ミャンマーのエネルギー分野に関する調査
2017年5月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
ヤンゴン事務所
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2011年の民政移管以降、ミャンマーは日本企業の進出が活発な国のひとつである。
同国は中国や東南アジア地域、南西アジア地域などの巨大市場の中間地点にあり、
地政学的にも重要な位置を占める。2014年の国勢調査によると、人口は5,148万人
で、将来的に国民所得の向上が予想されており、消費市場としての期待も高い。
一方、アジア・オセアニア進出企業日系企業実態調査(2016年度)によると、進出日
系企業の85.0%が「電力不足・停電」を経営上の課題に掲げており、電力をはじめと
するエネルギー問題の解決は、日本企業のさらなるミャンマーへの進出にとって重要
なポイントといえよう。こうした背景を踏まえ、ミャンマーにおけるエネルギーの現状を
調査したので報告する。
在ミャンマー日系企業における経営上の課題
2 順位 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 1 電力不足・停電 (100.0%) 電力不足・停電原材料・部品の現 地調達の難しさ (100.0%) 従業員の賃金上昇 (68.0%) 品質管理の難しさ原材料・部品の現 地調達の難しさ (100.0%) 電力不足・停電 (85.0%) 2 従業員の賃金上 昇(80.0%) 電力不足・停電 (66.7%) 従業員の賃金上 昇(75.3%) 3 従業員の質 (70.0%) 従業員の賃金上昇 従業員の質 (76.9%) 対外送金に関わる 規制 (62.0%) 従業員の賃金上昇 (68.8%) 原材料・部品の 現地調達の難し さ(70.0%) 4 現地人材の能 力・意識 (65.0%) 通関に時間を要す る(56.0%) 競合相手の台頭 (65.6%) 従業員の質 (65.8%) 5 原材料・部品の 調達の難しさ 物流インフラの 未整備 (60.0%) 現地人材の能力・ 意識 (69.2%) 原材料・部品の現 地調達の難しさ (55.6%) 対外送金に関わる 規制 (56.3%) 人材(中間管理 職)の採用難 (60.3%)経営上の課題
(注)( )内はアンケートに回答した企業のうち、当事項が課題と回答した企業の比率。
ミャンマーに進出した日系企業にとって「電力不足・停電」は大きな経営上の課題。
当面は「電力不足・停電」は抜本的に解決する目処が立っていないことから、今後も経営
上の課題としてあがる見込み。
(出所)アジア・オセアニア進出企業日系企業実態調に基づきジェトロ作成。エネルギー生産・輸入量
0
5
10
15
20
25
30
1973 78 83 88 93 98 03 08 13 水力 バイオマス ガス 石炭 石油 ミャンマーで生産された主要エネルギーは、2014年は2,900万石油換算トン(29Mtoe)。
2014年に生産されたエネルギーの第1位はガスで13Mtoe(全体の44%)、第2位が薪等
を含むバイオマスで11Mtoe(38%)。
2000年以降、ミャンマーでのガス生産量が急増。
(年) (Mtoe) (出所)各種資料を基にジェトロ作成ミャンマーにおけるエネルギー生産量
(注)石油等の輸入量も含む。 43.7% 37.5% 4エネルギー消費量
0
2
4
6
8
10
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16
18
1973 78 83 88 93 98 03 08 13 その他 居住 交通 工業
ミャンマーでのエネルギー消費量は、2014年は1,700万石油換算トン(17Mtoe)。
2014年のエネルギー消費量は第1位は料理・電燈などの居住用で11Mtoe(全体の
63%)、第2位が交通用で2Mtoe(15%)。
(出所)各種資料を基にジェトロ作成 (年) (Mtoe)ミャンマーにおけるエネルギー消費量
63.4% 14.6%天然ガス
天然ガス田およびパイプライン
Shwe Yadana Yetagun Zawtika Yangon Kanbaukタイへ
中国へ
Tharbaung Magwe Pyawbwe Yeni
ミャンマーにはシュエ(Shwe)、ヤダナ
(Yadana)、ゾーティカ(Zwtika)、イェ
タグン(Yetagun)の主要ガス田がある。
シュエで採掘されたガスのうち8割は中国
へ輸出。
イェタグンで採掘された全ての天然ガ
ス、ヤダナとゾーティカで採掘された8割
の天然ガスはタイへ輸出。
天然ガス田・パイプライン図
(出所)各種資料を基にジェトロ作成 天然ガス田 パイプラインタイと中国のミャンマーからの天然ガスの輸入量と輸入額の推移
1.0 10.7 8.9 9.1 0.1 3.1 3.7 2.0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 2000 04 08 12 16 (十億ドル) (百万トン) 輸入量 輸入額 0.2 2.9 0.1 1.6 1.3 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 13 14 15 16 (十億ドル) (百万トン) 輸入量 輸入額 (年) (年) (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 タイ 中国 (注)数値はタイ側の貿易統計による。 (注)数値は中国側の貿易統計による。 2016年のミャンマーからタイの天然ガスの輸入額はおよそ20億ドル、輸入量は913トン。 2016年のミャンマーから中国の天然ガスの輸入額はおよそ13億ドル、輸入量は286万トン。 8タイと中国のミャンマーからの天然ガスの輸入額(単価)の推移
