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新学習指導要領に求める 外国語授業の改善点の一案

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人と教育 第 12 号

一 般 寄 稿

児童教育学科

仁志田 華子 

Hanako NISHIDA

人間学部児童教育学科非常勤講師

石田 好広 

Yoshihiro ISHIDA

人間学部児童教育学科教授

1 はじめに

2011年度より小学校では年間35時間の「外国語活動」

が必修化となり 5・6 年生に実施されてきた。2017 年 3 月に告示された新学習指導要領では、2020年度から全国 の小学校では 5・6 年生の必修であった「外国語活動」

が年間 70 時間の「外国語科」として教科となり、3・4 年生には35時間の「外国語活動」が新たに導入されるこ とになる。

文部科学省は、これまで各教育現場で行われてきた

「外国語活動」の成果や見えてきた改善点を踏まえなが ら「教科」という次のステージに進めてきた。そこで本

稿では、まず、児童にとって外国語教育を充実すること が何故必要なのか簡単に触れた上で、長年小学校の管理 職として「外国語活動」を担当する教員らをまとめてき た側の視点と、小学校の教員を目指している大学生に

「外国語活動」の講義を通して指導してきた側の視点か ら、新学習指導要領に求める「外国語科」授業の改善点 を検討していく。

2 児童にとって外国語教育充実 の必要性

外国語教育の充実を図るための学校経営と教員養成の あり方について述べる前に、現在の小学校の外国語活動

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外国語授業の改善点の一案

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の現状について、児童の視点から検討したい。

外国語活動が必修化されて、児童にとって、どのよう な学びの場になっているのだろうか。文部科学省の小学 校外国語活動実施状況調査(2014)では、以下の表 1 の ような結果が示されている。

小学校5,6年生 中学校1年生

英語が好き 70.9% 61.6%

英語の授業が好き 72.3% 60.2%

英語が使えるように

なりたい 91.5% 89.4%

文部科学省(2014)から筆者作成 表 1  小学校外国語活動実施状況調査の結果

中学生になると英語を好きになれない生徒が 40%程 度いるのに対して、小学校の外国語活動を学んでいる段 階では、70%の児童が英語を楽しいと感じていることか ら、これまでの外国語活動が楽しい学習活動を展開して いることが分かる。また、小学校 5,6 年生も中学校 1 年生も「英語に使えるようになりたい」という夢をもっ ていることが分かり、特に小学校段階では 90%を超え ていることからも、外国語活動が一定の成果を上げてい ると分析できる。一方、同調査での「小学校の外国語活 動でもっと学習しておきたかったこと」という問いに対 し、中学 1 年生の80.1%が「英単語を読むこと」、83.7%

が「英単語を書くこと」、79.8%が「英語の文を読むこ と」、80.9%が「英語の文を書くこと」と回答している。

この調査結果を検討すると、児童が、小学校段階で英 語の読み書きを学んでおきたかったという思いが明らか である。つまり、グローバル化社会に対応するための人 材育成の一環として外国語教育を充実するという視点だ けでなく、児童の関心・意欲という点からも、小学校 5,6 年生の外国語の教科化の必要性が明らかである。

このような外国語教科化の流れの中で、全ての学校 で、その指導体制や教員の指導力について、その変化に 対応できるのに足る状況にないと思われる。次に、その 実態と今後の方向性について考察していく。

3 外国語教育における学校長の サポート

文部科学省が作成した「小学校外国語活動・外国語研 修ガイドブック」の「研修指導者編」(2017, p166)に は、「各学校において、校内研修を効果的に運営するた めには、学校長のリーダーシップが欠かせない。」とあ る。実際、自治体によって英語に対する取り組みは大き く異なり、同じ自治体内であっても、近隣校でも、英語 に対する取り組み方は様々である。例えば、英語サポー ターとして、ALT(Assistant Language Teacher) や JLT(Japanese Language Teacher)といった外部の指 導者を配置する頻度や、通常の教室ではなく英語のポス ターなどが展示されている特別教室を活動場所としてい るかなどの違いが出てくる。そこで、大切なことは各学 校独自の「学校経営方針」と「学校教育目標」である。

横浜市幸ケ谷小学校の前校長である小正和彦氏は「小学 生英語教科化への対応と実践プラン」の中で、特に教育 に携わる教職員との「共通理解、情報の共有が重要であ り、そのうえでそれぞれの役割を理解し、共同して取り 組むチームワークが大切になることを学校全体で確認し ておく」ことが必要だと述べている(吉田2017, p51)。

