は全てS の内点」が成り立つ。
閉集合 境界点の全てを含む集合を閉集合という。
集合 S の全ての点と S の境界からなる集合をS の閉包という。閉包は閉集合で ある。
「S は閉集合 ⇐⇒ S はS の全ての集積点を含む」が成り立つ。
21
開集合でも閉集合でもない集合 集合 S : 0 <|z| ≤1 のように,境界点の一部を含 む集合は開集合でも閉集合でもない。
複素数全体は,境界点を持たないので,開集合でもあり閉集合でもある。
有界 集合S の各点が,ある円|z|=R の内部に含まれるとき,S は有界であるという。そ うでない集合を有界でないという。
「S は有界でない ⇐⇒ ∞の任意の近傍がS の点を少なくとも1つ含む」が成り立つ。
コンパクト集合 集合S が有界で,かつ閉集合であるとき,S をコンパクト集合という。
連結した集合 集合 S の任意の2点を,S に属する点だけからなる有限個の線分によって結 ぶことができるとき,S を連結した集合という。
領域 連結した開集合を領域という。
近傍は領域である。
領域の各点はその領域の集積点である。
Riemann 球面
複素平面の原点z= 0 において複素平面に接する単位球(半径1の球)を考える。接する点を 南極,その反対の点を北極と呼び,それぞれ S とN で表す。球の直径N S は複素平面に垂直 である。複素平面上の任意の点P に対して直線N P を引き,直線と単位球の交点をP とする。
このようにすると,複素平面上の各点に単位球上の点が1つ,しかもただ1つ対応する。従っ て,任意の複素数は単位球面上の点によって表現することができる。この球面をRiemann球 面という。(注意:解析接続の章で「Riemann面」が出てくるが,Riemann球面とは異なる。)
Re z Im z
S N
P’
P 図3.1: Riemann 球面 無限遠点
Riemann球面の北極N に対応する複素平面上の点はない。そこで,完全にするために,北極
N に複素平面上の 無限遠点 を対応させる。無限遠点を記号 ∞ で表す。無限遠点まで含めた 複素平面を拡張された複素平面と呼ぶ。
3.2 極限 23
3.2
極限f(z) を,z=z0 のある近傍で定義された1価関数であるとする(z=z0 は除外)。
定義 任意の正数 εに対して,適当なある正数 δ が存在し,
0<|z−z0|< δ =⇒ |f(z)−ω0|< kε (kは実定数) (3.2) が成り立つとき,数ω0 を,z が z0 に近づくときのf(z) の極限,あるいは極限値と いい,
z→zlim0f(z) =ω0 または f(z) → ω0 (z → z0) (3.3) と書く。(通常k= 1 として用いるが,一般的にk を含めておいたほうが扱いやすい。)
幾何学的には,複素平面上の点z0 に対して,zをz0 に十分近く(z=z0)取れば,f(z) とω0 の差の絶対値がいくらでも小さくできることである。一般に,δ はεの値に依存する。
注意1: z がz0 に近づく方法に制限がない。すなわち,どんな近づき方をしても,同じ1 つの値 ω0 が定まるとき,極限があるという。
注意2: z=z0 における値を考えていない。
x f( )x
x0 x
f( )x
x0
図3.2: 実関数の例.左:極限をもたない,右:極限をもつ
図 3.2 は実関数の例である。左の図では,x がx0 に左から近づくときと,右から近づくとき とで関数 f(x) が近づく値が異なる。従って,f(x)はx=x0 において極限をもたない。一方,
右の図では,x がx0 に左から近づくときと,右から近づくときとで関数f(x)が近づく値は等 しい。すなわち,f(x) は x=x0 において極限をもつ。極限はx =x0 における関数値 f(x0) を考えないので,図のように f(x0) と極限値とが異なってもよい。
無限遠点
変換 ω= 1/z によって,点z = 0はω 平面上の無限遠点 といわれる点ω =∞ に写される。
同様に,z=∞ によってz 平面上の無限遠点 を表す。
任意の正数εに対して,適当なある正数 M が存在し,
|z|> M =⇒ |f(z)−ω0|< ε となるとき lim
z→∞f(z) =ω0 と書く。
任意の正数N に対して,適当なある正数δ が存在し,
0<|z−z0|< δ =⇒ |f(z)|> N となるとき lim
z→z0f(z) =∞ と書く。
定理 3.1 極限の一意性 極限はただ1つしか存在しない。
証明 2つの極限値 lim
z→z0f(z) =ω1, lim
z→z0f(z) =ω2 があるとき,ω1=ω2 でなければならな いことを示せばよい。
仮定により,任意の正数εに対して,ある適当な正数δ が存在し,
0<|z−z0|< δ =⇒ |f(z)−ω1| < ε
2, |f(z)−ω2| < ε 2 が成り立つ。従って,
|ω1−ω2| = |ω1−f(z) +f(z)−ω2|
≤ |ω1−f(z)|+|f(z)−ω2| = ε 2 +ε
2 = ε
となる。|ω1−ω2|は任意の正数ε より小さく,従って0 である。よってω1=ω2 である。
定理 3.2
z→zlim0f(z) =w0 ⇐⇒
z→zlim0Ref(z) = Reω0
z→zlim0Imf(z) = Imω0
(3.4)
定理 3.3 極限公式
z→zlim0f(z) =α
