システム開発 21-F-14
電気制御機器の梱包材排出量削減方策 に関するフィージビリティスタディ
報 告 書 ー要旨ー
平成22年3月
財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会 委 託 先 社団法人日本電気制御機器工業会
サ ー チ 研 究 所
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
http://ringring-keirin.jp
序
わが国経済の安定成長への推進にあたり、機械情報産業をめぐる経済的、社 会的諸条件は急速な変化を見せており、社会生活における環境、都市、防災、
住宅、福祉、教育等、直面する問題の解決を図るためには技術開発力の強化に 加えて、多様化、高度化する社会的ニーズに適応する機械情報システムの研究 開発が必要であります。
このような社会情勢の変化に対応するため、財団法人機械システム振興協会 では、財団法人JKAから機械工業振興資金の交付を受けて、システム技術 開発調査研究事業、システム開発事業、新機械システム普及促進事業を実施し ております。
このうち、システム技術開発調査研究事業及びシステム開発事業については、
当協会に総合システム調査開発委員会(委員長:東京大学名誉教授 藤正 巖氏)
を設置し、同委員会のご指導のもとに推進しております。
本「電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関するフィージビリティスタデ ィ」は、上記事業の一環として、当協会が社団法人日本電気制御機器工業会に 委託し、実施した成果をまとめたもので、関係諸分野の皆様方のお役に立てれ ば幸いであります。
平成22年3月
財団法人 機械システム振興協会
はじめに
梱包材の処分問題は、環境面、コスト面から業界の多大な負担となっており、
この問題解決は業界の社会的責任を果たす上で喫緊の課題となっています。
梱包材の削減に向けては個々のメーカーなどにおける取り組みが前提となる ものの、梱包材料の開発から、回収システムの構築に至るまで社会システム全 体にわたる課題が多く、業界のみでの解決には限界があり、このような状況を 受け、社団法人日本電気制御機器工業会では、平成 20 年度に財団法人機械シス テム振興協会からの委託を受け、電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関す る調査研究を実施し、①共同配送などで、オリコンを利用して配送することが 有効である。②しかしながら、多数の顧客に少量の配送を実施するケースでは、
路線便の利用が必要となる場合があり、梱包材や緩衝材の削減のために、梱包 材や梱包システム自体を新規にする必要がある。③いずれのケースにおいても、
当工業会会員企業が具体的に梱包材削減を実施するに際して、コスト面、環境 負荷面、安全面などからの実行可能性の確認が必要である。という結論に至っ ています。
本年度は、これら結論を踏まえ、共同配送による梱包材削減と路線便利用に よる梱包材削減の可能性といった二つの大きなテーマを掲げ、①梱包材削減の 観点から見た共同配送によるオリコン管理とリターナブル化による梱包材削 減の可能性の検証、②路線便利用のための梱包材、緩衝構造の開発・試作、③ 紙ベースでの新規緩衝材の開発、④制御機器を配送する場合の輸送評価試験方 法と梱包方法のガイドライン化、について検討を行いました。
本「電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関するフィージビリティスタデ ィ」が、関係諸分野の皆様のご参考に寄与すれば幸甚です。
本 F/S のために、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。ここに改 めて御礼を申し上げます。
平成22年3月
社団法人 日本電気制御機器工業会
会 長 舩 木 俊 之
目 次
序 はじめに
1
F/Sの目的 ··· 1
2
F/Sの実施体制 ··· 2
3
F/S成果の要約 ··· 5
3.1 電気制御機器業界における梱包の実態 ··· 5
3.2 共同配送による梱包材削減可能性研究 ··· 6
3.3 路線便利用での梱包材削減方策の研究 ··· 28
4
F/Sの今後の課題及び展開 ··· 60
1.F/Sの目的
梱包材の処分問題は、環境面からもコスト面からも業界の多大な負担となっており、こ の問題解決は、業界の社会的責任を果たす上でも喫緊の課題となっている。問題の解決に は、梱包材料の開発から、回収システムの構築に至るまで社会システム全体にわたる課題 が多く、業界のみでの解決には限界があり、このような状況を受け、社団法人日本電気制 御機器工業会(以下、「NECA」という)では、梱包材削減問題に関しての調査(「電気制御 機器の梱包材排出量削減方策に関する調査研究」)を平成20年に実施し、次の①~③の結 論に至っている。①共同配送などで、オリコンを利用して配送することが有効である。② しかしながら、多数の顧客に少量の配送を実施するケースでは、路線便の利用が必要とな る場合があり、梱包材や緩衝材の削減のために、梱包材や梱包システム自体を新規に構築 する必要がある。③いずれのケースにおいても、当工業会会員企業が具体的に梱包材削減 を実施するに際して、コスト面、環境負荷面、安全面などからの実行可能性の確認が必要 である。
このため、本年度はこれらの課題を受けて、共同配送による梱包材削減と路線便利用に よる梱包材削減可能性研究といった二つの大きなテーマを掲げ、①梱包材削減の観点から みる共同配送によるオリコン管理とリターナブル化による梱包材削減の可能性の検証、② 路線便利用での新規の梱包材、梱包構造の開発・試作、③紙ベースでの単一素材を念頭に おいた新規緩衝材(緩衝構造)の開発、④制御機器を配送する場合の輸送評価試験方法と 梱包方法のガイドライン化、を検討し、電気制御機器業界における梱包問題解決ひいては 我が国の梱包材問題解決の端緒としていくことを目的とした。
2.F/Sの実施体制
本F/Sの実施体制として、財団法人機械システム振興協会内にある「総合システム調査 開発委員会」の審議を受け、社団法人日本電気制御機器工業会では、主要委員会である「企 画委員会」の中の「ものづくり部会」(委員長:佐川浩二)を本F/Sのマネジメント委員会 として位置付け、梱包問題の審議機関とした。
また、本F/Sを実施するため、「電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関するF/S委員 会」を設置し、委員会構成は、外部の大学教授、流通業界代表、各業界などの専門家も参 画し、幅広く情報収集が行える体制を構築した。