小学校の校長として学校の担任を決めるのは、校長の 専決事項であり、大切な職務の 1 つである。以前から、

5・6 年生は宿泊などの大きな学校行事が多く、担任を 進んで引き受ける教員が少なかった。必修化が導入され た時も、英語に苦手意識を持っている教員からは外国語 活動を指導することに対して不安の声が上がり、さら に、進んで高学年の担任を引き受ける教員が減ったよう に感じていた。若手の教員は、小学校で外国語活動の授 業があることを理解していて教員になっており、前向き に授業に取り組んでいるものの指導力には課題が見られ た。一方、中堅からベテランの教員は、外国語の指導に 戸惑いをもっているように思えた。

指導者に関する問題点は、必修化になった二年目の現 状について、松宮(2013)の研究論文でも、「担当教員 の指導経験や英語運用能力の差異や公務の多忙化によ り、準備や教材研究が不十分となり、結果として満足で

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人と教育 第 12 号 きる学習指導効果が上がらなかったり、外国語指導助手

等に「丸投げ」の授業になったりしている状況が散見さ れる」と報告されていた(2013, p.323)。

その後の研究報告でも、 田辺(2017, p.102) による と、外国語活動を担当する学級担任が感じる不安要素 は、「教員としての自信や指導法」であり、その不安が

「目標言語の使用度に影響を与えることが報告されてい る」とある。つまり外国語(英語)に不安を持っている 教員ほどその言語を使わない指導法を選ぶということが 分かってきた。こういった現状より、外国語の指導の必 要性は強く感じるものの、教員の英語力向上は大きな課 題であると感じていた。

現 場 の 実 態 は、 文 部 科 学 省 の 配 布 し て い る「Hi, friends!」がとてもよくできた教材であり、この教材を 活用しながら楽しく活動が展開されている。そして、外 国語活動が楽しいと感じている児童は多く見られ、授業 を参観しても活発に活動している姿を見ることができ た。しかしながら、児童は活動を通して楽しく外国語を 学んでいるものの、外国語を使うことの必要性を感じて いるのか、積極的に外国語を活用しようという態度がは ぐくまれているかという点が疑問であった。その為、次 期学習指導要領の授業改善の視点である、「主体的・対 話的で深い学び」、つまり「アクティブ・ラーニング」

になるような授業の実施が急務である。中央教育審議会 委員の吉田氏は、「アクティブ・ラーニングが英語教育 全体の改革の指針となっていて、教員による一方的な講 義形式の教育からできる限り児童・生徒の能動的学習活 動を取り入れていくことが求められている」(2017, p.9)

と説明している。

ここで、児童自らが対話の中でことば(英語)を学ん でいく、「主体的・対話的で深い学び」の一案を紹介す る。校長時代、宿泊教室で日光東照宮に見学に出かける ことをきっかけに、そこに見学に来ている外国人観光客 にインタビューする授業を設定したことがあった。外国 人の人とかかわるために、インタビューの内容を決め、

その内容を英語に直し、インタビューする練習を行っ た。そして、日光東照宮で実際にインタビューし、お礼 に日本文化を伝えるための折り紙をプレゼントすると いった活動であった。この学習は、児童にとって外国語

を使用する必要性が強く、主体的に学ぶことができるだ けでなく、実際に外国人観光客とコミュニケーションを 取ることができて、対話的な学びになっていた。実際に 活動することで外国語を活用することのできる技能も高 まり、実践的な深い学びにつながった事例の 1 つだと考 える。新学習指導要領では、上記の様な取組みをもっと 積極的に実施していくことが必要であろう。

4 外国語教育における教職課程 の指導法

第 2 著者は、目白大学児童教育学科で「外国語活動」

関連の授業を担当してきたが、毎年初回の授業では、こ れまでの英語教育の歴史的流れの後に、「母語」と「第 二言語」と「外国語」の違いについても必ず触れていた。

それは、外国語を教えるにあたり、日本の環境で児童が 母語以外の言葉を習得することについて考えてもらいた いと思ったからだ。昨年までの受講生のコメントから感 じることは、専門的ではないにしろ教員となった時、外 国語の習得過程などに関連した知識は将来的に必要とな ること、そしてそのことに戸惑いや不安を少なからず 持っていることだった。上記の 3 つの違いについては、

大津由紀雄の『英語学習 7 つの誤解』を参考にして紹介 をしているが、母語は「第一言語」とも呼ばれ、「無意識 にその言語を身につける言語」である。日本の環境では 英語は「外国語」であり、「「外国語」は身についたもの を使う過程(聴くとか、話すとか、読むとか、書くと か)も(少なくとも最初のうちは)意識的」であると述 べられている(2007, p5, p21)ことから、習得過程にお いて異なる為、そのことを理解することは重要である。

