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Academic year: 2021

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

氏 名 小林 しのぶ 印

Effects of progressive muscle relaxation on cerebral activity: an fMRI investigation

(機能的磁気共鳴画像法を用いた大脳活動からみた漸進的筋弛緩法の効果)

【はじめに】リラクセーション技法のひとつである漸進的筋弛緩法(progressive muscle relaxation:

PMR と略) はセルフマネジメント法であり、患者の心身調和を図る看護ケアとしても臨床で実践され ている。しかしながら、リラックス反応の大脳生理学的作用機序については不明な点が多い。本研究の 目 的 は 、PMR に よ り 引 き 起 こ さ れ る 脳 活 動 の 変 化 を 機 能 的 磁 気 共 鳴 画 像 法(functional magnetic resonance imaging: fMRI)を用い明らかにすることである。

【方法】PMRを行うPMR課題とコントロール課題を設定し被験者全員が二つの課題を行う介入研究で ある。PMR 課題実施時とコントロール課題実施時の脳活動変化を生じた領域を比較検討することで、

PMR 実施により生じる脳活動の変化の特徴を明らかにする。対象はリラクセーション技法未経験者で ある健常成人男性 12 名。被験者はまずコントロール課題を行った。該当部位の筋緊張をしたあと単純 に力を抜くよう指示した。動作や意識が集中することを避けるため特別な指示は与えないこととした。

続いてコントロール課題と同一部位を用いて漸進的筋弛緩法を行うPMR課題を実施した。PMR課題は コントロール課題と同様に筋緊張後に筋弛緩を行うが、弛緩時には PMR 法に準じて該当部位に意識を 向け、深くゆっくりとした呼吸に合わせて、丁寧に弛緩するように指示した。ポイントは、呼吸に合わ せて、ゆっくりと丁寧に弛緩していくこと、弛緩した時の身体感覚を確かめるようにすることである。

コントロール課題、PMR課題ともに該当部位一箇所につき緊張15秒間、弛緩30秒間を2回ずつ、計 16回実施した。被験者は仰臥位、閉眼状態とし、ヘッドフォンを装着して音声指示に従い動作を行った。

評価指標は個人および集団解析を行ったfMRI データであり、これらのデータに基づき脳活動変化を生 じた領域を同定および視覚化した。計測には3.0TのMRI装置(Siemens社製)を用い、それぞれの課 題について課題開始前と 16回の筋弛緩および課題終了時を撮像し記録した。画像解析にはSPM8を用 い、課題ごとに繰り返しの筋弛緩により脳活動の上昇または減少を認めた領域を同定した。また脳活動 変化を認めた領域に対し、その変化の程度に PMR 課題とコントロール課題実施時に差があるかを検証 するための交互作用の検定を行った。反復測定による二元配置分散分析 (実施前安静 vs 実施後安静 or PMR 課題 vs コントロール課題)を行った。本研究は臨床研究倫理審査委員会の承諾を得、被験者には 書面にて研究参加の同意を得た。

【結果】11名の被験者(median 27歳, range 22–33歳)データを解析対象とした(一例は疾患を疑う所 見を認めたため解析から除外した)。コントロール課題実施によって脳活動が上昇したエリアは広範囲に 及んだ。統計学的に有意な上昇を認めた領域は、聴覚野、大脳基底核の一部, 中前頭回, 前帯状皮質, 島 であった。一方 PMR 課題では脳活動の上昇が認められたエリアは聴覚野に限定された。逆に脳活動の 減少が認められたエリアに関してはコントロール課題、PMR 課題とも、脳活動が上昇した場合に比べ ると狭い範囲であることが明らかになった。コントロール課題実施において海馬傍回、尾状核、中側頭 回で有意な活動減少を認めた。PMR 課題によって脳活動減少が引き起こされたのは、上側頭回、下前 側頭回、後帯状回の一部であった。つづいて、コントロール課題と PMR 課題の間での脳活動変化の差 をみるために行った検定の結果から、前帯状回、島、中心後回、大脳基底核の被殻で交互作用が認めら

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れ、これらの領域では課題間で脳活動変化に差があるということが明らかになった。交互作用が認めら れらたこれら全てのエリアにおいて、コントロール課題では活動上昇、PMR 課題で活動減少するとい う逆の変化を生じた。

【考察】PMR 課題の結果は、瞑想経験者の方が初心者よりも脳活動変化が少なかったという先行研究 の結果に類似していた。PMR は呼吸に意識を向けるだけでなく、筋の緩んだ感覚ととも身体感覚に意 識を向けること、またその動作を繰り返すことで脳活動が静寂になり周囲の状況にとらわれにくい状態 が誘導されたのではないかと推察される。筋の緩む感覚を味わうという動作は初心者でもわかり易く、

頑なになることなく没頭できると考える。一方、コントロール課題では対象者は注意が拡散し様々な感 情や思考が想起された可能性が考えられる。

【まとめ】今回の研究で PMR実施によって引き起こされる大脳活動の様相を提示した。単純な骨格筋 運動と比較し、PMR実施では大脳活動の変化が少ないことが明らかになった。またPMR初心者であっ ても大脳活動が鎮静化した状態を誘導できる可能性が示唆された。

参照

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