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宇宙機の設計のための宇宙環境

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(1)

宇宙機の設計のための宇宙環境

宇宙航空研究開発機構 松本 晴久 2015年5月8日 第3回宇宙学セミナー 京都大学 総合博物館 本館3階講義室

(2)

話の流れ

技術データ取得装置(TEDA)の概要と成果

• 主な成果 • 不具合解析例

宇宙天気のリスクと対策

• 宇宙環境による衛星システムへの影響 • 宇宙環境を原因とする不具合の割合、推移、部位 • 静止軌道不具合 • 対策

今後必要な観測項目

まとめ

(3)

話の流れ

技術データ取得装置(TEDA)の概要と成果

• 主な成果 • 不具合解析例

宇宙天気のリスクと対策

• 宇宙環境による衛星システムへの影響 • 宇宙環境を原因とする不具合の割合、推移、部位 • 静止軌道不具合 • 対策

今後必要な観測項目

まとめ

(4)

TEDA(技術データ取得装置)

(国産部品の

宇宙

環境での実証の必要性)

1975年度から国産部品の開発が始まりさらに、1984年~

1988年(ピークは、1986年)にH-II ロケットの純国産化

の方針から国産部品開発(42品種)が実施された。

半導体電子部品は耐放射線性を加味して、人工衛星(特に

ETS-VI以降の衛星)との共通部品とした。

国産部品を人工衛星に搭載して宇宙フライトデータ作りが

必要となる(国産部品をフライト実績とする)。

部品の電気特性劣化データと同時に

宇宙環境データ(放射

線、帯電)の計測が必要になった。

気象衛星ひまわり1号~4号 の宇宙環境モニタ (SEM)

による宇宙放射線計測(22年間)を

引きつぐ。

(5)

ETS-V/TEDA(技術データ取得装置)

誕生前の部品の宇宙実証の背景

国産部品の宇宙環境での実証の必要性

太陽電池モニター(SCM)の衛星搭載

ISS-b (1978年2月打ち上げ)

ETS-IV(1981年2月打ち上げ)

ETS-III(1982年9月打ち上げ)

ETS-V(1987年8月打ち上げ)でTEDAに組

み入れた。

旭硝子製のカバーガラスもフライト実証をし

た。その成果は、ETS-VIで、この国産部品の

組み合わせで採用。

(6)

ETS-V/TEDAの成果、SEL

世界初データ

であった) 64-kbit SRAM

T. Goka, et. al. IEEE, 1991, 1998)

(7)
(8)

ETS-V/TEDAの成果:帯電電位の

材料別

10年間の計測結果 Surface

Potential Monitor (POM)

(9)

ETS-V/TEDA 熱制御材劣化モニタ(TDM)の

10年間の計測データ(太陽光吸収率:α 赤外輻射率:ε )

ε

(10)

図6.太陽黒点数と静止軌道電子 (>0.4MeV ) Flux の変動 (ETS-V搭載DOMによる観測) • 1993-1994年にかけ各国の 静止衛星で不具合や故障が 増加した。JAXAでは、ETS-V 搭載放射線吸収線量モニタ (DOM)による長期的観測に より、太陽活動下降期の高エ ネルギー電子の増加を確認 しており、これにより静止衛 星に影響が出たことが明らか となった。なお、同様の不具 合や故障増加が、11年前の 太陽活動下降期である1982-1983年にも発生していたこと が分かった。 • 現在は、これらの電子の環境 でも太陽電池パドル等に不 具合が起きらないことを地上 試験で確認してきている。

静止軌道における

高エネルギー粒子の長期的観測結果と宇宙機への影響

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 1000 3000 5000 7000 9000 11000 13000 15000 17000 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 太陽黒点数 電子 Flu x (個数/( c m 2 ・st r・se c ) ) 年 電子Flux 太陽黒点数

(11)

Miyoshi et. al.[2004]

(12)

ETS-Ⅵ搭載TEDAの開発

(理研・東大と共同で宇宙環境計測の充実)

目的

新たに開発された国産部品・材料

等の宇宙環境下での劣化特性

を同一条件で計測すると共に劣化の原因となる宇宙環境を同時

に計測し比較、解析する

新規開発の部品・材料

の宇宙実証データ、フライト実績を得る

地上試験として行ってきた宇宙環境を模擬した試験方法の検証

を行う

帯電現象及び

ガスジェット等による人工衛星の汚染の経時変化

の取得

衛星設計に用いている

宇宙環境モデル(放射線、磁場等)の

検証

宇宙環境に起因する人工衛星の故障や不具合現象の解明

(13)

ETS-VI(きく6号)打ち上がったが、

GEOに行かず、GTOに留まる

1994年(平成6年)8月28日16時50分打ち上げ

H-IIロケット試験機2号で種子島から打ち上げ

アポジエンジン不具合でGTO軌道に留まる

急遽楕円軌道用に新たな制御プログラムを設計・

製作し、地上検証を行った上で衛星にアップロー

ドし、この問題を解決した。

最終軌道:ペリジ約8,600km、アポジ約38,600km、

軌道傾斜角約13度(3日5周期回帰)で2年間運用

TEDAのデータ公開で、宇宙環境データが、役に立

つ事を宣伝(SEESを立ち上げ、データを公開し

た)

(14)

ETS-Ⅵ搭載TEDAの成果

トータルドーズ劣化や太陽電池劣化は、静止衛星で

10年かかった同じ評価を1年間でできた

シングルイベントの発生頻度の高度分布が取得でき

(高度8千km~3万8千kmの範囲)

