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・Cr ポリアスパラギン酸系温度応答性ゲルの創製

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(1)

岡山大学環境理工学 部研 究報告

第11巻,第1号,pplO3‑106,2006年3月

ポ リアスパ ラギン酸系温度応答性 ゲル の創製

上原広樹● 谷元史明● ] 休r 吉朗● 吉滞秀和

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緒言

近年、温度・pH・光な どの外部刺激に対 して体積や物 性が可逆的に変化す る刺激応答性 ゲルに関す る研究が活 発に行われている。温度応答性ゲルはこれ ら刺激応答性ゲ ルの1つであ り、下限臨界共溶温度

( Lo we rCr i t i c a l S o l u t i o n T e mp er a t u r e

以後

LCS T)

以下では膨潤

、LCS T

以上では収 縮 とい う可逆的体積相転移を示す。この性質を利用 して ド

ラッグデ リバ リーシステムな ど‑の応用が活発 に研究 さ れているO しか しなが らポ リp‑イ ソプロピルアク リルア ミ ド)ゲルな どの既存の温度応答性 ゲルは完全生分解性 を もたないために医薬分野での応用に制限がある。

そこで本研究では生分解性高分子であるポ リアスパ ラ ギン酸誘導体に注 目した。 これまでに本研究室において、

ポ リアスパ ラギン酸誘導体の一つであるポ リコハ ク酸イ ミド(以後

PS I )

の側鎖にイ ソプロピルア ミンを導入 したイ

岡山大学帝境理工学部乗境物質工学科

103

ソプロピルア ミン導入

PSI (

以後

I P A‑ PSI )

を合成 し、温度応 答性 を示す ことを明 らかに した

( Fi g.1 )

。本研究ではこの温 度応答性高分子

I P A‑ PSI

の分子内に残 されたイ ミド環にジ ア ミンを反応 させて架橋することによって、ポ リアスパラ ギン酸系温度応答性 ゲルの調製を 目指 した。このゲルは構 造 中にペプチ ド結合 を持つ ことか ら高い生分解性及び生 体適合性 を有すると考えられ、医薬分野での応用が期待で きる。

本報告では、生分解性 を有す る温度応答性ゲルの調製 と 体積相転移に及ぼすゲルの構造の影響、およびpH・塩濃 度に対する応答性の評価結果を報告す る。

2

実 験 方 法

2 . 11 P A ‑ P S

lの合成 と評価

(2)

104 岡山大学環境理工学部研究報告,ll(1)2006年

psIは リン酸を触媒 とした しアスパ ラギン酸の重縮合 により合成 した。重合終了後生成物をDMFに溶解 し、蒸 留水で再沈殿,洗浄後にろ過により生成物を回収 し、減圧 乾燥 した。得 られたPSIはIH‑NMR(溶媒DMSO‑d6)によ り 構造を確認 し、ゲル浸透 クロマ トグラフィー(GPC)により 分子量を測定 した。GPCは溶離液にDMF、基準物質にポ

リスチ レンを用いた。

得 られたpsIを蒸留DMFに溶解 し、窒素雰囲気下でイ ソプロピルア ミンと任意の時間反応 させた。反応終了後、

アセ トニ トリルに反応溶液を投入 し再沈殿,洗浄後、遠心 分離により回収 し、減圧乾燥 させた。生成 したIFA・PSIは IH‑NMR(溶媒DMSO・d6)により構造を確認 し、側鎖導入率 (Fig.2中m/(m+1)×100)を算出 した。また温度応答性の評 価 として電子冷熱式セル温度 コン トローラーを搭載 した 吸光光度計を用いて、温度 を連続的に変化(昇温‑降温)さ せて水溶液の濁度の変化を測定 した。

2.2 IPA‑PSI系ゲルの調製

高 導 入 率 IPAIPSI(側 釣 導 入 率 :70‑ 80%, 以 後 high‑IPA‑Pst)と架橋点補助物質 としてPSl、または低導入 率IPA‑PST(側鎖導入率 :20%,以後low‑IPA‑PST)を任意の 割合で溶解 したDMF溶液に所定量の‑キサメチ レンジア ミン(以後HMDA)を添加 し室温で充分反応 させた。調製 し たゲルはDMfを除去するため純水中で約1週間洗浄 した。

なお洗浄に用いた純水は所定時間ごとに交換 した。

また、架橋密度はポ リマー内の全イ ミ ド環のモル数に 対する添加 したHMDAのア ミン基のモル数の割合 と定義

した。ゲルの基本調製条件をTablelに示す0

2.3ゲルの温度応答性評価

約5m の厚 さに切断 したゲルを純水中に浸 して4℃

か ら70℃まで段階的に加熱後、再び4℃まで段階的に冷 却 した。各温度で1時間保温 した後、水を含んだゲルの質 量を測定 した。また、ゲル を加熱 ・冷却後に減圧乾燥 し、

乾燥質量を測定 した。これ らの測定値 よ り各温度における ゲルの膨潤度(swellingratio;SR)を以下の(1)か ら算出 した.

