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研 究 開 発 活 動 の 行 動 科 学 分 析

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(1)

論 説

研 究 開 発 活 動 の 行 動 科 学 分 析

小 山 和 伸

1

序 本 論 の 目 的 と 分 析 手 法

本論は︑科学技術庁の科学技術振興調査費による﹁R&Dマネジメント総合研究﹂(護葦摩七年度)の環と

して実施された﹁R&Dマネジメント.ツールの試行評価﹂(小山プロジェクト)において行われた調査に基づいてい

る︒なお︑調査終了から本研究発表まで既に数年の歳月が経過しているが︑企業の新製晶および新製法開発の詳細に

深く︑逡入った研究の性質L︑.定の時間経過を必要としていたことを讐しておきたい・しかし・企業内研究者の

行動分析という本研究の老・は︑時間的経過による調査デルそれ白体の鮮度の低ドとは無関係に・今なおト分に有

効であると考えられる︒

本論は︑企業内研究開発のプ・セスにおける活動内容を分類し︑活動内容の変化および活動と成果との関係を明らかにすることをH的としているが︑より基本的には︑研究開発活動の効率化へ向けて︑企業内研究開発への行動科学

(2)

商 経 論 叢 第35巻 第4り 2

的アブ︒ーチを提唱することを目的としている︒研究開発活動は︑その努力の投人量蒔問経過︑および成果の護

度などによって・活動の性質を変えているものと痛ざ﹂れる︒本論では︑研究開発努力の実質的な投人量と成果との

関係に注目しつつ・研究開発活動の内宴分析する.すなわち︑研究開発活動の内容を護する要素的活動の組交.

わせのバリエーションを明らかにして︑それが研究開発の成果とどのよ・つな関連をもっているかを示してゆく.

以上のような研究目的を護するためには︑行動鴛r的なアプマチが.否欠である.すなわち︑走の研究テー

マにかかわる特定の研究者に対する継続的かつ密着的な行動研究が必要になる︒本研究では︑企業内研究者四名の協

力により・犀余りにわたる継続的な行動記録をとった.この行動記録によっ一﹂︑あるテ←に対する研究開発活動

の内容を知ることができる・また行動記録に基づき︑実質的に投人された研究開発努力を活動時問によって集計する

ことができるむ

研究開発活動を行動科学的に分析する先行研究としては︑例えばペルツおよびアンドリユ支の業績が著名であ

都ペルツおよびアンドリユースは︑研究者の専門領域の数や年齢︑動機︑研究者相商のコ︑︑︑ユニケーンヨン︑研

究管理の様式等と研究業績との関係︑また共同研究の成果と研究グルLフ形成後の経過年数との関係などを統計的に

  した 

しかし・この分析では研究者に対する詳細かつ継続的な行動調査は行われてお︑bず︑研究者および研究管理者への

アンケート調査が中心になっている・研究者の内面的な動機や研究簾の方法と研究業績との関係に.分析のメスを入

れた点で・ペルツらの研究は画期的ではあったが︑アン午ト調査には研究者.目身の壷的な田心い込みの混入が︑不可

避であり︑調査の客観性という点で問題を有している︒

行動と成果との毒な関係を明らかにするためには︑より客観的な調査方法が必要であると田心われる︒その占{︑本

(3)

研究開発活動の行動科学分析  

3 研究では各研究者の行動記録によって客観的なデータを収集しているため︑観察における客観性は増進していると言

えよ・つ..

