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☆HP掲載(確定版)腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)

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腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)

日本消化器がん検診学会 超音波検診委員会 腹部超音波検診判定マニュアルの改訂に関するワーキンググループ 担当理事 平井都始子 奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター

委員長 小川 眞広 日本大学病院 消化器内科 超音波検査室

<日本消化器がん検診学会>

顧問 小野寺博義 宮城県対がん協会 がん検診センター 熊田 卓 岐阜協立大学 看護学部 看護学科 小島 正久 浦添総合病院健診センター

田中 幸子 大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター 中島美智子 中萱医院

水間 美宏 東神戸病院 内科 委員 乾 和郎 山下病院 消化器内科

岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科 田中 信次 日赤熊本健康管理センター

千葉 祐子 北海道労働保健管理協会 臨床検査部 西川 徹 藤田医科大学病院 臨床検査部 西村 重彦 住友病院 外科

三原 修一 みはらライフケアクリニック 依田 芳起 山梨県厚生連健康管理センター

<日本超音波医学会>

委員 小川 眞広 日本大学病院 消化器内科 超音波検査室 平井都始子 奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター

<日本人間ドック学会>

委員 足立 雅樹 埼玉医科大学病院 予防医学センター 新 智文 JA北海道厚生連 帯広厚生病院健診センター 岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科

田中 幸子 大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター 水間 美宏 東神戸病院 内科

和田 高士 東京慈恵会医科大学 大学院医学研究科 健康科学 日本超音波医学会 用語・診断委員会 腹部超音波検診判定マニュアルの改訂に関する小委員会 委員長 平井都始子 奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター 委員 岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科

小川 眞広 日本大学病院 消化器内科 超音波検査室 北野 雅之 和歌山県立医科大学 第二内科

熊田 卓 岐阜協立大学 看護学部 看護学科 千葉 裕 桔梗ヶ原病院 在宅ケア科

中田 雅彦 東邦大学医療センター大森病院 産婦人科 西村 貴士 兵庫医科大学 消化器内科

松尾 汎 松尾クリニック

森 秀明 杏林大学医学部 消化器内科学

和久井紀貴 東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 日本人間ドック学会 健診判定・指導マニュアル作成委員会 腹部超音波ワーキンググループ 委員長 田中 幸子 大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター 委員 新 智文 JA北海道厚生連 帯広厚生病院健診センター

岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科

平井都始子 奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター 水間 美宏 東神戸病院 内科

オブザーバー

日本超音波検査学会 杉田 清香 海上ビル診療所

丸山 憲一 東邦大学医療センター大森病院 村上 和広 小豆嶋胃腸科内科クリニック 日本総合健診医学会 桑島 章 PL東京健康管理センター

関口 隆三 東邦大学医療センター大橋病院 日本がん検診・診断学会 池田 敏 倉敷成人病健診センター

小川 眞広 日本大学病院 消化器内科 超音波検査室

著者等の利益相反

本マニュアル作成委員等の利益相反に関して下記の内容で申告を求めた。本マニュアルに関係し,委員個人,配偶者,一 親等内の親族,収入・財産を共有する者,所属する研究機関・部門長が何らかの報酬を得た企業・団体について:報酬(100 万以上),株の利益(100 万以上,あるいは 5%以上),特許使用料(100 万以上),講演料等(50 万以上),原稿料(50 万以上),研究費,助成金(100 万以上),奨学(奨励)寄付など(100 万以上),企業などが提供する寄附講座(100 万以 上),研究とは直接無関係なものの提供(5万以上)。

小川眞広(報酬:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社,キヤノンメディカルシステムズ株式会社,大日本住友製薬株式会 社),岡庭信司(報酬:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社,キヤノンメディカルシステムズ株式会社),足立雅樹(報酬:有 限会社メディカル Egg),北野雅之(講演料:オリンパス株式会社,EA ファーマ株式会社,株式会社カネカメディックス,奨 学寄付:アッヴィ合同会社,武田薬品工業株式会社),中田雅彦(奨学寄付:日立ヘルスケアビジネスユニット),西村貴士

(奨学寄付:キヤノンメディカルシステムズ株式会社,GE ヘルスケア・ジャパン株式会社),松尾 汎(講演料:第一三共 株式会社)

(2)

緒 言

本マニュアルは,2014年に日本消化器がん検診学会,日本超音波医学会,日本人間ドック学会の3学会合同で発 表された初版1)~3)の改訂版である。

腹部超音波検査は,多数の臓器を扱い,がん以外の病変も対象とするという特殊性があり,さらに検査所見の記 載方法が統一されていないことにより,検診としての客観的な精度や有効性の評価が施行できなかった。また,実 施方法についても各学会などで明確に規定がなされていなかった。このような背景から日本消化器がん検診学会超 音波検診委員会(前超音波部会委員会)が中心となり,腹部超音波がん検診の質の向上を目指した実施基準,なら びにがん検診としての精度評価を可能とするための判定基準からなる腹部超音波がん検診基準4),5)を2011年に発行 した。その後,前述の3学会と合同で一部の修正ならびに項目の追加や判定区分を加えた腹部超音波検診判定マニ ュアルを作成した。3学会共通のマニュアル作成によるこの基準を普及することにより,腹部超音波検診の質的向 上と均質化および,検査結果の共通化を諮り,精度評価や有効性評価を行うことを目指したものであった。

今回の改訂は,当初より5年を目途に改訂が予定されていたものである。3学会でのワーキンググループおよび日 本超音波検査学会,日本総合健診医学会,日本がん検診・診断学会の3学会にオブザーバー学会として参加頂き,

これまでの経験をもとにさらに使用しやすいマニュアルにするべく改訂した。本マニュアルは,実施基準と具体的 な超音波所見とカテゴリー,結果通知表記載における超音波所見および判定区分を1:1で作成した表と注意点,そ してそれぞれの所見の代表的な超音波画像を呈示する構成で作成している。

超音波検査は,装置・検者・被検者の状態により精度が変わることは周知の事実である。現代医療においては,

検査の質を高めるために人間工学的な側面や装置条件(定期点検を含む)についても基準が求められており,本マ ニュアルの実施基準についても各学会のガイドラインなどを参考に改訂した。まだエビデンスには至っていないも のもあり必須とはしないが,現時点での検査環境の目安として各施設の参考にして頂ければ幸いである。

