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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) ア ブ ド ゥ ル マ ナ フ ビ ン ハ シ ム

     学位論文題名

Plasma Waves in SemlCOnduCtorSandTheirInteraCtionS   WithEleCtromagnetiCWaVeSuptOTerahertZRegion      (半導体中のプラズマ波とそのテラヘルツ帯に至るまでの      電磁波との相互作用)

学 位 論 文 内 容 の要 旨

    情報通信システムのさらなる高度化・多機能化のために、超高周波・高電力固体増幅 デバイスの開発が強く要請されている。従来の半導体デパイスの動作は基本的に半導体チ ヤネル内のキャリアドリフトに基づぃているため、動作周波数は電子走行時間に制限され る。このため、デパイスの微細化により高周波動作を目指しているが、主な半導体の材料 特性の限界、微細化によるショートチャンネル効果やゲートリーク電流の増加などの問題 により、サプミ1」波(THz)領域で動作するデバイスの実現は非常に困難であると予想さ れる。また、微細化は出力電カの減少を余儀なくし、現在用しゝられている進行波管素子で 得 ら れ る 出 カ を 、 従 来 の 半 導 体 デ バ イ ス で 達 成 す る こ と は 不 可 能 に 近 い 。     一方、半導体中のキャリアプラズマ波と電磁波の相互作用を動作原理とする固体進行 波デバイスでは、ドリフトキャリアと遅波回路を介した電磁波とをカップリングさせ、ド リフ卜キャリアのエネルギーを電磁波に転換することにより、超高周波領域においても大 きな増幅作用が期待できる。動作速度は電子走行時間ではなく、遅波回路の位相速度とド リフト速度の関係で決まれるため、ナノヌーター領域の微細化を伴わずに、高い動作周波 数と出力電カが同時に達成できる。このような固体進行波増幅デパイスの実現を目的とし て、1960年代前半から1970年代半ばまで、理論・実験研究が盛んに行われていたが、未 熟な半導体プロセス技術や不十分な理論解析のため、実用化には至らなかった。しかし、

厳密な理論的アプローチと、現在の高度な半導体材料技術、デパイス作製技術、測定技術 を駆使す ることに より、固 体進行波 増幅デバ イスの実現 は可能であると思われる。

    このような背景のもとに、本論文は、固体進行波増幅デバイスの実現を目指し、キャ リアプラズマ波と電磁波の相互作用の基本性質を解明することを目的として理論的検討・

実験的検討を行ったものである。本論文は8章から構成されている。以下に各章の要旨を 示す。

第1章では、本研究の背景と目的を述べるとともに各章の概要を記している。

    第2章では、金属ゲート電界効果トランジス夕(MESFETs)、高電子移動度トランジ ス夕(HEMTs)、ヘテロ 接合パイポーラ卜ランジス夕(HBTs)といった従来の半導体デパ イスの現状の特性をレピューしている。特に、動作周波数と出力電カのトレードオフの関 係を詳細に記述している。

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    第3章 では 、1960年 代前 半か ら1970年 代 半ばまでに報告 された、固体進行波増幅デパ イス に関 する 主 な理 論的 ・実 験的 研究 をレ ピュ ーし てい る。

    第4章 では 、半 導体 ―誘 電体 界面 に 沿っ て伝 搬す るTransverse magnetic(TM)モード 表面 波の 解 析を 行っ てい る。 この 解析 では 、Maxwell方程式と流体モデルに基づくプラズ マ電 子運 動 方程 式を 連立 して解く ことによって、半導体表面に設けられた遅波回路に電磁 波が 導入 さ れた 場合 に半 導体中に 励起される表面波成分を求めた。半導体中に横波の性質 を有するquasi‑solenoidal成分と 縦波の性質を有するquasi‑lamellar成分の2種類の表面波成 分が 存在 す るこ とを 示し 、半 導体 一誘 電体 界面 で成 立す る境 界条 件 を求 めた 。また、TM 表面 波成 分 の励 起に 対す る半導体 中のプラズマ波の誘電応答を解析するために、実効誘電 率を 導出 し た。 さら に、 多層構造 を解析するための等価伝送線路を用いた手法を述べてい る。

    第5章 で は 、HEMT構 造 の2次 元 電 子 ガ ス(2DEG)層 に 沿 っ て 伝 搬 す るTM波 に つ い ての解析を説明している。HEMT構造においては 横波性質を有するquasi―solenoidal成分が 支配 的で ある こと が示 され 、強 い閉 じ 込め 効果 をも つ2DEG構 造を 利用 する こと により、

