1.連結財務諸表の意義
〔短答:A 論文:A〕 連結財務諸表は,企業集団全体の財政状態及び経営成績を表示するために作成されるものである。 これまでの章でみてきた財務諸表は,個々の会社など法律上の企業単位を会計単位として作成される財務 諸表であった。このような財務諸表を「個別財務諸表」という。しかし,現代の企業は個々の企業として独 立に存在するだけでなく,親会社とその支配下にある子会社という形で企業集団を形成し,その中で経済活 動を営んでいる場合も多い。 これらの企業集団を構成する個々の会社は,法律上はそれぞれ別個の実体であるものの,経済的・実質的 には支配従属関係をもった1つの組織体として認識されることになる。 したがって,このような場合には,企業集団を構成する個々の企業を総合して1つの会計単位として取扱 い,企業集団として財務諸表を作成することが経済的事実に合致している。 ここで,1つの企業集団に属する企業の個別財務諸表を総合して作成される財務諸表を「連結財務諸表」 という。2.親会社と子会社
〔短答:A 論文:A〕 親会社とは,他の企業の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関を支配している企業をいう。 子会社とは,当該他の企業をいう。 具体的に,他の企業を支配しているとは,①他の企業の議決権の過半数を自己の計算において保有してい る場合又は,②他の企業の議決権の 40%以上,50%以下を自己の計算において保有し,その他の事象により 支配していると認められる場合をいう。第1節
連結財務諸表の基礎概念
連結財務諸表は,連結精算表において当期末の個別財務諸表を合算し,連結修正仕訳を行うことにより作 成する。また,連結に際して行われる連結修正仕訳は,① 資本連結,② 内部取引の相殺,③ 未実現利益の 消去,④ 債権・債務の相殺等がある。 <親会社個別F/S> <子会社個別F/S> <連結F/S> 個別貸借対照表 個別貸借対照表 連結 修正仕訳 連結貸借対照表 個別損益計算書 + 個別損益計算書 ± = 連結損益計算書 個別株主資本等 変動計算書 個別株主資本等 変動計算書 連結株主資本等 変動計算書 ※ 連結財務諸表を作成するための連結修正仕訳は,すべて会計帳簿の枠外で作成される連結精算表で行わ れ,会計帳簿には記録されない。
第2節
連結財務諸表の作成方法
〔短答:A 論文:A〕1.連結損益計算書
〔短答:A 論文:A〕 連結損益計算書 P社 平成×年×月×日~平成×年×月×日 (単位:千円) Ⅰ 売 上 高 ××× Ⅱ 売 上 原 価 ××× Ⅱ 売 上 総 利 益 ××× Ⅲ 販売費及び一般管理費 1 販 売 費 ××× 2 の れ ん 償 却 額 ××× 3 一 般 管 理 費 ××× ××× Ⅱ 営 業 利 益 ××× Ⅳ 営 業 外 収 益 1 受 取 利 息 配 当 金 ××× 2 有 価 証 券 利 息 ××× 3 償 却 債 権 取 立 益 ××× 4 持 分 法 に よ る 投資 利 益 ××× ××× Ⅴ 営 業 外 費 用 1 支 払 利 息 ××× 2 社 債 利 息 ××× 3 手 形 売 却 損 ××× 4 持 分 法 に よ る 投資 損 失 ××× ××× Ⅱ 経 常 利 益 ××× Ⅵ 特 別 利 益 1 負 の の れ ん 発 生 益 ××× 2 段 階 取 得 に 係 る 差 益 ××× 3 固 定 資 産 売 却 益 ××× ××× Ⅶ 特 別 損 失 1 固 定 資 産 売 却 損 ××× 2 投 資 有 価 証 券 売 却 損 ××× 3 段 階 取 得 に 係 る 差 損 ××× ××× 税金等調整前当期純利益 ××× 法人税,住民税及び事業税 ××× 法 人 税 等 調 整 額 ××× ××× 当 期 純 利 益 ××× 非支配株主に帰属する当期純利益 ××× 親会社株主に帰属する当期純利益 ×××第3節
連結財務諸表の表示方法
2.連結包括利益計算書
(※ 応用期で学習)〔短答:A 論文:A〕 連結包括利益計算書 P社 平成×年×月×日~平成×年×月×日 (単位:千円) 当 期 純 利 益 ××× そ の 他 の 包 括 利 益 : そ の 他 有 価 証 券 評 価 差 額 金 ××× 繰 延 ヘ ッ ジ 損 益 ××× 退 職 給 付 に 係 る 調 整 額 ××× 持分法適用会社に対する持分相当額 ××× その他の包括利益合計 ××× 包 括 利 益 ××× (内訳) 親会社株主に係る包括利益 非支配株主に係る包括利益 ××× ×××
3.連結貸借対照表
〔短答:A 論文:A〕 連結貸借対照表 P社 平成×年×月×日現在 (単位:千円) 資 産 の 部 負債の部 Ⅰ 流 動 資 産 Ⅰ 流 動 負 債 現 金 預 金 ××× 支 払 手 形 ××× 受 取 手 形 ××× 買 掛 金 ××× 貸 倒 引 当 金 △××× ××× 未 払 金 ××× 売 掛 金 ××× 短 期 借 入 金 ××× 貸 倒 引 当 金 △××× ××× 未 払 法 人 税 等 ××× 有 価 証 券 ××× 繰 延 税 金 負 債 ××× 商 品 ××× 未 払 費 用 ××× 前 払 費 用 ××× 前 受 収 益 ××× 繰 延 税 金 資 産 ××× Ⅱ 固 定 負 債 短 期 貸 付 金 ××× 社 債 ××× 未 収 収 益 ××× 退職給付に係る負債 ××× Ⅱ 固 定 資 産 繰 延 税 金 負 債 ××× 1 有 形 固 定 資 産 純 資 産 の 部 建 物 ××× Ⅰ 株 主 資 本 減 価 償 却 累 計 額 △××× ××× 1 資 本 金 ××× 備 品 ××× 2 資 本 剰 余 金 ××× 減 価 償 却 累 計 額 △××× ××× 3 利 益 剰 余 金 ××× 土 地 ××× 4 自 己 株 式 △××× 2 無 形 固 定 資 産 Ⅱ その他の包括利益累計額 の れ ん ××× 1 その他有価証券評価差額金 ××× 3 投資その他の資産 2 繰 延 ヘ ッ ジ 損 益 ×××4.連結株主資本等変動計算書
〔短答:A 論文:A〕 自平成××年×月×日 至平成××年×月×日 株主資本 その他の包括利益累計額 新株予 約権 非支 配株 主持 分 純資産 合計 資本金 資本 剰余金 利益 剰余金 自己 株式 株主 資本 合計 その他 有価証 券評価 差額金 繰延 ヘッジ 損益 為替換 算調整 勘定 当期首残高 ×× ×× ×× -×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× 事業年度中の変動額 新株の発行 ×× ×× ×× ×× 追加取得による資本 剰余金減少額 -×× -×× -×× 一部売却による資本 剰余金増加額 ×× ×× ×× 剰余金の配当 -×× -×× -×× 親会社株主に帰属す る当期純利益 ×× ×× ×× 自己株式の処分 ×× ×× ×× 株主資本以外の項目 の事業年度中の変動 額(純額) ×× ×× ×× ×× ×× ×× 当期変動額合計 ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× 当期末残高 ×× ×× ×× -×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× 連結財務諸表の表示方法の特徴をまとめると以下のようになる。 ① 「のれん」は,無形固定資産の区分に表示される。 ② 「非支配株主持分」は,純資産の部に表示する。 ③ 個別財務諸表上の利益準備金,任意積立金,繰越利益剰余金は「利益剰余金」として一括表示する。 また,個別財務諸表上の資本準備金,その他資本剰余金は「資本剰余金」として一括表示する。 ④ 非連結子会社又は関連会社に対する投資は,他の項目と区別して「関係会社株式」として表示するか, 又は「投資有価証券」に含めて表示した上で,注記することが認められる。 ⑤ 「自己株式」及び「子会社が所有する親会社株式」は,株主資本に対する控除項目として,株主資本 の末尾に自己株式として表示する。 ⑥ 「のれん償却額」は,販売費及び一般管理費,「負ののれん発生益」は特別利益に表示する。 ⑦ 「非支配株主に帰属する当期純損益」は,当期純利益の下に記載する。 ⑧ 「持分法による投資損益」は,営業外損益の区分に表示する。 ⑨ 「段階取得に係る損益」は,特別損益の区分に表示する。1.資本連結の意義及び基本的考え方
〔短答:A 論文:A〕 資本連結とは,親会社の子会社に対する投資(子会社株式)とこれに対応する子会社の資本を相殺消去し, 消去差額が生じた場合には当該差額を「のれん」に計上するとともに,子会社の資本のうち親会社に帰属し ない部分を「非支配株主持分」に振り替える一連の手続をいう。 <基本的考え方>第4節
支配獲得時における資本連結手続
2.非支配株主持分とは
〔短答:A 論文:A〕 非支配株主持分とは,子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分をいう。親会社の子会社に対する支配 割合が 100%でない場合には,親会社以外の非支配(外部)株主が存在する。 資本連結は,親会社の財務諸表と子会社の財務諸表を合算したものに対し,親会社の財務諸表に資産とし て計上されている子会社株式と,子会社の資本のうち親会社が所有する部分とを相殺することを基本として いる。 親会社の資産に計上されている子会社株式は,子会社の純資産のうち親会社株主に帰属している部分を純 額表示している。ここで,子会社の資本を資産と負債により総額表示するために,財務諸表を合算し,子会 社株式とそれに対応する子会社の資本を相殺するのである。 また,子会社の資本のうち,親会社に帰属しない部分は,連結特有の概念である非支配株主持分に振り替 える。 資本連結の基本的考え方 具体例3.のれんとは
