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Academic year: 2022

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(1)

平成

24

年度  分担研究報告書

分担研究課題名:コレラ菌のゲノム進化と病原性

研究分担者  森田昌知      国立感染症研究所  細菌第一部 研究協力者  泉谷秀昌      国立感染症研究所  細菌第一部 大西  真      国立感染症研究所  細菌第一部

研究要旨

コレラ流行地における

Vibrio cholerae

の変遷について基盤情報を得るため、

multilocus variable number

tandem repeat analysis

による分子疫学解析を行った。インド国立コレラ及び腸管感染症研究所より提供

された供試菌株は全て

El Tor variant

V. cholerae

であったが、MLVAによるクラスター解析では比較 的高い遺伝的多様性を示した。しかしながら、他のアジア各国由来の菌株との比較ではインド由来株 でクラスターを形成し、コレラ流行株に地域性があることが示唆された。

A.

研究目的

Vibrio cholerae

200以上の血清群に分類され、

自然環境中では淡水、海水、汽水域と広く分布し ている。それらの中でコレラの流行を引き起こす 原因菌は、血清群

O1

及び

O139

V. cholerae

に 限定されており、コレラの典型的な症状を引き起 こす主要な病原因子はコレラ毒素であることが 知られている。また

V. cholerae O1

には生化学的 性状の違いから

classical

型と

El Tor

型の生物型が 存在する。1961 年にインドネシア、スラウェシ 島を発端とする

El Tor

V. cholerae

によるコレラ の流行は世界中に広がり、現在の世界のコレラは すべて

El Tor

型による。

しかしながら

1990

年代以降、アジア地域で分 離されるほとんど全ての

El Tor

V. cholerae

が、

コレラ毒素

B

サブユニット遺伝子(375 bp)の

115

番目と

203

番目の塩基に変異のある

El Tor

V. cholerae

(El Tor variant型

V. cholerae)である

ことが明らかとなり、流行株の遷移が確認された。

さらには、2010 年に起きたハイチにおけるコレ ラの流行を契機に上記

2

カ所の変異に加え、58 番目の塩基に変異のある

El Tor

V. cholerae

(Haitian variant型

V. cholerae)が発見された。そ

の後の研究により

Haitian variant

V. cholerae

2000

年代に出現したことが明らかとなり、現在 アジア地域においては

El Tor variant

V. cholerae

Haitian variant

V. cholerae

の両者が分離され ている。

このように世界流行の最中において

V. cholerae O1

は変異を繰り返しており、今後も新たなコレ ラ流行株の出現が予想される。コレラの世界流行 の中心はベンガル湾であることを鑑みると、イン ド国立コレラ及び腸管感染症研究所(National

Institute of Cholera and Enteric Diseases、NICED)

で保存されている

V. cholerae

の分子疫学解析は 重要である。そこで本研究課題では

NICED

より 提供された

V. cholerae

のゲノム

DNA

を用いて、

ゲノム情報を元にした分子疫学解析手法を確立 するとともに、コレラ流行株の進化系統を明らか にすることを目的とした。

B.

研究方法

1994

年から

2004

年にインドで分離された

42

株の

V. cholerae O1

のゲノム

DNA

NICED

より

(2)

提供してもらい、実験に用いた。

PCR

により

ompW

遺伝子と

ctxAB

遺伝子の増幅が確認された

試料について、7 遺伝子座を用いた

multilocus variable number tandem repeat analysis(MLVA)を

行い、Bionumerics ソフトウェアによる分子疫学 解析を行った。また、シーケンスにより

ctxB

の 遺伝子型を決定した。

C.

研究結果

  提供を受けた

42

株のゲノム

DNA

にうち、

ompW

遺伝子と

ctxAB

遺伝子の増幅が確認された

ものは

29

株であった。ctxB遺伝子型別の結果、

全ての菌株が

El Tor variant

V. cholerae

であり、

El Tor

V. cholerae

及び

Haitian variant

V.

cholerae

は無かった。

29

株のクラスター解析の結

果を図

1

に示す。供試菌株は単一の

MLVA

型を 示さず、遺伝的多様性は比較的高かった。

また当研究所に保存されている日本国内で分 離されたアジア各国からの輸入事例に由来する

V. cholerae

菌株を含めたクラスター解析結果を図

2

に示す。

NICED

より提供された菌株を含むイン

ド関連の菌株は遺伝的に多様性があるものの、他 のアジア各国に関連する菌株とは異なるクラス ターを形成した。

D.

考察

V. cholerae

は自然環境中において溶原性ファー

ジや自然形質転換を介した遺伝子の水平伝播に より、病原性に関わる因子や環境中での生存に有 利な因子のやりとりをしている。その過程におい て、新たなコレラ流行株が出現したことが考えら れる。今回は流行株として、1994年から

2004

年 にインドで分離された

El Tor variant

V. cholerae

を用いた。アジア地域におけるコレラの現状を把 握し、流行株の変遷を明らかにするためには、以 前の流行株である

El Tor

V. cholerae、近年出現

し た と 考 え ら れ て い る

Haitian variant

V.

cholerae

も同様に解析し、コレラ流行株の分子疫

学情報を蓄積し、データベース化する必要がある。

本研究課題では

NICED

との国際的な共同研究 を行い、中長期的な連携体制を築くことを目指し ている。今後も継続して

NICED

から研究試料の 提供を受け、コレラ流行株の分子疫学情報を共有 することで、ラボラトリーネットワークを強化し、

アジア地域における新規コレラ流行株の監視体 制を整えたい。

E.