電 磁 波 と 半 導 体 中 の プ ラ ズ マ 波 の 相 互 作 用 の 効率 を格 段に 高め られ るこ とを 示し た 。     第6章で は、2 DEGプラ ズマ 波と イン ター デジ タル 遅波 回路 に 伝搬 する 電磁波との相 互 作用 の 理論 解析 を述 ぺている。ここでは、デバイス構造と解析手順を 詳細に説明してい る 。理 論 解析 の結 果、 キャリアドリフ卜速度が遅波された基本波位相速 度とほぽ同程度に な る場 合 に、 キャ リア プラズマ波と電磁波との相互作用により明確な負 性コンダクタンス が 現わ れ るこ とが 示さ れ、進行波管と同様な相互作用条件が成立するこ とが確認された。

ま た、 周 波数 が大 きく なる ほど 大き な負 性コ ンダ クタ ンス を得 ら れる こと がわかった。

1THz帯 で は300mS/cmと 大 き な 負 性 コ ン ダ ク タ ン ス が 現 れ る こ と が 示 唆 さ れ た 。     第7章で は、 実際 に高 移動 度を 有す るAIGaAs/GaAsヘテ ロエ ピ構 造と イン ターデ ジタ ル 線路 遅波 回路 を用 いた 固体 進行波素子を試作し、評価を行った結果を述べている。 ここ で は、 デバ イス 構造 、作 製手 順、測定方法を詳細に説明し、理論解析結果と実験結果 との 比 較を 述べ てい る。 イン ター デジタル遅波回路下の半導体中に不均一な電界分布が存 在す る こと を考 慮し てコ ンダ クタ ンスの理論計算を行い、実験結果がよく再現できること を示 し た。 すな わち 、半 導体 中の プラズマ波と電磁波の相互作用が生じていることが明ら かと な った 。さ らに この 結果 に基 づいて、インターデジタル遅波回路下で均一電界を実現 する た め の 最 適 な デ パ イ ス 構造 を提 案し た。 作製 した デバ イス のDC卜V特 性か ら線 形領 域の 拡 大や 高電 圧側 への ピン チオ フ電圧のシフトという傾向が確認され、電界分布の均一 化が さ れた 。

第8章では、本論文の結諭を述ぺると共に今 後の研究方向を記している。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主 査    教 授    橋 詰    保 副 査    教 授    雨 宮 好 仁 副 査    教 授    佐 野 栄 一 副 査    助教 授    葛 西誠也

     学位論文題名

Plasma Waves in SemlCOnduCtorSandTheirInteraCtionS   WithEleCtromagnetiCWaVeSuptOTerahertZRegion      (半導体中のプラズマ波とそのテラヘルツ帯に至るまでの      電磁波との相互作用)

    現在の高度情報社会は、さらに、全ての人々があらゆる局面で高品位の情報を入手・共 有・交換できる「次世代ユピキタスネットワーク社会」の実現を目指し、急速な発展を続け ている。これに伴い、情報通信ハードウェアシステムの基幹をなす半導体電子デバイス・集 積回路に対して、さらなる高性能化が求められている。

    情報通信システムの高度化・多機能化のために、超高周波・高電力固体増幅デバイスの 開発が強く要請されている。従来の半導体デバイスの動作は基本的に半導体チャネル内のキ ヤリアドリフ卜に基づいているため、動作周波数はチャネル内の電子走行時間に制限される。

このため、これまではデパイスの微細化により高周波動作を達成してきたが、主な半導体の 材料特性の限界、微細化によるショートチャンネル効果やゲートリーク電流の増加などの問 題により、サプミリ波(THz)領域で動作するデバイスの実現は非常に困難であると予想さ れる。また、微細化はデパイス出力電カの減少を余儀なくし、現在用いられている進行波管 素 子 で 得 ら れ る出 カ を 、 従 来 の 半 導 体 デ バ イ ス で 達 成 す る こ と は 不 可 能に 近 い。

    一方、半導体中のキャリアプラズマ波と電磁波の相互作用を動作原理とする固体進行波 デバイスでは、ドリフトキャリアと遅波回路を介した電磁波とをカップリングさせ、ドリフ トキャリアのエネルギーを電磁波に転換することにより、超高周波領域においても大きな増 幅作用が期待できる。動作速度は電子走行時間ではなく、遅波回路の位相速度とドリフ卜速 度の関係で決まれるため、ナノメーター領域の微細化を伴わずに、高い動作周波数と出力電 カが同時に達成できる。このような固体進行波増幅デパイスの実現を目的として、1960年代 前半から1970年代半ばまで、理論・実験研究が盛んに行われていたが、実用化には至らなか った。しかし、現在の高度な半導体材料技術、デバイス作製技術、測定技術を駆使すること に よ り 、 固 体 進 行 波 増 幅 デ バ イ ス の 実 現 は 可 能 で あ る と 思 わ れ る 。

