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「分担課題名;小児がん拠点病院による小児がん医療提供体制の検討」

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業) 

小児がん拠点病院を軸とした小児がん医療提供体制のあり方に関する研究  分担研究報告書

「分担課題名;小児がん拠点病院による小児がん医療提供体制の検討」

研究分担者    後藤  裕明    神奈川県立こども医療センター血液・再生医療科  部長

研究要旨;神奈川県立こども医療センターには 2015 年に小児がんセンターが設置され た。小児がんセンターは小児がん診療に関わる複数の部門を統括し、診療における取組 を効率化し、さらに地域における他の小児がん診療施設との連携の充実をつうじて、地 域全体における小児がん医療の向上を目指して活動を行っている。小児がんセンターの 活動実績を中心に神奈川県立こども医療センターにおける小児がん医療提供体制の改 善に向けた取り組みを評価し、問題点の抽出を行った。 

A.研究目的

  2012年に小児がん拠点病院の制度が制 定され、神奈川県立こども医療センター は関東甲信越地区の地域拠点病院として 指定を受けた。小児がん拠点病院に求め られる役割として、専門的な集学的治療 の提供のほか、患者とその家族に対する 心理社会的な支援、適切な療育・教育環 境の提供が挙げられている。さらに小児 がん医療従事者の育成と教育において地 域の中心的な役割を果たし、地域におけ る他の小児がん診療施設の牽引役となり、

それらとの連携をつうじて地域全体の小 児がん診療の質の向上に資することが求 められる。

  小児がん拠点病院の指定以来、神奈川 県立こども医療センターでは拠点病院に 求められる役割を果たすために様々な取 組を重ねており、その内容と課題につい て評価を行った。

B.研究方法

  2015年に神奈川県立こども医療センタ ー内に小児がんセンターが設置された。

小児がんセンターは小児がん診療に関わ る複数の部門を統括し、診療への取り組 みを効果的に推進するとともに、地域に 向けた情報発信の役割を担う。小児がん センターの役割には集学的治療の提供、

小児がん治療終了後の長期フォローアッ プ、小児がん患者およびその家族に対す る相談支援、緩和ケアの提供、地域連携 の推進などが含まれ、それぞれの項目に おける実績を評価した。

(倫理面への配慮;本研究は人を対象と する医学研究には相当しない。)

(2)

C.研究結果

  ○集学的治療の提供

  神奈川県立こども医療センターにおけ る平成24 年〜26 年における新規診断小 児がん患者数は、平成24年 59件(うち 固形腫瘍 24 件)、平成 25 年 68 件(同 40件)、平成 26年 58 件(同29件)で あり、小児がん拠点病院指定前後で新規 患者数の変動はみられなかった。一方で、

他院からの小児がん紹介患者数は平成24 年 69件、平成25 年 81 件、平成26 年 146件であり、増加が認められた。

○長期フォローアップ体制の整備 小児専門看護師による造血細胞移植後 患者長期フォローアップ外来を開始し、

平成 27 年6 月から同 12 月末までに11 件の新規外来開始患者があった。

小児内分泌専門医による小児がん経験 者内分泌外来が、特に内分泌学的合併症 の危険性が高い造血細胞移植患者、脳腫 瘍患者を対象に行われ、平成27 年に 12 件に新規外来開始患者があった。

○地域連携

小児病院として、特にAYA世代小児が ん経験者の成人診療科への移行が大きな 課題である。小児がん経験者の成人診療 科への移行について、県内の成人診療施 設である神奈川県立がんセンターとの第 一回の協議会が平成27年12月に開催さ れ、問題点の抽出が行われた。小児がん 経験者における晩期障害のスクリーニン グ検査を成人診療科がどのように担当す べきか今後も検討を継続することとなっ た。

