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物質 収 支 か らみ た
有 機 物循 環 シス テ ム の成立 要件
一 宮 崎 県 綾 町 を 事 例 と して 一
松 本 安 生
は じめ に
近 年 、 循 環 型 社 会 に 向 け た取 り組 み が 各 地 で な さ れ て い る が 、 本 研 究 の事 例 で あ る宮 崎 県 綾 町 は早 くか ら有 機 農 業 へ の 取 り組 み な ど を通 じて 、 有 機 物 循 環 シ ス テ ム を構 築 して きて い る。 こ の た め、 これ ま で に も先 進
的事 例 と して 様 々 な場 面 で 取 り上 げ られ、 同 様 な 有ra物 循 環 シス テ ム の 構築 を 目指 す 自治 体 関 係 者 や 研 究 者 な どが 数 多 く視 察 に訪 れ て い る地 域
の ひ とっ で あ る。
綾 町 の こ う した取 り組 み の 詳 細 に つ い て は、 枡 潟(2004)を は じめ こ れ ま で に多 くの 文 献 が あ る。 ま た 、 本 研 究 が 対 象 とす る循 環 シス テ ムの 成 立 要 件 にっ い て も、 い くっ か の 文 献 が 言 及 して い る。
例 え ば、 西 俣(2002)は 、 地 域 に お け る有 機 物 循 環 シ ス テ ム の先 進 的 な 取 り組 み で あ る綾 町 、 長 野 県 臼 田 町 、 山 形 県 長 井 市 の3っ の シス テ ム を 比 較 検 討 す る こ と で、 そ の 成 立 条 件 と して 外 部 経 済 効 果 の理 解 、 循 環 の 輪 が 見 え や す い こ と、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンネ ッ トワー ク の存 在 、 中 核 的 セ ク タ ー に よ る相 互 協 力 な どの 自治 体 に お け る 内 的 条 件 を 明 らか に し て い る。
ま た、 寺 内(1999)も 、 綾 町 に お け る地 域 資 源 循 環 シ ス テ の 確 立 過 程
か ら、 こ う した シ ス テ ム を構 築 す る こ とが で き た社 会 的 な条 件 と して、
リー ダ ー シ ップ 、 参 加 と合 意 、 行 政 ・農 協 等 の 支 援 、 産 地 直 売 に よ る販 売 方 式 に焦 点 を 当 て 、 そ の成 立 条 件 を 明 らか に して い る。
さ らに 、 小 川(1997)は 地 域 ぐ るみ に よ る農 業 活 性 化 へ の 取 り組 み と そ の成 果 に着 目 して 、 有 機 物 循 環 シス テ ム の需 要 面 で 重 要 な有 機農 業 の 成 立 条 件 を 明 らか に して い る。
しか し、 地 域 の 循 環 シス テ ム の成 立 条 件 に は そ の 需 要 に 見 合 うだ け の 供 給 体 制 を整 備 で き る の か 、 ま た は供 給 量 に見 合 う需 要 が 地 域 内 に あ る の か と い った 物 質 収 支 の面 か らの検 討 が 最 も基 本 的 な 要 件 で あ る。 綾 町 にお け る有 機 物 循 環 シ ス テ ム に っ い て 、 物 質 収 支 と い う面 か らの検 討 は こ れ ま で に ほ とん ど な さ れ て い な く、 既 存 文 献 に お い て は、 「町 の 有 機 農 業 に必 要 な 有 機 質 肥 料 の 量 に見 合 う供 給 体 制 が で き あ が っ て い る」
(佐 々木 、2001)と す る見 方 が あ る一 方 で 、 「綾 町 の全 域 の 有 機i質投 入 と い う意 味 で は不 足 傾 向 に あ る」(寺 内 、1999)と い う意 見 もあ り、 そ の 評 価 は分 か れ て い る。
そ こで 、 本 研 究 は有 機 物 循 環 シス テ ムへ の先 進 的 な取 り組 み で あ る宮 崎 県 綾 町 を事 例 と して 、 物 質 収 支 と い う面 か ら地 域 内 で の 有 機 物 循 環 シ
ス テ ムの 現 状 を分 析 し、 そ の 成 立 要 件 に つ い て考 察 す る。
1.宮 崎 県 綾 町 の 概 要
宮 崎県 綾 町 は宮 崎県 の ほぼ 中央 、宮 崎市 の北 西23kmの 中 山間部 に
位 置 して い る。 町 の総面 積521haの うち約80%は 山林 で あ り、綾 南川
(本庄 川)と 綾北 川 とい う2っ の河 川 に は さ まれ た僅 か な扇 状 地 に農 地
と市 街地 が立 地 して い る。 この上流 地域(町 の西 北部)に は全 国 で も有
数 の原生 照 葉 樹 林(1982年 九 州 中央 山地 国定 公 園 指 定)が 広 が って い
物 質 収 支 か らみ た有 機物 循環 シ ス テム の成 立 要 件69
る。
綾 町 は、 そ の 貴 重 な照 葉 樹 林 文 化 を 保 全 す る 「照 葉 樹 林 都 市 」、 自然 生 態 系 に配 慮 した 農 業 の 推 進 に よ る 「有 機 農 業 の 町 」、 地 場 産 業 育 成 の た め の 「手 づ く り の里 」、 と い う3つ の 先 進 的 な ま ち づ く りへ の 取 り組 み に よ り全 国 的 に知 られ て い る。