614 464 0 100 200 300 400 500 600 700 13 14 15 16 (年) (年) (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 タイ 中国 (注)数値はタイ側の貿易統計による。 (注)数値は中国側の貿易統計による。
ミャンマーからタイの1トンあたりの天然ガス輸入額は、2012年の432ドルから
2016年は215ドルへ下落。
ミャンマーから中国の1トンあたりの天然ガス輸入額は、2013年の614ドルから
2016年は464ドルへ下落。
105 292 432 215 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 20 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (ドル/トン) (ドル/トン)電力
発電設備容量と発電量の推移
3,413 3,588 3,726 4,146 4,805 5,125 5,125 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 2010 11 12 13 14 15 16 石炭 ディーゼル 水力 ガス 9 10 11 12 14 16 0 4 8 12 16 20 2010 11 12 13 14 15 石炭 ディーゼル 水力 ガス
ミャンマーでは水力による発電が主流。
2016年9月時点の発電設備容量は5,125メガワット(稼働可能設備は全体の50%程度)
2016年の発電量は16ギガワット時で、うち4~5割程度がヤンゴンで消費。
発電設備容量の推移
(MW) (出所)各種資料に基づきジェトロ作成発電量の推移
(GWh) (注)2016年度の内訳は公表されていない。 2016年度は9月時点の数値。 (年度) (年度)他国との電気料金の比較
0.03 0.19 0.05 0.07 0.09 0.05 0.15 0 0.05 0.1 0.15 0.2 ヤ ン ゴ ン カ ン ボ ジ ア ラ オ ス ベ ト ナ ム タ イ マレ ー シ ア シ ン ガ ポ ー ル 12 0.06 0.13 0.09 0.04 0.070.08 0.08 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 ヤ ン ゴ ン カ ン ボ ジ ア ラ オ ス ベ ト ナ ム タ イ マレ ー シ ア シ ン ガ ポ ー ル一般用電気料金
業務用電気料金
(ドル/kWh) (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 (ドル/kWh) (注)最低料金にて比較
2014年4月、ミャンマー政府は電気料金を平均40%値上げしたが、依然として近隣
諸国より低い水準。
2015年度の発電単価は0.07ドル程度とされ、政府による発電事業は赤字。
電化率
0
12.5
25
37.5
50
62.5
75
87.5
100
112.5
2015 20 25 30
ミャンマー政府は2030年までに国内の100%電化率を目指す。
電化率は2006年は16%であったが、11年26%、15年34%と向上している。
ヤンゴン市内の電化率は78%と最も高く、カヤー46%、マンダレー40%、ネピドー
39%と続く。
地方の電化率は20%に満たない。カレンやタニンタリーは10%以下。
8,000,000
7,000,000
6,000,000
5,000,000
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
(年)
(接続数) 100% 75% 50% 34% 30% (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 計画 実績国内電化率の推移
送変電設備
送変電設備は、主に230キロボルト、132キ
ロボルト、66キロボルトで構成。
国内を南から北に向かう500キロボルトの
送変電設備の施設計画あり。
【500キロボルト計画】
①メイッティーラからタウングー:146キロ
(セルビアからの援助)
②タウングーからカーマ―ナット:188キロ
(韓国からの支援)
③カーマーナットからラインタヤ:120キロ
(日本からの支援)
配電設備は33キロボルト、11キロボルト、
6.6キロボルトで構成。
送配電ロスは2003年は30%、2013年は20%
と改善。
Keng Tawng Baluchang Baluchang Shweli Ahlone Thaton Thaphanseik Sedawgyi Zawgyi Yeywa Nancho Shwegyin Tygit kun Phyu Yenwe Zaungtu Kinda Mone (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 66kV変電所 500kV送電線(計画) 230kV送電線 66kV送電線 230kV変電所 132kV送電線 石炭発電所 ガス火力発電所 水力発電所送変電設備図
Hlaingtaryar Taungoo Meiktila 14発電所のリスト(1/3)
発電所名 設備容量(MW) 設備数 運用開始年 稼働設備数 稼働設備容(MW) ティジット 120 2 2005 301.石炭火力発電所
