第 86 号
2009 年 12 月 21 日発行 浜松学芸中学校・高等学校 浜松市中区下池川町 34 番 3 号 http://www.gakugei.ed.jp ▲第 28 回 定期演奏会(10/27 はまホール) ▲書道作品展(10/16 ~ 10/21 クリエート浜松) ▲美術作品展(10/16 ~ 10/21 クリエート浜松) ▲体育祭 (9/25)○年後の自分をイメ
「コンクリートから人へ」~政権交代と教育~
校長大塚 功
センター試験まで一ヶ月を切ったこの時期には、本来は試験の心構えや対策について書くべきであると考えてい ましたが、8 月 30 日の総選挙後の大きな政治の変革が教育界にも影響を及ぼしていることについて、一言生徒の皆 さんや保護者の方々に説明する必要があると考えて文章をまとめました。 民主党のマニュフェストによれば、『高校授業料実質無料化』『こども手当』『母子加算』など多くの予算を子育 てに充てようとしていることが分かります。これが「コンクリートから人へ」というスローガンとなっているのです。 では、私学の授業料はどうなっていくのでしょう。先頃、文部科学省から出た概算要求に依れば、私立の高校生一 人あたり 11 万 8800 円(低所得世帯に対しては 23 万 7600 円、収入 350 万以下の世帯の生徒には 35 万円程度)を 直接助成(交付は学校単位)するとなっています。こうした考えの根底にあるのは、日本国憲法第 26 条「全ての 国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」「すべての国民は、 法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とす る。」と国際連合憲章に基づき 1966 年に採択された「国際人権 A 規約」の 13 条(一部のみ抜粋)に「種々の形態 の中等教育は、全て適当な方法により、特に無償教育の斬進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、全 ての者に対して機会が与えられるのもとすること。」この規約を日本は 1979 年一部留保の上批准しています。条約 批准国 (160 ヶ国 ) の中で一部留保している国は、日本とマダガスカルだけであり、世界的な流れは、「子供が教育 を受けることができる権利は人権の一部であり、それは国家が保障すべきものであり、公私立に関係なく無償にす べきものである。」という考えが一般的なのです。民主党の考えは一部こうした流れに沿ったものであると考えら れます。 ところで、先日、産経新聞の一面に前検事総長の但木敬一氏が書いた『かげる日本人の教育』という文が紙面を 飾りました。今回の子育て予算とも関係する点が多いので重要な点のみを抜粋し紹介します。『わが国には…資源 はほとんどない。…人こそわが国最大の資源である。』『明治維新後の近代国家の建設も、敗戦後の奇跡の復興も、 …全ての分野において自己の役割を全力で果たしてきた日本の民衆の質の高さを抜きにして考えることはできな い。』『幕末当時の全国平均では武士階級の識字率 100%、庶民男子 50%、女子 20%、江戸市中だけの総平均は 70%と 推定されている。同時期のロンドンの識字率が 30%…世界第一等の教育程度であったといえよう』さらに『付加価 値を生み出せる人材、創造性に溢れた人材、世界を見渡せる人材を必要としている時代になっているのに、相変わ らず体育会系の勉強をしない人材を珍重する企業が多く、いつの聞にか低学歴国になってしまっているのに気づい ていない。』というようなことが書いてありました。私は「真面白に学習に取り組む姿勢は美しいものであり、正 当に評価されるできものである。」と常々考えています。世の中の風潮は勉強をしている生徒は、「精神力が弱いと か根性がない」と断定していますが、科学的には全く根拠のない意見なのです。学習に対しても真撃な態度で毎日 規則正しい生活を送りながら取り組むことにより、社会に出ても充分に適応できる人間性を育むことができるので す。 小泉元首相が取り上げて一時期話題となった。長岡藩の小林虎三郎の「米百俵」の話しのように、日本人は教育 がいかに大切であるか昔からよく知っていたのです。江戸時代の文化教育のレベルの高さは当時の世界の中でも突 出していました。日本中の至る場所に藩校や私塾があっただけではなく、歌舞伎・俳諧・浮世絵・浄瑠璃など世界 に誇る日本独自の文化も育てたのです。これが明治維新の原動力となっていったのです。明治新政府は国民教育の 大切さも十分に理解しており、文部大臣森有礼によっで明治 19 年には学位令発布、同じ年に東京帝国大学が設置 され、翌明治 20 年には東京美術学校、東京音楽学校が開校しました。 元来日本人は、勉強することが好きなのです。そして、今改めて学校教育の大切さが再認識されてきたのかもし れません。ージしていますか?