(社)日本電気制御機器工業会
企画委員会「ものづくり部会」
部会長 佐川 浩二
電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関するF/S委員会(12名) 委員長:流通経済大 矢野 裕児教授
委員 物流業:西濃運輸
製造業:パナソニック電工、SUNX、国際電業、オムロン、IDEC、日本開閉器工業、
本多通信工業
商 社:明治電機工業、ライト電業
(株)ドゥリサーチ研究所
再委託
日本認証(株) スターウェイ(株)
流通経済大学物流科学研究所
配送実施WG1(座長 中島英治(オムロン))
梱包材開発/評価WG2(座長 佐川浩二(パナソニック電工
))総合システム調査開発委員会 (財)機械システム振興協会
委託
総 合 シ ス テ ム 調 査 開 発 委 員 会 委 員 名 簿
( 順 不 同 ・ 敬 称 略 )
委 員 長 東 京 大 学 藤 正 巖 名 誉 教 授
委 員 埼 玉 大 学 太 田 公 廣 総 合 研 究 機 構
教 授
委 員 独 立 行 政 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究 所 金 丸 正 剛 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 研 究 部 門
研 究 部 門 長
委 員 独 立 行 政 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究 所 志 村 洋 文 デ ジ タ ル も の づ く り 研 究 セ ン タ ー
招 聘 研 究 員
委 員 早 稲 田 大 学 中 島 一 郎 研 究 戦 略 セ ン タ ー
教 授
委 員 東 京 工 業 大 学 大 学 院 廣 田 薫 総 合 理 工 学 研 究 科
教 授
委 員 東 京 大 学 大 学 院 藤 岡 健 彦 工 学 系 研 究 科
准 教 授
電気制御機器の梱包材排出量削減方策に関するF/S委員会名簿
( 順 不 同 ・ 敬 称 略 )
氏 名
委員長 矢野 裕児 流通経済大学 流通情報学部 教授 委 員 中島 英治 オムロン㈱ 販売統括事業部
中部支店 業務課 主幹
委 員 佐川 浩二 パナソニック電工㈱ 制御機器本部 事業戦略企画室 参事 NECA 技術委員長
委 員 佐谷紳一郎 本多通信工業㈱ 副社長
委 員 小松 伸顕 日本開閉器工業㈱ 生販部 資材課 課長 委 員 阿部 明 ライト電業㈱ 企画室 室長
委 員 舟橋 範 明治電機工業㈱ 執行役員 企画本部 経営企画部長 委 員 羽田 史義 西濃運輸㈱ エコビジネス部 エコビジネス課 課長 委 員 丸山 泰治 IDEC㈱ SCMセンター 室長
委 員 木本 義弘 国際電業㈱ 東郷工場 製造部 購買課 課長 委 員 高田 典之 パナソニック電工㈱ 制御機器本部 調達・生産管理部 SCM・ロジスティクス企画グループ 委 員 春日井 順 SUNX㈱ センシング事業部 営業企画部 部長 オブザーバー 西尾 治一 ㈱ドゥリサーチ研究所 代表取締役
オブザーバー 本山 司 ㈱ドゥリサーチ研究所 主任研究員 オブザーバー 赤井 桂子 ㈱ドゥリサーチ研究所 主任研究員
オブザーバー 藤井 憲雄 流通経済大学物流科学研究所 コンサルフェローアグリ代表 オブザーバー 小島 秀樹 日本認証(株) 特命担当
オブザーバー 坂弥 雄二 スターウェイ㈱ 営業統括部長 会社名及び所属
3.F/S成果の要約
3.1. 電気制御機器業界における梱包の実態 3.1.1 電気制御機器業界における梱包の実態
電気制御機器は多品種少量生産品目が多数を占め、精密機械であるが故に厳重梱包がな された上で需要家に届けられている。梱包材は需要家に届いた時点でその役割を終え、そ の後は廃棄物となるため、環境面からもコスト面からも大きな負担となっている。電気制 御機器業界における梱包の課題については、平成20年度に実施した調査1において、①複雑 な流通形態のために、梱包材の回収体制を確立しにくい、②業態によって抱えている問題 が異なる、③取り組みに対するコストメリットは低く、どのステージにおいても梱包材開 発、削減の担当者は不在、といったことが指摘されている。特に、電気制御機器製品の取 引形態は、専門商社(代理店)が仲介し、かつ流通業者が介在するという流通形態がほと んどであり、各拠点において「梱包の詰めなおし作業」が発生し、より多くの梱包材が必 要とされる現状にある。中でも路線便を利用した流通については、荷扱いに対する懸念な どから過剰梱包の傾向が強く、更に、中継基地が多く仕分け回数も多くなることから、各 工程において緩衝材の分類、廃棄にかかる負担、コストの発生による負担が指摘されてい る。
3.1.2 日本電気制御機器工業会における取り組みと本年度の取り組み
社団法人日本電気制御機器工業会(以下、NECA)では、平成20年度より業界における 梱包材排出量削減に向けた取り組みを開始し、梱包材削減に向けた取り組み方策として、
① 共同配送を始めとした専用便における外装箱のリターナブル化の拡大可能性と電気 制御機器としてのオリコン管理のありかた
② 路線便対応可能なオリコン開発と回収システム
③ 紙ベースでリサイクル可能な緩衝材の開発
を重点課題に定め、引き続き検討していくことが必要であるとの認識に至った。
そこで、本年度は、①梱包材削減の観点からみる共同配送によるオリコン管理とリター ナブル化による梱包材削減の可能性の検証、②路線便利用での新規の梱包材、梱包構造の 開発・試作、③紙ベースでの単一素材を念頭においた新規緩衝材(緩衝構造)の開発、④ 制御機器を配送する場合の輸送評価試験方法と梱包方法のガイドライン化、について検討 を行った。
1財団法人機械システム振興協会、社団法人日本電気制御機器工業会:平成20年度「電気制
3.2. 共同配送による梱包材削減可能性研究 3.2.1 共同配送システムの構築
(1) 電気制御機器業界における物流実態の把握
共同配送の実験方法の検討や業界物流事情の把握のため、会員企業への物流実態調査を 行った。調査は、最大手2社を含むメーカー11社と代理店6社をサンプルとして抽出した。
以下に調査結果の概要を記す。
1)出荷拠点の態様
出荷拠点は工場のみとするメーカーと物流拠点を設置するメーカーに2分される。
物流拠点を設置する場合、メーカー、代理店とも1箇所に集約しているものが多い。
メーカーでは、自社施設の物流拠点を自社で運営するケースが多いが、これは工場 内拠点が混在するためで、運営を物流会社に委託するケースはメーカー、代理店とも 少なくない。
2)納品条件
メーカーでは納品リードタイムに関して、地域や配送先業態での差異があるものと、