〔短答:A 論文:A〕 子会社株式は,市場から時価等で取得することになるため,子会社株式の金額とそれに対応する子会社の 資本には,差額が生じることになる。よって,子会社株式の金額と子会社の資本のうち親会社持分の金額に 消去差額が生じる場合には,当該差額を超過収益力を意味する「のれん」として処理する。 のれん 子会社の資本が 2,000,000 円で,子会社株式の 60%の株式を 1,300,000 円で取得した場合 子会社の資本のうち親会社持分 2,000,000 円×60%<投資額 1,300,000 円 上記の消去差額 100,000 円は,のれんとして計上される。 <連結精算表における投資と資本の相殺消去の連結修正仕訳> (借) 資 本 2,000,000 (貸) 子 会 社 株 式 1,300,000 (〃) の れ ん 100,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 800,000 ※ 上記仕訳は以下の仕訳の合算である。 (借) 資 本 1,200,000 (貸) 子 会 社 株 式 1,300,000 (〃) の れ ん 100,000 (借) 資 本 800,000 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800,000 ≪重要ポイント!! 資本連結の基本的考え方≫ 支配獲得時の子会社の個別財務諸表の資本 親会社株主に帰属する部分・・・・・子会社株式と相殺し,消去差額をのれんとして計上 非支配株主に帰属する部分・・・・・非支配株主持分に振り替える <連結精算表で行われる投資と資本の相殺消去の連結修正仕訳> (借) 資 本 ××× (貸) 子 会 社 株 式 ××× 具体例P社とS社は支配従属関係にある。以下の資料に基づき下記の設問に答えなさい。 1.平成×6 年3月 31 日現在の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 154,000 36,000 諸 負 債 86,000 19,000 子 会 社 株 式 20,000 ― 資 本 金 55,000 10,000 資 本 剰 余 金 10,000 2,000 利 益 剰 余 金 23,000 5,000 174,000 36,000 174,000 36,000 2.子会社株式の取得状況 取得年月日 持分割合 取得原価 平成×6 年3月 31 日 100% 20,000 円 問1 平成×6 年3月 31 日の個別財務諸表を合算しなさい。 問2 平成×6 年3月 31 日の連結修正仕訳を示しなさい。 問3 平成×6 年3月 31 日の連結貸借対照表を作成しなさい。 解答 解説 (単位:円) 問1 勘 定 科 目 合 算 勘 定 科 目 合 算 諸 資 産 190,000 諸 負 債 105,000 子 会 社 株 式 20,000 資 本 金 65,000 資 本 剰 余 金 12,000 利 益 剰 余 金 28,000 210,000 210,000 ※ 子会社株式と子会社の資本が両建表示されているため,連結修正仕訳で相殺消去する。 問2 (借) 資 本 金 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 20,000 (〃) 資 本 剰 余 金 2,000 (〃) 利 益 剰 余 金 5,000 (〃) の れ ん 3,000 ※ のれん:20,000 円(子会社株式)-17,000 円(子会社の資本)=3,000 円 例題1 株式の取得が1回の場合の資本連結① 短答:A 論文:A
問3 連結貸借対照表 諸 資 産 190,000 諸 負 債 105,000 の れ ん 3,000 資 本 金 55,000 資 本 剰 余 金 10,000 利 益 剰 余 金 23,000 193,000 193,000 ※ 諸資産と諸負債は,親会社と子会社の個別貸借対照表計上額の合算である。 ※ 株式の取得が1回の場合における,支配獲得時の連結財務諸表上の資本の金額は,親会社の個別貸借対 照表の金額となる。 P社とS社は支配従属関係にある。以下の資料に基づき下記の設問に答えなさい。 1.平成×6 年3月 31 日現在の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 154,000 36,000 諸 負 債 86,000 19,000 子 会 社 株 式 15,000 ― 資 本 金 50,000 10,000 資 本 剰 余 金 10,000 2,000 利 益 剰 余 金 23,000 5,000 169,000 36,000 169,000 36,000 2.子会社株式の取得状況 取得年月日 持分割合 取得原価 平成×6 年3月 31 日 60% 15,000 円 問1 平成×6 年3月 31 日の個別財務諸表を合算しなさい。 問2 平成×6 年3月 31 日の連結修正仕訳を示しなさい。 問3 平成×6 年3月 31 日の連結貸借対照表を作成しなさい。 解答 解説 (単位:円) 問1 勘 定 科 目 合 算 勘 定 科 目 合 算 諸 資 産 190,000 諸 負 債 105,000 例題2 株式の取得が1回の場合の資本連結② 短答:A 論文:A
問2 (借) 資 本 金 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 15,000 (〃) 資 本 剰 余 金 2,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 6,800 (〃) 利 益 剰 余 金 5,000 (〃) の れ ん 4,800 ※ 非支配株主持分:17,000 円(子会社の資本)×40%=6,800 円 ※ のれん:15,000 円(子会社株式)-17,000 円(子会社の資本)×60%=4,800 円 問3 連結貸借対照表 諸 資 産 190,000 諸 負 債 105,000 の れ ん 4,800 資 本 金 50,000 資 本 剰 余 金 10,000 利 益 剰 余 金 23,000 非 支 配 株 主 持 分 6,800 194,800 194,800 ※ 諸資産と諸負債は,親会社と子会社の個別貸借対照表計上額の合算である。 ※ 株式の取得が1回の場合における,支配獲得時の連結財務諸表上の資本の金額は,親会社の個別貸借対照 表の金額となる。 ※ 非支配株主持分:17,000 円(子会社の資本合計)×40%(非支配株主持分割合)=6,800 円
4.支配権獲得時における具体的な資本連結の手続
〔短答:A 論文:A〕 (1) 手続の概要 子会社の資産及び負債の評価 投資と資本の相殺消去 子会社株式と子会社の資本の相殺及びのれんの計上 子会社の資本の非支配株主持分への振替(2) 子会社の資産及び負債の評価 資本連結において合算される子会社の資産及び負債については,支配獲得日における時価において評価し なければならない。 子会社の資産及び負債は,個別貸借対照表上の簿価を時価評価額に修正し,時価評価による簿価修正額の 純額を評価差額として,直接子会社の資本に計上する。そして,評価差額計上後の子会社の資本と子会社株 式を相殺消去することになる。 連結財務諸表においては,支配獲得時に子会社を取得したと考える。すなわち,子会社の資産及び負債を 支配獲得時にすべて取得したと考える。そのため,取得時の時価で資産・負債を計上するという簿記の基本 的考え方に従い,子会社の資産及び負債について時価評価を行う。 <評価差額計上の仕訳> (借) 諸 資 産 ××× (貸) 評 価 差 額 ××× (借) 評 価 差 額 ××× (貸) 諸 負 債 ××× <連結上の諸資産・諸負債の金額> 連結上の諸資産・諸負債 = 親会社の諸資産・諸負債 + 子会社の諸資産・諸負債(評価差額計上後) (3) 投資と資本の相殺消去 ① のれんの計上 親会社の子会社に対する投資(子会社株式)とこれに対応する子会社の資本(評価差額計上後)との相 殺消去に当たり差額が生じる場合の当該差額を「のれん」いう。 借方差額の場合に計上される「のれん」は,無形固定資産の区分に計上し,原則として計上後 20 年以内 に定額法,その他合理的な方法で償却しなければならない。なお,のれんの償却額は,「のれん償却額」 として,販売費及び一般管理費に計上される。 また,貸方差額の場合に計上される「負ののれん発生益」は全額発生した年度の特別利益として計上す る。 <のれんの金額> のれん = 子会社株式 - 子会社の資本合計(評価差額計上後) × 親会社持分割合 ※ 負の金額となる場合には「負ののれん発生益」(収益)となる。 ② 非支配株主持分の計上 非支配株主持分は,子会社の資本のうち親会社の持分に帰属しない部分をいう。非支配株主持分は,子 会社の個別貸借対照表の資本(評価差額計上後)の金額を基準に算定される。
