1. はじめに 沖縄近海等に賦存する海底熱水鉱床は,我が国固有 の資源であり,これらの開発が可能になれば,これら 資源の新たな国内供給源となる可能性があるため,鉱 物資源の大部分を海外に依存している我が国にとって 有益である.閣議決定された「海洋基本計画」及び経 済産業省が策定した「海洋エネルギー・鉱物資源開発 計画」では主要な取り組みとして海底熱水鉱床の開発 を取り上げており,独立行政法人石油天然ガス・金属 鉱物資源機構(JOGMEC)は経済産業省の委託を受け, 平成29 年 8 月中旬より 9 月下旬までの期間,世界初 となる海底熱水鉱床の揚鉱試験を沖縄近海で実施した. 1)Fig.1 に揚鉱試験の概念図を示す.揚鉱試験実施にあ たっては,事前に安全性評価を実施することでハザー ドの抽出を行い,リスクレベルの高い項目があった場 合は対策を施しリスクの低減を図り,設備設計・計画, 試験計画等に反映させることとした.揚鉱試験終了後 は揚鉱試験における安全上の問題点を分析し,海底熱 水鉱床の商業生産に向けた採鉱・揚鉱オペレーション に関する安全ガイドラインを作成する上で考慮するべ き事項を抽出して取りまとめた.
Fig.1 Conceptual diagram of continuous ore lifting pilot test for PMS 1)
揚鉱試験は前述の通り平成29 年 8 月中旬から 9 月 下旬に実施したものであるが,揚鉱試験実施に先立ち, 平成27 年度〜平成 29 年度にわたり事前準備・機器等 製作,陸上試験,事前海域試験等を実施し,それに揚 (以下
海底熱水鉱床の採鉱・揚鉱パイロット試験の安全性評価
* 石 村 惠以子** 伊 藤 博 子*** 高 野 慧***Safety Assessment of Pilot Test on Excavating and Ore Lifting of PMS By ISHIMURA Eiko, ITOH Hiroko and TAKANO Satoru
The Japanese Government’s “Basic Plan on Ocean Policy” (approved by the Cabinet) and “Ocean Energy and Mineral Resources Development Plan” (formulated by the METI [Ministry of Economy. Trade and Industry]) highlight development of seafloor polymetallic sulphides (PMS) as a major initiative Japan intends to promote. After receiving a request from the METI in 2017, the JOGMEC (Japan Oil, Gas and Metals National Corporation) conducted the world's first PMS excavating and ore lifting pilot test under the sea near Okinawa. Before conducting the pilot test, a safety assessment was performed to identify hazards, orrisk factors and determine the risk level of the test. To respond to high risk factors, adequate safety measures were developed and reflected in equipment designs and the test plan. This paper describes how the safety assessment was conducted for three years before the test, the results of the test and points that need to be considered for commercial production.
*原稿受付 令和 2年4月21日.
パイロット試験)と称する.本稿ではパイロット試験の 初期計画時から揚鉱試験直前までに実施した安全性評 価と,揚鉱試験後に実施した揚鉱試験結果の安全性に 関する分析及び海底熱水鉱床の商業生産に向けた安全 ガイドラインを作成する上で考慮すべき事項について 述べる. 2. 揚鉱試験の概要 揚鉱試験は沖縄近海において,集鉱試験機を用いて 水深約1,600m の海底熱水鉱床を掘削・集鉱し,水中 ポンプで鉱石を海水とともに連続的に洋上の揚鉱母船 に揚げるものである(本試験では揚鉱と定義).また, 揚鉱母船上では固体と液体(本試験では揚鉱水と定義) を分離し,固体は揚鉱母船に貯蔵し,揚鉱水は揚鉱水 運搬船に移送,陸上施設に運搬し,全量適切に処理を 行う.揚鉱試験は平成29 年度に実施したが,パイロ ット試験としては,平成28 年度には事前海域試験, 平成29 年度には浅海域試験を実施し,オペレーショ ンや設備・機器の動作確認を実施し,不具合について 修正・改良を行った. 3. 安全性評価の流れと結果 3.1 全体の流れ 安全性評価は揚鉱試験実施の 2 年前の計画段階か ら揚鉱試験直前まで何段階かに分け,その段階に応じ た評価を3 回に渡って実施した.評価毎に実験計画や 設備設計,作業手順書等に反映させ,反映事項が確認 出来る項目については揚鉱試験前に実施した2 回の海 域試験で確認を行った.また,揚鉱試験実施後は揚鉱 試験の安全性に関する結果を分析し,海底熱水鉱床の 商業化に向けた採鉱・揚鉱オペレーションに関する安 全ガイドラインを作成する上で考慮すべき事項を抽出 して取りまとめた.安全性評価の対象範囲はFig.1 に 示す機器・設備とし,オペレーションに関しては掘削 後のマウンドでの集鉱から船上への揚鉱を経て船上で 揚鉱水と分離され,揚鉱水運搬船へ移送されるまでを 対象とした.3 年間にわたる安全性評価と実施した試 験の関係をFig.2 に示す.