2.ガス火力発電所
発電所名 設備容量 (MW) 設備数 運用開始年 稼働設備 稼働設備容 (MW) チュウンチャウン 54 3 1974 1 12 ミャアウンアウン 35 2 1975 1 12 ユアンマ(CCPP) 70 3(GT)+1(ST) 1980 2(GT) 26 マン 37 2 1980 0 -シュエタウン 55 3 1982 1 12 タトン 51 3 1975 2 26 タケタ(CCPP) 92 3(GT)+1(ST) 1990 2(GT) 24 アロン(CCPP) 154 3(GT)+1(ST) 1995 2(GT)+1(ST) 50 ローガ(CCPP) 154 3(GT)+1(ST) 1996 2(GT) 40 ユアンマ(240) 240 2 2014 1 100(1)政府保有発電所
(出所)各種資料に基づきジェトロ作成 (GT:ガスタービン、ST:スチームタービン)発電所のリスト(2/3)
(2)独立系発電事業者(IPP)
発電所名 設備容量 (MW) 設備数 運用開始年 稼働設備 稼働設備容 (MW) トーヨータイ 121 2(GT)+1(ST) 2013 2(GT)+1(ST) 115 エムシーピー 54 29(GE) 2013 27 48 マックスパワー 50 16(GE) 2013 14 45 ユーピーピー 52 13(GE) 2014 13 48 ミャンマーライティング 230 4(GT)+2(ST) 2014 4(GT), 2(ST) Future 120 カウンバウク 6 6(GE) 2015 6(GE) 5 タケタ CIC 54 1(GE) 2015(3)レンタル
発電所名 設備容量 (MW) 設備数 運用開始年 稼働設備 稼働設備容 (MW) エーピーアール 110.6 75(GE) 2014 71 101 ヴィーパワー 100 32(GE) 2015 31 45 アグレコ 103 92(GE) 2015 87 95 (出所)各種資料に基づきジェトロ作成 (GE:ガスエンジン、GT:ガスタービン、ST:スチームタービン) (GE:ガスエンジン) 16発電所のリスト(3/3)
発電所名
設備容量
(MW)
発電所名
設備容量
(MW)
バルーチャン No.1 28 イェンウェ 790 バルーチャン No.2 168 シュウェジン 75 バルーチャン No.3 52 ダペイン No.1 19 キンダ 56 クン 60 セドジー 25 チュンチィワ 74 ゾージー No.1 18 アッパー パウンラウン 140 ゾージー No.2 12 ナンチョー 40 ザウントゥー 20 ロワー パウンラウン 280 タパンゼイ 30 ピューチャウン 40 モウン 75 チィピィネー 99 イェヌェ 25 タウチーガ II 120 カバウング 30 モンワ 60 シュウェリー No.1 400 シュージー 30 ケンタウ 542.水力発電所
(出所)各種資料に基づきジェトロ作成参考
18 ラカイン州 カチン州 シャン州 サガイン 管区 マンダレー 管区 カヤー州 カレン州 タニンタリー管区 モン州 バゴー 管区 マグウェー 管区 チン州 エヤワディー 管区 ヤンゴン管区ミャンマー地方行政管区・州
参考文献
(文献)[1]日本貿易振興機構 (2016) 「第26回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比 較」日本貿易振興機構.
[2]日本貿易振興機構「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」日本貿易振興機構.
[3]Asia Development Bank (2015) “Power Sector Development in Myanmar,” No.460, Asia Development Bank.
[4]Asia Development Bank (2016) “Energy Assessment, Strategy, and Road Map,” Asia Development Bank.
[5]Ministry of Electricity and Energy(2016) “Current Status and Opportunity in Electric Power Sector,” Ministry of Electricity and Energy.
[6]Ministry of Energy (2013) “Oil and Gas Sector in Myanmar,” Ministry of Energy. [7]World Bank (2015) “Myanmar-Electrification-Plan-Sept-2015,” World Bank.
(統計資料)
[8]グローバルトレードアトラス(Global Trade Information Services社).
[9]Central Statistical Organization (2017) “2016 Myanmar Statistical YearBook,” Ministry of National Planning and Economic Development.
[10]Central Statistical Organization (2017) “Selected Monthly Economic Indicators,” Ministry of Planning and Finance.
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