超音波検査の最大の弱点は客観性の欠如であり,それは画像だけではなく超音波所見・判定についても同様であ る。被検者・検者の移動や二次検査施設の多様化などを視野に入れると本マニュアルの浸透により客観性が飛躍的 に改善されるものと予測され,今後の普及に期待したいと考えている。

(3)

実施基準

1)検査を始める前に

症状の無い人を主な対象として実施されるスクリーニングの手法として,個人の健康の確認および程度を知る,

あるいは将来の疾患のリスクを確認する「健診」と,疾患の有無を確認する事を目的とした「検診」がある。なお 検査項目においては両者を明確に区別できない検査が存在する6)。「検診」の代表でもあるがん検診には,自治体 が行う対策型と,それ以外が実施する任意型がある。対策型がん検診は死亡率低下が確認された手法による5大が ん検診を,国として提示している。本腹部超音波検診判定マニュアルでは,肝臓がんや腎臓がんなどの任意型がん 検診に加えて,胆石などの疾患の有無を確認する「検診」と,脂肪肝や動脈硬化など将来の疾患リスクを確認する

「健診」の意味を併せもった内容となっている。

超音波検査に限らずがん検診には利益(メリット)と不利益(デメリット)があり,利益が不利益を上まわる検 診でなければならない。そのためには検者は,がん検診のメリットとデメリットを理解し,検診の質を高める必要 があると共に,受診者に適切なインフォームドコンセントを行う必要がある。また,検診で指摘された異常所見に 対する精密検査の目的には,がんの確定診断を行う意味とがんの疑いを除外する二通りの意味があることの理解を 得ることも大切である。

(メリット)

・がんの早期発見による早期治療が可能。

・「異常なし」と判定された場合の精神的な安心感。

(デメリット)

・偽陰性の存在(超音波検査で100%癌が発見されるわけではないこと)。

・偽陽性の存在(結果的に不必要な検査により受診者に対する侵襲や検査に伴う偶発症の存在があること,

精神的・経済的な負担をかけることがあること)。

・過剰診断の存在(生命予後に影響しないがんを見つけてしまうこと)。

2)対象臓器

・本マニュアルでは検査対象臓器を肝臓,胆道,膵臓,脾臓,腎臓,腹部大動脈とする。

・対象臓器については,事前に受診者に告知し各臓器には観察困難な例や部位があることを説明する。

・副腎や下腹部(膀胱,子宮,卵巣,前立腺,など)は正式な対象臓器とはしないが,走査過程において所見が認 められた場合には記録する。また,依頼者との任意契約で対象臓器を追加する場合には,その検査内容を受診者 に明確に伝える。

3)検査環境

①診断装置

・プローブ(探触子)は,コンベックス型の3.5〜7MHzを使用する。

・受診者の状況に応じ高周波プローブ(7.5MHz~),リニア型やマイクロコンベックス型プローブなども適 宜併用する。

・ティッシュハーモニックイメージングやカラードプラが利用可能な装置の使用を推奨する。

・診断装置の適切な保守・管理を定期的に行い,耐用年数(基準は7年)を超える装置の使用は避ける。

(4)

②検査担当者

日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診認定医(肝胆膵) ,日本超音波医学会超 音波専門医あるいは日本超音波医学会が認定する健診領域もしくは消化器領域の超音波検査士の資格を保有 する技師,日本人間ドック学会人間ドック認定医あるいは日本総合健診医学会・日本人間ドック学会人間ドッ ク健診専門医,日本医学放射線学会放射線専門医,日本臨床検査医学会臨床検査専門医が担当することが望ま しい。

③前処置

・午前検査予定の受診者は,前日の22時以降は固形物や乳製品を摂取しない。

・午後検査予定の受診者は,検査前6時間は固形物や乳製品を摂取しない。

・脱水予防のための水分(水・白湯など)は,検査同日の2時間前まで一回に200ml程度を目安とした摂取は可 とする。

・同日に消化管の検査を施行する場合には,炭酸ガスを用いた上部内視鏡検査以外は,超音波検査を先に施行 する7)

④周辺設備

・適切な検査環境は検者の疲労を避けるのみではなく,誤診を防ぐともいわれており,重要な因子である。

・被検者のプライバシーが守られる個室,またはそれに準ずる検査室となっているほか,検査台や椅子,モニ ターの高さに至るまで人間工学的に推奨された環境があるため,正しい環境下で検査を施行することを目指 す(日本超音波医学会の超音波検査者が安全・快適で健康的に働くための提言 -作業関連筋骨格系障害と 眼の障害を予防するための機器と作業環境-8)を参考とする)。

⑤感染症蔓延下における注意点

・新型コロナウイルス感染症蔓延下において検診の方式が一変した。この経験を基に将来の新たな感染症に備 えて感染症蔓延下における超音波検査の注意点を把握しておく必要がある。

・超音波検査においては,検査実施方法や装置の消毒方法などが他の診療と異なる特殊性がある。

・日本超音波医学会のホームページ上に掲載されている機器及び安全に関する委員会の「超音波診断装置の 取り扱いと安全性に関する勧告や資料」など9)~11)を参考として感染症蔓延下における超音波検診の方式を 考慮する。

⑥記録方法と走査方法

・画像の記録・保存方法は,サーマルプリンターでの保存,DICOMデータとしての保存,ビデオ・DVDなどへの 動画保存などがあり,施設によりさまざまである。しかし,二次読影や精査施設への紹介時の添付資料の観 点からも,DICOMデータの電子媒体への保存が望ましい。

・計測はモニター上で画像を十分に拡大して行い,小数点以下を四捨五入してmm表記とする。

・カテゴリー3以上の病変や限局性病変は必ず多方向からの画像を記録し,最大径・撮影部位も合わせて記 録・保存をする。

・走査方法については,超音波検査の基本走査として隅々まで各臓器を丁寧に観察し,限局性病変のみでなく 臓器全体のびまん性病変についても的確に評価することが基本となる。

・検査に対する保存断面についての基準は全国的に統一された手法はない。しかし,検査施行部位の証,精度

(5)

