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「都市型農村の研究~畑作転換による生産性向上に転用期待が与える影響~」

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都市型農村の研究

~畑作転換による生産性向上に転用期待が与える影響~ 〈要旨〉 本稿は、都市型農村の持続的な発展のためには、稲作よりも畑作から収穫される野菜等 は鮮度が重要であり都市近郊のメリットを生かせるとした上で、生産性の観点から畑作の 方が稲作に比べ高く、稲作から畑作への転換が有効であるという仮説、生産性が高い畑作 への転換を転用期待が阻害しているという仮説、これら2つの仮説に基づき、田・畑の生 産性を分析するとともに、転用期待が畑作への転換にどのような影響を与えているかの分 析を行ったものである。都市型農村のケーススタディとして対象エリアとした神奈川県に おける田・畑の生産性の分析では、稲作よりも畑作の方が生産性において有利であった。 また、転用期待は畑作への転換の阻害要因となっていることが実証分析により明らかにな った。以上を踏まえ都市型農村の持続発展のために必要な提言を述べたものである。 2010 年 2 月 政策研究大学院大学 まちづくりプログラム MJU09067 本木大一

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目次

目次

目次

目次

1 はじめに ... 1 1-1 都市型農村の現状と課題 ... 1 1-2 問題意識 ... 2 1-3 先行研究と本研究の位置づけ ... 2 1-4 論文の構成 ... 2 2 分析の方法 ... 3 2-1 分析の対象等 ... 3 2-2 採用データについて ... 3 3 実証分析 ... 4 3-1-1 耕地面積からみた生産性推計 ... 4 3-1-2 推計結果 ... 5 3-2-1 田面積・畑面積の生産性推計 ... 7 3-2-2 推計結果 ... 8 3-3-1 畑面積に転用期待が与える影響を推計 ... 10 3-3-2 推計結果 ... 11 4 考察 ... 12 5 提言 ... 13 6 おわりに ... 14 6-1-1 まとめ ... 14 6-1-2 都市型農村の発展のために ... 14 6-2 今後の検討課題 ... 15 【参考文献】 ... 16

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1 はじめに

1 1-1 都市型農村の現状と課題 神奈川県の多くの市町はその立地において、県内経済の中心である横浜や川崎はもとよ り、首都東京へも電車で 1 時間以内に移動できるという現況を有している。 こうした立地条件に恵まれていることから、県内の農業は大消費地に向けた施設園芸、 露地野菜などの畑作による鮮度が重視される農産物の出荷が盛んな側面を見せている。し かしながら、依然として水田による稲作が行われている地域も多く、市街化調整区域に広 がる水田の一角に住宅や大規模商業施設が立ち並ぶといった、バランスの悪い光景が広が っているのも本県の特徴である。 高度経済成長期からバブル経済を通じて進行した宅地の無秩序な広がりが、農業に大き なインパクトを与えたのは想像に難くない。農地から宅地への転用は、農家の農業経営ス タイルを一変させてしまった。 人口減少社会の中で農家の兼業化・高齢化の進行は、深刻な後継者不足に拍車をかけた。 現在では、農業経営規模は縮小せざるを得ないのが実状であり、それに伴って耕作放棄地 も増加の一途である。 一方、消費者は、食の安全・安心への関心を高めており、生産者の顔の見える農産物の 販売は「食の安全」に対する意識の高まりから、様々なスタイルの直売施設など地元生産 者からの農産物の直接購入が注目され、直売施設は連日多くの来場者で賑わっている。そ して、家庭菜園や市民農園など、土とのふれあいを通じて、農業に本格的に従事したいと 考える住民も決して少なくない。 こうした背景の中、都市近郊農業としての効率性を重視した農業を進めていくためには、 どういった施策が必要なのか。安易に農家保護を増やし、結果として農家家計の維持だけ が目的となった従来の政策の轍を踏むことなく、生産者である農家と消費者である都市住 民とが一体となってお互いの利益につながる都市型農村の発展に向けた一歩を踏み出すた めに何が必要なのかを考えなければならない。 1 本稿の作成にあたって、北野大樹助教授(主査)、島田明夫教授(副査)、金子健教授(副査)、 丸山亜希子助教授(副査)をはじめ、まちづくりプログラム関係教員及び学生の皆様から貴重な ご指導、ご意見を賜りました。ここに記して心よりの感謝を申し上げます。なお、本稿は個人的 な見解を示すものであり、筆者の所属機関の見解を示すものではございません。また、誤りは全 て筆者の責任であることをお断りいたします。