また︑本研究におかてはいわゆる技術的Sカーブの仮説検証も意図している︒技術的Sカーブの仮説とは・研究開

発努力の投入による成果のヒ昇は︑.様ではなく緩やかなh昇局面と急激な上昇局面とをもつとの仮説である︒もし

ここで技術的Sカーブの仮説を前提にすることができるのであれば︑Sカーブの各局面における研究開発活動の特徴

を明らかにしてゆきたい︒すなわち︑Sカーブヒの異なる局面において︑研究開発活動の性質にどのような違いが見

られるかを観察してみようと考えている︒

しかし︑技術的Sカーブは実際のところ︑実質的に投人された研究開発努力の量を計測することが困難であるため

に︑横軸にはカレンダi時間(経過時間)をとっている場合がほとんどである︒企業内の研究所などで保管されてい

る研究開発成果の記録なども︑まず横軸には経過時間がとられているのが普通である︒しかし︑複数の研究者による

共同研究などの場合には特に︑カレンダーの時問経過と実質的に投入された研究開発努力との相違は大きなものとな

る︒従って︑研究開発活動の効率性を測ろうとする際には︑どうしても実質的に投入された活動最を知る必要があ

る︒本論では︑実質的に投委︑れた研究開発努力を実活動時間をもって計測し︑カレンダi時間での描写との相違も

検討しておくことにしよう︒

研究開発活動の効率性を計測しようとする研究は︑既にいくつか存在する︒勿論︑それらは各々意義ある研究では

あるが︑多くは研究者自身に対する密着した継続的な行動記録に基づいていないために︑具体的な研究テーマに即し

たR&D活動の効率分析とは言い難い.般論となっている.︑研究開発の効率や成果の測定に関しては︑伝統的な規準

として︑収益および収益率や費用︑リスク︑研究開発期間︑投入人員︑特許取得数などがむ型︒

(4)

商 経 論 叢 第35一 巻 第4‑itF1 4

収益率は・投入費用あたり収益や︑投入人員あたりの収益として計算される︒また︑新しい評価規準としては︑成

果論文の引用される頻度や市場シェア︑技術の企業成長への貢献度︑人材︑さ︑bに讐〒ズの満足度や競争者の追

随などがあげられている︒

また・T.M・フォスターは︑ウェスティングハウスの事例から︑あいまいなが・bも研究開発の事業創造における

価値を・馨への満足度やリスク︑収益︑撃力︑成熟度︑時間︑技術の類性︑市場の新規性︑などを通じて占薮

評価する方法を提供している︒フォス宇は︑R&Dの評価には明確だが重要でない評価と︑あいまいだが轟な評

価があると述べ・特許や論文の数︑収益性を前者の例として批判している︒蘂創造への貢献とい︑つR&D活動の価

値の点数化は︑あいまい性を含みながらも重要な規準だとしている︒

さらに︑R&Dの効率に影響を与える重要な要因としては︑技術者の動機や異分野にまたがるチーム作り︑R&D

と事業計画との整合性︑トップマネジメントの支援などが挙げられている︒

研究開発活動の効率性について︑その測定方法を論じることの意味は大きいが︑やはり研究者の行動分析にまで凱

ち入った研究を行ってみなければ︑R&D活動の効率性測定のために真に有効な変数が何であるかを決めることはで

きないのではないだろうか︒

本論は・以ヒのような問題意識に基づきながら︑企業内研究者の行動調査を実施し︑他方研究開発成果の測定につ

いても・いくつかの方法を検討している.研究開発活動に投入された実質的な努力を実労働時間で測り︑成果を何︑b

かの基準で測定できれば︑‑‑ずからその効率性が計算可能となる︒さらに︑R&D活動における内容的な特質を知る

ことによって︑効率的な研究開発に向かって︑何らかの管理上の示唆も得られるのではないかと考えている︒

(5)

1R&Dマネジメント・ツールの提案

研 究 開発 活 動 の 行 動 科 学 分析  

5 企業内の研究開発活動は︑これまで一種の聖域の如き扱いを受けたり︑あるいは他の事業活動と同様に投人・産出

の効率を明確化すべきであると言われたりしてきた︒前者のようなR&Dへの姿勢は︑収益性のような経済的観点を

取り込むことによって︑R&Dにとって重要な自由な発想が抑制されてしまうという考えに基づいている︒他方︑後

者の主張はR&D活動といえども企業内で行われている以Lは経済的効果という観点からのチェックをのがれること

はできず︑また経済性の枠をはめることによって︑かえって.定の成果を限られた時間内であげることができるよう

になるという考え方に基づいている︒

この︑一つの考え方にはそれぞれ晶理あるのだが︑企業内のR&D活動に対する管理活動の基本姿勢が︑野放しと統

制の両端をさまようような状況は好ましいものではない︒この︑一つの考え方を調整して︑自由な発想を抑圧すること

なく︑しかもその進捗状況を把握しながら︑R&D活動の効率化を促進し得るような管理手法はないものであろう

か︒

本研究ではこうした問題意識に基づきながら︑R&D活動のマネジメント・ツールの開発を目指してきた︒R&D

活動を統制するのではなく︑支援するヒで有効なマネジメント・ツールを開発するためには︑経済的指標に偏らない

R&D活動の実情を反映した指標を考察しなければならないであろう︒こうしたR&D活動の実情を把えるために

は︑行動科学的アプローチにより︑R&D活動のプロセスを分析する必要がある︒

さて︑研究開発活動を行動科学的アプローチをもって分析するためには︑先ず第一に投入努力の計測および表示に

関わる手法を開発しなければなれない︒そして第︑.には成果の計測および表示に関わる乎法を開発しなければならな

(6)