ないものとに 2 分されるが、代理店では地域などによる差異があるとするものが大半 となっている。また、翌日配送の割合がメーカーに比べ高く、それだけ地域密着の商 圏となっていることが伺える。
メーカーの納品ロットは、代理店の納品ロットに比べ総じて大きい。とりわけ、代 理店向けは 21 梱包以上が 15%もみられるが、これは特約代理店(一次卸)向けが主 となるためと考えられる。メーカー、代理店ともに2梱包以下のロットが45%から70%
と著しく多く、とりわけ、エンドユーザー(最終顧客)向けに顕著な傾向となってい る。
3)配送流動パターン
メーカーの配送流動パターンは、関東地域が発ベースでも着ベースでも 35%を超え 最大の需要地となっている。近畿地域は発ベースでは50%と最も多いが着ベースでは 23%に留まる。関東発・関東着、近畿発・近畿着、中京発・中京着といった内々流動 がそれぞれ、22%、16%、6%と高いといった特徴もみられ、域内配送に強い共同配送 には好条件の流動となっている(図-1)。
代理店の配送流動パターンは、関東地域発が 5 割を超え、近畿地域を合わせれば 8 割以上の集中となっている。また、代理店の場合、内々流動が各地域とも著しく高く、
この点からも域内中心の商売となっていることが伺える(図-2)。
図-1 メーカーの配送流動パターン
図-2 代理店の配送流動パターン
4)輸配送機関の状況
メーカーの輸配送機関については、工場から物流拠点間では、積載効率の良い運行 が可能なため車建契約を中心とした専用便の利用が多い。出荷拠点(物流拠点)から 納品先へも専用便が使われているが、物流拠点のないメーカー分も含めると路線便は 全てのメーカーが使用している。
代理店の配送機関については、路線便の利用が大半であるが、6社中4社が専用便を 使用しており、この点からも限られた地域が主な商圏となる商社の側面が伺える。
メーカー輸送区間別配送手段の状況は、同一地域内、遠隔地向けともに路線便のみ とするものが多い。とりわけ、遠隔地向けでは9社中6社が路線のみとなっている。
同一地域内については1/3が専用便のみとなっており、路線便との併用を加えれば、
半数以上のメーカーで専用便が使われている(図-3)。路線便利用については、出荷 数量の多い大手メーカーは路線利用の割合が比較的低く、出荷数量の少ないメーカー ほど、路線便利用が高いといった傾向がみられる(図-4)。
関東地域
中京地域 近畿地域
北九州地域
6%
22%
16%
3%
3% 12%
9%
4%
4% 1%
関東地域
中京地域 近畿地域
北九州地域
11%
39%
23%
17%
1%
2% その他
関東地域
中京地域 近畿地域
北九州地域
11%
39%
23%
17%
1%
2% その他
図-3 配送手段の状況
図-4 メーカーにおける路線便利用の状況
5)包装の状況
メーカー、代理店とも段ボールでの出荷割合は 9 割以上と答えるところが大半を占め、
リターナブル容器での出荷を阻害する要因の存在が伺える。
梱包費用については、メーカーでは「資材費や償却費に加え作業人件費も把握している」
が有効回答9社中7社と精度の高い把握レベルにある。しかし、実際に把握しているコス ト額をみると、80円から623円まで著しくばらついた状況にあり、算定方法や把握可能な コスト範囲に著しい差異があることが伺え、補填調査では、物流作業を委託しているため 人件費が不明、段ボール代に作業人件費を含んで支払っているといった状況が確認された。
梱包費用は路線便コストと共同配送便などの専用便とのコスト比較を行う上で、不可欠な ものであり、統一的な算定基準の設定が重要な課題となる。一方、代理店では大半が把握 していない状況にあり、メーカーの納品用段ボールの再利用でコスト意識が薄いことが伺 える。この点は、代理店がリターナブル容器の導入を考える場合のネックとなる。
メーカにおける路線利用の状況
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0 200000 400000 600000 800000 1000000 1200000 1400000 出荷個数
路線利用率
配送手段の状況(サンプル9社)
.路線便のみ
.路線便のみ
専用便のみ 専用便のみ
専用と路線の併用 専用と路線の併用
0 1 2 3 4 5 6 7
同一地域内 遠隔地域向け
(2)共同配送システムの検討
包装材削減は、繰り返し使用可能な容器で、荷扱いの丁寧な輸配送の導入が実現すれば、
輸送梱包(内装、外装)を限りなく0に近づけられる。ここでの問題はリターナブル容器 がリターナブルできる体制をいかに構築するかにある。
電気制御機器業界の配送には、①路線便配送、②貸切便(営業トラック)配送、③自家 配送、④共同配送の 4 つの配送形態が存在している。これらの形態の内、②貸切便配送と
③自家配送は、自社製品のみの限られた輸送先への専属輸送であることから、標準的なオ リコンをリターナブル外装箱として利用することは可能である。小ロットの輸送には①の 路線輸送が一般的だが、不特定多数の発着貨物、不特定な品目を対象とした仕組みにつき、
乱暴な荷扱いや重量物の下敷きになるといった危険性がある。これらに対して、④の共同 配送は、複数ではあっても限定される荷主から、多数であっても限定された配送先間を同 一運送主体が一貫して行う配送であり、閉鎖された仕組みであるため、リターナブル容器 還流の実現性が極めて高い仕組みであるといえる。また、共同配送は、同様の物流特性を 持つ製品だけの扱いに特化することで、ハンドリングの安全性や配送時点における受領書 回収など付加価値の高い輸送品質が期待できる。
そこで、梱包材削減を目的とした共同配送システムの構築を検討することとした。
1)共同配送システムのF/S条件の検討と設定
①F/S実施地域と範囲の選定
F/S実施に際して、実験地域及び対象範囲は以下の理由により選定した。
実施地域
・ 共同配送自体の新たな構築は困難なため、共同配送のネットワークのある地域から の選定が前提となる。
・ 首都圏や近畿圏にも制御機器中心の共同配送の仕組みは存在するが、両地域の流動 量は極めて大きく、初めての実験地域としては、参加企業の賛同が得難い。
・ 中京地域(愛知、岐阜、三重の 3 県)には首都圏や近畿圏に次ぐ地域流動量が存在 し、とくに大きすぎることもない。
・ 本 業 界 大 手 の メ ー カ ー と 代 理 店 な ど が 利 用 す る 共 同 配 送 シ ス テ ム ( 株 式 会 社 KYOTSU)が存在し、実績があることから参加企業が乗りやすい。
対象範囲
・ 本年度の対象流動については、代理店以降に拡大するとシステムの広がりのため不 確定要素が大きくなり、①オリコンの還流に懸念がある、②エンドユーザーの納入 条件(納品時間指定など)への対応に懸念がある。