バン・アレン帯の放射線帯の電子、陽子、重イオン

の高度分布データを取得し、放射線帯モデル日本モ

デルを作成(あけぼの衛星データ含む)

この成果は、

GTO軌道を最初から狙うMDS-1(つ

ばさ)プロジェクトへとつながった。

米国は、

1990年7月25日、CRRESS(Combined Release and

(15)

研究開発の流れ

計測装置開発

データ収集

計画

環境計測

研究試作

衛星への影響解析 で必要なデータ及 び性能を機器開発 に反映する 高エネルギー軽粒子 重イオン 中性子 帯電 原子状酸素 デブリ 新たな現象(問題点) 軌道上不具合評価/ 宇宙環境モデル 宇宙環境データベース /警報 衛星設計基準 有人活動への反映 宇宙天気予報 システム 国内外機関との データ交換 打上げ/衛星運用 放射線環境評価(ISOを含む)の見直し ・宇宙環境モデルの最適化 ・効率の良い宇宙機の開発 (シールド厚最適設計) ・低コスト化(部品仕様の見直し) ・短期間開発(民生品の利用) フィードバック 成果目標 プロジェクト支援

(16)

宇宙環境計測装置(放射線、磁場)小型化の流れ

9kg 10cm 10cm 10kg 14W 18W 1cm 52g 480g 1cm 12W以下 15W 磁力計(480g->52g) みどり2搭載用 つばさ、かけはし、きぼう搭載用 Jason-2,GOSAT搭載 ETS-VIII搭載用 QZS搭載用 電子(0.5~50MeV) 陽子(1~160MeV) α粒子(4~200MeV) 電子(0.4~5MeV) 陽子(7~48MeV) α粒子(30~140MeV) ±65,536、4096、1024、56nT ±65,536、4096nT 16bit 20bit 電子(0.03~20MeV) 陽子(0.4~250MeV) α粒子(0.8~400MeV) LPT-S: 216x182x175 mm, 6.2 kg LPT-E: 240x165x 93 mm, 2.8 kg 積算吸収線量計 軽粒子モニタ(10kgー>9kgー>7kg、最小2kg) 17×10×5mm,7.49g

(17)

ISS/Kibou(09-)

GEO

LEO

ETS-V (87-97) ADEOS-II(02-03) ETS-VIII(06-) DRTS(02- ) STS-89(98) MDS-1(02-03) ETS-VI(94-96) ETS-VII (97-99)

宇宙環境計測の流れ

ISS/US-Lab(01) ひまわり1-4(78-99) ERG(16予定) ALOS(06-11) GOSAT(09-) Jason-2((08-) Jason-3(15予定)

GTO

QZS(09-) ADEOS (96-97)

(18)

ADEOS搭載TEDA

(世界

2番目の異常宇宙線ACR)

• シングルイベント評価のための重イ オン観測であったが、世界2番目の異 常宇宙線を観測することができた。 • 低軌道の衛星は、地球磁場が邪魔と なって宇宙線(重イオン)を観測す るに向いていないと考えられていた が、異常宇宙線を観測するのにすぐ れていることが明らかとなった。 T. Kohno, et. al., Radiation Measuremets, 30, 5, PP.639-644

(19)

BBND (ボナー球中性子検出器)

1994年(平成6)年7月に、中性子計測のために、

ボナー球、ホスウイッチ方式及びシンチレーションファイ

バーの3種類のセンサの研究をスタート。

シャトル打ち上げ計画の管理者から搭載装置の検討依頼があ

り、BBNDのSTS-89への搭載が決定した。(1997年1月頃)

振動試験で装置内のボルトが外れるという不具合もあったが、

約1年という非常に短期間で搭載品を開発することができた。

コスト低減のために構造解析を自前で実施したり、データ処

理ソフトウェアも内作した。

(20)

熱中性子に対して高い感度を持つ6個の3Heガス入り比例計数管で構成して いる。中性子は電荷をもたないので、それ自身には電離作用がないが、軽い原 子の3He気体では、反跳原子を生じたり、中性子の核反応(He+n→p+H +765KeV)によって荷電粒子を生じるので、間接的に電離を起こす。下図のよ うに気体中に二つの電極を置き、高電圧(1000V)をかけておくと中性子の入 射によって気体中に生じた陽子イオンと電子のイオン対がそれぞれの電極に向 かって流動し、外部回路に電離電流が流れる。この電気パルスにより中性子を 計測する。

ボナー球型中性子モニタの概要

Polyethylene Sphere 3He proportional Counter 51 φ 51 φ 81 φ 110 φ 150 φ 230 φ

Sensor6 Sensor5 Sensor4 Sensor3 Sensor2 Sensor1 Covered by Gadolinium

[mm] 3Heガス入り比例計数管の原理

6個のボナー球の断面図

3Heガス入り比例計数管とポリエチレン減速材

(21)

ISS搭載BBNDの成果(約8か月)

実験期間中の平均的な等価線量等量率 (2001年3月23日~2001年11月14日) 太陽フレア時(2001年11月4日) 等価量等量率の平均は、94μSv/ 日で、年率に換算すると34mSv/年 となる。これは、地上において自 然界から受ける等価線量当量率の 約14倍に相当する。 実験期間中に多数の太陽フレア が発生した。2001年11月4日の太陽 フレアにより0.19mSVの増加を観 測した。これは、自然界から受け る等価線量当量率の約1か月分に相 当する。しかし、BBNDの約8か月 の実験期間中の全等価線量当量に 対するこの太陽フレアの影響の寄 与分は1%以下であった。 また、搭載位置による環境の違い も確認された。