6

商 経 論 叢 第35巻 第4F‑1TJ

い︒この努力と成果に関する測定と表示の手法こそ︑努力と成果という横軸と縦軸の客観性および表示の妥当性を左

右する重要事項である︒

1・1投入努力の測定と表示

投入努力は︑実労働時間をもって計測するのが合理的である,そこで︑実労働時間を計測するために︑企業内研究

者の行動記録をとった︒この行動記録は︑日々の行動内容を研究者自身に記録してもらう形式のもので︑しかも記録

に際しては研究者の負担を最小限に抑えるようn夫した︒

行動記録は︑調査票のデータを集計する事によって収集された︒調査票の作成にあたっては︑大項目として文献︑

会議︑実験︑思索︑通信︑その他の六項Hを分類項11とした︒

さらに各L八項日の中に︑いくつかの小項目を挙げ︑研究者はその各項目のどこに適合する行動を︑何時から何時ま

で行ったかを表に線を書き込む形式とした︒(︻表ll︼参照)

以上のように︑投人努力の計測は︑その実労働時間をもって行い︑実労働時間の計測は︑行動記録によって行うこ

とができる︒しかし︑この実労働時間をもって投入された努力を表示する際に重要な問題がある︒それは︑労働の質

の問題をどう評価するかという問題である︒すなわち︑実労働時間の計測表示の中に︑成果への直接的貢献度の強い

努力と︑間接的な貢献にすぎない作業のようなものとの差を︑いかに反映させるかという問題が残っている︒例え

ば︑文献といっても学術論文と雑文とではその成果への意味は異なっているし︑実験といっても実験の準備や整理

と︑実験そのものの実施とでは成果に対する意味は異なっているはずである︒

そこで︑本研究では成果への貢献の直接性を考慮して︑本質的作業から補助的ないし補完的な作業に至るウェイト

(7)

7研 究 開 発 活 動 の 行動 科学 分析

'È成 年 月

【表 一1】 研 究 者の行 動記録 調査票 1()

氏 名

文 献

学術論文 評論文

雑 文 その他

会 議

研究討論 非公式研究会

拝務 処 理 会 議

そ の他

実 験

実 施 ・観 察

準備 整理 そ の他

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(8)

8

商 経 論 叢 第35巻 第4号

づけを行い・実労働時間の成果に対するn貝献の直接性のパーセンテージを掛けることによって︑実労働時間という縫

的表示の中に︑成果への貢献の直接性という質的側面を反映させることを試みた︒

︻表11︼に示した行動記録調査票にある各小項目は︑この成果への直接性の高い順に研究開発業務を配置してい

る︒すなわち・本質的な作業を.番上に書き込み︑順次より間接的で補助的な作業を配置している︒集計の際には︑

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各大項口の集計を出している︒ただし︑大項11の﹁その他﹂については︑現場の問題処理L以外の小項H(講演会へ

).九

1・2成果の測定と表示

研究開発の成果を何で測るかは︑研究開発テーマの性質によって多様である︒努力に対する成果を測定し︑それを

表示するためには何らかの客観的な評価基準が必要である︒客観的な評価基準で測定しやすいタイプの研究開発テー

マとしては・例えば速度の向ヒや強度の向L︑歩留り率の向L等がある︒これに対して︑.般に基礎的分野に属する

研究開発テーマでは︑量的表示にのせにくいタイプのものがある︒例えば︑何︑bかの分析の進歩とか︑何︑bかの現象

の観察の進歩といった成果である︒例えばAという現象の発見からBという現象の発見への進歩を︑いったいどの程

度の成果の向ヒとして表示したら良いのか︒またAという現象がαとβとの構成要素か︑星み出ざ︑れているという分

析の進歩を︑成果の向上としてどのように表示したら良いのであろうか︒

量的評価にのせにくい質的成果の評価に関して︑本研究ではマイルストン方式という評価手法を開発した︒マイル

ストン方式とは・研究者および研究管理者の判断で︑比較的容易と思われる研究成果から困難な達成水準までを︑ク

(9)