z→zlim0g(z) =β
=⇒
z→zlim0(f(z)±g(z)) =α±β
z→zlim0(f(z)g(z)) =α β
z→zlim0
f(z) g(z) = α
β, (β = 0)
(3.5)
3.3 連続関数 25
3.3
連続関数f(z) を,z=z0 のある近傍で定義された1価関数であるとする。
定義 任意の正数 εに対して,適当なある正数 δ が存在して,
|z−z0|< δ =⇒ |f(z)−f(z0)|< ε であるとき,関数f(z) はz=z0 で連続であるという。
連続性の定義は次のようにしてもよい。
定義 lim
z→z0f(z) =f(z0) が成り立つとき,関数f(z) はz=z0 で連続であるという。
関数f(z)がz=z0 で連続であることと次の3条件が成り立つことは同値である。
(1) lim
z→z0f(z) =ω0 が存在する。
(2) f(z0) が存在する。すなわち,f(z) がz=z0 で定義されている。
(3) ω0=f(z0)が成り立つ。
注意 極限の場合と異なり,z=z0 での値 f(z0) を問題にしている。
x f( )x
x0 x
f( )x
x0
図3.3: 実関数の例.左:連続でない,右:連続である
図3.3は実関数の例である。左の図では,x=x0 において極限値をもつが,その値とf(x0) が 異なるので連続ではない。すなわち,x=x0 は不連続点であるが,下に述べるように,x=x0
での関数の値を極限値に等しく定義しなおすことによって連続にすることができるので,除去 可能な不連続点と呼ばれる。一方,右の図では,x=x0 で関数の傾きが変化しているが,x が x0 に左から近づくときと,右から近づくときとで関数f(x) が近づく値は等しいので極限をも ち,しかも,極限値は x=x0 における関数値 f(x0) に等しいので連続である。
不連続点 f(z) が連続とならない z 平面上の点をf(z) の不連続点 といい,f(z) はこれら の点で 不連続である という。
除去できる不連続点 極限 f(z)→ω0 (z→z0)は存在するが,ω0=f(z0)であるとき,z0 を 除去可能な不連続点であるという。それは,f(z0) の値を極限値に等しく定義しなおすことに より,z0 で連続であるようにできるからである。
定理 3.4
f(z), g(z) が z=z0 で連続 =⇒ f(z)±g(z), f(z)g(z), f(z)
g(z) は z=z0 で連続 ただし,最後の式で g(z0)= 0。
定理 3.5 f(z) が z=z0 で連続 ⇐⇒ Ref(z), Imf(z) は z=z0 で連続
定理 3.6 合成関数の連続性
α=f(z) がz=z0 で連続 w=g(α) が α=α0 で連続 α0 =f(z0)
=⇒ w=g[f(z)] は z=z0 で連続
領域における連続性 関数f(z)がある領域の各点で連続であるとき,f(z)はこの領域で連続 であるという。
定理 3.7 関数 f(z) が有界閉領域で連続であれば,この閉領域で有界である。すなわ ち,ある正定数があって,領域の全ての点 z=z0 に対して,|f(z0)|< M が成り立つ。
一様連続性 関数 f(z) がある領域の各点で連続であるとする。このとき,定義により,任意 の正数εに対して,適当なある正数δ が存在し,|z−z0|< δならば |f(z)−f(z0)|< εとで きる。もし,正数 δ がεだけに関係し,点z0 に無関係に選ぶことができるならば,f(z) はこ の領域で一様連続であるという。
あるいは,「f(z)がある領域で一様連続であるとは,任意の正数 εに対して,適当なある正 数δが存在し,|z1−z2|< δ を満たす領域内の任意の2点z1,z2 に対して|f(z1)−f(z2)|< ε が成り立つ」ということもできる。
定理 3.8 関数 f(z) が有界閉領域で連続であれば,この閉領域で一様連続である。
3.4 導関数 27
3.4
導関数定義 関数f(z) が,複素平面のある領域で1価関数であるとき,f(z) の導関数 を次 の式で定義する。
df(z)
dz = lim
∆z→0
f(z+∆z)−f(z)
∆z (3.6)
右辺の極限が存在するとき,f(z) はz で微分可能 であるという。
注意: ∆z →0の近づき方に制限がない。すなわち,どのような近づき方をしても,右辺の 極限が同一の値に近づかなければならない。
x f( )x
x0
x0 x
f( )x
x f( )x
x0
図3.4: 実関数の例.左:微分不可能,中:微分可能,右:微分不可能
図 3.4は実関数の例である。左図は x=x0 で折れ曲がっているので,∆x が負の側から 0 に 近づくときと,正の側から 0 に近づくときとで値が異なる:
∆x→−lim0
f(x0+∆x)−f(x0)
∆x < lim
∆x→+0
f(x0+∆x)−f(x0)
∆x 従って,f(x) はx=x0 で微分不可能である。
中の図では,f(x)はx=x0 で折れ曲がっていないので微分可能である。右図のf(x)はx=x0 の左側と右側で傾きに違いがないが,x=x0 で微分不可能である。それは,x=x0 の左側か ら近づくときと右側から近づくときとで f(x) の値がことなるからである:
∆x→−lim 0 = f(x0), lim
∆x→+0 = f(x0) +a.