<投資と資本の相殺消去の連結修正仕訳> (借) 資 本 ××× (貸) 子 会 社 株 式 ××× (〃) 評 価 差 額 ××× (〃) 非 支 配 株 主 持 分 ××× (〃) の れ ん ××× ※ 子会社に対する投資である子会社株式とそれに対応する子会社の資本(評価差額計上後)を相殺し,消 去差額をのれんとして計上する。 ※ 非支配株主持分は子会社の資本(評価差額計上後)を基礎として計上する。 評価差額を伴う資本連結の基本的考え方 具体例
投資と資本の相殺消去を図示すると下記のようになる。 P社とS社は支配従属関係にあり,連結財務諸表を作成するための資料は次のとおりである。よって,連 結修正仕訳及び平成×6 年3月 31 日の連結貸借対照表を示しなさい。 1.平成×6 年3月 31 日現在の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 154,000 36,000 諸 負 債 86,000 19,000 子 会 社 株 式 15,000 - 資 本 金 50,000 10,000 資 本 剰 余 金 10,000 2,000 利 益 剰 余 金 23,000 5,000 169,000 36,000 169,000 36,000 2.その他の参考事項 (1) 子会社株式の取得状況 取得年月日 持分割合 取得原価 平成×6 年3月 31 日 60% 15,000 円 (2) 子会社の諸資産の評価額は 41,000 円である。 例題3 株式の取得が1回の場合の資本連結③ 短答:A 論文:A
解答 解説 (単位:円) (1) 評価差額の計上及び個別財務諸表の合算 ① 修正仕訳 (借) 諸 資 産 5,000 (貸) 評 価 差 額 5,000 ※ 41,000 円-36,000 円=5,000 円 ② 評価替後のS社個別財務諸表 評価替後のS社貸借対照表 諸 資 産 41,000 諸 負 債 19,000 資 本 金 10,000 資 本 剰 余 金 2,000 利 益 剰 余 金 5,000 評 価 差 額 5,000 41,000 41,000 ③ 個別財務諸表の合算 個別財務諸表の合算 諸 資 産 195,000 諸 負 債 105,000 子 会 社 株 式 15,000 資 本 金 60,000 資 本 剰 余 金 12,000 利 益 剰 余 金 28,000 評 価 差 額 5,000 210,000 210,000 (2) 平成×6 年3月 31 日の投資勘定と資本勘定の相殺消去の連結修正仕訳 (借) 資 本 金 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 15,000 (〃) 資 本 剰 余 金 2,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 8,800 (〃) 利 益 剰 余 金 5,000 (〃) 評 価 差 額 5,000 (〃) の れ ん 1,800 ※ 非支配株主持分:{17,000 円+5,000 円(子会社の時価ベースの資本)}×40%=8,800 円 ※ のれん:15,000 円-{17,000 円+5,000 円(子会社の時価ベースの資本)}×60%=1,800 円
(3) 平成×6 年3月 31 日の連結貸借対照表 連結貸借対照表 諸 資 産 195,000 諸 負 債 105,000 の れ ん 1,800 資 本 金 50,000 資 本 剰 余 金 10,000 利 益 剰 余 金 23,000 非 支 配 株 主 持 分 8,800 196,800 196,800 ※ 諸資産は,評価差額 5,000 円だけ増加している。 154,000 円(P社)+36,000 円(S社)+5,000 円(評価差額)=195,000 円 ※ 支配獲得時において,子会社の資本はすべて消去するため,支配獲得時における連結貸借対照表の資 本の金額は,親会社の個別貸借対照表の金額である。
5.連結精算表
〔短答:C 論文:C〕 連結修正仕訳及び連結財務諸表の作成は会計帳簿の枠外で行われるが,これらを迅速に行うために一覧表 を作成することがあり,当該一覧表を連結精算表という。連結精算表を用いた場合,個別財務諸表の合算, 連結修正仕訳,連結財務諸表の金額の算定を連結精算表で行うことになる。連結精算表は,会計帳簿の枠外 で作成されるため,会計帳簿には一切反映されない。 連 結 精 算 表 平成×6 年3月 31 日 (単位:円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 合 計 連結修正仕訳 連 結 財 務 諸 表 借 方 貸 方 諸 資 産 154,000 41,000 195,000 195,000 子 会 社 株 式 15,000 15,000 15,000 の れ ん 1,800 1,800 資 産 合 計 169,000 41,000 210,000 196,800 諸 負 債 (86,000) (19,000) (105,000) (105,000) 資 本 金 (50,000) (10,000) (60,000) 10,000 (50,000) 評 価 差 額 (5,000) (5,000) 5,000 資 本 剰 余 金 (10,000) (2,000) (12,000) 2,000 (10,000) 利 益 剰 余 金 (23,000) (5,000) (28,000) 5,000 (23,000) 非 支 配 株 主 持 分 8,800 (8,800) 負 債 及 び 純 資 産 合 計 (169,000) (41,000) (210,000) 23,800 23,800 (196,800) ※ 例題3の金額を前提に作成している。1.支配獲得後の連結財務諸表の基本的考え方
〔短答:A 論文:A〕 (1) 連結損益計算書 支配獲得後は企業集団として経済活動を営むことになるため,企業集団としての業績を示す必要がでてく る。よって,企業集団としての損益計算書である連結損益計算書を作成することになる。 連結損益計算書においては,親子会社の個別損益計算書を合算し,企業集団としての当期純利益を算定し た上で,親会社株主に帰属する当期純利益と非支配株主に帰属する当期純利益を表示することになる。これ により支配獲得後の連結貸借対照表においては,親会社株主に帰属する当期純利益の金額だけ利益剰余金が 増加し,非支配株主に帰属する当期純利益の金額だけ非支配株主持分が増加することになる。 <親会社株主に帰属する当期純利益> 親会社株主に帰属する当期純利益 = 親会社の個別上の当期純利益 + 子会社の個別上の当期純利益 × 親会社持分割合 親会社株主に帰属する当期純利益 = 親会社の個別上の当期純利益 + 子会社の個別上の当期純利益 - 非支配株主に帰属する当期純利益 <非支配株主に帰属する当期純利益> 非支配株主に帰属する当期純利益 = 子会社の個別上の当期純利益 × 非支配株主持分割合 親会社株主に帰属する当期純利益及び非支配株主に帰属する当期純利益第5節
支配獲得後における資本連結手続
具体例(2) 連結貸借対照表 連結貸借対照表においては,親子会社の当期末の個別貸借対照表(評価差額計上後)を合算して作成する。 支配獲得後の連結貸借対照表における留意点は以下のとおりである。 ① 利益剰余金 支配獲得後に子会社が計上した当期純利益の内,親会社株主に帰属する金額を取得後剰余金という。連 結貸借対照表の利益剰余金は親会社の個別上の利益剰余金に対して取得後剰余金の金額を加減した額と なる。 <取得後剰余金> 取得後剰余金 = 支配獲得後の子会社の利益剰余金増加額 × 親会社持分割合 <連結貸借対照表の利益剰余金> 利益剰余金 = 親会社の個別上の利益剰余金 + 取得後剰余金 取得後剰余金 具体例
P社は前期末(平成×4 年3月 31 日)にS社の支配を獲得し子会社としている。下記の資料を参考に,平成 ×5 年3月 31 日の連結損益計算書及び連結貸借対照表を作成しなさい。 1.当期(平成×5 年3月 31 日)の両社の個別財務諸表 損 益 計 算 書 平成×4 年4月1日~平成×5 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 570,000 144,000 諸 収 益 600,000 150,000 当 期 純 利 益 30,000 6,000 600,000 150,000 600,000 150,000 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 512,600 218,000 諸 負 債 281,000 108,000 子 会 社 株 式 62,400 ― 資 本 金 200,000 80,000 利 益 剰 余 金 94,000 30,000 575,000 218,000 575,000 218,000 2.子会社株式の取得状況及び子会社の資本勘定 取得年月日 取得原価 持分割合 資本金 利益剰余金 平成×4 年3月 31 日 67,200 千円 60% 80,000 千円 24,000 千円 解答 解説 (単位:千円) 連結損益計算書 平成×4 年4月 1 日~平成×5 年3月 31 日 諸 費 用 714,000 諸 収 益 750,000 非支配株主に帰属する当期純利益 2,400 親会社株主に帰属する当期純利益 33,600 750,000 750,000 連結貸借対照表 平成×5 年3月 31 日 諸 資 産 730,600 諸 負 債 389,000 資 本 金 200,000 利 益 剰 余 金 97,600 非 支 配 株 主 持 分 44,000 730,600 730,600 例題4 支配獲得後の連結財務諸表 短答:A 論文:A
