いわゆる「予約型」債権譲渡担保の対抗要件ならび に対抗要件否認に関する一試論 : 最高裁平成13年 11月27日第三小法廷判決を手がかりとして
著者 渡邉 拓
雑誌名 静岡大学法政研究
巻 7
号 1
ページ 179‑194
発行年 2002‑08‑31
出版者 静岡大学人文学部
URL http://doi.org/10.14945/00008843
わ い閂
ゆ る ﹁予 約 型
﹂ 債 権 譲 渡 担 保 の 対 抗 要 件 な ら び に 対 抗 要 件 否 認 に 関 す る 一 試 論
︱ ︱ 最 高 裁 平 成 一 三 年 一 一 月 二 七 日 第 三 小 法 廷 判 決 を 手 が か り と し て ︱ ︱
渡 邊 拓
一 問 題 の所 在 一一 最高 裁 平成 一三 年 一 月一 二七 日 第 小二 廷法 判決 一 平成 一三 年判 決 の分 析 四 いわ ゆる
﹁予 約型
﹂ の債 権 譲渡 担 保を 巡 る リ スク に つい て 五 ま とめ 一
問 題 の所 在 民 法 は債 権 譲渡 を第 二者 に対 抗 す る要 件 と し て四 六 七条 二項 に確 定 日付 あ る通 知
・承 諾を 定 め て 和﹂
″ し かし ヽ 実務 に お い て︑ 特 売に 掛 債権 を集 合 債権 譲渡 担保 取に る場 合 な ど は︑ 従来
︑ こ の対 抗要 件 を具 備す る例 は少 な か たっ と いわ れ て わい ゆる 予﹁ 約型
﹂債 権譲 担渡 保 の対 抗要 件な びら に対 抗要 件否 認に す関 る 一試 論 一七 九
法政 研究 七巻 一号 公 一〇
〇二 年︶ 一 八〇
﹂
︒ ︶和 そ の理 由 と し ては
︑ 目 的 債 権 が 大 量 の場 合 に は 手 間 と コ スト が か か る と いう こと 以 外 に︑ 譲 渡 担 保 設 定 契 約 と 同 時 に対 抗 要 件 を 具 備 す る と
︑ 譲 渡 人 の信 用 不 安 を 惹 起 す る お そ れ が あ る と いう こと が 言 わ れ て い る︒ そ れ ゆ え
︑ 実 務 では
︑ あ ら か じ め 譲 渡 人 か ら 債 権 譲 渡 通 知 書 を 徴 求 し てお き
︑ 譲 渡 人 の経 営 が 正 常 な場 合 に は そ のま ま 譲 渡 人 に債 権 の取 り 立 て
朦罐 呻げ 締痢 ︹¨ 囃鷲 瑯赫 醐制 醐は
﹃噌 な性 疇は げ﹃ 蜘暉
灘翻 財れ 翔略 制劃 刹剛 燎罐 r制 州車 商理 糾機 れは 嶼嚇 難 れな
け る危 険 性 があ るば か り でな く︑ 破 産法 七 四条
︑ 会社 更生 法 八〇 条
︑ 民事 再 生法 一二 九 条 の対 抗 要件 否認 を受 け る リ スク
︵4
︶ も 存 在 す る
︒ そ こで 実︑ 務 では
︑ この 対 抗要 件否 認 リの スク を回 避 す る ため に︑ 債権 譲渡 契約 は予 約 とに めど
︑ 譲受 人 に 一方 的 な予 約 完結 権 を付 与 し︑ 譲渡 人 危に 機 状的 況 が現 れ ると 予約 完 結権 を 行使 し︑ 同 時 に対 抗要 件 具備 す る いわ ゆ る
﹁予 約 型﹂︑ あ る いは 支 払停 止等 の 一定 の事 由 を停 止 条件 と し て条 件 が成 就 す ると 自 動的 に本 契約 成が 立 し︑ それ と同 時 に対 抗要 件 を 具備 す る いわ ゆ る
﹁停 止条 件型
﹂ と いわ れ る方 法 が提 唱 され 加︵
︒ ︶ この 方 法 によ ると
︑ 予約 の完 結時
︑ あ る いは 停 止 条件 の 成就 時 に債 権 が移 転 し た こと にな り︑ そ の後 間を お かず 対 抗 要件 を 具備 す れば
︑
﹁権 利 ノ設 定 移︑ 驚
︵ 又 フい
更 アリ タ ル日 ヨリ 一五 日 ヲ経 過 シタ ル後
﹂ に対 抗 要件 が具 備 さ れた と うい 対抗 要件 否認 の要 件を 満 た
︵ さ 一ヽ
こと にな る︒ こ 予の 約 理と 停止 条件 型 は対 抗 要 件否 認 のリ スク を 回避 す る有 効 な手 段 とし て実 務 に広 く受 け 入れ られ た︒ し かし
︑ 他方 予︑ 約型 停︑ 止条 件型 の債 権譲 渡 に つい ては 債︑ 権譲 渡 予約 契約 あ る いは 停止 条件 付債 権譲 渡契 約時 に既 れ 一輩
¨脚 嘲囃 在 詢
︵ 設 雌﹁
﹄ 脚訂
︲こ 予 師崎 嘲酬
﹄ 協
¨憮 酔 前﹄ 岬 成
就時 購に
﹂財 対抗 要件 具備 に つい て対 抗 要件 否 認 が可 能 で 相¨ 次 い でい る︒ 以上 のよ うな 問 題状 況 の下
︑ 最高 裁 は平 成 一三 年 一一 月 二七 日 に指 名債 権 譲渡 の予 約 契約 に つい て の対 抗要 件具 備 の可 否 に関 し て判 断 を下 し た
︵以下
﹁平 成 一三 年 判決 し︒ 以下 では 平 成 一三 年 判決 が債 権譲 渡担 保 をめ ぐ る これ ま で の議 論 に
いか な る影 響 及を すぼ のか を み てい き た い︒
・ 二 最 高 裁 平 成 一三 年 一 月一 二七 日 第 二 小 法 廷 判 決
︵民 集 五 五 巻 六 号 一〇 九
〇 頁
︶
︻事 実 の概 要
︼ 訴外 会社 A
︲︱ま
︑ 昭和 五九 年七 月 二 日︑
ゴ ル フク ラブ 経営 会社 Y
︵被告
︑ 上告 人︶ に対 し て本 件 預託 金 を預 託 し︑ 本 件 ゴ ル フ会 員権 を 取得 し た¨ 外訴 会 社 Aと Z銀 行
︵上告 補 助参 加人
︶ と は︑ 同 月 三 日︑ Aが Z に対 し て負 担 す る債 務 の担 保 と し て本 件 ゴ ル ラク ラブ 会員 権を Zに 譲渡 す るこ とを 予約 し︑ 同債 務 に つき A に不 履 行 があ たっ とき は︑ Z の予 約完 結 の意 思 表 示 によ り本 件 ゴ ル クフ ラブ 会員 権譲 渡 の本 契 約 を成 立 させ る とこ が きで る旨 の合 意 を し︑ Yは
︑ 確定 日付 のあ る証 書 によ り︑ 本 件譲 渡予 約 を承 諾 たし