ここに,a は正定数である。従って,x0 の右側から近づくとき
∆x→lim+0
f(x0+∆x)−f(x0)
∆x = ∞
であるのに対して,左側から近づくときは有限な値になる。
すなわち,関数 f(x) がx=x0 で不連続であるときは微分不可能である。複素関数の場合も同 様である。
微分不可能な複素関数のうち,最も簡単な関数の一つが f(z) = z である。z =z0 と z = z0+∆z における関数の値と,∆z の比をとると
f(z0+∆z)−f(z0)
∆z = z0+∆z−z0
∆z = z0+∆z−z0
∆z = ∆z
∆z となる。ところで,z=y+i y と表すと
∆z
∆z = ∆x−i ∆y
∆x+i ∆y
である。よって,たとえば,∆z を実軸方向にとる場合と虚軸方向にとる場合では f(z0+∆z)−f(z0)
∆z = ∆z
∆z =
∆x
∆x = 1 ∆z を実軸方向にとる場合
−i ∆y
i ∆y = −1 ∆z を虚軸方向にとる場合 となる。すなわち,∆z の取り方によって左辺の値が異なるので,微分不可能である。
複素関数f(z) がz=z0 で微分可能ならば,f(z) はz=z0 で連続である。
証明
∆z= 0 ならば
f(z0+∆z)−f(z0) = f(z0+∆z)−f(z0)
∆z ∆z
と書けるので,仮定(微分可能性)より
∆z→lim0
f(z0+∆z)−f(z0)
= lim
∆z→0
f(z0+∆z)−f(z0)
∆z lim
∆z→0 ∆z
= df(z0)
dz ·0 = 0
となる。すわわち,f(z) がz=z0 で連続であることを示す次の式が成り立つ:
∆z→lim0f(z0+∆z) = f(z0).
なお,逆は必ずしも成り立たない。
導関数の幾何学的解釈
実関数f(x)の場合,変数xは数直線上を動き,関数の値も1つの実数であるので,導関数(微 分係数)は幾何学的に関数f(x)の傾きとして表される。ところが,複素関数f(z)の場合,変 数zは複素平面上を動き,関数の値ω =f(z) も複素ω 平面上を動く。従って,導関数も幾何 学的に実関数の場合とは異なる。
複素数z0 をz 平面の点Pとし(図 3.5左),ω0 を変換ω=f(z) によるω 平面の点P とす る(図3.5右)。f(z)は1価関数としているから,z0 はただ一つの点ω0 に写される。z0 に増
3.4 導関数 29
Re z Im z
P z0
Q
z0+∆z
∆z
Reω Imω
P’
ω0
Q’
ω0+∆ω
∆ω
図 3.5: 導関数の幾何学的解釈
分 ∆z を加えると,z平面の点P はQになる。点Qの像を,ω 平面の点Q とする。このと き,ω 平面で PQ は複素数 f(z0+∆z)−f(z0) を表している。点 z0 における導関数が存在 するならば,導関数は
∆z→lim0
f(z0+∆z)−f(z0)
∆z = lim
Q→P
PQ
PQ (3.7)
で与えられる。すなわち,点 Qが点 Pに近づくときの,比 PQ : PQ の値の極限値である。
この幾何学的解釈は z0 が任意の点z になっても成り立つ。
微分 z の増分を∆z= dz とする。このとき,ω =f(z)の増分は
∆ω=f(z+∆z)−f(z) (3.8)
である。ある領域で f(z) が連続で,しかも導関数が連続であるならば
∆ω= df(z)
dz ∆z+ε ∆z = df(z)
dz dz+εdz (3.9)
と表せる。ここで,∆z →0のとき ε→0 である。
一方,
dω = df(z)
dz dz (3.10)
を ω あるいはf(z) の微分 という。導関数の定義式 (3.6)と微分の式(3.10)より,
dω
dz = df(z)
dz = lim
∆z→0
f(z+∆z)−f(z)
∆z = lim
∆z→0
∆ω
∆z (3.11)
と書く。
注意1: 一般に,∆ω= dω である。
注意2: dz, dω は,∆z →0 のときの ∆z,∆ω の極限値を意味するものではない。dz, dω は0 でなくても,それらの極限値は 0 である。
