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段階取得,追加取得,一部売却

ドキュメント内 第1章 簿記の一巡 (ページ 39-81)

2.段階取得

〔短答:A 論文:A〕

(1) 支配獲得時までの子会社株式の取得形態の分類

段階取得とは,支配獲得までに2回以上に渡り子会社株式を取得することである。

株式の取得が1回の場合(一括取得)

株式の取得が2回以上の場合(段階取得) 持分法の適用を行わない場合

持分法の適用を行う場合(連結会計Ⅱで学習)

(2) 株式の取得が2回以上にわたって行われ,持分法の適用を行わない資本連結

① 基本的考え方

連結上,支配獲得日までに段階取得した株式を支配獲得日に支配獲得日の時価により,一括して取得し たものとして処理する。なお,この場合の支配獲得日における時価と支配獲得するに至った個々の取引ご との原価の合計額との差額は,親会社の連結修正仕訳において当期の「段階取得に係る損益」(特別損益) として処理する。

② 段階取得に係る損益

支配獲得時における時価相当額 = 支配獲得日の取得価額 × 合計の取得割合/支配獲得時の取得割合 段階取得に係る損益 = 支配獲得時における時価相当額 - 個々の取引ごとの原価の合計額

個別上の取得原価 支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計

連結上の取得原価相当額 支配を獲得するに至った個々の取引すべての支配獲得時における時価

<段階取得に係る損益の連結修正仕訳>

(借) 子 会 社 株 式 ××× (貸) 段階取得に係る差益 ×××

段階取得

第3期末の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳を示すと以下のとおりである。なお,のれんの償却 は,無視するものとする。

<第2期末の投資と資本の相殺消去(原始取得と同様に処理する)>

(借) 子 会 社 株 式 300 (貸) 段階取得に係る差益 300 (借) 資 本 12,000 (貸) 子 会 社 株 式 9,100 (〃) の れ ん 700 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 3,600

※ 段階取得に係る差益:7,800 円(支配獲得時の時価)×10%/60%-1,000 円(取得価額)=300 円

※ 子会社株式:8,800 円(取得価額合計)+300 円(段階取得に係る差益)=9,100 円 又は 7,800 円(支配獲得時の時価)×70%/60%=9,100 円

※ 非支配株主持分:12,000 円(第2期末の子会社の資本)×30%=3,600 円(③・⑥)

※ のれん:9,100 円(支配獲得時の時価)-12,000 円(第2期末の子会社の資本)×70%=700 円

<第3期の子会社利益の按分>

(借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,200 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,200

※ 非支配株主持分:4,000 円×30%=1,200 円

<非支配株主持分の第3期末連結貸借対照表の金額>

16,000 円(第3期末の子会社の資本)×30%(非支配株主持分割合)=4,800 円(③・⑥・⑨)

具体例

≪重要ポイント!! 段階取得の問題の手順≫

(1) 支配獲得時の時価相当額を算定する。

(2) 上記時価相当額と,個別財務諸表上の取得原価との差額を「段階取得に係る損益」に計上する。

(3) 支配獲得時の時価相当額により,一括取得したと考え,投資と資本の相殺消去を行う。

P社とS社は支配従属関係にあり,連結財務諸表を作成するための資料は次のとおりである。よって,連 結修正仕訳及び平成×7 年3月 31 日の連結貸借対照表及び連結損益計算書を示しなさい。

1.各年度の両社の財務諸表

(1) 平成×5 年3月 31 日の両社の財務諸表

貸 借 対 照 表

平成×5 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 1,505,100 168,000 諸 負 債 749,000 83,000 投 資 有 価 証 券 9,900 ― 資 本 金 500,000 50,000 資 本 剰 余 金 50,000 10,000 利 益 剰 余 金 216,000 25,000 1,515,000 168,000 1,515,000 168,000 (注) S社の諸資産の時価は 172,000 千円である。

(2) 平成×6 年3月 31 日の両社の財務諸表

貸 借 対 照 表

平成×6 年3月 31 日現在 (単位:千円)

勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 資 産 1,548,100 181,000 諸 負 債 796,000 89,000 子 会 社 株 式 61,900 ― 資 本 金 500,000 50,000 資 本 剰 余 金 50,000 10,000 利 益 剰 余 金 264,000 32,000 1,610,000 181,000 1,610,000 181,000 (注) S社の諸資産の時価は 187,000 千円である。

(3) 平成×7 年3月 31 日の両社の貸借対照表

貸 借 対 照 表

平成×7 年3月 31 日現在 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社

例題6 段階取得 短答:A 論文:A

(4) 当期の両社の損益計算書

損 益 計 算 書

平成×6 年4月1日~平成×7 年3月 31 日 (単位:千円) 勘 定 科 目 P 社 S 社 勘 定 科 目 P 社 S 社 諸 費 用 200,000 70,000 諸 収 益 300,000 78,000 当 期 純 利 益 100,000 8,000