こ う した ま ち づ く りへ の 取 り組 み に よ り、 綾 町 に お け る社 会 動 向 は0 般 的 な 日本 の 中 山 間 地 域 に は見 られ な い特 殊 な も の と な って い る。 ま ず 、 町 の人 口 は、 綾 川 総 合 開 発 事 業 が 行 わ れ た1950年 代 後 半 か ら1960年 代 前 半 に は1万 人 を 超 え て い た が 、 そ の 後 は 急 速 な 過 疎 化 が 進 み、1980 年 に は7260人 ま で 大 き く減 少 して い る。 しか し、1980年 こ ろ か らは転 入 者 が 転 出 者 を 上 回 る な ど一一転 して 増 加 傾 向 と な り、 最 近(2000年) で は7596人 ま で 回 復 して きて い る(図1)。
8,400
2,500 8,200
8,000z
,000
7,400
1,000 7,200
6,800
19651970197519801985199019952000 資 料:綾 町 ホ ー ム ペ ー ジ よ り
図1人 ロ ・世 帯 数 の 推 移
次 に 、 就 業 人 口 を み る と 、1970年 か ら2000年 ま で の30年 間 に お け る 就 業 人 口 の 増 加 率 は 、 第2次 産 業 が 第3次 産 業 を 若 干 な が ら も 上 回 っ て い る 。 し か も 、 こ の 増 加 が 公 共 事 業 の 中 心 と な る 建 設 業 よ り も 製 造 業
に お い て 大 き く、1970年 の 約2倍 に 就 業 人 口 が 増 加 して い る こ と は特 筆 す べ き こ とで あ る。0方 、 第1次 産 業 の 就 業 人 口 は1970年 比 で43%
まで 大 き く減 少 し、 農 業 従 事 者 数 も1970年 の 半 分 以 下 ま で 減 少 して い る。 た だ し、 専 業 農 家 数 は約200戸 程 度 で 安 定 して い る こ とが 特 徴 的 で あ り、 こ う した 農 業 従 事 者 の 存 在 が 、 綾 町 に お け る有 機 物 循 環 シス テ ム に お い て 有 機 質 肥 料 の 需 要 と供 給 の 両 面 で 重 要 な 担 い手 と な っ て い る (図2、 表1)。
5,000 (人)
4,000 3,000 2,000 1,000 0
』
一
一
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齢轟ト醸
一
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騨 鷺
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『
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離翻 一 一 腰 鍵
i970 1975 "1 1985 1990 1995 2000
第3次 産業 1,131 1,200 1,290 1,343 1,439 1,743 1,824 第2次 産業 652 785 1,067 1,053 1,275 1,164 1,087 第1次 産 業 2,237 i,692 1,411 1,334 1,167 1,087 972
資 料:綾 町 ホ ー ム ペ.̲̲ジ よ り
図2 産業別就業人 ロの推移
口 第3次 産 業 麗 第2次 産 業 四 第1次 産 業
表1農 家 数 ・農 業就業 人 口の推 移 農家数
農家人 口 就業人 口 総数 専業 第1種 第2種
1985 781 226 164 391 3,169 1,293
1990 680 col 138 341 2,728 1,123
1995 642 220 146 276 2,494 1,111
2000 601 227 71 303 2,191 937
資 料:綾 町 ホ ー ム ペ ー ジ
物 質収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ムの成 立 要 件71
綾 町 に お け る社 会 動 向 の も う0っ の 特 徴 は、 観 光 客 の 増 加 で あ る。
1996年 ご ろ か ら年 間 観 光 客 数 は100万 人 を 超 え 、 県 外 か らの 観 光 客 が 半 数 以 上 と な って い る こ と も大 き な特 徴 で あ る。 この よ う な観 光 客 急 増 の大 きな 要 因 と な って い るの が 、 地 域 産 品 の展 示 ・加 工 ・販 売 な ど を行 う テ ー マ パ ー ク 「酒 泉 の 杜 」 で あ る。 こ の 観 光 施 設 は、1985年 に良 質 な水 を求 め て こ の地 に進 出 した雲 海 酒 造 の 見 学 施 設 か ら発 展 した もの で 、 1989年 に テ ー マ パ ー ク と して第3セ ク タ ー 方 式 に よ り開 設 し、1996年
に は ワイ ン と地 ビ ー ル の 工 房(綾 ワイ ナ リー と杜 の 麦 酒 工 房)が 併 設 さ れ、 多 くの観 光 客 を 集 あ る こ とに っ な が って い る。 こ う した観 光 客 の増 加 は、 後 述 す る よ うに有 機農 産 物 の 販 売 な ど を 通 じて 、 綾 町 の有 機 物 循 環 シス テ ム に大 きな 影 響 を与 え て い る(図3)。
(千 人)1 ,400
1,200
1,000
800
600
400
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資料:綾 町 ホー ムペー ジ よ り
図3綾 町へ の入 り込 み 客数 の推移
2.有 機 農 業 の推 進 一 需 要 サ イ ドか ら み た 成 立 要 件
綾 町 にお け る有 機物 循環 システ ムの重 要 な成 立要 件 とな って い るのが、