Fig.2 Flow of safety assessment
Fig.3 HAZID Worksheet
WSID: Venue:
System: Member:
Sub-system: Date:
Stat:
Seq. (What-if ?)Hazard Probable causes原因 Consequences結果 Existing safeguards既存の防御手段 Recommendation必要な対策 Severityindex Freq.index indexRisk コメント (メモ)Comments <Sub-Phase1> 1 2 <Sub-Phase2> 3 4 Phase:
3.2 HAZID 会議
平成27 年度には,まず計画の初期段階において安 全性を確認するため,揚鉱試験に使用されるシステム 全体を対象としてHAZID (Hazard- Identification; ハザード特定) 会議を実施した.採鉱・揚鉱プロセス で想定されるハザードの抽出と各オペレーション手順 との因果関係の整理,機能停止及び人命損傷等の全体 プロセスへハザードが及ぼす影響の評価を行った.評 価対象が広範囲であり,議論を発散させないため,シ ステム全体を採掘,揚鉱,採鉱母船,掘削母船の4 ユ ニットに分割して各ユニットを構成システムや機能に よって定義した.ただし、安全性評価の検討過程にお いて,当初定義した上記ユニット名とFig.1 に示した 最終的な構成システムの名称が異なるため,Table1 に 各ユニット名とFig.1 に示した主要構成システムの関 係を示す.なお,本章では上記ユニット名を用いる.
Table 1 Main configuration system of each unit ユニット 主要構成システム 採掘 集鉱試験機、ROV、ケーブル、採鉱母船 揚鉱 移送管、水中ポンプ、揚鉱管、計装ライザ ー、ROV、ケーブル、揚鉱母船 採鉱母船 揚鉱母船、採鉱母船、ROV 母船、揚鉱水運搬 船 掘削母船 採鉱母船、ROV 母船、揚鉱水運搬船 また,フェーズとして設置,稼働,回収の3 つの段 階を想定し,各ユニットのそれぞれのフェーズについ て議論を実施した.フェーズについては更にサブフェ ーズを設け,サブフェーズごとに議論を進めることに した.Table 2 に各フェーズを,議論に用いたワーク シートをFig.3 にそれぞれ示す.ワークシートはあら かじめ事務局が想定されるハザード,原因,結果,防 御手段などを記入したものをスケルトンとして提示し た.会議ではスケルトンをベースに,主にハザードの 漏れはないか,対策は十分かについて議論を行った. 議論に沿ってワークシートの修正,追記,削除を行っ た.ワークシートにはリスクの指標を記入する欄も設 けたが,HAZID 会議ではその項目に関する議論は実 施せず,議論が集中した項目については印を付け,そ の項目を中心に追加対策を検討する事とした. 議論の結果,ハザードは重複を含み368 件が抽出さ れた.各ユニット,フェーズにおけるハザードの抽出 結果と,議論が集中したハザードの項目数をTable 3 に示す. 議論の多い項目は集鉱試験機アンビリカルケーブル, 集鉱試験機ポンプ・水中ポンプの機能喪失,着底面の 地形,鉱石の内容物,掘削母船・揚鉱母船上での作業 管の閉塞,緊急離脱手順,船団内の船舶位置保持,気 象・海象の変化,周辺海域の船舶などであり,これら 項目を中心に安全対策を追加した.