注意3: dz と異なり,dω は,与えられた dz に対して (3.10)によって定まる。すなわち,
dω は,点z における独立変数dzによって定まる従属変数である。
微分公式 複素関数に対して,実関数と同様の微分公式が成り立つ。
定理 3.9 微分公式1
f(z) は微分可能,c=複素定数 =⇒ d
dz (c f(z)) =cdf(z) dz
定理 3.10 微分公式2
f(z), g(z) は微分可能 =⇒
d
dz (f(z)±g(z)) = df(z)
dz ±dg(z) dz d
dz (f(z)g(z)) =f(z)dg(z)
dz +g(z)df(z) dz
d dz
f(z) g(z)
=
g(z)df(z)
dz −f(z)dg(z) dz [g(z) ]2
定理 3.11 合成関数の微分公式
f(z) と g(z) の合成関数f(g(z))がつくれて,すべてが微分可能ならば d
dzf(g(z)) = df dg
dg dz.
定理 3.12 媒介変数で表した関数の微分公式
媒介変数 t を用いて z=f(t), ω=g(t) と表され,どちらも微分可能であるとき
dω dz =
dω dt dz dt
定理 3.13 ω=f(z) のとき,z=f−1(ω) と表すと dω
dz = 1 dz dω
3.4 導関数 31
L’Hospital の公式 複素関数 f(z), g(z) が点z = z0 を含む領域で微分可能であり,
f(z0) =g(z0) = 0, dg(z0)
dz = 0 ならば
z→zlim0
f(z) g(z) =
df(z0) dz dg(z0)
dz
(3.12)
が成り立つ。
高階導関数
複素関数 f(z) がある領域で微分可能であり,導関数もその領域で微分可能であるとき,f(z) を2回微分してえられた2階の導関数を d2f
dz2 と表す。同様にf(z)のn階の導関数を dnf dzn と 表す。このとき,nを階数という。
定理 3.14 複素変数の関数 f(z) がある領域で微分可能であるならば,その領域ですべ ての高階導関数が存在する。
注意 複素変数の関数について成り立つが,実変数の関数には必ずしも成り立たない。
複素関数の微分可能性は強い制限である。
(1) 実関数f(x) が次の式で与えられている場合を考える:
f(x) =
x2 x≥0
−x2 x <0
この関数はx= 0 においても滑らかにつながっているので,すべてのx において微分可 能である。導関数
df(x) dx =
2x x≥0
−2x x <0
は,すべての x で連続であるが,x= 0 では折れ曲がっていて微分可能ではない。
(2) 実関数f(x) と形のよく似た複素関数f(z) を考えてみる:
f(z) =
z2 Rez≥0
−z2 Rez <0
この複素関数は Rez = 0(z = 0)において微分可能ではない。実際,z 平面において,
虚軸の右側,及び,左側から虚軸に近づくとき,関数の値は
z2 = x2−y2+ 2ixy → −y2 (z → + 0 +i y)
−z2 = −x2+y2−2ixy → y2 (z → −0 +i y)
となり,Rez = 0(z = 0)で連続ではない。関数 f(z) が連続でない点において,f(z) は微分不可能である。
(3) それでは,Rez <0で f(z) =−zz としたらどうであろうか。虚軸の左側から虚軸に近 づくとき,
−zz = −x2−y2 → −y2 (z → −0 +i y)
となって,虚軸の右側と滑らかにつながるように見える。しかし,前に簡単な例として あげたように,z は微分不可能であるので,f(z) =−zz も微分不可能である。
このように,複素関数は2つの実数x とy によってz=x+i y と表される変数の関数である ので,z による微分可能性は厳しい条件になっている。しかし,その厳しい条件ゆえに,微分 可能な複素関数 f(z) の導関数も必ず微分可能になるのである。