管理,二重読影,経時的変化の比較,他施設への紹介,教育面,検者・被検者の移動などに適切に対応する ためには基準断面の設定が望まれる。

・受診者の体位については,ほとんどが背臥位で施行されるが,超音波検査は体位変換によっても描出力が変 わるため,背臥位で観察が十分でない場合には,適宜体位変換(左右半側臥位,左右側臥位,半座位,座 位)を活用することが望まれる。

・検査に要する時間は,検査環境によっても異なるが有所見例以外で1時間に5~6人を目安とする(検査時間 は検査精度や検者の能力と相関するため無理な時間設定は避ける)。

・ここでは推奨記録断面の25断面12)と体位変換による画像を呈示する(図1,図2)。

⑦検査結果・読影・超音波画像所見・判定区分・事後管理

・検査結果は,超音波検査で得られた所見の記録と共に後述するカテゴリーにより結果を記す(表1-1)。

・技師により実施された検査については,日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医・消化器がん検 診認定医(肝胆膵),日本超音波医学会超音波専門医,日本人間ドック学会人間ドック認定医,人間ドック健 診専門医,日本医学放射線学会放射線専門医,日本臨床検査医学会臨床検査専門医が最終的に読影・診断し 報告書を完成させる。

4)受診間隔

異常所見がなくても逐年検診を勧める。

5)精検施設の選定

・精検施設への紹介は受診者にとって重要な因子となるため,検診結果に応じた適切な医療機関を指示・紹介すべ きである。また,逐年検診の際に大切な情報となるため精検結果のフィードバックを要請できるよう,精検機関 との連携を諮ることが重要である。

・紹介時には,検査結果のみではなく精査依頼内容を明確に記載すると共に検査全体の画像を添付する(DICOMデ ジタル画像推奨)。

6)精度管理

・検診全体が常に適切に施行されるように管理を行うことは,超音波検診が将来がん検診としての有効性を発揮す るためにも重要である。内部の精度管理以外にも,定期的に外部評価を受けることが望ましい。

・精度管理には,診断装置を含めた検査環境の管理のほかに,検査結果の集計・管理(要精検率およびカテゴリー 判定別の精検受診率,がん発見率など)や,事後指導の把握と集計(精検受診者・未受診者の把握と追跡,受診 勧奨,検診の感度・特異度の把握など),そして全国集計への協力・登録などが挙げられる。

7)教育

・検診に携わる医師,臨床検査技師,診療放射線技師などに対する知識の更新と技能向上のために,継続的な教育 は重要である。

・施設内での検討会などを行い意見の統一や診断精度の向上に役立てるほか,施設として学会・研修会・講習会へ の定期的な参加が可能な体制を作るべきである。さらに,日本消化器がん検診学会,日本超音波医学会,日本人 間ドック学会,日本臨床検査医学会などの資格取得に向けた支援や協力を行うことも重要となる。

(6)

8)推奨記録画像

(1) (2) (3) (4) (5)

(6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12) (13) (14) (15)

(16) (17) (18) (19) (20)

(21) (22) (23) (24) (25)

1) 左肋間走査:左腎 2) 左肋間走査:脾臓

3) 左肋間走査:脾臓・膵尾部 4) 心窩部縦走査:腹部大動脈 5) 心窩部縦走査:肝左葉(肝縁)

6) 心窩部縦走査:下大静脈・肝左葉・尾状葉(S1)

7) 心窩部縦走査:膵頭部(膵鉤部)

8) 心窩部横走査:膵体部

9) 心窩部横走査:膵体部(拡大で主膵管径計測)

10)左肋骨弓下斜走査:膵尾部 11)心窩部斜走査:膵頭部 12)右肋骨弓下斜走査:胆嚢体部 13)右肋骨弓下縦走査:胆嚢底~頸部

14)右肋骨弓下斜走査:肝外胆管 15)右肋間走査:胆嚢体部

16)心窩部横走査~左肋骨弓下斜走査:肝左葉 外 側区域(S2,S3)

17)心窩部横走査~斜走査:肝内側区域(S4)・ 門脈1次分枝

18)右肋骨弓下走査:肝前下区域(S5)

19) 右肋骨弓下走査:肝後区域(S6,S7)

20)右肋骨弓下走査:肝前上区域(S8)

21) 右肋骨弓下走査:肝静脈・横隔膜直下 22) 右肋間走査:肝前上区域(S8)

23) 右肋間走査:肝前下区域(S5)

24) 右肋間走査:肝後上区域(S7)

25) 右肋間走査:肝後下区域(S6)・右腎 記録画像は走査手順を示すものではない。

注1:1)4)12)25)は短軸像を観察し異常がないことを確認し,長軸像を記録する。

注2:3)脾臓をアコースティックウィンドウとした膵尾部。

図1 推奨記録25断面

(7)

(26) (27) (28) (29)

(30) (31) (32) (33)

26) 左側臥位右肋骨弓下斜走査:膵内胆管 27) 座位(半座位)横走査:膵頭部・体部 28) 右側臥位右肋骨弓下横走査:膵頭部 29) 右側臥位左肋骨弓下横走査:膵尾部

30) 左半側臥位肋間走査:右腎臓 長軸像 31) 左半側臥位肋間走査:右腎臓 短軸像 32)右半側臥位肋間走査:左腎臓 長軸像 33)右半側臥位肋間走査:左腎臓 短軸像 図2 体位変換による画像

(8)

参考文献

1) 日本消化器がん検診学会 超音波検診委員会 ガイドライン作成ワ-キンググル-プ,他. 腹部超音波検診判 定マニュアル. 日消がん検診誌 2014;52:471-493.

2) 日本人間ドック学会 画像検査判定ガイドライン作成委員会腹部超音波門,他. 腹部超音波健診判定マニュア ル. 2015, http://www.ningen-dock.jp/wp/common/data/other/inspection/m_ultrasound_exam2.pdf 3) 日本超音波医学会 用語・診断基準委員会 腹部超音波がん検診のカテゴリ-に関する小委員会,他. 腹部超

音波検診判定マニュアル. 超音波医 2015;42:201-224.

4) 日本消化器がん検診学会 超音波部会委員会 超音波検診基準作成のワーキンググループ.腹部超音波がん検 診基準.日消がん検診誌 2011;49:667‐685.

