九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
海洋ロボット用マニピュレータの制御システムに関 する研究
新宅, 英司
九州大学工学研究科造船学専攻
https://doi.org/10.11501/3106918
出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
海 洋 ロ ボ ッ ト 用 マ ニ ピ ユ レ ー タ の 制 御 シ ス テ ム に 関 す る 研 究
平 成 7 年 7 月
新 宅 英 司
目 次
第 1章 緒 論 1
1.1 研 究 の 背 景 ・目 的 ・・・・・・ ・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 1
1 . 2
研 究 の 概 要 .• . • • • • • • • . • • • . • • • • . • • • • • • . • • • . • • • • • ••3
第2章 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 方 式 に よ る 位 置 と 力 の 制 御 5
2 . 1
緒 論 ・・・・・・・・・・・・・・・ • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••5 2 . 2
多 関 節 型 マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 方 程 式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・6 2 . 2 . 1
運 動 万 程 式 ・・・・・・・ ・・・・・ • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••6 2 . 2 . 2
外 力 に よ る モ ー メ ン ト .• • • • • • • . • • • • • • • • • • • • • • • ••7 2 . 3
学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン トロ ー ラ .• • • • • • • • . • • • • • • • ••1 0
2 . 3 . 1
適 応 ニ ュ ー ロ フ ィル タ • . • • • • • • • . • • • • • • • • • • • • • • • .,1 0 2 . 3 . 2
逆 シ ス テ ム を 内 部モデル と す る フ ィー ド バ ッ ク 誤 差 学 習 法 ..1 0 2 . 3 . 3
高 速 学 習 法 .• . • • • • • • • • • • • • • • • . • ・・・・・・・ ・・1 2
2A 位 置 と 力 の ハイ ブ リ ッ ド 制 御 ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・1 3
2
.4. 1
フィー ド バ ッ ク 制 御 方 式 に よ る 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 •1 3
2.4.2 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 方 式 に よ る 位 置 と 力 の ハ イ ブ
リ ッ ド 制 御 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••
1 4 2 . 5
制 御 シ ス テ ム の 安 定 性 解 析 ・・ • • • • • • • . • • • • • • • • • • • • ・・ ・1 5 2 . 6
シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ る 制 御性 能 の 評 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 0 2 . 6 . 1
学 習 方 程 式 の係数 と 学 習 速 度 の 関 係 ・・ • • . • • . • • • • • • • •2 0 2 . 6 . 2
制 御 対 象 の 特 性 変 動 に 対 す る 適 応 性 ・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・2 4 2 . 7
結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・2 6
第 3章 実 験 に よ る 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 シ ス テ ム の 評 価
5 3
3 . 1
緒 論 .• • • • • • • • • • • . • • • . • • • • • ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 3
3 . 2
実 験 装 置 ・・・・・・・・・・・・・・・ • • • • • • • • • • • • ・・・・・・ ・・・・5 4
3 . 2 . 1
マ ニ ピ ュ レ ー タ .• • • • • • • • • • . • • • . • • • • • • • . • • • . • • ••5 4
3 . 2 . 2
力 セ ン サ ・・ ・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・5 4
3 . 2 . 3
実 験 装 置 の シ ス テ ム 構 成 .• • • • • • • • • • • • • • • ・・・ ・・・5 7
3 . 3
実 験 に よ る 制御性 能 の 評 価 .• • • • • . • • . • • • • • • • • • • • • • • • ••5 8
3 . 3 . 1
逆 シ ス テ ム の サ ブ シ ス テ ム に ついて の 検 討 .• • • • • • • • • •.5 8
3 . 3 . 2
学 習 方 程 式 の係 数 と 学 習 速 度 の 関係お よ び 学 習 の 高 速化 ・・・6 0
3 . 3 . 3
位 置 と 力 の ハイ ブ リッド制御 .• • • • • • . • • . • • • • • • • • • ••6 1
3 . 3 . 4
マニ ピ ュ レ ー タ の 使 用 状 況 を 考 慮 、 した 場 合 の 制 御 性 .• • • . •6 3
3.4 結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 5
第 4章 操 作 エ ネ ル ギ ー 最 小 化軌道
9 2
4.1 緒 論 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •9 2
4.2 動 的 最 適 化 問 題 の 定 式 化 ・・・ ・・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・ 93 4.2.1 一般 的 な 動 的 最 適 化 問 題 の 定 式 化 ・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・ ・93 4.2.2 操 作 エ ネ ル ギ ー 最 小 化 軌 道 の 定 式 化 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・・ ・・ ・94 4.3 操 作 エ ネ ノ レ ギ ー 最小 化軌 道 ・・ ・・・ • • • . • • • • • • • • • • • • • ・・・ 95 4.3.1 操 作 エ ネ ル ギー最小 化軌 道 の 効 果 ・・ ・・・・ ・・・ ・・・・ ・・・・・ 95 4.3.2 終 端 時 間 に よ る 影 響 ・・・ ・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ 96 1.3.3 重 力 と 浮 力 の 不 釣 合 い に よ る 影 響 ・・・・・・・・・・・ ・・・・ ・・ 97L1.
3
.4 ベ イ ロ ー ド の 影 響 ・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・ 974
.4 結 論 ・ ・・・・・ • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••9 9
第 5章 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク に よ る 実 用 的 目 標 軌 道 設 定 法 112 5.1 緒 論 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 112 5.2 多 項 式 に よ る 近 似 軌 道 設 定 法 .• • • • • • • • • • • ・ ・・・・・・ ・・ 113
5.2.1 操 作 エ ネ ル ギー最小 化軌 道 の 近 似 多 項 式 .• • ・・・・・・ ・・ 113 5.2.2 ニュー ラ ル ネ ッ トワー ク の 学 習 法 ・・ ・・・・ ・・・ ・・・・・・・・ ・・・ 114 5.3 数 値 計 算 に よ る 軌 道 設 定 法 の 性 能 お よ び 実 用 性 に つ い て の 検 討 ・ ・116
5.3.1 多 項 式 の 近 似 精 度 に つ い て の 検 討 ・ ・・・・・・・ ・・・・ ・・・ ・ • 116 5.3.2 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 構 成 と 学 習 能 力 ・・・・・・・・・・ • 116 5.3.3 未 学 習 デ ー タ に 対 す る 汎 化 能 力 .• • • • • • • • • • • • • • • • • •• 11 5A 結 論 .• . • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 119
第 6章 研 究 の 総 括 謝 辞
参 考 文 献
付 録 1 流 体 抵 抗 お よ び 付 加 質 量 付 録 2 2点 境 界 値 問 題 の 数 値 解 法
132 134 135 137 140
11
第 1章 緒 論
1.1 研 究 の 背 景 ・ 目 的