Table 2 Setting of phase and sub-phase for each unit ユニット フェーズ サブフェーズ 採掘 設置時 ・船上から洋上投入まで 揚鉱 設置時 ・洋上投入から水中設置まで ・水中設置 ・オペレーション全般 ・緊急時の作業停止/回収・船舶の退避/避港関連 採掘 稼働時 ・稼動時 揚鉱 稼働時 ・オペレーション全般 ・緊急時の作業停止/回収・船舶の退避/避港関連 採掘 回収時 ・水中設置 揚鉱 回収時 ・水中設置から洋上回収まで ・洋上から船上搭載まで ・オペレーション全般 ・緊急時の作業停止/回収・船舶の退避/避港関連 採鉱母船 設置時 ・船舶間距離 ・気海象条件 ・船舶の挙動 ・鉱石分離装置関連 ・船上設備関連 ・緊急時の作業停止/回収・船舶の退避/避港関連 採鉱母船 稼働時 ・船舶間距離 回収時 ・気海象条件 掘削母船 設置時 ・船舶の挙動 稼働時 ・船上設備関連 回収時 ・緊急時の作業停止/回収・船舶の退避/避港関連
Table 3 Number of the hazard every unit extracted in HAZID meeting ユニ ット フェ ーズ スケル トン (提示) 新規 ハザ ード 議論 (既存 ハザード) 採掘 設置 17 1 2 稼働 17 3 2 回収 22 1 0 揚鉱 設置 33 2 1 稼働 36 2 3 回収 33 0 1 採鉱 母船 設置 32 0 2 稼働 37 2 4 回収 36 2 0 掘削 母船 設置 27 0 0 稼働 33 0 0 回収 31 1 0 合計 354 14 15 3.3 半定量評価 平成28 年度には HAZID 会議で抽出されたハザー ドのうち,特に対策や詳細な解析が必要なものを選出 するため,半定量評価を実施し,深刻度(SI: Severity Index),発生頻度(FI: Frequency Index)並びにリスク インデックス(RI: Risk Index)を算出した.RI は SI と FI の和として定義される(RI=SI+FI).Table 4 に IMO(International Maritime Organization)の FSA
(Formal Safety Assessment)ガイドラインによる FI, Table 5 に SI の定義を示す.RI は Fig.4 に示すリスク マトリクスに当てはめて評価する. リスクインデックスが高いものほどリスクが高いハ ザードとなり,本研究ではRI が 8 以上か,RI は 7 以 下だがSI が 4 のハザードは高リスクとし(以下高リス クハザードとする),追加すべき安全対策について検討 を行い,必要な安全対策を追加した.追加した安全対 策については半定量評価後に実施した事前海域試験で その効果を確認する事とした.ユニットごとの高リス クハザード項目数と安全対策の事前海域試験での確認 項目数をTable 6 に示す.