︒ Zは 平︑ 成 三年 一〇 月 五 日︑ A に対 し︑ 本 譲件 渡予 約 を完 結 す る旨 の意 思表 示 をし た が︑ これ よに る本 件ゴ ル フク ラブ 会 員権 の譲 渡 に つい て︑ 確定 日付 のあ る証 書 によ るY のへ 通知 又 Yは の承 諾 は され てい な い︒ 一 国 X
︵原 告︑ 被上 告人
︶ は︑ 平成 三年 一〇 月九 日︑ A に対 す る滞 納 処分 と し て本 件 ゴ ル フク ラブ 会 員権 を 差 押し ぎ え︑ 同 日︑ 押差 知通 書 を Y 送に 達 たし
︒ 平成 八年 月六 一日 に預 託金 の返 還 事由 が発 生 し たた め︑ X Yは に対 し て預 託金 の 支 払を 請求 し た︒ 一審 の大 阪地 麺︵
︶ 二審 の大 阪高 麺︵ に ずい もれ X の請 求 を認 容
︒ Y上 告
︒ 判︻
旨︼ 民法 四六 条七 規の 定 す る指 名債 権譲 渡 に つい て の債 務 者 以外 の第 二者 に対 す る対 要抗 件 の制 度 は︑ 債務 者 が債 権 譲渡 に りよ 債権 の帰 属 に変 更 生が じ た事 実 を認 識 す る こと を 通 じ︑ これ が債 務 者 によ てっ 第 二者 に表 示 され 得 るも の であ る こと いわ ゆる
﹁予 約型
﹂債 権譲 渡担 保 の対 抗要 な件 らび 対に 抗要 件否 認に 関す る 一試 論 一八 一
法政 研究 七巻 一号 公一〇
〇二 年︶ 一 八二 を 根幹 と し て成 立 し てい ると ころ
︵最 高裁 昭和 四七 年
︵お︶ 第 五九 六 号 同 四九 年 月二 七 第日 一小 法 廷判 決
・民 集 二八 巻 二 号 一七 四頁 参 照︶︑
指 名 債権 譲渡 の予 約 に つき 確定 日付 のあ る証 書 よに り債 務 者 に対 す る通 知 又 は そ の承 諾 がさ れ ても
︑ 債 務者 は︑ これ によ てっ 予約 完結 権 の行 使 よに り当 該 債権 の帰 属 が将 来 変更 さ れ る可 能性 を 了知 す る に止 ま り︑ 当該 債権 の帰 属 に変 更 が生 じ た事 実 を認 識 す るも ので なは いか ら︑ 上 記予 約 の完 結 によ る債 権 譲渡 の効 力 は︑ 当 該 予約 に つい さて れ た上 記 の通 知又 承は 諾を も てっ
︑ 第 二者 に対 抗 す る こと は でき な いと 解 す きべ あで る これ を 本件 に つい てみ ると
︑ 本件 譲渡 予約 に つい ては 確 定 日付 あ る証 書 よに り上 告人 の承 諾 を得 たも の の︑ 予約 完結 権 の行 使 によ る債 権 譲渡 に つい て第 二者 に対 す る対 抗 要件 を具 備 し てい な 上い 告 補助 参加 人 は︑ 本 件 ゴ ル フク ラブ 会 員権 の 譲受 けを 被上 告 人 に対 抗 す る こと は でき な いと いわ なけ れば なら な い︒ 一
平 成 一三 年 判 決 の 分 析 0 平成 一三 年 判決 の判 断枠 組 事案 か らも 明 ら かな うよ に︑ 本件 は︑ Z によ る予 約完 結権 行使 の意 思表 示 にX の差 押 えが 劣後 し てい た ため 少︑ くな と 予も 約 の完 結 と同 時 に確 定 日付 あ る通 知
・承 諾 あが れ ば Z の債 権取 得 は X の差 押 え に優 先 でき た事 案 であ たっ
︒ それ ゆえ
︑ 最高 裁 にお け る判 断 も︑ 直接 的 には 約﹁予 に対 す る確 定 日付 あ る通 知
・承 諾 をも てっ 予約 完結 後 の債 権 譲渡 の対 抗要 件 と す る とこ が きで るか
﹂ と いう 点 に つい てな され た︒ いわ ば︑ 予 約 に つい て通 知
・承 諾 を予 約完 結後 の債 権譲 渡 の対 抗 要 件 とし て 流﹁ 用﹂ きで るか が問 題 と な たっ わ け であ る︒ まず そ の前 提問 題 とし て指 名 債権 譲渡 の予 約契 約 おに い てど の時 点 で債 権 譲渡 の効 果 が発 生す る のか と うい 点 に つい て 最高 裁 は立 ち 入 たっ 検 討 はし てい な い︒ と は いえ
︑ 最高 裁 が理 由中 にお い て
﹁予 約 の完 結 によ る債 権 譲渡 の効 力﹂ と 述 べ
てい ると ころ か すら ると
︑
﹁予 約 時 には 権利 移 転 の効 果 は発 生 せず
︑ 予 約完 結 権 の行 使 があ てっ 初 め て債 権 が移 転 す る﹂ と いう 認識 が前 提 とし てあ ると 思 わ れ る︒
︲︵2
︶ そ の上 で最 高 裁 は︑ 六四 七 条 二項 の対 抗 要件 に つい てい わ ゆ る債 務 者 イの ン フォ メー シ ンョ セ タン ー理 論 基に づ き︑ 指 名 債権 譲 渡 の
﹁予 約
﹂ 契 約 に つい て︑ 確 定 付日 あ る通 知
・承 諾 があ てっ も
︑ 債 務者 将は 来 債 権 の帰 属 が変 更 す ると うい 能﹁可 性﹂ を認 識 す る に止 ま り債 権 の帰 属 に変 更 を生 じ た
﹁事 実﹂ を 認識 す るも ので はな いと たし
︒ これ 言は い換 え ると
︑ 指 名債 権譲 渡 の
﹁予 約﹂ に つい て の通 知
・承 諾 では
︑ そも そも
︑ イ
ン フオ メー シ ンョ セ タン ーと し ての 債務 者 に債 権 譲渡 の事 実 が あ たっ と うい 十 分 な情 報 与を える とこ は でき な いと いう こと
︑ す なわ ち 債︑ 務者 は第 二者 か け の問 い合 わせ に対 し ても 確 た 回る 答 与を え る こと が でき ず︑ 債権 譲渡 の事 実 を
﹁公 示
﹂ でき な いと いう こと 意を 味 す る︒ これ 結は 局︑ 債務 者 イは ン フオ メー シ ンョ セ ンタ ーと し ては
﹁機 能﹂ し て いな とい うい とこ 他に なら な い︒ それ ゆえ に︑ そ の後
︑ 予約 完結 権 が行 使 され 現 実 に債 権 が譲 渡 され たと し ても 既︑ に債 務者 イは フン メオ ー シ ンョ セ タン ーと し ては 機 能 し てお ら ず債 権 譲 渡 の事 実 も公 示 され て いな い以 上
