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井上直人

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Academic year: 2021

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- 29 -

コンビュータゲームの心理的充足感に関する研究

人間教育専攻

幼年発達支援コース

井上直人

問題の所在と研究目的

文部科学省 (2004)のホームページにて記載 されているように、コンビュータゲームについ て、その有用性から悪影響まで、様々な指摘が なされているところであり、これまでも、心理 学、社会学、生物学などの幅広い観点から、そ の影響について研究が行われてきているところ である。

コンビュータゲームが子と、もの発達に悪影響 を及ぼすのではないかという可能性は、コンビ ュータゲームの問題性として、かつてからしば しば指摘されてきた。特に、暴力性、社会的不 適応、学力や知的能力、視力、体力などに対す る悪影響が心配されている。コンビュータゲー ムに関しては、善悪双方の意見はあるものの、

全体で見ると、コンビュータゲームに対して、

積極的な評価を試みる研究より、最初から悪影 響を指摘しようとする研究がまだまだ、圧倒的 に多いと思われる(香山, 1996)。

本研究の目的は、一般的に挙げられるコンビ ュータゲームに関連するデメリットやリスクに ついてはさることながら、コンビュータゲーム で遊ぶことで得られる心理的充足感について検 証を行うことである。そのために本研究では、

質問紙による調査によって、心身や生活習慣面 への影響、ゲームで得られる達成感や癒し機能 などの心理的充足感などとゲームプレイの度合 いやフロー体験との関連を探るとともに、 ICT

指導教員湯地宏樹

学習に対する意識や学業成績との関連について 明らかにする。ここでいう心理的充足感とは、

テレビゲームを行うことで得られる感動体験や、

達成感などの心理面においての充実感や満足感 のことである。

研究方法

(1)調査対象 :N、

s

大学の学生計270名 (2)調査方法:無記名による質問方式の調査 (3)調査内容:スマートフォン・従来の携帯 型ゲーム機・据え置き型ゲーム機などの使用頻 度、ゲームジャンル、心理的充足感、フロー、

ICT教育、子どもの頃の遊び、中学校時代、及 び高等学校時代の学業成績など。

結果と考察

子ども時代のゲーム経験、従来ゲーム経験、

ソーシャルゲームの経験によって心理的充足感 に違いがあるかどうか、分散分析を行った結果、

従来ゲームユーザーにおいてコンビュータゲー ムは生活の中で重要視されるものであり、子ど も時代ゲームユーザー共にゲームプレイによる 心理的充足感、フロー体験を得ていると感じて いたことが分かつた。そして、ソーシャルゲー ムユーザーにおいてはICT教育に対して肯定 的な意見を持っているということが明らかにな った。

因子分析によってまとめられた4つの因子

「勉強・住事等への悪影響J["ゲームの心理的充足

(2)

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感J

r

身体・生活習慣への悪影響J

r

コンビュータ 教育利用Jの因子得点及び「フロー経験」を従 属変数にして、子ども時代のゲーム経験、従来 ゲーム経験、ソーシャルゲームの経験、及びゲ ームジャンル(rパズルJ

r

ロールプレイング」

「スポーツJ

r

シミュレーションJ

r

オンライン ゲームJ

r

テーブルJ

r

シューティングゲームJ) の7つを説明変数として、重回帰分析を行った。

その結果、実際に「ゲームの心理的充足感」に 影響しているのは、子ども時代ゲーム経験、パ ズル、ロールプレイングの3つの関係が深いと 考えられる。すなわち、子ども時代ゲーム経験 が多いほど、「ゲームの心理的充足感」を肯定し ていた。同時に、パズル、ロールプレイングの ジャンルのゲームが好きで、これらのゲームを やり込んでいる者ほど、「ゲームの心理的充足感j

を強く感じていた。とくにロールプレイングの 標準偏回帰係数 (s)は.4

70

と最も高かった。

ロールプレイングゲームは、自分自身がゲーム の中で主要人物として、活躍するため、ゲーム 内で発生する出来事等に対して感情移入しやす いのではないか、とも考えられる。そういった 点から、ロールプレイングゲームはゲームプレ イヤーの心理面において大きな影響を与えるの ではないかと考えられる。

総合考察及び今後の課題

現代においては、一般的に、コンビュータゲ ームには、関連するデメリットやリスクについ て、語られることが多い。しかし、本研究にお いては、コンビュータゲームはただ悪いだ、けの ものではない、ポジティブな面もあるというこ とが分かつた。コンビュータゲームをプレイす ることにより、ゲームプレイヤーは心理的充足 感を得られる、 ICT教育に対して肯定的な意見 を持てるということが判明した。こうした、ゲ

ームのプレイによる、感動体験や、達成感など の心理面においての充実感や満足感は、実生活 でのストレスの軽減などに関係している可能性 はある。なお、 ICT教育についても早くから興 味を持つことは近年、情報化社会においては大 切である。そのための第一歩としてコンピュー タの要素を持つ機器として最初にゲーム機に興 味を持ち触れることも大切なことかもしれない。

以上を踏まえて考察すると、コンビュータゲ ームの中で、人の心は癒され、意識は成長する ことが分かる。また、コンビュータゲームを教 育に利用することは、教育のスタイル全体を大 きく変化させる可能性があるといえる。コンビ ュータゲームは、単に「悪いもの」としてのみ 見るのではなく、我々を取り巻く、現在での世 界のーっとして、ゲームのポジティブな面を正 しく利用することで、生活や学習の姿勢を大き く変えることに繋がると考察される。

本研究での考察を踏まえると、コンビュータ ゲームを我々の生活において有効に活用してい く為には、コンビュータゲームについて、まだ 理解しなければならないことが多いことが分か る。コンビュータゲームは、「一概に悪いもので はないJということは判明したが、未知数の部 分もある為、より適切な場面での利用が可能に なるよう今後もコンビュータゲームの持つ力を 明らかとしていくことが今後の課題として必要 であるといえるであろう。

<引用文献>

香山リカ

1996  W

テレビゲームと癒し』

岩 波書厨

文部科学省 2004 

r

子どもとテレビゲーム」

に関する NPO等についての調査研究ー米国 を中心にー(報告書概要)

http://www.mext.go.jp/a̲menu/sports/ikusei  /04033001.htm  2014/10/24

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