今 世 紀 に お け る 海 底 油 田 の 発 見 に よ り , 海 洋 で の 資 源 開 発 に 注 目 が 集 ま り 海 洋での技 術 開 発 に 力 が 注 が れ て い る 。こ れ ま で ダ イ バ ー に よ り 海 洋 構 造 物 の 建 設 作 業や 保 守 点 検 作 業 が 行 わ れ て い る が , 海 中 で は 高 水 圧 ・低 温 ・暗 黒 で あ り , 作 業 環 境 は 人 間 に と っ て は 苛 酷 な も の で あ る ロ
こ の よ う な 環 境 の も と で 人 間 に 代 わ り 様 々 の 作 業 を 行 う 目 的 で , 海 洋 ロ ボ ッ ト の 研 究 開 発 が 盛 ん に 行 わ れ て い る 。 ロ ボ ッ ト 本 体 つ ま り ビ ー ク ル の 運 動 や 制 御 に つ い て は 多 く の 研 究 が な さ れ て い る の に 対 し , 本 体 に 搭 載 さ れ る マ ニ ピ ユ レ ー タ に つ い て の 研 究 は あ ま り 行 わ れ て い な い。本 研 究 は 海 洋 ロ ボ ッ ト 用 マ ニ ヒ。ュ レ ー タ の 制 御 に お い て , 海 洋 ロ ボ ッ 卜 の 使 用 環 境 を 考 慮 、 し た 制 御 シ ス テ ム に つ い て 検 討 し た も の で あ る 。
マ ニ ピ ュ レ ー タ の 制 御 を 運 動 制 御 の 観 点 か ら 捉 え る と , 与 え ら れ た 軌 道 等 の 目 標 に 対 し て い か に 正 確 に 追 従 さ せ る か と い う 追 従 制 御 と , ど の よ う な 軌 道 に 対 し て マ ニ ピ ュ レ ー タ を 追 従 さ せ る か と い う 軌 道 設 定 と に 分 け ら れ る 。こ の と き 海 洋 ロ ボ ッ ト の 作 業 環 境 を 考 慮 す る と , そ れ ぞ れ 次 の よ う な 問 題 点 が 挙 げ ら れ る 。
追 従 制 御
(1)動 特 性 の 非 線 形 性 お よ び 環 境 の 変 化 や 経 年 変 化 な ど に よ る 動 特 性 変 化 に 対 す る 追 従 制 御 の 適 応 性
直 鎖 状 に 腕 を 連 結 し た 多 関 節 型 の マ ニ ピ ュ レ ー タ は 機 構 が 簡 単 で あ り , 回 り 込 み 作 業 な ど 自 由 な3次 元 運 動 が 可 能 で あ る た め一般 に 広 く 使 用 さ れ て い る も の の , 機 構 的 に リ ン ク 間 の 干 渉 が 存 在 す る た め , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 手 先 位 置・姿 勢 の 変 化 に 対 し て 動 特 性 に 強 い 非 線 形 性 が あ る 。こ の た め 通 常 の 線 形 制 御 理 論 で は 多 関 節 型 マ ニ ヒ。ユ レ ー タ の 制 御 は 困 難 で あ り,こ れ ま で 非 線 形 影 響 の 補 償 方 式 や 適 応 制 御 方 式 な ど 様 々 な 方 法 が 試 み ら れ て い る が , そ れ ぞ れ に 一 長 一 短 が あ り 決 定 的 な も の が 無 い の が 現 状 で あ る 。
ま た 通 常 の 環 境 で 使 用 さ れ る ロ ボ ッ ト よ り も 苛 酷 な 環 境 で 作 業 を 行 う た め , 環 境 の 変 化 や 経 年 変 化 に よ る マ ニ ピ ユ レ ー タ の 動 特 性 変 化 は 大 き い も の と 考 え
ら れ る た め , 動 特 性 の 変 化 に 対 す る 適 応 性 も 要 求 さ れ る 。
1
(2)手 先 位置 と 作 業対 象 に 加 え る 力 の 制 御
海 洋 構造物 を 清掃 す る 作業な ど , 作 業 対 象 に 接 触 す る 高 度 な 作 業 に お い て は 手先位置 を 制御 する だけ で な く , 例 え ば 工 具 を 作 業 対 象 に 一定 の 力 で 押 し つ け るといっ た 手 先位置と 作業対 象 に 加 え る 力 の 総 合 的 な 制 御 が 必 要 と な る 。ま た 海洋ロボッ トは,一般の 産 業用 ロボットのよ うに空間 に 固 定 さ れ て お らず不安 定 な状態 で作 業 を 行 う。 こ の た め マ ニ ピ ュ レ ー タ が 大 き な 力 を 発 生す る とそ の 作用 で ロ ボ ッ ト 本 体 が 動 揺 し , マ ニ ピ ュ レ ー タ に よ る 作 業 が 困 難 に な る 。そ こ で マニ ピ ュ レ ー タ に 必 要 以 上 の 力 を 発 生 さ せ な い よ う な 力 の 制 御 が 必 要 と な る 。 エ ネ ル ギ 一 消 費 最 小 軌 道 設 定
現 在 の 海 洋 開 発 に お い て は コ ス ト の か か ら な い 有 索 型 の
ROV(RemotelyO p e r a t e d V e h k l e )
が主流 で あ る 口し か し , こ れ ら の 多 く は ケ ー ブ ル を 通 じ て 母 船 か ら指 令 お よ び エ ネ ル ギ ー 供 給 を 受 け て 作 業 す る た め に(i)潮 流 な ど の 影 響 を 受 け て 海 洋 ロ ボ ッ ト が 流 さ れ る 。 (ii)ロボッ ト の 行 動 範 囲 が 制 限 さ れ る口
(iii)支 援 船 の 設 備 が 大 き く な る 。
な ど の 影 響 が あ る 。こ の た め 近 年 無 索 型 で あ り 自 律 し て 行 動 す る 海 洋 ロ ボ ッ ト に つ い て 盛 ん に 研 究 お よ び 開 発 が お こ な わ れ て い る 。し か し 小 型 で 長 時 間 使 用 で き る 動 力 源 は い ま だ に 実 用 化 さ れ て お らず , 海 洋 ロ ボ ッ ト が 使 用 で き る エ ネ ル ギ ー量に は 制 限 が あ る 。そ れ ゆ え 動 力 の 有 効 利 用 は 海 洋 ロ ボ ッ ト の 実 用 化 に お い て 重 要 な 問 題 で あ る 。海 洋 ロ ボ ッ ト に 搭 載 さ れ る マ ニ ピ ュ レ ー タ に お い て も 消 費 エ ネ ル ギ ー の 少 な い 制 御 を 行 う こ と は 重 要 で あ り , さ ら に エ ネ ル ギ ー 消 費 を 抑 え る こ と に よ り ア ク チ ュ エ ー タ や 動 力 源 を 小 型 化・軽 量 化 で き る と い っ た 効 果 が 期 待 さ れ る 口
以 上 の こ と か ら , 本 研 究 で は 追 従 制 御 に お い て マ ニ ピ ュ レ ー タ の 動 特 性 の 非 線 形 性 お よ び 特 性 変 動 に 対 し て 適 応 性 を 有 す る 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 方 式 の 制 御 シ ス テ ム を 構 築 し , 手 先 位 置 と 力 の 制 御 に 拡 張 し た。ま た , 軌 道 設 定 に つい て は , 操 作 に 要 す る エ ネ ル ギ ー を 評 価 基 準 と し た 軌 道 設 定 法 に つ い て 検 討
を 行 い , 実 時 間 で 軌 道 を 設 定 す る 軌 道 設 定 法 に つ い て 研 究 を 行 っ た。
こ の よ う に 追 従 制 御 と 軌 道 設 定 を 取 り 扱 う こ と に よ り , シ ス テ ム と し て 一貫 性 の あ る 総 合 的 な マ ニ ピ ュ レ ー タ の 制 御 シ ス テ ム の 構 築 を 試 み た口
2
1.2 研 究 の 概 要
本 論 文 は6章 か ら 構 成 さ れ て お り , 第1章 は 本 研 究 の 背 景 や 研 究 の 目 的 お よ び 研 究 の 概 要 に つ い て 述 べ て い る D
第2章 で は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 制 御 に お い て , 与 え ら れ た 制 御 目 標 に 対 し て 高 精 度 の 制 御 を 実 現 す る た め の 制 御 シ ス テ ム に つ い て 研 究 す る 。 基 本 的 な 制 御 方 式 に は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 位 置 制 御 に お い て 川 人 に よ り 提 案 さ れ て い る 学 習 型 制 御 方 式 を 用 い る 。こ の 制 御 方 式 は 神 経 回 路 ( ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク ) を 応 用
し た も の で , 学 習 機 能 を 持 ち , 環 境 へ の 適 応 性 を 有 す る 口
本 研 究 で は , マ ニ ヒ。ユ レ ー タ の 位 置 制 御 に 使 用 さ れ た 制 御 法 を 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 に 応 用 す る こ と に よ り , 学 習 型 フ ィー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ を 位 置 と 力 の 両 方 を 制 御 す る シ ス テ ム に 拡 張 し , さ ら に コ ン ト ロ ー ラ の 学 習 に お い て , 結 合 荷 重 の 学 習 方 程 式 に 比 例 的 な 修 正 動 作 を 付 加 す る こ と に よ り 学 習 速 度 を 速 め る こ と を 試 み た。ま た , 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ を 使 用 し た 制 御 シ ス テ ム の 安 定 性 に つ い て 解 析 を 行 っ た。
第 3章 で は , 垂 直 多 関 節 型 2自 由 度 マ ニ ピ ュ レ ー タ を 製 作 し て 実 験 を 行 い , 学 習型フィードフォワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ の 制 御 性 能 に つ い て 検 討 し た。第 2章 で 計 算 機 に よ る 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ の 制 御 性 能 に つ い て 検 討 を 行 っ た 口 し か し ,実 際 の マ ニ ピ ュ レ ー タ は 摩 擦 な ど の 未 知 の 特 性 を 有 す る た め , さ ら に 実 験 に よ り 制 御 シ ス テ ム の 構 成 に つ い て 検 討