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2 1-2 問題意識 都市型農村を取り巻く状況は前項で述べたとおりであるが、具体的に本研究で注目した 点は、経営規模が小さい都市近郊農業の場合は、畑作の生産性が高く農業経営の観点から も効率的であるにもかかわらず、転用期待が畑作への転換の阻害要因となっているという 点である。さらに、転用期待が高まるほど、畑作転換へのインセンティブが低いのではな いかということである。 都市型農村の振興を阻害する要因の一つとして、都市近郊の農地が商業系用途としての 利用価値も高いことから発生する転用期待により、農業への投資を控えることから、生産 性向上に繋がらない面に注目した。 転用期待とは文字通り期待であり、期待通り全ての農地が転用されることは考えられな い。これが経済的な損失を生んでいると考えるものである 1-3 先行研究と本研究の位置づけ 農業の生産性及び転用期待の影響についての研究には齋藤・大橋(2008)があり、我が国の 農業発展のためには、稲作農家の転用期待収入を低下させ、小規模農家の滞留や耕作放棄 を解消していくことが必要であると述べられており、また、神門(2006)では、農地転用から 得られる期待収入により、農業の経営規模拡大が進まないとしている。 本研究においては、転用期待によるマイナス要素については先行研究と同様のスタンス であるが、人口減少社会における都市型農村の持続可能な発展の必要性という観点から、 田・畑作の生産性、転用期待が畑作転換へ与える影響を分析したという点は先行研究には 見られない部分であり、本研究の焦点である。 具体的には、経営規模が小さい都市近郊農業の場合は、畑作の方が稲作に比較して生産 性が高く農業経営の観点からも効率的であるにもかかわらず、転用期待が畑作への転換の 阻害要因となっており、さらに、畑作転換は生産性が高まるにもかかわらず、転用期待が 大きいほど、畑作転換へのインセンティブが低いのではないかという仮説である。 都市近郊の農業に焦点をあて、田畑間の生産性の違いに着目した本研究は、都市型農村 の持続発展のために一定の意義を有しているものと考えられる。 1-4 論文の構成 本稿の構成は次のとおりである。第 2 章で分析の対象等及び採用データについて述べ、 第 3 章で実証分析を行う。第 4 章で前章から得られた分析結果について考察を行う。第 5 章で考察を踏まえた政策提言を行い、第 6 章では、まとめと展望、今後の課題について述 べる。