5) 田中幸子,岡庭信司,熊田 卓,他.腹部超音波がん検診基準の概要:カテゴリー判定を中心に.超音波医 2013;40:549‐565.

6) 厚生労働省健康診査等専門委員会. 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会健康診査等専門委員会報告書.

2019, https://www.mhlw.go.jp/content/000540391.pdf

7) Nakagawa H, Takahashi M, Ogawa M, et al. The influence of esophagogastroduodenoscopy using carbon dioxide insufflation on abdominal ultrasonographic imaging efficiency.J Med Ultrasonic 2020;47

:445-451.

8) 日本超音波医学会 機器及び安全に関する委員会.超音波検査者が安全・快適で健康的に働くための提言.

2014, https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/pdf/anzen_web.pdf

9) 日本超音波医学会. COVID-19 流行下において超音波検査と装置クリーニングを安全に実施する方法. 2020, https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/pdf/covid-19_safe_method.pdf

(原文)https://wfumb.info/wp-content/uploads/2020/03/WFUMB-covid19-document_FINAL2d.pdf 10)日本超音波医学会. COVID-19 の防護に関するクイックガイド — 患者と超音波検査者の防護. 2020,

https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/pdf/covid19_quick_guide.pdf

(原文)https://aium.s3.amazonaws.com/covid19/Covid19_Quick_Guide_PUPP.pdf 11) 日本超音波医学会. 超音波診断装置の取り扱いと安全性に関する勧告や資料.

https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/materials.html

12)小川眞広,松本直樹,渡邊幸信. 腹部超音波検査の撮影パターンと基本走査:消化器 初級.J Med Ultrasonic 2020; 47:173-182.

(9)

カテゴリーおよび判定区分

1)超音波画像所見

・検査担当者は,肝臓,胆道,膵臓,脾臓,腎臓,腹部大動脈,その他の対象臓器の観察において認められた異常 所見について,マニュアルに示す超音波画像所見のどの項目に該当するかを詳細に検討し,該当項目を選択す る。

・対象臓器以外の観察は必須ではないが,所見を認めた場合には記載する。

・臓器が全く描出できない場合には,「描出不能」とする。また,臓器の一部が描出できない場合には,「描出不 良」とし,「描出困難」や「描出不十分」と同等とし,部分切除後など境界部分が不明瞭な場合もこの範疇に含 め,描出不良部位を明記し描出可能な部位の所見を採用する。

2)カテゴリー (表 1-1,1-2)

・選択された超音波画像所見に応じて,がんに関してのカテゴリー,超音波所見(結果通知表記載)ならびに判定 区分が決まる。

・カテゴリーは,がん発見のための判定基準であるが,超音波検査で認められる所見の集約である。

・各臓器につき最高位のカテゴリーをその臓器のカテゴリーとして記載する。但し,最高位のカテゴリーと最高位 の判定区分が異なる場合には,それぞれの項目を並列表記する(カテゴリー2・判定区分D2,カテゴリー3・判 定区分Cなど)。

・過去との比較が可能な病変については,経時的変化についてのコメントを記載する。

・超音波画像上,判定区分がD2 以上に相当する所見を認めるが,精査の結果良性と判断されている病変について は,当該カテゴリーにダッシュを付けて表示し [例:0′,2′,3′,4′など] ,判定区分はCとする。

表 1-1 カテゴリー

カテゴリー0 描出不能 装置の不良,被検者・検者の要因などにより判断不能の場合。

カテゴリー1 異常なし 異常所見はない。

カテゴリー2 良性 明らかな良性病変を認める。正常のバリエーションを含む。

カテゴリー3 良悪性の判定困難 良悪性の判定困難な病変あるいは悪性病変の存在を疑う間接所見を 認める。高危険群を含む。

カテゴリー4 悪性疑い 悪性の可能性の高い病変を認める。

カテゴリー5 悪性 明らかな悪性病変を認める。

表 1-2 カテゴリー記入表

臓器 カテゴリー判定 描出不良部位

肝 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

胆道 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

膵 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

脾 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

腎 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

腹部大動脈 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 有□

その他 ------

------

網掛けの部分は該当事項のある場合にのみ記載

(10)

3)超音波所見(結果通知表記載)

超音波画像所見の内容を,受診者に知らせるための,簡略化した表示名である。結果通知表には超音波所見を記載 する。カテゴリー4, 5の場合には“腫瘍” ,カテゴリー3の限局性病変は“腫瘤”と記載し,疑いを含む。

4)判定区分(表1-3)

判定区分は原則として,超音波画像上の異常所見に応じてマニュアルに従って,判定医が最終決定する。但し,超 音波検査以外の検査結果や,前回所見との比較により,判定医による必要に応じた判定区分の変更は可能とする。

表 1-3 判定区分

A 異常なし B 軽度異常

C 要再検査(3・6・12 か月)・生活改善

D(要医療)

D1 要治療

D1P 要治療(緊急を要する場合)

D2 要精検

D2P 要精検(緊急を要する場合)

E 治療中

破裂の可能性の高い腹部大動脈瘤や大動脈解離などのように緊急を要すると判定された場合は,D1P,D2P

(P:パニック所見)と判定する。

(注)

・P:パニック所見,カテゴリー5 の病変については,速やかに判定医に報告する。

・胆管結石など緊急を要すべき所見を伴う場合には,速やかに判定医に報告する。

・判定区分Cは,これまで要経過観察という用語も使用していたが,経過観察の期間が不明であり,各施設での用 語を統一する目的で,今回から要再検査と統一し,その際は具体的な期間を記入することとした。

・再検査の期間は 3・6・12 か月としたが,判定医の指示により変更も可能とする。

・再検査は,必要に応じ医療施設で行うが,再検査 12 か月は,翌年の検診受診を強く推奨するものとする。

・カテゴリー2′, 3′, 4′で判定区分Cとなっている場合には,12 か月後の逐年受診時の超音波検査の再検査 としてもよい。

・要再検査とした場合には,検査施行施設を具体的に指導することが望ましい。

・要精検とした場合には,精検施行施設や検査手法などを具体的に指導することが望ましい。

・脂肪肝で食事療法中や自施設・他施設を問わず(3・6・12 か月ごとに)再検査をしている場合(主膵管拡張・膵 嚢胞など)は,判定区分をEではなくCとする。

・ほかの医療機関で精査後,その医療機関で経過観察を続けている場合は,判定区分をCまたはEとしてもよい。

但し,がんの高危険群に対しては医療機関での検査内容を聞き取り,判定区分をD2 としてもよい。

・カテゴリー3 の病変については,少なくとも過去 2 回以上の結果で経時変化がなければ,判定区分をCとしても よい。

・限局性病変や管腔の径が,前回と比較して明らかに増大している場合は,必要に応じて判定区分をD2 としても よい。

・臓器に萎縮がある場合は,既往歴や現病歴,治療歴を参照し判定を行う。

(11)

