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わが国初めての民鉄と蚕糸業の関係

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Academic year: 2022

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わが国初めての民鉄と蚕糸業の関係

ものつくり大学 学生会員 ○関 正寿 ものつくり大学 正会員 増渕文男

1.はじめに

北関東は利根川・渡良瀬川などの支流・荒川の源流があり太平洋と東京湾に注いでいる。明治維新後、この 北関東の蚕糸業が台頭し近代日本を支えたのは周知のことである。この地域が蚕糸業に適しているのは桑の栽 培に適した砂質で排水性の良い河川敷の土

壌に恵まれたことと、そのことから品質の 良い蚕種が生産できたことにある。さらに 製糸に必要な良質な大量の水、乾燥した気 候があった。そして産地から横浜港、更に 海外に運ばれたそのルートは陸路、舟運お よび鉄道が介在したが、その交通手段の変 遷が明確になっていない。このため日本最 初の民間鉄道の日本鉄道中山道線(現在の JR東日本鉄道高崎線)を中心に幕末から明 治 20 年代の基礎的な資料を集めて整理し た。

2. 鉄道敷設以前 安永4年(1775)運上金を上納すること

によって船積み稼ぎを公認された上利根川 筋の上州、14河岸組合を結成以来舟運は盛 んになっていった。特に図1のように利根 川支流烏川にある倉賀野河岸および本流平 塚河岸は生糸の輸出に貢献した。倉賀野河 岸は地理的条件から主に高崎を中心とした 物資の輸送に、平塚河岸は前橋を中心とし た物資輸送を担当した。倉賀野河岸の明 治12年~明治 16年における総輸出量に 占める蚕糸類の割合を図2に、総輸出量 に占める蚕糸類の価格割合を図3に表し た。蚕糸類の占める物量割合は 37.9%に 対して、金額ベースでは 89.6%という数 字を表している。生糸が貴重かつ高価で あったことがわかる。この時代の舟運の 輸送は関宿から江戸川を通り江戸まで概 ね2、3日を要した。

輸出品目内訳(金額)M15

蚕糸類 太物 煙草 薬種 片栗 畳糸 輸出品目内訳(重さ)M15

蚕糸類 太物 煙草 薬種 片栗 畳糸

キーワード 中山道鉄道 生糸 横浜

連絡先 〒361-0038 埼玉県行田市前谷333 TEL. 048-564-3862 FAX.048-564-3862

図.2 総輸出量に占める蚕糸類の割合 図.3 総輸出量に占める蚕糸類の価格割合 図.1 関東の鉄道建設史と河川

倉賀野 平塚

足利 桐生

Ⅳ-105 第35回土木学会関東支部技術研究発表会

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3.倉賀野河岸・平塚河岸の生糸出荷

明治9年から21年までの群馬県の生糸生産高の推 移を表1上段にまとめた。下段はその中で15年につ いては倉賀野河岸・平塚河岸における生糸出荷量を 比較したものであるが、両河岸からの出荷量は上州 で生産された全生糸生産数を超えている。これは舟 運の便を持たない隣県信濃・越後で生産された生糸

も含まれていたということで横浜までの長距離を考えると人馬だけに頼るのでなく舟運と併用していたと考 える。群馬県において、明治17年中山道鉄道(高崎線)開通以前、横浜への生糸の搬入の多くは利根川舟運 によって行われたとするものであり当時の河岸の盛況ぶりが想像できる。

4.鉄道貨物輸送

日本鉄道は明治 16年(1883)7 月 28 日上野・熊谷間中山道鉄道(現、JR東 日本高崎線)が開通後、同年8月13日に は沿線の生糸の輸送を開始している。

明治 17 年に上野と前橋間に鉄道開通 以来24年までの旅客・荷物賃の増加の推 移を図4にまとめたが、明治20年を境に 急激な増加を示している。これは貨物輸 送が舟運から鉄道に移ったものと推測し たが、川下に運ぶ舟運の安い運

賃との競合で特別運賃割引な どの施策の効果も見逃すこと はできない。いづれにしても日 本鉄道の経営収支が順調にな るに従って鉄道建設ブームが 助長されることになる。

5.おわりに

本研究において生糸の本格 的な鉄道輸送は明治20年頃と 推定した。しかし舟運は上流の 長距離運送では減少したが、下 流地帯は内陸通運会社などに よって昭和の初期まで運営さ れた。

参考文献

倉 賀 野 河 岸 平 塚 河 岸 合 計

明 治 1 5 年 7 4 , 9 9 0 貫 3 2 , 0 3 0 貫 1 0 7 , 0 2 0 貫 k g 換 算   1 0 7 , 0 2 0 貫 * ( 1 貫 = 3 , 7 5 k g ) = 4 0 1 , 3 2 5 k g      

荷物・ 旅客数の推移

0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000

17 18

19 20

21 22

23 24

合計 荷物賃 合計 旅客賃

1)日本国有鉄道「工部省記録」 2)群馬県史 第5巻、8巻 3)横浜市史第3巻 4)日本鉄道百年史

※路線番号は図1と対応

図.4 日本鉄道明治 17 年~24 年荷物・旅客数の推移 群馬 339 千斤

明治 9年 11 年 337

13 年 15 年 17 年 19 年 21 年

1232 1067 1168 499 739

kg換算 499,999 斤*(1 斤=0.6kg)=299,400kg 表.1群馬県の生糸生産高の推移と倉賀野・平塚河岸の生糸出荷量の比較

路線 年号

番号 (明治) 群馬に係わる鉄道開業 付帯事項

2年 東西両京を結ぶ鉄道を幹線建設廟議決定

5年  9月 新橋ー横浜間鉄道開通9往復 53分運転 新橋・横浜間29キロ  11月 日本鉄道に建設許可

15年 6月 工事開始(川口ー熊谷間)

16年  7月 上野ー熊谷間仮営業 日本鉄道会社(私鉄営業の始まり)

17年  5月 上野ー高崎間開業 熊谷~高崎が延長され、上野ー高崎間が全通

 8月 上野ー前橋間開業 高崎~前橋が延長され、上野ー前橋間が全通

18年  3月 品川ー赤羽間開業 官設鉄道と日本鉄道の間で連絡運輸を開始

 7月 大宮ー宇都宮間開業 但、利根川橋梁未完成のため渡船連絡。

10月 高崎ー横川間開業 官設鉄道

19年  8月 直江津ー関山間開業 官設鉄道

6月 利根川橋梁完成 大宮ー宇都宮間全通

12月 上野ー黒磯間開業 日本鉄道

21年 12月 直江津ー軽井沢間開業官設鉄道

22年  8月 新宿ー八王子間開業 甲武鉄道

12月 小山ー前橋間開通 両毛鉄道

26年  4月 横川ー軽井沢間開通 上野ー直江津間が全通  表.2  鉄道年表

鉄道運輸事項

Ⅳ-105 第35回土木学会関東支部技術研究発表会

参照

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