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2 分析の方法

2-1 分析の対象等 本研究では“都市型農村”の定義を「市街地に隣接している農地の集まりである。特徴 として、転用期待が生じている可能性が高い地域である」とし、分析の対象地域は、神奈 川県内において、農業地域類型2によって都市的地域3と区分される 29 市町とした。販売農 家戸数、田・畑面積、田・畑生産額を主たる変数として 29 市町ごとの生産性推計をはじめ、 各都市の田畑間の生産性ギャップ、転用前後の面積から転用率を説明変数として、仮説で ある畑作・稲作の生産性ギャップの上昇は畑作転換につながるか 、転用期待の上昇は畑作 への転換を阻害するかについて実証分析を行った。 2-2 採用データについて 農業関連のデータは、5 年毎に行われる農林業センサスにより、相当に広範かつ詳細に収 集されている。しかしながら、5 年毎のデータであるために、直近の推移を見るには不向き な面も持っている。今回は、2000 年~2006 年の耕地面積等は農林水産省ホームページにあ る「わがマチわがムラ」のデータベース4により、データをパネルデータとして使用した。 田・畑ごとの生産性を算出するための生産額及び田畑ごとの面積、農家戸数については、 2000 年、2005 年農林業センサスデータ5を使用した。 2 短期の社会経済変動に対して、比較的安定している土地利用指標を中心とした基準指標によっ て市町村及び旧市区町村(昭和 25 年 2 月 1 日時点の市区町村)を類型化したもの。 3 可住地に占める DID 面積が 5%以上で、人口密度 500 人以上又は DID 人口 2 万人以上の旧市 区町村または市町村。 可住地に占める宅地等率が 60%以上で、人口密度 500 人以上の旧市区町 村または市町村。ただし林野率 80%以上のものは除く。 4 http://www.machimura.maff.go.jp/machi/ 5 http://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/index.html 過去のデータについては「政府統計の総 合窓口」http://www.e-stat.go.jp で参照可能である。

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3 実証分析

分析は三段階に分けて行った。内容については 3-1-1 耕地面積からみた生産性推計、3-2-1 田面積・畑面積の生産性推計、3-3-1 畑面積に転用期待が与える影響の推計、と区分した。 3-1-1 耕地面積からみた生産性推計 第一段階として、農林水産省ホームページから「わがマチわがムラ」2000 年~2006 年の 耕種生産額(田畑全体の生産額)、販売農家戸数、耕地面積を用いて、対象となる 29 市町 の生産性を最小二乗法(OLS)により推計。 推計結果より、それぞれの市町における生産性を推計。 次に、それぞれの市町における耕地面積と畑面積から畑シェア6を算出し、生産性の高さ と畑シェアの関係を分析した。 表1 基本統計量① 平均 標準偏差 最小 最大 年度 2003 2.004944 2000 2006 耕種生産額 (1000 円) 193.3399 252.1011 1 1251 販売農家戸数 621.33 627.5155 3 3040 耕地面積(ha) 713.1379 707.511 7 3160 標本数 203 第一段階の推計式は次の通りである。

    







 

























 

表2 変数の説明① Y 耕種生産額 X1 販売農家戸数 X2 耕地面積 X3~X9 年度ダミー 6 耕地面積に対する畑面積の割合。以下「畑シェア」。

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5 3-1-2 推計結果 第一段階の推計結果は次の表3の通りである。 表3 推計結果① ***、**、*は、それぞれ、1%、5%、10%水準で統計的に有意であることを示す 得られた推計値から各市町の生産性を推定した。    耕種生産額     販売農家戸数    耕地面積    耕種生産額      販売農家戸数― ! ! 耕地面積 " 生産性  #$%& これにより得られた各市町の生産性は表4の通りである。 標準誤差 t P ln販売農家戸数 0.531328 *** 0.170646 3.11 0.002 ln耕地面積 0.525602 *** 0.186789 2.81 0.005 2000ダミー 0.10066 0.123596 0.81 0.416 2001ダミー -0.02633 0.12357 -0.21 0.831 2002ダミー 0.055924 0.123559 0.45 0.651 2004ダミー 0.041634 0.123559 0.34 0.737 2005ダミー 0.108997 0.126441 0.86 0.390 2006ダミー 0.177236 0.126163 1.4 0.162 定数項 -1.85391 *** 0.209643 -8.84 0.000 重決定R2 補正R2 観測数 係数 0.9020 0.8979 203