1.タイム・テーブル 2.連結財務諸表の金額 (1) 連結損益計算書 諸収益・諸費用:個別の単純合算 非支配株主に帰属する当期純利益:6,000 千円(子会社の当期純利益)×40%=2,400 千円 親会社株主に帰属する当期純利益:30,000 千円(親会社の当期純利益) +6,000 千円(子会社の当期純利益)×60%=33,600 千円 (2) 連結貸借対照表 諸資産・諸負債:個別の単純合算 資本金:200,000 千円(親会社の資本金) 利益剰余金:94,000 千円+3,600 千円(取得後剰余金)=97,600 千円 非支配株主持分:118,000 千円(当期末の子会社の資本合計)×40%=47,200 千円 3.連結修正仕訳(参考) (1) 平成×4 年3月 31 日の投資と資本の相殺消去 (借) 資 本 金 80,000 (貸) 子 会 社 株 式 70,000 (〃) 利益剰余金期首残高 24,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 41,600 ※ 非支配株主持分:104,000 千円(支配獲得時の子会社の資本合計)×40%=44,800 千円 (2) 当期の子会社の利益の按分 (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 2,400 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 2,400 ※ 6,000 千円×40%=2,400 千円
2.支配獲得後の連結財務諸表を作成するための連結修正仕訳
〔短答:A 論文:A〕 支配獲得後の連結財務諸表は,当期の個別損益計算書及び個別貸借対照表を合算し,連結修正仕訳を行う ことで作成することになる。 (1) 子会社の利益の按分 支配獲得後は当期の個別損益計算書を合算することになるが,当期純利益を合算した合計から「非支配株 主に帰属する当期純損益」を控除することで「親会社株主に帰属する当期純損益」を算定し連結損益計算書 を作成する。 具体的には,子会社の当期純利益の内,非支配株主に帰属する部分について「非支配株主に帰属する当期 純損益」(利益の加減項目)を計上し,同額「非支配株主持分」を増減させる。 (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 ××× (貸) 非 支 配 株 主 持 分 ××× ※ 上記仕訳は子会社が当期純利益を計上している場合である。当期純損失の場合には貸借が逆になる。 <非支配株主に帰属する当期純損益> 子会社が利益を計上 連結修正仕訳の借方で「非支配株主に帰属する当期純利益」(利益マイナ ス項目)を計上することにより連結上の利益をマイナスする 子会社が損失を計上 連結修正仕訳の貸方で「非支配株主に帰属する当期純損失」(利益プラス 項目) を計上することにより連結上の利益をプラスする <財務諸表の表示> 非支配株主に帰属 する当期純損益 「非支配株主に帰属する当期純利益」または「非支配株主に帰属する当期純損失」 の名称で,連結損益計算書の当期純利益の下に計上 非支配株主に帰属する当期純利益 具体例(2) のれんの償却 子会社の支配を獲得することで連結上計上されたのれんは計上後に償却を行う。 (借) の れ ん 償 却 額 ××× (貸) の れ ん ××× <のれんの償却方法> のれん 原則としてその計上後 20 年以内に,定額法その他合理的な方法で償却を行う 負ののれん 負ののれんは,発生した会計年度に全額利益として計上する のれん 「のれん」の名称で,連結貸借対照表の無形固定資産の区分に計上 のれん償却額 「のれん償却額」の名称で,連結損益計算書の販売費及び一般管理費に計上 負ののれん発生益 「負ののれん発生益」の名称で,連結損益計算書の特別利益に計上
3.支配獲得が当期以前に行われている場合の処理
〔短答:A 論文:A〕 支配獲得が当期以前に行われている場合において,過去の連結修正仕訳は,すべて連結精算表上で行われ, 会計帳簿には一切記録されていない。そのため,当期の個別財務諸表を合算しても,過去の連結修正仕訳は 反映されておらず,当期の連結手続において,過去の連結修正仕訳をすべて再度行う必要がある。つまり, 連結精算表の前期末の「のれん」,「非支配株主持分」,「資本金」及び「利益剰余金」等の金額を算定するた めの処理を行う必要があるのである。 この際に「非支配株主に帰属する当期純損益」や「のれん償却額」といった連結上の損益項目について過 年度に生じたものは,前期以前の損益を変動させる項目であるため,連結財務諸表においては,期首の利益 剰余金の増減項目である。そのため「利益剰余金期首残高」という名称を使用する。「資本剰余金期首残高」 も同様の理由である。なお,「資本金」については「期首残高」を用いないことが通常である。 (1) 個別財務諸表の合算 当期の個別損益計算書及び個別貸借対照表の合算を行う。なお,貸借対照表の合算の際は支配獲得時の評 価差額の計上を行うことになる。 (借) 諸 資 産 ××× (貸) 評 価 差 額 ×××(2) 連結修正仕訳 ① 支配獲得時(X3 年3月 31 日)の投資と資本の相殺消去 (借) 資 本 金 ××× (貸) 子 会 社 株 式 ××× (〃) 資本剰余金期首残高 ××× (〃) 非 支 配 株 主 持 分 ××× (〃) 利益剰余金期首残高 ××× (〃) 評 価 差 額 ××× (〃) の れ ん ××× ② 前期(X3 年4月1日~X3 年3月 31 日)の連結修正仕訳 <前期に子会社が計上した利益の按分> 前期の当期純利益を按分することになるため,連結財務諸表上,「利益剰余金期首残高」のマイナスとし て処理する。 (借) 利益剰余金期首残高 ××× (貸) 非 支 配 株 主 持 分 ××× <前期ののれん償却> (借) 利益剰余金期首残高 ××× (貸) の れ ん ××× ③ 当期(X4 年4月1日~X5 年3月 31 日)の連結修正仕訳 <当期に子会社が計上した利益の按分> 前期の当期純利益を按分することになるため,連結財務諸表上,「利益剰余金期首残高」のマイナスとし て処理する。 (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 ××× (〃) 非 支 配 株 主 持 分 ××× <当期ののれん償却> (借) の れ ん 償 却 額 ××× (〃) の れ ん ××× <参考> 利益剰余金の連結組替仕訳 当期の連結に際しては,当期末(×5 年3月 31 日)の個別財務諸表の合算からスタートするのが前提であ るが,利益剰余金だけは例外的な処理を行う。利益剰余金は,期首残高に当期純利益を加え,剰余金の配当 を控除して期末残高が算定されるという性質を有している。そのため,連結精算表上においても期首残高を 算定する必要が生じる。そこで,利益剰余金期首残高については,前期末の個別財務諸表上の利益剰余金に 該当する金額から,前期末までに行われるべき連結修正仕訳を加味して算定される。当期末の個別財務諸表 の合算から,前期末の個別財務諸表上の利益剰余金を表示するための仕訳を組替仕訳という。
支配獲得後の資本連結の基本的考え方 (1) 第1期の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳 第1期の個別財務諸表の合算に,下記の連結修正仕訳を行うことで第2期の連結財務諸表を作成する。 <支配獲得時の投資と資本の相殺消去①> (借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,000 ※ 非支配株主持分:10,000 円×40%(非支配株主持分割合)=4,000 円 具体例
(2) 第2期の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳 第2期の個別財務諸表の合算に,下記の連結修正仕訳を行うことで第2期の連結財務諸表を作成する。 <支配獲得時の投資と資本の相殺消去①> (借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,000 <第2期の子会社利益の按分②> (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800 ※ 非支配株主に帰属する当期純損益:2,000 円(子会社利益)×40%(非支配株主持分割合)=800 円
(3) 第3期末の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳 第3期の個別財務諸表の合算に,下記の連結修正仕訳を行うことになる。 <支配獲得時の投資と資本の相殺消去①> (借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,000 <第2期の子会社利益の按分②> (借) 利益剰余金期首残高 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800 <第3期の子会社利益の按分③> (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,600 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 ※ 非支配株主に帰属する当期純損益:4,000 円(子会社利益)×40%(非支配株主持分割合)=1,600 円
