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Academic year: 2021

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博士後期課程用

(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

氏 名 宮田 一弘 印

Structural validity of Balance Evaluation Systems Test assessed using factor and Rasch analyses in patients with stroke

(脳卒中者における因子分析とラッシュ分析を用いたBalance Evaluation Systems Testの構造 的妥当性の検討)

【背景】

脳卒中後に安全な移動や生活を送るためにはバランスが深く関与している.バランスは複数のシ ステムから構成されており,脳卒中者では,姿勢と重心の左右非対称や外乱負荷応答,予測的姿勢 調整,Dual task能力の低下が起こる.しかし,既存のバランス評価指標には,脳卒中者に特化し たものはなく,バランスに関与するシステムの複雑さを考慮しているものも少ない.Balance Eva luation Systems Test(BESTest)はシステム理論に基づき開発され,バランスを6つのシステム として捉えており,様々疾患で信頼性,妥当性が確認されている.バランスを構成する全ての要素 を含むとされるBESTestを用いて検討することで脳卒中者のバランス構成要素の構造を明らかに することができると考えられる.そこで本研究の目的は因子分析とラッシュ分析を用いて,歩行可 能な脳卒中者におけるBESTestの構造的妥当性を検証し,バランスの評価や介入に示唆を与える知 見を得ることである.

【方法】

研究デザインは後方視的横断研究である.対象は,2010~2015年に3病院の回復期リハビリテー ション病棟に入院した歩行可能な脳卒中者140名とした.データベースからBESTest,麻痺側下肢 のBrunnstrom recovery stage(BRS),10m最大歩行速度(10MWS)の情報を収集した.

BESTestの構造的妥当性,項目反応,構成概念妥当性を検討するため5つの心理統計手法を用い て解析を行った.まず,36項目で構成されるBESTestがバランスという大きな概念的枠組みで一次 元性であるかを検証するため主成分分析を行った.一次元でなかった場合,BESTestの因子構造を 明らかにするために探索的因子分析(平行分析,最尤法,バリマックス回転)を実施し,事前の項 目適合や因子負荷が低かった項目は関連性が低いと考え削除した.その後,項目反応を検討するた め各因子それぞれにラッシュ分析を行った.探索的因子分析により得られたモデルの構造的妥当性 を確認するため,確証的因子分析を用いて探索的因子分析モデルとBESTestそれぞれで適合度指標 の結果を比較した.最後に探索的因子分析モデルの構成概念妥当性を検討するためBRS,10MWS との相関係数を算出した.統計ソフトにはRを使用し,有意水準は5%とした.

【結果】

BESTestの36項目における主成分分析の結果,第一主成分の固有値が3.64で基準値を上回ったた め,一次元でないことが確認された.探索的因子分析は事前解析で3項目を削除し,33項目で実施 した.結果,4因子-25項目のモデルが示され,因子名(項目数)は因子1「歩行を含む動的姿勢制 御(8項目)」,因子2「静的姿勢制御(11項目)」,因子3「ステップ反応(4項目)」,因子4「座 位での安定性限界(2項目)」とした.ラッシュ分析の結果,3項目がミスフィットであったが,各

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博士後期課程用 因子の残差は一次元であり,適合は良好であった.確証的因子分析では,BESTestに比べ4因子-2

5項目のモデルが各適合度指標で最も高い値が得られた.各因子とBRS、10MWSは全ての因子で有

意な相関が認められ,BRSと因子1,10MWSと因子1,2,3は中等度の相関であった.

【考察】

本研究の結果からBESTestにおいて6セクション36項目よりも4因子-25項目のモデルが脳卒中 者のバランス構成要素の構造を適切に反映していることが示された.BESTestは6セクションでバ ランス構成要素別に評価可能な指標であったが,疾患に特異的なものとはなっていなかった.先行 研究では,転倒や歩行速度と各セクションの関連性があることが報告されている(Miyata, et al.

2018).本研究では少ない項目かつ因子でシンプルに構成されたモデルで運動麻痺や歩行速度との 関連性が認められたため,バランス構成要素の構造を捉えやすくなっていると考えられる.今回得 られた因子はバランスの力学的構造に近いものであり,各因子に関してはBESTestの6セクション が再構成された形で因子1はセクションⅥ,因子2はセクションⅠ,Ⅲ,Ⅴ,因子3はセクションⅣ,

因子4はセクションⅡの項目を主として構成されていた.また,削除された項目はバランスの基礎 的な要素や立位での安定性限界に関連するという特徴があり,これは歩行可能な脳卒中者において は最低限必要な能力であったことが示唆された.

本研究の限界として,因子4が2項目で構成されたことがあり,他の因子とは明らかに異なる特性 を有していたため採用したが,今後,より大きな集団で検討する必要がある.また,歩行可能な脳 卒中者を対象としており,結果の一般化には制限がある.

今回,BESTestを用いて脳卒中者のバランス構成要素の構造を検証し,4因子-25項目のモデル が示された.このモデルは歩行可能な脳卒中者に対してバランスの評価,介入をするために有効か つ信頼できる指標であることが示唆され,療法士においてバランスの問題点把握とプラン作成の一 助になると考える.

参照

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