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学位論文題名Solid-State NX/IR Studies on the Crystal Structures of Cellulose and Cellulose Derivatives

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 甲 野 裕 之

     学位論文題名

Solid‑State NX/IR Studies on the Crystal Structures     of Cellulose and Cellulose Derivatives

(固体NMR によるセルロース及びその誘導体の結晶構造に関する研究)

学位論文 内容の要旨

    天然セル ロース(セルロースI)の構 造解析は、セルロースの生合成機構やセルラーゼによる セ ルロ ース分解 様式の解明などの目的で、繊 維X線解析を中心に行われて きた。しかし、セルロ ースIは、I。 とIロの混合物であり、単結晶を得ることが困難であるため、隣接分子鎖の配列、構成 残基のコンフ ォメーション、水素結合様式など必要な情報は得られていなぃ。さらに、結晶性セル ロ ース 及び 、そ の 誘導 体は 複数 の多 形 を持 った めに 構造 解 析を 困難 にし て いる 。CP/MAS 13C NMR法も また、セ ルロース結晶構造解析に有 効な分析手段として用いられ てきたが、複雑な共鳴 線 の 帰 属 が な さ れ て い な ぃ た め 、 得 ら れ る 情 報 は 限 ら れ た も の で あ っ た 。     本論 文は 固体 核 磁気 共鳴 法を 用 いた セル ロー ス及 び その 誘導 体の 結晶 構造解析を主 たる 目 的 と し 、 位 置 選 択 的13Cラ ベ リ ング 、固 体二 次 元NMR法 を用 いてCP/MAS 13C NMRスペ ク卜 ル の 帰 属 と そ の 解 釈 を 詳 細 に 行 っ たも の であ る。 その 主 要な 成果 は以 下の と おり であ る。

    1)位 置 選択 的に13Cラベ ルしたグルコースまた はグリセロールを含む培地中 で、酢酸菌 Acetobacter xyhnum ATCC10245を生育させることによ って2、3、5位がそれぞれ選 択的に13C ベルされたノくクテリアセルロース(以下BCとする)を調製することに成功した。これら13Cラベル化 BCからI。リッチ、Iロリッチセルロースをそれぞれ調製し、差スペク卜ル法を用いて、セルロースI。、I 8成分のサブルペク トルを得た。これらサブス ペクトルの各共鳴線強度と13Cラベル化率の比較か ら、天然セルロー スI。、IロのCP/MAS 13C NMRスペク卜ルを完全に帰属す ることに初めて成功し た。この結果、セ ルロース1。、18の各炭素原 子は共鳴線強度の等しい二重線で表されることが明 らかになり、それ ぞれの結晶格子中にはニつの異なるコンフォメーションをもっグルコース残基が 存在することを示した。(第二章)

    (2)シオグサ(I。リッチ)、ホヤ外皮(Iロリッチ)より抽出、精製して得られたセルロース試料の 固体 二次 元INADEQUATE測 定を 行 い、 天然 セル ロー ス の13C13C相 関 信号 を直 接観測す ること に成 功し た 。各 二次 元ス ペク ト ル上にはグルコース残基を 構成するClからC6までの相関 がニ組 得られ、天然セルロースを構成する計4種類のサブスペク卜ルを完全に導出することができた。、さ ら に 高 速MASLeeGoldberg lHデ カ ップ リ ング を併 用し たMAS‑J‑HMQC実 験を 行 い、4種類 のグルコース残基の各 炭素原子と直接結合した1H核 の化学シフトを初めて明ら かにした。これら 固体 二次 元NMR測 定の 結 果、 セル ロー スI。は 、1本の 分子 鎖から構成される三斜晶形の 単位胞 を持ち、コンフォメー ションの異なるグルコース残基が分子鎖方向で交互に繰り返す構造を持っこ と、 セル ロース18は、2本の分子 鎖から構成される単斜晶形 の単位胞を持ち、同一の分子 鎖に含 まれるグルコース残基 のコンフォメ←ションは全て 等価であることを明らかに した。(第三章)

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    (3)2、3、5位 を選択 的13Cラベ リング したBCをエチレンジアミンでそれぞれ処理し、セルロ ー ス川1に 転移さ せた。 これら 試料のCP/MAS 13C NMR測定 から、 セルロ ースIII]の 各共鳴 線を 完全に帰属した。この結果、セルロースIII,の各炭素原子はセルロースIとは異なり、全て一重線 で表されるため、結晶を構成するグルコース残基は全て等価な構造を持っことを示した。さらにセ ルロースIからIII,への転移は隣接分子鎖が繊維軸方向に対し、c4ずれることにより引き起こるメ カニズムを提案した。(第四章)