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6 表4 各市町生産性 生産性順の結果からは、三浦市、横須賀市、茅ヶ崎市、藤沢市、逗子市、寒川町、川崎 市、鎌倉市が生産性 0.9 以上の上位 8 市町となった。 対して各市町の畑シェアで並べ替えた表の右側を見ると左表の上位 8 市がそのまま上位 に残ったわけではないが、逗子市、三浦市、鎌倉市、横須賀市、川崎市などはほぼ上位を 占めている。 逗子市、真鶴町、湯河原町については、統計上、田面積が 0 のため、耕地面積に対する 畑面積シェアは1となっている。 生産性による順位 畑シェアによる順位 都市名 生産性 畑シェア 都市名 生産性 畑シェア 三浦市 三浦市三浦市 三浦市 2.881143 0.9988 逗子市逗子市逗子市逗子市 0.969851 1 横須賀市 横須賀市 横須賀市 横須賀市 1.568864 0.992968 真鶴町 0.542747 1 茅 茅 茅 茅ヶヶヶ崎市ヶ崎市崎市崎市 1.101443 0.972305 湯河原町 0.486996 1 藤沢市 藤沢市藤沢市 藤沢市 1.086976 0.976455 三浦市三浦市三浦市三浦市 2.881143 0.9988 逗子市 逗子市逗子市 逗子市 0.969851 1 二宮町 0.571488 0.998494 寒川町 寒川町寒川町 寒川町 0.96658 0.93363 鎌倉市鎌倉市鎌倉市鎌倉市 0.923428 0.997812 川崎市 川崎市川崎市 川崎市 0.929571 0.991344 横須賀市横須賀市横須賀市横須賀市 1.568864 0.992968 鎌倉市 鎌倉市鎌倉市 鎌倉市 0.923428 0.997812 川崎市川崎市川崎市川崎市 0.929571 0.991344 大磯町 0.828308 0.982543 横浜市 0.771506 0.991003 海老名市 0.794318 0.900515 中井町 0.491211 0.989131 横浜市 0.771506 0.991003 相模原市 0.453277 0.98865 葉山町 0.739264 0.968775 綾瀬市 0.674103 0.987757 平塚市 0.728013 0.908044 大和市 0.612758 0.987272 綾瀬市 0.674103 0.987757 秦野市 0.520296 0.983168 大和市 0.612758 0.987272 大磯町 0.828308 0.982543 伊勢原市 0.575492 0.935364 藤沢市 1.086976 0.976455 二宮町 0.571488 0.998494 茅茅茅茅ヶヶヶ崎市ヶ崎市崎市崎市 1.101443 0.972305 真鶴町 0.542747 1 葉山町 0.739264 0.968775 小田原市 0.53667 0.953405 愛川町 0.392733 0.958123 秦野市 0.520296 0.983168 小田原市 0.53667 0.953405 中井町 0.491211 0.989131 南足柄市 0.365728 0.947967 湯河原町 0.486996 1 伊勢原市 0.575492 0.935364 厚木市 0.47601 0.918742 寒川町寒川町寒川町寒川町 0.96658 0.93363 座間市 0.465932 0.907854 大井町 0.404617 0.929325 相模原市 0.453277 0.98865 厚木市 0.47601 0.918742 大井町 0.404617 0.929325 平塚市 0.728013 0.908044 開成町 0.39325 0.616031 座間市 0.465932 0.907854 愛川町 0.392733 0.958123 海老名市 0.794318 0.900515 南足柄市 0.365728 0.947967 開成町 0.39325 0.616031

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7 図1 生産性・畑シェア散布図 縦軸に生産性、横軸に畑シェアを取った散布図(図 1)では、概ね畑のシェアが上昇した場 合、生産性にプラスの影響が確認できる。 3-2-1 田面積・畑面積の生産性推計 第二段階として、2005 年農業センサスの市町村データから「経営面積の状況」、「市町村 別生産農業所得統計表」を用いて、米作及び畑作に従事した農家数とそれぞれの耕地面積 を説明変数に,被説明変数に米生産額,畑生産額として最小二乗法(OLS)により推計した7 表5 基本統計量② 平均 標準偏差 最小 最大 田農家数 123.9138 244.0187 0 1185 田面積 4544.345 10275.13 0 54361 畑農家数 237.1724 420.8262 0 2486 畑面積 11434.05 23564.76 0 137692 生産額 71.27759 176.0225 0 1195 畑ダミー 0.5 0.5043669 0 1 標本数 58 7 小田原市、南足柄市、二宮町、真鶴町、湯河原町については、野菜よりも生産額が大きい果実 の生産額・農家数・面積を採用。 .5 1 1 .5 2 2 .5 3 e x p .6 .7 .8 .9 1 share

