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密教研究 Vol. 1930 No. 37 004行繩 榮範「金剛頂經の藏漢對照上に於ける一考察 P77-96」

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(1)

一 ﹁ 金 剛 頂 経 ﹂ は 廣 義 的 に 所 謂 十 八 會 十 萬 頚 経 の 総 稽 で あ る が、 教 學 的 に は 此 の 十 入 會 十 萬 頚 経 の 中 特 に ﹁ 初 會 経 ﹂ た る 宋 施 護 鐸 の ﹁ 佛 説 一 切 如 來 眞 實 大 乗 現 謹 三 昧 大 教 王 経 三 十 巻 ( 以 下 三 十 巻 教 王 経、 又 に 宋 鐸 ミ 暑 構 す ) を 指 示 す べ き で あ ら う。 然 し 高 租 大 師 の 御 請 來 ど そ の 教 権 的 立 瘍 の 上 か ら 狡 義 的 に 普 遁 は 此 の ﹁ 初 會 経 ﹂ の 四 大 品 中 の 金 剛 界 大 品 中 の 大 曼 茶 羅 廣 大 儀 軌 分 を 鐸 出 せ る 唐 不 塞 鐸 の ﹁ 金 剛 頂 噌 切 如 來 眞 實 擾 大 乗 現 謹 大 教 王 経 三 憲 ﹂ ( 以 下 三 巻 教 王 経、 又 は 唐 鐸 ピ 稻 す ) を 意 味 す る こ ど は 謂 ふ ま で も な い。 今 ﹁ 金 剛 頂 経 ﹂ の 基 本 的 研 究 の 第 一 次 ど し て 不 室 鐸 の ﹁ 三 憲 教 王 経 ﹂ ( 大 正 藏・ 一 八・ 一〇 七 ) を 底 本 ど し て 施 護 課 の コ ニ 十 岩 教 王 経 ﹂ 中 六 馨 過 宇 ま で ( 大 正 藏 ・ 一 八 ・ 三 五 九 ) を 封 校 し、 此 等 漢 鐸 経 ど 西 藏 繹 ﹁ 金 剛 頂 経 ﹂ ( デ ル ゲ ー 版 秘 密 部 惣 暫鉄 ー 初 ー 三 五 葉 下、 北 京 版 ー 秘 密 部 第 八、 初 ー 三 八 葉 下 ) 即 ち ) Da-bshin-gcegg-pa

kho-ma-nid bsdus-pa shes-ba theg-achen-pohi-modo

( 一 切 如 來 の 眞 實 を 擾 し 陀 る も の ど 名 つ く る 金 剛 頂 経 の 蔵 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 七 七

(2)

金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 二 考 察 七 八 大 乗 経 ) ど を 比 較 封 照 し て、 柳 か 本 文 批 評 の 立 瘍 に 於 い て 原 典 を よ り よ く 領 解 せ ん が た め に、 二 三 の 考 察 を 試 み ゃ う。 勿 論 藏 漢 雨 課 を 逐 次 文 々 句 々 比 較 劃 照 す る こ ど は 徒 ら に 煩 磯 に 堕 す る か ら 別 書 に 譲、 る ど し て 今 は 特 質 的 差 異 ・ 若 く は 相 關 的 相 似 の 重 大 な る 問 題 に 就 い て 極 め て 概 括 的 に 考 察 し や う。 二 金 剛 頂 経 の 藏 灘 爾 繹 の 封 照 上 に 於 け る 重 大 な る 課 題 ど し て、 先 づ 爾 課 の 特 質 的 差 異 を 指 摘 し た い。 具 膿 的 に 謂 へ ば 西 藏 澤 の み に 存 し て 漢 繹 (唐、 宋 爾 誰 ) に 全 然 鉄 け た る 一 文 を 見 出 す の で あ る。 即 ち 慈 畳 大 師 の ﹁ 金 剛 頂 経 疏 ﹂ (以 下 箆 疏と 暑 構 す ) の 分 科 に よ れ ば 所 謂 諸 佛 加 持 現 謹 の 説 段 に 於 い て、 三 岩 教 王 経 上 巻 (大 正 藏・ 一 八・ 一〇 八 ) ﹁ 三 十 岩 教 王 経 ﹂ 第 ︼ 巻 (大 正 藏・ 一 八・ 三 四 二 ) ・西 藏 繹 ( デ ル ゲ ー、na-4, L.b 北 京・5, I, a ) の 三 繹 を 野 照 す る に

(西

)

ひ、

( 唐 謬 ) ニ

デ ノ ノ ニ 當 二 彼 刹 那 頃 一 シ テ ノ

ノ テ

智一、

リ ノ 入 二 二 切 如 來 李 等 智

(

)

テ ニ

ナ ノ ノ ヂ 以 二 一 切 如 來 李 等 智 一 レ リ

チ リ 即 入 二 一 切 如 來 金 剛 季 等

(3)

秘 密 印 三 昧 耶 に 入 り 給 ひ、 ﹁ 一 切 如 來 の 金 剛 賓 灌 頂 の 李 等 性 の 智 の 秘 密 印 三 昧 耶 に 入 り ﹂ 一 切 如 來 の 法 李 等 性 の 智 に 通 達 し て 自 性 清 浄 な り。 一 切 如 來 の 一 切 李 等 性 自 性 明 亮 に し て 智 の 根 源 ど な れ る 所 の 如 來 慮 供 正 等 畳 者 ど な り 給 へ り。 二 三 昧 耶 一 ノ ヲ 謹 二 一 切 如 來 法 李 等 智 齢 ナ リ シ 自 性 清 津 則 成 二 一 切 如 來 挙 等 ノ

タ リ

ノ ゆ ヂ 最 上 智 印 秘 密 三 昧 一 シ テ 現 二 謹 一 切 如 來 法 李 等 智 一 ナ リ シ 自 性 清 浮 成 二 就 ノ 一 切 如 家 一 切 李 等 ノ

テ 智 一 ズ

テ 正 等 正 畳 ○ 此 の 三 課 の 中 ﹁ 唐 宋 ﹂ の 爾 澤 は 句 例 に 小 異 を 見 る も 経 意 は 大 同 で あ る。 然 る に ﹁ 西 藏 繹 ﹂ は 唐 宋 爾 謬 に 全 然 鋏 け セ る コ 切 如 來 の 金 剛 大 寳 灌 頂 云 々 ﹂ の 一 文 を 謬 出 し て ゐ る こ ど は 藏 漢 爾 繹 封 照 上 に 於 け る 興 昧 あ る 特 異 鮎 で あ ら う。 蓋 し 此 の ﹁ 時 世 尊 金 剛 界 ﹂ 以 下 の 一 節 は 古 來 の 繹 義 も 亦 難 解 で あ る が、 昼 疏 ( 二 入 五 〇 丁 左 ) に よ れ ば ノ ナ リ 四 明 三 金 剛 界 如 來 現 二 謹 五 智 菩 提 一也 〇 五 句 如 ゾ 次 即 是 五 智。 加 持 顯 密 以 爲 二 謹 入 讃 成 等 一云 云 金 剛 頂 経 の 蔵 漢 封 照 上 に 於 け ろ 一 考 察 七 六