  ‑ (4)重合 度2〜6ま でのセ ロオリ ゴ糖を 、ピリジン/無水酢酸系で完全アセチル化し、窒素雰 囲気下 で結晶 化して 三酢酸 セルロー ス(以 下CTAと する)の オリゴ マーを得た。これをCP/MAS1 3C NMR、 及 び 粉 末X線解 析 し た 結果 、CTAオ リゴ マ ー の 結晶 構 造 は 、隣 接 分子 鎖が互 いに平 行であるとされるCTA(I)の結晶構造を等しいことを明らかにした。ピリジン/無水酢酸系でセルロー スから 得られ るCTAは隣 接分子 鎖が逆 平行で あると されるCTA(II)の結晶構造を持つことから、

CTA(I)とCTA(II)の結晶構 造の違 いは隣 接分子 鎖が平行、逆平行で区別されるのではなく、構成 するグルコース残基、アセチル基等のコンフォメーションの違いであることを示した。(第五章)

    (5)位 置 選 択的 に13Cラ ベリ ン グ し たCTA(I)、 (n) を 調製 し 、 そ れら 試料 のCP/MAS 13C NMRス ペクト ルにお ける各 共鳴線 強度と、 各位置 の13Cラ ベル化率 の比較から、CTA(I)とCTA(II) CP/MAS 13C NMRを 完 全 に帰 属 し た 。こ の 結 果 、CTA(I)を構成 する各 炭素原子 は全て 一重線 、 CTA(II)は等価な 二重線 で表さ れ、CTAO)の単位胞を構成するグルコース残基は全て等価であり、

CTA(II)ま異なる 構造を 持つ二 種類の グルコ ース残 基が等 しい割 合で存在していることを明らか にした。(第六章)

    (6)1位 か ら6位 ま で の全 て の 炭 素原 子 が3%13Cラベ リング されたCTA(II)を調製 し、固 体 二 次 元INADEQUATE測 定を 行 っ た 。そ の 結 果 、CTA(II)を 構 成 す る異 な る 構 造を 持 つ2種 類 の グルコース残基の存在を証明するとともに、サブスペクトルを導出することに成功した。さらに、

CTA(I)とCTAOI)のMAS‑J‑HMQCス ペ ク卜 ル か ら 、各 炭素原 子と直 接結合 した1H原 子核の 化学,

シフ卜を帰属した。二次元スペク卜ルのメチル、グルコース領域の解析より、CTA(I)は1本の分子鎖 から構成される単位胞を持ち、セルロース川1に類似した構造を示すことを、ー方、CTA(II)は、2本 の 分 子 鎖 か ら 構 成 さ れ る 結 晶 構 造 を 持 つ こ と を 明 ら か に し た 。 ( 第 七 章 )     (7) 結 晶 性 キチ ン に 存 在す る2つ の 多 形 、Q、ロ キ チンの 構造を 、二次 元INADEQUATE、 MAS‑J‑HMQC測 定 によ っ て 決 定し た 。 そ の結 果 、8、 ロ キチ ンそれ ぞれを 構成す るN‑アセ チル グルコサミン残基は全て等しいコンフォメーションを持つことが明らかになった。そこでば、ロキチ ン の結晶 構造の 違いを明 らかにするために、分子鎖内のアミド基1H原子とりング及びメチル炭素 原 子 の核 間距離 をDipolar HETCOR測定に よって 見積もり を行っ た。そ の結果 、Q、ロ キチン は 従来考えられていた分子鎖配列の違いではなく、アセトアミド基のコンフォメーションの違いで区 別されることを明らかにした。(第八章)

    こ れ を 要 する に 、 固 体二 次 元NMRと選 択 的13Cラベ リ ン グ によ る セ ル 口ース 及びそ の誘 導 体 の 共鳴 線 帰 属 方法 を 確 立 し、 さ ら に13C、1H化学 シフトと 共鳴線 分裂の 解釈、 核間距 離 決 定 か ら 天 然 セ ル 口 一 ス と そ の 誘 導 体 の 結 晶 構 造 を 明 ら か に し た 。

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学位論 文審査の要旨

主査   教授   新田勝利 副査   教授   田中   勲

副 査    教 授    高 井 光 男 ( 大 学院 工 学 研 究 科 ) 副査   助教授   出村   誠

副査   助教授   惠良田知樹(大学院工学研究科)

     学位論文題名

Solid‑State NMR Studies on the Crystal Structures     of Cellulose and Cellulose Derivatives

(固体 NMR によるセルロース及びその誘導体の結晶構造に関する研究)

    天然セルロース(セルロースI)は,I。とI。の混合物であり,単結晶を得ることが困難である ため,隣接分子鎖の配列, 構成残基のコンフォメーションっ水素結合様式など必要な情報は得 られていない,さらに,結 晶性セルロース及びっその誘導体は複数の多形を持っために構造解 析を困難にしている.本論 文は固体核磁気共鳴法を用いたセルロース及びその誘導体の結晶構 造 解析 を主 たる 目的と しっ位置選択的13Cラベリン グ.固体二次元NMR法を用い てCPIMAS 13C NMRス ペク 卜ル の帰 属と そ の解 釈を 詳細 に行 ったものである.その成果は次の 点に要約され る.