・ 対象範囲については本年度を第一ステップとし、まずはメーカーから代理店の間に 限定し、実施することとした(図-5)。
図-5 実験の範囲
②利用システムの選定
本 F/S では、以下の理由から、株式会社 KYOTSU(以下、KYOTSU)の共同配送シス テムを利用システムとした。図-6に共同配送の仕組みを示す。
・ KYOTSU は本業界大手メーカーの中部物流センターの業務受託をベースに電気制 御機器の扱いノウハウを蓄積し、物流特性の類似した製品を取り込むことで共同配 送の仕組みを構築してきた経緯がある。つまり、KYOTSUの共同配送システムのベ ースは電気制御機器の扱いにあり、信頼性に問題がない。
・ KYOTSUの荷主には、NECA会員が数社存在し、参加企業の賛同が得やすい。
・ 集荷・配送エリアが愛知県、三重県、岐阜県と広く、路線便利用を転換しやすい。
・ 3県を36ルートに分け、ワイドボディの2t車をメインに49台の車両で対応してお り、到着時間希望にきめ細かく対応している。
・ KYOTSUの共同配送システムが持つ仕組みには、今回利用するクロスドック型(在 庫を持たず、複数の仕入れ先から複数の出荷先に振り分ける仕組み)の他に荷主の 在庫を預かり商品管理機能を果たす在庫型があり、将来の共同配送に望ましい機能 を備えている。
・ オリコン配送と回収の仕組みを持っている。
・ 前日の夕方の集荷分が翌日配送可能であり、路線便と同様のサービスが提供されて いる。また、共配センターのターミナルは24時間稼動しており、他地域から翌朝ま でに入ったものも朝、仕分して配送している。
本 年 度 の 実 験 範
次年度の課題
メーカーA メーカーB メーカーC メーカーD
お客様A お客様B お客様C お客様D
代理店A 代理店B 代理店C 代理店D
路線便 専用便便
路線便 専用便
路線便 路線便
専用便便 専用便便
図-6 共同配送の仕組み
③F/S実施対象企業の選定
メーカーの出荷拠点が愛知、三重、岐阜の 3 県ゾーン内にあれば、集荷から配送まで一 貫したKYOTSUの仕組みでオリコン配送が可能なため梱包費用が削減され、配送費用の増 加とはならない。ところが、3県以外に出荷拠点がある場合には、名古屋のKYOTSU流通 センターまでの輸送方式によっては費用アップや梱包材の削減効果が出ないことも考えら れる。すなわち、現在、専用便で配送を行うメーカーであれば、二段階配送によるコスト 増につながり、また、路線で持ち込む場合には、輸送容器がダンボールとなり、メーカー 側に梱包費の削減効果が期待できない。
従って、KYOTSUの集荷システムで集荷から配送まで一貫したオリコン配送を実現する には、出荷拠点を 3 県内に持つ会員メーカーに参加してもらうのがベストとなる。メーカ ーに梱包費低減効果があり、梱包費を含む配送費のアップが避けられる。
そこで、中京地域に工場を持つメーカーや中京地域に商圏を持つメーカーのうち路線便 や積載率の悪い専用便などを輸送手段として持つものを対象に検討を行い、結果として中 京地域に工場を持つ2メーカーと近畿圏に工場を持つ1メーカーを選定した。
④運搬対象物の選定
実験対象メーカーでの事前調査で、長尺もの(ライトカーテン類)を切り離しての配送 は、納品書の作成プログラムの見直しとなり負担が大きい。また、別々のルートでの配送
商社・卸 メ-カ-
受 入 配送号車別仕分
積 込 号車別仮置き
受入・収納 出 荷 梱 包
メ-カ- 商社・卸
荷主 仕入先
納品配送
納 品 集
荷
メ-カ- 商社・卸
商品管理機能
輸送機 能
荷主
<在庫型>
<在庫型>
<クロスドック型>
<クロスドック型>
KYOTSU共配センター
配送号車別仕分
届け先 現場
オリコン等
商社・卸 メ-カ-
受 入 配送号車別仕分
積 込 号車別仮置き
受入・収納 出 荷 梱 包
メ-カ- 商社・卸
荷主 仕入先
納品配送
納 品 集
荷
メ-カ- 商社・卸
商品管理機能
輸送機 能
荷主
<在庫型>
<在庫型>
<クロスドック型>
<クロスドック型>
KYOTSU共配センター
配送号車別仕分
届け先 現場
オリコン等
では届け先の理解がえられないとの指摘があり、共同配送側の確認をえて全ての形状を対 象とした。
⑤リターナブル容器(オリコン)の選定と決定
プラスチック・オリコンの特殊な形状は、金型作成に多額な費用が掛かることから、一 般的な形状内での選択とならざるを得ない。
実験対象メーカーでの輸送梱包容器の大きさを勘案して、以下の形状とした。
365mm×525mm×320mm(H)
投入数量は参加3社の1日当たり配送個数80個をベースに滞留日数を5日前後として試 算、450個とした。
⑥共同配送ルートの決定
実験対象メーカーに依頼し、対象代理店を決定。対象代理店への現行の配送時刻、及び 荷数量の調査を行い、配送時刻を第一優先としたルート組みを行った。
2)仕組み
各メーカーは必要な事前情報、配送先別件数、箱数を17:00までにFAX、多い場合は電 子情報で連絡する。その事前情報に基づき、愛知県内の 2 メーカーについては、共配セン ターから夕刻に集荷を行う。近畿圏のメーカーについては、東京向けの専用便が夜中に共 配センターに立ち寄り、持ち込みを行う。早朝にルート別(車両別)仕分、その後、朝か らルート配送を行う。配送ルートについてはKYOTSUの愛知、岐阜、三重の3県のルート を活用し、到着時刻優先のルートを採用した。
図-7 実験の仕組み 最終顧客
最終顧客までは対象外 中部地域
共同配送センター
(既存のセンターを活用)
代理店A,B・・
中部
代理店1,2・・
中部
共配便 共配便
Aメーカー Bメーカー Cメーカー
集荷 集荷
専用便による持込
21 年度は最終顧客までは対象外
配送先の代理店で空になったオリコンは、配送ドライバーにより共配センターへ戻され、
各社別の仕分後、仮置きし、集荷時に返却を行う。なお、オリコン管理については、管理 の容易性、回収のし易さから共配センターとした(図-7)。
3)課題の解決
①情報漏洩懸念
車両準備のための事前情報(翌日配送分の連絡)はFAXかEメールでKYOTSUへ流れ るが、必要なのは届け先名と通い箱数量のみであり製品情報は不要である。この事前情報 についての漏洩問題は考えられない。共同配送において一般的に危惧される情報漏洩は、
配送容器に添付される納品書に係わる漏洩であり、納品書に印字される価格が特に問題と なる。その可能性としては、
a. 蓋のないオリコンの場合、納品書が白日下にある点 b. 共同配送業者従業員などによる扱いミスや故意による漏洩 の2点が指摘されている。
a.については、蓋つきオリコンの使用や、納品書自体を封筒に入れるといった方法での対 処が可能である。
b.については、共同配送業者との「情報秘匿に係わる契約」や、受託業者内部における「扱 いマニュアルの整備」や「従業員教育」などの徹底が行えれば防げる可能性は高い。
