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捕捉された中性原子 Bose Einstein 凝縮の 量子場の理論による解析

Quantum Field Theoretical Analysis on Bose ‐ Einstein Condensation of Trapped Neutral Atoms

2006 年 3 月

早稲田大学大学院 理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 素粒子理論研究

峰 真如

(2)
(3)

目 次

第1章 序論 5

第2章 量子場の理論による記述 9

2.1 作用 . . . . 9

2.2 対称性を破る項の導入 . . . . 11

2.3 ハミルトニアン . . . . 13

第3章 2つの場の理論的方法の関係性 15 3.1 Generalized Bogoliubov の方法 . . . . 15

3.2 Bogoliubov–de Gennesの方法 . . . . 21

3.3 両者の関係性 . . . . 25

3.4 状態に関する議論 . . . . 30

3.5 プロパゲーターの具体形 . . . . 31

第4章 外部擾乱を受けたBose–Einstein凝縮体の応答におけるゼロモードの効果 37 4.1 Hartree–Fock–Bogoliubov–Popov近似と平均場ハミルトニアン . . . . 38

4.2 外部擾乱が入ったときの動的取り扱い . . . . 41

4.3 ゼロモードの効果 . . . . 42

4.4 数値計算 . . . . 43

4.4.1 凝縮相の時間発展 . . . . 44

4.4.2 応答振動数の温度依存性とゼロモードの効果 . . . . 46

4.4.3 第一励起エネルギーの相互作用依存性とゼロモードの効果 . . . . . 46

第5章 複素固有値がある場合のBogoliubov–de Gennesの方法と物理的状態 49 5.1 BdGの方法のまとめ . . . . 50

5.2 2成分表示 . . . . 52

5.3 複素エネルギーモードが存在するための必要条件 . . . . 54

5.4 異なるモード間の非直交性のための必要条件 . . . . 54

5.5 Bogoliubov–de Gennes方程式に存在する規則性 . . . . 56

(4)

5.6 複素モードも含めた完全系と量子場の展開 . . . . 56

5.7 ハミルトニアンの表現とその性質 . . . . 57

5.8 Hˆ0の固有状態 . . . . 60

5.9 複素モード部分での状態の完全系 . . . . 63

5.10 物理的状態 . . . . 64

5.10.1 候補 1 — ˆb , ˜b の真空 |0ii . . . . 65

5.10.2 候補 2 — ゼロ状態|0iA, |0iB . . . . 66

5.11 ゼロ状態に関する密度線形応答 . . . . 67

5.11.1 時刻t0からの強制振動による摂動の場合 . . . . 68

5.11.2 時刻t0における撃力による摂動の場合 . . . . 69

第6章 結論 71

付 録A Bogoliubov近似の方法 77

付 録B 公式(5.124)の証明 79

付 録C 線形応答理論の一般論 85

参考文献 91

(5)

第 1 序論

1995年, 捕捉された中性原子気体においてBose–Einstein凝縮(以下BECと略記)が 実現された[1, 2, 3]. この系は,中性原子を空間的に閉じ込めて冷却することによって実現 される. 具体的には光のDoppler効果を原理とするレーザー冷却, 磁気光学捕捉, 磁気捕 捉, 蒸発冷却などの段階を経ることによって, 原子集団の温度をµKのオーダ以下まで下 げるのである. なお, ここで原子の捕捉ポテンシャルの形は調和型である.

この実験の成功は, Boseが光に粒子性を仮定して統計を取ることでPlanckの輻射式が 導けることを示し[4], それに注目したEinsteinが, この統計(ボース統計)に従う粒子(ボ ソン)の系が低温で今日知られるBECを起こすことを予言した[5]時期からおよそ70年 の年月を要したことになる. またこの中性原子BEC系には, それまでにBECであること が確かめられている系(超流動ヘリウム[6, 7]や半導体中のエキシトン[8])とは異なるこ の重要な特徴がある. それは粒子間の相互作用が小さいことである. また, この系は温度, 捕捉ポテンシャルの形状, 粒子間相互作用の大きさなどを, 外部パラメータを操作するこ とにより調整可能である. BECはマクロに見られる量子現象であるため理論計算と実験 結果の詳細な比較を行うことは興味深く重要であるが, この中性原子BEC系ではまさに それが可能である. そのためもあって, 実験理論双方の研究が盛んに行われている. また, この系が制御可能性に優れていることに関連して, 興味深い実験をいくつか挙げておくと, スピン自由度をもったBEC[9], 量子渦[10], マイクロチップの上でBECの生成[11], 超流 動–Mott絶縁体転移[12], ソリトン[13]などである.

本論文では一貫して,「量子多体系を記述する基礎理論は場の理論である」との立場を とる. それは場の理論が無限自由度系を記述できる理論体系であるからである. そこで は,摂動論など計算手法が非常に整備されており,また量子相転移は“自発的対称性の破れ (Spontaneous Symmetry Breaking, 以下SSBと略記) ” というメカニズムで捉えられてい る. とくに中性原子系においてある転移温度以下で出現する凝縮相は,U(1) 対称性の自発 的破れに伴う秩序変数として特徴付けられる.