有機 性廃 棄物 を再 資 源化 した有 機質 肥料 の用途 が十 分 に確 保 され て い る
こ とで あ る。 そ れ は、 単 に農 業 地 域 で あ る と い う こ とで は な く、 良 質 な 有 機 質 肥 料 を 大 量 に必 要 とす る有 機 農 業 へ の取 り組 み が 盛 ん で あ るた め で あ る。 そ こで 、 本 章 で は綾 町 に お け る有 機 物 循 環 シ ス テ ム の需 要 サ イ
ドに お け る重 要 な 成 立 要 件 で あ る有 機 農 業 へ の 取 り組 み に っ い て 述 べ る。
(1)農 業 の現 状
綾 町 資 料 に よ れ ば 町 の2003年 度 農 産 物 生 産 額 は総 額36億2200万 円 で 、1990年 度 の 総 額43億9500万 円 か ら2割 近 くの 大 き な 減 少 と な っ て い る。 この う ち生 産 額 で 近 年 、 最 も大 きな 割 合 を 占 め て い る の は施 設 園 芸 の 「き ゅ う り」 で 、 そ の生 産 額 は14億1300万 円 と全 体 の4割 近 く を 占 あ て い る。 次 い で 、 「和 牛 」 や 「豚 肉 」 な ど の 畜 産 で これ ら2っ を 合 わ せ た生 産 額 は13億7800万 円 と、 近 年 の 一 貫 した増 加 傾 向 に よ って
「き ゅ う り」 の 生 産 額 に 迫 りっ っ あ る(表2)。 こ う した 背 景 に は1980 年 代 か らの 町 の畜 産 振 興 が あ り、 神 山(1999)に よ れ ば、 肉 用 牛 飼 養 頭 数 は、1985年 の1466頭 か ら1995年 に は1730頭 に 、 豚 飼 養 頭 数 も1985 年 の9054頭 か ら1995年 に は9834頭 に大 き く増 加 して い る。
こ う した綾 町 の 農 業 に お いて 重 要 な位 置 を 占 め て い る の が 、 有 機 質 堆 肥 に よ る土 づ く り と土 壌 消 毒 剤 や 除 草 剤 の 未 使 用 を 原 則 とす る 「有 機 農 業 」 で あ る。 有 機 農 産 物 の販 売 は、 生 協 な ど を 通 じた産 地 直売 と直 売 所 な ど が 中 心 と な って い る が 、 桝 潟(2004)に よ れ ば 、2001年 度 に お け る販 売 実 績 は9億96百 万 円 と、1993年 度 の6億72百 万 円 か ら4割 以 上 の 大 き な伸 び とな って い る(表3)。
(2)有 機 農業 へ の取 り組 み
綾 町 に お け る有 機 農業 へ の取 り組 み は1973年 ごろか らの 「 一 坪菜 園
運 動」 に始 ま って い る。 当時 の綾 町 で は痩 せ た土壌 で の野菜 栽培 は生産
物 質収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ム の成 立 要 件73
表2農 産物生産額の推移
(百万 円) 1985 X990 1995 2000 2003
米 334 282 356 220 215
麦 8 3 1 一 }
い も類 一 62 33 33 46
豆 類 ・そ の 他 14 3 4 7 3
果樹
日向夏 みかん 一 102 181 136 102
その他 307 91 100 80 31
た ば こ 238 60 86 81 58
野菜
き ゅ う り 975 2,051 1,865 948 1,413
大根 一 30 26 24 24
その他 241 157 246 111 199
ま ゆ 18 10 5 3 1
畜産
和牛
172 482 519 605 618豚肉 668 682 734 656 760
そ の他 352 354 227 147 60
花類
一 一 62 121 91そ の他 13 25 一 一 1
農産物合計 3,340 4,395 4,306 3,172 3,622
資 料:綾 町 ホ ー ム ペ ー ジ
性 が低 く、 ほ とん どの野 菜 を町外 か ら購 入 して いた。 こ う した状況 の な か で町主導 の もと有 機 質肥 料 によ る土 づ くりに よ って 自給 用 の一坪 菜 園 づ くりを奨 励 す る一坪 菜 園運動 が展 開 され た。 この運 動 が活性 化 す るに 伴 い、1976年 に は 自家 消 費 しきれ な い農 産 物 の流 通 を 目的 と して 「 青 空市 場」(水 曜市)が 町 と農協主 催 で開設 され て い る。
一方 で 、市 場 で の取 り扱 いが難 しく価 格 が安 定 しな い有機農 産物 の栽
培 を経 営農 家 に奨 励 す るた め に、1974年 に町 の事 業 と して有機 農 産 物
に対 す る最 初 の価 格補 償 制 度 が っ く られ、1978年 に は有 機 農業 とその 販 売 を推進 す る綾 町農 業指導 セ ンターが 開設 されて い る。 同時 に、1978 年 か ら農協 で は福 岡 の生協 との問 で産 地 直売方 式 によ る有機 農産 物 の販 売 を開始 し、 その販 売 ル ー トを宮 崎 や鹿児 島の生 協 な どに順 次拡 大 して い る。
これ ら以 外 に も、宮 崎市 内の 直売 所 や町 内の直 売所 で あ る 「 手 づ くり ほん もの セ ンター」で 町民 と観 光 客 向 け に有機 農 産物 の販売 を行 ってい るが、有 機 農産 物 に対 す る関心 の高 ま りや観光 客 の増加 、 さ らに は綾町 ブ ラ ン ドの認 知 な どによ り、 これ ら直売 所 にお け る近年 の販 売実績 は生 協 な どを通 じた産地 直売方 式 によ る販売 実 績 を上 回 って い る(表3)。
