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第32回日本平滑筋学会総会講演抄録 (II)

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日 本 平 滑 筋 誌(Jpn. J. Smooth Muscle Res.)26: 343-477, 1990.

第32回

日本 平 滑 筋 学 会 総 会 講演 抄 録(II)

群 馬 大 学 医 療 技 術 短 期 大 学 部 教 授

日1990年6月21(木)・22日(金)

軽 井 沢 プ リン ス ホ テル

演(II)

(招 待 講 演-2お

よ び 特 別 発 言1,2は27巻1号

掲 載 予 定)

食 道 運 動 能 の コ ン ピ ュ ー タ 解 析

東北大学医学部

第三内科

西

夫,本

夫,奥

彦,上

道,豊

目 的 食 道 運 動 機 能 判 定 に お け る コ ン ピ ュ ー タ 解 析 の 有 用 性 を 検 討 す る こ と を 目的 と し て,食 道 内 圧 の コ ン ピ ュ ー タ 解 析 と マ ニ ュ ア ル 解 析 と の 比 較 を 行 っ た. 対 象 と方 法 食 道 運 動 機 能 異 常 を 有 す る 患 者10名 を 対 象 と し た.食 道 体 部 収 縮 圧 やLES圧 の 高 い 例 や 低 い 例 を 選 び,測 定 値 に 一 定 の 偏 りが 出 な い よ

う配 慮 し た.内 圧 記 録 に は,open tip infused

catheter(先 端3チ ャ ン ネ ル,5cm,10cm口 側

に 各1チ ャ ン ネ ル)に よ る ペ ン式 レ コ ー ダ ー 記

録 と,Synectics Medical社

製microtrans-ducer(3チ ャ ン ネ ル,各5cm間 隔)と 同 社 製 の ポ リグ ラ フ を 用 い た コ ン ピ ュ ー タ 記 録 の2種 類 の 方 法 を 用 い た.内 圧 記 録 は,先 端 チ ャ ン ネ ル 部 を 呼 吸 変 換 点 に 留 置 し,水 嚥 下 に 伴 う食 道 体 部 収 縮 と,LES弛 緩 に つ い て 計 測 ・記 録 を 行 っ た.マ ニ ュ ア ル 解 析 は,食 道 内 安 静 時 呼 気 終 圧 を 基 準 線 と し て 食 道 体 部 収 縮 圧 を 測 定 し,収 縮

持 続 時 間 は 収 縮 波 のmain upward slopeと

main downward slopeが そ れ ぞ れ 基 準 線 と交

わ る2点 間 の 時 間 と し,LES圧 とLES弛 緩 率 は 胃 内 呼 気 終 圧 を 基 準 線 と し て 測 定 し た(図 図1.  食 道 内 圧 マ ニ ュ ア ル 解 析 の 方 法. A:食 道 体 部 収 縮 圧.D:食 道 体 部 収 縮 持 続 時 間.V:蠕 動 伝 播 速 度.LESP:LES静 止 圧.LESR:LES弛 緩.数 字 はLESか ら の 口 側 へ の 距 離 を 表 す.

(2)

図2.  食 道 体 部 収 縮 圧(AMP)の,解 析 値 の 比 較.INFUSION-MANUAL:open tip infused catheter に よ る ペ ン 書 き ト レ ー ス の マ ニ ュ ア ル 解 析.COMPUTER-MANUAL:microtransducerに よ る コ ン ピ ュ ー タ 記 録 の マ ニ ュ ア ル 解 析.COMPUTER-COMPUTER:microtransducerに よ る コ ン ピ ュ ー タ 記 録 の コ ン ピ ュ ー タ 自動 解 析.点 線 は 回 帰 直 線 を,実 線 は 理 想 的 直 線(y=x)を 表 す. 1). 食 道 体 部 収 縮 圧,収 縮 持 続 時 間,及 びLES 弛 緩 率 は10回 の 水 嚥 下 時 の 平 均 値 を 求 め,2名 の 検 者 が 独 立 に 求 め た 各 解 析 値 の 平 均 を 比 較 に 用 い た.自 動 解 析 は 専 用 プ ロ グ ラ ム で あ る,