(22)

1)船内の計測結果より、低エネルギー側で2~3桁、高エネルギー側で1~2桁低い。 2)船内より船壁が薄く、中性子が少ない環境。より自然のアルベド中性子環境に近い。

中性子被曝線量の

(23)

MDS-1搭載放射線吸収線量モニタ(SDOM)

Si Tungsten Al BGO ① ② ⑦ ⑧ ⑧ ⑦ ④ ⑥ ③ ⑤ ① Collimator ② Window ③ SSDs ④ Plastic Scintillator ⑤ Anticoincidence Scintillator(ACS) ⑥ Beam Stop ⑦ Scintillator PMT ⑧ ACS PMT ⑤

運用期間 2002年2月 – 2003年9月

軌道

-軌道傾斜角 28.5°

1 < B/B0 ≤ 8.4

-高度 500 km × 36,000km

1.1 ≤ L ≤ 10

-軌道周期 約10時間35分

-スピンレート 5rpm

計測エネルギー範囲

Electron: 0.4- 9MeV (5bins)

Proton: 0.9-210MeV (12bins)

He : 6-140MeV (4bins)

Heavy Ion: 1.5- 60MeV/nuc (1bin)

G-Factor 0.01cm

2

sr

(24)

放射線帯変動モデルの開発

(25)

変動パラメータの選択

(1 cycle solar activity)

太陽風速度(SW)

太陽黒点数(R)

Ap指数

(26)

変動パラメータ

- Tavg の定義-

1日後の予測

パラメータスケールの時間平均:

ApTavg ,SWTavg , F10.7 Tavg

T days

放射線帯の構造は、変動パラメータ値の大きさと継続

時間に相関がある。

(27)

0.65MeV 電子 L値-Tavg マップ

AP

Tavg

(28)

1.3MeV 陽子 L値-Tavg マップ

AP

Tavg

(29)

電子観測と

MDS-1モデルの比較

(30)

放射線帯フラックスピークの変動

(31)
(32)

電子

(0.35~0.78MeV)

1日の変動予測@GOSAT軌道

0 50 100 150 200 250 1.E+09 1.E+10 1.E+11 1.E+12 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 Fl uenc e[e/c m 2/M eV /day ] Launch day Fluence SSN Worst case Nov. 1,2003

(33)

電子

(0.35~0.78MeV)

変動の信頼度水準(1日)@GOSAT軌道

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 8.8 9.0 9.2 9.4 9.6 9.8 10.0 10.2 10.4 10.6 10.8 11.0 11.2 11.4 Confi denc e l ev el Fluence[LOG10 e/cm2/MeV/day] AE-8 MAX AE-8 MIN

(34)

MDS-1 model と AE-8 model

との比較@

1日

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 1.E+09 1.E+10 1.E+11 1.E+12 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 Fl uenc e[e/c m 2/M eV /day ] Launch day Fluence(JAXA) Fluence(AE8) SSN

(35)

話の流れ

技術データ取得装置(TEDA)の概要と成果

• 主な成果 • 不具合解析例

宇宙天気のリスクと対策

• 宇宙環境による衛星システムへの影響 • 宇宙環境を原因とする不具合の割合、推移、部位 • 静止軌道不具合 • 対策

今後必要な観測項目

まとめ

(36)

2003年10月 みどり号の全損事故

(複合現象)

 極域のオーロラ帯を通過中に、電力ハー ネスを巻いているMLIが高エネルギー電 子により帯電  MLIが接地されていなかったため、内側 のハーネスとの間に1kV以上の電位差が 発生  MLI内のガス密度が発電開始に伴う温度 上昇により上昇  ハーネス被覆の傷により露出したハーネ ス芯線とMLI内面の間で放電発生  単発の放電が隣接するハーネスに飛び火 して、ハーネス間の短絡  アーク放電が次々と伝搬していき、ハー ネス全体が焼損 故障推定箇所 (大電力ハーネス部) •詳細報告書は、文部科学省 宇宙開発委員会のHP参照

http://www.mext.go.jp/b_m

enu/shingi/uchuu/reports/04

080901.htm

(37)

• 人工衛星の電位 • 人工衛星は電気的に宇宙に浮いている • 宇宙機構造体が接地点 • 宇宙機への流入電流と流出電流のバランスによって宇宙機電位が決まる • 各電流成分は宇宙機電位Vの関数として表され、定常状態では式を下式を満たす。

衛星帯電の基本式

( ) {I I I I I I I }dt C V dt dV C V I V I V I V I V I V I V I B PH BSE SI SE I E B PH BSE SI SE I E

− + + + + + = = = + + + + + − 1 0 )] ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( [ ) ( 入射電子電流 ( E I ) 後方散乱電子電流( BSE I ) 入射正イオン電流 ( I I ) 入射電子による 二次電子電流 (ISE ) 太陽光 入射正イオンによる 二次電子放出電流( SI I ) 光電子放出電流( IPH ) 電荷ビーム放出電流(IB)

(38)

