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学位論文題名Enantioselective Addition of Terminal Alkynes toAldehydes Catalyzed by Cu(I)Complexes with Large Bite―angle Chiral Bisphosphine Ligands

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 浅 野 陽 介

     学位論文題名

Enantioselective Addition of Terminal Alkynes to Aldehydes Catalyzed by Cu ( I ) Complexes with   Large Bite ― angle Chiral Bisphosphine Ligands

(挟み角の大きなキラルビスホスフイン配位子を有する銅 (I) 錯体によって 触媒される末端アルキンのアルデヒドに対するエナンチオ選択的付加反応)

学位論文内容の要旨

  

これまで化学量論量の試薬を必要とした反応を、遷移金属錯体によるC―H結合の活性化 を経由して触媒的に進行させる研究が活発に行われている。

  

プロパルギルアルコールは有機合成における重要な合成中間体の1っであり、ー般的に 末端アセチレンに当量以上の強塩基を用いてアセチリドを発生させ、カルボニル基に付加 させることで合成される。これを触媒化できれば無機塩の削減や強塩基条件に耐えられな い基質を保護せずに用いることができるといった利点がある。またプロパルギルアルコー ルに含まれる

C‑C

結合はそれ自体が官能基であり、さらなる分子変換が可能であるため、

不 斉 反 応 へ と 応 用 す る こ と が で き れ ば そ の 合 成 化 学 的 価 値 は さ ら に 高 い 。

  

末端アセチレンのカルボニルへの直接的付加反応はすでに当量・触媒反応ともに報告さ れ ており 、近年で はZnやInなど触媒とした不斉反応も報告されている。しかしそのほと んどが数10 mol%の不斉配位子と塩基を用いた報告であり、環境調和型な反応であるとは 言いがたいのが現状である。この問題を解決するために、新たな触媒系の開発が必要であ ると考えた。

  

そこで申 請者は新 たに、

1

価の銅を触媒とした触媒反応開発に着手した。

1

価の銅塩は 弱塩基存在下、容易に末端アセチレン1と反応して水や酸素に安定な銅アセチリドポリマ ー

2

を形成することが知られている(式1)。しかし、このポリマー2はカルボニル基に対 する求核性が無く、触媒種としては利用されてこなかった。

R

−E三三一一H  十Cul

    1    EtOH/NH3 aq.  R‑. Culn ci)       2

a

岷Wa蛔rSfa6伯pofymer

  

申請者は、反応系中で鋼(I)アセチリドを単量体として発生させることが出来ればアセチ リドの求核カが向上し、付加反応に適用できるのではないかと考えた。そこで、銅アセチ リドの銅とアルキンの冗電子間の相互作用を寸断させるために、銅周りをキレート配位子 で広く覆うことを着想した。

  

そこで

Cu(O‑t‑Bu)

触媒存在下、ベンズアルデヒド3aとフェニルアセチレン1aの付加反 応をモデル反応とし、種々の2座キレート配位子を共存させる検討を行った。本反応は配

    

1442

(2)

位 子 の 挟 み 角 の 影 響 が 顕 著 で あ り 、 ト ラ ン ス キ レ ー ト 型 配 位 子

Ph‑TRAP

を 用 い た 場 合 の み 、 プ ロ パ ル ギ ル ア ル コ ール

4aa

が 収 率よ く 生 成 した ( 式

2

) 。 また 、 若 干 なが ら エ

    O      Cu(O‑t‑Bu) (10 moI%)        + H‑. Ph  (S,S)‑(R,R)‑Ph‑TRAP(lOmoI%)

 Ph Ph     H       Toluene, 600C, 6 h   3a         la

(1.0 M, 1.0 eq)      (2.0 eq)

  

ナ ン チ オ 選 択 性 も 発 現 し た 。

  

種 々 の 条 件 検 討 の 結 果 、 ア ル コ ー ル 溶 媒 中 で 反 応 が 促 進 さ れ る こ と が わ か り 、 特 に

t‑BuOH

を 溶 媒 と し た 最 に 最 も 高 い エ ナ ン チ オ 選 択 性 卜

56

ee)

が 得ら れ る こ とを 見 出 し た 。 基 質 の 適 用 範 囲 を 探 索 し た 結 果 、 ア ル デ ヒ ド は 芳 香 族 の み 、 ア ル キ ン は 脂 肪 族 ・ 芳 香 族 と も に 適 用 可 能 で あ っ た 。 ア ル デ ヒ ド は 電 子 不 足 の 基 質 が 、 ア ル キ ン は 電 子 豊 富 な 基 質 で 反 応 効 率 が 高 い 傾 向 に あ っ た 。

4aa

77% yield 27%ee

Ph

Table. 1 Substrate Screening for Cu‑Catalyzed Addition of Terminal Acetylenes to Aldehydes       Cu(O‑t‑Bu) (10 moI%)       OH         Ar H + H‑R (S,S)‑(R,R)‑Ph‑TRAP(lOmol%) Ar

       t‑BuOH,400C,24h      4  'R   ' (0.5M,l.Oeq) (2.01eq)

  OH

OMe

Me02C

O H

Ph       92% yield, 48% ee      83% yield, 41% ee       82% yield, 54% ee      99% yield, 48% ee