Table 4 Definition of Frequency Index(FI) according to IMO FSA guidelines 2)
FI 頻度 定義
7 頻繁 1 隻において,月に 1 度発生 5 時々 10 隻において年に 1 度発生 3 希な 1000 隻において年に 1 度発生 1 非常に希な 全世界5000 隻あったとして生涯中に1度発生
Table 5 Definition of Severity Index (SI) according to IMO FSA guidelines (Add some custom definition) 2)
SI 深刻度 定義 人的影響 事業継続性 (アセットへの影響) 4 破滅的影響 複数の死者 永続的停止 3 深刻な影響 単一の死者又は複数の 複数日の停止 2 大きな影響 複数の負傷者又は重症 一日までの停止 1 小さな影響 単一負傷者又は複数の 数分の停止 SI 1 2 3 4 FI 7 8 9 10 11 5 6 7 8 9 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5
Fig.4 Risk Matrix
Table 6 Number of high risk hazard every unit
ユニット RI が 8 以 上のハザ ード SI が 4 の ハザード *左記以 外 ハザード 小計 事前海域 試験で安 全対策を 確認予定 採掘 2 7 9 7 揚鉱 0 11 11 10 採鉱母船 6 5 11 8 掘削母船 3 3 6 5 合計 11 26 37 30 3.4 事前海域試験での安全対策の確認と HAZOP 会議 平成 28 年度には揚鉱試験を安全で効率的に実施す るため,事前に各オペレーション要領及び使用時間の 確認,各種データの取得を目的に事前海域試験を実施 した.同時に,Table 5 に示したように安全対策が確 認可能なものについては,その効果を確認した.高リ スクと評価されたハザードのうち,事前海域試験で安 全対策の確認が行えなかった項目として引火性ガス及 び硫化水素など有害物質の流失があり,これらはスラ リーフローラインの破損もしくは破損がない場合でも 起こりうると考えられることから,スラリーフロー(海 底における鉱石の集鉱から揚鉱,船上での分離を経て 揚鉱水運搬船までのフロー)を HAZOP 会議において 詳細解析を実施する対象とした.HAZOP(Hazard and Operability Study)とは,事故は設計意図からの逸脱 (ずれ)により発生するとの考え方にもとづく安全性評 価手法であり,化学プラント等で幅広く採用されてい る (IEC 618823)).HAZOP の解析は「ずれ」の想定 と,その発生原因と影響(結果)の解析を行い,「ずれ」 が発生した場合の現状の安全対策とその妥当性を確認 する.「ずれ」はガイドワードとパラメータから漏れが ないように抽出する.ガイドワードをTable 7 に,パ ラメータとガイドワードによるずれの例をTable 8 に, HAZOP ワークシートの記載例を Fig.5 に示す. 解析は,対象システムを揚鉱,計測貯留,鉱石分離, 排水処理試験機,揚鉱水移送,水運転排水の6 ノード に分割し,さらに各ノードを数ノードのサブノードに 分割した上で,サブノードごとに行った.「ずれ」の原 因や影響は同じサブノード内にあるとは限らないので, 関連するノードにも原因がないか,影響が生じないか を検討する.HAZOP 会議でも HAZID 会議同様,追 加すべき安全対策があるかどうかの議論を行い,必要 な安全対策を追加した.本会議で特定された「ずれ」 は353 となり,追加提案された安全対策は 83 であっ た.会議で特定されたずれと追加措置の数をTable 9 に示す.
Table 9 Number of deviation and additional measures every node extracted in HAZOP meeting ノード 提示した ずれ 最終的な ずれ 追加 措置 揚鉱 75 32 1 計測貯留 35 42 17 鉱石分離 80 87 24 排水処理 試験機 119 130 16 揚鉱水移送 56 60 25 水運転排水 2 2 0 合計 367 353 83
本会議では分割したノード(サブノード)以外に,全 体に対する整合性の取れた安全対策についても議論が あり,ガス検知器による有害ガス対策,保護具の用意,
サブシステムに閉じないハザードに関しても安全対策 に関しても安全対策が追加立案された.
Table 7 HAZOP guide words
Table 8 Example of deviation due to combination of parameter and guide words
Fig.5 Example of HAZOP worksheet 3.5 差分 HAZID 会議 平成29 年度には,平成 27 年の HAZID 会議開催時 の計画と,平成29 年の揚鉱試験前の段階での計画を 比較したところ,変更が生じていたため,変更部分に HAZID 会議を実施し,変更に 伴う安全性評価を更新した.解析対象はTable 1 に示 した4 ユニットにパレット投入システムを追加したも のである.審議の結果,差分が関係している高リスク ハザードをTable 10 に示すように抽出した.