今回は蓋付きオリコンの中に機密性のある納品書を入れ情報漏洩防止を図ることとした。
②オリコン管理システム
オリコンについては固有ナンバーを付して、追跡管理する体制もみられるが、管理シス テムを複雑にするだけで、コストパフォーマンス上、大きなメリットはない。例えば、先 に使用したオリコンが後から使用したオリコンより、遅れて戻ってきても何ら問題はない。
そこで、届け先別の残数管理のみを行うこととした。
KYOTSUでは、月1度、滞留状況リストを出して管理していたが、これを毎日に変更し、
回収効率の向上を図った。共同配送実験では、図-8の「荷主別通い容器残数管理表」を 適用して管理した。共同配送が本格化すれば、データが大きくなり、パソコンによる通い 容器データベースを構築する必要がある。
図-8 オリコン管理
荷主別通い容器残数管理表
配送個数 回数個数通い容器 扱い者 月日 発荷主 着荷主
3.2.2 共同配送実証実験の実施
F/S結果の概要を記す。
F/Sは、参加各社の事情で開始、終了とも若干異なるが、2009年10 月23日から2009 年12月18日まで、概ね1ヶ月、実営業日で20日から33日で実施した。
参加各社の配送先は名古屋市を中心にした愛知県内で、13代理店が配送先となった。
実施期間中の延べ配送件数は183件で、うち104件が名古屋市市内となっている。実施 期間中の総配送個数は 1,142 個で、これは当初計画の 7割強に留まった。前年実績からの 落ち込みと計画した配送先代理店の減少がその原因と考えられる。配送個数を延べ配送先 数で除した配送ロットは平均で6.2個と小さくないが、Bメーカーの特約代理店向けのロッ トが平均13.2個と大きいことが影響している。配送ロットの分布をみると、1~3個が一般 的となっている。
オリコンによる配送割合は、2 メーカーにライトカーテンなどの長尺ものがあることと、
外装単位の販売が基本となる製品があるため、配送個数に占めるオリコン個数の割合は約5 割に留まった(表-1)。長尺ものの無梱包化や個装の簡略化などが今後の課題となる。
表-1 オリコンによる配送割合
オリコンの配送先での滞留日数は配送当日回収 を目標として誘導したため、平均 0.8 日と低かっ た。結果としてメーカーへは3日以内に全て返却 されている。
なお、共同配送において、車両削減などに寄与する重複配送先は 2 代理店あった。これ らは、3~4回に1回は重複するといった状況にあった。図-9に集荷風景を示す。
3.2.3 配送評価の実施
(1)コスト削減効果 1)コスト比較
本 F/S ではオリコン利用による共同配送時の梱包材削減効果を把握することに主眼を置 いているため、直接的なオリコン導入に係わる部分についての置き換え効果について評価 した。そのため共同配送に伴う輸送の効率化に伴うコスト削減などの効果は想定されるも
配送総個数 うちオリコン数 割合
Aメーカー 26 23 88%
Bメーカー 846 416 49%
Cメーカー 270 123 46%
合計 1142 562 49%
図-9 メーカーでの集荷風景
のの、ここでは梱包作業に係わる費用及び梱包材費といった直接的な効果のみを比較した。
比較に際しては、梱包作業に係わる人件費の算定方法として梱包に係わる工程における 実作業時間を元にコスト換算をする方式を用いた。そこに段ボールやオリコンの購入費な どの梱包資材費と緩衝材費を加え、現状の段ボール利用による路線便利用時のコストとオ リコン利用による共同配送時のコストをそれぞれ算出し、比較した。
なお、梱包作業費の算定は、本調査では段ボールからオリコン利用への切り替えに伴う 直接的な工程として出荷梱包に係わる工程に着目し、ここでの作業を更に「梱包材搬送、
梱包材組み立て、梱包材テーピング(段ボールの底面、側面などのテープ留め作業)、商品 装填、梱包材上部テーピング(オリコンに関しては蓋閉じ作業)、完成箱の搬送」といった 工程に細分化し、各工程に係わる作業時間の測定は、F/S参加企業3社における物流センタ ーでの実測値に基づき設定をした。コストへの換算人件費のコスト換算についても同様に、
F/S参加企業3社における人件費コストから換算率を算出し、作業時間1秒当たり0.84円 として換算した。
梱包資材費については、段ボールについては、会員企業に行った物流実態調査より平均 費用を算出し、オリコンについては購入価格を繰り返し利用可能回数で按分し、1梱包当た りの費用を算出した。緩衝材費については、企業によって使用する梱包材種が異なること から本評価に際しては、F/S参加企業における実態に基づき算出を行った。
以上の考えに基づき算定を行った結果、現状の段ボール利用による路線便利用時のコス トとオリコン利用による共同配送時のコストは表-2に示すとおりとなった。本 F/S にお いてオリコンを利用することによる梱包材削減に係わるコスト削減は 131 円/梱包となり 現状と比較して約75%の削減効果があった。
表-2 本F/Sにおける梱包作業に係わるコスト比較
2)コスト比較に係わる課題
本評価において、梱包作業に係わる費用算定は、F/S参加企業における工数を元に行った が、個々の企業の作業体制、個々の作業方法で梱包形態は大きく異なる。今後、企業間を
作業工程 現状の路線便 オリコン適用共同配送
梱包材搬送 2秒 2秒
梱包材(段ボール)組み立て 4秒 2秒
梱包材テーピング 12秒 0秒
商品装填 40秒 40秒
緩衝材装填 10秒 0秒
梱包材上部テーピング 5秒 1秒
完成箱の搬送 2秒 2秒
作業時間計 75秒 46秒
A:梱包作業費 63円 39円
B:資材費 100円 3円
C:緩衝材費 10円 0円
合計(A+B+C) 173円 42円
またがった検証を行うためには、更に多くの企業における作業形態を参照し、標準的な費 用算定方法を検討していく必要がある。
本年度は、比較に際してオリコン利用による直接的な効果のみに着目し、梱包作業に係 わる工程において高いコスト削減の可能性を見出すことができたが、輸送容器をリターナ ブル化するということは、これまでワンウェイで廃棄されていたものの複数利用という効 果を生みだす一方で、回収という新たな工程を生むことにつながる。オリコンの回収コス トについては、本年度は既存の共同配送システムのルートを利用して実験を行ったため、
回収費ということでのコストは発生しなかったものの、共同配送システムとしての輸送費 は通常の路線便よりも運賃だけでみると高い傾向にある。そのため、メーカー側が実質的 な回収コスト分としての負担と捉える懸念もある。しかし、共同配送では同様の物流特性 を持つ製品に特化した輸送が行われることによる高い輸送品質の保証や受領書回収といっ た単純運搬以外の付加価値が加えられている。そのため、そういった付加価値部分や管理 面での効率化といった波及的なコスト効果も踏まえ、輸送費については考えていく必要が ある。また、共同配送はクローズドな仕組みの中で輸送が行われるため、オリコン回収の 実現性は極めて高く、本F/Sでもオリコン回収に要した日数は0.8日との結果が出ている。