•内部帯電は衛星の外壁を貫通した放射線帯外帯の

0.1MeV以

上の電子が内部に侵入

•基板間や同軸ケーブルの線間等の容量(コンデンサ)や誘

電体に帯電

•接地されてない導体片に帯電

•その耐圧電圧を超えると、

その耐圧の弱い箇所

(材質の欠陥や針状突起など

の箇所)で放電して故障に至る。

内部帯電

(あるエネルギ-以上の粒子が入射、 光電子なし) NASA-HDBK-4002より

(39)

パドルでの帯電放電メカニズム

宇宙環境の影響により 衛星がマイナス電位に帯電 高エネルギー電子等により カバーガラスはプラスに帯電 衛星とカバーガラスに電位差が生じる 電位差が大きくなると トリプルジャンクション近傍 の電界強度が増大していく トリプルジャンクションで放電が発生する カバーガラスの帯電が緩和される + + + + + + + + + + + + + + + + + + カバーガラス 太陽電池セル 基板(衛星構体) トリプルジャンクション ⇒ 導体、絶縁体、宇宙環境の接点

(40)

持続放電

Substrate

Satellite Load

insulation sheet Solar array cell

Cover glass Arc current Electrode 持続放電は衛星の電力消失につながる 持続放電のモードは以下の2通りがある Substrate Satellite Load insulation sheet Solar array cell

Cover glass

Arc current

Electrode

Solar array cell

Cover glass セル-基板間短絡 セル間短絡 放電によって太陽電池セルと基板が短絡する 短絡によって負荷に電力が供給されなくなる 放電によって太陽電池セルとセルが短絡する 短絡によって負荷に電力が供給されなくなる

(41)

サブストーム(高エネルギー電子)との遭遇 二次電子・光電子による絶縁体の帯電(局所帯電) 電位差発生

逆電位勾配

衛星構体が負に帯電(絶対帯電) 電位 時間 サブストーム 衛星構体 VS 乖離電圧 ∆V カバーガラスVcg 0 プラズマ電位

軌道別帯電放電現象

トリプルジャンクショ ンで 放電発生 放電発生

 静止軌道

(42)

逆電位勾配

軌道帯電放電現象

トリプルジャンクショ ンで 放電発生

 極軌道

オーロラ電子(高エネルギー電子)との遭遇 プラズマ流入出による絶縁体の帯電(局所帯電) 電位差発生 衛星構体が負に帯電(絶対帯電) 放電発生 電位 時間 オーロラ電子 衛星構体 乖離電圧 ∆V カバーガラス 0 プラズマ電位

(43)

データ中継技術衛星

DRTS (こだま)の不具合

 2002年10月 9日 静止軌道に打ち上げ  2003年 3月24日 4:06JST変化率異常モニタ故障検出(FDIR) が動作し、A系からB系に切り替わった。 3月25日 4:10JSTにB系のみ異常検知 4月 3日 3:27JSTにB系のみ異常検知 5月28日 1:24JSTにB系のみ異常検知 6月 6日15:37JSTにB系のみ異常検知

ESA

(44)

DRTS ESA スパイクノイズと

電子フルエンスの比較(

赤の丸

が異常検知)

←閾値

この事実を基に、静止軌道における内部帯電警報システムを構築。 2004年4月より運用開始。

(45)

不具合が宇宙環境によるものであるか

判断する際のポイント

 不具合の発生した時刻に太陽フレアや磁気嵐等の宇宙天気の大きな変 動が起きていれば、不具合に関係している可能性が高い。但し、帯電 など放射線の積算的効果の伴う現象については、発生から1週間位さ かのぼり環境がどのように推移してきたかを考慮する必要がある。  磁気嵐が起きると静止軌道に急激な粒子の増加現象が起き、これによ り衛星帯電が引き起こされたりする。(予測に利用可能)  地方時(真夜中や朝方か)や季節(春、秋)を考慮する。  低軌道衛星においては、SAA、外帯の”角“及び極通過時に不具合 が起きやすいので衛星の位置(緯度、経度)が重要。  事象を把握する上で、単発現象か、数回起きている現象か、周期 (時間、同じ軌道等)的に発生している現象か?

(46)

話の流れ

技術データ取得装置(TEDA)の概要と成果

• 主な成果 • 不具合解析例

宇宙天気のリスクと対策

• 宇宙環境による衛星システムへの影響 • 宇宙環境を原因とする不具合の割合、推移、部位 • 静止軌道不具合 • 対策

今後必要な観測項目

まとめ

(47)

宇宙天気のリスク

-

宇宙環境によるシステムへの影響

-

プラズマ (IRI) 帯電 (MUSCAT) AUTODY) 衝突 抗力 表面劣化 紫外線、X線 中性粒子 (MSIS) 放射線粒子 (AE8,AP8、 JPL,SHIELDO SE-2) メテオロイド、デブリ (MASTER2005 ORDEM) 電離損傷、 変位損傷 •電子回路の劣化 光部品の劣化 •太陽電池セルの 劣化 SEU CREME96) データエラー 画像ノイズ システム停止 回路損傷 •熱的、電気的、 光学的特性の劣化 構造の劣化 コンタミ 電磁パルス 電源出力低下 損傷 トルク 軌道落下 構造 損傷 減圧 電磁パルス

(48)