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8 第二段階の推計式は次の通りである。

   



 





 



 

 

表6 変数の説明② Y 生産額 X1 畑ダミー X2 田農家戸数 X3 田面積 X4 畑農家戸数 X5 畑面積 3-2-2 推計結果 第二段階の推計結果は次の表7の通りである。 表7 推計結果② ***、**、*は、それぞれ、1%、5%、10%水準で統計的に有意であることを示す 得られた値から各市町の生産性を推計。 【田】    田生産額     田農家戸数    田面積    畑農家戸数    畑面積    田生産額  !!   ''( 田農家戸数  (( 田面積   !' 畑農家戸数   '( 畑面積 " 生産性  #$%& 標準誤差 t P 畑ダミー 2.535709 * 1.302113 1.95 0.057 ln田農家 -0.77429 0.538797 -1.44 0.157 ln田面積 1.451224 *** 0.432471 3.36 0.002 ln畑農家 0.162979 0.248023 0.66 0.514 ln畑面積 0.711341 *** 0.213753 3.33 0.002 定数項 -6.18655 *** 1.016087 -6.09 0.000 重決定R2 補正R2 観測数 係数 0.9077 0.8981 54

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9 【畑】   畑ダミー   畑生産額     田農家戸数    田面積    畑農家戸数    畑面積   '    畑生産額  !!   ''( 田農家戸数  (( 田面積  (( 畑農家戸数   '( 畑面積 " 生産性  #$%& これにより得られた各市町の田・畑の生産性及び生産性ギャップ(田畑生産性の差)は 表8の通り。 表8 田・畑生産性及び生産性ギャップ 神奈川県 29 市町において、田及び畑の生産性は生産性ギャップが全てプラス数値の示す 通り、全ての市町で畑の方が生産性の高いものとなった。 田生産性 畑生産性 生産性ギャップ 横浜市 1.455930376 17.1897946 15.73386423 川崎市 1.025778564 14.17488855 13.14910998 横須賀市 0.472220609 28.22405006 27.75182945 平塚市 1.174458561 18.6922251 17.51776654 鎌倉市 0.813483318 14.11843249 13.30494917 藤沢市 0.985012562 21.35461296 20.3696004 小田原市 1.469314762 16.15300102 14.68368626 茅ケ崎市 0.910342991 22.35582328 21.44548029 逗子市 0 40.41250896 40.41250896 相模原市 1.421881908 16.68011197 15.25823007 三浦市 3.275802682 54.99590892 51.72010624 秦野市 1.043844058 9.419515733 8.375671675 厚木市 1.371497144 11.20830156 9.83680442 大和市 0.702014415 8.910110693 8.208096278 伊勢原市 0.905505806 10.21545176 9.309945951 海老名市 0.866367993 17.69163542 16.82526743 座間市 0.759667029 7.698905287 6.939238258 南足柄市 1.230628865 6.236985074 5.006356209 綾瀬市 0.435998386 9.555980669 9.119982283 葉山町 1.505706936 17.12181076 15.61610382 寒川町 0.939257509 14.29155265 13.35229514 大磯町 0.76568438 15.9163004 15.15061602 二宮町 0.620825618 2.614900232 1.994074614 中井町 1.12122411 9.45480908 8.333584971 大井町 0.957025259 7.228303769 6.27127851 開成町 0.8739957 17.06286115 16.18886545 真鶴町 0 4.44274251 4.44274251 湯河原町 0 6.2161849 6.2161849 愛川町 0.97054615 6.502083909 5.531537759