まず、問題を出します。あなたは次の文章を理解できますか ? 日本各地で、梅雨のようすは、どのようになっているのでしょうか。 沖縄県では 5 月から、関東地方では 6 月から梅雨の季節に入ります。約 1 ヶ月の間、毎 日のように雨の降る日が続きます。北海道では、梅雨はほとんど見られません。 実は上記の文章は、小学校の社会の教科書に載っているものですから、皆さんであれば、十分「分かる……①」こ とができると思います。 では、上記の内容をふまえて皆さんに質問します。 1 なぜ、日本では場所によって梅雨に入る時期が異なるのでしょうか。 2 北海道では、梅雨があまり見られないのはどうしてですか。 どうですか ? しっかり答えることができましたか ? 先ほどは十分にわかっていたと思うのですが、実は一読して もわからないことが存在していたことに気づきましたか ? では、次の文章を読んで下さい。 日本の南には暖かい気団、北には冷たい気団があります。そしてそれらが接している境界で雨が降ります。 北半球が夏になるにしたがって、日本の南の小笠原高気圧 ( 気団 ) は強くなって、徐々に勢力範囲が拡大します。 したがって、日本の近くの冷たい気団と暖かい気団の接している境界帯は、徐々に北上することになります。 その境界帯が日本列島上を、ゆっくりと南から北へ、時には停滞しながら、通り過ぎてゆくのが梅雨です。で すから、南に位置する沖縄県が早く梅雨入りし、北の方ではそれより遅れるのです。 北海道では本格的な梅雨が見られないのは、梅雨明けの頃には小笠原高気圧が一気に境界帯を押し上げるなど して、はっきりした形では北海道上に境界帯が停滞しないからです。しかし、蝦夷梅雨という言葉は存在します。 「梅雨期に北海道で小雨が続き肌寒く感じる現象をいう」(広辞苑)とありますから、北海道で梅雨がまったく見 られないということではないようです。 どうでしょう。「分かり……②」ましたか ? ここまでの文章を読めば、質問には完璧に答えることができるのでは ないでしょうか ? 先に「分かった」と思った方で、 2 つの質問に答えることができなかった方は、実は不十分な理 解でしかなかったのです。 このように、「分かる」という感覚には、2 つの状態が存在します。しかしその内実は全く違うものです。どちら がよいかと言えば、誰もが②を選びとるでしょう。この②の理解を目指すことが、私たちには大切なのです。 では、どうすればよいでしょうか ? 実は簡単なことです。常に『なぜ ?』と問いながら読む(見る・聞く)ので す。そしてそのとき持った疑問を解決する努力をする。これが、学力を高め、人生を拓くためのこつ4 4なのです。 (山口)普通科
東京大学見学ツアー(於 東京大学赤門) 現役東大生による東大学習コーチ3 年後の浜松国際ピアノコンクールに向けて
今年は、3 年に 1 度の浜松国際ピアノ コンクールが 11 月 8 日から 11 月 23 日 までアクトシティで開催されました。 86 名の出場者の中に 13 歳から 19 歳までの 10 代の出場者が 25 名もいて、優勝者はなんと 15 歳のチョ・ソンジン ( 韓国 ) でした。 学芸高校音楽館で学ぶ生徒は、電子音楽課程も含めて全員 がピアノのレッスンも受けていますので多かれ少なかれこの コンクールを心待ちにしていたと思います。 さて、いざ始まってみると、何もかも手がつかなくなる程 熱中する生徒や先生が続出するのは、いつも見られる風景で す。私もほぼ毎日会場に立ち寄りましたが、生徒があちこち で熱いまなざしで演奏者をみている姿を見て、何と幸福な経 験ができる生徒たちだろうと羨ましくさえ感じました。 生徒たちが優勝者のチョ・ソンジンに対して一様に称賛し ていたのは言うまでもありませんが、2 次 3 次への出場者発表 の際、お気に入りの演奏者が選ばれなかったことに対する落 胆ぶりを見たときは、何とも微笑ましく、その思いを演奏者 本人に伝えられないものかと思った程でした。只、音楽を勉 強するものにとって、評価を審査委員だけに頼るのでなく、 自分の判断を主張する気持ちを持つことは重要なことです。このコンクールは世界的に有名なピアニストを何人も 輩出している程水準が高いことから、本校の在校生で出場できたのは過去 1 人しかしかいません。