本論文では, 場の理論で中性原子BEC系を解析する. このことは体積有限系における

(6)

場の理論や有限温度場の理論を含む熱場の理論の構築の問題とも関連しており, 非常に重 要な研究テーマであると言える. 特に, 以下に挙げる3つの課題を扱う.

第1の課題は,ゼロモードを取り入れる2つの場の理論的枠組みの関係性についてであ る. 上記のように量子相転移であるBECは場の理論においてSSBと捉えられる. その際,

Goldstoneの定理[14, 15]と呼ばれる一般的定理からエネルギーがゼロのモード(Nambu–

Goldstoneモードないしはゼロモード) が存在することが要請される.

捕捉されたBEC系においてこのゼロモードを考慮した場の理論的解析法にはLewen- steinとYou [16] やMatsumotoとSakamoto [17]によるBogoliubov–de Gennes (以下BdG と略記)の方法と, OkumuraとYamanaka [18]による一般化されたBogoliubov変換(Gen- eralized Bogoliubov Transformation, 以下GBと略記)の方法の2つがある. 両者ともゼロ モードを考慮した正準理論であるという点で共通しているが,ゼロモードを取り入れる方 法,すなわち場の演算子の展開の方法においては異なる手法のように見える. 特に両者の 方法における励起スペクトルの関係や, ゼロモードに付随する状態表現の関係を明らかに することは,実験と比較すべき物理量を計算する際などに非常に重要な問題である.

第2の課題は, 有限温度でのBECの集団励起運動に対しての場の理論的アプローチで ある. 具体的にはJin等 [19] によるBECの有限温度での集団励起運動の実験に注目する.

この実験に対応する理論的解析で代表的なものにはJacksonとZaremba [20] の計算が ある. この研究では非凝縮相に対してBoltzmann方程式を立てて, それを数値的に解く, という方法をとっている. この結果は実験データをうまく再現していると言える. しかし, この計算では半古典近似が用いられ, いくつかの量子論的プロセスは無視されている. 一 方で, Morgan等 [21] は, これらの量子論的プロセスを考慮に入れた計算を行ったが,その 結果は特に高温領域で実験を再現しない. このように, 有限温度でのBECの集団励起運 動に対する理論的解析は, 未解決の問題を含んでいると言える. さらに先に説明したよう に本論文ではこの現象の場の理論による記述に興味がある. 場の理論によると,先に述べ たようにゼロモードが存在するはずである. 場の理論では正準交換関係が本質的であるた め, すべてのモードを考慮した扱いが必要であり, ゼロモードもきちんと考慮しなくては ならない. しかしながら,このモードは赤外発散に関係しており, 扱いが難しく, 実際に上 記先行研究[20, 21]ではこのモードが考慮されていない.

そこで本論文ではこのゼロモードを考慮に入れた計算をし, その効果を調べる. まず出 発点として,この有限温度での集団励起の系は,「外場に摂動を加え, それに対する応答を 見ている」という解釈から議論を始める. すなわち線形応答理論が有効であるとするので ある. しかしながら, 今考えている系は並進不変性のない系である. そのため, 平坦な系で よくやるように,「応答と関係のある遅延Green関数と摂動論で計算できる因果Green関 数とをスペクトル表示で簡単に結びつけることができない」という困難がある.

(7)

そこで, ゼロモードも考慮した計算で凝縮相の応答を計算するために, 何らかの新しい 計算形式を構築し,それにより実際に実験でゼロモードの効果を見積もることが重要な問 題となる. これが有限温度でのBECの集団励起運動に対しての課題である.

第3の課題は,複素固有値が存在する場合のBdGの方法についてである. 捕捉された中 性原子ボース凝縮体のゆらぎを記述するBdG方程式には実固有値のほか, 複素固有値が 出現するパラメータ領域があることが知られている[22, 23, 24, 25]. 例えば, 渦度2以上 の量子渦[26, 27]をもったBEC系についてである[22, 23]. この場合, 先行研究では複素 固有値を量子渦の崩壊に対応する, との立場が取られてきたが, その結果は実験結果[27]

を再現しない. 一方で, この問題に対し, 状態の議論も含めた量子場の理論による解析は いまのところ存在しない. よって,複素固有値が存在する場合のBdGの方法について場の 理論で扱うことは, 興味深く重要な課題となる.

第1章は序論である. 上述の3つの研究の生じた背景と本研究の目的について述べる.

第2章では量子場の理論での定式化を行う. 上述の3つの課題は以下の章で解析される が,本章はその準備としての位置づけである.

第3章では第一の課題として2つのアプローチの関係性を調べる. そのためには, まず 励起モードに関して両者の方法が等価であることを両者をつなぐ具体的な線形変換を構 成することで証明する. その後, ゼロモードセクターにおいて,両者の関係性を調べ, 2つ の方法は, あるスクイーズド変換を介して結びつくことを示す. またそれに伴って真空の 議論を行い,本質的なのはアプローチの選択ではなく, 真空の選択であることを述べる.

