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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 )  ラ ガノ ヾ ホセ  ト1Jニピ ルG

    学位論文 題名

    Pathogenesis of gastroenteropathy in Tae7zia taeniaefor7nおlarval infections   (猫条虫 幼虫感染動 物における胃腸病の病理発生)

学位論文内容の要旨

  寄生虫は、通常その寄生部位である宿主の器官や組織において病理組織学的変化 を引き起こすが、ラットの肝臓に寄生する猫条虫(Tenねぬenねeめr m圃幼虫の重 度感染では、胃腸粘膜の過形成を引き起こす。寄生部位から離れた胃腸の病理学的 変化は、本種独特の現象で、この胃腸粘膜過形成の機序はまだ明らかではない。今 回の研究では、猫条虫幼虫感染ラットにおける胃腸粘膜の上皮細胞の動態を調ベ、

さらに胃腸粘膜の過形成を引き起こす因子を解析するためのモデル動物について検 討した。

  まず、猫条虫感染ラットにおける胃腸粘膜細胞動態を調べた。この上皮細胞増殖 および動態については、増殖細胞核抗原(proliferatingce11nuclearantigen: PCNA)の免疫染色、ブロモデオキシウリジン(BrdU)1回投与後の経時的な観察 によって調べた。

  感染ラットの胃(胃底部および幽門部)における上皮細胞の増殖域(PCNA陽性細胞 分布域)が拡大し、細胞増殖は著しく活発になっていた。すなわち、BrdUラベル実 験では、BrdU陽性細胞(ウリジン取り込み細胞)数もラベル率(BrdU陽性細胞/全上 皮細胞)もともに顕著な増加となった。壁細胞および主細胞の消失をともなう粘膜細 胞の過形成は、未分化・粘液細胞の顕著な増加が特徴であった。これは粘膜上皮細 胞の過形成が、粘膜細胞の正常な分化過程の阻害と関連していることを示唆した。

  猫条虫幼虫感染ラットにおいては、胃だけでなく腸粘膜の過形成も観察された。

小腸の細胞動態を近位部、中央部、遠位部について調べた。感染ラットにおける腸 上皮細胞の増殖域の拡大が認められた。BrdUラベル実験では、BrdU陽性細胞数の     −1273―

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顕著な増加となったが、ラベル率は、コント口ールのラットとほぼ同等であった。

前述したように胃では壁細胞と主細胞が減少するが、小腸粘膜では、特に減少する 細胞は認められなかった。また、小腸上皮細胞の過形成は胃に隣接した小腸近位部 において顕著に認められたが、小腸中央部、遠位部では軽度であった。このこと は、猫条虫幼虫感染における小腸粘膜の過形成が、近接した胃粘膜過形成と関連し て起こったものと考えられた。しかし、この腸病変は小腸に限らず、結腸粘膜にお いても観察され、結腸陰窩における上皮細胞の増殖域の拡大およびラベル率の増加 が認められた。

  猫条虫幼虫感染ラットにおいて、胃腸の病変を起こすためには大量の幼虫感染お よび長期間の寄生が必要であることから、胃腸病変を引き起こす寄生虫由来因子を 今 後 解 析 す る た め に は 新 た な 動 物 モ デ ル が 必 要 と 考 え ら れ た 。   猫条虫(マウス株)感受性AKRマウスにおいて胃腸病変が起こるかどうかを調べ たところ、重度感染マウスでは感染後6―12ケ月で胃腸病変が現れ、AKRマウスを用 いて胃腸病変に関与する因子を解析するためには長期間の接種が必要と考えられ た。

  次に、SCIDマウスの動物モデルとしての適性を調べた。猫条虫の六鉤幼虫もしく は虫卵を異なった量および異なった経路で接種されたSCIDマウスでは、様々な程度 の胃粘膜過形成が見られた。SCIDマウスにおける胃粘膜過形成の最も早い発生は、