将来は、学芸の 音楽課程の生徒が毎回出場できるようになりたいものです。一方、レベルの差はあれ、音楽館の生徒達もいろいろ なコンクールに挑戦しています。今年の春からの主な受賞を挙げてみますと、第 25 回中東遠 P.T.C ピアノコンクー ルデュオ上級部門最優秀賞、第 30 回 2009 静岡県学生音楽コンクール声楽部門第 1 位・管楽部門第 1 位、第 19 回 日本クラシック音楽コンクール地区本選会フルート部門優秀賞(全国大会出場推薦)、第 11 回ショパン国際ピアノ コンクール in Asia 地区大会銀賞(全国大会出場)・地区大会銅賞(全国大会出場)、第 16 回日本トロンボーンコン ペティション独奏部門第 1 位等です。 芸術においてコンクールのように演奏に順位をつける事が必ずしも正しい判断とならないこともあり、コンクー ルの功罪を考慮に入れた上で、積極的に学外の高校生と自分を競わせてみるのも上達の良いきっかけになるかもし れません。 2 年生は、インフルエンザ騒ぎで心配していた修学旅行から無事戻ってくれば、いよいよ 3 年生に向けて、受験 体制に入っていかなければなりません。約 1 年半の高校生活を通じて定めた目標の大学選択は、間違ってないか ? もうひとつランクを上げても頑張れるのではないか ? 等正しい見極めを、担任のアドバイスも聞きながら行い、 3 年生になる前に志望大学を決定すべきだと思います。1 年生は、音楽の勉強の進め方が解ったところで、今後の 学校の活用の仕方で実力の差がついてくると言えるでしょう。毎朝 7 時頃に来て練習する習慣がついた人、放課後 の練習を孤独に徹して黙々と続けている人には、大いに期待が持てます。3 年生は、約 3 分の 2 の人が、まずセンター 試験、続いて実技試験を控えています。コンクールに挑戦しなかった人も学校での実技試験には、精一杯臨んでき ました。その経験を自信にかえて力を発揮してもらいたいと願っています。そして、進学した大学から 3 年後に浜 松国際ピアノコンクールに出場してくれるのも夢ではないと楽しみに待っています。 (酒井)芸術科
音楽 電子
音楽
8/27 第 21 回電子音楽定期演奏会 10/27 第 28 回音楽定期演奏会 オペラ『ヘンゼルとグレーテル』昨年この欄で「みなさんはずいぶん頑張りました」 と書いたのですが、ことしは更に頑張ってくれまし た。まず、7 月から 8 月にかけて上野の森美術館で 聞かれた「第 10 回高校生国際美術展」。小野地さん をはじめとする 3 年生 5 人が秀作賞・奨励賞を受賞 しました。次に「第 57 回静岡県高等学校美術・工芸展」。2 年生の川村陽 平君が県高等学校文化連盟優秀賞、また、入山きらら君ほか 2 人の l 年生 が県高等学校美術・工芸教育研究会優良賞に輝き、飯島さんら 2 年生 3 人 も特選に選ばれました。これで川村君と入山君の作品は、来年度の全国高 等学校総合文化祭に出品されることになります。さらに 12 月には、1 年生 の近藤大祐君が「J-POWER『風車のある風景』絵画コンテスト」(朝日新聞 社主催、環境省・経済産業省等後援)の表彰式に出席、中学・高校生の部 の準グランプリをいただいて来ました(右写真)。もちろん 6 月の文化祭で ホールを満杯にしたファッションショーや昨年をさらに 200 人上回る 1628 人集めた秋の作品展、特選・奨励賞・特別賞合わせて 21 人が受賞した西部 展も大したものでした。 こうした「成功体験」をみなさんが味わってくれることは、嬉しいかぎりです。きっと、将来の支えになってく れると思います。ついでに、ここで、「どうして成功できたのか」について考えておくのもいいかもしれません。 さて、ここにきて武蔵野美大や東京造形・女子美といったところに推薦で合格した者も出てきましたが、入試は やはりこれからが本番。ことしは新型インフルエンザという強敵もいて大変ですが、うがい・手洗いをこまめにし て 3 年生のみなさんは頑張ってください。もちろん l・2 年生も、冬休みには裸婦デッサンや英語・国語のゼミがあ りますから頑張ってくださいね。その努力がみなさんの夢の実現につながるはずですから……。 (池田) 書道も相変わらず素晴らしい成績を残してくれました。