︑
﹁予 約
﹂ に つい ての 通 知
・承 諾 では
︑ 予 約完 結 後 の債 権譲 渡 の対 抗 要件 と し て
﹁認 めら れ な い﹂ と最 高裁 は判 断 し たと 言 え る︒ と いう こと は︑ さら に うい と︑ そも そも 予約 の時 点 から 債務 者 イは フン メォ ー シ ンョ セ タン ーと し て機 能 し てい な い以 上
︑
﹁予 約時
﹂ にお け る対 抗要 件 具備 も不 可能 あで とる いう とこ なに ろ う︒ 0
平成 一三 判年 決 の意 義 平成 一三 年判 決 の意 義 と し ては 第︑ 一に 指︑ 名 債権 譲 渡 の予 約 に
︵ つ 帥ン
のみ 確 定 日付 あ る証 書 よに る通 知
・承 諾 を し て も
﹁無 意味 であ る﹂ と いう こと を明 らか にし た点 を挙 げ る こと が でき る︒ そも そも
︑ 約予 時 に具 備 され た債 権譲 渡 の対 抗 要 件 の効 力 に関 す る判 例 は これ ま でな く︑ そ の意 味 でも 予 約時 の通 知
・承 諾 の意 味 を明 ら か にし た平 成 一三 年 判決 の意 義 大は き いと 言 え る︒ いわ ゆる 約﹁予 型﹂ 債権 譲渡 担保 の対 抗要 件な らび に対 抗要 件否 認に 関す る 一試 論 一八 三
法政 研究 七巻 一号 公一〇
〇二 年︶ 一 八四 た だし
︑ 予約 の完 結後 に再 対び 抗 要件 を備 え た場 合 には そ の時 点 から 対抗 力 を得 ると いう こと は︑ す でに 最 高裁 平成 一 二年 月四 二 一日 判決
︵民 集 五 巻四 四号 一五 六 二頁
︶ が
﹁︵ 予約
︶完 結 の意 思表 示 が され るま では
︑ 譲 渡人 は︑ 本 件 予約 の 目 的 と なる 債権 を自 取ら り立 てた り︑ これ を処 分 し た
︵ り 為財
こと が でき
︑ 譲渡 人 の債 権 者 も これ を差 押し さえ る こと が で き る の であ るか
﹂ら と述 てべ いる こと から も明 ら か であ る︒ それ を 越 え て︑ 予約 時 と予 約 完結 後 に三 度 にわ たり 確 定 日付 あ る通 知
・承 諾 がな され た場 合 に︑ あ たか も不 動 産売 買予 約 の仮 登 記 にお け る順 位 全保 効 のよ う に︑ 予約 時 に遡 てっ 対 抗力 を付 与 さ れ る可 能 性 も 理論 的 には あ り得 な いわ け では な い︒ しか し︑ 予﹁ 約
﹂ に つい ての 通 知
・承 諾 と いう
﹁不 完全
﹂ な情 報 では 債務 者 イは ン フ メオ ー シ ンョ セ ンタ とー し ては 機﹁ 能 t な い﹂ と うい 前 提 に立 つな らば
︑
﹁予 約 完結 後 の再 度 の通 知
・承 諾﹂ よに てっ 務債 者 の債 権 譲渡 に つい て の情 報 を くい ら完 全 に追 完 たし とし ても
︑ 追完 時 ま では そも そも イ ン フォ メー シ ンョ セ タン ーと し て機 能 し てい なか たっ の であ る から
︑
﹁予 約時
﹂ に遡 てっ 対抗 力 が追 完 され ると いう こと も あ り得 な いと うい こと にな ろう
︒ 以上 の とこ から す とる
︑ 平 成 一三 年判 決 か ら は︑ 債﹁ 権譲 渡 の予 約 契約 にお い て予 約 時 に対 第 二者 対抗 要 件 を具 備 す る こと はお よ そ不 可 能 であ る﹂ と いう 一般 命題 を導 く とこ が でき そう あで る︒ 0
平成 一三 年 判決 の射 程 平 成 一三 年 判決 は︑ 一般 的 な指 名 債権 譲渡 予の 約 に関 す る事 案 であ り︑ 直接 の射 程 は これ に限 定 され ると 解 さ れ る︒ し か し︑ イ フン メォ ーシ ンョ セ タン ーと し て の債 務者 に債 権 の帰 属 に つい て
﹁不 完 全 な情 報
﹂ かし 与 えな い
﹁予 約﹂ に つい ての 通知
・承 諾 では 対 抗要 件 と し て
﹁機 能 なし い﹂ とす る平 成 一三 判年 決 の 一般 論 か らす るな らば ︑ 一般 的 な指 名 債権 譲 渡 予約 に限 ずら
︑ いわ ゆ る 予﹁ 約 型﹂ の債 権譲 渡担 保︑ さら には
﹁停 止 条件
﹂型 の場 合 にも 譲渡 契約 時 には 債 務者 に不 完
・︵5
︶
全 な情 報 かし 与 えな とい うい 点 は同 じ あで り︑ 本件 と同 様 の判 断 が さな れ ると 言 えよ う︒
ただ し︑ 集合 債 権譲 渡 担保 契約 に関 し ては
︑ 最 高裁 平 成 一三 年 一 月一 二 二 判日 決
︵民 集 五五 巻六 号 一〇 五六 頁
︶が 既﹁ 生に じ︑ 又 将は 来生 ず べき 債権 は︑ 甲 か 乙ら に確 定 的 に譲 渡 され てお
﹂り︑ 上﹁ 記債 権譲 渡 に つい て第 二者 対 抗要 件 具を 備 す るた め には
︑ 名指 債権 譲渡 の対 抗 要件
︵民 法 六四 七条 二項
︶ の方 法 によ る こと が でき
﹂る と判 示 し︑ 集合 権債 譲渡 担保 の場 合 に
︵︱ま r硫
定 付日 あ る通 知
・承 諾 によ てっ
︑ 既 発生 未︑ 発生 の目 的債 権 は担 保設 定 時 に 一括 し て対 抗要 件を 具備 でき ると し てい る︒ では
︑ も 仮し に︑ 集 合債 権譲 渡 担保 設定 契約 が
﹁予 約
﹂ され た場 合 には うど な る の あで うろ か︒ こ の場 合 には
︑ たと え集 債合 権譲 渡 担保 の設 定契 約 であ てっ も︑ 平成 一三 年判 決 の論 理 によ れ ば︑ そ の
﹁予 約﹂ に つい て の通 知
・ 承 諾 メで 暉務 者 は イ フン メオ ー シ ンョ セ タン ーと し て機 能 得し な い以 上︑ 予約 時 の対 第 二者 対 要抗 件具 備 は否 定 され る こ と とな ろう