を 行 い , 本 制 御 法 の 有 効 性 を 確 認 し た。
第4章 で は , 制 御 シ ス テ ム に 与 え る 制 御 目 標 軌 道 の 設 定 法 に つ い て 研 究 を 行 っ た。海 洋 ロ ボ ッ 卜 の 動 作 環 境 を 考 慮 、 し て , 操 作 エ ネ ル ギ ー 最小制 御 を 行 う こ と を 目 的 と し , 操 作 エ ネ ル ギ ー 量 を 評 価 基 準 と す る 目 標 軌 道 設 定 法 に つ い て 研 究 した。
操 作 エ ネ ル ギ ー 最 小 化 軌 道 を 求 め る 問 題 を 動 的 最 適 化 問 題 と し て 定 式 化 し , 広 義 ニ ュ ー ト ン 法 を 使 用 し て 数 値 的 に 解 く こ と に よ り , エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 削 減 効 果 や 操 作 エ ネ ル ギ ー 最小化 軌 道 の 特 徴 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。
第5章 で は , 広 義 ニ ュ ー ト ン 法 を 用 い て あ ら か じ め 各 種 の 場 合 に つ い て 操 作 エ ネ ル ギ ー 最 小 化 軌 道 を 求 め た 結 果 を 使 用 し て 近 似 的 に 操 作 エ ネ ル ギ ー 最 小 化 軌 道 を 生 成 し , 実 時 間 の 制 御 に 使 用 で き る よ う な 軌 道 設 定 法 を 研 究 し た。
軌 道 の 始 点 ・終 点 と 軌 道 の 特 徴 的 な 中 間 点(頂 点)と の 写 像 関 係 を , 予 め2点 境 界 値 問 題 の 解 と し て 求 め ら れ た 軌 道(教 師 デ ー タ)を 学 習 す る こ と に よ っ て 多 層
3
ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク 上 に 構 築 す る 。
本 章 で は ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 使 用 し た 軌 道 設 定 法 の 近 似 精 度 と 未 学 習 デ ー タ に 対 す る 汎 化 能 力 に つ い て 検 討 し , さ ら に 教 師 デ ー タ 数 に 対 す る 学 習 回 数 の 関 係 を 明 ら か に す る こ と に よ り 本 軌 道 設 定 法 で 使 用 す る 不 ツ ト ワ ー ク の 構 成 に つ い て 検 討 し た 口
第6章 で は , 研 究 の 総 括 を 行 う 。
4
第2章 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 方 式 に よ る 位 置 と 力 の 制 御
2.1 緒 論
本 章 で は , 最 初 に 水 中 で 動 作 す る マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 を モ デ ル 化 し て 運 動 方 程 式 を 求 め る 。次 に 川 人
[ 6 ]
が 提 案 し て い る 適 応 ニ ュ ー ロ フ ィ ル タ に よ る フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 シ ス テ ム の 学 習 法 で あ る フ ィ ー ド パ ッ ク 誤 差 学 習 法 に お い て , 従 来 の 学 習 法 に 比 例 要 素 を 付 加 す る こ と に よ り 学 習 の 高 速 化 を 試 み る 。また,そ の 場 合 の 制 御 系 の 安 定 性 に つ い て , 便 宜 的 に 非 線 形 な 制 御 系 を 線 形 化 し て 解 析 を 行 う。そ し て 数 式 モ デ ル を 用 い た シ ミ ュ レ ーシ ョ ン に よ り , 制 御 シ ス テ ム の 学 習 に 関 す る パ ラ メ ー タ の 設 定 範 囲 と 学 習 性 能 お よ び 制 御 性 能 に つ い て 検 討 を行う。
続 い て 学 習 型 フ ィー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ を 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 系 に 応 用 し て , 手 先 位 置 と 作 業 対 象 に 作 用 す る 力 の 制 御 に つ い て 研 究 す る 。ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 に お い て も , 数 式 モ デ ル を 用 い た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 制 御 シ ス テ ム の 学 習 に 関 す る パ ラ メ ー タ の 設 定 範 囲 と 学 習 性 能 お よ び 制 御 性 能 に つ い て 検 討 を 行 う。
最 後 に 制 御 対 象 の 非 線 形 性 や 特 性 変 動 に 対 す る 適 応 性 な ど に つ い て 検 討 を 行う。
5
2.2 多 関 節 型 マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 方 程 式 2.2.1 運 動 方 程 式
本 節 で は 制 御 系 の 構 成 や 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 制 御 系 の 評 価 を 行 う う え で 必 要 と な る マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 の 数 式 モ デ ル 化 を 行 う。最 近 の 海 洋 ロ ボ ッ
ト の 研 究 開 発 例 と し て , 通 商 産 業 省 工 業 技 術 院 の 「 極 限 作 業 ロ ボ ッ 卜 Jプ ロ ジ ェ ク ト の 中 に 「 海 底 石 油 生 産 施 設 支 援 ロ ボ ッ ト J
[ 1 ]
が あ る 。本 研 究 で は こ れ を 参 考 に し て 簡 略 化 し たFig.2.1に 示 す よ う な2自 由 度 の 垂 直 多 関 節 型 の マ ニ ピ ュ レ ー タ を 研 究 対 象 と す る 。マ ニ ピ ュ レ ー タ 先 端 に は 力 セ ン サ ー を 装 備 し , 作 業 対 象 に 加 え る 力 を 検 出 す る 。マ ニ ピ ュ レ ー タ の 主 要 目 を Table2.1に 示 す。マ ニ ピ ュ レ ー タ の 基 部 は 空 間 固 定 座 標 系 に 固 定 さ れ て い る も の と し , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 関 節 の 摩 擦 は 省 略 す る 。以 上 の 仮 定 に よ り , マ ニ ヒ。ュ レ ー タ の 運 動 方 程 式 は 次 の よ う に 与 え ら れ る[ 9 ] 0
ただし,
()i
Nhi hijj 9
た だ し ,
1n.i 9
ア1
=
M 11B
1 + M 12B
2 + h122e~ + 2h112 e1e2 +.91 + Ne11
乃 二 M21e1 + M22e2十九2110i+92+fVe2 │
: 関 節 角 度 Ti 関 節 駆 動 ト ル ク
‑ 有 効 慣 性 モ ー メ ン ト M'iJ : 相 互 慣 性 モ ー メ ン ト
‑ 遠 心 加 速 度 係 数 h'ijk (jヂ
k )
コ リ オ リ 加 速 度 係 数 : 重 力 に よ る モ ー メ ン トN
W1 外 力 に よ る モ ー メ ン トM
n二 m1lg12+h
+ m2 (h2十1922十
2l1lg2cos (2) + 12M 12二 M21= m2 (lg22 + lllg2 cos (2) + 12 Aイ22= m2 l g2 2
+ 12
九122二九112= ‑ h211二一m2l1lg2sin e2
91 = 1n1 9 19l cos e1 十η~2 .9(ll cos e1 + 192 cos(e1十 ()2)) .92 ‑1九2.9192 COS( e1十 ()2)
リ ン ク 長 さ リ ン ク 質 量 力 加 速 度
19i 関 節 軸 か ら リ ン ク 重 心 ま で の 距 離 1i 重 心 ま わ り の 慣 性 モ ー メ ン ト
6
(2.1)
(2.2)
2.2.2 外 力 に よ る モ ー メ ン ト
マ ニ ピ ュ レ ー タ の ア ー ム に 働 く 流 体 力 お よ び マ ニ ピ ュ レ ー タ 先 端 に 働 く 外 力 を 考 慮、す る と
,
Neは 次 の よ う に 表 わ さ れ る 。N
e二N
f十N
b+ N
m,+ N
d (2,3)た だ し,N fは マ ニ ピ ュ レ ー タ が 作 業 対 象 に 力 を 加 え る こ と に よ り 生 じ る モ ー メ ン ト で あ り,Nbは マ ニ ピ ュ レ ー タ の 腕 に 働 く 浮 力 に よ る モ ー メ ン ト,Nm は 付 加 質 量 に よ る モ ー メ ン ト , そ し て Ndは 流 体 抵 抗 に よ る モ ー メ ン ト で あ る 。
[ 1 ]
作 業 対 象に加 え る 力作 業 対 象 に 力 を 作 用 さ せ る こ と に よ り , マ ニ ヒ。ュ レ ー タ 先 端 に 取 り 付 け た 力 セ ン サ ー か ら 各 方 向 に
! X l
ん の 力 を 検 出 し た と き , 関 節 に 生 じ る モ ー メ ン ト Nf は(2.4)式 と な る 。Nf1
こ ん
IIsin 82十 ん
(hcos 82+
l2)l
~ (2.4)
N
f2=
んら│
作 業 対 象 を 垂 直 壁 と し て , マ ニ ピ ュ レ ー タ に よ っ て 力 を 作 用 さ せ る 場 合 を 想 定 す る。モ デ ル を 簡 単 化 す る た め 制 御 シ ス テ ム 全 体 の 剛 性 お よ び 減 衰 を 等 価 的 に 壁 側 に 集 中 さ せ る こ と と す る。
ん ニ
Fωcos(81十82)ん二
Fωsin(81十九)Fω
= K
ω(Xe ‑Xω0)+ c .