NASAの報告

-GN&Cに注目-

 1974年から1994年に起きたNASAと空軍の衛星故障の内、20~25%が 宇宙環境に起因していたと報告。  1990年から2001年に米国、欧州、カナダ、日本の企業や政府機関が 開発した衛星を調べた。過去の宇宙ミション損失の大部分はロケッ トの失敗であったが、1998年衛星損失の大部分は、軌道上の衛星 障害となっている。多くの最近の異常は、太陽電池アレイ及び バッテリの危険が増加している。静止軌道通信衛星の設計寿命は、 このサブシステムの故障の危険が増加している。  喪失等の大きな誘導制御(GN&C)の不具合に注目。 GN&C不具合の内、宇宙環境による 不具合は、約3%と報告されている。 軌道上衛星のタイプ別数

(49)

NASAの報告(続き)

衛星設計寿命における不具合発生時期 事故率と軌道

(50)

宇宙環境を原因とする不具合の割合

-JAXAの場合-

 2002年~2008年に運用された軌道上不具合情報が比較的充実している 11衛星(利用衛星:7機、科学衛星:4機)の結果。宇宙環境によるも のは約15%。過去のデータよりも割合が少ない 合計:83件 合計:35件 (1)利用衛星 (2)科学衛星 設計検討 不足 48% 製造不良 8% 軌道上環境 17% 偶発故障 6% 調査中 13% 原因不明 8% 設計検討 不足 61% 製造不良 4% 軌道上環境 11% 偶発故障 6% 調査中 9% 原因不明 9%

(51)

不具合発生部位の割合

不具合発生部位の割合 Brent Robertson, Eric Stoneking

(52)

Satellite News Digest

-静止軌道不具合-

Satellite News Digest (SND) (http:

/www.sqt-index.co.uk) で1997年~2009年の期間に静止軌道で,

95件の不具合が報告されている。 その内,運用ミスや

設計ミスなどを除くと

32件(約33%)

は宇宙環境による

ものであった。

過去のデータより割合が多い。

Choiら

1)

は,これら不具合の地方時と季節依存性を確認し

た。 その結果,21:00LT~9:00LTで

約72%

の不具合が発

生し、

9:00LT~21:00LT

は,9件(約28%)であった。

また,この9件は,全て

姿勢制御の不具合

だった。 静止

軌道衛星不具合のほとんどは,真夜中と朝方で起きてお

り磁気嵐に伴い磁気圏尾部から注入した粒子による

表面

帯電が不具合の主原因と結論づけている。

(53)

太陽活動と静止軌道衛星不具合例

ANIK-E1&E2

ANIK-E1

複数の衛星で故障

(54)

帯電・放電不具合

-ANIK-E1&2,Telstar401-

Jan 1994 ANIK-E1 & E2事故時の環境 - Joe H. Allen 1週間 太陽活動下降時期の電子増加 2MeV以上電子 ©NOAA Web フラックスが 3桁急増 Jan 1997 Telstar401事故時の環境 静止軌道の急激な電子増加

(55)

太陽極大期太陽フレアによる衛星障害

- 2003年10月~11月-

􀁺􀁺 永久故障 4 􀁺􀁺 安全モード又は運用を一時停止 31 􀁺􀁺 データ内容の「誤り」の増加、搭載コンピュータの誤動作 5 http://www.sat-nd.com/failures/等のデータによる 合計 40件

-Barbieri and Mahmot

●米国極軌道気象衛星NOAA-17の改良型マ イクロ波観測装置AMSU-A1

Advanced Microwave Sounding Unit)のス キャナーが永久故障 ●米国気象衛星GOES -8号のX線センサが OFFになり、復帰しなくなった ●e-birdに深刻な不具合が発生。 不具合は、20本のトランスポンダ全 てに影響 ●火星周回中の探査機「マーズ・オデッセイ (Mars Odyssey)」の観測機器:放射線観測装

置「Martian Radiation Environment

Experiment (MARIE)」が、太陽活動の影 響により10月28日から適切に作動しなくなっ た ●データ中継技術衛星(DRTS)「こだま」 太陽捕捉モードに移行 太陽陽子

(56)

帯電・放電不具合-Galaxy15(局所的的現象)-

2. 5 M eV 6. 5 M eV 1 1. 5 M eV GOES 14 --- GOES 15 --- GOES 11 --- Satellite Locations Galaxy 15 anomaly 2010年4月5日9時48分UTCは、磁気嵐及びCMEが発生するなど宇宙環境は、非常 に荒れていた。Galaxy15衛星は、真夜中側に位置し宇宙環境の影響を受けやすい 位置にいたことから宇宙環境による不具合である可能性が高いということで原因追及 がなされた。高エネルギー粒子が、引き起こす代表的な衛星不具合現象として3つ(表 面帯電、内部帯電、SEU/シングルイベントバーンアウト/SEL)の可能性を検討した。 チームの報告書によると磁気圏尾部からの熱電子の流入による放電が原因であった と結論付けられた。Galaxy15衛星の近くには、GOES-11衛星が位置していたが、 GOES-11衛星には不具合を発生しておらず、本現象は局所的な現象と推測される。

(57)

衛星開発段階における対策

 JAXAの不具合解析の結論 • 2002年~2008年に運用された11機の衛星不具合を解析。 宇宙環境による不具 合は、偶発故障のみ(全体の約15%)。確率的には想定範囲内ではあるが、その 影響を最小限とするため、ディレーティング・運用モード/寿命についての研 究に取り組む。 • 設計基準・試験の充実/検証・確認の強化。技術成熟度(TRL)評価の徹底、 各々の境界・制約条件の明示化等により、検証不足・抜けの防止、有効なピア レビューに結びつける。  冗長系(同じハードウェア、機能の冗長)、柔軟性の設計(ソフト・ハード の対応) • 従来の故障が起きないようにする設計に対して、GOSAT(いぶき)では重要部 品を二重化することにより、故障する可能性は上がるが故障しても衛星バスの 運用や観測が続行できる可能性がより高くなるように設計した。