第4章では第2の課題として応答におけるゼロモードの効果について調べる. 手順と しては,外場の摂動を加える前の静的な系に対してHartree–Fock–Bogoliubov–Popov近似 (以下HFBP近似と略記)と呼ばれる平均場近似をし,摂動が入った後の動的な系に対して は線形近似を行うことである. 静的な系にたいしてHFBP近似をしても, Okumuraたち の提案したGBの方法[18]によってゼロモードを入れた計算枠組みを作ることができる.

上記の枠組みに従って,まず系が球対称かつ十分低温という近似(以下低温近似と呼ぶ)

のもとにゼロモードの効果を数値的に調べる. その結果, このモードを考慮に入れること により,考慮しない場合よりもエネルギーが高く見積もられることがわかり, また,その傾 向は温度が高いほど顕著であることが示される. また, その拡張として, ゼロモードの効 果の結合定数依存性も見る. この解析では簡単のため, 1次元系を仮定する. そして, 低温 近似において広い結合定数領域でのゼロモードの効果を調べる. それまでに, ゼロモード を考慮することで,考慮しない場合よりもエネルギーが高く見積もられることがわかって いたが, その傾向は, 結合定数が大きいほど顕著になることを示す.

第5章では複素固有値が存在する場合のBdGの方法について調べる. 具体的には,まず 2成分表示によりBdGの方法を簡潔に書き換える. これにより議論の見通しがよくなる.

(8)

次にBdG方程式の解のもつ数学的性質について調べる. 具体的には複素固有値が存在す るための必要条件や, 異なるモードが直交しないための必要条件, そして複素モードが現 れる場合にも, 実固有値の場合に類似した方程式の対称性が成り立つことなどを見る. そ の上で, 複素固有値が存在する場合でも, 正準交換関係を保持する量子場の展開が可能で あること(そのような完全系が用意できること)を示し, ハミルトニアンの表現を得る.

そしてハミルトニアンに関するいくつかの重要な性質を示す. 特に, ハミルトニアンの固 有状態を構成し,状態の議論を行う. 渦度2の量子渦をもつボース凝縮系に着目したとき, その準安定性を反映し確率解釈を許す物理的状態条件を提示し, その条件を満たす状態を 具体的に構成する. そしてこの理論を検証するために実験と比較する物理量として系の密 度線形応答を計算し,その表式を与える.

第6章ではこれらの研究で得られた成果をまとめ, 今後の展望が述べられる.

(9)

第 2

量子場の理論による記述

この章では, 中性原子気体BECを場の理論により記述するために必要な基礎的な事柄 について述べる. まずこの系を記述する作用を与え, その性質を知り, 自発的対称性の破 れの機構について説明し, 正準量子化によってハミルトニアンを得ることが本章の目的で ある. まず, 2.1節では磁気的に捕捉され, 接触型の斥力相互作用をする中性原子気体を記 述する作用を与える. そして, その作用が大域的位相変換対称性を満たすことを述べる.

BECはこの位相変換対称性の自発的破れとして特徴付けられるが, 2.2節では凝縮相(秩 序変数)の存在の下で, 系の大域的位相変換対称性を微小に破る項を導入する. これは凝 縮体が発現したときにゼロモードを無矛盾に理論に取り入れるために必要な本質的な項 である. ただし微小に破る項を特徴づけるパラメータは計算の最後に0ととる. 2.3節で は, 2.2節で与えられた対称性を破る項も含めた作用を基に正準量子化を行う.

2.1 作用

まず, 出発点となる作用は, ψ(x)を中性原子の重心運動を記述する場として, 次式で与 えられる.

S =

Z

dt d3xL

=

Z

dt d3x

·

ψ(T −K−V +µ)ψ− g

2ψψψψ

¸

. (2.1)

ここで,

T =i∂

∂t, K = 1

2m2, V = m 2

X3 i=1

ωi2x2i (2.2) であり, mは中性原子の質量,ωiは調和型のポテンシャルのi軸方向の振動数,µは化学 ポテンシャル,gは2体相互作用定数である.相互作用項は, 考えている系の性質(中性, 希薄,低エネルギー)から, 結合定数を

g = 4πa

m (2.3)

(10)

とした接触型で与えられる[28]. ここでaは原子衝突の際のs波散乱長である.なお,本論 文を通じて¯h= 1とする.

この作用は以下の大域的位相変換に対して不変である.

ψ(x) eψ(x) (2.4)

ψ(x) e−iηψ(x), (2.5)

ただしx≡(x, t)であり,ηは任意の位相定数である. ここで,この変換に付随するNoether 流Nµ= (N0(x),N(x)) を求めておこう. 一般的に, 場の微小変換,

ψ(x)→ψ(x) +ξδψ(x), (2.6)

ψ(x)→ψ(x) +ξδψ(x) (2.7)

を考える. ただしξは微小な実変数である. この変換に対するNoether流は, Nµ(x) = ∂L

∂ ∂µψ(x)δψ(x) + ∂L

∂ ∂µψ(x)δψ(x) (2.8) である. ただし,

µ=

∂xµ =

Ã

∂x0,

∂x1,

∂x2,

∂x3

!