ωXe= !{ω[{h cos 81
+
l2 cos(81+
白ω82ρ)リ}
一Z九uωω心1O一 ら や
181S同 + ら(81+ (
2)州 81十ぬ )}
(2.5)
ただし,
Fω : 対 象 壁 に 作 用 す る 力 Cω : 対 象 壁 の 粘 性 係 数
Xe マ ニ ピ ュ レ ー タ 先 端 位 置
Kω 対 象 壁 の 岡IJ性
Zωo 対 象 壁 の 初 期 位 置
[2] 浮 力
マ ニ ヒ。ュ レ ー タ の ア ー ム を 一様 断 面 の 円 筒 と 仮 定 す れ ば , 浮 力 は 以 下 の よ う に 与 え ら れ る
[ 3 ] 0
Nb1 =‑ρg V1lb1 cos 81 ‑ρg巧(hcos 81
+
lb2 cos( 81︑
iti tt y‑ lj
︑︑︐ ︐ ︐
ノ
︑ ︑
︐ / ﹄
円L
A σ
(2.6) Tb2二 一ρg1今lb2cos( 81十82)
7
、 ‑ ‑ ‑ ‑
14=flDJ2J4・ t二,12
4 " " '
ただし,
lbi 浮 心 位 置 Di リ ン ク 直 径
~リンク容積
ρ :流 体 密 度 [kgf/m2. S2]
[3] 流 体 抵 抗 力 ・ 付 加 質 量
マ ニ ピ ュ レ ー タ が 流 体 中 を 運 動 す る こ と に よ り 腕 に 働 く 付 加 質 量 お よ び 流 体 抵 抗 は 以 下 の よ う に 近 似 し て 求 め た も の を 使 用 す る ロ
マ ニ ピ ュ レ ー タ の 腕 を 円 柱 と 仮 定 し , 長 さdxの 円 柱 に 働 く 流 体 力 と 付 加 質 量 を 長 さ 方 向 に 積 分 し て 全 体 の 流 体 抵 抗 と 付 加 質 量 を 求 め る 。Fig.2.2に示 す よ う に , 各 リ ン ク に つ い て 関 節 軸 を 座 標 原 点 Q'iと し た リ ン ク 固 定 座 標 系 を 定 義 す る 。 リ ン ク 軸 方 向 に X'i軸 を と り , リ ン ク に 対 し て 垂 直 方 向 に Yi軸 を と る 。こ の と き マ ニ ピ ュ レ ー タ の 関 節 軸 か ら ぬ の 位 置 で の め 方 向 の 流 体 の 相 対 速 度 成 分 を υμ(Xi')と す る と き , 長 さ dxの 円 柱 に 働 く Yi方 向 の 流 体 抵 抗 力 dFdiと 付 加質 量 に
よ る 流 体 力 dFmiを そ れ ぞ れ (2.7),(2.8)式 の よ う に 仮 定 す る
[ 3 ] [ 4 ] 0
dFdi
C
Dρ i L
'V:yi Ivνi I cL"C i (2.7) dFmi CM .p正
7了D424Jνidxi (2.8)従って, (2.7), (2.8)式 を そ れ ぞ れ 腕 の 長 さ 方 向 山 に つ い て 積 分 す る こ と に よ り 流 体 抵 抗 力 に よ る モ ー メ ン ト Ndiお よ び 付 加 質 量 に よ る モ ー メ ン ト Nmiは そ れ ぞ れ (2.9),(2.10)式 の よ う に 表 さ れ る 。
ぬ
1=f 川 1+ぬ
2+ん 山821
ぬ
2=f222的 2J
(2.9)
AT7n1二
d 1 2 1 d
凡u巾 2+恥 II叫i
N
m2ゴ d
ん2J
(2.10)ただし,
2叫
ん
Fh
︐G︐
α f ん f ん
一一一一
円L円L︐噌L勾b
R
凡8
こ の と き 抵 抗 係 数CDお よ び 負 荷 質 量 係 数 CM は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 腕 が 一様 断 面 の 円 筒 と し て , そ れ ぞ れ を
C
D= 1.0,CM二 2.0とする。付 加 質 量 に よ る モ ー メ ン ト l¥Tmiは ,(2.10)式 を 展 開 す る と (2.2)式 の 第1式 か ら 第4式 と 同 じ 形 と な る 。し た が っ て , 付 加 質 量 的 ; お よ び 付 加 質 量 中 心 ま わ り の 付 加 慣 性 モ ー メ ン 卜 I;により, (2.2)式 の 第1式 か ら 第4式 の mi
,
19i,
Iiは(2.11)式 の よう に 書 き 換 え ら れ る 。
mi = m'i +1n
弘二 (m 町i l い m;U 凡ル川ら ιω ~i) / ~mi+m 叫;リ)
門I
々 : = い
m'i(l;'i ̲l9'i)L.