研 究 開 発 活動 の 行動 科 学 分 析  

9

リアすべきサブテーマとして表示し︑最終的な目標達成水準を︑○○として︑難易度を考慮しながら各サブテーマを

逆算的にマイルストンとして表示する方式である︒例えば︑ある現象の再現を最終月標とする場合︑再現の達成を↓

○○として︑そこに至るために必要な現象のデータ収集や分析︑現象の説明などをそれぞれ︑︑︑○なり三〇とウェイ

トづけしてゆく︒ウェイトづけされた各サブテーマの達成がマイルストンとなっている︒この各サブテーマにウェイ

トづけされた数値の総計が︑○○となるように配分する︒このようにしておけば︑研究開発活動の質的な達成水準を

点数評価によって表︑小することができる︒

2 . 行 動 記 録 の 結 果

以ドに示す企業内研究開発活動における行動記録の実例は︑HOYA株式会社R&Dセンターの研究者四名の協力

を得て︑平成五年卜二月から平成ヒ年.︑︑月まで調査を実施した結果である︒この研究調査は︑︻表.i1︼に示した行

動記録調査票に研究音に毎日記録してもらうとともに︑研究開発成果の進捗を︑あるテーマについては実測数値で︑

また他のテーマについてはマイルストン方式による点数評価で︑記録してもらうことによって進められた︒一方︑・

定期間(ほぼ.ヶ月間)ごとにインタビューを実施し︑記録ヒの問題点の検討や現状報告などの情報交換を行った︒

以ド︑この四名の研究者に関する記録調査の結果を紹介する︑

2.1T氏のR&D行動記録

T氏の研究テーマは︑﹁ESCA表面分析における選択スパッタリング現象の解明﹂である︒この研究内容につい

て︑若rの説明を加えておくことにしよう︒先ずESCAとは︑曽Φoぎ口Qり℃①9遷88﹃6箒ヨぢp・一>8貯︒︒尻の頭文字

(10)

商 経 論 叢 第35巻 第4≒} iO

である︒クリスタルガラスの表面の成分分析の方法として︑X線分光法という方法がある︒これは︑クリスタルガラ

スの表面にアルゴンイオンを加速して衝突させ︑X線を照射することによって得られる光電子の種類から︑成分の分

析を行う方法である︒しかし︑その際ガラス表面の酸素が比較的容易に脱落して︑酸化鉛が金属鉛となって残留す

る︒そのため︑X線照射によると残留している鉛が検出される︒アルゴンイオンの衝突を繰り返しながらX線照射を

続けてゆくと︑残留している物質は何重にも重複して検出されることになる︒すなわち︑容易にはがれずにガラスに

付着したままになっている成分が︑結果として実際よりも多く検出され︑歪みのあるデータを収集する結果となる︒

そこで︑ある成分ばかりが脱落するという選択的なスパッタリングが何故起こるのかを探求し︑その選択的なスパッ

タリングの法則をつきとめる必要がある︒もし選択的なスパッタリングの法則がつかめれば︑歪みのあるデータを選

択性の法則に従って翻訳し︑正しい成分構成を推論することができるはずである︒選択スパッタリングによる分析

データの歪みの問題を解決する方法は︑大きく分けて二つある︒第.は選択的なスパッタリングを起こさせない︑す

なわち︑.定の電子衝突によって︑構成成分を公平に離脱させる装置を開発する方法である︒第二は︑選択性すなわ

ち歪みの法則をつきとめて︑歪みのあるデータを正しいデータに翻訳する方法(スパッタリング現象のモデル化)があ

る︒同社のR&Dセンターでは︑この第︑‑の方法を選択したわけである︒この理由は︑コストの問題である︒ガラス

表面の構成物質を公平に脱落させるためには︑アルゴンより重いイオンの衝突装置を開発する必要がある︒しかし︑

重イオンを加速させるためには加速距離が長くなり︑従って装躍が大型化するため︑開発コストが非常に高くなって

しまう︒この選択的なスパッタリングの発生原因としては︑衝突させるアルゴンイオンを加速する際の加速電圧とガ

ス圧を加える際の影響︑また分析対象であるクリスタルガラス自体の成分構成(チタニア系のガラスかジルコニア系のガ

ラスか)などが考えられていた︒

(11)

ll研 究 開発 活 動 の 行 動 科 学 分析

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項 目

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ウ ェ イ ト付 け 達 成 順 項ll ウ ェ イ ト付 け