(4)

金 爾 頂 脛 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け ろ 一考 察 八 〇 ど 繹 し て 本 経 文 の ﹁ 現 謹 等 畳 ﹂ を 眞 如 の 理 智 不 二 に 契 合 せ る 畳 智 自 受 用 法 界 智 に 配 罧 し、 以 下 ﹁ 二 切 如 來 李 等 智 ﹂ を 大 圓 鏡 智 に、 ﹁ 一 切 如 來 李 等 智 三 昧 耶 ﹂ を ﹁ 理 趣 繹 ﹂ に 準 繹 し て 季 等 性 智 に、 ﹁ 謹 一 切 如 來 法 李 等 智 自 性 清 浮 智 ﹂ を 妙 観 察 智 に ﹁ 則 成 一 切 如 來 李 等 自 性 云 云 ﹂ を 成 所 作 智 に 夫 々 配 繹 し て、 ﹁ 謹 二 五 智 一者 即 衆 號 具 足 故 云 二 如 來 慮 供 等 一﹂ ど 具 緯 し て あ る。 然 る に 曇 寂 師 の ﹁ 大 教 王 経 私 記 ﹂ (七. 四 四 丁 左。 以 下 私 器 ミ 暑 稽 す ) を 槍 索 す る に、 ﹁ 時 世 奪 至 正 遍 智 ﹂ の 一 文 を 繹 し て 此 明 下 由 二 諸 佛 加 持 一故 圓 二 満 四 智 購具 中 足 三 號 上 也、 (二) ど ﹁ 畳 疏 ﹂ の 五 智 配 緯 を 難 じ、 蓮 花 部 心 儀 軌 (大 正 藏・ 論 八・ 三 〇 一ご を 引 謹 し て 四 佛 四 所 四 智 を 委 説 し て ゐ る。 そ の 四 智 配 繹 を 見 る に、 現 謹 等 畳 を 大 圓 鏡 智 に 配 し、 一 切 如 來 卒 等 智 以 下 の 三 句 を 次 の 如 く 李 等 性 智 ・ 妙 観 察 智 ・ 成 所 作 智 に 配 次 し て 終 り の 如 來 慮 供 正 遍 智 ど は 四 佛 加 持 に 由 る が 故 に 佛 身 圓 満 三 號 を 具 足 す る 義 で あ る ど 具 繹 を 壷 し て ゐ る。 特 に ﹁ 畳 疏 ﹂ が ﹁ 現 謹 等 畳 ﹂ を 法 界 智 に 配 輝 し ﹁ 一 切 如 來 李 等 智 ﹂ を 大 圓 鏡 智 に 配 繹 せ る 難 義 を 批 判 し て ラ グ ナ リ ノ ノ ハ ニ ノ ニ

可。

一何

智一。

一量

ナ ラ ン ノ ニ ス ヲ ノ ナ リ フ ヲ 界 智 乎。 又 此 中 明 具 二 四 智 一諸 軌 説 分 明 何 云 ゾ 具 二 五 智 一乎 ﹄ ど 四 智 配 繹 を 提 唱 し て ゐ る。 さ て ﹁ 畳 疏 ﹂ ﹁ 私 記 ﹂ の 繹 義 に 劃 す る 是 非 は 暫 く 措 く も、 今 ﹁ 西 藏 鐸 ﹂ の み に

(5)

存 す る ﹁ 一 切 劾 來 金 剛 寳 灌 頂 の 季 等 性 智 の 秘 密 印 三 昧 耶 に 入 り 給 ひ ﹂ の 一 句 を 假 り に 補 修 し て 緯 義 を 試 み 得 る ど せ ぱ 更 に 問 題 は 展 開 す る で あ ら う。 今 繹 迦 彌 恒 羅 (Cakya-mitra)

のKosalalamkara-tattva samgraha tika

( 京 版、 五 〇 函. 二 六 葉 下 ・ 以 下 繹 友 の ﹁ 疏 ﹂と 暑 構 す に よ れ ば 此 の 一 段 を、 四 種 李 等 性 に 配 緑 し 終 り て 此 の 李 等 性 の 四 種 相 ど は 種 好 の 李 等 性 の 一 切 最 勝 の 相 を 具 せ る 義 を 説 く の で あ る。 か く し て 此 の 功 徳 を 具 す る に 至 る が 故 に 云 云 ど 説 明 し て ゐ る が、 特 に 注 意 す べ き は、 前 に ﹁ 西 藏 鐸 ﹂ の み に 具 せ る 一 文 ど し て 指 摘 せ る ﹁ 一 切 如 來 金 剛 大 寳 灌 頂 の 準 等 性 智 云 云 ﹂ の 句 を、 此 の 繹 友 の ﹁ 疏 ﹂ で は 牒 繹 し て ゐ な い こ ど で あ る。 輝 義 の 便 宜 上 此 の 一 句 を 省 略 せ る も の ど 安 贋 な 承 認 を 與 ふ る よ り 寧 ろ 穿 つ て 謂 へ ば 緯 友 の ﹁ 疏 ﹂ の 梵 本 に は 此 の 一 句 を 鉄 い て ゐ た で は な か ら う か。 然 ら ば 現 傳 の デ ル ゲ ー、 北 京 版 等 の 西 藏 謬 に 於 け る 此 の 一 句 は 後 世 の 窟 入 で あ ら う か。 此 等 原 典 の 本 文 批 判 は 至 難 で あ る が 今 慶 喜 藏 (Ananda-garbha ) の ﹁ 繹 ﹂ のSarvata

tattva-samgraha mahayanabhisamaya tantra-tattvaloka

(北 京・ 五 二・ 四 八 葉 下 ) を 検 索 す る に 此 の 一 文 は 正 に 牒 繹 さ れ て ゐ る。 彼 は そ の ﹁ 繹 ﹂ に 金 寳 法 業 の 四 部 四 智 に 配 繹 し て、 此 の 四 部 四 智 を 統 撮 謹 知 す る を 慮 供 正 遍 知 者 ど 繹 し て ゐ る。 即 ち 金 剛 薩 唾 等 が 如 來 部 の 自 性 を 具 有 し て 此 等 の 李 等 性 は 第 一 義 に 於 い て 眞 如 性 に 同 一 理 趣 で あ る。 此 金 剛 頂 纏 の 藏 漢 到 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 一