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10 3-3-1 畑面積に転用期待が与える影響を推計 第三段階として、第一段階・第二段階の推計で得られた田・畑の生産性ギャップ及び 2000 年~2004 年転用面積の合計/2000 年~2004 年耕地面積の合計から転用確率を算出し、転 用確率=転用期待として、転用期待の高まり及び田畑生産性ギャップが 2005 年の畑面積に どのような影響を与えているかを最小二乗法(OLS)により推計した。なお、ダミー変数とし て、町部より市部の方が面積も大きく人口規模も大きいことから市を対象に「市部ダミー」 を、神奈川県内の経済の中心地でもある横浜市から概ね 30 分で電車移動が可能な地域を「横 浜近郊ダミー」対象地8としてそれぞれダミー変数を使用した。 表9 基本統計量③ 平均 標準偏差 最小 最大 2005 年畑面積 562.069 617.8367 9 2912 畑生産性 15.38413 10.8932 2.6149 54.99591 生産性ギャップ 14.41606 10.61499 1.994075 51.72011 転用確率 0.0218005 0.021317 0.0023813 0.1122162 市部ダミー 0.6551724 0.4837253 0 1 横浜近郊ダミー 0.3448276 0.4837253 0 1 標本数 29 第三段階の推計式は次の通りである。

    







 



 

 

 

 

表10 変数の説明③ Y 2005 年畑面積 X1 畑生産性 X2 生産性ギャップ X3 転用確率 X4 市部ダミー X5 横浜近郊ダミー 8 横浜市、川崎市、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、相模原市、大和市、海老名市

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11 3-3-2 推計結果 表11 推計結果③ ***、**、*は、それぞれ、1%、5%、10%水準で統計的に有意であることを示す 表11の推計結果からは、転用確率がマイナスの値を示し 10%水準での有意が確認でき、 市部ダミーに 1%水準の有意が示された。一方、畑の生産性及び生産性ギャップ、横浜ダミ ーについては有意水準が示されず、畑生産性はプラスの値で生産性ギャップ、横浜ダミー にはマイナスの値が示されている。これらは、転用確率の上昇が畑面積の増加に対しマイ ナスに作用するとともに、市部は畑作化が進行していると考えることができ、一方、有意 水準を得られなかった3つの変数については、畑の面積に対し影響を与えていないと考え ることができる。 以上から、他の要因を一定にした場合、転用確率の上昇が畑面積の増加に対しマイナス の影響を与えることが 10%の水準で有意に示された。 標準誤差 t P ln畑生産性 3.523515 4.385313 0.80 0.430 ln生産性ギャップ -3.4537 4.137972 -0.83 0.413 ln転用確率 -0.62232 * 0.333032 -1.87 0.074 市部ダミー 1.699354 *** 0.521494 3.26 0.003 横浜ダミー -0.36277 0.59048 -0.61 0.545 定数項 1.693248 1.903439 0.89 0.383 重決定R2 補正R2 観測数 係数 0.4463 0.326 29

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4 考察

第一段階の分析から第三段階の分析の結果により、次の点が示された。 ①生産性の高い市町に見られた特徴 ・ブランド品種…野菜生産性が高い三浦市においては、三浦ダイコンをはじめ多くの農 産物が全国的にも有名である。 ・消費地近接…都市型農村のうちでも、横須賀市、藤沢市、川崎市などはいずれも人口 規模が大きく、大規模な消費地を有する。 ・地産地消…寒川町は人口規模も農業規模も小さいながら、「わいわい市」と称した地場 産作物の直売所を設け、近隣市からも買い物客が訪れている。 ②生産性は田よりも畑の方が高い ・都市型農村の持続可能な発展には、生産性の観点から畑作への転換が有効である。 ③転用期待は畑作転換への阻害要因の一つである ・転用期待の増加は畑面積の増加に対し有意にマイナスの影響を与える。 ④阻害要因の排除が畑作転換への流動化を高める ・生産性ギャップはプラスに働いているが有意水準に満たないため、転用期待の排除が 畑作転換への流動化を最も高める要因となる。