ク リ ス タ ル ガ ラ ス 基 盤 1加 速 電 圧 の 影 響 評 価 2ガ ス1f:の 影 響 評 価 3相 関 性 解 析

11.4 11.4 5.7

ク リス タル ガラス基盤 1加 速電 圧の 影響 評価 2ガ ス圧 の影響 評価 3相 関性 解 析

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強 化 ク リ ス タ ル ガ ラ ス (チ タニ ア系)

加速 電圧 の影響 評価 ガ ス圧の 影響評価 相 関性 解析

〈ジル コニ ア系〉

加速電 圧 の影響 評価 ガ ス圧 の 影響 評価 相関性解 析

1.1.4 11.4

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強 化 ク リ ス タ ル ガ ラ ス

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(チ タニ ア系)

加速電 圧 の影響 評価 ガ ス圧 の 影響評価 相 関性 解析

〈ジル コニア 系〉

加速電 圧の 影響 評価 ガス圧 の影響 評価 相関性解 析

11.4 ユ1.4

5.7

11.4 11。4

5.7

10ス パ ッ タ リ ン グ 現 象 の モ デ ル 化14.5

図 一1】T氏 の 成 果 向 上 プ ロ セ ス(1}

方式を採用することが .小 かかる基礎的研究 が︑T氏の研究テーマ の法則を解明すること 成分分析における歪み ラスの設計に不可欠な

10ス パ ッ タ リ ン グ 現 象 の モ デ ル 化14.5

図 一2】T氏 の 成 果 向 上 プ ロ セ ス(2)

が︑強化クリスタルガ

ルガラスの開発がある る︒この研究の展望と ・︑日 であり︑基礎的性質の 現象解明に属するもの

(12)

商 経 論 叢 第35巻 第4号 ]2

イルストンの達成のプロセスと経過時間(カレンダー時間)︑および成果達成プロセスと実作業時問との関係を図表化

したものである︒(︻図ー‑︼および︻図ー2︼参照)︻図⊥および︻図2︼から成果向ヒの状況は︑明瞭なSカー

ブとはなっていない︒特に︑最終局面での成果の停滞が︑あまり明瞭には現れていない︒これは企業の研究開発が︑

成果向上の逓減を許すほど悠長なものではないことを物語っているのではないだろうか︒また︑︻図11︼と︻図

2︼の形状が大きく異ならないのは︑︑人の研究者がコンスタントに研究を進めたためである︒研究者数の変動や研

究の中断がない場合には︑横軸に経過時問をとっても実労働時間をとっても︑グラフの形状は同じ様な形になる.

ところで︑毎月'回の面接調査の際に︑T氏から以ドのような記入ヒの問題が提起された︒すなわち︑行動調査の

対象になっている当該研究テーマの他にもいくつかのテーマを抱えているが︑それらのテーマの中には︑調査対象と

なっているテーマとなんらかの関連性をもっているものもある︒従って︑それら関連テーマに関する実験や文献調査

なども︑調査対象テーマの成果向tに寄与している..こうした関連テ⁝マの貢献を︑どのように記入したら良いかと

いう指摘である︒これに対しては︑関連テーマについて大ざつばで良いから︑調査対象テーマ(豆テーマ)との関連

性の程度を︑比率として記入しておいてもらうこととした︒例えば︑調査対象テーマ(豆テーマ)そのものに関わる

活動には一・○︑関連テーマに関わる活動には︑関連度(例えば五〇%など)を掛けるといった方法である︒

(実際例として︻表ー2︼および︻表‑3︼を掲げておく)

さて︑研究開発活動の内容分類とカレンダー時間との対比を示すと︻図13︼の如くとなる︒

この︻図ー3︼を︻図1︼と重ねあわせると︑研究開発活動の内容の変化と成果L昇との関係を読みとることが

できる︒(︻図14︼参照)︒これについては様々な解釈が可能であろう︒しかし︑そうした成果に対する研究開発活動

の持つ意味の解釈︑ないしそこから生まれる管理的判断については︑後段にまとめて論じることとして︑次の事例の

(13)