表3綾 町有機農産物販売実績の推移 (千円)
1993年 1996年 2001年
露地産直 522,020 559,993 402,794
直売所 66,256 79,975 1S2,104
ほ ん も の セ ン タ ー 83,288 129,852 381,427
合計 671,564 769,840 966,325
資 料:JA綾 町 ・綾 手 づ く り ほ ん も の セ ン タ ー 調 べ
出 典:枡 潟(2004)
(3)町 独 自の有機 農産 物認 証制 度
綾 町 にお け る有 機農 業 へ の取 り組 み を支 え る仕 組 みが、 町独 自の有機 農 産物 の認 証制 度 で あ る。綾 町 が国 や他 の 自治体 に先 駆 けて有機農 産 物 の認 証 制 度 に取 り組 んだ の は、1988年 の 「自然 生 態 系 農 業推 進 条 例」
の制定 か らで あ る。 この条 例 は、 「0坪 菜 園 運 動」 か らの堆 肥 によ る有
機 農産 物 づ くりへ の取 り組 み を さ らに推 進 し、 「 有 機 農業 」 へ の本格 的
物 質 収 支 か らみ た 有機 物 循環 シス テ ム の成 立 要 件75
な 展 開 を 目標 と した もの で あ る。
この 条 例 の も と、 有 機 農 業 の推 進 母 体 と な る綾 町 自然 生 態 系 農 業 審 議 会 や 、 事 業 推 進 計 画 の 策 定 な ど を 行 う有 機 農 業 推 進 会 議 、 有 機 農 業 の普 及 機 関 とな る第3セ ク タ ー の 有 機農 業 開 発 セ ン タ ー、 さ ら に は各 集 落 に お け る有 機 農 業 の 実 践 組 織 の協 議 ・調 整 を 図 る有 機 農 業 実 践 振 興 協 議 会 な どが 設 置 され 、 有 機 農 業 の推 進 体 制 が 整 え られ て い る。
綾 町 の 有 機 農 産 物 認 証 制 度 の 特 徴 は、 有 機農 業 へ の取 り組 み に よ っ て 3段 階 に分 け た 認 定 を 行 って い る点 で あ る。 こ の認 定 区 分 は、 土 壌 消 毒 剤 や 除 草 剤 を 使 用 せ ず に、 有 機 質 肥 料 に よ る土 地 づ く りへ の取 り組 み年 数 に よ って 決 ま る農 地 の 認 定 区分 と、 化 学 肥 料 お よ び合 成 化 学 農 薬 の使 用 量 の 組 み 合 わ せ に よ って 決 ま る生 産 管 理 認 定 区 分 の組 み 合 わ せ に よ っ て 総 合 的 に 決 め られ て い る。 例 え ば、 最 も高 いAラ ン ク(ゴ ー ル ド) の認 定 を受 け る に は、 土 壌 消 毒 剤 や 除 草 剤 を使 用 せ ず に、 有 機 質 肥 料 に よ る土 地 づ く りへ の取 り組 み を3年 以 上 行 って い る農 地 で 、 化 学 肥 料 や 合 成 化 学 農 薬 を 使 用 しな い で 生 産 を行 った 農 産 物 の み に しか 与 え られ な い こ と に な って い る。
こ う した 条 例 に基 づ い た 町 独 自 の有 機 農 産 物 認 証 制 度 は前 述 の通 り生 協 な どか ら も信 頼 性 が 認 知 さ れ、 綾 町 農 産 物 の ブ ラ ン ドを 確 立 す る こ と に 大 き く寄 与 して き た。 この 結 果 、 有 機 農 業 登 録 農 家 戸 数 は年 々増 加 し、
2001年 時 点 で 登 録 農 地 面 積 が314ha(1995年 世 界 農 林 業 セ ンサ ス に よ る経 営 耕 地 面 積597haの53%)、 登 録 農 家 は414戸(同 総 農 家 数642 戸 の64%)と な って い る(表4)。 これ らの 農 家 は有 機 質 肥 料 の 大 き な 需 要 先 で あ り、 綾 町 に お け る有 機 物 循 環 シス テ ム を支 え る重 要 な サ ブ シ ス テ ム とな って い る。
な お 、2001年 か らJAS法 が 改 定 さ れ 、 日本 で も有 機 食 品 の 検 査 認 証 ・表 示 制 度 が 創 設 され た。 この た あ 、2001年11月 に綾 町 も 自治 体 と
表4有 機農業の登録農家数 と登録面積の推移
・*a 1991 1993 1995 1997 1999 2001
登 録面積(ha) 93 121 265 281 303 306 314 登録農家(戸) 377 405 451 460 430 427 414 資 料=枡 潟(2004)、 北 崎(2002)を も と に 作 成
して初 め てJAS認 証 登 録 認 定 機 関 に 登 録 され 、 有 機JASの 認 定 業 務 を 開 始 して い るが 、 桝 潟(2004)に よれ ば2002年12月 時 点 で 町 内 農 家 の 認 定 実 績 は15戸(14ha)に 留 ま って い る。
3.有 機 性 廃 棄 物 の 堆 肥 化 一 供 給 サ イ ドか らみ た成 立 要 件
前 章 で 述 べ た綾 町 に お け る有 機 農 業 で 使 用 され る有 機 質 肥 料 の供 給 は、
地 域 内 で 発 生 す る有 機 性 廃 棄 物 を 資 源 化 した堆 肥 に よ りそ の 多 くが 賄 わ れ て い る と考 え られ る。 綾 町 に お け る有 機 性 廃 棄 物 の 堆 肥 化 シス テ ム と は、1)町 に よ る し尿 堆 肥 化 施 設 、2)町 に よ る堆 肥 化 施 設 、3)JA(農 協)に よ る堆 肥 化 施 設 、 と い う3っ の サ ブ シス テ ム に よ って 成 り立 ち、