なお,第2期の子会社利益の按分は,前期の連結利益の修正であるため,当期の連結損益計算書上には, 反映されない。つまり,②の仕訳により,連結貸借対照表の非支配株主持分と利益剰余金の金額を直接修正 する。また,非支配株主持分は,子会社の資本勘定のうちの非支配株主持分割合を振り替えているので,連 結時点の子会社の資本勘定×非支配株主持分割合という算式からも算定できる。 非支配株主持分:16,000 円×40%=6,400 円 また,のれんが発生し,償却を行っている場合,連結固有の損益であるため,利益剰余金の変動要因とな る。
≪重要ポイント!! 原始取得のみの資本連結の手順≫ (1) タイム・テーブルを作成する(必ず 2 度チェックする) (2) タイム・テーブルに従い,下記の連結財務諸表計上額を算定する 諸資産・諸負債 親会社の個別貸借対照表計上額と,子会社の時価評価後の金額の合計額を連結貸 借対照表に計上する 諸収益・諸費用 親会社の個別損益計算書計上額と,子会社の個別損益計算書計上額の合計額を連 結損益計算書に計上する のれん 子会社株式の投資額と支配獲得時における時価評価後の子会社の資本合計の持 分割合との差額をのれんとして計上する のれんの未償却残高を連結貸借対照表に計上する 当期の償却額を連結損益計算書に計上する 非支配株主持分 当期末における時価評価後の子会社の資本に非支配株主割合を乗じた金額を連 結貸借対照表に計上する 子会社の当期純利益に非支配株主割合を乗じた金額を連結損益計算書に計上す る 資本金・資本剰余金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額を連結貸借対照表に計上する 利益剰余金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額に,取得後剰余金を加えた金額に,連結上 の損益変動額(のれん償却額や負ののれん発生益)を加減算した金額を連結貸借 対照表に計上する
P社とS社は親子会社の関係にあり,P社は連結財務諸表を作成するに際し,両社の資料は次のとおりで ある。よって,下記の設問に答えなさい。 1.平成×5 年3月 31 日の両社の資料 (1) 両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 505,000 218,000 諸 負 債 281,000 108,000 子 会 社 株 式 70,000 ― 資 本 金 200,000 80,000 利 益 剰 余 金 94,000 30,000 575,000 218,000 575,000 218,000 損 益 計 算 書 平成×4 年4月1日~平成×5 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 570,000 144,000 諸 収 益 600,000 150,000 当 期 純 利 益 30,000 6,000 600,000 150,000 600,000 150,000 (2) 子会社株式の取得状況及び子会社の資本勘定 取得年月日 取得原価 持分割合 資本金 利益剰余金 平成×4 年3月 31 日 70,000 千円 60% 80,000 千円 24,000 千円 (注 1) 諸資産の評価額は 221,000 千円(平成×4 年3月 31 日の簿価は 213,000 千円)である。 (注 2) のれんは 10 年間で均等償却を行う。 2.平成×6 年3月 31 日の両社の資料 (1) 両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 570,000 231,000 諸 負 債 306,000 114,000 子 会 社 株 式 70,000 ― 資 本 金 200,000 80,000 利 益 剰 余 金 134,000 37,000 640,000 231,000 640,000 231,000 損 益 計 算 書 平成×5 年 4 月 1 日~平成×6 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 710,000 173,000 諸 収 益 750,000 180,000 当 期 純 利 益 40,000 7,000 750,000 180,000 750,000 180,000 問1 平成×5 年3月 31 日の連結貸借対照表及び連結損益計算書を作成しなさい。 問2 平成×6 年3月 31 日の連結貸借対照表及び連結損益計算書を作成しなさい。 例題5 支配獲得後の処理 短答:A 論文:A
解答 解説 (単位:千円) 【タイム・テーブル】 問1 ① 平成×4 年3月 31 日の子会社の資産評価 (借) 諸 資 産 8,000 (貸) 評 価 差 額 8,000 ※ 221,000 千円-213,000 千円=8,000 千円 ② 平成×4 年3月 31 日の投資と資本の相殺消去 (借) 資 本 金 80,000 (貸) 子 会 社 株 式 70,000 (〃) 利益剰余金期首残高 24,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 44,800 (〃) 評 価 差 額 8,000 (〃) の れ ん 2,800 ※ のれん:70,000 千円-112,000 千円(支配獲得時の子会社の資本合計)×60%=2,800 千円 ※ 非支配株主持分:112,000 千円(支配獲得時の子会社の資本合計)×40%=44,800 千円 ③ 当期の子会社の利益の按分
④ 当期ののれん償却額 (借) の れ ん 償 却 額 280 (貸) の れ ん 280 ※ 2,800 千円÷10 年=280 千円 (イ)と(ロ)は,支配獲得時の子会社の資本であるため,資本連結にて,(イ)は相殺消去,(ロ)は非支配株 主持分に振り替えられている。 (ハ)と(ニ)は,支配獲得後に子会社が計上した剰余金であるため,持分割合で按分する必要が生じる。 (ニ)は親会社持分なので,企業集団に帰属するため,そのまま企業集団の利益として計上されるが,(ハ)は 非支配株主に帰属する部分であるため,連結上は利益として計上することはできない。 そのため,非支配株主に帰属する当期純損益を計上し,連結上の利益から控除し,非支配株主持分を増加 させるのである。そして,(ニ)が取得後剰余金となる。 ⑤ 連結財務諸表 連結貸借対照表 平成×5 年3月 31 日 諸 資 産 731,000 諸 負 債 389,000 の れ ん 2,520 資 本 金 200,000 利 益 剰 余 金 97,320 非 支 配 株 主 持 分 47,200 733,520 733,520 ※ 諸資産:505,000 千円(親会社)+218,000 千円(子会社)+8,000 千円(評価差額)=731,000 千円 ※ のれん:2,800 千円×9年/10 年=2,520 千円 ※ 非支配株主持分:118,000 千円(当期末の子会社の資本合計)×40%=47,200 千円 ※ 利益剰余金:94,000 千円(当期末親会社の個別B/S)+3,600 千円(取得後剰余金) -280 千円(のれん償却額)=97,320 千円 連結損益計算書 平成×4 年4月 1 日~平成×5 年3月 31 日 諸 費 用 714,000 諸 収 益 750,000 の れ ん 償 却 額 280 非支配株主に帰属する当期純利益 2,400 親会社株主に帰属する当期純利益 33,320 750,000 750,000
※ 諸収益・諸費用:個別の単純合算 ※ のれん償却額:2,800 千円÷10 年=280 千円 ※ 非支配株主に帰属する当期純利益:6,000 千円(子会社の当期純利益)×40%=2,400 千円 ※ 親会社株主に帰属する当期純利益:30,000 千円(親会社の当期純利益) +6,000 千円(子会社の当期純利益)×60%-280 千円(のれん償却額)=33,320 千円 ⑥ 連結精算表(参考) 連 結 精 算 表 平成×4 年4月1日~平成×5 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 合 計 相殺消去 連 結 財 務 諸 表 借 方 貸 方 貸 借 対 照 表 貸 借 対 照 表 諸 資 産 505,000 226,000 731,000 731,000 子 会 社 株 式 70,000 70,000 70,000 0 の れ ん 2,800 280 2,520 資 産 合 計 575,000 226,000 801,000 733,520 諸 負 債 (281,000) (108,000) (389,000) (389,000) 資 本 金 (200,000) (80,000) (280,000) 80,000 (200,000) 評 価 差 額 (8,000) (8,000) 8,000 0 利 益 剰 余 金 (94,000) (30,000) (124,000) 26,680 (97,320) 非 支 配 株 主 持 分 44,800 2,400 (47,200) 負債及び純資産合計 (575,000) (226,000) (801,000) 117,480 117,480 (733,520) 損 益 計 算 書 損 益 計 算 書 諸 収 益 (600,000) (150,000) (750,000) (750,000) 諸 費 用 570,000 144,000 714,000 714,000 の れ ん 償 却 額 280 280 非支配株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 2,400 2,400 親会社株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 (30,000) (6,000) (36,000) 2,680 (33,320) 株主資本等変動計算書 株主資本等変動計算書 利益剰余金期首残高 (64,000) (24,000) (88,000) 24,000 (64,000) 親会社株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 (30,000) (6,000) (36,000) 2,680 (33,320) 利益剰余金期末残高 (94,000) (30,000) (124,000) 26,680 (97,320) ※ 評価差額は,個別財務諸表の修正として行われる。