W‑

W

(1) 0

ここでWはゲルの膨潤質量【g】、W。はゲルの乾燥質量tg】

を表 している。

また、pHの異なる緩衝液あるいはNaCl水溶液中でも 同様の実験を行 った。

更にpHや塩濃度に対する応答性 を評価す るため、ゲル を浸 した水溶液のpH・塩濃度を段階的に変化 させ、膨潤 度の変化を観察 した。

3

実験結果と考察

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Fig.1 Thermo‑responsivepolym er(IPA‑PSl).

Isopropylamine

L‑Aspar(icacid Poly(succinimidc)

IPA‑PSI ThcTmO‑rCSPOnSivcpolym ergel Fig・2 Syntheticschemeofthcrmo‑responsivepolym ergel

Tab)eI PreparationconditionofIPAIPSIgel.

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3.1lPA‑PSIの合成 と評価

IH‑NMR によ りPSIの合成 を確認 し、GPC測定結果 よ り重量平均分子量Mw‑Ca.30,000であることを確認 した。

また、IPA‑PSIの IH̲NMR スペ ク トル において 1.l‑ l.2ppm、3.8ppm、4.5ppmにイ ソプロピルア ミンの導入に 起因す るピークが現れたことか らIPA‑PSIの合成を確認 し た。4.5ppmのイ ミ ド環の閉環に起因す るピークの積分値

① と5.Oppmのイ ミド環に起因す るピークの積分値②の比 より側鎖導入率を(2)か ら算出 した。m及び 1はFig.2に示 した IPA‑PSIの分子構造 中の各セ グメン ト数 で あ るO

(3)

吉揮 秀和 ら /ポ リアスパ ラギ ン酸系温度応答性 ゲルの創成

substitutiondegreel%,‑エm +I×・00‑面覧 ×100 (2, 合成 した highllPA‑PSIは水 に易溶 でそ の水溶液 は温度 変化に対 して可逆的 に相転移 を示す こ とが確認 され た。こ のhlgh‑lPA‑PSIを主 に ゲル調製 に用 いたO/ow‑TPA‑PSIは 水 に ほ とん ど溶 解 せ ず 温 度 応 答 性 も示 さ な い 。 この /ow‑IpA‑PSIは、架橋 点 を補 う物 質 と して使 用 した。

3.2 岬A‑PSl系ゲルの調 製 と評価

hLgh‑IPA‑PSIのみ を用 いて調製 した ゲル(EntTT1)は洗浄 後強度がかな り小 さく、温度応 答性 評価 は行 えなか った。

この原 因 をイ ミ ド環(架橋 点)の不足 と考 えた。

不足 して い るイ ミ ド環 を補 うた め hLgh‑IPA‑PSlと共に PSIをDMFに溶解 させ 、ゲルの調製 を行 った(Entry2)とこ ろ、架橋点 となるイ ミ ド環 の増加 に よ りゲルの強度 は向上 したが、調製 したゲル は 白濁 し、ほ とん ど水 と馴染 まなか った。これ はPSIの疎水性 が高 く、調製 した ゲル と水 の親 和性 が低 か ったため と考 え られ る。

そ こで架橋点 を補 う物 質 を psIよ り若干親水性 の高い low‑JPA‑PSIに換 えゲル の調製 を行 った(Entry3)。そ の結果 ht'gh‑IPA‑PSf:low‑IPA‑PSI‑ 1.8:1(重量比)、架橋密度37.1% にお いて適度 な強度 と親 水性 を持 つ ゲル を調製す る こ と に成功 した(Fig.3)Oこの調製 条件 を基 準 に して架橋密度が 高いゲル と低 いゲル を調製 した。

それ ぞれ の ゲル の膨 潤度 の温度 依 存性 を調べ た結 果 を Fig.4に示す。 なお 、架橋密度 が高いゲル ほ ど高強度 なゲ ル が得 られた。図 よ り架橋密度 の上昇 に伴 って、同 じ温度 での膨潤度 は低 下す るこ とがわか る。また、架橋密度 が高 くな る と加 熱過程 にお け る収縮 率 は小 さ くな る こ とがわ か る。これ は架橋 点 の増加 に よ り高分子鎖 の運動 が抑制 さ れ るため と考 え られ る。また架橋密度 が27.8%の ゲル では 60℃ 以上の加熱 に よ り膨潤度 が増加 した。これ は架橋密度 が小 さいためゲル 中に残基イ ミ ド環 の割合 が多 く、加 熱 に よ りこのイ ミ ド環 が 開環す る こ とで 高分 子鎖 の親 水性 が 増加 し、大 き く膨 潤 した と考 え られ る。架橋密度 が37.1%