(6)

金 剛 頂 纏 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 二 の 曼 茶 羅 等 の 理 趣 は 異 り た る こ ど な き を 以 つ て 分 開 さ れ た 所 の 俗 諦 (Kun-rdsob-bden-pa ) も 亦 挙 等 性 で あ る。 此 の 眞 實 な る 智 に 由 つ て 現 謹 正 畳 を 得 る の で あ る。 ど 李 等 性 の 説 明 を 廣 く 曼 茶 羅 儀 則 を あ げ て 具 繹 し 次 に 又 一 切 如 來 の 金 剛 李 等 性 の 大 寳 の 族 の 眞 實 性 を 以 つ て、 李 等 性 な る 所 以 は 前 述 の 如 く に し て 彼 の 印 秘 密 性 そ の 三 昧 耶 の 灌 頂 等 の 布 施 を な す を 以 つ て、 一 切 の 有 情 を 歎 喜 せ し む、 此 れ に 佳 し て 謹 悟 す る が 故 に 彼 の 眞 如 性 に 相 慮 す ど 説 く の で あ る。 一 切 如 來 の 法 は 達 花 部 の 自 性 で あ る。 此 等 の 李 等 性 は 又 前 に 説 け る が 如 く で あ る、 ﹁ 乃 至 ﹂

て、

る の で あ る、 ﹁ 乃 至 ﹂ 期 の 如 く 四 智 を 謹 得 す る そ の 刹 那 に 於 い て、 我 は ︼ 切 如 來 ど 同 等 で み る ど い ふ 観 法 に 由 つ て 過 去 の 諸 佛 の 如 く 畳 知 謹 得 す る が 故 に 輔 切 如 來 ど い ふ の で あ る。 無 顛 倒 ど 殺 賊 ど の 故 に 慮 供 ど 稽 し、 此 れ

なく

で あ る。 ( 取 意 抄 課 )

西

て、

て あ る の で あ る。

(7)

此 等 の 槍 照 に 於 い て 現 傳 の ﹁ 西 藏 課 ﹂ ど ﹁ 漢 謬 ﹂ ど の 特 異 貼 が 如 何 な る 關 係 を も つ か は 輕 々 に 噺 じ 得 な、 い が、 此 の ﹁ 時 世 奪 金 剛 界 如 來 云 云 ﹂ の 一 文 の 轟 相 に 於 い て、 五 智 に 配 繹 し 或 は 四 智 に、 或 は 四 種 李 等 に、 或 は 四 部 に 夫 々 配 繹 せ る 義 邊 よ り 考 れ ば、 ﹁ 藏 鐸 ﹂ の み に 存 す る ﹁ 綱 切 如 來 の 金 剛 寳 灌 頂 の 季 等 性 智 の 秘 密 印 の 三 昧 耶 に 入 り 給 へ り。 ﹂ の 一 文 は 本 経 の 教 理 機 構 の 上 よ り 見 る も 強 ち 後 世 の 添 加 窟 入 ど の み 論 じ 去 る こ ど は で き な い ど 思 ふ。 寧 ろ 原 型 た る 梵 本 の 相 異 ど 見 る べ き が 要 當 で は な か ら う か。 更 に 具 盤 的 に 推 論 す れ ば、 ﹁ 漢 謬 ﹂ に は 卒 等 性 智 に 配 繹 さ る べ き ﹁ 金 剛 寳 灌 頂 等 ﹂ の 南 方 寳 部 に 相 慮 す る 字 句 を 課 出 せ ざ る が 故 に、 ﹁ 畳 疏 ﹂ ( ニ ノ 五 一 丁 ) ﹁ 私 記 ﹂ (七 ノ 四 六 丁 ) は ﹁ 入 一 切 如 來 卒 等 智 三 昧 耶 ﹂ の 十 一 字 を 苦 罧 し て 此 の 一 句 を 南 方 寳 部 卒 等 性 智 に 配 繹 し た の で は な か ら う か。 然 も ﹁ 私 記 ﹂ は 此 の 三 昧 耶 は ﹁ 理 趣 緯 経 ﹂ に よ れ ば 曼 茶 羅 の 異 名 で あ る か ら 入 三 昧 耶 ご は 入 灌 頂 の 義 で あ る ど 委 繹 し て ゐ る が、 今 假 り に ﹁ 西 藏 澤 ﹂ の ﹃ 一 切 如 來 の 金 剛 大 寳 灌 頂 云 云 ﹄ の 一 文 を ﹁ 入 一 切 如 來 李 等 智 三 昧 耶 ﹂ の 次 下 に 補 修 せ ば、 明 か に 南 方 寳 部 李 等 性 智 に 配 繹 さ れ 得 る こ ど は 慶 喜 藏 の ﹁ 繹 ﹂ に 封 比 す る も 肯 首 し 得 る 所 で あ る。 私 に 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 差 異 を 指 摘 し て 夫 等 の 繹 義 を 槍 索 す る に、 原 典 の 相 異 か 若 く は 経 典 登 達 の 必 然 的 進 化 形 式 ど し て の 補 修 添 加 で あ る か は 速 断 し 得 な い が、 此 の 藏 謬 の み に 現 存 せ る ﹁ 一 切 如 來 の 金 剛 費 灌 頂 云 云 ﹂ の 一 文 を 補 修 し 豫 想 す る こ ど に 由 つ て、 ﹁ 漢 繹 ﹂ ど そ の 疏 騨 ど の 未 了 義 を 顯 正 す る こ ど が で き る の で あ る。 金 剛 頂 経 の 藏 漢 野 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 三

(8)

金 剛 頂 纏 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け ろ 一 考 察 八 四 ( 註 一 ) 西 藏 鐸 ご 云 ふ も、 今 は デ ル ゲ ー。 北 京 版 の み に て、 ナ ル タ ソ 版 た 校 合 で る の 機 含 を 持 れ ね の は 實 に 遺 憾 で あ ろ が、 更 に 樵 討 再 考 な 期 す。 ( 三 ) 蓮 花 部 心 儀 軌 ( 大 正 藏 ・ 一 八 ・ 三 〇 二 ) の 丈 に ﹁ 次 結 四 如 來 三 昧 耶 契 印 各 以 本 眞 言 而 用 加 持 均 不 動 佛 於 心 賢 生 尊 於 額 無 量 藷 於 喉 不 空 成 就 頂 蓉 云 ﹂ 三 次 に 藏 漢 雨 課 劃 照 の 上 か ら 本 文 批 評 の 立 場 に 於 い て 相 互 的 に 比 較 検 討 し て 本 経 の 領 解 を 容 易 な ら し め、 そ の 原 典 的 眞 相 を 窺 知 す ぺ く、 二 三 の 小 考 を 略 述 し や う。 さ て 本 経 通 序 の 説 段 の 中 ﹁ 衆 成 就 ﹂ の 一 節 に 於 い て、 初 め に 聖 衆、 次 に 聖 衆 の 敷、 次 に 上 首 ど し て の 八 大 菩 薩 の 列 次 を 説 く の で あ る。 今 藏 唐 宋 の 三 謬 を 封 照 す る に ( 西 藏 謬 )