地域における小児がん診療施設との連 携を充実させるために、神奈川県小児が ん診療体制連携協議会、横浜市小児がん 診療連携病院協議会を開催し、小児がん

診療に関する情報交換を行った。

○相談支援

小児がん相談支援室が担当した小児が ん患者および家族への相談件数は平成25 年が617件、平成26年が882件であり、

増加傾向が認められた。

  ○緩和ケア

  平成 27 年に緩和ケアチームが診療に 介入した新規入院患者は23件であった。

  ○研修

  小児がん患者とその家族、および小児 がん医療従事者の研修を目的として、小 児がんセンターとして下記の研修会等を 企画、開催した。

・小児がんセミナー(院内を中心とした 診療従事者、年2回)

・小児緩和セミナー(院内外の診療従事 者、年3回)

・小児がん看護研修(関東甲信越ブロッ ク小児がん診療施設、年2回)

・小児がん相談支援セミナー(小児がん 支援者、年1回)

・血液・再生医療科家族教室(院内患者、

家族、年2回)

・小児がん栄養サロン(院内患者、家族、

年3回)

・小児がん経験者の会(院内外の小児が ん経験者、年1回)

・小児がん家族サロン(院内の小児がん 患者家族、年1〜2回)

・小児がん市民公開講座(一般市民、年 1回)

D.考察

  ○集学的治療の提供

  小児がん拠点病院指定後も新規診断患 者数に変化はみられなかった。ただし、

新規患者の約半数は固形腫瘍患者であり、

(3)

集学的治療が提供できる拠点病院として の特徴がみられる。また、他院からの紹 介患者数については増加傾向がみられ、

治験参加や造血細胞移植、外科治療を目 的とした再発・難治疾患患者の診療途中 における転院数が増加していると思われ た。小児がん拠点病院と地域の他の小児 がん診療施設との役割分担と医療連携が 緩やかに進みつつあるものと思われた。

  ○長期フォローアップ

  内分泌学的問題は小児がん経験者にお いて問題となる主たる晩期障害であり、

内分泌科による小児がんを対象とした外 来設置により晩期障害のスクリーニング および治療がより充実して行われること となった。一方で成人移行期の診療継続 については、具体的な解決策が本年度も 示されておらず、今後の検討課題として 持ち越されている。

  ○地域連携

  神奈川県立こども医療センター小児が んセンターを中心に、横浜市、神奈川県 域の他の小児がん診療施設等との連携が 行われるようになったが、今のところ連 携の充実に向けた話し合いが行われてい るのみで、診療や患者支援において改善 につながっているかの評価は難しい。

  ○相談支援

  小児がん相談支援室の設置により、小 児がんに関する相談事項(件数)が集約 化して把握されるようになったのは進捗 と思われる。ただし、他院との客観的な 比較が可能な相談内容に関する整理が未 整備である。また、他の小児がん診療施 設に入院、通院している患者や家族から の相談はまだ少なく、広報活動の充実が 必要と思われた。

  ○緩和ケア

  平成27年の緩和ケア実績は、小児がん 患者主治医から緩和ケアチームに対し書 面による介入依頼があった件数のみの評 価である。今後は、全ての小児がん患者 に対し緩和ケアチームからの直接的、間 接的な診療支援が行われるように体制の 改善が必要である。

  ○研修

  小児がんセンターが設置され、小児が んをテーマとした多くの研修会等が開催 された。多くは院内の診療者や患者およ び家族を対象としており、今後は院外へ 向けた広報活動が必要であると思われた。

また、研修会等の効果についても評価を 行うことが必要であると考えられた。

E.結論

  小児がん拠点病院の指定、小児がんセ ンターの設置により再発・難治疾患の診 療件数増加などの診療内容の変化が認め られた。小児がんをテーマとした研修を 複数行うなど、小児がん拠点病院として 役割を果たすための努力があった一方、

長期フォローアップ体制の充実、成人移 行期の問題、小児がん相談および小児が ん研修に関する院外への広報活動、すべ ての小児がん患者への緩和ケア提供が未 解決な問題として残されており、来年度 以降、より積極的な改善に向けた取り組 みが必要である。

F.健康危険情報

(総括研究報告書にまとめて記入)

G.研究発表 1.論文発表   該当なし。

2.学会発表

(4)

  該当なし。

H.知的財産権の出願・登録状況     (予定を含む)

1.特許取得 該当なし。

2.実用新案登録   該当なし。

3.その他   特記事項なし。

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