紹介に移りたいと思う︒ 研 究 開 発 活 動 の 行動 科 学 分析

13

2.20氏のR&D行動記録

0氏の研究テーマは︑﹁ガラス・コーティング技術の開発﹂である︒これは︑ガラスの表面に薄膜をはって︑ガラ

スの屈折率を変える技術の開発である︒コーティングガラスの用途は必ずしも明確には決まっていないものの︑最も

有力な応用経路として︑光学機器のフィルターとしての用途が展望されていた︒光学機器のフィルターは︑︑定範囲

の波長の光を拾うためのものであり︑この部品の開発に︑ガラス・コーティング技術が有効であるという展望があ

る︒従来のr学機器用のフィルターは︑ガラスを溶かして成分調整をして造ってきたが︑0氏の研究では︑ガラスを

溶かさずに表面に色を塗って造る技術を開発しようとしていた︒

0氏の研究テーマは技術開発であり︑工場現場レベルとの調整も行われ︑製造しやすさや製造コスト︑既存設備の

使用可能性︑一般労働者のノウハゥとの整合性︑歩溜まり率︑中間規模でのテスト製造︑製造装置の改善などの開発

活動が展開された︑

このことからして︑0氏の研究テーマは開発段階に属するものと見ることができるであろう︒ただし︑これは実際

のR&D活動を観察しているとよくあることだが︑実験の進行プロセスにおいて︑ある時点で非常に基礎的な段階に

属する研究が行われることがある︒

0氏の場合にも︑実験の初期段階で合成条件の観察など基礎に近い研究が行われている︒

0氏のR&Dテーマは︑基本的に開発に属するものであることは間違いない︒ただし︑基礎から応用・開発までを

広く含むサブテーマももっている︒こうしたR&D活動の全体としての成果を表.小するためには︑やはりマイルスト

(14)

商 経 論 叢 第35巻 第4号14

表 一一2]行 動 調 査 票 の 実 例1)

‑i三テ ー マ 「ESCAに お け る 選 択 ス パ ッ タ リ ン グ 現 象 の 解 明 」 行 動 記 録:E×1.Oelテ ー マ 中 心

E×0.5eiテ ー マ と の 関 連 は50%程 E×0.1算iテ ー マ と の 関 連 は10%以 平 成6年7月5日(火)

氏 名T

8日寺12時13時1711寺 24時

文献会議実験

学術論文 評論 文

雑 文 そ の他 研究討論 非公式研究会 事務処理会議

その他 実 施 ・観 察

準備

その他整理

新ア イデ ィア創 出 既存 ア イデ ィア検 討

その他

文書に よる研 究相 談 電話 に よる研 究相 談

そ の他

製造 現場 の問 題処 理

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(15)

15研 究 開 発 活動 の 行動 科 学 分 析

表 一3】 行 動 調 査 票 の 実 例{2) 平 成6年8月30日(火)

氏 名 T

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文論術学

紋 論

文雑 他のぞ 論討究研 会究研式公非 議会理処務事 他のぞ

察 襯 施 実

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胃 新 討 検 仔 デ 胃 存 既

他のぞ 談相究研焔に書文 談相究研るよに話電 他のぞ 理処題問

文献会議実験思索通信その他

(16)

商 経 論 叢 第35巻 第4号16

【図 一3】T氏 のR&D活

【図 一4】T氏 のR&D活 動 と成 果 の 向 上

(17)