<連結精算表の書き方> ① 貸借対照表欄 貸借対照表欄は,利益剰余金以外の項目は,連結修正仕訳に応じて記入することになる。 資産項目は借方が増加,貸方が減少を意味し,負債・資本項目は,借方が減少,貸方が増加を意味して いる。 ② 損益計算書欄 損益計算書欄は,「親会社株主に帰属する当期純利益」以外の項目は,連結修正仕訳に応じて記入するこ とになる。 収益項目は借方が減少,貸方が増加を意味し,費用項目は借方が増加,貸方が減少を意味している。 ③ 株主資本等変動計算書欄 株主資本等変動計算書欄は,「親会社株主に帰属する当期純利益」と利益剰余金期末残高以外の項目は, 連結修正仕訳に応じて記入することになる。 利益剰余金期首残高は借方が減少,貸方が増加を意味し,剰余金の配当項目は借方が増加,貸方が減少 を意味している。 ④ 親会社株主に帰属する当期純利益及び利益剰余金の流れ 「親会社株主に帰属する当期純利益」はまず,損益計算書の相殺消去の合計額を損益計算書の「親会社 株主に帰属する当期純利益」に記入する。 その金額を株主資本等変動計算書の「親会社株主に帰属する当期純利益」に記入する。その結果,株主 資本等変動計算書の利益剰余金期末残高の金額が記入される。 その金額が貸借対照表の利益剰余金の欄に記入される。
問2 ① 平成×4 年3月 31 日の子会社の資産評価 (借) 諸 資 産 8,000 (貸) 評 価 差 額 8,000 ② 平成×4 年3月 31 日の投資と資本の相殺消去 (借) 資 本 金 80,000 (貸) 子 会 社 株 式 70,000 (〃) 利益剰余金期首残高 24,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 44,800 (〃) 評 価 差 額 8,000 (〃) の れ ん 2,800 ③ 前期の子会社の利益の按分 (借) 利益剰余金期首残高 2,400 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 2,400 ※ 前期の損益項目は,当期の損益計算には影響を与えず,直接利益剰余金期首残高を増減させる。 ④ 前期ののれん償却額 (借) 利益剰余金期首残高 280 (貸) の れ ん 280 ※ 前期の損益項目は,当期の損益計算には影響を与えず,直接利益剰余金期首残高を増減させる。 ⑤ 当期の子会社の利益の按分 (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 2,800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 2,800 ※7,000 千円×40%=2,800 千円 ⑥ 当期ののれん償却額 (借) の れ ん 償 却 額 280 (貸) の れ ん 280
⑦ 連結財務諸表 連結貸借対照表 平成×6 年3月 31 日 諸 資 産 809,000 諸 負 債 420,000 の れ ん 2,240 資 本 金 200,000 利 益 剰 余 金 141,240 非 支 配 株 主 持 分 50,000 811,240 811,240 ※ 諸資産:570,000 千円(親会社)+231,000 千円(子会社)+8,000 千円(評価差額)=809,000 千円 ※ のれん:2,800 千円×8年/10 年=2,240 千円 ※ 非支配株主持分:125,000 千円(当期末の子会社の資本合計)×40%=50,000 千円 ※ 利益剰余金:134,000 千円(当期末の親会社の個別B/S)+7,800 千円(取得後剰余金) -280 千円(のれん償却額)×2年=141,240 千円 連結損益計算書 平成×5 年4月 1 日~平成×6 年3月 31 日 諸 費 用 883,000 諸 収 益 930,000 の れ ん 償 却 額 280 非支配株主に帰属する当期純利益 2,800 親会社株主に帰属する当期純利益 43,920 930,000 930,000 ※ 諸収益・諸費用:個別の単純合算 ※ のれん償却額:2,800 千円÷10 年=280 千円 ※ 非支配株主に帰属する当期純利益:7,000 千円(子会社の当期純利益)×40%=2,800 千円 ※ 親会社株主に帰属する当期純利益:40,000 千円(親会社の当期純利益) +7,000 千円(子会社の当期純利益)×60%-280 千円(のれん償却額)=43,920 千円
⑧ 連結精算表(参考) 連 結 精 算 表 平成×5 年4月1日~平成×6 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 合 計 相殺消去 連 結 財 務 諸 表 借 方 貸 方 貸 借 対 照 表 貸 借 対 照 表 諸 資 産 570,000 239,000 809,000 809,000 子 会 社 株 式 70,000 70,000 70,000 0 の れ ん 2,800 280 280 2,240 資 産 合 計 640,000 239,000 879,000 811,240 諸 負 債 (306,000) (114,000) (420,000) (420,000) 資 本 金 (200,000) (80,000) (280,000) 80,000 (200,000) 評 価 差 額 (8,000) (8,000) 8,000 0 利 益 剰 余 金 (134,000) (37,000) (171,000) 29,760 (141,240) 非 支 配 株 主 持 分 44,800 2,400 2,800 (50,000) 負債及び純資産合計 (640,000) (239,000) (879,000) 120,560 120,560 (811,240) 損 益 計 算 書 損 益 計 算 書 諸 収 益 (750,000) (180,000) (930,000) (930,000) 諸 費 用 710,000 173,000 883,000 883,000 の れ ん 償 却 額 280 280 非支配株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 2,800 2,800 親会社株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 (40,000) (7,000) (47,000) 3,080 (43,920) 株主資本等変動計算書 株主資本等変動計算書 利益剰余金期首残高 (94,000) (30,000) (124,000) 24,000 280 2,400 (97,320) 親会社株主に帰属 す る 当 期 純 利 益 (40,000) (7,000) (47,000) 3,080 (43,920) 利益剰余金期末残高 (134,000) (37,000) (171,000) 29,760 (141,240)
1.段階取得,追加取得,一部売却の総論
〔短答:A 論文:A〕 (1) 意味 段階取得 支配獲得までに2回以上に渡り子会社株式を取得すること 例) 最初に 10%を取得し,さらに 50%を取得して 60%子会社となる場合 追加取得 支配獲得後に子会社株式を追加で取得すること 例) 60%子会社の株式について,さらに 20%を取得する場合 一部売却 支配獲得後に子会社株式を売却すること 例) 80%子会社の株式について,20%部分を売却する場合 ※ 一部売却について,連結会計Ⅰでは売却後も支配が継続する場合を前提として取り扱う。 (2) 取引により生じる差額の取扱い 段階取得 株式の段階取得は損益取引に該当するため,子会社に対する投資とこれに対応する子会社 の資本との差額は「のれん」又は「負ののれん発生益」として処理される。 追加取得 株式の追加取得は資本取引に該当するため,追加投資額と追加取得により増加した親会社 持分との差額は「資本剰余金」として処理される。 一部売却 株式の一部売却は資本取引に該当するため,売却価額と売却により減少した親会社持分と の差額は「資本剰余金」として処理される。第6節
段階取得,追加取得,一部売却
2.段階取得