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5 提言

分析結果を考察し、次の 2 点を提言として述べる。 【①農地転用期待の排除】 転用期待が高まる理由に農地から宅地への転用における利得が大きいことが考えられる。 特に都市近郊農地は宅地開発源となっている場合が多く、農地売却で莫大な利益を得ると いう事例が見受けられる。これが畑作への転換が進まないことの障害になっている。この ことから、転用から得られる利得をできる限り減らす政策を推進する必要があると思われ る。例えば、土地譲渡課税の強化などは転用利得の抑制に非常に大きな効果が期待できる と思われる。 また、農地から宅地への転用ではなく、農地としての取引を推進することは、離農農家 や担い手不足により耕作放棄される農地からの集積が可能になる点にも注目したい。しか しながら、農地法における農地所有制限が足かせになっており、農地の集約化を阻害して いる。こうした規制の撤廃により、農地の流動化を図ることが必要である。 【②畑作のさらなる生産性向上が畑作転換のインセンティブに】 第三段階の推定結果では、生産性ギャップの増加には有意水準が示されなかったが、第 一段階及び第二段階の結果から、地域ブランド品目の創設や地産地消推進などで生産性を 高めている市町同様に、畑作で収益を増やすという動きを活発化させることが、畑作転換 へのインセンティブにつながるものと考えられる。 生産者の行動として、消費者である都市生活者が味・安全・安心につながる食べ物とし ての野菜を求めているということを認識し、生産者はそのニーズに応えることで商品の交 換価値が高まることを理解する必要がある。ニーズにマッチした行動により、農産物に付 加価値が発生し、利益を十分に上げることができるということを生産者自身が認識すべき である。 さらに、都市型農村は消費地に近接しているという地の利があることから、これを活用 して、地産地消を進めることは、輸送コストの軽減からも有効である。また、従来の卸売 市場への出荷規格では、規格外農産物の自家消費や廃棄につながり、農家の生産モチベー ションに悪影響を及ぼしていたが、独自の出荷規格を創設することで、無駄の出ないやり がいのある農業とすることが可能となる。こうした市街地の地域特性を生かした新たな流 通・販売ルートの開拓を行うことが、都市型農村の持続的な発展に必要である。

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6 おわりに

6-1-1 まとめ 本稿は、都市型農村の持続的な発展のためには、どういった農業が必要かという観点に 立ち研究を行ったものである。都市型農村とは市街地に隣接している農地の集まりで、転 用期待が生じている可能性が高い地域と定義したわけであるが、対象エリアとした神奈川 県は、逆の視点からすれば「農地に隣接した市街地」に横浜・川崎といった大消費地があ り、鮮度の高い野菜が出荷できる距離にある。そして、消費者である都市生活者は、食の 安全・安心への関心を高めているという現状がある。 こうした背景の中で、都市型農村には稲作よりも生産性の高い畑作への転換が必要であ るとし、さらに畑作への転換は、農地から宅地へと転用される転用期待によって阻害され ているのではないかという仮説を立て実証を行ったものである。 分析結果については、畑作の生産性の優位が示され、転用期待が畑作への転換にマイナ スの影響を与えていることが実証された。そして分析結果からは、転用期待を排除するこ とと畑作の生産性をさらに向上させることで畑作転換へのインセンティブを上げると結論 付けたものである。 しかしながら、農地転用の利得を法改正等により抜本的に排除することが難しい中では、 やはり農業そのものが発展していくことが求められる。都市型農村の持続的な発展は、一 定の意味があると考えられる。 6-1-2 都市型農村の発展のために 本研究の結果を踏まえ、都市型農村の持続的な発展のために、畑作への転換推進に向け て何を行っていくべきなのか。 やはり、消費者にとって地元の新鮮な農産物を求めやすい環境が必要であり、そのため には、都市型農村に地域住民が積極的に参加できる環境にしていくことである。 例えば直売所や農業公園といった住民が集まる施設も必要であるかもしれないが、農家 自身が、これまで以上に積極的に住民とのつながりを大切にしていくことが重要である。 いわゆる開かれた農業が必要である。それには、これまでの農家中心で出荷をして終了と いう「自己完結型農業」から、地元の消費者を巻き込んだ形で継続していく「地域完結型 農業」へ9という考え方が都市型農村の持続的な発展のために必要であると思われる。 地域社会と密着した形態で営まれる農業は、地域住民は「身近な消費者」であるととも に、新たな農業の担い手になる可能性も秘めている。これまでの中核農家や担い手後継者 9 竹中 二木『どっこい生きてる都市農業』農林統計協会 P59-P64