この3つ の サ ブ シ ス テ ム に よ る堆 肥 の供 給 が綾 町 に お け る有 機 物 循 環 シ ス テ ム の重 要 な要 素 とな って い る。
そ こで 、 本 章 で は有 機 物 循 環 シス テ ムの 供 給 サ イ ドに お け る重 要 な成 立 要 件 で あ る有 機 性 廃 棄 物 の堆 肥 化 シス テ ム と して 、 こ の3つ の サ ブ シ
ス テ ム につ い て述 べ る
(1)し 尿 堆肥 化施 設
①施 設 の概要
綾 町 で は1978年 か ら家 庭 の し尿 を液状 堆肥(液 肥)に 再 資 源化 す る
自給肥 料供 給施 設(液 肥 工場)を 設 置 し有機 質肥料 の生 産 を行 って きた
物 質 収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ムの 成 立 要 件77
が 、 施 設 の 老 朽 化 な ど か ら1996年 に 閉 鎖(密 閉)式 発 酵 処 理 を 行 う
「地 域 資 源 循 環 活 用 施 設 」 に施 設 を 更 新 して い る。 この 新 しい施 設 に よ り、 町 内 で 汲 み取 りが 可 能 な し尿 の 全 量 を堆 肥 化 して い る。
② 処 理 の 方 法
処 理 方 法 は、 各 家 庭 か ら収 集 した し尿 を 固 液 分 離 した うえ で 、 固 形 物 に つ い て は フ ァイバ ー ス ク リー ン及 び脱 水 機 に よ り濃 縮 した うえ で 、 後 述 す る町 の堆 肥 生 産 施 設 に送 り、 堆 肥 原 料 の一一部 に して い る。 ま た、 液 状 物 に つ い て は 酵 素 剤 を 添 加 した うえ で 、 成 熟 層 に お い て 約40日 間 、 好 気 性 発 酵 に よ り約60度 の高 温 処 理 を行 っ て い る。 な お 、 臭 気 に っ い て は土 壌 脱 臭 装 置 で 土 壌 中 微 生 物 に よ り分 解 して い るた め に、 大 気 中 に 放 出 さ れ る段 階 で は ほ とん ど ア ンモ ニ ア臭 が な い もの に な って い る。
③ 供 給 の 方 法
この よ う な発 酵 処 理 に よ り生 産 され た 液 状 堆 肥 は町 内 の農 地 に無 料 で 散 布 さ れ 、 有 機 質 肥 料 の重 要 な供 給 源 と な って い る。 な お、 散 布 は農 家 か らの 申 し込 み を受 け、 町 役 場 が 土 壌 診 断 を基 に した適 正 散 布 量 を散 布 車 両 に よ っ て行 って い る。
④ 処 理 量 お よ び運 営 費
町 の 資 料 に よ れ ば、 し尿 の 処 理 量 は1997年 度 か ら2000年 度 ま で の平 均 で 約4000k1/年 と な って い る。 た だ し、 浄 化 槽 の 導 入 な ど か ら処 理 量 は年 々 減 少 傾 向 に あ る と さ れ る。 な お 、2002年 度 に お け る処 理 量 は 約3000kl程 度 と考 え られ る。0方 、 神 山(1999)に よ れ ば 、 この し尿 堆 肥 化 施 設 で は、 家 庭 か らの し尿 だ け で な く家 畜 ふ ん 尿 も合 わ せ て 処 理 さ れ て お り、1996年 度 時 点 に お け る計 画 で は、 これ らを 合 わ せ て4000 kl/年 を 処 理 す る こ と と な って い る。
な お 、 同 じ町 の 資 料 に よ れ ば、 この 施 設 の 運 営 費 は2003年 度 予 算 で 約1400万 円 で あ り、 そ の 内 訳 と して は 酵 素 の原 材 料 費 、 施 設 や 散 布 車
両 の修 繕費 、電 気 水道 料 金、管 理運営 人件 費 が それ ぞ れ約300万 円程度 とな って い る。
(2)堆 肥 生 産 施 設(町 営)
① 施 設 の概 要
綾 町 に お け る有 機 性 廃 棄 物 の堆 肥 化 シ ス テ ム に お い て 中核 と な って い る の が 、 町 の 堆 肥 生 産 施 設 で あ る。 町 で は1987年 に設 置 した 旧 施 設 に お い て 、 町 の 中 心 部 の 家 庭 の生 ごみ を 回 収 し、 堆 肥 化 す る事 業 を 行 って きた が 、 こ の 旧施 設 はオ ー プ ン撹 拝 方 式 で あ った た め に悪 臭 苦 情 の原 因 とな っ て い た。 こ の た め 、1997年 に 立 型 密 閉 式 コ ンポ ス ト方 式 に よ る 一 日当 た り処 理 能 力 約4tの 大 型 処 理 機2台 を備 え た新 しい堆 肥 生 産 施 設 を建 設 し、 この年 の10月 か ら運 転 を 開 始 して い る。
② 処 理 の 方 法
生 ごみ は、 木 曜 日 と 日曜 日 を除 く毎 日、 町 の 中 心 部 を 巡 回 す る収 集 車 両 に各 自が 投 入 す る とい う方 法 で収 集 され る。 この生 ご み に、 家 畜 排 泄 物(牛 糞)、 発 酵 剤 、 水 分 調 整 剤 の 機 能 を兼 ね る 「戻 し堆 肥 」 を 混 入 し、
第1次 発 酵 及 び 第2次 発 酵 を そ れ ぞ れ 約10日 間 行 う こ と で 、 堆 肥 化 を 行 って い る。 な お 、 投 入 ・取 り出 しは無 人 運 転 と な って い る。
③ 供 給 の 方 法