    (1)  位 置選 択的 に13Cラベ ルし たグ ルコ ース また は グリ セロ ール から2,3,5位 が それぞれ選択 的に13Cラベルされたバクテ リアセル口ース(以下BCとする)を調製し.これら 13Cラベ ル化BCの 固体CPfMAS 13C NMRス ペク 卜ル の各 共 鳴線 強度 と13Cラベ ル化率の詳細な 比較に基づき,天然セルロースI。,Ipの固体13C NMRスペク卜ルを完全に帰属することに初めて 成功した.さらに,セルロースI。,Ipはそれぞれニっの異なるコンフ芽メーションをもっグルコ ース残基から構成されることを明らかにした,

    (2)  固 体 二 次 元INADEQUATE実 験 の 結 果 , 天 然 セ ル ロ ー ス の13C̲'3C相 関 を 直 接 観測することに成功すると 共に、天然セルロースを構成する計4種類のサブスペクトルを導出 し た。 さら にMAS‑J‑HMQC実験 から ,4種 類のグルコース残基の各炭素原子と 直接結合した1H 核の化学シフトを初めて明らかにした.この結果,セルロースIa,18の分子鎖配列,構成グルコ ースのコンフォメーション の違いを明らかにした.

(3 )  2 ,3 ,5 位を選択的13C ラベリングしたBC からセルロースIIII を調製し,

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(4)

CP[MAS 13C NMR測定す ることに よって セルロー スIIIIの各共鳴線を完全に帰属した。セルロ ー スIIIIを構成するグルコース残基は全て等価なコンフォメーションであることを明らかにし た 。さら にセルロ ースIからIIIIへの転移における分子鎖形態変化の機構を初めて提案した.

    (4)  ピnジ ン/ 無 水 酢酸 系 で 調製 し た三 酢酸セ ルロース (以下CTAとす る)の オリ ゴマー(重合度2‑6)は,隣接分子鎖が互いに平行であるとされるCTA(I)の結晶構造であること を明らかにした.C1Aの調製方法と結晶構造の関係から,CTA(I)とC1A(II)の結晶構造の違いは 構 成 グ ル コー ス 残 基っ ア セ チル 基 の コン フ ォ メー シ ョ ンの 違 い で ある こと を証明し た.

    (5)  位 置 選択 的 に13Cラ ベリ ン グ したCTA(I),(iDを 調製し ,それら 試料のCP/MAS 13C NMRスペク卜ルにおける各共鳴線強度と,´各位置の13Cラベル化率の詳細な比較によってっ CTA(I)とCTA(II) CP/MAS 13C NMRを完全に帰属した,この結果,CTA(I)の単位胞を構成するグ ルコ←ス残基は全て等しいコンフォメーションであり,CTA(II)は異なる構造を持っ二種類のグ ルコース残基が等しい割合で存在していることを明らかにした.

    (6)CTA(II)の 固 体 二 次 元INADEQUATEス ペ ク ト ル に よ っ て ,CTA(II)を 構 成 する 異 なる2種類のグ ルコー ス残基の サブスペクトルを導出することに成功した.さらに,CTA(I) とCTA(II)の各 炭素原 子と直接 結合した1H原子核の化学シフ卜を帰属した,これら固体二次元 NMR測定結 果から,CTA(I)は1本の分子鎖から構成される単位胞を持っこと,CTA(II)は,2本の 分 子鎖から 構成さ れる結晶 構造を持 っこと を明らか にした .

    (7)  d,pキ チ ン の結 晶 構 造を , 二 次元rNADEQUATE,MAS‑′−HMQC測 定 によ っ て 決定した.その結果,d,pキチンそれぞれを構成する〃−アセチルグルコサミン残基は全て等し い コンフォメーションを持っことが明らかにした.分子鎖内のアミド基1H原子とりング及びメ チ ル炭素原 子の核 問距離をDipolarHETCOR測 定によ って見積もりを行った結果,ぱ,pキチン は 従来考えられていた分子鎖配列の違いではなくーアセ卜アミド基のコンフォメーションの違 いで区別されることを証明した,

    これを 要する に。著者 は固体 二次元NMRと選択 的13Cラベリングによるセルロース及びそ の誘導体の共鳴線帰属方法を確立した.さらに13C,1H化学シフトと共鳴線分裂の解釈,核間距 離決定 から天然セルロースとその誘導体の結晶構造を明らかにしており、多糖類化学の進歩に 寄与す るところが大きい.よって著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格があ るものと認める,

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