〔短答:A 論文:A〕 (1) 支配獲得時までの子会社株式の取得形態の分類 段階取得とは,支配獲得までに2回以上に渡り子会社株式を取得することである。 株式の取得が1回の場合(一括取得) 株式の取得が2回以上の場合(段階取得) 持分法の適用を行わない場合 持分法の適用を行う場合(連結会計Ⅱで学習) (2) 株式の取得が2回以上にわたって行われ,持分法の適用を行わない資本連結 ① 基本的考え方 連結上,支配獲得日までに段階取得した株式を支配獲得日に支配獲得日の時価により,一括して取得し たものとして処理する。なお,この場合の支配獲得日における時価と支配獲得するに至った個々の取引ご との原価の合計額との差額は,親会社の連結修正仕訳において当期の「段階取得に係る損益」(特別損益) として処理する。 ② 段階取得に係る損益 支配獲得時における時価相当額 = 支配獲得日の取得価額 × 合計の取得割合/支配獲得時の取得割合 段階取得に係る損益 = 支配獲得時における時価相当額 - 個々の取引ごとの原価の合計額 個別上の取得原価 支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計 連結上の取得原価相当額 支配を獲得するに至った個々の取引すべての支配獲得時における時価 <段階取得に係る損益の連結修正仕訳> (借) 子 会 社 株 式 ××× (貸) 段階取得に係る差益 ×××段階取得 第3期末の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳を示すと以下のとおりである。なお,のれんの償却 は,無視するものとする。 <第2期末の投資と資本の相殺消去(原始取得と同様に処理する)> (借) 子 会 社 株 式 300 (貸) 段階取得に係る差益 300 (借) 資 本 12,000 (貸) 子 会 社 株 式 9,100 (〃) の れ ん 700 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 3,600 ※ 段階取得に係る差益:7,800 円(支配獲得時の時価)×10%/60%-1,000 円(取得価額)=300 円 ※ 子会社株式:8,800 円(取得価額合計)+300 円(段階取得に係る差益)=9,100 円 又は 7,800 円(支配獲得時の時価)×70%/60%=9,100 円 ※ 非支配株主持分:12,000 円(第2期末の子会社の資本)×30%=3,600 円(③・⑥) ※ のれん:9,100 円(支配獲得時の時価)-12,000 円(第2期末の子会社の資本)×70%=700 円 <第3期の子会社利益の按分> (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,200 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,200 ※ 非支配株主持分:4,000 円×30%=1,200 円 <非支配株主持分の第3期末連結貸借対照表の金額> 16,000 円(第3期末の子会社の資本)×30%(非支配株主持分割合)=4,800 円(③・⑥・⑨) 具体例
≪重要ポイント!! 段階取得の問題の手順≫ (1) 支配獲得時の時価相当額を算定する。 (2) 上記時価相当額と,個別財務諸表上の取得原価との差額を「段階取得に係る損益」に計上する。 (3) 支配獲得時の時価相当額により,一括取得したと考え,投資と資本の相殺消去を行う。 P社とS社は支配従属関係にあり,連結財務諸表を作成するための資料は次のとおりである。よって,連 結修正仕訳及び平成×7 年3月 31 日の連結貸借対照表及び連結損益計算書を示しなさい。 1.各年度の両社の財務諸表 (1) 平成×5 年3月 31 日の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 1,505,100 168,000 諸 負 債 749,000 83,000 投 資 有 価 証 券 9,900 ― 資 本 金 500,000 50,000 資 本 剰 余 金 50,000 10,000 利 益 剰 余 金 216,000 25,000 1,515,000 168,000 1,515,000 168,000 (注) S社の諸資産の時価は 172,000 千円である。 (2) 平成×6 年3月 31 日の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 1,548,100 181,000 諸 負 債 796,000 89,000 子 会 社 株 式 61,900 ― 資 本 金 500,000 50,000 資 本 剰 余 金 50,000 10,000 利 益 剰 余 金 264,000 32,000 1,610,000 181,000 1,610,000 181,000 (注) S社の諸資産の時価は 187,000 千円である。 (3) 平成×7 年3月 31 日の両社の貸借対照表 貸 借 対 照 表 平成×7 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 例題6 段階取得 短答:A 論文:A
(4) 当期の両社の損益計算書 損 益 計 算 書 平成×6 年4月1日~平成×7 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 200,000 70,000 諸 収 益 300,000 78,000 当 期 純 利 益 100,000 8,000 300,000 78,000 300,000 78,000 2.その他の参考事項 (1) 子会社株式の取得状況 取得年月日 持分割合 取得原価 平成×5 年3月 31 日 10% 19,900 千円 平成×6 年3月 31 日 50% 52,000 千円 (2) のれんは 10 年で均等償却する。 解答 解説 (単位:千円) <タイム・テーブル>
① 平成×6 年3月 31 日の子会社の資産の評価 (借) 諸 資 産 6,000 (貸) 評 価 差 額 6,000 ※ (187,000 千円-181,000 千円)=6,000 千円 ② 平成×6 年3月 31 日の投資と資本の相殺消去 (借) 子 会 社 株 式 500 (貸) 利益剰余金期首残高 500 (借) 資 本 金 50,000 (貸) 子 会 社 株 式 62,400 (〃) 資本剰余金期首残高 10,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 39,200 (〃) 利益剰余金期首残高 32,000 (〃) 評 価 差 額 6,000 (〃) の れ ん 3,600 ※ 段階取得に係る差益:52,000 千円×10%/50%-9,900 千円=500 千円 ※ 子会社株式:61,900 千円(取得原価合計)+500 千円(段階取得に係る差益)=62,400 千円 ※ のれん:62,400 千円-98,000 千円×60%=3,600 千円 ※ 非支配株主持分:98,000 千円×40%=39,200 千円 ③ 当期の子会社の利益の按分 (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 3,200 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 3,200 ※ 非支配株主持分:8,000 千円×40%=3,200 千円 ④ のれんの償却 (借) の れ ん 償 却 額 360 (貸) の れ ん 360 ※ のれん償却額:3,600 千円÷10 年=360 千円 ⑤ 平成×7 年3月 31 日の連結貸借対照表 連結貸借対照表 諸 資 産 1,858,100 諸 負 債 900,000 の れ ん 3,240 資 本 金 500,000 資 本 剰 余 金 50,000 利 益 剰 余 金 368,940 非 支 配 株 主 持 分 42,400 1,861,340 1,861,340 ※ 諸資産:1,652,100 千円+200,000 千円+6,000 千円=1,858,100 千円
⑥ 平成×6 年4月1日~平成×7 年3月 31 日の連結損益計算書 連結損益計算書 諸 費 用 270,000 諸 収 益 378,000 の れ ん 償 却 額 360 非支配株主に帰属する当期純利益 3,200 親会社株主に帰属する当期純利益 104,440 378,000 378,000 ※ 親会社株主に帰属する当期純利益:100,000 千円(P社)+8,000 千円(S社)×60% -360 千円(のれん償却額)=104,440 千円
3.追加取得