生 産 さ れ た堆 肥 は、 袋 詰 が200円/10kg、 バ ラが3000円/tで 、 町 内 の有 機 農 業 実 践 農 家 な どに 販 売 さ れ て い る。 ま た 、 高 速 堆 肥 散 布 車 に よ る散 布 料 金 はt当 た りlooo円 と な って い る。
④ 処 理 量 お よ び運 営 費
寺 内(1999)に よ れ ば 、 この 新 しい堆 肥 生 産 施 設 に お け る1996年 の 計 画 処 理 量 は、 町 中 心 部 の1000世 帯(全 世 帯 の 約40%)か ら収 集 した 生 ごみ900t/年(3t/日)に 、 主 に農 協 の キ ャ トル ス テ ー・シ ョ ン(子
物質 収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ム の成 立 要 件79
牛 の 共 同 育 成 施 設)の 肥 育 牛200頭 及 び 子 牛100頭 か ら排 出 さ れ る 2208t/年(肥 育 牛1825t/年 及 び 子 牛310t/年 の合 計)の ふ ん 尿 を1 次 処 理 した も の1200t/年(4t/日)を 混 ぜ 、 さ ら に水 分 調 整 剤 と し て の 戻 し堆 肥300t/年(1t/日)を 合 わ せ て 、 年 間684t(2.28t/
日)の 堆 肥 を 生 産 す る こ と とな って い る(図4)。
た だ し、 町 の 資 料 に よ れ ば、 大 手 事 業 所 の 休 業 な どか ら2002年 度 に お け る生 ご み収 集 量 は、 町 民 約4000人 分(全 人 口 の 約50%)の 生 ご み 約400t/年 と事 業 者 か らの 生 ごみ 約150tの 合 計 で 約550t/年 程 度 に
と ど ま って い る。
ま た、 同 様 に 町 の 資 料 に よ れ ば、 この 施 設 の 管 理 運 営 費 は2004年 度 予 算 で年 間 約650万 円 で あ り、 こ の うち管 理 運 営 委 託 費 と施 設 電 気 料 が そ れ ぞ れ250万 円 ず っ と な って い る。 ま た 、 この な か に は原 材 料 費 と し て 牛 ふ ん の 購 入 価 格 が 年 間63万 円 含 ま れ て い る。 な お 、 こ れ 以 外 に 関 連 す る費 用 と して 生 ごみ 収 集 に収 集 委 託 料 な ど で年 間300万 円程 度 が 支 出 さ れ て い る一 方 で 、 各 戸 か らは年 間1000円 程 度 の 手 数 料 を 徴 収 して い る。
(合 計2400t)
資 料:寺 内(1999)、 神 山(1999)を も と に 作 成
図4堆 肥 生 産 施 設(町 営)に お け る 堆 肥 化 フ ロ ー
(3)堆 肥 生 産 施 設(農 協)
① 施 設 の 概 要
綾 町 農 協 で は1981年 に 豚 の 排 泄 物 処 理 に よ る地 域 の汚 染 防 止 や 肥 料 と して の農 地 還 元 を 目的 と して、 行 政 が 施 設 を 設 置 し、 農 協 が 運 営 す る と い う形 態 で 家 畜 ふ ん 尿 処 理 施 設 を 設 置 した。 さ らに、1997年 度 に は 肉 用 牛 肥 育 セ ン タ ー(約300頭)か らの 牛 ふ ん 尿 と、 養 豚 団 地(約 1500頭)か らの 豚 ふ ん 尿 と を あ わ せ て 集 中 処 理 を 行 う堆 肥 生 産 施 設 に 更 新 さ れ、 町 内 農 地 に施 用 さ れ る堆 肥 の確 保 に大 き な役 割 を果 た して い
る。
こ う した 規 模 拡 大 の背 景 に は、1984年 か ら展 開 さ れ た 肉 用 牛 増 頭 運 動 に よ って 畜 産 が拡 大 した が 家 畜 ふ ん 尿 の 収 集 に は コ ス トが か さ む よ う に な った こ とや 、 高 齢 化 した畜 産 農 家 の作 業 軽 減 を 目的 と した 家 畜 の委 託 肥 育 方 式 が 導 入 さ れ た こ と な どが あ る。
② 処 理 量
神 山(1999)に よ れ ば、 この農 協 の 堆 肥 セ ン タ ーで は、 牛 ふ ん3350t と豚 ふ ん 尿2625tを あ わ せ た家 畜 ふ ん 尿5975tか ら、 堆 肥 を3438tの 生 産 を行 って い る(図5)。
(合 計5975t)
資料:神 山(1999)を もとに作 成
図5堆 肥 生産 施設(農 協)に お け る堆 肥化 フ ロー
物 質 収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ムの 成 立 要 件81
4.物 質 収 支 か らみ た循 環 シス テ ム の 成 立 要 件
最 後 に、綾 町 で行 われて い る有機 物 循環 システ ムの成 立要 件 を有機 物 の物 質収 支 とい う面 か ら考察 す る。
(1)有 機 質 肥 料 の需 要 量
まず 、 需 要 面 と して 農 地 で の有 機 質 肥 料 の需 要 量 に つ い て 試 算 す る。
神 山(1999)に よ れ ば、 綾 町 で は有 機 農 業 で の 堆 肥 の施 用 基 準 を、 施 設 野 菜(2作)10a当 た り5t以 上 、 露 地 野 菜(1作)2t以 上 、 普 通 作 (1作 、 飼 料 作 物 含 む)1.5t以 上 、 マ メ科 植 物1t以 上 、 園 地 栽 培 果 樹 (カ ンキ ツ、 ク リ等)1t以 上 と して い る。 ま た 、 寺 内(1999)に よ れ ば 、 綾 町 に お け る 『有 機 質 肥 料 の具 体 的 投 入 量 は、 ヒア リ ン グ に よ れ ば 、 年 間10a当 た り3t〜4t』 と され て い る。