︒ こ の点 に つい ては 次 の四 0 にお いて 再 論す る︒ 四
い わ ゆ る
﹁予 約 型
﹂ の 債 権 譲 渡 担 保 を 巡 る リ クス に つ い て では 次︑ に︑ 平成 一三 年 判決 が︑ これ ま で の債 権 譲渡 担保 に関 す る実 務 にど のよ うな 影 響を 及 すぼ のか を見 てみ よう
︒ 債 権譲 渡 を る巡 リ クス 先 述 し た よう に︑ 従 来 か ら︑ 債 権 譲渡 の実 務 にお い ては
︑
︹信 用不 安惹 起 のリ スク
︺︑
︹第 二者 によ る対 抗 のリ クス
︺︑
︹対 抗要 件 否 認 のリ スク
︺︑ が存 在 し てい る︒
︹信 用不 安 惹 起 リの スク
︺ は︑ 対 抗要 件 具備 を でき るだ け
﹁遅 らせ
﹂ よう と す る方 向 に働 き︑ 逆 に︑
︹第 二者 によ る対 抗 のリ スク
︺ は対 抗 要 件具 備 を でき るだ け
﹁早 め﹂ よう と す る方 向 に働 く︒ 最 後 の
︹対 抗 要件 否 認 リの スク
︺ は︑ 権 利 移転 時 か ら対 抗 要件 備具 ま で の期 間 を 一五 日以 内 に
﹁縮 め﹂ よう とす る方 向 に働 く︒ 債 権譲 渡 の当 事 者︑ 特 に譲 受人 は これ ら のリ スク に挟 まれ わい ば リト レ ン マと いえ る状 況 にあ たっ
︒ そし て︑ 妥 協 の いわ ゆる
﹁予 約型
﹂債 譲権 渡担 保の 対抗 要件 なら にび 対抗 要件 否認 に関 する 一試 論 一八 五
法政 研究 七巻 一号 公 一〇〇 二年
︶ 一八 六 産 物 と し て登 場 し た の が い わ ゆ る
﹁予 約 型
﹂
﹁停 止 条 件 型
﹂ の債 権 譲 渡 担 保 で あ たっ と い え る
︒ 以 下 では
︑ 平 成 一三 年 判 決 に よ てっ
︑ い わ ゆ る予 約 型 の債 権 譲 渡 担 保 の場 合 に こ れ ら の リ ス ク が ど の よ う に変 化 す る の か を 見 てみ よ う
︒ 0
第 二者 に よ る 対 抗 の リ クス
毎け¨﹈ 一仲一¨
﹁一﹇︸ 一中¨﹃
一¨¨鰤 一﹈﹇﹁
¨﹈普静 鰤﹄¨円 ︹籍﹁綺酬 ︑ の .嘲ス諾察 副薇脚国
﹁ほ暉け ︹ い帥は崚
予 約型 の債 権譲 渡担 保 に つい て対 抗 要件 否認 を肯
︵ 定 為射
理 論 前的 提 とし て︑ 予 約時 にす でに 一定 の担 保権 の設 定 あ る いは 権 利 の変 動 あが ると 考 える 見解 が有 力 なに
︵ り り
つあ る︒ 次 に 見 るよ う に下 級審 判決 にお いて も 停﹁ 止 条件
﹂型 に関 す る事 案 では あ るが 同様 の結 論 を採 るも のが 見 られ る︒ 2︵2
︶
○ 大 阪 高 裁 平 成 一〇 年 七 月 二 一日 判 決
︵金 判 一〇 五
〇 号 三 頁
︶
︻事 実関 係
︼ 平 成六 年 月二 二九 日 にA は Yと の間 でA が B︑ C 対に し て有 す る 一切 の代 金 債権 を譲 渡 す る契 約 を締 結 し た︒ 譲渡 の効 力 支は 払 止停 等 の 一定 の事 由 が発 生 し たと き に生 じ る旨 約の 定 が付 さ れ て いた
︒ Aは 平成 年九 月六 二日 に 手 形 の不 渡 りを 出 同し 月 二 日自 己破 産 の申 立し てを 行 たっ
︒ 月同
一八 日 にA に対 し て破 産宣 告 なが され Xが 破 産管 財人 に 選任 され た︒ Yは 平成 九年 六 月二 日と
︑ 同 月 一六 日 Bに
︑ C に対 し て確 定 付日 あ る通 知 を行 い対 抗要 件 を具 備 した
︒ Xは Y の対 抗 要 件具 備を 否認 し た︒
︻判 旨
︼ 大 阪高 裁 は︑ 本件 債権 譲 渡 は単 なる 停止 条件 付 債権 譲 渡 では なく 契︑ 約 締結 時点 で担 保権 は発 生 し てい るが
︑ 条 件未 成就 の間 担は 保権 の実 行 が制 限 され てい る集 合 債権 譲渡 の担 保設 定契 約 であ り︑ 担 保 設定 時 債に 務者 に包 括 的 な通
知 を発 す る こと 対で 抗 要件 を具 備 でき ると す る︒ そう す ると 本 件 では
︑ 平成 六年 月二 二九 日 の契 約時 点 で既 当に 事 者間 に お い て担 保 権 現が 実 に発 生 し てい ると 解 さ れ る以 上︑ 平成 九年 月六 に初 め て通 知 が な され る に至 たっ 以上
︑ 権 利設 定 の効 力 が生 じ た 日か ら 一五 日が 経 過 し てか ら の対 抗 要 件具 備 と えい るか 破ら 産法 七 四条 の否 認対 象 と な る︑ と判 断 し た︒ こ のよ うな 下 級審 の見 解 従に えば
︑ 平成 一三 年 判決 の事 案 のよ う に予 約時 に確 定 付日 あ る通 知
︒承 諾を 行 うな らば
︑ 予 約 時 に譲 渡担 保権 に つい て対 抗 力 が付 与 さ れ う ると いう こと にな り︑
︹第 二者 よに る対 抗 のリ スク
︺ を回 避 でき ると うい こと にな る︒ かし し︑ これ ら の見 解 は︑ 先 見に たよ う に︑ 予約 型 と いえ ども 実質 債は 権譲 渡担 保 の設 定 であ り︑ 予約 や停 止 条件 債は 権譲 渡担 保 の本 質 には 影響 し な いと うい 理解 を前 提 と し て いる
︒ こ の点 に つい て︑ 一般 的 な指 名 債権 譲渡 の予 約 に つい ての 通 知
・承 諾 を扱 てっ お り︑ 予 約型 の債 権譲 渡担 保 の性 質 論 には 全 く触 れ て いな 平い 成 一三 年判 決 は この うよ な見 解 と は直 接 抵触 し な いと いえ る︒ し かし
︑ 述先 し た よう に直 接 の射 程 は及 ば な いに よせ
︑ 名指 権債 譲渡 であ れ︑ 集合 債 権譲 渡担 保 あで れ
︑ お よ そ
﹁予 約
﹂ と いう 衣 を まと う限 り にお い て︑
﹁債 権 譲渡 の予 約 契約 おに い て予 約時 に対 第 二者 対抗
︵ 要 酔﹂