(2.9) であり, (x0, x1, x2, x3) = (t, x, y, z)とする. また,

µ=gµνν (2.10)

とする(二重添字については和をとる). gµνは対角行列で, g00= 1, g11 =g22 =g33 =−1 であるとする.

もしラグランジアンがこの変換で不変ならば,これらの量は,

∂ tN0+∇ ·N = 0 (2.11)

という連続の方程式を満たすことが示される. Noether「電荷」Nを, N

Z

d3xN0(x) (2.12)

で定義すると, 式(2.11)をxで積分して, d

d tN = 0 (2.13)

が結論づけられる. ただし,N(x)に関する表面積分項は十分遠方で消える, という仮定を 置いた.

(11)

さて, 今考えているラグランジアンに戻ろう. このラグランジアンは, 変換(2.4), (2.5) の下で不変である. このとき, 場の変化分は,

δψ(x) = iψ(x), (2.14)

δψ(x) = −iψ(x) (2.15)

であるから,

N0(x) = ∂L

∂ψ(x)˙ (iψ(x)) + ∂L

∂ψ˙(x)

³−iψ(x)´

= −ψ(x)ψ(x), (2.16)

であり, j = 1,2,3に対して,

Nj(x) = ∂L

∂ ∂jψ(x)(iψ(x)) + ∂L

∂ ∂jψ(x)

³−iψ(x)´

= i 2m

nhjψ(x)iψ(x)−ψ(x) [∂jψ(x)]o (2.17)

式(2.16)と式(2.13)を組み合わせて, d

d t

Z

d3xhψ(x)ψ(x)i= 0, (2.18) ということがわかる. これは通常,粒子数の保存と解釈される.

2.2 対称性を破る項の導入

BECは位相変換(2.4), (2.5)に関する対称性の自発的破れとして特徴づけられる. 位相 変換対称性の自発的破れに伴って, 元のボソン場ψ(x)を以下のように古典場と量子場に 分ける.

ψ(x) =eζ(x) +eϕ(x). (2.19) ここで,時間に依存しない実関数ζ(x)は凝縮相をあらわす秩序変数であり,正準形式にお いて場ψ(x)の期待値で定義される. 一方で, ϕ(x)は量子化された際に量子場として振舞 う量子揺らぎである. 位相因子θ は空間依存しないと仮定する1. その場合, 一般性を失う ことなく θ = 0 とすることができるので, 以後θ = 0として議論を進める. また, |ζ(x)|2 は凝縮粒子の数密度である.

1渦ありの系も考える場合はこの位相θが空間依存することになり,秩序変数は本質的に複素関数となる.

5章を参照のこと.

(12)

秩序変数ζ(x)は, Gross–Pitaevskii方程式[29](以下GP方程式と略記):

hK+V −µ+2(x)iζ(x) = 0. (2.20) に従うことが知られている. ζ(x)は観測量である凝縮原子の分布nc(x)と,

nc(x) = |ζ(x)|2 (2.21)

の関係にあり, 凝縮原子の数Ncは, Nc =

Z

d3x nc(x) =

Z

d3x|ζ(x)|2 (2.22) で与えられる. このGP方程式の解ζ(x)は様々な実験の凝縮原子密度分布をよく記述す ることが知られている[30].

さて, 普通は, 作用 (2.1) が捕捉BEC系の量子化の出発点となる. しかし, 対称性が

自発的に破れた系では, 作用 (2.1) に陽に対称性を破る次の項を加える[18]. この項は,

Bogoliubovの導入した準平均項[31]と同じ役割を持つが,このような項の導入はイジング

モデルでも行われることである.

∆S[ψ, ψ] = ε¯²

Z

d t d3xhe−iθζ(x)ψ(x) +eζ(x)ψ(x)i. (2.23) ここで, ¯²は系の典型的なエネルギースケールであり,捕捉ポテンシャルの振動数で与えら れる. 微小パラメータ εは計算の最後で0にする極限をとる. この項は赤外発散の正則化 項にもなっている[18]. 秩序変数 ζ(x) は理論が自己無撞着になるように決定されるもの とする. 詳しくは第3.1節で議論する.

結局, 考える作用は,

Sε = S+ ∆S

= S0+S1+S2+S3,4 (2.24)

となる. ただし, S0 =

Z

dt d3x

·

ζ(T −K−V +µ)ζ+ 2ε¯²ζ2 g 2ζ4)

¸

, (2.25)

S1 =

Z

dt d3xhζ(T −K −V +µ−gζ2+ε¯²)ϕ (2.26) +ϕ(T −K −V +µ−gζ2+ε¯²)ζi,

S2 =

Z

dt d3x

"

ϕ(T −K−V +µ)ϕ−gζ2

2 (4ϕϕ+ϕ2 +ϕ†2)

#

, (2.27) S3,4 =

Z

dt d3x

·

−gζ(ϕϕϕ+ϕϕϕ)− g

2ϕϕϕϕ

¸

, (2.28)

である.

(13)

2.3 ハミルトニアン

準粒子描像を得るために正準形式に移行しよう. 摂動論を展開する際には, 式(2.27)の 部分を非摂動部分, 式(2.28)の部分を摂動部分とする. まず作用(2.24)より, 量子場ϕ(x)ˆ の正準運動量をπ(x)ˆ とすると,

ˆ

π(x) = ˆ(x) (2.29)

である. ただしˆは演算子であることを意味する.