そ こで 、 こ こ で は 有 機i農業 で の 有 機 質 肥 料 投 入 量 を平 均3t/10aつ ま り平・均30t/haと 考 え 、 平 均 的 な 窒 素 含 有 率 を2%と 仮 定 し、 窒 素 成 分 で600kgN/haが 施 用 さ れ て い る と考 え る。
次 に、 綾 町 に お け る全 農 地558ha(2000年)の うち 、 有 機 農 業 農 地 を300ha(54%)と す る。 これ は、2000年 に お け る耕 地 面 積 お よ び 有 機 農 産 物 認 証 制 度 に お け る登 録 農 地 の デ ー タを も と に して い る。 た だ し、
有 機 農 業 を 行 って い な い 農 地 に お い て も全 て を 化 学 肥 料 に よ って 施 用 す る の で は な く、 窒 素 成 分 で10%程 度 は堆 肥 に よ り施 用 して い る と考 え られ る。
以 上 の こ とか ら、 綾 町 の有 機 農 業 農 地 に お け る有 機 質 肥 料 の 投 入 量 は 窒 素 成 分 で180tN/年 、 そ の 他 の 農 地 に お い て は 同 様 に16tN/年 と な り、 綾 町 の 農 地 全 体 で は196tN/年 の 有 機 質 肥 料 が 施 用 され て い る と
考 え られ る(図6)。
農 地 箇 稜 300.2
有機 農 叢農 地 窒素 需 要 量
180.1
事陣 醗 農業 農地 箇 積
257.8
非 有 機 農 業 農 地 窒 棄 需 要 鴛
15.5
地 域 全 鉢 で の 化 学 肥 料 に よ る
窒泰 需 要鼠 窒 素 需 要 量
195.611139.2
図6農 地 に お け る 窒 素 需 要 量 の 試 算 結 果
(2)有 機 質 肥 料 の 供 給 量
次 に 、 綾 町 に お け る有 機 性 廃 棄 物 の 再 資 源 化 シス テ ム に よ り供 給 され る有 機 質 肥 料 に っ い て 同 様 に窒 素 換 算 に よ り試 算 す る。
ま ず 、 綾 町 の 人 口7596人(2000年)か らの 、 家 庭 系 お よ び事 業 系 を 合 わ せ 生 ご み 発 生 量 を 他 の 自治 体 に お け る事 例 な どか ら、 一 人 当 た り 4009/日 程 度 と仮 定 す る。 この うち、50%の 世 帯 の 生 ごみ を 回 収 して
い る こ とか ら、 年 間 で は約555t/年 の生 ごみ が 回 収 され て い る こ と に な る。 これ は、2000年 度 に お け る町 の 生 ごみ 回 収 量551tと ほぼ 等 しい。
な お、 生 ごみ に お け る 窒 素 含 有 率 を 約0.4%(茅 野 、200)と 仮 定 す る と、 生 ごみ の 窒 素 含 有 量 は2t程 度 と試 算 され る。
ま た、 一 人 当 た りの し尿 発 生 量 は、 日本 下 水 道 協 会 資 料 に よ れ ば、 窒
物 質収 支 か らみ た有 機 物 循 環 シス テ ムの 成 立 要 件83
素 換 算 で9gN/人 ・日程 度 で あ り、 これ を 前 提 に す る と7600人 程 度 の 住 民 か らの し尿 発 生 量 は同 様 に窒 素 換 算 で 年 間25tN程 度 と試 算 さ れ る
(図7)。
7596 (人)
し尿原単位 窒素負荷嚢
生ごみからの し尿からの
窒棄供給簸能量 窒素供給可能量
1.61117.5
図7生 ごみ及び し尿による窒素供給量の試算結果
さ らに、 畜 産 か らの ふ ん尿 発 生 量 原 単 位 にっ い て も同 様 に 日本 下 水 道 協 会 資 料 に よ れ ば、 牛 が290gN/頭 ・日、 豚 が40gN/頭 ・日 と さ れ る。 これ を 前 提 と して 、2000年 時 点 で の 牛 お よ び豚 の 飼 養 頭 数 を1995 年 時 点 で の 飼 養 頭 数 及 び この2時 点 に お け る生 産 額 の 推 移 か らそ れ ぞ れ 2000頭 及 び8800頭 と想 定 して 試 算 す れ ば、 牛 お よ び 豚 か らの ふ ん 尿 発 生 量 は 窒 素 換 算 で そ れ ぞ れ212tN/年 と128tN/年 と な り、 合 計 して 畜 産 か らの ふ ん 尿 発 生 量 は 窒 素 換 算 で 年 間340tN程 度 と試 算 さ れ る。
た だ し、 この う ち実 際 に堆 肥 セ ン ター に回 収 され 、 再 資 源 化 され る家 畜 し尿 は、 これ ま で 述 べ て き た よ う に町 及 び農 協 で の 堆 肥 生 産 施 設 を 合 わ せ て も、 牛700頭 と豚1500頭 程 度 と考 え られ る。 こ の た め、 堆 肥 化 され て い る家 畜 ふ ん 尿 は 窒 素 換 算 で そ れ ぞ れ 牛 ふ ん 尿 が74tN/年 、 豚 ふ ん 尿 が22gN/年 、 合 計 して96tN/年 程 度 と試 算 され る(図8)。
以 上 の こ と か ら、 綾 町 で 発 生 して い る畜 産 か らの ふ ん 尿340tN/年
(窒 素 換 算)の う ち 堆 肥 と して 資 源 化 さ れ て い る も の は窒 素 換 算 で96 tN/年 程 度 と、 約3分 の1以 下 に と ど ま っ て い る こ とに な る。
畜ふんか らの 窯業儀結町能澱
67.2
図8畜 産ふ ん尿 に よる窒素供 給量 の試算結 果
(3)物 質収 支 か らみ た考 察
