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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 田辺 雅則

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 工 学

学位授与番号 博甲第 6257 号

学位授与の日付 2020年 9月25日

学位授与の要件 自然科学研究科 産業創成工学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 入出力データ長に着目した入出力制御法に関する研究

論文審査委員 教授 谷口 秀夫 教授 名古屋 彰 准教授 乃村 能成

学位論文内容の要旨

本研究は,業務システムにおける優先と非優先の業務処理をサーバ統合により同じ計算機で実行するため の入出力処理の優先制御技術の確立を目的とする。プロセスの処理やプロセスが発行したシステムコール処 理は,従来のプロセス優先度を使用した優先制御法によって優先制御ができるが,入出力処理の優先制御は 難しい。入出力処理の優先制御には,以下の課題がある。

(課題1)優先の業務処理の入出力処理を優先して実行する優先制御の実現

(課題2)非優先の業務処理の入出力処理の入出力データ量が優先の業務処理に与える影響を軽減する方 式の実現

本研究では,課題に対処するため,業務処理の入出力データ長に着目した入出力制御法を実現する。具体 的には,入出力データ長が非常に長いものは分割し,かつ入出力データ長の大きいI/O要求より入出力デー タ長の小さい I/O 要求を優先的に実行する“入出力データ長に着目した入出力制御法(IOPC-DS 法:I/O processing Priority Control mechanism using Data Size)”を提案し,実装と評価を行う。IOPC-DS法の評価のた め,代表的な業務システムである銀行オンラインシステムを取り上げる。このシステムでは,優先の業務処 理としてオンライン処理,非優先の業務処理としてバッチ処理が多数実行される。IOPC-DS法のシミュレー ション評価として,オンライン処理とバッチ処理を同じ計算機で実行する場合,IOPC-DS法によってオンラ イン処理のI/O要求を優先的に実行することで,オンライン処理の処理時間が短くなることを示す。また,

IOPC-DS法をFreeBSD OSに実装し,銀行オンラインシステムのオンライン処理とバッチ処理の擬似アプリ

ケーションを用いて有効性を明らかにする。

計算機の処理能力の向上により,実システムでは,サーバ統合により仮想計算機環境の利用が増えてい る。仮想計算機環境では,物理計算機で実行されるVMM(Virtual Machine Monitor)が,物理計算機上の各 仮想計算機に割り当てる計算機資源を管理している。一方,仮想計算機のOSは業務処理に割り当てる仮想 計算機の計算機資源を管理している。物理計算機で実行されるVMMは,各仮想計算機に対して,あらかじ め決められた計算機資源を割り当てることを目的としており,業務処理の優先度に応じた優先制御を行う仮 想計算機のOSと目的は異なる。そこで,仮想計算機におけるIOPC-DS法の有効性を評価する。

(2)

論文審査結果の要旨

オペレーティングシステム(OS)は,計算機の基盤ソフトウェアとして,サービスを提供するプログラムを実 時間性や公平性あるいは効率性などの目的に合わせて実行する。プログラムは,プロセスとしてOSにより管理 され制御される。プロセスは,プロセッサ(PU)処理と入出力処理を繰り返し実行してサービスを提供する。

このため,OS機構として,プロセスのPU処理を制御するPUスケジュール法,およびプロセスの入出力処理を 制御する方法(入出力制御法)が研究開発されてきた。

論文提出者は,PU性能の向上に比べ入出力性能の向上は著しくないため,サービスの優先制御を行うには,

新たな入出力制御法が必要であること,および既存の入出力制御法は公平性や効率性を目的とした方法が多く,

実時間性のための優先制御は十分でないことに着目している。

論文提出者は,新たな入出力制御法して,入出力データ長に着目した入出力制御法を示している。まず,社 会を支える情報システム基盤の一つである銀行系システムについて,計算機性能の向上によりオンライン処理 とバッチ処理の共存形態が普及することを想定し,この形態では,PUスケジュール法として多くのシステムで 使用されているプロセス優先度に基づく方法だけではサービスの優先制御が十分でないことを示している。次 に,両処理の入出力データ長が異なることに着目し,入出力データ長に着目した入出力制御法による優先制御 の有効性を示している。さらに,普及が進んでいる仮想計算機環境について,提案の入出力制御法の有効性を 明らかにしている。

以上のように,本研究は,入出力データ長に着目した新たな入出力制御法を示し,当該制御法が社会を支え る情報システム基盤の一つである銀行系システムで有効であることを明らかにしており,情報工学に寄与する ところが大きい。よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値すると認める。

なお,論文発表会では,適切な説明が行われ,また質疑に対する応答も適切であった。これにより,十分な 学力を有することが確認でき,研究者として自立して研究活動を行うに必要な能力を有することも認められた。

参照

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