り。

( 唐 鐸 )

倶、

( 宋 謬 )

倶、

(9)

虚 室 藏 ご 金 剛 拳 ど 文 珠 ど 縫 登 心 韓 法 翰 ど 虚 室 庫 ど 擢 一 切 魔 ど の 菩 薩 摩 詞 薩 の 九 十 九 倶 砥 ど、 ( デ ル ゲ イ ・ 二 ・下 北 京 ・ 二 ・下 )

(大

)

(

・三

)

先 づ 三 課 の 中 ﹁ 西 藏 繹 ﹂ ど ﹁ 宋 繹 ﹂ ど の 聖 衆 の 敷 に 於 い て 九 十 九 倶 豚 ど 鐸 出 せ る に 封 し て ﹁ 唐 鐸 ﹂ 濁 り 九 十 倶 砥 ど な つ て ゐ る。 蓋 し ﹁ 理 趣 経 ﹂ に は 入 十 倶 股 ど な し、 ﹁ 理 趣 分 ﹂ に は 八 百 萬 ど ﹁ 實 相 般 若 ﹂ に は 入 倶 砥と、 ﹁ 境 界 維 ﹂ は 十 六 倶 砥 こ な つ て ゐ る が、 ﹁ 私 記 ﹂ ( 五. 二 四 丁 ) に よ れ ば 理 趣 経 の 入 十 倶 砥 ど は 八 大 菩 薩 を 標 す る 法 門 の 深 義 な る 理 趣 を 説 く の で あ る。 然 ら ば 本 経 の 九 十 倶 朕 若 く は 九 十 九 倶 砥 は 如 何 な る 標 幟 な る か の 問 に 答 へ て、 凡 密 教 列 衆 皆 表 二 曼 茶 羅 位一、 今 此 八 菩 薩 佛 内 徳 故 園 二中 台 毘 盧 遮 那一、 是 以 標 中 約 表 二中 台 九 尊 敷 嚇 云 二 九 十 義 一 不 二 相 違 一也。 金 剛 頂 脛 の 藏 漢 劃 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 五

(10)

金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 六 と 會 繹 し て あ る 義 邊 よ り す れ ば、 九 十 若 く は 九 十 九 倶 砥 は 法 門 の 標 相 深 義 に し て 徒 ら に 鑑 脱 或 は 誤 寓 な り ど 論 じ 去 る よ り も、 寧 ろ 梵 本 の 相 異 ど 見 る べ き か。 次 に 問 題 ど な る は 入 大 菩 薩 の 列 次 が 各 諜 相 異 せ る 黙 で あ る。 前 記 の 如 く 唐 鐸 は 金 剛 手 ・観 自 在 ・ 曼 殊 虚 察 藏 ・ 金 剛 拳 等 の 次 第 で あ る。 然 し 古 來 先 徳 は ﹁ 理 趣 繹 脛 ﹂ ( 大 正 藏・ 一 八・ 六 〇 七 ) の 繹 相 を 依 用 し て、 唐 鐸 経 の 列 次 を 齪 脱 ど し て 八 大 菩 薩 の 配 次 を 朱 加 愛 改 し て 繹 義 し て ゐ る や う で あ る。 即 ち 金 剛 手 ・ 観 自 在・ 虚 察 藏 ・ 金 剛 拳 を 次 の 如 く 東 南 西 北 の 四 方 に 配 次 し、 封 方 の 次 第 に よ つ て 文 殊 以 下 を 東 南 ・西 南・ 西 北 ・ 東 北 の 四 隅 に 順 轄 の 次 第 を 以 つ て 配 次 す る の で あ る。 此 れ は 高 租 の ﹁ 眞 實 経 文 句 ﹂ (大 師 全・ 一・ 七 三 三 ) の 所 説 に 準 擦 し て ゐ る こ ど は 謂 ふ ま で も な い。 然 る に ﹁ 西 藏 繹 ﹂ は 金 剛 手 ・ 観 自 在 ・ 虚 察 藏 ・ 金 剛 拳 ・ 文 殊 ・縄 曇 心 縛 法 輪 ・ 虚 塞 ・庫 催 一 切 魔 の 次 第 に 課 出 さ れ て、 そ の 入 大 菩 薩 の 列 次 は ﹁ 理 趣 経 ﹂ の そ れ ど 同 位 で あ る。 從 つ て 古 來 先 徳 が ﹁ 緯 経 ﹂﹁ 文 句 ﹂ ﹁ 義 訣 ﹂ ( 三 六 ) 等 の 繹 義 を 依 用 し て ﹁ 唐 謬 ﹂ 八 大 菩 薩 衆 の 列 次 に 飢 脱 を 指 摘 し て ゐ る が、 今 ﹁ 藏 澤 ﹂ ど の 封 照 に 於 い て 如 實 に 明 謹 さ れ る の で あ る。 然 も 入 大 菩 薩 が 一 團 ど な り て 衆 成 就 の 聖 衆 上 首 ど な れ る 教 理 史 的 開 展 の 上 か ら、 此 の 八 大 菩 薩 の 列 次 配 位 の 問 題 は 注 意 を 要 請 さ れ る の で あ る。 特 に ﹁ 宋 謬 ﹂ が 七 菩 薩 を 畢 げ て ﹁ 金 剛 拳 菩 薩 ﹂ を 繹 出 せ ざ る 如 き は、 唐 藏 雨 謬 封 照 の 上 に 於 い て 明 か に 脱 落 誤 寓 な る ぺ く、 假 り に 此 の 金 剛 拳 を 虚 塞 藏 の 次 下 に 補 修 し 得 れ ば、 ﹁ 藏 繹 ﹂ 等 ど 同 位 で あ る。

(11)