健康危機情報 特に無し。

F.

研究発表 特に無し。

(3)

1

 

NICED VC-3

VC

NICED

より提供された

VC-5

VC-6

より提供された

V. cholerae

VC-7

)のリピート数、分離年及び菌株名を

V. cholerae 29

菌株の

)のリピート数、分離年及び菌株名を 菌株の

MLVA

)のリピート数、分離年及び菌株名を

MLVA

クラスター解析。各遺伝子座(

)のリピート数、分離年及び菌株名を示す

クラスター解析。各遺伝子座(

示す。

クラスター解析。各遺伝子座(

VC-1 1

VC-2

(4)

2

  アジア地域由来

V.cholerae

MLVA

クラスター解析。

NICED

より提供された菌株を含むインド 由来の菌株を四角で示す。

100

80

60

40

20 VC-1 VC-2 VC-3 VC-5 VC-6 VC-7 VC-8

9 4 4 6 4 12 25

7 4 4 7 3 28 20

7 4 4 7 3 26 20

7 4 4 7 3 26 14

11 4 4 6 3 15 24

9 4 4 6 3 15 18

8 4 4 4 3 7 21

8 4 4 6 3 25 31

10 4 4 6 3 16 21

10 4 4 8 3 14 36

11 7 3 3 9 11 19

10 7 3 3 9 12 18

10 7 3 3 9 12 18

7 7 3 3 8 12 24

8 7 3 3 8 13 30

8 7 3 3 8 13 31

8 7 -2 3 9 8 20

10 7 -2 4 4 14 18

11 7 -2 4 7 15 19

11 7 -2 4 7 15 19

12 7 -2 5 7 15 16

12 7 -2 5 7 15 16

9 7 4 3 8 22 17

9 4 4 3 6 19 22

9 7 5 3 6 7 9

9 7 5 3 6 17 15

9 7 5 3 6 17 15

9 7 5 3 6 19 18

9 7 5 3 6 19 16

9 7 5 3 6 19 16

9 7 5 3 6 19 16

9 7 4 3 6 20 19

9 3 -2 4 6 18 17

9 3 5 4 6 19 17

9 8 5 4 6 16 14

9 8 5 4 6 17 7

9 8 4 4 6 17 13

9 7 5 4 7 18 15

9 7 5 4 6 18 13

9 7 5 4 6 18 13

9 7 5 4 6 15 10

9 7 5 4 6 16 10

9 7 5 4 6 14 10

10 7 5 4 6 13 11

10 7 5 4 6 13 11

10 7 5 4 6 17 11

9 7 4 4 6 9 12

9 7 4 4 6 17 12

10 7 4 4 6 13 12

10 6 4 4 6 17 12

10 6 4 4 6 17 11

11 6 4 4 6 15 13

11 8 4 4 6 15 12

10 8 4 4 6 15 11

10 8 4 4 6 15 13

10 8 4 4 6 15 12

10 8 4 4 6 15 12

6 6 4 4 8 12 13

10 6 4 4 8 16 22

10 6 4 4 8 16 23

9 6 4 4 8 17 23

9 6 4 4 8 16 25

9 6 4 4 8 16 24

11 6 4 4 8 14 27

11 6 4 4 9 16 20

11 7 4 4 7 18 17

9 7 4 4 7 23 14

10 7 4 4 7 15 14

6 7 4 4 5 17 24

9 7 4 4 5 17 24

8 7 4 4 5 16 24

9 7 4 5 5 16 25

9 7 4 4 5 18 22

9 7 4 4 5 17 23

9 7 4 4 5 16 23

9 7 4 4 5 16 23

9 7 4 4 5 16 23

9 7 4 4 5 16 23

9 7 4 4 5 16 23

9 7 4 4 8 16 23

9 7 4 4 8 16 24

9 7 4 4 8 16 26

9 7 5 4 5 16 25

9 7 5 4 5 17 26

10 7 4 4 9 9 29

8 7 4 3 9 17 25

8 7 4 4 9 18 21

8 7 4 4 9 18 25

8 7 4 4 9 21 24

8 7 4 4 9 20 24

7 7 4 4 9 19 25

8 7 4 4 10 21 20

7 7 4 4 8 13 21

7 7 4 4 8 18 24

8 8 4 4 8 12 22

8 7 4 4 8 19 23

8 7 4 4 8 12 20

8 7 4 4 8 18 22

8 7 4 4 8 16 20

8 7 4 4 8 16 22

8 7 4 4 8 16 25

8 7 4 4 8 16 25

8 7 4 4 8 16 21

6 7 4 4 8 17 21

8 7 4 4 8 17 21

8 7 4 4 9 17 21

8 7 4 4 6 17 21

図 1   NICED VC-3 、 VC NICED より提供されたVC-5、VC-6、より提供された V. cholerae、VC-7 )のリピート数、分離年及び菌株名をV
図 2   アジア地域由来 V.cholerae の MLVA クラスター解析。 NICED より提供された菌株を含むインド 由来の菌株を四角で示す。 10080604020 VC-1 VC-2 VC-3 VC-5 VC-6 VC-7 VC-89446412 257447328207447326207447326141144631524944631518844437218446325311044631621104483143611733911191073391218107339121877338122487

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