GAIDAI BIBLIOTHECA
No.209●表紙で紹介する貴重書
今年はヘボン式ローマ字の考案者として知られ るジェーム ズ・Ｃ・ヘ ボ ン（1815-1911）の 生 誕 200 年にあたります。彼は医学博士号を持つアメ リカ長 老 派 の宣教師 で、来日するまでにシンガ ポールや中国の厦門で布教活動を行っていました。 彼が初めて神奈川へ上陸したのは日米通商条約 が締結された翌年の1859（安政六）年のことで した。この頃は、まだ徳川幕府によってキリスト 教の布教は禁じられており、これを断念して寺院 に診療所を開いて奉仕活動に力を注いでいたとい われています。
また、1863（文久三）年からは夫人と共に横浜 で塾（後の明治学院大学）を開いて日本人の英語 教育にも取り組み、同時に彼自身の日本語力も向 上させました。彼はその場で和英辞典の必要性を 痛感したようで、日英対照の言葉を集めて作り上 げたのがこの辞書です。こうして編纂は横浜で行 われましたが、当時の日本には洋装本の作製技術 がなかったため、印刷と製本は上海に赴いて1867
（慶応三）年に完成させました。
その結果、この『和英語林集成』は「平文先生」 の編譯として多くの人たちに利用され、明治時代 に編纂された同種の辞書に影響を与えることにな ります。
なお、彼が発案したヘボン式ローマ字は、丸屋
（現在の丸善）に版権が移った第 3 版（明治十九 年刊行）より使われています。 （榎）
形態：xii, 558, 132 頁 26.5×18.5cm
Hepburn, James Curtis［ed.］
“A Japanese and English Dictionary”
ヘボン編『和英語林集成』
（横浜梓行）Shanghai, 1867（慶応三）年
ジェームズ・Ｃ・ヘボン生誕200年
表紙で紹介する貴重書
3
最新 Up-to-date な本
4
研究者と図書館
学生時代と図書館91
「有益なる怠慢」
布施将夫 5
佛蘭西書巡覧34 平山弓月 6
Extensive Reading in a Foreign Language（2）
「多読を効果的に進める方略とは」
多読指導研究グループ 7
中国のほんの話（69）
LIBRAIRIE AVANT-GARDE 先鋒書店 〜中国における民営書店のさきがけ〜
蔭山達弥 8
図書館運営委員からの寄稿
スペイン語圏を知る本（その75）
『宮廷人ベラスケス物語』
坂東省次 9
OFFICE NEWS
オフィス・インフォメーション 10〜11
図書館の利用状況 12
寄贈図書案内 13
社会に貢献している本学図書館の貴重書 14 私たちは世界に広がる『源氏物語』を収集しています 14
夏の図書館を詠む 15
データベース紹介 16
学生と図書館（Good memories of your school days)
「私のファッション学（4）」
寺田千紘 17
私が選ぶ主題別書誌データベース（4）
ムーミンの世界
菊田瑛子 18
案内絵ハガキから見た貴重書展示会のイメージ（23）
日本人を魅了してきたドイツの書物
長尾星蘭 19
わたしの好きな昔話（25）
『海月』（ちりめん本）
巽 祐希 20
図書館のアルバイトを通して（5）
〜一連の作業から得られる達成感〜
田口佳澄 21
ライブラリー・スケッチ
「ディケンズ像」
小川遥香 22
図書館員の文献紹介と資料の活用
7月のピックアップコーナー
「日本の史跡」
稲垣宏行 22
マガジンラック（50）
「知っていますか?図書館の雑誌」
栄 咲子 23
本学図書館のスペシャル・コレクションより（42）
佐藤顕理とその書物の話
奥 正敬 24・25
シリーズパソコン周辺機器 ㉞
「日外 magazineplus 目次ASPサービス」
宮杉 浩 26
名作再読、拾い読み（32）
『悲しき酒場の唄』（2）
( “The ballad of the sad cafe” )
小澤文彦 27
おこしやす、図書館へ
「言語学、はじめの一歩（24）」
入学直哉、藤井達也 28
日本の歴史43
『地図で読む『古事記』『日本書紀』 』
稲垣宏行 29
Book Review Corner 30・31
図書館利用案内
ライブラリー・カレンダー 2015（7月〜9月）
32
本書はスペシャル・コレクション