・適宜カラードプラを使用し,判定の補助に活用する。

・肝限局性病変については,HBV,HCV 感染や血小板減少(15 万/μL 未満)など,臨床生化学データで慢性肝疾患 が疑われる場合は必要に応じて判定をD2 としてもよい。

・肝外胆管描出不良例で,胆道系酵素の異常を認める場合は,判定区分をD2 としてもよい。

(12)

5)各臓器のカテゴリーおよび判定区分表 表 2-1 「肝臓」

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 肝臓部分切除後

移植後 注1) 肝臓移植後

局所治療後 3 肝臓局所治療後

先天的な変形 注2) 2 肝臓の変形

描出不能 0 肝臓描出不能 D2

びまん性病変

高輝度肝・肝腎(脾)コントラストの上昇・脈管不明瞭化・深部減衰の増強

のいずれかを認める 注3) 2 脂肪肝

肝縁鈍化・実質の粗造なエコーパターンおよび肝表面の結節状凹凸を認め

る(いずれか) 注4) 3 慢性肝障害疑い

肝縁鈍化・実質の粗造なエコーパターンおよび肝表面の結節状凹凸を認め

る(すべて) 3 慢性肝障害 D2

充実性病変

充実性病変を認める 3 肝腫瘤

カテゴリー3のびまん性病変の合併がある充実性病変 4 肝腫瘍疑い D2

最大径 15㎜≦ 4 肝腫瘍疑い D2

肝腫瘍性病変

マージナルストロングエコー・カメレオンサイン・ワックスアンド

ウエインサイン・ディスアピアリングサインのいずれかを認める 注5) 2 肝血管腫

辺縁低エコー帯・後方エコー増強・多発のいずれかを認める 4 肝腫瘍疑い D2

末梢の胆管の拡張 4 肝腫瘍疑い D2

モザイクパターン・ブライトループパターン・ハンプサイン 注6)

のいずれかを認める 5 肝腫瘍 D1

クラスターサイン・ブルズアイパターン 注7)のいずれかを認める 5 肝腫瘍 D1

肝内胆管・血管のいずれかに断裂・腫瘍塞栓を伴う 5 肝腫瘍 D1

嚢胞性病変

嚢胞性病変(大きさを問わず以下の所見を認めない) 2 肝嚢胞

充実部分(嚢胞内結節・壁肥厚・隔壁肥厚)および内容液の変化(内部の

点状エコー)などを認める 注8) 4 肝嚢胞性腫瘍疑い D2

末梢の胆管拡張 注9) 3 肝内胆管拡張を伴う肝嚢胞 D2

その他の所見

石灰化像 2 肝内石灰化・肝内結石

気腫像 注10) 2 胆道気腫

肝内胆管拡張 4mm≦ (胆嚢切除後 6mm≦)注11) 3 肝内胆管拡張 D2

但し,乳頭部近傍の胆管まで異常所見なし 2 胆管拡張

血管異常 注12) 2 肝血管異常 D2

異常所見なし 1 肝臓異常所見なし

「肝臓」

判定 カテゴリー 区分

超音波画像所見

2

注 1) 局所治療後で再発所見が無いものは,腫瘍性病変としては扱わない。部分切除の場合には切除部位が分かれば記 載し,残存部分で超音波画像所見を評価する。

注 2) 先天的な変形(部分萎縮など)はカテゴリー2判定区分Bとして変形部分以外はほかと同じ評価法とする。

注 3) 肝実質の輝度は健常な腎臓と同じ深度で比較をする(慢性腎不全の場合は脾臓と比較)。

限局性低脂肪化域の好発部位に認められる不整形の低エコー域でスペックルパターンに乱れがなくカラード プラにて脈管走行に偏位を認めない場合には充実性病変としない(図 肝-1)。

注 4) 肝実質の評価はフラッグサインや簾状エコーを認めた場合も粗造な実質エコーパターンに含める。

注 5) 糸ミミズサインなど内部の変化が捉えられるものもこの範疇に入る。

注 6) モザイクパターン(同)nodule in nodule:腫瘤内部の小結節がモザイク状に配列して形成されたエコーパターン。

原発性肝細胞癌にみられる特徴。

ブライトループパターン:原発性肝細胞癌の脱分化した状態を指す用語で高エコーの結節内に低エコーの結節 が出現した状態。

ハンプサイン:実質臓器の腫瘍などでその部分の表面が突出して観察されること。

注 7) クラスターサイン:多数の腫瘤が集簇して一塊になって描出されることで,転移性肝腫瘍に特徴的。

ブルズアイパターン(同)標的像:腫瘤などの内部エコーが同心円状の構造を示すエコーパターン。

(13)

図 肝-1 脂肪肝における限局性低脂肪化域好発部位

注 8) 嚢胞性病変で明らかに壁に厚みを持った場合には全て壁肥厚とする。

内容液の変化(嚢胞内出血・感染など)も腫瘍性の可能性が否定できないため要精査の対象とする。

また腫瘍性増殖を示す細胞で覆われた嚢胞の総称となる腫瘍性嚢胞もこの範疇に含める。

注 9) 肝嚢胞により末梢胆管が拡張している場合には嚢胞性腫瘍の合併の可能性や治療適応のある症例が含まれるた 要精査とする。

注 10) 胆管過誤腫などで認められるコメット様エコーも含める。気腫と石灰化・結石との鑑別は体位変換や呼吸時の移 動の状態で判別を行う。

注 11) 肝内胆管の拡張は 4mm 以上(小数点以下を四捨五入)とする。腫瘤性病変を認めない限局性胆管拡張胆管の術 後も含める。

注 12) 血管異常は P-V shuntA-P shuntA-V shunt のほかに肝外側副血行路を含めた門脈圧亢進所見動脈瘤 脈瘤などを含む。但し軽度の門脈瘤や P-V shunt で病態に影響がないと判断されるものはカテゴリー2判定区分Cとする。また腫瘤性病変に関連する血管異常は腫瘤性病変の評価に準ずる。