量子化条件は

[ ˆϕ(x, t), π(xˆ 0, t)] = iδ(x−x0) (2.30) [ˆπ(x, t), π(xˆ 0, t)] = [ ˆϕ(x, t),ϕ(xˆ 0, t)] = 0 (2.31) である.

以上より, ˆϕϕˆの同時刻正準交換関係(Canonical Commutation Relations, 以下CCR と略記)は,

hϕ(x, t),ˆ ϕˆ(x0, t)i = δ(x−x0), (2.32) [ ˆϕ(x, t),ϕ(xˆ 0, t)] = hϕˆ(x, t),ϕˆ(x0, t)i= 0 (2.33) となる.

ハミルトニアンは,

Hˆ = ˆH0+ ˆHI, (2.34)

となる. ここで, 非摂動部分Hˆ0と摂動部分HˆIは, Hˆ0 =

Z

d3xhϕˆ(K+V −µ) ˆϕ+2

2 (4 ˆϕϕˆ+ ˆϕ2+ ˆϕ†2)i, (2.35) HˆI =

Z

d3xhζ(K+V −µ+2−ε¯²) ˆϕ+ ˆϕ(K +V −µ+2−ε¯²)ζ +( ˆϕϕˆϕˆ+ ˆϕϕˆϕ) +ˆ g

2ϕˆϕˆϕˆϕˆi. (2.36) である. また, ˆϕに依存しない定数項を落とした.

(14)
(15)

第 3

2 つの場の理論的方法の関係性

この章では, 2つの場の理論的方法の等価性の証明を行う. その際に, 現れる固有値(GB の方法ならば準粒子エネルギーEG,n, BdGの方法ならばBdG方程式の固有値EB,n)がす べて実数であることを仮定する. なお, これらの値が複素数値になる場合があり, 非常に 興味深い問題であるが, これは第5章で扱う.

序論で述べたように, BEC系においてゼロモードを考慮した場の理論的解析法には, LewenstinとYou[16] やMatsumotoとSakamoto[17] によるBdGの方法と, Okumuraと

Yamanaka[18]によるGBの方法の2つがある. この2つの方法の関係性を明らかにするの

が本章の目的である. まず3.1節ではGBの方法について述べる. そこでは一般化された

Bogoliubov変換という手続きでハミルトニアンが対角化され, ゼロモードに対応する演算

子は準粒子演算子である. 次に, 3.2節では, BdGの方法について述べる. ここではBdG 方程式と呼ばれる固有値方程式の解で量子場を展開することで, ハミルトニアンが対角化 される. この場合, ゼロモードに対応する演算子は量子座標と呼ばれるものである. そし て3.3節で両者の関係性を調べる. それにはまず励起モードに関する同等性を示す. そう しておいて, 次にゼロモード固有空間での両者の方法の対応を見る. 具体的には, 両者の 方法を結びつける変換を構成する. 3.4節では得られた結果をまとめ, 状態の議論を行う.

3.5節ではBdGの方法におけるプロパゲーターの具体形を与えた. これは量子補正および 熱補正を議論する際に重要なものになる.

3.1 Generalized Bogoliubov の方法

この節では, GB の方法[18, 32, 33, 34]を述べる.

まず, 凝縮相の満たす方程式であるが, ツリーレベルでは, Heisenberg場ψˆH(x)を場の 期待値ζ(x)と準粒子場ϕ(x)ˆ に

ψ(x) =ˆ ζ(x) + ˆϕ(x) (3.1)

(16)

と分けたときの, c数関数ζ(x)の満たすべき方程式は, 作用:

S =

Z

dt d3x

·

ψ(T −K−V +µ)ψ− g

2ψψψψ

¸

(3.2) に対して,

δS δϕ

¯¯

¯¯

¯ϕ=0

= 0 (3.3)

という条件から,

hK+V −µ+2(x)−ε¯²iζ(x) = 0 (3.4)

のように得られる. ただし,規格化条件は, Ncを凝縮粒子数として, Nc =

Z

d3x ζ2(x) (3.5)

とする.

ここで,方程式(3.4)を導くことについて,文献[35]にしたがってもう少し詳しく議論し

ておこう. この方程式は, 条件(3.3)つまりツリーレベルにおける作用の停留条件, ないし は「ゆらぎの1次に比例する項をゼロにする」という条件から決定される. この条件につ いて詳しく考察すると, 次のようになる[35].

ハミルトニアン(2.34)に対し, ツリーレベルにおいて, ボソン場を相互作用描像で, 式

(3.1)のように分けたとしよう. そして具体的な演算子, 状態には触れずに,

hΩ|ψˆH(x)|Ωi = ζ(x), (3.6)

hΩ|ϕ(x)|Ωiˆ = 0, (3.7)

という条件を考える. これはツリーレベルにおいてHeisenberg場ψˆH(x)を秩序変数ζ(x) と準粒子場ϕ(x)ˆ に自己無撞着に分割する条件である. また, |Ωiは相互作用描像の基底状 態である. この条件をさらに詳細に見るために, 形式的に摂動展開してみる. ここで形式 的とは, 状態の具体形などには触れない, という意味である. すると,

à hΩ|ϕ(x)|Ωiˆ hΩ|ϕˆ(x)|Ωi

!