具備 す る こと おは よ そ不 可 能 であ
﹂る と うい 城平
一三 年判 決 の 一般 命題 推を 及し すぼ こと 可は 能 であ るよ う に 思 われ る︒ 0
対 抗 要件 否認 のリ クス では
︑ 予約 型 よに てっ 依 然 とし て
︹対 抗要 件 否認 のリ スク
︺ は回 避 す る こと が でき る のか
︒ こ の点 に つい ても 平成 一三 年判 決 は何 ら判 断 を なす も の では な い︒ と は いえ
︑
﹁債 権 譲渡 の予 約 契約 にお い て予 約 時 に対 第 者二 抗対 要 件 を具 備 す る こと はお よそ 不可 能 であ る﹂ と いう 平成 一三 年判 決 の 一般 命題 は︑ この 問 題 に つい ても 一定 の影 響 与を え る︒ これ は︑ 対 抗 要件 否 認 の 一五 日 起の 算 点 をど のよ う に解 す る のか と うい 問題 と かか わ る︒ わい ゆる
﹁予約
﹂型 権債 譲渡 担保 の対 抗要 件な らび に対 抗要 件否 認に す関 る 一試 論 一八 七
法 政研 七究 巻 一号 公 一〇
〇 二年
︶ 一八 八 す な わ ち
︑ ヨ 五 日 の期 間 は
︑ 当 事 者 間 に お け る 権 利 移 転 の効 果 を 生 じ た 日か ら 起 算 す きべ
﹂ と 判 示 し た 最 高 裁 昭 和 四
八年 月四 六 日判 決 あに くま で忠 実 に︑ 権利 移転
効の 果が 発
︵ 生 した 時点 を起 算点 と解 する のか
︑ それ とも
︑ より 厳格 対に 抗
2一4
︶
要 件具 備 が可 能 とな たっ 時点 と解 す る のか で結 論 が変 りわ う る︒ か
ら にっ 詢ぁ れ ︲り
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﹁対 抗 要 件 具備 が可 能 にな たっ 権 利移 転 行為 があ たっ 時点
﹂ か ら起 算 す ると いう 立場 が あ り う る︒ 昭 和 四八 年判 決 と の整 合 性 に つい ても
︑
﹁権 利移 転 の効 果 維を れ た 日﹂ と うい のは 結 局
﹁対 抗要 件 具備 が 可能 なと たっ
﹂日 に他 なら な いと 解 す る とこ で整 合性 を 保 つこ とも 可 能 であ る︒ 近 時 の対 抗 要件 否 認を 肯定 す る下 級 審判 決 も︑ 予 約型 あ る いは 停止 条 件型 の債 権 譲渡 担 保設 定契 約時 に対 抗要 件具 備 が可 能 であ る こと を前 提 とし て対 抗 要件 否 認を 肯 定 し てい る︒ かし し︑ そう す ると 平︑ 成 一三 年判 決 によ ると
︑ 予約 型 に つい ては お よ そ予 約時 にお け る対 第 二者 対 抗要 件 具備 は不 可 能 とな たっ の であ るか ら︑ これ ら の対 抗要 件否 認 を肯 定 す る下 級審 判決 の前 提 は大 くき 揺 ら ぐ こと と な ろう
︒ す なわ ち
︑ 予約 時 から 一五 日を 起 算 す る こと は許 され な い こと と な り︑ 結 局︑ 予約 完結
︵ 権 斃布
使 し た 日か 起ら 算 す る こと と な り︑ そ れ と近 接す る形 でな さ れた 対 抗要 件 具備 に つい ての 否 認 は とほ んど 不可 能 と な る︒ ただ
し︑ 予約 型 に限 てっ 言 えば
︑ 次 にみ る大 阪 地裁 平成 一三 年 一〇 月 一 一日 判決 のよ う に︑ 予 約契 約後 譲︑ 渡 予約 債権 が特 定 され た後 は︑ い つで も譲 受人 は予 約完 結権 を行 使 し︑ 対 抗 要件 を備 える こと が でき る ので あ かる ら︑ 信義 則上 債権 譲 渡 の効 果 あが たっ も のと 同 視 でき ると いう 前提 を 承認 す る ので あ れば
︑ 平成 一三 年判 決 の論 理 によ てっ も そ の前 提 は揺
2︵9
︶
らぐ こと な く︑ 債 権特 定時 か ら 一五 日を 起 算す る こと 可は 能 とな ろう
︒
○ 大 地阪 裁 平成 一三 年 一〇 月 一 一日 判 決
︵金 法 一六
〇四 号 二九 頁
︶
︻事 実関 係︼
昭 和六 三年 月七 二六 日 にX は Yと の間 でY のX に対 す る債 務を 担保 す るた め にY が取 引先 に対 し て有 す る リ ー ス債 権 に つい て債 権譲 渡予 約契 約 を締 結 し た︒ Y の事 実上 親の 社会 の信 用 不安 報が 道 され た こと を受 け X は平 成 一 二年 一二 月 一九 日 に予 約 完結 権を 行使 しヽ 月同 二〇 日か ら 二七 日に かけ て第 二債 務 者 に通 知 した
︒ 平成 一三 年 月一 一 一日 に Y に対 す る民 事再 生手 続 が開 始 し た︒ 民 事再 生手 続 にお け る監 督委 員 であ るZ が X の対 抗 要 件具 備を 否認 し た︒
︻判 旨
︼ 大阪 地裁 は︑
﹁集 合 権債 譲渡 担 保 の方 法 と し て集 合 債権 譲 渡 予 約 約契 の形 式 採が れら た場 合 であ てっ も︑ 一 定 の場 合 には 対 抗要 件否 認 の対 象 と な るも のと 解す る のが 相 当 であ
﹂る とし
︑ 集合 債権 譲渡 予 約契 約 であ てっ も︑ それ が 否 認制 度 を潜 脱 す る目 的 のも の であ れば 信︑ 義 則上 集︑ 合 債 権譲 渡 契約 また 通は 常 の債 権 譲渡 契 約 と 同視 し︑ そ の効 力 の発 生時 点 も予 約 時 に譲 渡債 権 特が 定 さ れ て いる 場 合 には 予 約時 と解 す る︒ ま た︑ 予約 時 譲に 渡 債権 が特 定 され てい な い場 合 で あ てっ も︑
﹁予 約締 結 後︑ 譲渡 予 約債 権 特が 定 され た時 点 では
⁝債 権 譲 渡 の効 力 は未 生だ じ て いな いと し ても 原︑ 告 が譲 渡 予約 債権 を包 括的 に支 配 し︑ 権 利移 転 及び 対 抗要 件具 備 実を 現す る こと が い つで も 可能 と な る状 態 至に たっ も のと 認 め れ られ