①胆嚢周囲:胆嚢静脈の還流領域

②S4 および S2 背側:右胃静脈の異所性還流領域

③S4 前面肝表面直下:Sappey の静脈還流領域

(14)

表 2-2 「胆嚢・肝外胆管」

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 注1) 0 胆嚢切除後

描出不能 0 胆嚢描出不能 D2

壁評価不良 注2) 3 胆嚢壁評価不良 D2

形態異常

最大短径 36mm≦ 注3) 3 胆嚢腫大 D2

但し,乳頭部近傍の胆管まで異常所見なし 2 胆嚢腫大

壁肥厚 注4)

びまん性肥厚(体部肝床側にて壁厚 4mm≦) 3 びまん性胆嚢壁肥厚 D2

但し,小嚢胞構造あるいはコメット様エコーを認める 2 胆嚢腺筋腫症

壁の層構造の不整あるいは断裂を認める 4 胆嚢腫瘍疑い D2

限局性壁肥厚(壁の一部に内側低エコーを認める) 4 胆嚢腫瘍疑い D2

但し,小嚢胞構造あるいはコメット様エコーを認める 2 胆嚢腺筋腫症

隆起あるいは腫瘤像(ポリープ)

有茎性

   <5mm 2 胆嚢ポリープ

    5mm≦ ,<10mm 3 胆嚢腫瘤

但し,点状高エコーあるいは桑実状エコーを認める 2 胆嚢ポリープ

   10mm≦ 4 胆嚢腫瘍疑い D2

広基性(無茎性) 4 胆嚢腫瘍疑い D2

但し,小嚢胞構造あるいはコメット様エコーを認める 2 胆嚢腺筋腫症

付着部の層構造の不整あるいは断裂を認める 5 胆嚢腫瘍 D1

その他の所見

結石像(石灰化像を含む)

気腫像 注5) 2 胆嚢結石

胆道気腫

デブリエコー(結石像と別に記載)注6) 3 胆泥 D2

異常所見なし 1 胆嚢異常所見なし

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 注7) 0 肝外胆管切除後

描出不能 0 肝外胆管描出不能 D2

形態異常

  8mm≦ ,胆嚢切除後は11mm≦ 注8) 3 胆管拡張 D2

但し,乳頭部近傍の胆管まで異常所見なし 2 胆管拡張

  嚢腫状あるいは紡錘状の形状 4 膵・胆管合流異常疑い D2

壁肥厚

  3mm≦ あるいは壁の一部に内側低エコーを認める 3 胆管壁肥厚 D2

  粘膜面不整 4 胆管腫瘍疑い D2

  層構造不整 5 胆管腫瘍 D1

隆起あるいは腫瘤像(ポリープ)

  隆起・腫瘤を認める 4 胆管腫瘍疑い D2

  付着部の層構造の不整あるいは断裂を認める 5 胆管腫瘍 D1

その他の所見

  結石像(石灰化像を含む) 2 胆管結石 D1

  気腫像 注5) 2 胆道気腫

  デブリエコー(結石像と別に記載)注9) 3 肝外胆管胆泥 D2

異常所見なし 1 肝外胆管異常所見なし

「肝外胆管」

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

「胆嚢・肝外胆管」

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

「胆嚢」

注 1) 残存部分(胆嚢・胆管など)がある場合には残存部分で超音波画像所見を評価する。

注 2) 萎縮や胆石により壁評価ができないものを含む。食後胆嚢で壁評価ができないものも含む。

注 3) 遠位胆管や膵頭部に閉塞機転がないことを評価する。

注 4) 小嚢胞構造やコメット様エコーを伴う壁肥厚では隆起性病変の存在に注意する。

(15)

図 胆-1 限局性壁肥厚(内側低エコー)

図 胆-2 胆管径の測定法

図 胆-2 胆管径の測定法

注 5) 気腫と石灰化・結石との鑑別は体位変換や呼吸時の移動の状態で判別を行う。

注 6) 遠位胆管や膵頭部に閉塞機転がないことを評価する。

注 7) 切除部位が分かれば記載し残存部分で超音波画像所見を評価する。

注 8) 拡大画像で胆管の前壁エコーの立ち上がりから後壁エコーの立ち上がりまでを計測し小数点以下を四捨五入し て mm 表示とする(図 胆-2)。

注 9) 遠位胆管や膵頭部に閉塞機転がないことを評価する。

限局性壁肥厚は胆嚢壁の一部のみに内側低エコー を認めるものも含む。(壁厚<4mm でも良い。

前壁エコーの立ち上がりから後壁エコーの立ち上がりまで を測定し小数点以下は四捨五入して mm 表示とする。

(16)

表 2-3「膵臓」

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 注1) 0 膵臓切除後

描出不能 0 膵臓描出不能 D2

形態異常

先天的な変形 注2) 2 膵臓の変形

最大短軸径 <10mm 2 膵臓萎縮 D2

最大短軸径  30mm≦ 2 膵臓腫大 D2

限局腫大 注3) 2 膵臓の変形

エコーレベルの低下・実質の粗造なエコーパターン・

主膵管や脈管の不明瞭化のいずれかを認める 主膵管径

体部にて 3mm≦ 注4) 3 膵管拡張 D2

主膵管内に結節を認める 4 膵腫瘍疑い D2

下流側の狭窄を認める 4 膵腫瘍疑い D2

充実性病変 注5)

高エコー腫瘤像 2 膵腫瘤

15mm≦ 3 膵腫瘤 D2

低(等)エコー腫瘤像または高低混在エコーを呈する腫瘤像 4 膵腫瘍疑い D2

主膵管・肝外胆管・膵周囲血管のいずれかの途絶を認める 5 膵腫瘍 D1

嚢胞性病変(分枝の拡張を含む)注5)