Table 10 Number of high risk hazard every unit related to operation difference
ユニット RI が 8 以 上の ハザード SI が 4 の ハザード *左記以外 ハザード 小計 採掘 0 5 5 揚鉱 0 2 2 採鉱母船 1 4 5 掘削母船 0 2 2 パレット 投入 0 10 10 合計 1 23 24 3.6 浅海域試験における安全対策の確認 揚鉱試験の約2 ヶ月前には揚鉱試験の円滑な遂行の ために,実機による機能確認や揚鉱管の投入揚収作業 の更なる習熟訓練を目的とした浅海域試験を実施する ことになり,HAZID 会議および差分 HAZID 会議で 高リスクハザードと評価されたものとHAZOP会議の 評価対象であるスラリーフローに関する安全対策もそ の確認を実施した.特に大きな問題は無かったが,一 部,未確認,手配中,揚鉱試験において変更を予定し ているものがあった.浅海域試験での安全対策の確認 結果と,浅海域試験の総評及び問題点を整理し,揚鉱 試験で注意して作業することが重要と考えられる項目 を抽出し,周知した.周知した項目を以下に示す. 作業前の正常動作等の確認 作業手順書の遵守 不具合発見時の対応 他船との情報共有・通信連絡体制 安全対策の中には,避難経路の設定や立ち入り制限, 機器の正常動作の確認など安全性確認といった対策が ある.実海域試験における各作業の手順は号令詞や作 業要領書に記載されており,安全性確認についても号 令詞や作業要領書に作業手順として組込み,確認する ことが適当と考えた.そのため,安全性の確認を号令 詞や作業要領書に組込み,試験前に安全性対策の確認 等を徹底することとした.なお,号令詞は揚鉱試験に 関してのみ作成された. 4. 揚鉱試験の安全性に関する結果の分析と商 業生産に向けた安全ガイドライン項目の抽出 4.1 揚鉱試験の安全性に関する結果の分析 平成29 年 8 月から 9 月にかけ実施した揚鉱試験で もHAZID 会議および差分 HAZID 会議(以下 HAZID
会議等)で高リスクハザードと評価されたものと HAZOP 会議の評価対象であるスラリーフローに関す る安全対策の確認を実施した.揚鉱試験で発生した不 具合は8 件であった.発生した不具合と安全性評価で の事前検討状況をTable 11 に示す. 発生した8 件の不具合は全て HAZID 会議等の対象 であり,HAZOP 会議対象のものは含まれなかった. HAZID 会議等でのハザードとしての事前検討の実施 状況であるが,1 件は別フェーズではあったが,それ も含めると発生した8 件に関しては事前検討と対策は 立案済みであった. HAZID 会議等では設置,稼働,回収の 3 フェーズ で延べ 67 ハザードが高リスクハザードと評価され, そのうち揚鉱試験で発生した不具合は2 ハザードであ った.1 件は別のハザードへの追加対策として措置し たものであるが,追加対策が生じる影響についての検 討が不十分であったため発生したと考えられる.もう 1 件のハザードは稼動時で抽出し,対策立案を実施し たが,実際に生じたのは設置時であり,そのフェーズ ではハザードとしては未抽出であった. HAZID/HAZOP 会議では追加対策を措置し,揚鉱 試験で発生した8 件の不具合事象の多くは追加措置に より原状回復を行った.また,不具合事象の発生も未 然に防いだと考えられる.