要 す る に 藏 漢 封 照 に 於 い て ﹁ 唐 澤 ﹂ は そ の 入 大 菩 薩 の 列 次 に 凱 脱 が あ り、 ﹁ 宋 鐸 ﹂ は 入 大 菩 薩 の 中 に 金 剛 拳 の 一 菩 薩 を 鉄 脱 し て ゐ る ど 思 は れ る。 西 藏 澤 は 此 の 爾 繹 の 鉄 脱 を 補 修 領 解 す る に 重 要 な る 地 位 が 與 へ ら れ る。 此 の 例 示 ど し て 義 利 ・ 金 剛 ( 紳 通 ) ・持 明 ・ 最 勝 の 四 種 成 就 の 儀 則 を 説 け る 一 段 に 於 い て、 三 謬 を 封 照 す る に、 ( 西 藏 課 ) 次 に 悉 地 の 廣 天 な る 儀 則 を 説 く べ し。 先 づ 初 め に 誰 人 で も 義 利 を、 成 就 せ ん ど 欲 せ ば 此 の 心 眞 言 を 以 つ て す べ し。 義 利 成 就 あ れ よ 此 れ に 由 っ て 印 を 成 就 せ は 欲 す る ま、 の 大 財 を 得 べ し (唐 繹 ) 次 説 初 欲 一求 義 利 成 就 一 以 二 此 眞 晶章 逼 佗 悉 地 由 二 此 眞 言 一 随 レ 意 得 二 金 剛 成 就 脚 ( 宋 澤 ) 復 ・次 魯 旦 二 説 諸 成 紬机 儀 則 君 欲 二 求 義 利 成 就 一者 調 二 此 心 明 一日 阿 哩 他 悉 提 由 二 是 心 明 一得 二 印 成 就 一

金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 七

(12)

金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 八 八 さ て 次 に 金 剛 成 就 を 欲 せ ば 此 の 心 眞 言 を 以 つ て す ぺ し ﹁ 金 剛 成 就 あ れ よ ﹂ 此 れ に 由 つ て 欲 す る が ま、 の 金 剛 成 就 を 得 ぺ し。 次 に 持 明 の 成 就 を 欲 せ ぱ 此 の 心 眞 言 を 以 つ て せ よ ﹁ 金 剛 持 明 成 就 あ れ よ ﹂ 此 れ に 由 つ て 欲 す る 何 物 を も 意 の ま、 に 持 明 を 成 就 す べ し ( デ ー・ 三 四 上・ 北・ 三 七 葉 上 ) 次 説 一 金 剛 悉 地 成 就 一 以 二 此 心 眞 昌章 嚇 日 羅 悉 地 次 説 二持 明 成 就 鱒 以 三 此 心 眞 言 嚇 嚇 日 難 尾 彌 也 達 羅 由 ゾ 此 随 レ 意 即 得 二 持 明 成 就 一 ( 大 ・ 一 八 ・ 二 一 一 三 ) 又 若 欲 二 求 紳 蓮 成 就 幽者 諦 二 此 心 明 一 日 哩 提 悉 地 又 若 欲 二 求 金 剛 持 明 成 就 一者 謙 二 此 心 明 一 日 嚇 日 照 尾 馳 達 難 由 二 是 心 墾 随 二 其 所 樂 一即 得 二 最 上 一 持 明 成 就 一( 大・ 一 八・ 三 五 八 ) 此 れ に 由 れ ば ﹁ 唐 繹 ﹂ は 藏 諜 の ﹁ 次 に 悉 地 の 廣 大 な る 儀 則 を 説 く べ し ﹂ の 一 文 に 相 當 す る 句 を 敏 き 又 ﹁ 此 れ に 由 つ て 欲 す る が まヽ の 金 剛 成 就 を 得 ぺ し ﹂ に 相 當 す る 句 は 唐 宋 爾 澤 に な し。 但 し ﹁ 唐 澤 ﹂ の 義 利 成 就 の 功 能 を 説 け る ﹁ 由 二 此 眞 言 一随 意 得 金 剛 成 就 ﹂ を 出 す 句 は 明 か に 次 の 金 剛 成 就 印 言 の 功 能 を 宣 説 せ る 義 趣 な る が 故 に、 鱗 脱 こ し て 囎 日 羅 悉 地 の 次 下 に 補 修 挿 入 せ し む べ き で あ ら う。 ﹁ 私 記 ﹂ ( 一 八・ 三 七 丁 )

(13)

は 此 を 指 摘 し て ノ ノ 今 経 云 得 二 金 剛 成 就 一者 恐 爲 誤 歎。 金 剛 成 就 是 次 眞 言 也。 ど 考 謹 し て ゐ る が、 今 ﹁ 西 藏 繹 ﹂﹁ 宋 鐸 ﹂ の 封 照 に 待 つ て 明 か に 裏 書 き さ れ る ど 思 ふ ℃ 然 し ﹁ 得 金 剛 成 就 ﹁ の 一 句 を 働 脱 ど し て 嘱 日 麗 悉 地 の 次 下 に 補 修 す れ ば、 義 利 成 就 印 言 の 功 能 を 説 け る 句 が 訣 け る こ ど に な る。 果 し て 然 ら ば 唐 繹 は ﹁ 得 金 剛 我 就 ﹂ の 一 句 に 麟 脱 が あ り、 又 義 利 成 就 の 功 能 を 説 け る 一 句 を 鉄 き ﹁ 宋 繹 ﹂ は 紳 通 成 就 ( 金 剛 成 就 ) の 功 能 を 説 く 句 を 映 く の で あ る が、 藏 繹 は 四 種 成 就 の 心 眞 言 及 び 功 能 を 具 説 し て ゐ る。 此 等 封 照 の 關 係 は 軍 に 梵 本 の 相 異 ど し て 承 認 す る に は、 鯨 り に も 簡 明 な る 構 文 上 の 問 題 で は あ る。 假 り に 本 経 の 形 式 上 に 於 い て 既 に 入 坦 得 名 の 後 に、 ﹁ 則 問 弟 子 言、 汝 愛 樂 出 生 悉 地 智 耶、 棘 通 悉 地 智 耶 持 明 悉 地 智 耶 ﹂ 輪調 云 (大. 一 八. 一二 九 ) ど 廣 く 四 種 悉 地 成 辮 の 印 智 を 具 説 せ る を 以 つ て、 此 の 所 に 至 つ て は 傳 謬 の 聖 者 の 取 捨 省 略 に よ る が 故 で あ る ど す る も、 本 経 の 眞 相 を 正 し く 領 解 せ ん ど せ ぱ 忠 實 な る 逐 字 課 把 る ﹁ 藏 課 ﹂ を 補 修 し て 見 直 す べ き で あ ら う。 ( 註 二 ) ﹁境 昇 纏 ﹂( 大 正 藏 ・ 一 八 ・ こ 七 〇 ) に は 金 剛 蔵 以 下 金 剛 拳 に 至 る 列 名 は 實 ほ 十 五 菩 薩 で あ る が 浄 嚴 師 の 朱 加 にふ れ ば 一 菩 薩 た 補 入 し て 十 六 菩 薩と な す。 (註 二 ) 眞 貿 経 丈 句 (大 師 金 集 ・ 一 ノ 七 三 三 ) 就 二纂 列 名 中 一則 有 八 菩 薩. 即 是 如 γ次 俵 二大 日 如 來 月 輪 震 免 離 炊 巽 坤 乾 艮 之 八 方 軸而 金 劇 頂 纏 の 薩 漢 野 照 上 仁 於 げ る 一 考 察 八 九