「全国高等学校総合文化祭(三重 大会)」に 3 年生の中村心咲さんと大江沙亜耶さんが県代表として出品し、中村さんは第 2 位相当の特別賞を受賞。「第 18 回国際高校生選抜書展」では中部北陸地区優勝(3 回目)を 果たし、準大賞に先の中村さんが、また優秀賞には 2 年生の吉林晃穂さん、秀作賞に l 年生 の後藤沙江子さんが選ばれています。ほかにも「第 33 回学芸書道全国展」で東京学芸大学 学長賞(第 l 位)に 3 年生の熊切伽純さん、「第 8 回岐阜女子大学全国書道展」で大賞(第 l 位)に 3 年生の芹澤麻 美子さん、「第 28 回高円宮杯日本武道館書写書道大展覧会」では全国都道府県教育長協議会賞に 3 年生の寺田和希 子さん、全国書写書道研究会賞に 2 年生の 牧野百花さん、日本経済新聞社賞に 1 年生 の村松由理さんが輝き、「第 51 回全国書道 展」では優秀団体賞も受賞するなどここに は書ききれないほどです。もちろん、「静 岡県高等学校総合文化祭」で県教育長賞を 受賞した 2 年生・松山美和子さんの作品と 県高等学校文化連盟会長賞受賞の牧野さ んの作品が、来年宮崎で行われる「全国高 等学校総合文化祭」に県代表として出品さ れることになっています。 こうした素晴らしい結果を出している みなさんですが、「出しつづける」ための 努力というのは大変なものでしょうね。け れど、それをなし遂げてこそ「本物」なん だろうな……。 (池田)
芸術科
美 術
芸術科
書 道
毎日新聞 より転載
学校らしい学校に…⑤
生徒たちの成長を願いながらこまめに赤ベンを入れ ている先生たちの姿に、本校の「学校らしさ」を実感し ています…が前号の結びでした。「学校らしい学校」には、そうした日々の教育活 動に熱心な教師たちの存在が欠かせません。中学部には、私を除くと女性 3 名、男 性 3 名の先生方がいらっしゃいます。決して性別で、区別するつもりはありませんが、 それぞれに共通点がありますので、あえて男女別に紹介させていただきます。 ◎愛情あふれる日本の母=青野先生・児玉先生・福田先生 女性教師陣の共通点は、浜松出身・本校勤務〇十年以上・中学生以上のお子様を 持つ母親、の 3 つです。地域のことが分かり、学校のことが分かり、そして何より、 子育ての経験を通して思春期を迎えた子供たちのことが分かる、という頼もしいメ ンバーです。「さあ」で始まる福田先生の指示はいつも明快です。My Study Plan や書取帳を点 検する児玉先生の手際は完壁です。「よさこい踊り」の練習中に青野先生が飛ばす 檄は無敵です。毎日の細かな生活指導には、父性はもちろんですが、母性愛こそ必 要不可欠だと思います。叱ることも多々ありますが、優しいからこそ厳しいのです。 常には生徒たちの、時にはお母さんたちの良き相談相手として、全体を温かくサポートをしてくださっています。 ◎中高一貫教育成功の請負人 = 勝柴先生・髙橋先生・森下先生 男性教師陣の共通点は、首都圏出身・本校勤務 5 年前後・前任が中高一貫の有名進学校、の 3 つです。浜松や学校のこと には明るくない点があるかもしれませんが、中学校がスタートしたばかりの本校にとっては、前任校での経験を活かして 6 年間の長期的展開を見通すことができる、という貴重なメンバーです。季節感のある教室経営をする森下先生の工夫には 感心します。Together の精神で生徒を感化する髙橋先生の迫力には驚嘆します。生徒を見つめて切々と諭す勝柴先生の 丁寧さには敬服します。先達に倣うことは、転ばぬ先の杖になると確信しています。「東海の名門進学校」としいう目標を 実現するための先駆者として、今後もダイナミックに生徒たちをリードしてくださることでしよう。 この 6 名が、朝読書・SHR ⇒ My Study Plan ⇒昼食指導⇒帰りの会、という流れの中で毎日欠かさず生徒たちを「定点観察」 しています。元気がない子はいないか、友人関係に変化はあるか、等について情報を交換しながら把握することに努め、必 要に応じて具体的な指導をするように心がけています。それでも、私たち教師が気づかないことや対応が不十分な場合はあ ると思います。ですから、何か気になることがあれば遠慮なく学校にご連絡ください。各家庭との連携を円滑かつ濃密にし ていくことも「学校らしい学校」づくりの大切なポイントだと考えています。 (中学部長:内藤純一)