平成32年度から開始される教科化に向けて、平成29年 度の学期からは「第二言語習得」に関する講義内容を追 加した。受講生には毎回授業の最後に、指定したテーマ に沿ってコメントや質問を記述してもらうが、第二言語 習得について話をした際の学生のコメントは、「内容が 難しいなと感じた。母語・第二言語とかなんとなくでし か掴めなかった。」や「動機付けや第二言語習得論などを 読んで英語に対する視野を広げていきたい。」といった学

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生からの不安な声もあれば前向きな意見もあった。教員 を目指す学生自身、小学校での英語活動は楽しく参加で きていたが、中学や高校で英語という教科になり英語が 嫌いになった経験や英語が苦手で、発音には自信が持て ないため、どのように克服したら良いのかというアドバ イスを求めるコメントも多かった。

また、「外国語科」 になると、 これまでのコミュニ ケーション重視の楽しい「外国語活動」 とは異なり、

「読むことや書くこと」を含む 4 技能や、話すことに関 して「やり取り」と「発表」を含んだ 5 領域が指導目標 として含まれる。特に、この中で新たに指導しなければ ならない「読み書き」については、高学年に適した指導 方法の知識不足に対する不安の声や効果的な補助教材を 知りたいといった質問が多くあった。例えば、書くこと について、アルファベットに関する単元を見ると、副 読本の「Hi, friends!」1 では五年生で大文字のアルファ ベットに触れ、六年生が使用する「Hi, friends!」2 で小 文字に触れている。また「Hi, friends!」1 を活用した年 間指導例の単元目標から抜粋をすると、積極的にアル ファベットの大文字を読むことや文字と読み方を一致さ せたり、児童の身の回りに大文字があることに気付かせ たりすること、などがあげられる。「Hi, friends!」2 の 単元目標では、「アルファベットの小文字とその読み方 と一致させる」ことでとどまり、必修である「外国語活 動」では書くことは求められていない。

今学期の授業で受講生から出た「外国語科」での文 字指導の質問に対して、アルファベットを扱う順番は

「Hi, friends!」1 と 2 の流れが適切である為、そこにワー ドサーチ(Word Search)というワークシートを取り入 れた一例を紹介した。ワードサーチとは升目の中に並ん だアルファベットの中に隠れている英単語を探すという もので、関連テーマや英語力のレベル別によって低学年 からでも挑戦することができる。著者は公立小学校で英 語サポーターとして英語活動や外国語活動に関わってい る他に、10年ほど児童館などで小学生に英語を教えてい る。そこでの経験から、低学年に文字を慣れさせる際、

ワードサーチで使用するアルファベットは大文字のみで 問題数も少ないものが適していることを実感した。そし て、しっかり大文字が理解できてきたら、ステップアッ

プとして次のワードサーチでは全て小文字の問題を挑戦 させ、大文字より少し時間をかけて触れさせることが効 果的であることが分かった。小学生の高学年でも、小文 字の“b”と“d”や“p”と“q”や“t”と“f”な どの違いを認識するまでには時間がかかる為、ここでは 確実に間違えやすい文字を正確に習得させることが大事 である。最後の段階としては、升目に書かれているアル ファベットが小文字で、探し出す英単語の文字が大文字 だと、児童は小文字と大文字を連携させ、アルファベッ トの文字を理解し習得することが可能となる。

5 おわりに

以上、異なる二人の視点から、新学習指導要領に求め る授業の改善点を取り上げてみた。グローバル化が進 み、英語教育の重要性が更に高まっている中で、小学生 高学年の「教科化」への準備がされているが、未だ英語 を上手に指導できるだけのスキルと指導法をもった人材 が十分ではない。その為には、小学校教員志望の学生ら に「外国語活動」や 「外国語科」 の講義では第二言語習 得や動機付けなど言語に関する知識を加え、児童らが外 国語(英語)の必要性を実感でき、自らが主体となって 意欲的に学ぶことができるような授業方法の指導が必要 となるだろう。

参考文献 

文部科学省(2014)小学校外国語活動実施状況調査

文部科学省(2017)『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブッ ク「研修指導者編」』

吉田研作(2017)『小学生英語教科化への対応と実践プラン』、

教育開発研究所

田辺尚子(2017)「小学校学級担任の外国語活動に対する不安を 軽減するための研修に関する一考察」『安田女子大学紀要』

45、pp.99-108

松宮新吾(2013)「小学校外国語活動担当教員の授業指導不安に かかわる研究:授業指導不安モデルの探求と検証」『関西外 国語大学』97号、pp.321-338

大津由紀雄(2007)『英語学習 7 つの誤解』、日本放送出版協会

参照

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