六鉤幼虫を経口的に投与後3週間目で見られた。このように、SCIDマウスでも猫条     丶  一

虫 幼 虫 感 染 に お い て 胃 粘 膜 細 胞 過 形 成 が 起 こ る こ と が 確 認 さ れ た 。   NOD/Shi−scidマウスにっいても調べたところ、わずかな胃粘膜過形成しか示さ なかったが、明らかな十二指腸病変を示した。次に、SCIDマウス腹腔への40隻の幼 虫の外科的移植では、移植後7日目に胃粘膜の軽度の過形成を引き起こした。これに よって、SCIDマウス(CB17)は幼虫の排泄・分泌産物を解析するためのよいモデル 動物であることが示唆された。

  最後に、幼虫由来因子が胃粘膜過形成を引き起こすという仮説を確認するため に、幼虫をin vitro培養し、培養液中に放出された幼虫排泄・分泌産物(1.0 mgもし くは0.5 mgの蛋白量)を毎日SCIDマウスに接種したところ、軽度の胃粘膜増殖が認 められた。今後、猫条虫幼虫排泄・分泌産物の成分の特徴づけが必要であるが、こ のSCIDマウスを用いた動物モデルが有用と考えられた。

  猫条虫幼虫感染動物における胃腸病変の病理発生を明らかにすることは、新しい

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宿主寄生体関係を提示することとなり、胃腸粘膜細胞の分化増殖機序の解明、さら にこの 疾病と類似 した特徴を 持つ胃腸病 を理解する のに役立っと思われる。

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学 位 論 文 審 査の 要 旨 主 査

副 査 副 査 副 査

教 授   神 教 授   梅 教 授   岩 助教授  奥

谷 正 男 村 孝 司 永 敏 彦 祐 三 郎

     学位論文題名

    Pathogenesis of gastroenteropathy in ヱ  ae7z 励 tae7ziae り黼必1arvalinfections

(猫条虫幼虫感染動物における胃腸病の病理発生)

    ラットの肝臓における猫条虫幼虫感染では胃腸粘膜の顕著な過形成が起こる。申 請 者 は こ の 胃 腸粘 膜 過 形 成 に お ける 粘膜上 皮細 胞の 動態 を、増 殖細 胞核 抗原 (PCNA)の免疫染色、およびブ口モデオキシウリジン(BrdU)投与後の経時的な観察 などによって調べた。感染ラットの胃粘膜では、まず壁細胞および主細胞の消失が起 こり、その後PCNA陽性細胞分布域の拡大、BrdU陽性細胞数とラベル率の顕著な増 加、未分化・粘液細胞の顕著な増加が起こった。小腸でも上皮細胞の増殖域の拡大、

BrdU陽性細胞数の顕著な増加があり、特に胃に隣接した小腸近位部において顕著で、

小腸中央部、遠位部では軽度であった。このような上皮細胞増殖の活性化は結腸にお いても観察された。

.胃腸病変を引き起こす寄生虫由来因子を解析するためには、新たな小型の動物モデ ルが必要であるが、申請者はマウスの有用性について検討を加えた。重度感染AKRマ ウスでは胃腸病変が現れたが、長期間の感染が必要であった。SCIDマウスでは短期間 において様々な程度の胃粘膜過形成が起こったが、NOD/Shi−scidマウスでは軽度の 胃粘膜過形成のみ観察された。これらの結果からSCIDマウスを選択し、SCIDマウス 腹腔への幼虫の移植を試みた。マウスの移植後の生存期間は短期間であったが、胃粘 膜の過形成が見られた。さらに、幼虫の排泄・分泌産物をSCIDマウスに連続接種し、

軽 度 で は あ っ た が 短 期 間 に お い て 胃 粘 膜 増 殖 が 起 こ る こ と を 示 し た 。   以上のように、申請者は猫条虫幼虫感染による胃腸粘膜過形成における粘膜上皮細 胞の動態を明らかにし、さらに猫条虫幼虫排泄・分泌産物の今後の特徴づけのための モデル動物を確立した。今後の胃腸粘膜の増殖・分化の機序解明に資するところが大

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きい。よって審査員一同は、ラガパ氏が博士(獣医学)の学位を受ける資格が十分に あるものと認める。

参照

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