最大径 <5mm 2 膵嚢胞

最大径 5mm≦ 3 膵嚢胞 D2

充実部分(嚢胞内結節・壁肥厚・隔壁肥厚)および内容液の変化(内部の

点状エコー)などを認める 注6) 4 膵嚢胞性腫瘍疑い D2

その他の所見

石灰化像 2 膵石または膵内石灰化

血管異常 注7) 2 膵血管異常 D2

異常所見なし 1 膵臓異常所見なし

「膵臓」 

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

4 膵腫瘍疑い D2

注 1) 部分切除の場合には切除部位が分かれば記載し残存部分で超音波画像所見を評価する。

注 2) 先天的な変形(膵尾部欠損など)は残存部分で超音波画像所見を評価し異常が無ければカテゴリー2判定区 分Bとする。

注 3) 輪郭が不整な病変は充実性病変とし輪郭が平滑な病変のみ限局腫大とする。

注 4) 拡大画像で主膵管の前壁エコーの立ち上がりから後壁エコーの立ち上がりまでを計測し小数点以下を四捨五 入して mm 表示とする(図 膵-1)。

注 5) 充実成分と嚢胞成分が混合している病変は占める割合が多い方を主となる病変として,充実性ないし嚢胞性病 変に含める。

注 6) 内容液の変化(嚢胞内出血・感染など)も,腫瘍性の可能性が否定できないため要精査の対象とする。

また腫瘍性増殖を示す細胞で覆われた嚢胞の総称となる腫瘍性嚢胞もこの範疇に含める。

注 7) 血管異常は動脈瘤A-V shunt(動静脈奇形を含む)静脈塞栓(血栓)側副血行路などが含まれる。

但し充実性病変に関連する血管異常は腫瘤性病変の評価に準ずる。

図 膵-1 膵管径の測定法

前壁エコーの立ち上がりから後壁エコーの立ち上がりまで を測定し小数点以下は四捨五入して mm 表示とする 。

(17)

表 2-4「脾臓」

図 脾-1 脾臓の計測方法

脾腫の計測は,上端―下端を計測するのではなく,最大径を計測する。

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 注1) 0 脾臓切除後

局所治療後 2 脾臓局所治療後

描出不能 注2) 0 脾臓描出不能

形態異常 

先天的な変形 注3) 2 脾臓の変形

最大径 10㎝≦ ,<15㎝ 注4) 2 脾臓腫大

最大径 15㎝≦  3 脾臓腫大 D2

充実性病変

高エコー腫瘤像 3 脾腫瘤 D2

低エコー腫瘤像 4 脾腫瘍疑い D2

高・低エコー混在腫瘤像 4 脾腫瘍疑い D2

中心部高エコー 5 脾腫瘍 D1

嚢胞性病変

嚢胞性病変(大きさを問わず以下の所見を認めない) 2 脾嚢胞

充実部分(嚢胞内結節・壁肥厚・隔壁肥厚・内容液の変化(内部の点状エ

コー)などを認める 注5) 4 脾嚢胞性腫瘍疑い D2

その他の所見

石灰化像 2 脾内石灰化

血管異常 注6) 2 脾血管異常 D2

脾門部充実性病変 3 脾門部腫瘤 D2

内部エコー均一で脾臓と同等のエコーレベルの類円形腫瘤像 2 副脾

異常所見なし 1 脾臓異常所見なし

「脾臓」

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

注 1) 部分切除の場合には切除部位が分かれば記載し残存部分はほかと同じ評価法とする。

注 2) 摘出の有無を確認し腫大の有無を判定できなければ描出不能とするが精査の必要はない。

注 3) 先天的な変形(多脾症など)はカテゴリー2判定区分Bとして残存部分はほかと同じ評価法とする。

注 4) 脾臓の大きさに関しては年齢・体格により基準値にも幅がある。

注 5) 嚢胞性病変で明らかに壁に厚みを持った場合には全て壁肥厚とする。

また内容液の変化(嚢胞内出血・感染など)も嚢胞性腫瘍の可能性が否定できないためカテゴリー4判定 区分D2 とする。

注 6) 動脈瘤のほか脾静脈の側副血行路など脾門部の異常も含む。

但し腫瘤性病変に関連する血管異常は腫瘤性病変の評価に準ずる。

計測値は最大径とする(図 脾-1)。

(18)

表 2-5「腎臓」

超音波所見

(結果通知表記載)

切除後 0 腎臓摘出後

部分切除後・腎移植後 注1) 2 腎臓部分切除後・腎臓移植後

描出不能 0 腎臓描出不能 D2

形態異常

最大径が両側とも  12cm≦ 3 腎臓腫大 D2

最大径が両側とも <8cm 2 腎臓萎縮 D2

左右の大小不同・先天的な変形など 注2) 2 腎臓の変形

輪郭の凹凸あるいは中心部エコーの解離および変形を伴う 注3) 3 腎腫瘤 D2

充実性病変 注4)