+
Ii+ m~
(l;i_l~i)
L. (2.11)i = 1. 2
た だ し
, l~i
は付加質量中心である。マニヒ。ユレータの各位置での流体速度および 流 体 抵 抗 力 ・付 加 質 量・付 加 質 量 中 心 ま わ り の 付 加 慣 性 モ ー メ ン ト に つ い て は 付 録 1で 詳 細 に 述 べ る 。
9
2 . 3
学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ本 節 で は , ま ず 川 人
[ 6 ]
に よ り 提 案 さ れ て い る 適 応 ニ ュ ー ロ フ ィ ル タ お よ び 逆 シ ス テ ム を 内 部 モ デ ル と す る フ ィ ー ド バ ッ ク 誤 差 学 習 法 に つ い て 動 作 原 理 や し く み に つ い て 解 説 し , 次 い で こ れ を も と に 本 研 究 で 行 な っ た 学 習 速 度 の 高 速 化 に つ い て 述 べ る 。2 . 3 . 1
適 応 ニ ュ ー 口 フ ィ ル タ動 物 の 神 経 回 路 網 に 関 す る 研 究 結 果 か ら , 適 応 ニ ュ ー ロ フ ィルタ と 呼 ば れ る タ イ プ の 神 経 回 路 が 提 案 さ れ て い る 。こ れ は,運 動 制 御 に お い て小脳 内 に 外 界 の 様 々 な 現 象 を こ れ と 等 価 な 内 部 参 照 モ デ ル ( 内 部 モ デ ル ) を 学 習 に よ っ て 形 成 す る こ と に よ り 未 知 の 系 の 入 出 力 特 性 を 近 似 す る 働 き を モ デ ル 化 し 工 学 的 に 実 現 し た も の で あ る 口内 部 モ デ ル が 学 習 に よ り 形 成 さ れ る 様 子 を
F i g . 2 . 3
に 示 す 。 未 知 の 系 は 入力 信 号u ( t )
に 対 し てx ( t )
を 出 力 し て お り , ま た 未 知 の 系 へ の 入 力 信 号u ( t )
はη個 の 既 知 の 系 に 入 力 さ れ,そ れ ぞ れ の 系 で' u ( t )
に さ ま ざ ま な 非 線 形 変 換 を 施 し た 後 に 仇( t )
を 出 力 す る 。こ れ ら の 出 力 信 号 が 結 合 荷 重 町 で 重 み づ けら れ た 後 に 加 算 さ れ,出 力 信 号
z ( t )
となる。U υ
ω n Z
同z 一 一
( 2 . 1 2 )
こ の 叫 が シ ナ プ ス 荷 重 と 呼 ば れ る も の で,学 習 方 程 式
( 2 . 1 3 )
に よ り 変 化 す る 。7問
( t )
=Y i ( t ) S ( t )
二
Y i ( t ) { x ( t ) ‑z ( t ) } ( 2 . 1 3 )
こ こ で7 は 学 習 の 時 定 数 で あ り,Tが十分 大 き く,入力信 号
u ( t )
が 確 率 過 程 で あ れ ば シ ナプ ス 荷 重 町 は 平 均二乗 誤 差E [ S ( t ) 2 ]
が 最小 と な る よ う に 平 均 収 束 さ れ る こ と が 示 さ れている[ 7 ]
。そ し て学 習 に よ り 叫 が 適 切 に 設 定 さ れれば,こ の 内 部 モ デルが 未 知 の 系 の入出 力 特 性 を近 似 す る よ う に な る 。2 . 3 . 2
逆 シ ス テ ム を 内 部 モ デ ル と す る フ ィ ー ド バ ッ ク 誤 差 学 習 法川 人
[ 6 ]
は2 . 3 . 1
節 の 適 応 型 ニ ュ ー ロ フ ィル タ を マ ニ ヒ。ユ レ ー タ の 位 置 制 御 に 応 用 し,F i g . 2 . 3
の 内 部 モ デ ル に 制 御 対 象 の 逆 シ ス テ ム を 用 い ,シ ナ プ ス 荷 重 叫 の 学1 0
習 に フ ィ ー ド パ ッ ク (FB)制 御 器 の 出 力 信 号 を 使 用 す る フ ィ ー ド パ ッ ク 誤 差 学 習 法 を 提 案 し て い る 。
こ の 適 応 ニ ュ ー ロ フ ィ ル タ は 制 御 目 標 を 入 力 と し , 制 御 対 象 の 制 御 量 を 目 標 通 り に 実 現 す る た め に 必 要 な 操 作 量 を 出 力 す る よ う な シ ス テ ム , つ ま り 通 常 の シ ス テ ム と は 逆 の 信 号 の 流 れ を 有 す る 逆 シ ス テ ム を 内 部 モ デ ル と し て 形 成 す る よ う に 学 習 を 行 う。す な わ ち Fig.2.4に 示 す よ う に Fig.2.3の 入 力
u ( t )
を 制 御 目 標 勾( t )
と し , 既 知 の サ ブ シ ス テ ム と し て マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 方 程 式(2.1)に 基 づ い て 得 ら れ る 複 数 の サ ブ シ ス テ ム を 使 用 し , ニ ュ ー ロ ン 出 力 の 総 和z ( t )
とし て マ ニ ピ ュ レ ー タ の 操 作 量T F F
を 得 る 。ま た 制 御 対 象 の 動 特 性 の 変 化 や ノξラ メ ー タ の 推 定 誤 差 に 対 処 す る た め に , サ ブ シ ス テ ム の 結 合 荷 重 は , 誤 差s ( t )
の 代 わ り に フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 器 の 出 力TFB
を 使 用 し て 最 適 化 す る 。こ の よ う に し て 逆 シ ス テ ム を 内 部 モ デ ル と す る ブ ロ ッ ク は , 学 習 型 の フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ と し て 作 用 す る よ う に な る 口す な わ ち 制 御 対 象 の 逆 シ ス テ ム を 利 用 し て 目 標 値 入 力 を 関 節 駆 動 力 等 の 運 動 指 令 に 変 換 し , 制 御 対 象 を フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 す る 。本 研 究 で は こ れ 以 降 , 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ をLFFC(LearningFeed‑Forward Conもroller)と 呼 ぶ こ と に す る 。
LFFCか ら 出 力 さ れ る 制 御 信 号 を
T F F
,FBコ ン ト ロ ー ラ に よ る 制 御 信 号 をTFB
と し , 目 標 軌 道 に 対 す る 第t番 目 の サ ブ シ ス テ ム の 出 力 お よ び 結 合 荷 重 を そ れ ぞ れ
Y i ,
叫 (i= 1・, , 7η)と す る と 制 御 対 象 へ の 全 駆 動 入 力 ァ は 次 式 の よ う に 表 さ れる 。ァ
( t )
ニT F B ( t )
トアF F ( t )
(2.14)v u
ω
m Z
同7 F F 一 一 (2.15)
未 学 習 状 態 の シ ス テ ム は 主 と し て フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 な う が , フ ィ ー ド バ ッ ク コ ン ト ロ ー ラ の 出 力 が 零 に 近 付 く よ う な 繰 り 返 し 学 習 に よ っ て 結 合 荷 重 が 変 更 さ れ , 制 御 の 主 体 が 逆 シ ス テ ム に よ る フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 に 移 っ て い く。結 合 荷 重 に 関 す る 従 来 の 学 習 方 程 式 は 次 式 で 与 え ら れ る D
問
( t ) =
WkY i ( t ) ( T ( t ) ‑ T F F ( t ) )
二 Wk
Y i ( t ) T F B ( t )
(2.16)11
2.3.3 高 速 学 習 法
学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ が 制 御 対 象 の 特 性 変 化 に 素 早 く 適 応 す る た め に は , 学 習 を そ れ に 対 応 で き る よ う に 高 速 化 す る 必 要 が あ る 。(2.16)式 に よ る 従 来 の 学 習 法 で は か な り 多 く の 学 習 回 数 を 必 要 と す る こ と が 報 告 さ れ て い る [6]0
そ こ で 従 来 の 学 習 方 程 式 に 比 例 的 な 修 正 動 作 を 加 え る こ と に よ り 学 習 の 角 速 化 が 期 待 さ れ る た め [8], 本 研 究 で は (2.16)式を (2.17)式 の よ う に 書 き 換 え ,
州 =Wk
J
州(2.17)式 に ,Y'i(
t )
TFB(t )
に 比 例 す る 項 ( 比 例 項 ) を 付 加 し た 学 習 方 程 式(2.18)を 用 い る こ と に す る 。叫州 ( ト t
tここで比例項のイ係系数
W
k均pは , 従 来 の 積 分 項 に 対 し て 比 例 項 の 大 き さ を 調 整 す る 役 割 を 有 す る 。12
2. 4 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御
マ ニ ピ ュ レ ー タ の 手 先 位 置 と 作 業 対 象 に 加 え る 力 の 制 御 を 行 う 方 法 と し て 代 表 的 な も の にイ ン ピ ー ダ ン ス 制御 と ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 が あ る が