  Ph‑TRAP

を 配 位 子 と し た とき に 特 異 的に 活 性 が 高い 理 由 と 、反 応 機 構 に関 す る 知 見を 得 る た め に 、

1H‑

お よ ぴ

31P̲NMR

を 用 い た 当 量 実 験 を 行 っ た 。C6D6溶媒 中 、

Cu(O‑t‑Bu)

とフ ェ ニ ル ア セ チ レ ン

1a

お よ び 配 位 子 を 当 量 混 合 す る と 、

Ph‑TRAP

以 外 の 配 位 子 で は 銅ア セ チ リド と の 錯 形成 が 選 択 的に 起 こ ら ず、 フ リ ー の配 位 子 を 含め 複 数 の 錯体 種 が 存 在し た。

こ れに 対 し 、

Ph

TRAP

は 銅 (I) フェ ニ ル ア セチ リ ド

/Ph‑TRAP

錯体 と推定 される 単一の錯 体 種 を 形 成 す る こ と が わ か っ た 。 以 上 か ら

Ph‑TRAP

は 選 択 的 に 触 媒 活 性 を 持 っ錯 体 種 を 形 成 でき る こ と が出 来 る た めに 、 特 異 的に 反 応 を 進行 さ せ る こと が で き たと 考 え ら れる 。こ の 錯 体 を カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー や 再 結 晶 に よっ て 活 性 錯体 種 を 単 離す る 検 討 も行 っ た が、 現 在 の とこ ろ は 単 離に は 成 功 して い な ぃ 。

  

ま た

1a

3a

の 付 加 反 応 に お い て 、 反 応 時 間 と 収 率 .

ee

の 関 係 を 見 る 実 験 を 行 っ た 。 付 加 体

4aa

の 量 は 時 間 ご とに 増 加 す るも の の 、 徐々 に ラ セ ミ化 が 進 行 して い る こ とを 見 出 し た。 こ れ ら の知 見 か ら

2

種 類の 反 応 機 構を 推 定 し た。

  

以 上 、 申 請 者 は

Cu(O‑t‑Bu)

と 挟 み 角 の 広 い

2

座 ホ ス フ ィ ン 不 斉 配 位 子

Ph‑TRAP

か ら 調 製 さ れ る 触 媒 に よ り 、 末 端 ア ル キ ン

1

と ア ル デ ヒ ド

3

か ら プ ロ パ ル ギ ル ア ル コ ー ル

4

が 生 成 し 、 ま た 中 程 度 の エ ナ ン チ オ 選 択 性 も 発 現 す る こ と を 見 出 し た 。

    ‑ 1443

,〜

(3)

学 位論文審査の要旨

     学位論文題名

Enantioselective Addition of Terminal Alkynes to Aldehydes Catalyzed by Cu (I) Complexes with   Large Bite −angle Chiral Bisphosphine Ligands

(挾み角の大きなキラルビスホスフイン配位子を有する銅(I) 錯体によって 触媒される末端アルキンのアルデヒドに対するエナンチオ選択的付加反応)

    

環境調和型有機合成を目指した金属触媒による新反応の開発が近年盛んである。今 後の大きな発展のためには、高度で新規な機能を持った触媒を開発することが必要であ る。本論文は、光学活性ホスフインを含む銅(I)錯体を触媒とする末端アルキンのアルデ ヒドに対するエナンチオ選択的付加反応の開発に関する著者の研究成果をまとめたもの である。銅(I)アセチリド種は通常反応不活性な多量体として存在するが、著者は、挟み 角の広いキレートホスフインの配位により、これを単量体化して活性化することを着想 し、この考えに基づき新触媒反応の探索研究を行なった。その結果、トランスキレート 型光学活性ビスホスフイ ン

TRAP

と銅(I)アルコキシドから調製される錯体が、末端アル キンのアルデヒドに対する付加反応の触媒となり、中程度のエナンチオ選択性が発現す ることを見出した。末端アルキンとアルデヒドの付加反応に有効な様々な金属種の触媒 系が知られているが、銅錯体による触媒反応としては本論文に述べられている反応が最 初の例である。触媒活性 種の構造と反応機構を知るためにNMRを用いた実験も行い、ト ランスキレートホスフイ ン

TRAP

が配位した銅(I)アセチリドと考えられる化学種の生成 を確認するなど、重要な知見を得ることに成功している。またアルコール溶媒による顕 著な反応加速効果とアルコールのかさ高さとエナンチオ選択性の相関を見出し、これに 基づく反応機構解析も行っている。これらの成果は、遷移金属触媒反応の新しい設計指 針 し 、 有 機 金 属 化 学 お よ び 触 媒 化 学 の 発 展 に 大 き く 寄 与 す る も の で あ る 。

.これを要するに、著者は環境調和型有機合成の発展に大きく貢献するとともに、遷移 金属錯体触媒の新設計指針を提供する画期的な成果をあげたものであり、有機合成化学、

有機金属化学のみならず錯体化学を含む広い分野に対し貢献するところ大なるものがあ る。

  

よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

‑ 1444

正 圭

澤 谷

福 伊

授 授

授 授

   

   

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