そのため、通常の路線便利用と異なり、オリコン回収のための配車手続きを踏む必要性は ない。そういった点から、物流実態を詳細に分析し、うまく組み合わせることで効率的な オリコン回収を比較的安価に実現できる可能性がある。回収に係わるコストについては、
何をもって回収費とするかといったことを踏まえ、次年度以降、考え方を整理する必要が ある。
また、一部の代理店では段ボールを再利用してエンドユーザーに配送しているところも あった。そういったところでは、オリコン利用となることで、反って段ボールを購入しな ければいけない懸念もある。
これらのことを踏まえ、次年度はエンドユーザーまで対象を広げたオリコン利用による 共同配送実験を行う予定としており、物流システム全体を通して、段ボールやオリコンの 利用率の流れを確認し、トータルとしてオリコン利用による共同配送による輸送容器のリ ターナブル化の実現可能性を把握し、その結果、梱包材削減による効果がどの程度見込ま れるのかということについて考え方を再度検討する必要がある。
なお、梱包材削減といった観点以外からみた場合、共同配送に伴い、一部の代理店につ いてはこれまでの重複配送から一本化されるところも出てくることで全体的な輸配送コス トの削減可能性も出てくる。更に、出荷時の梱包作業のみならず、代理店における開梱作 業と段ボールの処理作業に係わる業務負担も削減される可能性があり、オリコン利用によ る共同配送の波及範囲は広いことが予想される。
(2)環境負荷削減効果 1)環境負荷削減効果
環境負荷削減効果についても直接的なオリコン導入に係わる部分についての置き換え効 果について評価することを目的とし、使用するオリコン及び段ボール製造に係わる負荷と、
オリコンについては回収時の輸送の負荷も算定し、これらを比較した。オリコン及び段ボ ール2製造に係わるCO2排出量は、LCA計算支援ソフト3「JEMAI-LCA Pro」を用いて算 出した。その結果、オリコン製造に係わるCO2排出量は2.38kg-CO2/個、段ボール製造に 係わるCO2排出量は1.05kg-CO2/個となった。
本F/Sでの配送総個数は1,142個で、オリコンによる配送割合は全体の49%であった。
これらの配送実績及び配達日数平均(23日)より、今回の試算における配送形態の平均は、
配送個数50個/日で、内、オリコンによる配送は24.4個/個、出荷総数は1,150件/月、
とした。また、オリコンの滞留日数は平均0.8日で、3日以内に全て返却されていることか ら、オリコンは月3回以上のリターナブルとし、オリコンの初期投入数は200 個、損失・
破損率は年間5%(10箱)を見込んだ。
更に、オリコン回収に伴う輸送のCO2排出量については、本F/SではKYOTSUの既存 の共同配送システムを利用し実験を行ったため、KYOTSUにおける参加企業3社を含んだ 本実験中の回収ルートに即して条件設定した。回収ルートの輸送距離は140kmで、2トン トラックによる回収、積載率は 80%とした。なお、オリコンは出荷量と同数を毎回回収す るものとし、燃料に関する排出原単位は改良トンキロ法を用いた。また、複数荷主の荷物 を混載して輸送しているため、オリコン重量を元に排出負荷量を按分した。
以上より、F/S 結果に基づき、この状態がそのまま継続した場合に想定される CO2排出 量を推計したところ、オリコン単体の CO2排出量は段ボールよりも大きいものの、繰り返 し利用を行うことで、輸送に際するオリコン導入率は約半分程度であっても、CO2排出量 は現状の段ボール利用と比較して初年度より大きく下回ることとなった(表-3、図-1 0)。
表-3 本F/Sを元に推計したCO2排出量(t-CO2)
2 オリコン(材質:PP)重要は2.44kg、段ボールは0.7kg、材料メーカーから生産地まで の距離及び段ボール工場からメーカーまでの距離は両者とも同一(100km、50km)とした。
3 LCA計算支援ソフトは、日本では、LCAサポート(NEC)やEasy-LCA(東芝)、海外 では、SimaPro(オランダ)Gabi(ドイツ)などがある。また、産業連関表を用いたCO2
回収
投入数 排出量 投入数 排出量 排出量 投入数 排出量 累計
初年度 200 0.48 7,200 7.56 0.59 8.63 13,800 14.49 14.49 2年目 10 0.02 7,200 7.56 0.59 16.80 13,800 14.49 28.98 3年目 10 0.02 7,200 7.56 0.59 24.98 13,800 14.49 43.47 4年目 10 0.02 7,200 7.56 0.59 33.15 13,800 14.49 57.96 5年目 10 0.02 7,200 7.56 0.59 41.33 13,800 14.49 72.45
オリコンに関わる排出量 段ボールに関わる排出量オリコン利用による共同配送 現状の段ボール利用 累計
図-10 本F/Sを元に推計したCO2排出量
2)環境負荷削減効果の検討に係わる課題
本評価は、本結果に基づく配送総個数とオリコン利用率を元に、この状態がそのまま継 続した場合に想定されるCO2排出量を推計しており、その点に留意する必要がある。
一方で、物流実態として、今回用いたオリコン規格に当てはまらない製品配送も行われ ているのが現状であり、置き換え効果の評価に際しては、それぞれの仕様に応じて排出量 算出を行う必要がある。
また、今回は段ボールがオリコンに代わることによる直接効果のみを対象とした比較と なっているが、最終的には段ボールもオリコンも廃棄やリサイクルされることになり、今 後はこれらの影響などを踏まえて試算をしていくことが必要である。次年度はエンドユー ザーまで対象を広げたオリコン利用による共同配送実験を行う予定としており、物流シス テム全体を通して、段ボールやオリコンの利用率の流れを確認し、その結果に基づいた梱 包材削減による効果を再度、算出し確認する必要がある。
更に、今回はオリコン利用に伴う緩衝材レスの効果は算出していない。これは、複数の 緩衝材が用いられていたため、今回の調査では CO2排出量原単位の作成が困難であったこ とによる。緩衝材は紙資源のものからプラスチック類まで様々なものが使われているが資 源によって排出原単位は異なることから、緩衝材の資源別の排出量原単位リストなどを作 り、個々に評価できる仕組みを検討していくといったことも今後は考えられる。