{研究 「堰発2舌 動(1)そ∫動 手斗・'7:ラナ・季斤 17

ン方式が有効であろう︒

もし装置製作というサブテーマに絞れば︑歩溜まり率や製造時間︑製造コストで成果を表示できるであろう・しか

し︑合成条件の安定性や試料評価等のサブテーマを含んだ0氏の研究全体としての成果を表.小するためには︑基礎か

ら応用.開発に︑至るサブテーマにウェイトづけをして評価するマイルストン方式が有効であると思われる・

先ず︑各サブテーマのウェイトづけと︑その達成のプロセス︑および経過時間と実作業時間(投人労働力ぜを表で

示せば︻表!4︼の如くとなる︒

次に研究開発テーマ全体としての成果向Lと経過時間および実作業時間との関係をグラフに示すと︑︻図1・5︼︑

︻図i6︼の如くとなる︒

この:つの図から分かることは︑先ず︻図i5︼からカレンダi時間で見ると︑最終の追い込みで成果が急速にL

がっているが︑︻図ー6︼で分かるように労働効率はさほど急激にはヒがっていない︒すなわち追い込みによって実

質的な労働時間が増えていることを物語っている︒(四〇週から涯O週にかけては研究員が︑人増員されて:名となってい

る.)0氏の場ム"︑成果.同ヒの状況はSカーブにはならず︑最終局面で成果がL昇して研究が終.Jしている︒研究開

発投資の効率を考えると︑こうした尻Lがりのカーブが︑企業内研究所の技術的力ーブとしては︑むしろ・般的と言

えるかも知れない︒社会全体としてあるテーマの技術的カーブがSカーブを描くとしても︑.企業内の研究所では・

そのSカーブの.部を描くことになるのではないだろうか︒すなわち︑尻トがりのヒ昇で終わるカーブか停滞してL

昇しない横這いのカーブかである︒前者は成功したR&Dであり︑後者は失敗したR&Dということになる︒

次に︑R&D活動の内容の分類と時間経過の関係を.小したものが︑︻図ー7︼である︒

︻図ー7︼と︻図ー5︼を承ねてみると︑R&D活動の活動内容と成果向ヒとの間にある因果関係を推理すること

(18)

表 一4】0氏 のR&D活

商 経 論 叢 第35巻 第4号

(活 動 一 成 果 一 覧)

1K

# 項 目 重 み

1 2

3 4 5 6 7 R 9 10 11 12 i3 14 15 16 17 18

1

4 4 14 za 21 23 "4 1 3z 32 42 44 4fi s7 72 76 7fi 86

1 追試 S 10% 10% fiO% 1011%11}Q%ロ% lOff%1{)0°/u100% 晒% 100% lid%1帆% 1㎝% 14% 1130°/a!0(}%10]%

z 合成 条件1

5 ZO°/n20% 20% 9⑪% 90°/a9()% 90% 9D°/ago% 90% 90%

3 合 成条 件2 5

1

20% 40% 7Q% 70% 7a% 70°/a7U%

4

1

合 成 条件3 5 25% 70% 70% 70% 70% 74°/a70%

5

1

合成 条件4

5 6

1

試料 の評価1 ]0 5% 10°/a10% 10%

7

1

試 料 の 評 価(そ の 他) J

H 処 理条 件 5

9 材 料収 集 5 20% 'LO%?5% 10% 10% 10% 10% 20% 20°/a25% 25% 25% 25% 25% ?5%

10

1

材 料 評価 a

11

1

条件Aの 影響 10

12

条 件Bの 影響 10

13 装 置1

1

:)

14 装 置2

1

5

15 装i置3 5

16 特 性 評価

I

J

17 そ の他

1

,5 5% ]Q% 10% 10% 1Q°/vlU%

総 計 100

io.5

⑪.5 3 ;T .JrJ 5.5 」. 6.5 6.5 6.5 10. ,,. 16.7 ]8.3 18.5 18.8 18.8 18.8

.行 の1行 目=経 過 時 間 〔週 〕2行 目:投 入 労 働 力 〔hr〕

# 項 目 重み

19 20 L1 zz '?3

24 25 2fi 27 28 29 30 31 3'1 33 34 35 36

98 ユ12 ll6 116 158 14U 153 13 1{i6 171 194 ZO5 '109

232 247 247 '157 260

1 追 試 5 hl(1%/1HI%脚% 脚% 1〔誕1% 川% loの% IUII%脚% 1(lf!°/n1鰍〕% 細% 圃% jfXl%ll)(f%1 lUU%1姐%

2 合成 条件1 5 90°/a 90°/n9⑪% 90% 9{)% 90% 9U% 9i)'%v90°/a90% 90% 9U% 9U% 30% 90% 90% 90% 9U%

3 合成 条件2 5 70% 70% 70% 70% 70% 70% 7U°/n70% 70% 7U% 70% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95°/v 4 合成 条 件3 J 7t1% 7[?%17⑪% 7(1% rO% 70% 70% 7L)%70°/r,70% 70% 95% 95% 95% 95°/a95% 95% 95%

5 合 成 条件4 5

1

f 試料 の評価1 1Q

7 試 料 の 評 価(そ の 他) 5 15% 15% 15% 15% 15% 15% 15% J% 15% ?D°/a?0% 20% 20% 30% 30% 30% 30% 3(1%