︑ これ は︑ 否 認制 度 と の関 係 では
⁝債 権 譲渡 の効 果 発が 生 し た のと 信義 則上 同視 す る とこ が でき るか ら︑ こ の時 点 で集 合 債権 に対 す る民 事 再生 法 一二 九条 一項 所 定 の 権﹁ 利 の移 転﹂ があ たっ と いう こと が でき
﹂る︒
よ てっ
︑ 予約 債権 が 特定 され た時 点 起を 点 と し て︑ それ より 一五 日を 経 過 した 後 にさ れ た債 権 譲渡 の対 抗要 件 は否 認 対の 象 と な ると し た︒ 他 方︑ あ く ま で︑ 最高 裁 昭 和 四八 年 月四 六 日判 決 に忠 実 に︑ 一 五 日 の起 算点 を
﹁権利 移転 の効 果 の発 生 たし 時 点﹂ と解 し た とし ても
︑ 先 述 し た よう に︑ 予﹁ 約 に つい て確 定 日付 あ る通 知
・承 諾 をし ても 対第 二者 対 抗 要件 と なは ら な い﹂ とす る平 成 一三 年 判決 の判 断 の背 景 には
︑
﹁予 約 時 には 未 権だ 利移 転 の効 果 発は 生 し てい な
﹂い と いう 前 提 が存 在 す ると 考 え るな ら ば︑ こ の場 合 も︑ 予約 時 か ら 一五 日を 起 す算 る とこ は許 され ず︑ 対 抗要 件否 認 は認 めら なれ い こと︐
にな ろう
︒ いわゆる﹁予約型﹂債権譲渡担保の対抗要件ならびに対抗要件否認に関する一試論一八九
一九
〇 法 政 研 究 七 巻 一号 公 一〇
〇 二年
︶ こ のよ う に平 成 一三 年 判決 を前 提 とす る なら ば︑ 予 約型 の債 権譲 渡担 保 をめ ぐ る リ スク に つい ては 当︑ 面 従は 来 通 り︑
︹信 用不 安 惹起 のリ スク
︺ と
︹対抗 要件 否認 のリ クス
︺ は回 避可 能 であ る が︑
︹第 二者 よに る対 抗 のリ スク
︺ は甘 受 せざ る を 得 な いと うい こと が言 えそ う であ る︒ 五
ま と め これ ま で検 討 し てき た よう に︑ 平成 一三 年 判決 よに てっ
︑ 予約 型 債の 権 譲渡 にお い ては
︑ 予約 に つい て通 知
・承 諾 を お なこ たっ と し ても 予約 時 に対 抗要 件 を 具備 す る とこ は不 可能 であ る こと が明 ら か にさ れ たと えい る︒ かし し︑ のこ 点 は︑ N輔観拝弊騨甲輯艶舅鞣彙軍炒拠髪/引瞬 既 に指 摘 たし よう に︑ 平 城
一三 年判 決 を 前
︵ 提 畿冷
れば
︑ 予約 型 の債 権譲 渡 担保 によ てっ 対抗 要件 否 認を 免 れ る こと 依は 然 とし て可 能 であ ると うい こと が言 え そう であ る︒ 以上
︑ 最高 裁 平 成 一三 年 一一 月 二七 日判 決 を手 がか りと し て︑ いわ ゆ る 予 約 型 の債 権 譲渡 担保 おに け る対 抗 要件 対と 抗要 件 否認 を巡 る問 題 に つい てい ささ か大 胆 な推 論を 試 み た︒ この 点 に関 す る今 後 の最 高 裁 の判 断 が待 たれ ると ころ であ る︒ 追記
本稿 は︑ 二〇
〇 二年 月二 の静 岡 民 事法 研究 会︑ 並 び 二に
〇
〇 二年 五 月 の神 戸 大学 民法 判例 研究 会 で の報 告 に基 づ くも の であ る︒ 研 会究 席の 上 では 諸先 生方 より 多 く のご 教 示を 賜 たっ
︒ ここ に記 し てお 礼 に代 えた い︒
︵ 注 1︶ 民 法 四六 七 条 の起 草 過 程
︑ 及 び 判 例
・学 説 の変 遷 に つい ては
︑ 池 田真 朗
﹃債 権 譲 渡 の研 究
︹増 補 版 ご
︵弘 文 堂 ︑ 一九 九 七
︶ 八 頁 以 下
︑ 同
﹁民 法 四六 七 条 o四 六 八 条
︵指 名 債 権 の譲 渡 ご 広 中 俊 雄
・星 野 英 一編
﹃民 法 典 の百 年
Ⅲ﹄
︵有 斐 閣 ︑ 一九 九 八
︶ 所 収 一〇 一頁 以 下 を 参 照︒ 民 法 以外 に特 別 法 と し て特 定 債 権 法 に よ る 公告
︑ 債 権 譲 渡 特 例 法 に よ る債 権 譲 渡 登 記 が 対 第 二 者 対 抗 要 件 と し て定 め られ て いる が︑ 本 稿 では 紙 幅 の関 係 上︑ 検 討 の対 象 を 民 法 四六 七 条 の対 抗 要 件 に限 定 し た い︒
︵2
︶ 池 田真 朗 債﹃ 権 譲 渡 法 理 の展 開
﹄
︵弘 文 堂︑ 二
〇
〇 一︶ 一五 一頁 以 下
︒
︵3
︶ 椿 寿 夫
﹃集 合 債 権 担 保 の研 究
﹄
︵有 斐 閣 ︑ 一九 八 九
︶ 二 五 一頁 河︑ 合 伸 一
﹁第 二債 務 者 不特 定 の集 合 債 権 譲 渡 担 保
﹂金 法 一 一八 六 号 五六 頁 以下
︒
︵4
︶ 河合
・前 掲 金 法 一 一八 六 号 五 六 頁 以 下
︒
︵5
︶ 梅 本 弘 集﹁ 合 債 権 担 保 に関 す る問 題 点
﹂ 判 夕五 一〇 号 七 一頁
︑ 宮 廻 美 明 将﹁ 来 債 権 の包 括 的 譲 渡 予 約 と 否 認権 の行 使
﹂ 法 時 五 五 巻 八 号 一 一七 頁︒
︵6
︶ こ のよ う な 見 解 は
﹁一 五 日 の期 間 は︑ 当 事 者 間 にお け る権 利 移 転 の効 果 を 生 じ た 日か 起ら 算 す べき も の であ つて
︑ 権 利 移 転 の 原 因 た る行 為 が な さ れ た 日 か ら 一五 日を 経 過 し た のち あで つて も
︑ 権 利 移 転 の日 か ら 一五 日 以 内 に︑ 対 抗 要 件 を 具 備 す る行 為 が な され た場 合 に は︑ 右 規 定 に基 づ い て これ を否 認 す る こど は でき な い﹂ と 判 示 し た 最 高 裁 和昭 四 八 年 月四 六 日判 決
︵民 集 二七 巻 三 号 四 八 三 頁
︶ を 根 拠 と し て いる
︒ た だ し︑ 昭 和 四 八 年 判 決 の事 案 は︑ 債 権 譲 渡 契 約 時 に は第 二 債 務 者 は 特 定 し てお ら ず