=

Z

d4x0

à hΩ0|Tϕ(x) ˆˆ ϕ(x0)|Ω0i hΩ0|Tϕ(x) ˆˆ ϕ(x0)|Ω0i hΩ0|Tϕˆ(x) ˆϕ(x0)|Ω0i hΩ0|Tϕˆ(x) ˆϕ(x0)|Ω0i

!

×

à P(x0) P(x0)

!

= 0 (3.8)

となる. ただし, T は時間順序積を意味し,

P(x) =hK+V −µ+2(x)−ε¯²iζ(x) (3.9)

(17)

である. ツリーレベルにおける真空を仮に|Ω0iと書いている. 任意のxについて式(3.8) が成立するためには, ζ(x)は式(3.4)の解である必要がある. こうして, 条件式(3.3)ない

しは(3.4)は, ツリーレベルで凝縮相が自己無撞着に決定されることを保証する条件であ

ることがわかった.

この方程式(3.4)は, ε→0の極限で,

hK+V −µ+2(x)iζ(x) = 0. (3.10) となり, これはGP方程式[29]と呼ばれることは第2章でも述べた.

さて, 話を元に戻そう. 式(3.4)のζ(x)を以下のように書き換える:

ζ(x) =

q

Ncfε(x). (3.11)

すると, fεは,

hK+V −µ+gNcfε2(x)ifε(x) = 0 (3.12) を満たし,

Z

d3xfε2(x) = 1 (3.13)

のように規格化される. ここでfεの添え字εはこの量がεに依存していることを意味す る. このことが, 本章の後半で重要になってくる.

さて, GBの方法では, 場の演算子ϕ(x) , ˆˆ ϕ(x) が, 以下のように展開しよう.

ˆ

ϕ(x) =

X

n=0

ˆ

an(t)wn(ε)(x) (3.14)

ˆ

ϕ(x) =

X

n=0

ˆ

an(t)wn(ε)(x) (3.15) ここで, 関数系{w(ε)n (x)} の正規直交条件:

Z

d3xwn(ε)(x)wm(ε)(x) = δnm (3.16)

X

n=0

wn(ε)(x)wn(ε)(x0) = δ(x−x0), (3.17) は次の固有関数方程式から決定される.

(L − M)wn(ε)(x) = (²n+ε¯²)wn(ε)(x). (3.18) 以下の便宜のため, 次の記法を用いることにする.

L = K+V −µ+ 2gNcfε2(x) (3.19)

M = gNcfε2(x). (3.20)

(18)

{w(ε)n (x)} の添字(ε) は,それらが ε に依存していることを示している. {w(ε)n (x)} をε で 展開したとき, 次のように表すことにする.

w(ε)n (x) = wn(0)(x) +εw(1)n (x) +· · · . (3.21) よって, ε→ 0の極限で, 関数{w(ε)n (x)} は{w(0)n (x)} となる. 後者は, 以下の固有関数方 程式:

(L − M)wn(0)(x) = ²nw(0)n (x) (3.22) の解として特徴づけられる1. 固有関数方程式 (3.18) のうち n = 0 の式は(ε-だけ変形さ れた) GP 方程式(3.4) と同じ形をしており, w0(ε)(x)は (3.11) で定義されたfε(x)そのも のである. 以下, {w(ε)n (x)} における記号(ε) は特に断らない限り省略する.

作用素ˆan(t) およびˆan(t) に対しては次のCCRが要請される.

hˆan(t),ˆam(t)i = δnm, (3.23) [ˆan(t),ˆam(t)] = hˆan(t),ˆam(t)i= 0. (3.24) これらの方程式を完全性条件 (3.17) と組み合わせることにより, CCR (2.32), (2.33)が成 立していることが確かめられる.

一方で, Bogoliubov近似の方法では, SSBとは別の機構によって凝縮相に対応するc数場 を理論に導入する[30]. この機構ではϕ(x)ˆ の展開にˆa0w0(x)の項がないのでCCR(2.32),

(2.33)は成立しない, という問題点がある. 具体的には,

[ ˆϕ(x, t),ϕˆ(x0, t)] = δ(x−x0)−w0(x)w0(x0), (3.25) となる2.

さて, 式 (3.15) を式 (2.35) に代入することで, ハミルトニアン Hˆ0 は ˆa を用いて次の ように書き換えられる.

Hˆ0 =

X

n=0

n+ε¯²)ˆanˆan+

X

n,m=0

hanUnmˆam+ ˆanUnmˆam+ ˆanUnmˆami

(3.26) ここで,

Unm = gNc 2

Z

d3xfε2(x)wn(x)wm(x). (3.27)

1正確にはここでのL,MはそれぞれL(0),M(0)と書かれるべきものである. ただし,L(0),M(0)はそれ ぞれ,(3.19), (3.20)においてε0としたものである.