300,000 78,000 300,000 78,000

2.その他の参考事項 (1) 子会社株式の取得状況

取得年月日 持分割合 取得原価

平成×5 年3月 31 日 10% 19,900 千円 平成×6 年3月 31 日 50% 52,000 千円 (2) のれんは 10 年で均等償却する。

解答 解説 (単位:千円)

<タイム・テーブル>

① 平成×6 年3月 31 日の子会社の資産の評価

(借) 諸 資 産 6,000 (貸) 評 価 差 額 6,000

※ (187,000 千円-181,000 千円)=6,000 千円

② 平成×6 年3月 31 日の投資と資本の相殺消去

(借) 子 会 社 株 式 500 (貸) 利益剰余金期首残高 500 (借) 資 本 金 50,000 (貸) 子 会 社 株 式 62,400 (〃) 資本剰余金期首残高 10,000 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 39,200 (〃) 利益剰余金期首残高 32,000

(〃) 評 価 差 額 6,000 (〃) の れ ん 3,600

※ 段階取得に係る差益:52,000 千円×10%/50%-9,900 千円=500 千円

※ 子会社株式:61,900 千円(取得原価合計)+500 千円(段階取得に係る差益)=62,400 千円

※ のれん:62,400 千円-98,000 千円×60%=3,600 千円

※ 非支配株主持分:98,000 千円×40%=39,200 千円

③ 当期の子会社の利益の按分

(借) 非支配株主に帰属する当期純損益 3,200 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 3,200

※ 非支配株主持分:8,000 千円×40%=3,200 千円

④ のれんの償却

(借) の れ ん 償 却 額 360 (貸) の れ ん 360

※ のれん償却額:3,600 千円÷10 年=360 千円

⑤ 平成×7 年3月 31 日の連結貸借対照表

連結貸借対照表

諸 資 産 1,858,100 諸 負 債 900,000 の れ ん 3,240 資 本 金 500,000 資 本 剰 余 金 50,000 利 益 剰 余 金 368,940 非 支 配 株 主 持 分 42,400 1,861,340 1,861,340

※ 諸資産:1,652,100 千円+200,000 千円+6,000 千円=1,858,100 千円

⑥ 平成×6 年4月1日~平成×7 年3月 31 日の連結損益計算書

連結損益計算書

諸 費 用 270,000 諸 収 益 378,000 の れ ん 償 却 額 360

非支配株主に帰属する当期純利益 3,200 親会社株主に帰属する当期純利益 104,440

378,000 378,000

※ 親会社株主に帰属する当期純利益:100,000 千円(P社)+8,000 千円(S社)×60%

-360 千円(のれん償却額)=104,440 千円

3.追加取得

〔短答:A 論文:A〕

(1) 基本的考え方

追加取得とは,支配獲得後に子会社株式を追加で取得することである。子会社株式を支配獲得後に追加取 得した場合には,追加取得した株式に対応する持分を「非支配株主持分」から減額し,追加取得により増加 した親会社持分(追加取得持分)を追加投資額と相殺消去する。追加取得は資本取引となるため,追加取得持 分と追加投資額との間に生じた差額は,「資本剰余金」として処理される。

(2) 具体的会計処理

① 追加取得時の連結修正仕訳

追加取得時には,追加取得に対応する非支配株主持分(時価ベース)と追加投資額で相殺消去を行うこ とになる。なお,追加取得時には,新たな時価評価は行われない。その理由は,支配獲得時に非支配株主 持分についても評価差額を計上し,非支配株主持分は評価差額を含んだ時価ベースで表示されているため である。

<追加取得の連結修正仕訳>

(借) 非 支 配 株 主 持 分 ××× (貸) 子 会 社 株 式 ×××

(〃) 資 本 剰 余 金 ×××

資本剰余金 = 追加取得額 - 追加取得時の子会社資本合計 × 追加取得割合

② 追加取得後の子会社利益の按分

追加取得後の子会社利益の按分は,追加取得後における非支配株主持分割合を非支配株主に按分するこ とになる。

評価差額がない場合の追加取得

第3期末の連結財務諸表の作成のための連結修正仕訳を示すと以下のようになる。なお,のれんは,発生 年度の翌年より 10 年間で均等額の償却を行うものとする。

<支配獲得時の投資と資本の相殺消去>

(借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,500 (〃) の れ ん 500 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,000 ※ のれん:6,500 円(子会社株式)-10,000 円(支配獲得時の子会社の資本)×60%=500 円 ※ 非支配株主持分:10,000 円(支配獲得時の子会社の資本)×40%=4,000 円(②・③)

<第2期の子会社利益の按分及びのれん償却額>

(借) 利益剰余金期首残高 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800

(借) 利益剰余金期首残高 50 (貸) の れ ん 50

※ 非支配株主持分:2,000 円×40%=800 円(⑤・⑥)