︑ 実 行 時 に譲 受 人 が 実 行 債 権 を 選 択 す る と い う内 容 の契 約 問が 題 と な たっ も の あで る︒ そ れ ゆ え︑ 一般 的 に予 約 型
︑ 停 止 条 件 型 の債 権 譲 渡 担 保 に つい ても 先 例 と な り う るか ど う か は疑 間 の余 地 が あ る
︵田 原 睦 夫
﹁停 止 条 件 付 集 合 債 権 譲 渡 担 保 と 否
﹂認 金 法 一五 二 八 号 五 頁
︶︒
さ ら 予に 約 型 の有 用 性 を 認 め る これ ら の見 解 は︑ 予 約 完 結 権 の行 使 の意 思 表 示 自 体 も 破﹁ 産 者 あ る い は そ れ と 同視 し う る者
﹂ の行 為 では な いた め 破 産 法 七 二 条 の故 意 否 認
︑ 危 機 否 認 によ てっ 否 認 す る こと は きで な いと す る
︵宮 廻
・前 掲 法 時 五 五 巻 八・ 号 一 二 三頁
︑ 梅 本
・前 掲 判 夕 五 一〇 号 七 五 頁
︶︒ これ に対 し︑ 椿
・前 掲 書 三 二 二頁 以下 は︑ た と え 七 四条 の対 抗 要 件 否 認 否が 定 され た いわゆる﹁予約型﹂債権譲渡担保の対抗要件ならびに対抗要件否認に関する一試論
一九 一
法 政 研 究 七 巻 一号 公 一〇
〇 二年
︶ 一九 二 と し ても
︑ 予﹁ 約完 結 の意 思 表 示 それ 自 体 破が 産 法 七 二 条
︵会 社 更 生 法 七 八 条
︶ 所 定 の故 意 否 認 お よび 危 機 否 認 の対 象 と な る可 能 性
﹂ を 指 摘 す る︒ 椿
︒前 掲 書 二
〇九 頁 以下 参 照︒ 伊 藤 員 債﹃ 務 者 更 生手 続 の研 究
﹄
⌒西神 田編 集 室 ︑ 一九 八 四¥ 一八 四 頁注 八 一︑ 同
﹃破 産 法
﹇全 訂 第 三版 補 訂 版 国
︵有 斐 閣︑ 二〇
〇 一︶ 三六 一頁 以 下
︑ 霜 島 甲 一
﹃倒 産 法 体 系
﹄
︵勁 草 書 房︑ 一九 九
〇
︶ 三 三 一頁 以下 高︑ 地 茂 世
﹁対 抗 要 件 の否
﹂認 判 夕八 三
〇 号 一〇 七 頁
︑ 山 本 克 己 判﹁ 批
﹂ リ マー ク ス 一九 九 五
︿上
﹀ 一六
〇 頁
︑ 長 井 秀 典
﹁停 止 条 件 付 集 合 債 権 譲 渡 の対 抗 要 件 否 認
﹂ 判 夕九 六
〇 号 三 七 頁
︑ 四 三 頁
︑ 同
﹁停 止 条 件 付 集 合 債 権 譲 渡 と 否 認
﹂ 金 判 一〇 六
〇 号 一〇 七 頁
︑ 今 中 利 昭 o深 堀 知 子
﹁ゴ ル フ会 員 権 譲 渡 担 保 と 対 抗 要 件 否 認
﹂ 金 判 一〇 六
〇 号 一二 六 頁
︒ 長 井 判 事 は こ の場 合
︑ 予 約 時 に は担 保 権 設 定 に つい て の 一種 の仮 登 記的 な 対 抗 要 件 具 備 が 可能 であ る とす る︒
︵9
︶ 大 阪 地 裁 平成 一〇 年 月三 一八 日判 決
︵金 判 一〇 四 五 号 九 頁
︶︑ 大 阪 高 裁 平 成 一〇 年 七 月 二十 一日 判 決
︵金 判 一〇 五
〇 号 三頁
︶︑ 大 阪 高 裁 平 成 一〇 年 九 月 二 日判 決
︵金 判 一〇 五
〇 号 三頁
︶︑
大 阪 地 裁 平 成 一三 年 一〇 月 一 一日 判決
︵金 法 一六 四
〇 号 三九 頁
︶ な ど︒ 大 阪 地 裁 平 成 九年 月五 二 八 日判 決 判︵ 夕九 五七 号 二三
〇 頁
︶︒ 評 釈 と し て石 田 剛 判﹁ 枇
﹂ 判 夕九 六 五 号 四 二頁 が あ る︒ 大 一阪 局裁 平 成 年九 一〇 月 二 二 判日 決
︵金 判 一 一三 八 号 一八 頁
︶ いわ ゆ る債 務 者 の イ ン フ メォ ー シ ンョ セ ンタ ー理 論 に つい ては
︑ 池 田
・前 掲 債﹃ 権 譲 渡 の研 究
︹増 補 版こ 一〇 六 頁 以下 を参 照︒ こ の点 は す で 池に 田
・前 掲
﹃債 権 譲 渡 法 理 の展 開
﹄ 二八
〇 頁
︑ 溌 生 重 機
﹁い わ ゆ る集 合 債 権 の譲 渡 予 約 と 目 的 債 権 の特 定 性
﹂ 金 法 一六
〇 四 号 一九 頁 の指 摘 す ると ころ であ る︒
︲4︵
︶ た だし ヽ 平 成 一二 年 判 決 の事 案 自 体 は︑ 対 第 二 者 と の対 抗 関 係 が 問 題 と な たっ も の では な く
︑ 本 件 譲 渡 予 約 が公 序 良 俗 に反 し な いと い う 理由 と し て︑ 予 約 の完 結 が あ るま では
︑ 第 三 者 が 目 的 債 権 を 差 し押 さ え る こ と が でき る可 能 性 を 指 摘 し た にと ど ま る も の あで る︒ それ ゆ え
︑ 事案 と の関 係 では こ の点 傍は 論 に属 す るも のと 思 わ れ る︒
︲5︵
︶ 事実
︑ 平成 一三 年 判 決 の事 案 も 実 質 的 に は担 保 目 的 の債 権 譲 渡 あで たっ
︒
・6︵
︶ 本 判 決 に つい ては 千 葉 恵 美 子
﹁い わ ゆ る流 動 型 集 合 債 権 譲 渡 担 保 と 対 抗 要 件︱
︱ 最 判 平 成 誌
・障
・路 を 契 機 と し
﹂て ジ リュ 一 三 二三 号 七 二頁 が 詳 細 に検 討 し て い る︒
︲7︵
︶ 金 判 一 一三 八 号 頁四
︵無 署 名 メコ トン
︶︒ こ の点 に関 し て︑ 千 葉
・前 掲 ジ リュ 一三 二 三 号 八 二頁 は︑
﹁最 判 平 成 誌 匡・
・に は︑
8 7 13 12 11 10
予 約 型 の集 合 債 権 譲 渡 の対 抗 要 件 に つい ても
︑ 将 来
︑ 判 例 変 更 の可 能 性 が あ る こと を 示 唆 し て るい の で は な いか と 思 われ る﹂ と 述 べる
︒
︵・8︶ 裁 判 実 務 にお い ても
︑ 平 成 九 年 ころ ま で は︑ 前 掲 昭 和 四八 年 判 決 に照 ら し て否 認 は でき な い と うい 見 解 支が 配 的 であ たっ と さ れ る