なお、オリコン利用による共同配送の効果としては、代理店の重複配送の一本化や域内 物流効率を高めることによる輸送の効率化や車両数の削減、といったことが想定される。
本 F/S は梱包材削減といった観点からオリコン利用の促進及びその実現に向けて共同配送 の利用の可能性について検証を行ったが、梱包材削減による効果のみならず、輸送の効率 化によるCO2排出量の削減といった波及効果の大きさについても見逃してはならない。
0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00 80.00
初年度 2年目 3年目 4年目 5年目 (t-CO2)
本F/S 段ボールのみ
3.2.4 得られた課題と今後の方策
(1)参加企業評価
F/S終了後、参加企業に対するアンケート調査を行い、共同配送実験の評価を行った。
1)代理店からの評価
①配送サービスに係わる評価
配送サービスに係わる評価としては、破損・汚損などの貨物事故はとくに発生せず、到 着時刻についても、到着遅れがあったとする代理店が 1 社みられ、2 時間以下の遅れが 2 回発生したが、それまでの到着が著しく早かったこととの比較であり、大きな問題とはな らなかった。
オリコンの扱いについては、オリコン受領後は他の容器に移し替えたとするものが全て で、そのまま在庫保管に使われる、あるいは営業マンがそのまま納品に使用するといった ケースは見られなかった。回収についても配送時点でなされるケースが大半で、少なくと も次回の配送時点には回収されている。
使用したオリコンそのものへの評価としては、オリコンサイズについては適当と回答す るものが大半であったが、小さい製品が少量納品されるケースもあり、大きすぎたとの回 答もみられた。オリコンの折りたたみ、組み立てなどの動作については、問題があるとす る回答はなく、形状については、蓋があった方が良いとするものが75%と多数を占めた。
②共同配送利用による梱包材削減に係わる評価と利用意向
共同配送については、「専用車両で扱いが丁寧、安心できる」が 56%、「路線に比べ時間 に正確」、「納入車両が削減できてよい」など、8社中7社が好意的な評価となっている。
段ボールなどの梱包材を減らすことについては、梱包材は減らすべきとする回答が 6 割 強みられるものの、段ボールは販売先への配送に再利用しており、なくなると困るといっ た意見も 4 割弱存在している。代理店からの配送にもオリコンが使える体制構築が望まし い。共同配送を代理店からエンドユーザーへの段階に拡大することについては、8社中4社 が何らかの利用意向を示しているが、一方で、営業マンによる配送や自社便の存在で考え られないなどとするものも3社みられ、拮抗した状況にある。
③その他
納入先(メーカー)に対する到着時間指定に関しては、午前中といった幅での指定が半 数で、とくに指定していないとするものが 4 割弱となっており、メーカー側の営業部門の 意識とは乖離がみられる。到着時間を指定する理由は到着を待って営業マンが納品に回る ためとなっており、代理店の在庫機能がなくなっていることが伺える。このような営業マ ンによる配送が主となる代理店や従業員による配送を行う代理店は共同配送には乗り難い
が、自社でリターナブル容器を導入すれば、梱包材削減は実現し、8社中5社が該当する。
配送を路線業者などに委託する代理店こそ、共同配送に誘導すべき代理店となるが、8社 中3社といった態様にある。
2)メーカーからの評価
①配送サービスに係わる評価
梱包レスでの安全性について、2社がまずまず納得できたとしているが、重量品との同梱 配送を行った 1 社は不安が残ると回答している。納品時間指定への対応は、路線便に比べ まずまずの対応、と3社とも評価している。
使用したオリコンについては、形状について、3社で意見が分かれた。特約代理店向けの 配送が多かった B メーカーは配送ロットが大きい分、小さいとの評価であったし、小さな 製品の多いC メーカーは大きいとの評価となっている。このことから、複数サイズの設定 が課題となる。折りたたみ動作については、3社とも簡単で問題ないと評価しており、形状 については、3社とも機密保持などのことから蓋があった方が良いとしている。
②共同配送利用による梱包材削減に係わる評価と利用意向
梱包材の削減効果については、「まずまずの効果はあった」が 2 社みられるものの、「あ まりなかった」が 1 社となっており、長尺ものや外装単位の取引が前提となる製品などの 存在が大きな課題となる。梱包作業の手間については、「まずまずの効果があった」とする ところが2社みられるものの、長尺ものが多い 1社は「あまり効果がなかった」としてい る。共同配送の利用意向については、2社に条件が合えば利用したい、といった前向きな回 答がみられる。その条件として挙げられたものは、料金、配送エリアの地域を超える拡大、
それに伴う緩衝材が不要の長距離共同配送の実現、エンドユーザーからのオリコン回収、
などであり、次年度の検証テーマとなる。
(2)得られた課題と今後の方策
共同配送に係わるF/S結果より、得られた課題と今後の方策を下記に記す。
1)梱包材削減効果
①長尺品などの梱包レス化
実験を行ったメーカー3 社への調査によると、オリコンサイズに収まらない長尺ものは、
出荷件数ベースで各社とも1割程度存在する。長尺ものの配送時の梱包については、すべ て個装に輸送梱包を行うとしているが、結束バンドをかけるために段ボールを巻く程度で あり、個装状態での配送が基本となっている。共同配送便で輸送梱包を外すことについて、
可能性は否定されていないが、代理店以降の流動に路線便が使われる可能性や、もともと 個装状態に近いため削減効果に疑問が残る。長尺品は、最初から路線便を前提とした個装
になっており、共同配送には過剰包装となっている。また、積み重ねがきかず、積載効率 を低下させる要因ともなっている。
無梱包を原則化し、路線便出荷の場合のみ梱包化するといった発想の逆転が必要となる。
また、共同配送車両にバーラックを付けるなどして、積載効率の向上や簡易梱包での配送 を検討していく必要がある。
②ケース(外装)単位取引品の梱包レス化
外装単位での取引しかしない製品は、各社とも多く、出荷量ベースで 7 割にもなるメー カーも存在する。また、代理店への聞き取り調査によれば、代理店から先もそのまま流れ ることが多い。外装単位のセット作業は、工場の生産ラインで行われるケースが多く、外 装というより、個装に近い扱いとなっている。共同配送を前提とした外装レス化は、切り 替えや管理の手間から困難といった認識が各社とも強い。このようなことから、外装単位 での取引が前提となる製品については、個装をやめ、仕切りなどで緩衝効果のある外装箱 での輸送とすることで、梱包材の削減を図るという方途を検討していくことが重要である。