    このような背景のもとに、本論文は、固体進行波増幅デバイスの実現を目指し、キャリ アプラズマ波と電磁波の相互作用の基本性質を解明することを目的として理論的検討・実験

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的検討を行ったものである。本論文は8章から構成されている。以下に各章の要旨を示す。

第1章では、本研究の背景と目的を述べるとともに各章の概要を記している。

    第2章 では、金 属ゲー卜 電界効果トランジス夕(MESFETs)、高電子移動度トランジス 夕(HEMTs)、 ヘテ口接 合パイポ ーラトラ ンジス夕(HBTs)と いった従来の半導体デパイス の現状の特性を概説している。特に、動作周波数と出力電カのトレードオフの関係をしく記 述している。

    第3章では、1960年代前半から1970年代半ばまでに報告された、固体進行波増幅デバイ スに関する主な理論的・実験的研究を概説している。

    第4章では、半導体ー誘電体界面に沿って伝搬するTransverse magnetic(TM)モード表面 波の解析を行っている。この解析では、Maxwell方程式と流体モデルに基づくプラズマ電子運 動方程式を連立して解くことによって、半導体表面に設けられた遅波回路に電磁波が導入さ れた場合の半導体中に励起される表面波成分を求めている。また、TM表面波成分の励起に対 す る 半 導体 中 のプ ラ ズ マ波 の 誘 電応 答 を解 析 す るた め に、 実 効誘電率 を導出し た。

    第5章では、HEMT構造の2次 元電子ガ ス(2DEG)層に沿 って伝搬す るTM波につ いての 解析を行った。HEMT構造においては横波性質を有するquasi‑solenoidal成分が支配的であるこ とが示され、強い閉じ込め効果をもつ2DEG構造を利用することにより、電磁波と半導体中の プラズマ波の相互作用の効率を格段に高められることを示した。

    第6章では、2 DEGプラズマ波とインターデジタル遅波回路を伝搬する電磁波との相互 作用の理論解析を述べている。ここでは、デパイス構造と解析手順を詳細に説明している。

理論解析の結果、キャリアドリフ卜速度が遅波された基本波位相速度とほぼ同程度になる場 合に、キャリアプラズマ波と電磁波との相互作用により明確な負性コンダクタンスが現われ ることが示され、進行波管と同様な相互作用条件が成立することが確認された。また、周波 数が大きくなるほど大きな負性コンダクタンスを得られることがわかった。1THz帯では300 mS/cmと 大 き な 負 性 こ ユ ン ダ ク タ ン ス が 現 れ る こ と が 示 唆 さ れ た 。     第7章では、実際に高移動度を有するAIGaAs/GaAsヘテロエピ構造とインターデジタル 線路遅波回路を用いた固体進行波素子を試作し、評価を行った結果を述べている。ここでは、

デバイス構造、作製手順、測定方法を詳細に説明し、理論解析結果と実験結果との比較を述 べている。インターデジタル遅波回路下の半導体中に不均一な電界分布が存在することを考 慮してコンダクタンスの理論計算を行い、実験結果がよく再現できることが示されている。

すなわち、半導体中のプラズマ波と電磁波の相互作用が生じていることを明らかにしている。

さらにこの結果に基づいて、インターデジタル遅波回路下で均一電界を実現するための最適 なデバイス構造を提案し、作製したデパイスの直流電圧―電流特性から、線形領域の拡大や 高電圧側へのピンチオフ電圧のシフトという傾向が確認され、電界分布の均一性が向上した ことが示された。

第8章では、本論文の結論を述べている。

    これを要するに、本論文は、固体進行波増幅デバイスの実現を目指し、半導体ヘテロ界 面に存在する2次元電子ガスプラズマ波と電磁波の相互作用を解明することを目的として、

理論的検討・実験的検討を行ったものであり、ここで得られた半導体プラズマ波と電磁波と の 相互 作 用 に関 す る 新し い 知見 は 、 半導 体 工学 の 進 歩に 寄 与す る と ころ 大である 。     よっ て著者は、 北海道大 学博士( 工学)の学位を授与される資格ある者と認める。

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