綾 町 の有 機農 業 農地 を中心 とす る有機 質 肥料 の需要 量 は、 窒素換 算 で 196tN/年 に達 してい る と試 算 され たが、 これ に対 して綾 町 にお ける人 お よ び家 畜 か ら排 出 され る有 機 性 廃 棄 物 は窒 素換 算 で360tN/年 と需 要量 の約2倍 は存在 す る。 しか し、 実 際 に再 資源化 され有 機質 肥料 と し て提 供 され て い るの は窒素 換 算 で123tN/年 程度 に と どま る と考 え ら れ る。 これ は、畜 産 か らのふ ん尿 の多 くは収集 の手 間 な どか ら回収 され ず に、飼 料 用耕地 な どに 自家処 理 されて い るた めで あ る。
さ らに、堆 肥 化 プ ロセ ス にお いて 窒素 成 分 の30%程 度 が大 気 中 に拡 散 す る ことを考慮 すれ ば、 綾 町 にお ける再 資源化 システ ムか ら供 給 され る地 域 の有 機質 肥 料 は86tN/年 と、 実 際 に は需要 量 の半 分程 度 と考 え
られ る。
物 質 収 支 か らみ た有 機物 循 環 シ ス テム の成 立 要 件85
こ の よ う に、 綾 町 に お け る有 機 物 循 環 シス テ ム を物 質 収 支 と い う面 か ら検 討 す る と、 綾 町 お よ び 農 協 に よ る再 資 源 化 シス テ ム が供 給 す る有 機 質 肥 料 は、 こ の地 域 の有 機 農 業 で 必 要 と さ れ る有 機 質 肥 料 の 大 きな 部 分 を 占 め て い る もの の、 窒 素 換 算 で そ の半 分 程 度 と考 え られ る。 こ う した 意 味 で、 綾 町 に お け る有 機 性 廃 棄 物 の 再 資 源 化 シス テ ム に よ る有 機質 肥 料 の 供 給 体 制 は そ の需 要 量 に見 合 う もの とは な って い な く、 不 足 傾 向 に
あ る と結 論 され る。
な お、 これ らの不 足 分 を各 有 機 農 業 農 家 は、 町 や 農 協 の再 資 源 化 シ ス テ ムで 回 収 され な い畜 産 農 家 な どか ら独 自 に調 達 して い る もの と考 え ら れ る。 この よ うに、 綾 町 に お け る地 域 の有 機 物 循 環 シス テ ム は行 政 な ど に よ る フ ォ ー マ ル な部 分 だ けで な く、 個 々 の有 機 農 業 農 家 と畜 産 農 家 と い う イ ンフ ォ ー マ ル な 関 係 に よ って 支 え られ て い る部 分 も無 視 で き な い ほ ど に大 き い こ とが 想 定 され る。 この た め 、 綾 町 に お け る地 域 循 環 シス テ ム を考 え る場 合 に は、 フ ォー マ ル な循 環 シ ス テ ム だ け で な く、 こ う し た イ ンフ ォ ー マ ル な循 環 シス テ ム に も着 目 し、 そ の維 持 ・拡 大 を検 討 す る こ とが 重 要 とな る。
ま と め
綾 町 は有機 農業 の町 と して有 名 で あ るが 、 町独 自の有機 農 業認 定制 度 に基 づ く有機 農 業登録 農 家 は近 年 で はむ しろ減少 傾 向 にあ る。一 方、 改 正JAS法 に基 づ く有 機JASの 認 定 農家 もまだ少数 で あ る。 こ う した、
綾 町 にお け る有 機農 業 の停滞 傾 向 にっ いて は様 々 な要 因が考 え られ るが、
そ の一 因が有機 質肥料 の供給 の約半 分 は個 人 的負担の 大 きいイ ンフ ォー マル な方法 に頼 らざ る得 な い こ とに もあ る と考 え られ る。
物 質収支 か ら有機農 業 の推 進 を見 た ときに、有 機質 肥料 の供 給 は最 も
大 き な課 題 で あ り、 地 域 内 に多 くの 余 剰 有 機 物 を もつ 綾 町 に お い て は、
これ ま で に も多 様 な再 資 源 化 シス テ ム に よ り フ ォ ー マ ル な 供 給 体 制 を整 備 して きて い る。 しか し、 町 の 財 政 規 模 な ど を考 え れ ば現 在 の 再 資 源 化 シス テ ム の維 持 ・更 新 だ けで も ほぼ 限 界 と考 え られ る。 有 機 農 業 の 維 持 や さ らな る推 進 を 考 え るな らば 、 地 域 で 発 生 す る有 機 性 廃 棄 物 を有 効 活 用 しな が ら、 行 政 に依 存 しな い シ ス テ ム を構 築 す る こ とが 今 後 の課 題 と
な るで あ ろ う。
付記
本 研究 は、 神奈 川大学 共 同研 究奨 励助 成 「 循環 型社 会 の あ りか た を探 る一理 論 的分 析 と政策 提 言 」(共 同研 究者:渡 部 照 洋、 山 口拓 美、三 浦 大介 、諸 坂佐利 、松 本安 生)の 成果 の一 部 で あ る。
参考文献
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神 山 安 雄(1999)地 域 循 環 農 業 を 目 指 して(第2回)宮 崎 県 綾 町:地 域 ぐ る み の 自 然 生 態 系 農 業 、 農 政 調 査 時 報 、510、336‑40
寺 内 光 弘(1999)自 然 生 態 系 農 業 の 推 進 と地 域 資 源 循 環 シ ス テ ム 確 立 の 成 立 要 件 一 宮 崎 県 綾 町 を 事 例 と し て 一 、 東 京 農 業 大 学 農 学 集 報 、44(3)、162‑181
小 川 華 奈(1997)有 機 農 業 に よ る地 位 活 性 化 に 関 す る研 究 一 宮 崎 県 綾 町 の 実 践 を 事 例 と して 一 、 神 戸 大 学 農 業 経 済 、30、59‑71