8 処理 条件 J

?5% ̀ZS°/o25% 25% Z5% 25% 25% '?5% 'L5%25% '17% 25% 25% 25% 25% ?5% 35% 35%

9 材 料収 集 i 5% 5% 5̀% JOIO 5% J% 7% Vii% 5% 5% 5% 5% 5% JUIU 5% 5%

lt} 材 料評価 5 5% 5% J% 5% 5% ;}CIO5% 5°/a 5% i% 5% 5'%a J% 5% 5%

11 条件Aの 影響 10 5% 5% 5°/v 5% 5% :}°h i%

1̀L

条件Bの 影響 10

13

1

装 置1

5

14 装置2 5

1

15 装 置3 5

ifi 特性 評価 5

17 その 他 5

I

l{)%ZO°/n20% 24% 24% 24°/a24% Z4% ?fi% 30% 35°/n40% 43% 45% J% 45% 45% 45%

総 計 1(}f) 19119. 19.8 20.z 2{}.2 20.2 20.2 )(}, 20.3 20.8 21 24.3 24.4 25 25 )j 25.5 fir}.;)

(19)

19 研究開発活動の行動科学分析

# 項H 重 み i37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50

267 3QQ 318 3&4 jai 434 X41 466 520 5琶o 614 651 68墨 688

1 追試 5 !OQ°/n

珊% 100%1⑪o%lUO%甑}% 100%100°/n1⑪o%100% 104% lli(#%100%1{1U°/a Z 合成 条件1

.

5 90%

90% 9fl% 100% lUO%1催1%lU7°follkl°/a111%lo⑪%1ao% lUO% 1(10%蜘%

3 合成 条件2

5 95% 95% 95°/v 」5°/n95% 95% 95% 95% 95% 95% 9i% 95°/a95% 95%

4 合成 条件3 J 9,5°/a95% 95% 95°/v95% 95°/v95'% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95%

5 合成 条件4 5 10% la% lf)%10°/a1⑪% 10% 10°/a lU°/a60r% ll(1%fiU% H{)% 95% 95"/0 6 試 料 の 評 価1

10

1

5% ]0% 15% ZJ% 35% 45% 45% J5% 65% 75°/v$5% 95% 95% 95%

7 試 料 の 評 価(そ の 他) 5 30% 50% iO% 5U% 5(}% 55% 55% fi5%fi;i 7{% 7t)% 70% 75% 8(1%

8 処理 条 件 5 35% 35% :i5% 50% 50% 5U% 50% 65% 7Q% 呂o% 9()% 90% 91)% 9{)"/0 9 材料 収 集 5 5Q% Sap/o50% 50% 」O% 15% 15% 7U% 85% 櫛% 85% K5'% 90% 90%

10 材料 評価 5 5% 10% 25% .35% 35% 35% 35/0 35% 35% 45% 55% 75% 75% 8[)%

11 条件Aの 影 響 iO 5% 30% 3U% 30% 30% 30'%a30% 3Q°/a3[1% 60% 6U% 75°/v95 95°/n 1z 条 件Bの 影響

.

to ?[)% 5U% 7[}% 70% 75%

13 装 置1

5 30% 3{k% 35% 35°/a35̀% 35% 35% 35°/n35% 35% 35% 9a% 95%

14 装 置2 5

?0% 20% 2U% 20% 20% '10%2⑪%

20°/a2()%:'iO°/a70% 75% 75%

15 装 置3 5 呂⑪% 90% 90%

16 特性 評価 5

.

50̀0 50% 50% 5(1% ;ii)%5;}% 65% 70°/u75%

17 その 他 :) 45% 50% 55% 60% 6U°/a65̀% 65% 65°1065% 65% 65% 75% 75% HO%

総計 10{} zs.s 33.5 3J a8.3 39.3 93.8 43.t3 47.8 .53.3 fiU.5 67.3 7y.8 ski.5 88.7

部品の光学的損失の減少を目指した︒ここで開発され 法がある︒M氏は︑主として第一の方法により︑光学 ラス内の残留イオンが光を吸い込まないようにする方 て︑残留イオンの数を減らす方法がある︒第二にはガ としては︑第︑にガラス成分を変化させることによつ オンが光を吸い込むことによる︒これを解決する方法 光学的損失が生じる原因は︑ガラス内に残留するイ .応の目標値とされた︒ される︒)M氏の研究開発では︑光学的損失ρ8匹じdが

測 さ れ る ︒ ( α ゆ は デ シ ベ ル ︒ ま た ︑ 透 過 率 は 剛 H . で 表 .小

で出光した場合︑光学的損失は一〇δぴqgH)鉱じdで計 際に失われる光を意味しており︑剴で入光した光がー 低減﹂である︒光学的損失とは︑光学部品を通過した M氏の研究開発テ!マは︑﹁光学部品の光学的損失 4M氏のR&D行動記録 はり後段に譲り︑第ご︑の事例を紹介することとする︒ (︻図8)

参照

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