※ のれん償却額:500 円÷10 年=50 円

<第3期の子会社利益の按分及びのれん償却額>

(借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,600 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 具体例

<追加取得直前の非支配株主持分>

16,000 円(第3期末の子会社の資本)×40%(追加取得前非支配株主持分割合)=6,400 円

(②・③・⑤・⑥・⑧・⑨)

<追加取得>

(借) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 (貸) 子 会 社 株 式 1,800

(〃) 資 本 剰 余 金 200

※ 非支配株主持分:16,000 円(追加取得時の子会社の資本)×10%=1,600 円(②・⑤・⑧)

※ 図の②+⑤+⑧=1,600 円の資本を 1,800 円で払い戻したと考えるため,資本剰余金を 200 円減少させ る。

<第3期末連結貸借対照表の金額>

非支配株主持分:16,000 円(第3期末の子会社の資本)×30%(追加取得後非支配株主持分割合)

=4,800 円(③・⑥・⑨)

評価差額が生じている場合の追加取得

前例で,第1期末に評価差額 500 円,第3期末で評価差額 1,000 円生じている場合の連結修正仕訳は,

以下のとおりである。

具体例

<評価差額の計上(個別財務諸表の修正)>

(借) 土 地 500 (貸) 評 価 差 額 500

<支配獲得時の投資と資本の相殺消去>

(借) 資 本 10,000 (貸) 子 会 社 株 式 6,500 (〃) 評 価 差 額 500 (〃) 非 支 配 株 主 持 分 4,200

(〃) の れ ん 200

※ のれん:6,500 円(子会社株式)-10,500 円(支配獲得時の子会社の資本)×60%=200 円 ※ 非支配株主持分:10,500 円(支配獲得時の子会社の資本)×40%=4,200 円(②・③・⑪・⑫)

<第2期の子会社利益の按分及びのれん償却額>

(借) 利益剰余金期首残高 800 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 800

(借) 利益剰余金期首残高 20 (貸) の れ ん 20

※ 非支配株主持分:2,000 円(第2期利益)×40%=800 円(⑤・⑥)

<第3期の子会社利益の按分及びのれん償却額>

(借) 非支配株主に帰属する当期純損益 1,600 (貸) 非 支 配 株 主 持 分 1,600 (借) の れ ん 償 却 額 20 (貸) の れ ん 20 ※ 非支配株主持分:4,000 円(第3期利益)×40%=1,600 円(⑧・⑨)

<追加取得直前の非支配株主持分>

16,500 円(第3期末の子会社の資本)×40%(追加取得前非支配株主持分割合)=6,600 円

(②・③・⑤・⑥・⑧・⑨・⑪・⑫)

<追加取得>

(借) 非 支 配 株 主 持 分 1,650 (貸) 子 会 社 株 式 1,800

(〃) 資 本 剰 余 金 150

※ 非支配株主持分:16,500 円(追加取得時の子会社の資本)×10%=1,650 円(②・⑤・⑧・⑪)

※ 図の②+⑤+⑧+⑪=1,650 円の資本を 1,800 円で払い戻したと考えるため,資本剰余金を 150 円減少 させる。

<第3期末連結貸借対照表の金額>

非支配株主持分:16,500 円(第3期末の子会社の資本)×30%(追加取得後非支配株主持分割合)

=4,950 円(③・⑥・⑨・⑫)

≪重要ポイント!! 追加取得の資本連結の手順≫

(1) タイム・テーブルを作成する(必ず 2 度チェックする)

(2) タイム・テーブルに従い,下記の連結財務諸表計上額を算定する

諸資産・諸負債 親会社の個別貸借対照表計上額と,子会社の時価評価後の金額の合計額を連結貸 借対照表に計上する

諸収益・諸費用 親会社の個別損益計算書計上額と,子会社の個別損益計算書計上額の合計額を連 結損益計算書に計上する

のれん

子会社株式の投資額と支配獲得時における時価評価後の子会社の資本合計の持 分割合との差額をのれんとして計上する

原始取得分と追加取得分の未償却残高を連結貸借対照表に計上する 原始取得分と追加取得分の当期の償却額を連結損益計算書に計上する

非支配株主持分

当期末における時価評価後の子会社の資本に当期末の非支配株主割合を乗じた 金額を連結貸借対照表に計上する

子会社の当期純利益に当期中の非支配株主割合を乗じた金額を連結損益計算書 に計上する

資本金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額を連結貸借対照表に計上する

資本剰余金 親会社の当期末個別貸借対照表計上額に追加取得により生じた資本剰余金を加 減算して計上する

利益剰余金

親会社の当期末個別貸借対照表計上額に,取得後剰余金を加えた金額に,連結上 の損益変動額(のれん償却額や負ののれん発生益)を加減算した金額を連結貸借 対照表に計上する

ドキュメント内 第1章 簿記の一巡 (ページ 39-81)

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