[ 9 ]
, 手 先 の 位 置 や 力 の 目 標 軌 道 を 正 確 迅 速 に 実 現 し た い 場 合 に は ハ イ ブ リッ ド 制 御 の 方 が 優 れ た 制 御 性 能 を 出 し 得 る も の と 考 え ら れ る 。ま た ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 の 方 が 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ の サ ブ シ ス テ ム を 構 成 し 易 い。こ の た め こ こ で は マ ニ ピ ュ レ ー タ の 手 先 の 位 置 と 力 の 制 御 に ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 法 を 用 い る こ ととする D
2.4.1 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 方 式 に よ る 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御
ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 法 は , 作 業 空 間 を 位 置 を 制 御 す る 方 向 と 力 を 制 御 す る 方 向 に 分 け , 作 業 対 象 に よ り 手 先 が 拘 束 さ れ る 万 向 は 力 制 御 を 行 い , 拘 束 を 受 け な い 方 向 に は 位 置 制 御 を 行 う も の で あ る 。Fig.2.5の 制 御 系 の ブ ロ ッ ク 線 図 に 示 す よ う に 位 置 と 力 そ れ ぞ れ に 独 立 の サ ー ボ 系 を 構 成 す る 。
ま ず 位 置 制 御 方 向 と 力 制 御 方 向 の そ れ ぞ れ の 目 標 値 に 対 す る 誤 差 ムX
,
ムFω を 検 出 す る 。I XrI ‑ X I I F,,, 'V'rI ‑ F川 市 │
ムx
=
I ~-lh ~- 1,
t1F w=
I 山 中U 山 I (2.19)I
Yd ‑Yl ' I
~ωyd ーんν |次 い で 各 方 向 の 誤 差 を 関 節 座 標 系 に 変 換 し て , 関 節 角 度 誤 差ムDpと 関 節 ト ル ク 誤 差 ムTFを 求 め る 。
ム(}p=
J ‑ l ( I ‑ S )
ムz (2.20)ムァF= J T SムFω (2.21)
[ 一 川‑
hcosD l2 sin(D1+
D2) ‑l2 sin…
1. 1 = 1 1 01+l2cos(D1+D2) l2COs(D1+D2)
l ' 1 0
1こ こ で 必 要 に 応 じ て 位 置 制 御 方 向 と 力 制 御 方 向 の 切 り 替 え を 行 う た め の ス イ ッ チ 行 列 Sを 導 入 す る 。 位 置 制 御 と 力 制 御 の 切 り 替 え は ス イ ッ チ 行 列 Sの 要 素 の 設 定 に よ っ て 行 い , 各 方 向 に つ い て 行 列Sの 対 角 要 素 を1に す る と 力 制 御 と な り 0と す る と 位 置 制 御 と な る 。 こ の よ う に し て 関 節 座 標 で 表 し た 関 節 角 度 誤 差 6.(}p及 び 関 節 ト ル ク 誤 差 ムアFを 補 償 す る た め の 関 節 ト ル ク TpF B
,
TfF Bを 求 め る フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 系 はFig.2.5の よ う に 構 成 さ れ る 。本 論 文 で は 位 置 制 御 に は 比1 3
例 動 作 と 微 分 動 作 を 使 用 し , 力 制 御 は 簡 単 の た め に 比 例 動 作 の み と す る 。
TpFB ‑ Kppム()p十KpDム()p (2.22)
TfFB K fps TF (2.23)
2.4.2 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 方 式 に よ る 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御
以 上 の よ う な フ ィー ド パ ッ ク 制 御 方 式 に よ る ハイブ リ ッ ド 制 御 系 にLFFC(Fig.2.6 の 点 線 で 囲 ん だ 部 分)を 付 加 し て 学 習 型 の フ ィー ドフォワ ー ド 制 御 系 を 構 成 し , 制 御 対 象 の 非 線 形 性 や 動 特 性 の 変化に 対 す る 適 応 性 と 速 応 性 を 持 た せ る こ と とする 。LFFCの サ ブ シ ス テ ム は , 位 置 制 御 に 関 す る サ ブ シ ス テ ム と 力 制 御 に 関 す る サ ブ シ ス テ ム か ら な り , 各 サ ブ シ ス テ ム は(2.1)式 よ りTable2.2に 示 す よ う に 構 成 さ れ る 。な お,川 人 は サ ブ シ ス テ ム を 構 成 す る 際 に は , マ ニ ピ ュ レ ー タ に は 測 定 困 難 な パ ラ メ ー タ が あ る と し て 質 量 や 長 さ な ど は 全 て 結 合 荷 重 に 含 ま せ ており,例 え ば サ ブ シ ス テ ム Yl1= 81と し て い る 口 こ れ に 対 し て 本 論 文 で は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 質 量 や 長 さ を 含 め た 運 動 方 程 式 を そ の ま ま 使 用 し て お り , こ れ は 川 人 の 方 法 と 比 較 し て , 学 習 が 進 ん だ 状 態 か ら 開 始 す る こ と と 等 し い と 考 え
ら れ 学 習 時 間 の 短 縮 に 効 果 が あ る も の と 思 わ れ る 。
マ ニ ピ ュ レ ー タ の サ ブ シ ス テ ム の 結 合 荷 重 は ,(2.18)式 に よ り FBコ ン ト ローラ か ら の 制 御 入 力 信 号 が 減 少 す る よ う に 学 習 を 行 う。以 上 よ り 今 回 構 築 し た 制 御 系 の 制 御 対 象 に入力 さ れ る 制 御入 力信 号 は 次 式 の よ う に 与 え ら れ る 。
ア = アp
+
Tf (2.24)Tp二 TpFB
+
TpF F,
Tfニ アfFB+TfF FTpFFi ‑
乞
WPij( t) YPij (t ),
T f F F i二L
Wfij(t) Yfり(t),
i=1,
21 4
2.5 制 御 シ ス テ ム の 安 定 性 解 析
LFFCを 使 用 し た 場 合 , 学 習 方 程 式 の 係 数
W
k, W
kpを 大 き く す れ ば 結 合 荷 重 の 学 習 は 速 く な る が , シ ス テ ム の 安 定 度 は 低 下 し て く る 。そ こ で , 学 習 方 程 式 の 係 数 が 制 御 系 の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る こ と と す る 。通 常 の 線 型 シ ス テ ム で は , シ ス テ ム の 伝 達 関 数 を 求 め , 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 から シ ス テ ム の 安 定 性 を 解 析 す る と い っ た 方 法 が と ら れ る 口LFFCを 含 む 制 御 シ ス テ ム は 本 来 , 非 線 形 で あ る が , 定 常 状 態 か ら の 微 小 撹 乱 を 仮 定 し て 線 形 化 し た 場 合 は 近 似 的 に 線 型 シ ス テ ム と し て 取 り 扱 う こ と が 可 能 で あ る ロ従 っ て マ ニ ヒ。ュ レ ー タ の 運 動 を あ る 角 度 付 近 で 線 型 化 し て 伝 達 関 数 を 求 め , 係 数
W
k, W
kpの 変 化 に 対 す る 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 、 か ら シ ス テ ム の 安 定 性 を 推 定 す る こ と に す る。例 と し て , 第2関 節 を の =0に 固 定 し て 第1関 節 の 位 置 制 御 を 行 う。こ の と き マ ニ ピ ュ レ ー タ は810で 静 止 し て い る 状 態 を 定 常 状 態 と し て そ の 近 傍 の 微 小 変 化 を 想 定 し て シ ス テ ム を 線 形 化 す る と , 運 動 方 程 式(2.1)は(2.25)式 の よ う に な る 。
T1 b1
8
1+
b28
1 (2.25) b1 7Tl'll912十
h
十m2(l12+
1922+
2l1lg2)十h
b2 ‑{m1 9 19l十m2g(ll
+
192)} sin 810ま た サ ブ シ ス テ ム を そ れ ぞ れ
Y1 = b1 81
,
Y2二 b281 (2.26)と し , そ の 初 期 値 を Y10
,
Y20と し て , さ ら に 結 合 荷 重 を そ れ ぞ れω10,ω20と す る と き シ ス テ ム の ブ ロ ッ ク 線 図 は Fig.2.7の よ う に な る 。こ の と き LFFCは 未 学 習 状 態 に あ る も の と し てω10二 ω20二 Oと し , マ ニ ピ ュ レ ー タは y軸 に 対 し て 810の 角 度 を な し て 静 止 し て い る も の と す る と , 目 標 関 節 角