充実性病変を認める 3 腎腫瘤 D2

境界明瞭・輪郭平滑な円形病変 4 腎腫瘍疑い D2

内部無エコー域・辺縁低エコー帯・側方陰影のいずれかを伴う 4 腎腫瘍疑い D2

中心部エコーの解離および変形を伴う 4 腎腫瘍疑い D2

境界明瞭・輪郭平滑な円形病変で内部無エコー域を伴う 5 腎腫瘍 D1

内部無エコー域を認め,辺縁低エコー帯・側方陰影のいずれかを伴う 5 腎腫瘍 D1

中心部エコーと同等以上の高輝度で輪郭不整あるいは尾引き像を伴う

<40mm 注5), 注6) 2 腎血管筋脂肪腫

40mm≦ 2 腎血管筋脂肪腫 D2

嚢胞性病変

嚢胞性病変を認める 注7) 2 腎嚢胞

5個以上の嚢胞を両側性に認める 注8) 2 多発性嚢胞腎 D2

複数の薄い隔壁あるいは粗大石灰化像を伴う         3 腎嚢胞性腫瘤 充実部分(嚢胞内結節・壁肥厚・隔壁肥厚・

内容液の変化(内部の点状エコー)などを認める 注9) 4 腎嚢胞性腫瘍疑い D2 その他の所見

石灰化像 

腎実質内 注10) 2 腎石灰化

腎盂尿管内 <10mm 2 腎結石

腎盂尿管内 10mm≦  2 腎結石 D2

腎盂拡張(閉塞原因不詳) 3 腎盂拡張・水腎症 D2

 軽度腎盂拡張(腎杯拡張を伴わない) 2 腎盂拡張

 拡張部あるいは閉塞部に石灰化像 2 腎盂結石または尿管結石 注11) D2

 閉塞部に充実性病変 4 腎盂腫瘍または尿管腫瘍 注11) D2

 血管異常 注12) 2 腎血管異常 D2

異常所見なし 1 腎臓異常所見なし

「腎臓」

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

注 1) 部分切除の場合には切除部位が分かれば記載し残存部分で超音波画像所見を評価する。

注 2) 先天的な変形(重複腎盂や馬蹄腎など)はカテゴリー2判定区分Bとして変形部分以外はほかと同じ評価法 とする。

注 3) 腎実質と同等のエコーレベルスペックルパターンを呈する腎輪郭の凹凸・変形や中心への限局性膨隆は変形と カテゴリー2判定区分Bとする。カラードプラ法で正常腎実質と同様の血管構築を確認することが望まし い。

注 4) 10mm 未満の充実性病変は判定区分Cとしてもよい(腎癌との鑑別困難な症例も含まれるが腫瘍径が小さな症例 は腫瘍発育速度が遅いため)。

注 5) 尾引き像とは多重反射のため病変の後面エコーは不明瞭となり深部ではエコーの減衰を伴うコメット様エコ ーを拡大したような超音波像。

注 6) 40mm 未満の腎血管筋脂肪腫でも増大傾向や症状を認めた場合は破裂の危険があるため判定区分D2 としてもよい。

注 7) 2 つ以下の薄い隔壁微小石灰化を伴う嚢胞はカテゴリー2判定区分Bとする。

注 8) 腎の長径が 9 ㎝以下の場合は多発性嚢胞腎よりも単純嚢胞の可能性が高くカテゴリー2判定区分Cとして もよい(図 腎-1)。

注 9) 内容液の変化(嚢胞内出血・感染など)も腫瘍性の可能性が否定できないため要精査の対象とする。

また腫瘍性増殖を示す細胞で覆われた嚢胞の総称となる腫瘍性嚢胞もこの範疇に含める。

注 10) 腎実質内か腎盂腎杯内か判断できない場合は腎石灰化または腎結石とし10mm 未満は判定区分C10mm 以上 は判定区分D2 とする。

注 11) 閉塞部位が分かれば記載する。

(19)

図 腎-1 腎長径の測定法

腎外に突出する嚢胞は長径の計測に入れず本来の腎実質の存在が想定される長径を測る。

注 12) 血管異常は動脈瘤A-V shunt(動静脈奇形を含む)静脈塞栓(血栓)などが含まれる。

但し腫瘤性病変に関連する血管異常は腫瘤性病変の評価に準ずる。

(20)

表 2-6「腹部大動脈」

※パニック所見:緊急性を要する病態の場合には判定区分にPを付け加える。

https://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/pdf/aorticlesion2020.pdf 腹-1 紡錘状瘤径の計測

超音波所見

(結果通知表記載)

治療後 注1) 2 腹部大動脈治療後

大動脈の限局拡張 注2)

紡錘状拡張 

最大径  30mm≦ ,<45mm 2 腹部大動脈瘤

最大径 45mm≦ ,<55mm 2 腹部大動脈瘤 D2

最大径 55mm≦ 注3) 2 腹部大動脈瘤 D1P

嚢状拡張 2 腹部大動脈瘤 D2P

その他の所見

フラップを認める 注4) 2 腹部大動脈解離 D2

プラークなど血管壁・内腔の異常 注5) 2 動脈硬化

異常所見なし 1 大動脈異常所見なし

「腹部大動脈」 

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

注 1) 大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後症例では最大瘤径が前回(治療前を含む)より増大した場合は P:パニック所見判定区分D2 とする。

注 2) 大動脈径の計測は(図 腹-1)のように計測する(日本超音波医学会用語・診断基準委員会:超音波による大動 脈病変の標準的評価法 2020 に準じる)。

注 3) 最大径 55mm 以上の紡錘状拡張や嚢状拡張は破裂の危険性が高いためPとして判定医に報告する。

注 4) 大動脈解離の判定区分は基本D2 であるが拡張の程度により紡錘状大動脈瘤に準じる。

注 5) 大動脈の特に大きなプラークや可動性があれば記載してもよい。また壁肥厚や石灰化などの所見も別途記載し てもよい。

(21)

表 2-7「その他」

本マニュアル作成の一部は厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 20FA1021 の交付を受けたものです。

超音波所見

(結果通知表記載)

リンパ節腫大

短径 7mm≦ 注1) 3 リンパ節腫大

短径 10mm≦ または 短径/長径 0.5≦ 4 リンパ節腫大 D2

腹腔内貯留液

貯留液を認める 注2) 3 腹水 D2

胸腔内液貯留

貯留液を認める 注2) 3 胸水 D2

心腔内液貯留

貯留液を認める 注3) 2 心嚢水 D2

腹腔・後腹膜・骨盤腔(副腎を含む)

腫瘤像を認める 注4) 3 腹部腫瘤 D2

「その他」

超音波画像所見 カテゴリー 判定

区分

注 1) リンパ節の腫大は短径が 7mm 以上より有所見として記載する。

注 2) 生理的な限界をこえて貯留液が貯留した状態。

貯留液の混濁や貯留液内に充実性のエコー像を認める場合には感染・出血・悪性疾患(腹膜転移を含む)を疑う 病態があることを考慮する。

注 3) 心嚢水は良性であっても治療が必要な病態の可能性があるためD2 とする。

注 4) 腹部腫瘤像には嚢胞性腫瘤も含む。

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黒 田 豊 彦 立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科 博士課程前期課程 志 村 洋 子 立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科 博士課程前期課程修了生

宮崎大学医学部整形外科学教室員一同 宮崎大学医学部整形外科同門会一同 謝 辞 宮崎県医師会 -学校医部会 宮崎市郡医師会 -学校保健委員会

1.国際渉外委員会 深尾 敏幸 委員長 岐阜大学大学院医学部研究科小児病態学 井田 博幸 副委員長 東京慈恵会医科大学小児科学講座