"Gastrosoft"のautomatic event finding mode

を 用 い,計 測 閾 値 を15mmHgと し て 計 測 を

行 っ た.open tip catheterに よ る ペ ン 書 き ト

レ ー ス の マ ニ ュ ア ル 解 析(以 下IM解 析),mi-crotransducerに よ る コ ン ピ ュ ー タ 記 録 の マ ニ ュ ア ル 解 析(以 下CM解 析)と コ ン ピ ュ ー タ 自 動 解 析(以 下CC解 析)を 行 い,両 者 の 相 関 に つ い て 検 討 を 行 っ た. 結 果 (1)  食 道 体 部 収 縮 圧 は,IM解 析 値 とCM解 析 値 と は 良 好 な 正 の 相 関 を 示 し,両 者 に 有 意 差 を 認 め な か っ た(図2).食 道 体 部 収 縮 持 続 時 間 で は,CM解 析 値 がIM解 析 値 よ り長 く な る 傾 向 を 認 め た.LES静 止 圧 とLES弛 緩 率 は と も にIM解 析 値 がCM解 析 値 よ り も 大 き く な る 傾 向 を 示 し た. (2) CM解 析 値 とCC解 析 値 の 比 較 で は,食 道 体 部 収 縮 圧 は,両 測 定 値 は 良 好 な 正 の 相 関 を 示 し,両 者 に 有 意 差 を 認 め な か っ た(図2).食 道 体 部 収 縮 持 続 時 間 は,CM解 析 値 で 長 く な る 傾 向 を 認 め た.収 縮 圧 が コ ン ピ ュ ー タ 計 測 閾 値 よ り低 い4例 で は,自 動 解 析 は で き な か っ た. 考 察 (1) CM解 析 で 食 道 体 部 収 縮 持 続 時 間 が 長 く な る 傾 向 を 示 し た の は,CM解 析 に 用 い た ド ッ トプ リ ン タ か ら打 ち 出 し た ト レ ー ス で は, 収 縮 波 のmain slopeの 認 識 が 難 し か っ た た め と 考 え ら れ た.ま たLES圧 がIM解 析 値 で 大 き

い 傾 向 を 示 し た の は,open tip catheterで は3

チ ャ ン ネ ル の 計 測 値 の 平 均 を 解 析 値 に 用 い た の

に 対 し,microtransducerで は1チ ャ ン ネ ル の

み の 計 測 で あ っ た こ と が 影 響 し て い る と 考 え ら

れ る.microtransducerは,open tip catheter

に 比 べ てphasic contractionの 記 録 能 が 劣 る こ と が あ る と い う報 告 が あ る が(Valori,R.M.et al.,1986),今 回 の 検 討 で は 両 者 の き わ だ っ た 差 は 認 め られ な か っ た. (2) CM解 析 で は,食 道 体 部 収 縮 持 続 時 間 が CC解 析 値 よ り長 く解 析 さ れ る 傾 向 に あ っ た. こ れ は 前 者 で は 収 縮 波 のmainslopeと 食 道 静 止 圧 の 交 わ る 点 で 計 測 す る の に 対 し,後 者 で は 閾 値 の 高 さ を 基 準 と し た 計 測 を 行 っ た た め と考 え ら れ る. 結 語 食 道 運 動 能 の コ ン ピ ュ ー タ 自 動 解 析 は,簡 便 で あ り,測 定 値 に 客 観 性 が あ る 点 で 優 れ て い る. ま た 最 大 収 縮 速 度 や,収 縮 波 の 積 分 値 を 求 め る

(3)

日 本 平 滑 筋 誌26(6)1990 345

しか し,圧 閾値 以 下 の 収 縮 の測 定 が で きず,ま

た マ ニ ュア ル解 析 に比 べ 収 縮 持 続 時 間 が短 く測

定 され る とい っ た 問 題 点 も あ り,デ ー タ の解 釈

に あ た っ て は 注 意 が 必 要 と考 え られ た.

Castell, J. A., and Castell, D. O. (1986). Computer analysis of human esophageal peristalsis and

lower esophageal sphincter pressure: II. An interactive system for on-line data collection and analysis. Digestive Diseases and Sci-ences, 31: 1211-1216.

Valori, R. M., Collins, S. M., Daniel, E. E., Reddy, S. N., Shannon, S., and Jury, J. (1986). Com-parison of methodologies for the measurement of antroduodenal motor activities in the dog. Gastroenterology, 91: 546-553.

健 常 人 の 食 道 収 縮 圧,LES圧

の 検 討

東京慈恵会医科大学

第二外科

生,羽

義,大

信,青

は じ め に 逆 流 性 食 道 炎 患 者 で は 食 道 運 動 の 低 下 に よ る 食 道 ク リ ア ラ ン ス の 低 下 が 指 摘 さ れ て い る が, 健 常 人 で も 個 人 差 お よ び 同 一個 体 で も 嚥 下 に よ る 食 道 収 縮 圧 に は,ば ら つ き が あ る.そ こ で, 我 々 は,健 常 人 の 食 道 収 縮 圧,LES圧 の 検 討 を 行 っ た. 対 象 と 方 法 対 象 は 男 性10名,女 性8名 の 計18名 で 年 齢 は22歳 か ら80歳 ま で の 健 常 人 と した.食 道 内 圧 測 定 用 カ テ ー テ ル は,先 端 か ら4cmにside