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金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 〇 侍 二衛 之 一云 云 ﹂ 四 次 に 藏 漢 雨 謬 を 封 照 し て そ の 中 特 に ﹁ 藏 課 ﹂ ど ﹁ 宋 澤 ﹂ ど が 相 似 的 關 係 に あ り て ﹁ 唐 謬 ﹂ の み 濁 り 相 異 な れ る 二 三 に 就 い て 本 文 批 判 を 試 み や う。 さ て 本 経 の 三 十 七 尊 出 生 の 説 段 の 中 特 に 金 剛 因 菩 薩 出 生 の 一 節 に 於 い て、 ﹁ 唐 藻 ﹂ (大 正 藏・一 八・ 二 一 〇 ) に よ れ ば、 即 ち ﹁ 從 二 彼 金 剛 輪 形 轍出 二 一 切 世 界 微 塵 等 如 來 身 c 縫 登 心 轄 法 輪 故 金 剛 薩 唾 三 摩 地 極 堅 窄 故 聚 爲 二 一 盟 一云 云 ﹂ の 一 段 を 仔 細 に 検 照 す る に 微 塵 等 如 來 身 の 次 下 に 一 文 の 落 脱 が あ る ど 思 は れ る。 義 訣 (二 八 ) の 繹 相 に よ れ ば 依 因 ・ 顯 本 ・慮 實 ・ 等 の 十 二 紳 憂 相 の 中、 從 彼 金 剛 輪 よ り 等 如 來 身 に 至 る 一 文 は 第 十 の 顯 實 に 配 繹 さ れ る。 然 も 各 菩 薩 出 生 の 説 段 に 於 て は、 此 の 顯 實 の 次 に 第 十 一 普 現 の 囲 段 が 説 か れ て ゐ る が、 此 の 因 菩 薩 の 説 段 の み に 此 の 普 現 に 當 る 句 を 敏 く は 如 何 な る 意 趣 で あ る か ﹁ 畳 疏 ﹂ (五・ 二 三 ) に は ﹁ 普 現 戚 慮 は 前 に 準 じ て 知 る ぺ し 但 し 測 本 に 無 量 の 佛 事 を 現 す ど い ふ は 普 現 の 文 な り。 今 の 経 略 し て 無 き 故 に 罧 せ ざ る な り ﹂ ど 會 繹 し て あ る が、 今 ﹃ 宋 澤 ﹄ (大 正 藏・ 一 八・ 三 四 六 ) を 封 照 す る に

像一。

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ご 澤 出 さ れ て あ る か ら、 明 か に 普 現 に 當 る ﹁ 乃 起 孕 等 心 韓 妙 法 輪 等 云 鼓 ﹂ の 一 文 を 明 説 し て あ る。 ﹁ 私 記 ﹂ (一一・ 五 剛 丁 ) に 此 れ を 指 摘 し て、 ﹁ 唐 鐸 ﹂ は ﹁ 此 の 普 現 の 文 闘 脱 す ﹂ ど 考 讃 し て ゐ る。 此 等 の 關 係 を 更 に ﹁ 西 藏 課 ﹂ に 稜 合 す る に 時 に 彼 の 金 剛 輪 の 形 よ り 一 切 世 間 の 微 塵 に も 等 し き 一 切 如 來 の 身 等 を 出 生 し て よ り、 縫 か に 登 心 す る や 否 や 直 ち に 法 輪 を 輻 す る こ ど を 以 つ て、 佛 の 神 通 神 鍵 な ご を 一 切 世 間 に 出 現 し 給 へ り。 而 し て 金 剛 薩 唾 の 三 摩 地 は 縫 か に 登 心 す る や 否 や 直 ち に 法 輪 を 輻 す る が 故 に、 極 め て 堅 固 な る を 以 つ て 聚 り て 一 禮 ど な り て 云 云 ﹄ (北・ 一 五 下・ デ・ 一 五 上 ) ど 課 出 さ れ る か ら、 ﹁ 藏 謬 ﹂ に も 普 現 に 當 る 一 文 が 説 か れ て ゐ る。 此 等 の 封 照 に 於 い て 普 現 の 句 は 藏 宋 爾 繹 に 具 し ﹁ 唐 繹 ﹂ 濁 り 此 を 飲 く、 然 も ﹁ 唐 謬 ﹂ の 各 菩 薩 出 生 の 説 段 に 普 現 に 當 る 句 を 夫 々 具 説 し て ゐ な が ら、 此 の 因 菩 薩 の 一 段 の み に 茄 れ を 省 略 せ り ど な す は 首 肯 し 得 な い 所 で あ る。 恐 ら く は ﹁ 唐 諜 ﹂ の 脱 落 若 く は 誤 爲 ど な す べ き で あ ら う。 次 に 此 の 例 次 ど し て ﹁ 唐 諜 ﹂ の 闘 脱 若 く は 誤 寓 ど 考 へ ら れ る 二 三 を 指 摘 す れ ば、 金 剛 錬 菩 薩 の 出 生 の 説 段 (大 正 藏・ 一 八・ 一二 五 ) に 於 い て、 藏 繹 ( 北・ 二 五 下・ デ・ ニ ニ・ 下 ) 宋 課 (大 正 藏・一八・ 三 五 一 ) を 封 照 校 合 せ る 結 果 ﹁ 月 輪 而 佳 ﹂ ど ﹁ 説 此 艦 陀 南 ﹂ ど の 間 に ﹁ 一 切 如 來 を 縛 し て ﹂ (藏 ) ﹁ 於 一 切 如 來 作 妙 縛 相 ﹂ ハ宋 ) に 相 當 す る 一 句 を 鉄 き。 又 鈴 菩 薩 の 説 段 (大・ 一 八・ 二 二 ハ )に 於 い て 藏 鐸 の ﹁ 一 切 如 來 を 遍 入 し て ﹂ (北・ 三 八下・ デ・ 二 三 下 ) 血 剛 頂 経 の 藏 漢 鍬 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 一