の ゲル で は冷却過 程 で膨 潤度 の復 元 が不 完全 で あ ったが 44.8%の ゲル ではほぼ完全 に復元 した。架橋密度37.1%に お いて、この よ うな ヒステ リシスが あ る原 因 と して、加熱 時 にイ ミ ド環 同士の相互作用 に よる安 定化効果 に よ り、収 縮 した状 態 で ゲル の構 造 が安 定化 して しま ったた め と考 え られ る。そのため、残 基イ ミ ド環 の多いゲル ではその安 定化作用 に よ り相転移 が不可逆 とな り、残基 イ ミ ド環 の少 ないゲル では相転移 が可逆的 に進 行 した と考 え られ る.こ れ はIPA‑PSlが側鎖 導入率の低 い ときに相転移 が不可逆 に な ることと同 じ理 由 とい える。

また 44.8%の ゲル を繰 り返 し加 熱 ・冷却 し相転移 の再 現性 を調べた結果 をFig.5に示す。 これ よ り、架橋密度が 大 きいゲル では、体積相転移 が再現 よ く繰 り返 し起 こるこ

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Fig・3 AppearanceorlPA‑PSIge一.

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Fig.4 EffectofcrossHnkagedensjty on thermo‑induced volumephasetranSition・Closedkey:Heatingprocess,Open key:Coolingprocess.

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Fig.6 EfrectorpH on thermo‑induced volume phase transition.Closedkey:Heatmgprocess,Openkey:Cooling PrOCeSS

105

(4)

1〔)6 岡山大学環境理工学部研究報告,ll(1)2006年

とがわか る。

基準 とした架橋密度 37.1%のゲル を用 いて、pHの異な る緩衝液 中で温度応答性 評価 を行 った結果 をFi8.6に示す。

ただ しpH5.5の溶液はNaCl水溶液 である。 いずれ の場合 も4℃ の時点では純水の場合 よ りも膨潤度 は小 さか った。

また、 この図か ら溶液 のpHが低 いほ ど膨潤度 は小 さく、

加熱による収縮 が大 きくなる傾 向が見 られ た。これ は後 に 示すpHの影響で、水溶液 中に存在す る水素イオンが関連 してい る と考 え られ るopH6.86において加熱 によ り膨潤 が起 こる原因は、イ ミ ド環 の閉環 による もの と考え られ る。

架 橋 密 度 44.8%の ゲ ル の親 水性 を増 加 させ るた め hL'gh‑IPA‑PST:/owlIPA‑PSIの混合比 を3:1としてゲル の 調 製 を行 った。 なお ゲル の 強度 を保 つ た め架 橋 密 度 は 60.0%まで増加 させ た。その結果Fig.7に示す よ うに混合 比 1.8:1のゲル に比べ膨潤度 ・収縮率が大 きく、可逆的 体積相転移 を示すゲルの調製 に成功 した。

このゲル を用いてpH・塩濃度 に対す る応答性 をそれ ぞ れHCl水溶液中、NaCl水溶液 中で観察 した。す る とpH が小 さくなるにつれ ゲルの体積が減少 した(Fig,8)Oこれ は 溶液中に存在す る水素イオ ンが増加す るにつれ 、ゲル分子 内の解離基(カルボキシル基)のプ ロ トン化が進行 し、高分 子鎖間の電荷反発 が抑制 され収縮 が起 こ りや す くな った とため考 え られ る。また塩濃度 の増加 に伴いゲルの体積 は 減少 した(Fig.9)。これ は塩 の添加 に よ りゲル に水和 してい る水分子 が脱水和 され 、ゲルが疎水的にな ることで収縮 が 起 きた と考 えられ る。しか し、可逆性や再現性 の確認 な ど は今後の検討課題 である。

4 結言

zpA‑PSIにジア ミンを反応 させ ることに よるゲルの調製 に成功 した。また側鎖導入率の異 なる2種の1PA‑PSIを用 いることで可逆的 な体積相転移 を示すlPA‑PSI複合ゲルの 調製に成功 したo Lか し、高温時の収縮 率は既往の温度応 答性 ゲル に比べ小 さいため、今後更なる検討が必要であ るQ

hL'g/Z‑IPA‑Pst//OWIJPA‑PSl複合 ゲルの収縮率は架橋密度 、 ht'gJトIPA‑PST:/OwIIPAIPSl混合比 に影響 を受 けた。温度以 外の外部環境(pH,イオン強度)の変化 に よって もゲルの体 積 は大 き く変化 した。

参考文献

Ⅹue・Yong Liu et al. (2004): Fabrication of Temperature‑Sensitive Imprinted Polymer Hydrogel,MacT10RI01B)osc1.,4,pp.4121415 吉滞 ら,(2003):熱誘起相転移 を示す新規 な生分解性

水溶性 高分子 の創製,化学 工学会第 68年会要 旨集

Ⅰ107,pp.303

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参照

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