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15 論を排した、誰でも取り組むことができる自由度の高い農業が都市型農村の主軸になる可 能性もある。 また、県内における都市型農村の成功事例には、地域のスーパーマーケット等と野菜契 約販売を行うことで、零細な都市農業でも有利な販売ができるルートを開拓した事例や、 地域野菜ブランドの創設により野菜の一括販売方式で地場野菜をアピールするといった事 例10も見られ、まさに先手必勝、アイデア次第で、都市型農村は活発化していくものと考え られる。 6-2 今後の検討課題 今回の実証分析は、時間やデータの制約もあったことから、神奈川県に対象エリアを限 定し、基本となるデータも生産額及び農家戸数、田畑面積という非常にラフな分析を行っ たわけであるが、埼玉県や千葉県など、神奈川県同様の大都市近郊都市においても同様の 結果が得られるのかどうか非常に興味深い点である。また、労働投入量や農地の規模等の 影響、また転用コスト等を加えた、精度の高い分析を 2010 年農林業センサスのデータを取 り入れ、継続した研究を行うことは、さらに大きな成果に結びつく研究であると感じてい る。 さらに踏み込んだ提言のためには、農業の集積化による効果に着目した分析、 例えば営 農組合設立や株式会社の全面参入の効用についても、今後のデータ蓄積により分析も可能 になると思われる。 10 横浜市舞岡地区の事例 ブランド野菜「ハマッ子」

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【参考文献】

・蔦谷栄一(2009)『都市農業を守る 国土デザインと日本農業』家の光協会 ・山下一仁(2009)『農協の大罪「農政トライアングル」が招く日本の食糧不安』宝島社 ・藤谷築次 荏開津典生(1992)『概説現代の日本農業』家の光協会 ・竹中久仁雄 二木季男(1997)『どっこい生きてる都市農業―参加型地域社会とアグリマー ケティング―』農林統計協会 ・荏開津典生(1997)『農業経済学』岩波テキストブック ・奥野正寛他(1998)『農業問題の経済分析』日本経済新聞社 ・森島賢 秋野正勝(1982)『農業開発の理論と実証』養賢堂 ・神門善久(2006)『日本の食と農 危機の本質』NTT 出版 ・藤栄剛(2008)「農業環境政策の経済分析―滋賀県の環境農業直接支払制度を対象として―」 ・渡辺利治(2005)「株式会社の農業参入と農地法性の変容」 ・国光洋二(1991)「稲作における基盤整備の効果に関する計量分析」 ・八木洋憲 八木宏典(2006)「農地の生産性の把握方法論の展開」 ・農林水産省(2009)「耕作放棄地再生利用緊急対策の概要」 ・農林水産省(2009)「早わかり農林水産省政策」 ・清水徹朗(2003)「農業財政の現状と改革の課題」

参照

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