。1dに 対 す る 関 節 角 度 。1の 伝 達 関 数 G(s)は(2.27)式 の よ う に 与 え ら れ る 。
θ
l ( S )
一 八r(s) G(s)=
一 一 一 一 一 一θ1d(S) ‑ D(s)
A U τ
α
7一l
T
α一S
+一
パ ド
句一S 2一α
一 +
+ 一
22一α
μ
α 一 +
α
QU 一 3 (2.27)15
こ の と き 伝 達 関 数 の 分 母 ・ 分 子 の 係 数 は 次 の よ う に 与 え ら れ る 。
α1 b1
α2 Kv(l + Y202
WkWkp)
α3 b2 + !{p十Y202(KpW;り
+
Kv)Wk α4 Kp Y202 Wkα5 α2
α6 Kp十 (b2Y20 TFBO十KpY202)WkW句,
+
Kv Y202 Wk α7 (b2 Y20 TFBO + Kp Y202)Wkこ こ で Wk
,
Wkpの 値 を 変 化 さ せ て 特 性 方 程 エ1D ( 8 )
二 α183十α282+α38+α4二 O (2.28)の 根 軌 跡 を 求 め る こ と に よ り
LFFC
を 含 む シ ス テ ム の 安 定 性 に つ い て 検 討 す る こ と と す る 。また,N(8)二 α582十α68+α7=0 (2.29) の 解 は シ ス テ ム の 零 点 を 表 わ し , 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 と 同 様 に 軌 跡 を 求 め る 口 マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 特 性 は そ の 姿 勢 に よ っ て 変 化 す る た め , 線 形 化 の 際 の 定 常 状 態 を , 1)垂 直 に 近 い 姿 勢 。1二 π/2‑O.l[rad] ~ 84[deg] 2)水 平 に 近 い 姿 勢
。1二 O.l[rad]~ 5.7[deg] , 3) 1)と2)の 中 間 の 姿 勢 。1二 π/4[rad]~ 45[deg]の3種 類 と し て 姿 勢 が 変 化 し た と き の 安 定 性 に つ い て 検 討 す る 。 数 値 計 算 に よ り 根 軌 跡 を 求 め て 検 討 す る 際 に , フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン Kp
,
KDは(2.30)式 を 用 い た。Kp = 6660 [N . m/rad
, ]
Kv = 852 [N・m. s/rad] (2.30)比 例 ゲ イ ン Kp は 垂 直 に 近 い 姿 勢 。1=π/2‑O.l[rad]に お い て 角 度 誤 差 が マ ニ ピ ュ レ ー タ がy軸 と な す 角 度5.7[deg] (=0.1 [rad])の5%(=0.3[deg])と な る よ う に し , 微 分 要 素 に つ い て は シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 見 な が ら , 関 節 角 度 の 応 答 が 目 標 値 に 対 し て 追 従 し , か つ 大 き な 行 き 過 ぎ を 生 じ な い よ う に 試 行 錯 誤 に よ り Kvを 決 定 した口
16
[1] シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 学 習 法 の 応 答 特 性 の 比 較
特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 か ら シ ス テ ム の 安 定 性 を 解 析 す る 前 に , 従 来 の 学 習 法 と 今 回 提 案 す る 学 習 法 の そ れ ぞ れ に つ い て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 い , 単 位 ス テ ッ プ 入 力 に 対 す る 応 答 特 性 を 検 討 し た。Fig.2.8(a)に 従 来 の 学 習 法 に よ る 結 果 を 示
し, Fig.2.8(b)に 比 例 項 を 付 加 し た 学 習 法 に よ る 結 果 を 示 す。
Fig.2.8(a)に お い て 破 線 で 表 わ さ れ る 曲 線 は フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 に よ る も の で , パ ラ メ ー タ
W k
を10‑5から 10‑3と 大 き く 設 定 す る に つ れ て, 目 標 に 対 す る シ ス テム の 応 答 に お い て 速 応 性 は 向 上 す る が , 振 動 的 と な る 。こ れ に 対 し て パ ラ メ ー タ
Wk
= 10‑3の と き に 比 例 項 を 付 加 しWkp
ニ 10‑1と す る こ と に よ り , 速 応 性 を 保 持 し た ま ま 振 動 的 な 応 答 特 性 を 改 善 す る こ と が 可 能 で あ る こ と が わ か る 口[2] 従 来 の 学 習 法 の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響
最 初 に , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 目 標 角 度
e
1dがy軸 に 対 し て な す 角 度 を 垂 直 に 近 いf h
二 π/2‑0.1[7、αdian]~ 84[deg7、ee]と す る 姿 勢 に お い て , 係 数Wk
をWk‑
0かWk
→ ∞ ま で 変 化 さ せ た と き の 伝 達 関 数 G(s)に つ い て 検 討 す る 。ま ず 特 性 方 程 式 の 根 と 零 点 の 関 係 を 求 め る 口
Wk
= 0の 場 合 に は (2.27)式 は 次 の よ う に 書 け る 。( Kp¥
KD S (s
+
τニー │G(s)
=
っ ¥ H D / ( 2 . 3 1 )s {b1 s2十KD S
+
(b2+
K p )}す な わ ち シ ス テ ム の 零 点 は 0と‑Kp/KDで あ り , 特 性 方 程 式 の 根 は 0と2次 方 程 式b1s2
+
KD s+
(b2+
Kp) ‑ 0の 解 と な り , 原 点 (s二 0)に あ る 極 と 零 点 は 打 ち 消しあう。従 っ て シ ス テ ム の 特 性 は 上 記 の2次 万 程 式 の 解 に よ っ て 決 ま る 。
次 に
, Wk
→ ∞ の 場 合 に は, Wk
を 係 、 数 に 持 つ 項 は , 持 た な い 項 と 比 較 し て 相 対 的 に 大 き な 値 と な る の で,
Wkを 係 数 に 持 つ 項 に 着 目 す る 。 (2.27)式 に お い て Wkを 係 数 に 持 つ 項 で 分 母 ・分 子 を 割 り , 極 限 を と る と 分 母 ・分 子 は 次 式 の よ う になり,
‑Kp/KDに お い て 極 と 零 点 は 打 ち 消 し 合 う 。N(s)
,
D(s)→ Y2川 s ( +旬
Wk → ∞ (2.32)係数 WÀ~ を Wk = 0か ら
Wk
→ ∞ ま で 変 化 さ せ た と き の 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 を 数 値 計 算 に よ り 求 め た。結 果 を Fig.2.9(a)に 示 す。特 性 方 程 式 の 根 は3個あり,Wk = 0の と き は FB制 御 系 で 決 ま る 実 軸 付 近 の 共 役 複 素 根 と 原 点 に 1つ 根 が あ る。Wk→ ∞ と す る と 原 点 に あ る 根 は 実 軸 上 を 移 動 し て ‑7.8(=‑Kp/KD)に 収 束
17
し , 共 役 複 素 根 は
‑1
1.0
土j∞ に 収 束 す る 。た だ し , 式 の 上 で 検 討 し た よ う に 実 軸 上 の 根 は 常 に 零 点 と キ ャ ン セ ル す る た め , 共 役 複 素 根 が シ ス テ ム の 安 定 性 を 表 わす。W
J..→ ∞ と し て も 特 性 根 は 複 素 平 面 の 左 半 面 に あ り 安 定 性 を 損 な う こ と は な い が ,WJ.~ が大きくなるにつれて特性根の虚数部分が∞となることから,制 御 目 標 に 対 す る シ ス テ ム の 応 答 は 速 く な る が 常 に 振 動 的 で あ る と 推 定 さ れ る 。[3] 比 例 項 を 付 加 し た 学 習 法 の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響
次に W kヂ0と し て , 比 例 項 の 係 数 を W kp= 0から Wkp→ ∞ と し た と き の 伝 達 関数 G(s)に つ い て 検 討 す る 。
Wkp = 0場 合 に つ い て は 従 来 の 学 習 法 と 同 等 と な り,‑Kp/KDに お い て 極 と 零 点 は 打 ち 消 し 合 う。次 に Wkp→ ∞ の 場 合 に つ い て 検 討 す る 。
( 2 . 2 7 )
式 の 分 母 ・ 分 子をW
kpで害i J り , 極 限 を と る と 次 の よ う に な る 口(
附 ) →m 郎 川 …
Sパ収 { 伊 尚 川
KんDD ( い
ω Sり)→ W k Yぬ20♂
2S (KD s+Kp) Wkp→ ∞( 2 . 3 3 )