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金 剛 頂 纏 の 藏 漢 劃 照 上 に 於 げ る 一 考 察 九 二 宋 澤 の ﹁ 普 遍 警 畳 一 切 如 來 ﹂ (大・ 一 八・ 三 五 一 ) に 相 當 す 句 を 鋏 く の で あ る が、 此 れ は 軍 に 梵 本 の 相 異 で は な か ら う。 何 ん ど な れ ば ﹁ 唐 諜 ﹂ の 金 剛 鉤 の 説 段 の 月 輪 而 佳 の 次 に ﹁ 鉤 召 一 切 如 來 三 昧 耶 ﹂ (大・ 一 八 二 一 五 ) の 句 を 説 き 索 菩 薩 に も ﹁ 引 入 一 切 如 來 ﹂ の 句 が 明 説 さ れ て ゐ る 句 例 よ り 推 せ ば、 錬 ・ 鈴 二 菩 薩 の 一 段 の み に 此 れ に 相 當 す る 句 を 鉄 く は 恐 ら く 鉄 脱 若 く は 誤 篤 で は な か ら う か。 何 れ に せ よ 正 し く 本 経 の 原 本 的 意 義 を 了 解 せ ん ど せ ぱ、 唐 繹 は 藏 宋 爾 鐸 の 句 例 を 補 修 し て 繹 義 さ る べ き で あ る。 又 四 擾 出 生 の 説 段 に 於 い て 鉤 索 鎖 鈴 の 四 菩 薩 の 普 遍 顯 實 の 義 趣 を 説 け る 一 節 に、 ﹃ 印 圭 ﹄ ど ﹃ 印 衆 ﹄ ど の 錯 雑 誤 篤 が あ る や う で あ る。 即 ち 唐 繹 の 鉤 菩 薩 の 尉 段 に 則 彼 婆 伽 梵 持 金 剛 出 二 二 切 如 來 一 切 印 衆一、 從 二 彼 一 切 如 來 一 切 印 衆一、 生 一 切 世 界 微 塵 云 云 (大 一 八・ 二 一 五 ) ど 繹 出 さ れ、 又 錬 菩 薩 の 一 段 に も ﹁ 出 一 切 印 衆 ⋮ ⋮ 從 一 切 印 衆 ﹂ ど な す。 然 る に、 索 菩 薩 の 説 段 に は 出 二 一 切 如 來 三 昧 耶 引 入 印 主一、 從 二 彼 一 切 如 來 三 昧 耶 引 入 印 衆 ゆ 出 二 一 切 世 界 一調 云 ( 大 正 藏・ 一 八 ・ 二 二 ハ・ 黄 巣 本 ) ど 澤 出 さ れ、 又 鈴 菩 薩 の 一 節 に は、 爲 二 削 切 如 來 印 主 一出 巳、 從 二 彼 輔 切 如 來 印 圭 脚曇 云 ど な つ て ゐ る が、 此 の ﹁ 印 衆 ﹂ ﹁ 印 圭 ﹂ の 説 相 は 圖 々 に し て 難 解 で あ る。 ﹁ 畳 疏 ﹂ ( 七・ 二 七 丁 ) は 本 輕 の ま

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ゝ に 轟 義 を な す も、 ﹁ 私 記 ﹂ ( 一 四・ ニ 一 丁 ) は 種 々 に 考 謹 検 照 し て 遽 に 疑 義 を 提 起 し て ﹁ 亦 難 決、 云 腐 課 且 期 有 智 決 耳 ﹂ ど 歎 聲 を 登 し て ゐ る。 今 ﹁ 西 藏 繹 ﹂ を 封 照 す る に、 鉤 索 錬 鈴 の 四 菩 薩 の 説 段 に 於 い て 何 れ も Phyag-rgya-man-por

Phyag-rgya-man-po de-dag las

( デ ・二 一 下 ー 一二 三 下・ 北・ 二 四 下-二 六 下 ) ど な つ て ゐ る か ら ﹃ 衆 印 ど な つ て 後 に そ れ 等 の 衆 印 か ら ﹄ ど 鐸 出 さ れ 普 遍 ・ 顯 實 共 に 衆 印 若 く は 印 衆 に し て 印 主 の 語 を 見 出 し 得 な い。 更 に 宋 鐸 (大・ 一 八・ 三 五 〇 ) を 封 比 す る に 四 擾 共 に 大 印 衆 若 く は 印 衆 ど な し、 ﹁ 略 出 経 ﹂ (大・ 一 八・ 二 三 六 ) に は 群 印 ど 謬 出 さ れ て 印 主 の 句 例 を 見 な い、 然 も ﹁ 唐 鐸 ﹂ の 索 菩 薩 の 説 段 に 於 け る 印 主 は 麗 本 を 校 合 す る に 印 衆 ど な つ て ゐ る。 (大 正 藏・ 一 八・ 二 一 五 欄 外 参 照 ) 果 し て 然 ら ば 金 剛 鈴 菩 薩 の 印 主 も 亦 印 衆 の 錯 脱 誤 篤 で は な か ら う か。 次 に 金 剛 語 菩 薩 の 説 段 に 於 け る 所 謂 慮 念 の 羅 段 を 見 る に、 黄 彙 本 ( 上・ 幽〇 丁 ) は 此 れ を 鉄 脱 し て ゐ る ﹁ 豊 疏 ﹂ (五・ 末・ 六 ) は 此 れ を 批 判 し て ﹁ 今 輕 以 略 又 恐 鳥 経 失 落 字 句 ﹂ ご 論 じ、 浄 嚴 師 の 校 訂 加 修 本 ・ 知 恩 院 本 等 に よ れ ば 世 奪 入 一 切 如 來 ( 大・ 一 八・ 二 一 二 ) の 次 下 に 秘 密 語 言 の 四 字 を、 三 昧 耶 の 次 下 に 名 一 切 如 來 秘 密 語 言 智 三 摩 地 の 十 三 字 を 補 修 し て あ る の で あ る。 但 し 麗 本 も 大 同 小 異 で あ る。 (大・ 一 八 ・ 二一 一・ 参 照 ) 更 に ﹁ 宋 謬 ﹂ (大・ 二 八・ 三 四 七 )﹁ 略 出 経 ﹂ (大・ 一 八・ 二 三 二 ) 等 に 封 照 す れ ば、 黄 棄 本 の 此 の 一 段 は 明 か に 脱 落 誤 篇 な る べ く 更 に ﹁ 西 藏 繹 ﹂ ( デ・ 一 五 下・ 北・ 二 ハ葉 下 ) に 封 校 す れ ば 此 の 間 の 漕 息 を 明 瞭 に 裏 書 き し て ゐ る が、 煩 を 金 剛 頂 鍾 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 三

