日本小児循環器学会雑誌 9巻5号 696〜697頁(1994年)
第20回北海道小児循環器研究会
日 時平成5年5月15日 場所山之内製薬大通りビル 1.内臓錯位を伴う複合心奇形の兄弟例
旭川医科大学小児科
藤保 洋明,津田 尚也,高橋 悟 梶野 真弓,梶野 浩樹,境野 環樹 岡 隆治
富良野協会病院小児科
斎野 朝幸,印鏑 史衛 旭川医大第1外科 郷 一知 症例1:多脾症候群の男児.出生児よりチアノーゼ,
完全房室ブPックによる徐脈,心不全症状を認め,生 後3日で死亡した.剖検で多脾,複合心奇形(心房正 位,心内膜床欠損,両大血管右室起始,肺動脈狭窄,
総肺静脈還流異常,左上大静脈左房還流),脾・胃の逆 位,腸回転異常と診断された.
症例2:3ヵ月男児.症例1の弟.出生後次第にチ アノーゼが出現し,心エコー検査で肺動脈閉鎖が疑わ れ,リボPGE1投与で状態は安定した.その後の諸検査 で複合心奇形(心房逆位,心内膜床欠損,肺動脈閉鎖,
動脈管開存),肺・肝・胃の逆位と診断された.生後34 日に右ブラロック・タウシッヒ短絡術が施行され,そ の後の経過は良好である.
2.Noonan症候群に合併する肥大型心筋症の予
後
北海道大学小児科
三浦 正次,小田切泰久 信太 知,清水 隆 国立函館病院小児科 衣川 佳数 Noonan症候群に合併する肥大型心筋症(HCM)の 予後について調べてみた.我々の10症例中,心エコー 上,HCMが軽快していったのは5例,不変のものは4 例,死亡例は1例であった.死亡例は,生後1ヵ月で 心不全で発症し,HCMの他,大きな心房中隔欠損症,
中程度の肺動脈弁狭窄症,乳廉胸を合併していた.
本症に合併するHCMの予後は,乳児期発症で心不 全の改善しない例を除けば,比較的良好と考えられる.
3.学齢期に達した右心バイパス術後症例の運動機 能ならびに生活状況にっいての検討
札幌医科大学医学部小児科
池田 和男,富田 英,千葉 峻三 同 第2外科 安喰 弘,森川 雅之 馬場 雅人,中村 雅則 三尖弁閉鎖に対しての心内修復術として出発した右 心バイパス手術(いわゆるフォンタン型手術)は近年 単心室などの複雑心奇形に対する血行動態的修復術と してその適応が拡大している.本手術を施行された症 例の心機能や運動能が正常児に比し劣っている事は多 くの研究から明らかにされている.当科で経験した フォソタン型手術症例のうち学童期に達した7例につ いて,トレッドミル運動負荷時の酸素消費量・心電図 変化について検討した.心エコー所見・心臓カテーテ ル結果ならびにアンケート調査から得られた日常の生 活状況(身体活動能力)についても併せて報告する.
4,実験的チアノーゼ心の虚血後拡張機能 北海道大学循環器外科
大場 淳一,今村 道明,松居 喜郎 合田 俊宏,佐久間まこと,安田 慶秀 肺動脈と左心耳の端側吻合により,6ヵ月間にわ たって安定した慢性チァノーゼのモデルが得られた.
吻合後6ヵ月での動脈血酸素分圧は39.4±7.O
mmHg,酸素飽和度は75.2±6。6%,ヘモグロビン濃度は15.6±0.5g/dlであった.(n=6,平均値±標準偏差,
いずれもFiO2=o.21での値)
このモデルを用いて,2時間の心筋虚血再灌流後の 左室拡張機能を測定した.拡張機能の指標として左室 圧曲線下行脚の時定数Tを用いた.正常心では虚血再 灌流後3時間で,ほぼ虚血前の拡張機能に復帰するが,
チアノーゼ心では虚血再灌流後4時間でも拡張機能は 有意に低下しており,正常心に比べてその回復が遅延
していた.
5.当科の新生児・乳児期三心房心症例の検討 国立札幌病院心臓血管外科
竹内恵理保,中谷 郭幾,笹村 裕二 村上 達哉,保野 順,明神 一宏 当科において過去10年間に新生児・乳児期の三心房 心手術症例を4例経験した.これは同時期の全先天性 心疾患手術症例数521例の0.77%にあたる.当科初診時
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日小循誌 9(5),1994
の年齢は29日から88日で,平均55日であった.また男 女比は3:1であった.手術術式としては,いずれの 症例も人工心肺下で隔壁切除術行を施行した.それら の予後は,生存例3例,手術死亡例1例であった.そ のうち合併心奇形を有した症例は2例であり,それぞ れDORV+MS+small LV, DORV+PSであった.
三心房心のDORV合併症例の報告数は極めて少なく 貴重な症例であった.
6.循環器科にてフォローアップ中の先天性心疾患 児の,最近2年間の手術成績
北海道立小児総合保健センター循環器科 東舘 義仁,津田 哲哉
対象は51例.ASDと年長児のVSDはなかった.
697−(83)
Co−A, IAAが12, PPAが7, TAPVDが3, DORV が7例と新生児期の治療を必要とする疾患が多かっ た.手術死は,Ebstein(7y, Carpentier), IAA+DORV
(7y, Jatene), Co・A十DORV(3m, Damus−Kaye.
Stansel)の3例で,うち2例は東京の施設に治療を依 頼したものである.遠隔期死は4例(PPA+hypo RV,
770gのToF+PA, Co−A,染色体異常)で,死因は心 臓外にあり,循環器科としての成績はほぼ満足できる
ものであった.当院は2.5名の胸部外科医と1.5名の循 環器医しかいない.この人員では限界があり,適切な 治療をなすためには,スタッフ自身の交流を含め,他 施設との協力が不可欠である.
10周年記念特別講演
座長 会長 山内 豊茂
『円錐動脈幹異常顔貌症候群の病因論,ほか』
高屋 篤良先生(東京女子医科大学名誉教授・
国際分子細胞免疫研究センター施設長)
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