(58)

運用における対応

宇宙天気監視ーロケット打ち上げ及び宇宙飛行士支援

数日前に今後の宇宙環境の推移を把握(M,Xレベルのフレアの発生確率) • X線の増加で太陽フレア発生を検知したら、高エネルギー粒子の発生を いつまで 気を付ければ良いか判断。(発生位置で大凡を推定するが、課 題は多い) SPEが、発生した場合(特に10MeV以上,100MeV 以上の陽 子)、最大値フラックス値の推定。 ピーク値を予測(特に閾値に近くなっ た時に重要)。

衛星運用

太陽フレア、磁気嵐警報(

X線、陽子及びkpが閾値を超えた

時に警報を発信):

2003年10月より運用開始。

内部帯電警報(

2日後の静止軌道上の高エネルギー電子(>1

Me) の増加を予測し、 閾値を超えた時に警報を発信) :

2004年4月より運用開始。

(59)

話の流れ

技術データ取得装置(TEDA)の概要と成果

• 主な成果 • 不具合解析例

宇宙天気のリスクと対策

• 宇宙環境による衛星システムへの影響 • 宇宙環境を原因とする不具合の割合、推移、部位 • 静止軌道不具合 • 対策

今後必要な観測項目

まとめ

(60)

 計測対象/計測項目  計測対象: 粒径100μm以上のデブリ&メテオロイド  計測項目: デブリ粒径、衝突頻度  基本原理 厚さ約12.5μmの絶縁性のポリイミドフィルム表面に、 100μm周期 で直線状の細長い導線(太さ50μm)パターンを形成。導線の破断を 電気的に検知することにより、デブリの衝突(貫通)を検知する。破 断した導線の数、導線の幅、ピッチからデブリサイズを計測する。

微小デブリ計測技術の概要

衝突孔の例(衝突試験 @ISAS) - 衝突粒子: SUS 309 µm - 衝突速度: 5.2 km/s

(61)

HTV5号機によるセンサ機能のフライト実証

35cm 46cm FY2013機能実証モデル  検出線幅 50 μm  検出線間隔 100 μm  フィルム厚 < 20 μm  有感領域 30×33cm  検出線総数 3300本 サイズ 50×39×4 cm (筐体を含む) 重量 約1.5kg(筐体を含む) 消費電力 2W(最大4W)(他センサ含む) テレメトリ 0.2 bps  宇宙環境観測装置KASPERの一部としてデブリセンサSDMを搭載  FY2013に製作開始、今年8月に打ち上げ予定)

(62)

まとめ(その1)

衛星不具合の主な原因は、帯電・放電、シング

ルイベント、放射線損傷である。今後、デブリ

環境が重要になると予測される。

静止軌道では、商用衛星が多く運用されており

宇宙環境の変動把握は重要。この領域で運用す

る衛星が気を付けなければいけない環境として、

1.

太陽フレアに伴う高エネルギー粒子

2.

太陽活動下降期による静止軌道電子の増加

3.

磁気嵐に伴う磁気圏尾部から注入する粒子

などがあげられる。

(63)

まとめ(その2)

不具合軽減の取り組み

開発時は、宇宙環境条件(トータルフラックス及び最悪条

件)を明確にし設計(冗長系、柔軟性の設計、ディレー

ティング及び運用モード/寿命について研究)・試験の充

実/検証の充実を図る

運用段階に入ったならば、宇宙環境を監視し警報等で故障

を防ぐ。

予測課題

太陽フレアに伴う高エネルギー粒子発生後、フラックス

ピーク値の推定。

衛星により不具合の起きる閾値は、異なるが、閾値をこえ

る急激な電子フラックスの増加と継続時間の予測

局所的な磁気嵐に伴う磁気圏尾部から注入する粒子

(64)

宇宙環境グループは、宇宙ステー

ションと衛星プロジェクトの安全

な遂行に、貢献しています

(65)
(66)

不具合原因の推移

• 宇宙天気を大きく左右する要因の1つとして、約11年の太陽活動変

化が挙げられる。

• 太陽活動下降時期(太陽変動、CME)と極大期(フレア、CME)に衛星

で不具合が増加する。それにより不具合原因の割合が変わる。

-Koons, et al., The Impact of the Space Environment on Space Systems, Aerospace Corp. report no. TR-99(1670)-1, 20 July 1999 -2009 preliminary study (unpublished)

(67)

何故不具合は減らないか?