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剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 四 恐 れ て 省 略 し だ の で あ る。 五 次 に ﹁ 藏 唐 爾 課 ﹂ に 具 し て 然 も ﹁ 宋 繹 ﹂ の み に 鉄 脱 せ る 句 例 は 極 め て 少 な い が 宋 繹 巻 五 (大 正 藏・ 金 一 八・ 三 五 五 ) に 秘 密 印 智 の 頚 を 説 い て 一 切 等 揚 而 齊 拍 山 石 尚 能 作 敬 愛 金 剛 遍 入 法 相 慮 金 剛 妙 縛 能 催 壊 一訟 云 ど な す に 封 し て、 ﹁ 唐 課 ﹂ は 微 細 金 剛 掌 山 石 街 敬 愛 次 是 金 剛 拍 印 入 金 剛 儀 巳 金 剛 縛 掌 撃 (大・ 一 八・ 二 一 九 ) ど 鐸 出 し て ゐ る か ら 宋 課 は ﹁ 次 是 金 剛 拍 印 ﹂ の 六 字 一 句 を 鉄 く ・﹁ 西 藏 謬 ﹂ (デ・ 二 六 下・ 北・ 一一三 下 ) に 封 照 す る に 掌 の 表 面 を 以 つ て 輕 く 拍 て ば、 山 も 亦 自 由 に な す べ し、 金 剛 掌 ( 拍 ) の 印 な り。 云 云 ど な す が 故 に ﹁ 金 剛 拍 印 ﹂ 等 の 一 句 は 藏 唐 爾 繹 に 存 す る も 宋 繹 濁 り 訣 脱 す。 ﹁ 私 記 ﹂ ( 一 七、 一 三 ) は 若 依 二 宋 繹 一 今 本 (唐 繹 )爲 レ是、 次 是 金 剛 拍 印 者 宋 鐸 無 二 此 字 一

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ど 解 説 し て ゐ る が、 恐 ら く ﹁ 宋 課 ﹂ の 歓 脱 誤 寓 で あ ら う、 又 ﹁ 唐 課 ﹂ ( 大・ 一 八・ ニ ニ ニ ) の 則 然 慮 成 就 此 是 成 就 儀 則 に 相 當 す る 句 例 は ﹁ 藏 鐸 ﹂ ( デ・ 三 四・ 北・ 三 七 下 ) に も 此 れ を 見 出 す が、 ﹁ 宋 鐸 ﹂( 大・ 一 八・ 三 五 八 ) に は 此 の 句 例 を 鉄 く 養 し ﹁ 宋 謬 ﹂ は ﹁ 唐 鐸 ﹂ に 比 し て 各 所 に 註 繹 的 説 明 的 句 例 を 添 加 補 修 し て ゐ る や う に 思 は れ る が 今 此 等 の 印 言 の 説 明 儀 則 ど し て の 指 示 を 説 く 句 を 映 い て ゐ る の は 明 か に 脱 落 誤 寓 で あ ら う。 次 に 唐 宋 爾 謬 に 存 し て ﹁ 西 藏 謬 ﹂ の み に 鉄 け お る 句 例 一 一 一 を 指 摘 す る に、 金 剛 寳 菩 薩 の 出 生 の 説 段 に 於 い て 唐 宋 雨 諜 に 存 す る ﹁ 聚 爲 一 髄 ﹂ に 相 當 す る 句 例 を 敏 い て ゐ る。 即 ち

Thams-cad dan mnam-pa-nid-kyi cin-tu rdsogs-pa ykn-payir

[... ] Bcom-ldan-hdas rdo-rje-hdsin-pa...(d. 9. a. 北. 9. b ) の 一 文 に 於 い てyin-pahi phyirの次 にgcig-tu-hdres-par nas ( 聚 り て 一 禮 ど な り て よ り ) の 一 句 を 鉄 脱 し て ゐ る ど 思 は れ る。 義 訣 ( 三 〇 ) の 繹 義 に よ れ ば 此 の 爲 聚 一 禮 は 還 源 の 秘 趣 を 宜 説 す る の で あ る。 然 も ﹁ 藏 繹 ﹂ の 各 菩 薩 出 生 の 説 段 に 準 す る に、 此 の 寳 菩 薩 の み に 省 略 す る は 肯 首 し 難 い 所 で あ る。 此 の 例 示 は 又 金 剛 業 菩 薩 出 生 の 説 段 に も (デ・ 一 七 上・ 北・ 一 七 下 ) 見 出 す の で あ る。 又 金 剛 因 菩 薩 の 章 下 に 於 い て ﹁ 唐 鐸 ﹂ (大・ 一 八・ 二 一 一 )﹁ 宋 鐸 ﹂ (大・ 一 八・ 三 四 七 )共 に ﹁ 金 剛 場 菩 薩 摩 詞 薩 ﹂ ど 鐸 出 す る に 封 し て ﹁ 西 藏 鐸 ﹂ (デ ー 一 四 下 ・北 ー 一 五 下 ) は 軍 に ﹁ 彼 の 大 菩 薩 ど ﹂ な し て ﹁ 金 剛 場 ﹂ (rdo-rje-bo ) の 語 を 鉄 脱 若 く は 省 略 し て ゐ る。 金 剛 頂 経 の 藏 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 五

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金 剛 頂 経 の 蔵 漢 封 照 上 に 於 け る 一 考 察 九 六 又 入 坦 の 四 禮 を 説 く 一 節 に 於 い て ﹁ 唐 諜 ﹂ ( 二 一 七 )﹁ 宋 諜 ﹂ ( 三 五 三 )は 何 れ も 東 南 西 北 の 次 第 に 四 禮 を な す 方 位 の 指 示 を 説 く に 封 し て、 ﹁ 藏 繹 ﹂ ( デ・ こ 七・ 北・ 二 九 下 ) は 此 の 方 向 を 指 不 せ る 句 例 を 鉄 い て ゐ る の で あ る。 上 來 私 は 藏 漢 雨 鐸 に 於 け る 差 異 を 指 摘 し 柳 か 各 謬 の 本 文 批 詐 概 説 を 述 べ た の で あ る。 實 の 所 両 鐸 問 に 於 け る 封 照 上 の 問 題 は、 句 例 の 具 飲 前 後 ・ そ の 表 現 の 差 異 ・ 梵 昔 々 謬 上 の 差 異 ・句 量 の 多 少 ・ 偶 頚 の 敷 量 ・ 懇 敏 不 同 等 の 無 歎 の 課 題 を 胚 藏 し て ゐ る が、 今 は そ の 序 説 ど し て の 一 考 察 を 試 み た に 過 ぎ な い の で あ る。 (未 完 )

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