2Bogoliubov近似の方法に関しては付録Aにまとめた.

(19)

である. このハミルトニアンはGBの方法により以下のようなBogoliubov変換:

ˆbn =

X

m=0

³Cnmˆam+Snmˆam´ (3.28)

ˆbn =

X

m=0

³Cnmˆam+Snmˆam

´ , (3.29)

をすることで対角化することができる.

Hˆ0 =

X

n=0

hEG,nˆbnˆbn+ (c-数)i . (3.30)

ここで変換係数 C およびS は次のように行列形式で表される.

C = 1 2

µ

EG1212 +EG1212

(3.31) S = 1

2

µ

EG1212 −EG1212

, (3.32)

ただし,

(EG)nm = EG,nδnm (3.33)

(²)nm = (²n+ε¯²)δnm, (3.34)

であり,直交行列Oは実対称行列W を対角化するものであり,対応する固有値はEG,n2 (n = 0,1,2,· · ·) であるとしている:

OWOT =EG2 , (3.35)

ここでWの具体形は, W =

à 4(ε¯²)U00+O(ε2)

ε¯²u0T+O(ε32)

√ε¯² u0+O(ε32) W0 +O(ε)

!

, (3.36)

であり,

u0 =

4

²1U10 4

²2U20 ...

(3.37)

Wnm0 = ²2nδnm+ 4

²nUnm

²m (3.38)

(n, m= 1,2,· · ·). である.

ここで行列に対して記法 A および A0を導入することにする: A0 と書いたときには行 列成分Anm についてその引数は n, m= 1,2,· · ·であることとし, 一方でA と書いたとき

(20)

には n, m= 0,1,2,· · ·であることとする. また,行列要素の ε依存性の主要項を考えると きには,{w(ε)n (x)} のかわりに{w(0)n (x)}を用いてもよく3, 以後Unm,u0,W0にはε依存性 はないものとして議論を進める.

式 (3.31), (3.32) より行列 C およびS は以下の性質を満たすことがわかる.

X

m=0

(CnmCn0m−SnmSn0m) = δnn0 (3.39)

X

m=0

(CnmSn0m−SnmCn0m) = 0. (3.40) 上記の諸量は微小パラメータ ε に関して展開できる. まず第0番目の固有値に関しては,

EG,0 = ε¯²√

E¯0+O(ε32) (3.41)

E¯0 4U00−u0TW0−1u0, (3.42) となり, これは0に収束する. しかし ε は計算の最後で ε 0 とするので, そのことに よって計算の途中で変換行列に発散は出ず Hˆ0 は対角化できるのである.

行列O は以下のように表される.

O =

à 1 12(ε¯²)u0TW0−2u0+O(ε2) −√

ε¯² u0TW0−1O0T+O(ε32)

√ε¯²O0W0−1u0+O(ε32) O0+O(ε)

!

, (3.43) ここで行列 O0 は 行列 W0 を対角化する直交行列である.

O0W0O0T =EG02, (3.44)

また, 行列S, Cに関して, n = 0の成分を含んだものをε展開の形で書くと, 次のように なる.

C00 = 1

2( ¯E0)14(ε¯²)14 +1

2( ¯E0)14(ε¯²)14 1

4( ¯E0)14Tu0W0−2u0(ε¯²)34 +O(ε54) (3.45) S00 = 1

2( ¯E0)14(ε¯²)14 1

2( ¯E0)14(ε¯²)14 1

4( ¯E0)14Tu0W0−2u0(ε¯²)34 +O(ε54) (3.46) C0n = 1

2( ¯E0)14

²n(Tu0W0−1)n(ε¯²)14 1

2( ¯E0)14n)12(Tu0W0−1)n(ε¯²)34

+O(ε54) (3.47) S0n = 1

2( ¯E0)14

²n(Tu0W0−1)n(ε¯²)14 1

2( ¯E0)14n)12(Tu0W0−1)n(ε¯²)34

+O(ε54) (3.48) Cn0 = Sn0 = 1

2

q

En(O0W0−1u0)n+O(ε) (3.49)

E0 = ε¯²

qE¯0+O(ε32). (3.50)

3(3.36)–(3.38)を参照のこと.

(21)

次にEG02 については,

³EG02´

nm =EG,n2 δnm+O(ε12) (n, m= 1,2,· · ·) (3.51) である. このように ˆan (n = 1,2,· · ·) 間の混合にε からの発散は現れない. 発散が現れる のは ˆa0 と ˆan の間の混合においてのみである.

こうしてGBの方法において場の演算子はˆb によって以下のように展開される.

ˆ

ϕ(x) =

X

n=0

bnwCn(x)ˆbnwSn(x)] (3.52) ˆ

ϕ(x) =

X

n=0

bnwCn(x)ˆbnwSn(x)] (3.53) ただし,

wCn(x) =

X

m=0

Cnmwm(x) (3.54)

wSn(x) =

X

m=0

Snmwm(x) (3.55)

である.

3.2 Bogoliubov–de Gennes の方法

次にBdGの方法[36, 37]を取り扱う. 特に, ゼロモードも考慮した形式[16, 17]を概説 する. この節を通じてパラメータ ε はゼロとする. よって, 関係する諸量は全てε = 0と したものである.