部品: 放射線に対する感受性が高くなっている

• 微細化が進み、同時にフォールトするノードが増え、同時にエ ラーとなる論理ノードやメモリセルが増加する。微細化によっ てメモリセルは小さくなるので、記憶容量当たりでみるとエ ラーの発生率は下がる。しかし半導体チップの記憶容量やゲー ト数が増えるので、半導体チップ当たりのエラー発生率は微細 化とともに上昇する。また、蓄積電荷が小さくなり感受性が高 くなってきている。

システム: 大型化、大電力化、運用長期化

• 1990年代末以降、静止衛星の電力が10kWレベルになった。しか し、設計検証技術・データ蓄積が遅れている。改善されつつあ ると推測される。

(68)

放射線による影響の概要

粒子 エ ネ ル ギ ー 又 は LET 代表的な影響 陽子 100keV-1MeV 1-10MeV 10-100MeV >50MeV 表面損傷 表面材料と太陽電池の損傷 放射線損傷(電離、非電離損傷の両方)、センサーへのノイズ シングルイベント効果 電子 10-100keV >100keV >1MeV 表面帯電 深部帯電現象(deep-dielectric charging)、センサーへのノイズ、 太陽電池の損傷 放射線損傷(電離) 重イオン >1MeV-cm2/mg シングルイベント効果 注:エネルギー及びLETは、個々の部品等により異なります。あくまでも目安です。

(69)

耐放射線設計手順

軌道条件 ミッション期間 環境条件設定 トータルドー ズの予測 1MeV電子換算 被曝算出 NIELの換算 LETフルエンス 算出 陽子フルエンス 算出 対  策  の  検  討 対  策  の  検  討 対  策  の  検  討 要 求 仕 様 放射線による 劣化率予測 劣化率予測 特性予測 耐性データ 放射線による 劣化率予測 耐性データ 劣化率予測 アレイ出力劣化予測 感受性データ シングルイベント 発生率予測 致命度解析 衛星内質量分布 (*2) 部品・材料の選定 他の要因による劣化率予測 (*2) (*2) (*3) 回路設計等 NO OK アレイ構造 セル選定 他の要因による劣化率予測 アレイ設計 (*2) (*2) (*2) (*2) (*3) 衛星内質量分布 部品選定 (*2) (*2) (*2) (*3) NO OK NO OK (*1) 環境モデルマージを含む (*2) 部品レベルの検討 (*3) アセンブリレベルでの検討 (*4) 設計マージン、環境モデル    マージを含め大丈夫か? トータルドーズ 太陽電池アレイ の劣化 シングルイベント 効果 回路設計 補足放射線 太陽宇宙線 銀河宇宙線 NEILを用いた ダメージファ クターの算出 対  策  の  検  討 放射線による 劣化率予測 劣化率予測 特性予測 耐性データ (*2) 部品・材料の選定 他の要因による劣化率予測 (*2) (*2) (*3) 回路設計等 NO OK 衛星内質量分布 半導体デバイ スの変位損傷 (*1) (*4) (*4) (*4) (*4)

(70)

各軌道における放射線環境

1.E+10 1.E+11 1.E+12 1.E+13 1.E+14 1.E+15 1.E+16 1.E+17 1.E+18 1.E+19 1.E+20 0.01 0.10 1.00 10.00 捕 捉 電 子 の積 分 フ ルエ ン ス [/ m 2 ] エネルギー[MeV] 各軌道における電子捕捉積分フルエンス(3年間) LEO EOS GEO MEO GTO GEO 軌道傾斜角 0° 高度36,000km GTO 軌道傾斜角 18° 高度 360km~36,000km MEO 軌道傾斜角 51° 高度 10,000km EOS 軌道傾斜角 98° 高度705km LEO 軌道傾斜角 29° 高度 600km 1.E+12 1.E+13 1.E+14 1.E+15 1.E+16 1.E+17 1.E+18 1.E+19 1.E+20 0.1 1.0 10.0 100.0 捕 捉 陽子の 積分フルエンス [/ m 2 ] エネルギー[MeV] 各軌道における捕捉陽子積分フルエンス(3年間) MEO GTO GEO EOS LEO

(71)

放射線による部品・材料の影響

総照射線量 (TID:Total Ionising Dose )  電離損傷 バイポーラTrの電流増幅率の 低下、リーク電流の増大 γ線で評価 トータルドーズ効果 変位損傷 (DD:Displacement Damage )または 非イオン化エネルギー損失 (NIEL:Non-Ionising Energy Loss ) 変位損傷(格子欠陥の生成) 電荷輸送効率の低下 (CCD)、太陽電池の効率低下等  電子、陽子により評価 シングルイベント効果 1個の荷電粒子の入射により発生する誤動作

ソフト(Latch-Up, Burnout) エラー又は ソフト (Upset) エラー

(72)

トータルドーズ効果

+ - + + - + - +

- -

+ + + + -

ゲート酸化膜 電離 格子欠陥 正電荷捕獲 + : 正孔, - : 電子 電極 (Silicon oxide/nitride) 荷電粒子 反跳原子 ゲート絶縁膜中に電荷が蓄積することによる、MOSトランジスタのしきい電圧 (MOSトランジスタがオフからオンに変化するゲート電圧)の変化をもたらす。ただ し最近の最先端チップはゲート絶縁膜がきわめて薄くなっている。このためゲー ト絶縁膜よりもフィールド絶縁膜(隣接するトランジスタを電気的に分離する絶縁 膜)での電荷蓄積が相対的には大きな問題になってきている。」

(73)

シングルイベント効果

メモリセルはNチャンネルとPチャ ンネルMOSFETより構成され、メ モリ情報は回路ノード1,2の電位の 高低により記録している。空乏層 の広がっているPN接合1,2の領域に 重イオンが入射した場合、電荷の 発生と空乏層内への少数キャリア の収集が起こる。この収集電荷量 が回路の耐量を越えた場合、(c)に 示すように反転が起こる(ソフト エラー)。一方、pウエル-N基板接 合の空乏層内に電荷収集量が起こ りえる耐性を越えると、寄生的に 存在するPNPNサイリスタ構造がオ ンし、電源と基板間に大電流が流 れる状態が生じる(ラッチアッ プ)。