Table 11 Problems that occurred in the ore-lifting test
項目 件数 HAZID 会議対象 8 ハザードとしての抽出及び対策立案 8 ・別フェーズでの検討 1 ・高リスクハザードとして評価 2 HAZOP 会議対象 0 4.2 商業生産に向けた安全ガイドライン項目の抽出 3 カ年に渡って実施した安全性評価と各種海域試験 の結果及び安全対策の有効性の確認結果から,海底熱 水鉱床の商業生産に向けた採鉱・揚鉱オペレーション に関する安全ガイドラインを作成する上で考慮すべき 点を以下の通りとりまとめた. (1)使用設備・機器 不具合発生時の不具合箇所の特定及び復旧方 法の検討 海中・海底などでの使用機材については,不 具合発生を未然に防ぐ対策の立案及び船上で の復旧方法の検討 荷重に見合った機材・部品の使用 使用用途に即した機材・部品以外は使用しな い
(2)作業手順 整備作業の実施と確認 気象・海象を考慮した作業手順の実施と確認 安全対策を含む作業手順書の作成と遵守(作 業関係者以外も含む) (3)安全対策 安全対策の着実な実施と確認導入実績のない 安全対策については事前テストの実施と徹底 作業現場の立入制限(人払い) (4)安全性評価 ハザードの洗い出し 追加安全対策採用時の再評価必要性の確認 4.3 商業生産に際して検討すべき課題 揚鉱試験の結果などから商業生産に際し,検討すべ き課題は以下の通りである. 揚鉱試験と異なる部分(規模,船団配置等)を考 慮したハザードに対する再評価及び安全ガイ ドラインの策定が必要である.安全ガイドラ インは海洋鉱物資源開発を念頭に置いた評価 手法手順,評価項目,参照情報等を纏めたも のとなるが,詳細については今後検討される ことが望まれる. 想定外のトラブル発生時に,急遽オペレーシ ョンを変更する際の安全性に係る確認方法の 検討が必要である. 一般的な作業(通常作業)も含め手順書の作成 及び遵守,作業前の安全確認の徹底が必要で ある. 5. まとめ 経済産業省委託事業としてJOGMEC が実施してい る海底熱水鉱床開発にかかる事業にコンソーシアムと して参加し,安全性評価を実施した.本安全性評価は 計画初期から事業の進行に応じて実施し,その結果か ら事業の計画に反映し,反映した計画に対して再度安 全性評価を実施するなど,事業計画に合わせて評価を 実施した.揚鉱試験終了後には安全性に関する分析か ら将来の商業生産に向けての安全ガイドラインの抽出 及び検討すべき課題の抽出を実施したものである.以 下,実施内容をまとめる. 平成 27 年度に実施した計画初期段階での HAZID 会議で揚鉱試験におけるハザードの抽出を行い,安全 対策の妥当性を検討した.平成28 年度に実施した半 定量評価により高リスクハザードと判定されたものに 安全対策については平成 28 年度に実施した事前海域 試験で確認を行った.スラリーフローに関する安全対 策は事前海域試験等でその効果が確認出来なかったこ ともあり,詳細分析が必要と判断され,HAZOP 会議 にて分析を実施し,必要な安全対策を立案した.高リ スクハザード及びHAZOP会議での分析対象に関する 安全対策については,平成 29 年度に実施した浅海域 試験及び揚鉱試験において確認を実施した.揚鉱試験 においては8 件の不具合が発生し,うち高リスクハザ ードは2 件あった.不具合事象も多くは事前立案され た安全対策により原状回復を行った.また,揚鉱試験 で得られた知見から,海底熱水鉱床の商業生産に向け た採鉱・揚鉱オペレーションに関する安全ガイドライ ンを作成する上で考慮すべき点をとりまとめた. 本安全性評価はパイロット試験の進行に合わせて実 施したもので,試験計画が安全性評価の結果やコンソ ーシアム内の議論などから初期計画からの変更があっ たため,計画変更部分に着目した差分HAZID 会議を 実施し,計画変更に応じた安全対策の立案を実施した. 本安全性評価で特徴的な部分としては計画変更部分に 着目することにより,新たなハザードを効率的に抽出 し,安全対策の立案が可能となった.ただし,ハザー ド抽出と安全対策の立案が揚鉱試験の3 ヶ月前からの 着手となったため,計画変更に伴い追加された対策に ついては検討が不十分なものもあった.また,差分 HAZID 会議で立案した安全対策が新たなハザードと なった部分もあるため,追加対策については新たなハ ザードにならないかなどの検討を行うための時間も必 要と考えられる. 謝辞 本研究は, 経済産業省の委託を受けて独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構が実施している海底 熱水鉱床開発にかかる業務の一環として実施したもの である.関係各位に謝意を表す. References
1)METI, JOGMEC, National PMS developing project comprehensive evaluation report (in Japanese), (2018) http://www.jogmec.go.jp/content/300359550.pdf 2)IMO, Guidelines for the Application of Formal Safety Assessment (FSA) for Use in the IMO Rule-Making Process, MSC/Circ. 1023 MEPC/Circ. 392 (2002) 3)IEC 61882, Edition 2.0, Hazard and operability studies (HAZOP studies) - Application guide, (2016)