こ こ で , 分 子 に お い て b2Y20 TFBOとKPU202の 値 を 比 較 す る と b2Y20 TFBOの 値 は 相 対 的 に 小 さ く 無 視 で き る の で
N(s)
,
D(s)→ Wk Y202S (KD S
+
Kp) Wkp→ ∞( 2 . 3 4 )
となり
, O ,
‑Kp/KDに お い て 極 ・零 点 は 打 ち 消 し 合 う こ と が 分 か る。係 数 W kをW k二 10‑3に 設 定 し , 比 例 項 の 係 数 を W kp‑0から Wkp→ ∞ と し た と き の 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 を Fig.2.9(b)に 示 す 口 比 例 項 を 加 え た 学 習 の 場 合 も 従 の 学 習 法 と 同 様 に , 原 点 付 近 の 根 は 零 点 と 常 に キ ャ ン セ ル す る た め , シ ス テ ム の 安 定 性 は 共 役 複 素 根 に よ っ て 決 ま る 。 こ の2根 は,Wkp
=
0の と き は 共 役 複 素 根 であるが WJ.~p →∞とすると実根となり,原点に近い根は -7.8(二 KpjKD) に収束 し 他 方 は 実 軸 上 を 負 の 方 向 へ 無 限 遠 に 向 か う。従 っ て , シ ス テ ム は 常 に 安 定 で , 従 来 の 学 習 法 の よ う に 振 動 的 な 特 性 と な る こ と な く 制 御 目 標 に 対 し て 追 従 す る こ と が わ か る 口[4] 姿 勢 が 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響
マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 特 性 は そ の 姿 勢 に よ っ て 変 化 す る の で , 線 型 化 の 際 の 定 常 状 態 を 変 化 さ せ て 同 様 の 検 討 を 行 な う。定 常 状 態 が 垂 直 に 近 い 姿 勢 に つ い て は 前 節 で 検 討 し た の で , 水 平 に 近 い 姿 勢 。1= O.l[rad] rv 5.7[degree]と 中 間 の 角 度
( h
ア π/4[rad]~ 45 [degree]に つ い て 検 討 を 行 な う。従 来 の 学 習 法 と 本 論 文 の 学1 8
習 法 の 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 と 零 点 の 軌 跡 を , 81 = 45[degree]の 場 合 は Fig.2.10に, 81
=
5.7[degree]の 場 合 は Fig.2.11に示す。恨 軌 跡 を 調 べ た 結 果 , 従 来 の 学 習 法 と 今 回 提 案 し た 学 習 法 と も に パ ラ メ ー タ をW k:VVkp→ ∞ と し て も シ ス テ ム が 不 安 定 に は な ら な い こ と が 明 ら か に な り , 以 下 の よ う な 特 徴 が 明 ら か と な っ た。
従 来 の 学 習 法 で は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 姿 勢 が 変 化 し で も Wkの 変 化 に 対 す る 根 軌 跡 お よ び 零 点 の 軌 跡 の 形 状 は 同 様 で あ る が,Wkの 値 を 一定 と し て 姿 勢 を 垂 直 か ら 水 平 に 変 化 さ せ る と , シ ス テ ム は 振 動 的 で は な く な る 。
今 回 提 案 し た 学 習 法 で は ,Wk二 10‑3と 固 定 し て パ ラ メ ー タ W仰 を 変 化 さ せ たD 特 性 恨 は , 複 素 共 役 根 か ら 実 根 に 変 化 す る と い う 傾 向 は 姿 勢 が 変 化 し で も 変 り な い が , 角 度 が 水 平 に 近 く な る に つ れ て 重 根 の 位 置 が 原 点 に 近 づ く口また,
姿 勢 が 垂 直 に 近 い 場 合 に は,
W
kp→ ∞ の と き に 特 性 根 と 零 点 の 収 束 す る 値 は 同 じ で 互 い に キ ャ ン セ ル し て い た が , 姿 勢 が 水 平 に 近 く な る に つ れ て 特 性 根 の 収 束 す る 値 は 変 化 せ ず ‑7.8(二 Kp/KD)で あ る の に 対 し て , 零 点 が 収 束 す る 値 は 原 点 に 近 づ い て い る 。こ れ は 垂 直 に 近 い 姿 勢 の 場 合 に は,N(s)に お い て b2Y20 TFBOとK PY202の 値 を 比 較 す る と b2Y20 TFBOの 値 は 相 対 的 に 小 さ か っ た た め 無 視 す る こ と が で き た が , 姿 勢 が 水 平 に 近 づ き b2Y20 TFBOの 値 は 無 視 で き な く な っ た た め で あ る。
以 上 の 結 果 よ り , 従 来 の 学 習 方 程 式 に 比 例 項 を 加 え て も , シ ス テ ム の 安 定 性 は 良 好 に 維 持 出 来 る こ と が 推 定 さ れ る 。
1 9
2.6 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 制 御 性 能 の 評 価
本 研 究 で 構 築 し た 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ に よ る 位 置 と 力 の ハ イ ブ リ ッ ド 制 御 シ ス テ ム の 制 御 性 能 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 検 討 す る 口始 め に 位 置 制 御 ・力 制 御 シ ス テ ム そ れ ぞ れ に つ い て 今 回 提 案 し た 学 習 の 高 速 化 の 効 果 に つ い て 検 討 し , 次 に 制 御 対 象 の 特 性 変 動 に 対 す るLFFCの 適 応 性 能 に つ し て 調 べ る こ と と す る 。た だ し , 本 節 で は 学 習 型 フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド コ ン ト ロ ー ラ に つ い て の 検 討 を 目 的 と し て い る の で , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 に は , 簡 単 の た め 流 体 力 は 作 用 し て い な い も の と す る 口
2.6.1 学 習 方 程 式 の 係 数 と 学 習 速 度 の 関 係
[ 1 ]
位 置 制 御 (1)計 算 条 件位 置 制 御 系 の 学 習 に お い て は S= diag(O, 0)として, Fig.2.12(a)に 示 す よ う に , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 手 先 を 始 点
( x o , Y o )
= (0.14,1.39)か ら 終 点( x
J, Y
J) ‑(1.39,0.14)ま で の 直 線 上 を ト レ ー ス す る よ う に 制 御 す る 場 合 を 考 え る 。こ れ は , マ ニ ピ ュ レ ー タ の 姿 勢 を 垂 直 に 近 い 状 態 か ら 水 平 に 近 い 状 態 へ と 大 き く 変 化 さ せ る た め で ある 。実 際 の マ ニ ピ ュ レ ー タ に お い て 先 端 の 最 大 速 度 は0.3m/secで あ る の で , 先 端 の 移 動 速 度 を Fig.2.12(c)に 示 す よ う に , 台 形 状 に 変 化 さ せ る こ と と す る 。ま た , 位 置 フ ィ ー ド パ ッ ク 制 御 系 の 比 例 ゲ イ ン Kpp・微 分 時 間 KpDを(2.35)式のよう に 設 定 す る 。第1関 節 に つ い て は 前 節 の も の を 使 用 し , 第2関 節 は 第1関 節 と 同 様 に 垂 直 に 近 い 姿 勢 で 制 御 を 行 い , 試 行 錯 誤 に よ っ て 決 定 し た。K pp二 diag(6660
,
1306) [N . m/rad]l
KpD = diag( 852
,
128)[ N .
m . sec/rad] J(2.35)
比 例 ゲ イ ン に つ い て は 始 点 位 置 で マ ニ ピ ュ レ ー タ を 保 持 す る 目 標 指 令 に 対 し て 各 関 節 で の 誤 差 が 0.3[deg]
(
二5.0X 10‑3 [rad])以 下 と な る よ う に 設 定 し、微 分 時 間 は 制 御 指 令 に 対 し て 制 御 量 が 振 動 せ ず 安 定 化 す る よ う 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 い 決 定 し た。LFFCの学 習 は , サ ブ シ ス テ ム の 結 合 荷 重 切 り を 切 り=0と し た 未 学 習 状 態 か ら 出 発 し , 目 標 軌 道 に 対 し て 学 習 を 行 な っ た 状 態 を1回 目 の 学 習 と す る 。 次 い で 第 1回 目 の 学 習 で 得 ら れ た 叫jを 初 期 値 と し て 再 び 同 じ 目 標 軌 道 に 対 す る 学 習 を 行 な い こ れ を 第2回 目 の 学 習 と す る 。 以 下 こ れ を 繰 り 返 し , そ の と き の 繰 り 返
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