2)コスト削減効果
梱包や物流作業は、各社において作業形態が異なるため、NECA として標準的なコスト 算定方式を検討する際には、可能な限り複数企業の作業実態を把握していく必要がある。
また、本年度はオリコン利用による直接的な効果を把握するために梱包作業に係わる工 程に着目したが、リターナブル化を前提とする場合、オリコンの回収コストを検討するこ とが共同配送であっても必要となる。特に共同配送に係わる輸送費には、輸送代以外の付 加価値分が加算されていることが多く、何をもって回収費とするかといった定義を踏まえ、
次年度のエンドユーザーまで対象を広げた実験においては考え方を整理する必要がある。
3)環境負荷削減効果
一部の代理店では段ボールを販売先への配送に再利用しているケースもあり、必ずしも オリコンに全て置き換わるということにはならない。そのため、再利用率なども把握し評 価していくことも必要である。また、オリコン利用に伴い緩衝材がなくなることで、その 分のCO2排出量の削減効果も期待される。現在、緩衝材は様々なものが利用されており、
使用される資源別に CO2排出量が異なるため、資源別の排出量リストなどを作成し、提示 するといった対応も考えられる。また、最終的には段ボールもオリコンも廃棄又はリサイ クルされるため、リサイクルを評価範囲としてどう加えるかについても検討が必要である。
4)サービス維持
①緩衝材レス化
今回の実験では、重量のある鉄製のソレノイド(3~5kg)とフェノール樹脂でできた端
子台を同梱したケースがあった。本ケースではフェノール樹脂部分の損傷を恐れ、緩衝材 を挿入した。これには共同配送が個建て料金のため、個数を減らしたいという背景もあっ た。事後のアンケート調査によれば、実験参加の 3 社における重量品と軽量品を同梱する ケースの発生状況は、各社で全く異なっている。扱い製品の差異とみられるが、このよう な重量品の出荷に際しては、路線便での出荷の場合には、厳重に緩衝材を入れるか、はじ めから同梱を避けるといった逃げ方を行っているとのことである。このようなケースでは、
共同配送便でも緩衝材使用は避けられない。しかし共同配送便の場合には、オリコン回収 時に緩衝材も回収し、発メーカーへ戻すことが可能であり、循環が可能な共同配送便の強 みを生かして梱包材削減につなげていく必要がある。また、小サイズオリコンを投入して 小分けにする(同梱しない)方法もあるが、その場合には重量制料金の適用が必要となる。
②配送時間平準化の可能性検討
代理店には配送時間の時刻指定をするケースが 2 社でみられる。この背景には、在庫を なるべく持たず、受注発注方式でコスト削減を図ろうとする傾向が伺える。一方、エンド ユーザーは指定があっても午前中程度と比較的ゆるい指定に留まる。この傾向は、代理店 へのヒアリング調査でも明らかとなった。従って、共同配送の範囲を今回のメーカー~代 理店に加え、代理店~エンドユーザーに拡大することで午前集中の傾向に歯止めがかかり、
バランスのとれた共同配送となる可能性が高い。これには、共同配送コストの低減を通じ て料金のダウンにもつながることが期待される。次年度のF/Sでの検証事項となる。
5)懸念材料
①配送先が顧客に拡大された時の滞留時間
今回の実験では、オリコンを毎日管理したことから、メーカーに 3 日以内にすべて還流 している(図-11)。しかし、共同配送を代理店~最終顧客に拡大した場合、メーカーな どの最終顧客では生産ラインにそのまま投入されることも考えられ、長期滞留の可能性が ある。次年度のF/Sでの検証事項となるが、配送時点での回収可能性の追求が課題となる。
図-11 オリコン回収の流れ
空オリコン メーカー出荷拠点
KYOTSUセンター オリコン
出荷日 N
翌日(早朝)
N+1日
翌日 N+1日
翌日(夕方)
N+1日 ドライバー帰社 オリコン置場へ 翌々日(日中)
N+2日 現場担当者により
各社への仕分及 び返却準備 3日目(早朝)
N+3日 幹線便ドライバーに
引渡し、返却
(折畳み、纏めて)
3日目(日中)
N+3日 返却
空オリコン
代理店
幹線便 配達便
②情報漏洩懸念
今回の実験では、蓋つきのオリコンを導入したこともあり、情報の漏洩に係わるクレー ムは発生していない。しかし、参加をお願いした代理店の中に、納入価格の漏れを心配し て参加を取りやめた代理店が 1 社あった。このケースの背景にあったのは、共同配送の実 施主体の生い立ちが、当業界の特定メーカーの配送からスタートし、今も主要荷主となっ ていることから、その中立性を危惧するといった心理的な問題である。こうした心理的な 懸念は、共同配送実施主体やNECAによる「中立性についてのアピール」や、共同配送実 施主体への資本参加による安心感の確保といったことが重要であり、今後の課題となる。
また、納品書に価格を記載せずに、価格情報を電子処理で行うという商習慣の改編も有 効であり、今後の課題である。
6)課題の整理
以上、今回の共同配送実証実験で把握された課題を整理したものが表-4となる。
表-4 共同配送実証実験で把握された課題
事前想定課題 判明したこと 今後の課題
1.梱包材削減効果 段ボール・緩衝材の 約50%の削減見込み
長尺品などの梱包レス化 ケース単位取引の梱包レス化 2.コスト削減効果 梱包作業費と梱包材費が
約75%の削減見込み
オリコンの回収コストの算定 路線便/新規梱包材での費用削減 3.環境負荷削減効果 初年度5万トン以上のCO2削減 緩衝材レスの効果の算定
エンドユーザーまでの範囲設定とリ サイクル分の算定
4.オリコン輸送による製 品の安全性
製品に対するクレームはない。
一部緩衝材を入れたケース有
緩衝材レス化 5.配送時間指定 想定以上に厳しい。
指定が午前に集中
配送平準化の可能性検討。最終顧 客までの配送で解決可能性あり
(次年度F/S)
6.オリコン滞留懸念 メーカ及び代理店とも3日以内 に回収できている。
(毎日の管理で可能になった。)
今後配送先が最終顧客になった時 の滞留(その場での回収を検討)
(次年度F/S)
7.情報漏懸念 (秘密保持等の
システム作りと検証)
蓋付きオリコンを採用し、納品書 を内蔵したが、価格の漏洩懸念 を抱く代理店があった。
商習慣の改編(電子処理の拡大)
共同出資の配送主体設立
削 減 効 果
サービス 維持
懸 念 材 料
(3)次年度の方向と将来的な物流共同化 1)次年度の方向
メーカー、代理店間の共同配送システムの導入による梱包材削減について F/S を行い、
これが梱包材削減に有効との結果となったが、代理店、最終ユーザー間の配送に包装資材 が残っては、業界としての削減は十分でない。こうした課題解決のためには、メーカー、
代理店間の共同配送を一歩進め、代理店、エンドユーザー(最終顧客)間についても共同