(74)

シングルイベントメカニズム

-陽子と重イオンの違い-

(75)
(76)

線エネルギー付与(LET)

(linear energy transfer)

電離性放射線が物質中を通過する際、飛程の単

位長さ当りに平均して失うエネルギーをいう。

各種の放射線のうち、

X線、γ線はLETが小さい

ので低

LETといい、α線、中性子線、その他重イ

オン、核分裂破片の

LETは大きいので高LETと

いう。

MeV/μm、MeV/(g/cm

2

)や

MeV/(mg/cm

2

)で表される。

(77)

南大西洋異常

(SAA)

地球の自転軸と磁気軸のずれ

放射線帯が自転軸に対して非

対称

南大西洋上空では、放射線帯

内帯が低高度に落ちてきてい

る。この領域を南大西洋異常

域(SAA : South Atlantic

Anomaly)と呼ぶ。

地球観測衛星では、SAAで放

(78)
(79)

シングルイベントと陽子分布

MOS-1衛星(高度909km。軌道傾斜角99度)で発生したシングルイベントと 陽子30MeV以上の等高線マップを重ね合わせた結果

(80)

NEIL(Non-Ionizing Energy Loss)

入射粒子が電離によらず与える損傷。非イオン化

(81)

低軌道での電子フラックスと

不具合の発生場所

(82)

南大西洋異常(

SAA)と極の角

(83)

太陽粒子線

• 太陽高エネルギー粒子線(SPE: Solar Proton Events)は、太陽フレア とコ ロナガス噴出 (CME;Coronal Mass Ejections )により引き起こされる。

• フレアのスペクトルは可変であるため、あるエネルギー域における最悪状 態イベントは必ずしも別のエネルギー域における最悪条件ではない。 1972年8月のイベント 10~70MeVの粒子が最も多かった 1989年10のイベント 1972年8月のイベントに比べ低エネルギー領域、 高エネルギー領域が明らかに激しかった フルエンス: 105 to 1011 cm-2 変動期間: 1日から数日

“Bastilia” Solar Event

(84)

Carrington Flare

84 (L.W. Townseed)

Carrington Flare(1859年):

Carrington Flare による30MeV以上トータルFluenceを1.18×109cm-2で規格化 ~1989年フレアの約13倍(シングルイベントの評価で使用)

~1991年フレアの約9倍

2012年7月23日にキャリントン・イベントとほぼ同等の爆発現象が、太陽あるいは太 陽の周りで起きていたということが、NASAの太陽観測衛星「STEREO」の解析から 発表された。

(85)

放射線対策

放射線シールドを付加し、放射線を減衰させる。

放射線耐性の強い部品(

SOI(Silicon On Insulator)技術

による耐放射線部品)、材料に変更する。

放射線による損傷を吸収するために回路または構造上の

マージンを持たせる。

• ソフト的なエラーに対しては、 エラー検出・訂正機能や多数決 機能等でソフト的エラーが起きても、システムが機能するよう にしたフォールト・トレラント機能を付けて対処する。 ICの ハード的故障に対しては、 ラッチアップ耐性の強い部品を選定 するしかないが、 電流制限回路を付ける対策も採られる。 パ ワーMOSFETに対しては、部品選定、 電源電圧を規格値の 半分以下に落とす等の対策を採る。 SOI技術

(86)

表面帯電への対策例

表面の物体間を導線で結線する

太陽電池のカバーガラスを導電性被膜付き(酸化

インジウム:

ITO)にする。

熱制御材表面にITOを被覆する。

熱制御材は、高誘電率のテフロンの使用を避け、

高伝導度・耐環境性に優れたブラック・カプトン

を使用。

イオンエンジンの中和器で能動帯電制御

(87)

内部帯電への対策例

アルミで

3mm厚さに相当するシールドで囲む

Faraday Cage)。

テフロンやカプトンなどの誘電体材料の内部での

使用量を最小限に押さえる。

回路基板やコンフォーマル・コーティングは誘電

体なので、電流リークパス

(10

12

Ωcmまたは10

12

Ω/cm

2

程度

)を必ずつける。

特に、スポット的な放射線シールドの金属材には

必ず電流リークパスをつける。

(88)

帯電解析(MUSCAT)ソフトウェア整備

衛星モデル作成 材料物性テーブル設定 宇宙環境パラメータ設定 Converter 転送ディレクトリ 解析データファイル 転送 解析ディレクトリ生成 解析結果 進行状況チェック ファイル操作 MUSCAT 解析エンジン 解析結果 表示 パラメトリック・ラン オプション 解析

(89)

大型パネル実験(3.5m×1.1m) クーポンパネル実験(26cm×16cm)

環境模擬試験

 環境模擬試験

MUSCATに使用する物性値、設計標準制定のための知見などを得るこ とを目的に軌道上の宇宙環境を模擬した地上試験を行っている これらの試験では、放電の発生頻度や電圧閾値、放電発生による太陽 電池パネルや搭載機器への影響を検証している

(90)

放射線計測装置の原理

その粒子が物質を通過する際のエネルギー損出

率が粒子の電荷

(原子番号)Zの二乗に比例するこ

と(

Bethe-Blochの式)を利用する。

S2 E ΔE E’ S1 S3

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