〔短答:A 論文:A〕 (1) 基本的考え方 追加取得とは,支配獲得後に子会社株式を追加で取得することである。子会社株式を支配獲得後に追加取 得した場合には,追加取得した株式に対応する持分を「非支配株主持分」から減額し,追加取得により増加 した親会社持分(追加取得持分)を追加投資額と相殺消去する。追加取得は資本取引となるため,追加取得持 分と追加投資額との間に生じた差額は,「資本剰余金」として処理される。 (2) 具体的会計処理 ① 追加取得時の連結修正仕訳 追加取得時には,追加取得に対応する非支配株主持分(時価ベース)と追加投資額で相殺消去を行うこ とになる。なお,追加取得時には,新たな時価評価は行われない。その理由は,支配獲得時に非支配株主 持分についても評価差額を計上し,非支配株主持分は評価差額を含んだ時価ベースで表示されているため である。 <追加取得の連結修正仕訳> (借) 非 支 配 株 主 持 分 ××× (貸) 子 会 社 株 式 ××× (〃) 資 本 剰 余 金 ××× 資本剰余金 = 追加取得額 - 追加取得時の子会社資本合計 × 追加取得割合 ② 追加取得後の子会社利益の按分 追加取得後の子会社利益の按分は,追加取得後における非支配株主持分割合を非支配株主に按分するこ とになる。評価差額がない場合の追加取得 第3期末の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳を示すと以下のようになる。なお,のれんは,発生 年度の翌年より 10 年間で均等額の償却を行うものとする。 <支配獲得時の投資と資本の相殺消去> (借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,500 (〃) の れ ん 500 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,000 ※ のれん:6,500 円(子会社株式)-10,000 円(支配獲得時の子会社の資本)×60%=500 円 ※ 非支配株主持分:10,000 円(支配獲得時の子会社の資本)×40%=4,000 円(②・③) <第2期の子会社利益の按分及びのれん償却額> (借) 利益剰余金期首残高 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800 (借) 利益剰余金期首残高 50 (貸) の れ ん 50 ※ 非支配株主持分:2,000 円×40%=800 円(⑤・⑥) ※ のれん償却額:500 円÷10 年=50 円 <第3期の子会社利益の按分及びのれん償却額> (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,600 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 具体例
<追加取得直前の非支配株主持分> 16,000 円(第3期末の子会社の資本)×40%(追加取得前非支配株主持分割合)=6,400 円 (②・③・⑤・⑥・⑧・⑨) <追加取得> (借) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 (貸) 子 会 社 株 式 1,800 (〃) 資 本 剰 余 金 200 ※ 非支配株主持分:16,000 円(追加取得時の子会社の資本)×10%=1,600 円(②・⑤・⑧) ※ 図の②+⑤+⑧=1,600 円の資本を 1,800 円で払い戻したと考えるため,資本剰余金を 200 円減少させ る。 <第3期末連結貸借対照表の金額> 非支配株主持分:16,000 円(第3期末の子会社の資本)×30%(追加取得後非支配株主持分割合) =4,800 円(③・⑥・⑨) 評価差額が生じている場合の追加取得 前例で,第1期末に評価差額 500 円,第3期末で評価差額 1,000 円生じている場合の連結修正仕訳は, 以下のとおりである。 具体例
<評価差額の計上(個別財務諸表の修正)> (借) 土 地 500 (貸) 評 価 差 額 500 <支配獲得時の投資と資本の相殺消去> (借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,500 (〃) 評 価 差 額 500 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,200 (〃) の れ ん 200 ※ のれん:6,500 円(子会社株式)-10,500 円(支配獲得時の子会社の資本)×60%=200 円 ※ 非支配株主持分:10,500 円(支配獲得時の子会社の資本)×40%=4,200 円(②・③・⑪・⑫) <第2期の子会社利益の按分及びのれん償却額> (借) 利益剰余金期首残高 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800 (借) 利益剰余金期首残高 20 (貸) の れ ん 20 ※ 非支配株主持分:2,000 円(第2期利益)×40%=800 円(⑤・⑥) <第3期の子会社利益の按分及びのれん償却額> (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,600 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 (借) の れ ん 償 却 額 20 (貸) の れ ん 20 ※ 非支配株主持分:4,000 円(第3期利益)×40%=1,600 円(⑧・⑨) <追加取得直前の非支配株主持分> 16,500 円(第3期末の子会社の資本)×40%(追加取得前非支配株主持分割合)=6,600 円 (②・③・⑤・⑥・⑧・⑨・⑪・⑫) <追加取得> (借) 非 支 配 株 主 持 分 1,650 (貸) 子 会 社 株 式 1,800 (〃) 資 本 剰 余 金 150 ※ 非支配株主持分:16,500 円(追加取得時の子会社の資本)×10%=1,650 円(②・⑤・⑧・⑪) ※ 図の②+⑤+⑧+⑪=1,650 円の資本を 1,800 円で払い戻したと考えるため,資本剰余金を 150 円減少 させる。 <第3期末連結貸借対照表の金額> 非支配株主持分:16,500 円(第3期末の子会社の資本)×30%(追加取得後非支配株主持分割合) =4,950 円(③・⑥・⑨・⑫)
≪重要ポイント!! 追加取得の資本連結の手順≫ (1) タイム・テーブルを作成する(必ず 2 度チェックする) (2) タイム・テーブルに従い,下記の連結財務諸表計上額を算定する 諸資産・諸負債 親会社の個別貸借対照表計上額と,子会社の時価評価後の金額の合計額を連結貸 借対照表に計上する 諸収益・諸費用 親会社の個別損益計算書計上額と,子会社の個別損益計算書計上額の合計額を連 結損益計算書に計上する のれん 子会社株式の投資額と支配獲得時における時価評価後の子会社の資本合計の持 分割合との差額をのれんとして計上する 原始取得分と追加取得分の未償却残高を連結貸借対照表に計上する 原始取得分と追加取得分の当期の償却額を連結損益計算書に計上する 非支配株主持分 当期末における時価評価後の子会社の資本に当期末の非支配株主割合を乗じた 金額を連結貸借対照表に計上する 子会社の当期純利益に当期中の非支配株主割合を乗じた金額を連結損益計算書 に計上する 資本金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額を連結貸借対照表に計上する 資本剰余金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額に追加取得により生じた資本剰余金を加 減算して計上する 利益剰余金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額に,取得後剰余金を加えた金額に,連結上 の損益変動額(のれん償却額や負ののれん発生益)を加減算した金額を連結貸借 対照表に計上する
P社とS社は支配従属関係にあり,連結財務諸表を作成するための資料は次のとおりである。よって,平 成×6 年3月 31 日の連結修正仕訳及び連結財務諸表を示しなさい。 1.平成×6 年3月 31 日現在の両社の財務諸表 貸 借 対 照 表 平成×6 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 1,271,000 394,000 諸 負 債 953,000 271,000 土 地 437,000 175,000 資 本 金 600,000 150,000 子 会 社 株 式 191,000 ― 資 本 準 備 金 100,000 50,000 繰越利益剰余金 246,000 98,000 1,899,000 569,000 1,899,000 569,000 損 益 計 算 書 平成×5 年4月1日~平成×6 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 1,096,000 432,000 諸 収 益 1,150,000 450,000 当 期 純 利 益 54,000 18,000 1,150,000 450,000 1,150,000 450,000 2.その他の参考事項 (1) 子会社株式の取得状況 取得年月日 持分割合 取得原価 平成×4 年3月 31 日 60% 164,000 千円 平成×5 年3月 31 日 10% 27,000 千円 (2) 子会社株式の取得時の資本の推移 取得年月日 資本金 資本準備金 繰越利益剰余金 平成×4 年3月 31 日 150,000 千円 50,000 千円 65,000 千円 平成×5 年3月 31 日 150,000 千円 50,000 千円 80,000 千円 (3) のれんは定額法により5年間で償却する。 (4) S社の土地の評価額は,次のとおりである。 ① 平成×4 年3月 31 日現在の土地の時価 181,000 千円(簿価 175,000 千円)である。 ② 平成×5 年3月 31 日現在の土地の時価 185,000 千円(簿価 175,000 千円)である。 (5) 両社とも剰余金の配当は行っていない。 例題7 追加取得 短答:A 論文:A