この方法では次のBogoliubov–de Gennes方程式(BdG方程式)と呼ばれる固有値方程 式が出発点となる.

Lun(x)− Mvn(x) = EB,nun(x) (3.56) Lvn(x)− Mun(x) = −EB,nvn(x), (3.57) ただしn = 0,1,2,· · ·である. また, 式 (3.19), (3.20) の記号を用いた. 直交条件は次のよ うになる.

Z

d3x [un(x)um(x)−vn(x)vm(x)] = δnm (3.58)

Z

d3x [un(x)vm(x)−vn(x)um(x)] = 0. (3.59) ただし, n, m = 1,2,· · ·であり4, また, 式(3.58)において同一のモードのノルムが1にな るとした.

4n= 0のモードも含めた直交条件は式(3.70), (3.71), (3.72)に示した.

(22)

直交条件式(3.58)を証明するには,次のようにすればよい. 式(3.56)に左からum(x)を かけてxで積分すると,

Z

d3xum(x)(Lun(x))

Z

d3xum(x)Mvn(x) = EB,n

Z

d3xum(x)un(x). (3.60) 次に,式(3.57)に左からvm(x)をかけてxで積分すると,

Z

d3xvm(x)(Lvn(x))

Z

d3xvm(x)Mun(x) = −EB,n

Z

d3xvm(x)vn(x). (3.61) 式(3.60)と(3.60)を辺々足し合わせることにより,

EB,n

Z

d3x(um(x)un(x)−vm(x)vn(x))

=

Z

d3xum(x)(Lun(x))

Z

d3xum(x)Mvn(x) +

Z

d3xvm(x)(Lvn(x))

Z

d3xvm(x)Mun(x) (3.62) 一方で, BdG方程式(3.56)および(3.57)に関して, 複素共役をとり, 添え字をmにす ると,

Lum(x)− Mvm(x) = EB,num(x) (3.63) Lvm(x)− Mum(x) = −EB,nvm(x), (3.64) となる. ここで本章のはじめにも述べたとおり, 固有値EB,nは全て実数であるという仮定 を置いていることに注意せよ. 式(3.63)に左からun(x)をかけてxで積分したものと,式 (3.64)に左からvn(x)をかけてxで積分したものを足し合わせると,

EB,m

Z

d3x(um(x)un(x)−vm(x)vn(x))

=

Z

d3xun(x)(Lum(x))

Z

d3xum(x)Mvn(x) +

Z

d3xvn(x)(Lvm(x))

Z

d3xvm(x)Mun(x), (3.65) となる. ここで, 適当な境界条件のもとに,

Z

d3xun(x)(Lun(x)) =

Z

d3xun(x)(Lun(x)) (3.66)

Z

d3xvn(x)(Lvn(x)) =

Z

d3xvn(x)(Lvn(x)) (3.67) の成立が言えるので,式(3.62)と(3.65)の右辺は等しいことがわかる. よって,

(EB,n−EB,m)

Z

d3x(um(x)un(x)−vm(x)vn(x)) = 0 (3.68)

(23)

であることがわかり, このことから, 直交条件式(3.58)が言えるのである. 式(3.59)も同 様の手続きで言える.

いくつかの先行研究によって, 式(3.56)および(3.57)のゼロ固有値の解について次の指 摘がある[16, 17, 38]. それは, u0(x) = v0(x) = f(x) (GP 方程式の規格化された解. 式 (2.20) と (3.11)を参照のこと) が固有値EB = 0に属する固有関数であることである. し かしながら,f(x) および{un(x), vn(x)}(n 6= 0)で張られる関数空間は完全系を張らない.

よって完全性のために次式で定義される関数 h(x) を導入する[17]:

(L+M)h(x) = 1

If(x). (3.69)

ここで I は正定数である. 規格化直交条件は式(3.13)と (3.58), (3.59)に加えて, 次式の ようになる.

0 =

Z

d3x [{un(x)−vn(x)}f(x)] (3.70) 0 =

Z

d3x [{un(x) +vn(x)}h(x)] (3.71) 1

2 =

Z

d3xf(x)h(x). (3.72)

ただし, n 6= 0である. 最後の式は I を決定する定義式である. ここで, 式(3.70), (3.71) の証明を与えよう.

まず, 式(3.70)を示すには, 先述のように,E0 = 0として,

u0(x) =v0(x) = f(x) (3.73)

であることに気づけば, 式(3.70)は式(3.58)の特別な場合(m = 0の場合)であることがわ かる.

次に,式(3.71)を示すには,h(x)の定義式(3.69),直交条件式(3.70), およびBdG方程式 (3.56), (3.57)を用いればよい. n6= 0に対して,

0 =

Z

d3x[{un(x)−vn(x)}f(x)]

= I

Z

d3x[{un(x)−vn(x)}(L+M)h(x)]

= I

Z

d3x[(L+M){un(x)−vn(x)}h(x)]

= IEB,n

Z

d3x[{un(x) +vn(x)}h(x)] (3.74) ここで, IEB,n 6= 0より, 式(3.71)がいえるのである.

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