︵長 井 秀 典
﹁停 止 条 件 付 集 合 債 権 譲 渡 と否 認
﹂ 金 判 一〇 六
〇 号 一〇 六 頁
︶ ︒
︵・9︶ 河合
・前 掲 金 法 一 一八 六 号 七 一頁
︒ 前 述 の最 高 裁 平 成 一二 年 月四 二 一日 判 決 も
︑ 予 約 完 結 権 が 行 使 され る ま で は第 二者 対の 抗 を 受 け る可 能 性 があ る こと を 前 提 と し て いる
︒
︵20
︶ 注
︵8
︶の 掲 げ る文 献 参 照
︒
︵2.︶ 他 方
︑ 同 時 期 に出 され た東 京 地 裁 平 成 一〇 年 一二 丹 二 四 日判 決
︵金判 一〇 七
〇 号 四
〇 頁
︶ は︑ 債 権 譲 渡 予 約 破は 産 法 七 条四 一 項 の い う
﹁権 利 の移 転
﹂ では な い と し て対 抗 要 件 を 認 め て ない い︒
︵22︶ こ の 一審 であ る 大 阪 地裁 平 成 一〇 年 月二 一八 日判 決
︵金 判 一〇 四五 号 九 頁
︶︑ お よ び これ と ほと んど 同 一の 当 事 者 間 で争 わ れ た 大 阪 高 裁 平 成 一〇 年 九 月 二 日判 決
︵金 判 一〇 五
〇 号 三頁
︶ も ほぼ 同 じ 理 由 で対 抗 要 件 否 認 を 認 め て い る︒ これ ら の判 決 の評 釈 と し ては
︑ 西 尾 信 一銀 法 五 五 五 号 五 八 頁
︑ 上 原敬 銀 法 五 五八 号 一四 頁
︑ 石 渡 哲 判 評 四 八 九 号 三 頁四
︑ 松 井 智 予 ジ リュ 一 一九 七 号 八 四頁
︑ 日頭 章 一リ マト ク ス 一九 号 一四 八頁 があ る︒ 特 に︑ 上 原
︑ 石 渡 評 釈 は 明確 に判 旨 に反 対 す る
︒
︵23︶ 前 掲 金 判 一 一三 八 号 四頁
︵無 署 名 メコ ント
︶ ︒ た だ し
︑ そう す ると
﹁予約 型
﹂ の債 権 譲渡 担 保 を
﹁担 保
﹂ と称 す る こと に果 た し てど れ ほど の意 味 が あ る のか が 問題 と な る
︵角紀 代 恵
﹁流 動 債 権 譲 渡 担 保
﹂ 法時 七 三巻 一 一号 二七 頁
︑佐 久 間 毅
﹁将 来 債 権 の譲 渡
﹂ ジ リュ 一二 一七 号 一二 ハ頁
︶︒
︵24︶ 松 井
・前 掲 ジ リュ 一 一九 七 号 八 頁四 以下 は こ の問 題 に つい て詳 細 な検 討 を加 え る︒
︵25︶ 中 野 貞 一郎 他 編
﹃基 本 法 コ ン メ ンタ ー ル 破 産 法
﹇第 二版 置
︵日 本 評 論 社
︑ 一九 九 七
︶ 一 一九 頁
︵池 田辰 夫 執 筆
︶ ︑ 伊 藤
・前 掲 書 六三
〇 頁 注 一︵ 七 三︶︒
︵26︶ 谷 口安 平
﹃倒産 処 理 法
﹄
︵筑 摩 董 房︑ 九一 七 六
︶ 二 六 三 頁
︑ 竹 澤 京 平
﹁判批
﹂ 判 夕七
〇 六 号 三
〇 九 頁
︑ 巻 之 内 茂
﹁債 権 非 典 型 担 保 の実 務 上 の問 題 点
﹂
﹃担 保 法 理 の現 状 と 課 題
﹄ 別 冊 N B L 三 一号 一︵ 九 九
︶五 一七 六 頁
︒
︵27︶ 桜 井 孝 一
﹁判 批
﹂ 判 夕 三〇 六 号 八 一頁
︒
︶︵28 小 林 明 彦
﹁将 来 債 権 譲 渡 を め ぐ る議 論 の成 熟 を 望 む﹂ 銀 法 六
〇 四号 五 頁 も
︑ 平 成 一三 年 判 決 によ てっ
﹁予約 の対 抗 要 件 否が 定 いわ ゆ る 約﹁予 型
﹂ 債 権 譲 渡 担 保 の対 抗 要 件 な ら び に対 抗 要 件 否 認 に関 す る 一試 論 一九 二
法 政 研 究 七 巻 一号 公 一〇
〇 二年
︶ 一九 四 さ れ る の であ れ ば
︑ 予 約 段 階 で でき る こと は な い の であ る か ら︑ 七 四条 否 認 の基 礎 を 欠 く こ と に な り そう であ る⁝
﹂ と 述 べる
︒ た だ し
︑ 場 合 に よ てっ は 東 京 地 裁 平成 一〇 年 七 月 二 一日 判 決
︵判 夕九 八 四 号 二九 七 頁
︶ よの う に︑ 債 権 譲 渡 担 保 設 定 契 約 自 体 を 故 意 否 認
・危 機 否 認 の準 用 に よ てっ 否 認 す る と いう 手 段 も残 さ れ て いよ うЮ 松 井
・前 掲 ジ リュ 一 一九 七 号 八 八 頁 も
︑ 予 約 型 や停 止 条 件 型 の債 権 譲 渡 担 保 には
︑ 破 産 法 七 四条 よ り も七 二 条 の方 が ふ さ わ し い こと を 示 唆 す る︒ 2 9︵
︶ 前 掲 小 林 評 釈 も︑ 大 阪 地 裁 平 成 一三 年 一0 月 一 一日 判 決 の重 要 性 を同 時 指に 摘 す る︒ し か し
︑ そ う は い てっ も︑ 譲 渡 人 が危 機 時 期 に至 てっ いな い にも 拘 わ ら ず譲 受人 が 予 約完 結 権 を 行 使 す ると いう のは 実 際 に は難 し い であ ろ う︒ 3 0︵
︶ 河 合 o前 掲 金 法 一 一八 六 号 七 一頁
︒ 3 ︲︵
︶ 千 葉
・前 掲 ジ リュ 一二 二 三 号 八 二 頁 は︑
﹁最 判 平 成
・
・に は︑ 停 止 条 件 型 の集 合 債 権 譲 渡 担 保 に つい て︑ 対 抗 要 件 否 認 を 認 め る 前 記下 級 審 判 決 の補 強 材 料 と な る こと 明は ら か であ
﹂る と述 べる
︒ 本 稿 脱 稿 後
︑ 古 積 健 二郎
﹁本 件 判 批
﹂ 法 セ五 七
〇 号 一〇 八 頁
︑ 石 田 剛
﹁本 件 判 批
﹂ 平 成 一三 年 度 重 要 判 例 解 説 ジ リェ 一二 二 四号 七 八 頁
︑ 池 田 真 朗
﹁本件 判 批
﹂ N B L七 四 一号 六 七 頁
︑ 富 越 和 厚
﹁本件 判 批
﹂ ジ リュ 一二 二八 号 二 五 八 頁
︑ 大 西武 士
﹁本件 判 批
﹂ 判 タ 一〇 九 一号 二六 頁
︑ 日 高 寛 貴
﹁本件 判 批
﹂ 判 夕 一〇 九 一号 四 四頁 に接 し た︒