hole,そ のoral sideに6cmのsleeve sensorさ

ら にoral sideへ3cm間 隔 のside holeか ら な

る 計7チ ャ ン ネ ル で 構 成 さ れ て お り,さ ら に 食

道 内pHを 測 定 す る 目 的 でsleeve sensorの

oral sideにpH電 極 を 固 定 し た.Arndorfer製

のinfusion-pumpを 使 用 し,測 定 は 早 期 空 腹 時

と し仰 臥 位 で 経 鼻 的 に カ テ ー テ ル を 挿 入 し た.1

mm/secの 速 度 でslow pull-through法 を 施 行

後continuous station法 に よ り食 道 内 圧 お よ び LES圧 を 測 定 し た.食 道 収 縮 誘 発 の 為,dry-swallow(以 下DS),wet-swallow(以 下WS) を 最 低 各3回 施 行 し た.ま た0.1N HClを0.1 ml/secの 速 度 で10cc食 道 内 注 入 し,酸 に よ る LES圧 へ の 影 響 に つ い て 検 討 し た. 成 績 食 道 収 縮 誘 発 と し て のDSとWSの 食 道 収 縮 波 高 と伝 播 速 度 を 図1に 示 し た.LESか ら oral side 12cmの 食 道 収 縮 波 高 はDSで は 約 60mmHgか ら70mmHgでWSで は 約70 mmHgか ら90mmHgで あ り,WSの 方 が 高 い 傾 向 に あ る も の の 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た. 伝 播 速 度 はDSで 約5cm/secか ら7cm/sec でWSで は3.5cm/secか ら5cm/secで あ り DSの 方 が よ り 速 い 傾 向 に あ っ た.LESよ り

oral side 3cmよ りLESま で の 速 度 はDS,WS

と も3cm/sec以 下 で あ り,LES直 前 で は 伝 播

速 度 は 遅 い 傾 向 に あ っ た.ま た,LES圧 をslow

pull-through法 で の,side holeの 平 均 値 と

sleeve sensorに よ るcontinuous station法 で

比 較 す る と,そ れ ぞ れ19.8±1.4mmHg,26.0± 2.7mmHgで あ りcontinuous station法 で 高 い 値 を 示 し,有 意 差 を み とめ た.図2は 嚥 下 時 の LES圧 に お よ ぼ す 呼 吸 の 影 響 を 示 し た .4例 もLES圧 に は 吸 気 と一 致 し た 横 隔 膜 の 収 縮 が 認 め ら れ,LES圧 は 呼 吸 に よ っ て 変 動 した.嚥 下 に よ るLES圧 の 弛 緩 に 一 致 し て,横 隔 膜 の

(4)

収縮波高

伝播速度

図1.  食道 収 縮波 高 と伝 播速 度

A

B

C

D 図2.  燕下 時 のLES圧 に お よぼ す 呼吸 の影 響

(5)

日本 平 滑 筋 誌26(6)1990 347 収 縮 も抑 制 さ れ た.次 に,酸 に よ るLES圧 の 影 響 を 検 討 す る 目 的 で,酸 負 荷 前 お よ び 酸 負 荷 後 のLES圧 を 比 較 し た.12例 の 酸 負 荷 前 お よ び 酸 負 荷 後 のLES圧 は そ れ ぞ れ21.4±2.3 mmHg,20.0±2.1mmHgで 食 道 内 の 酸 注 入 は 人 で はLES圧 へ の 影 響 を 与 え な か っ た. 考 察

LESか らoral side 12cmの 食 道 収 縮 に お い

て は,収 縮 波 高 はWSで 高 く,伝 播 速 度 はDS

で 速 い 傾 向 が あ っ た が,両 者 は ほ ぼ 同 様 の 食 道

収 縮 誘 発 試 験 と 考 え ら れ た.sleeve sensorに よ

るLES静 止 圧 はslow pull-through法 よ る 平

均 値 よ り も 高 値 を 示 し た.こ れ は,slow pull-through法 に よ るLES圧 の 測 定 上,ど の 点 を LES圧 と す る か で 大 き く値 が 異 な る こ と に よ る と 思 わ れ た.我 々 は 高 圧 帯 の 最 低 圧 をLES 圧 と し た こ と も あ り,こ の こ と がcontinuous station法 で 高 い 値 を 示 す 原 因 と 考 え ら れ た. Martinら は 動 物 実 験 でLES弛 緩 時 に 横 隔 膜 脚 の 収 縮 が 抑 制 さ れ る こ と を 報 告 し た が,我 々

は ヒ トで も同様 の 現 象 を確 認 した.し た が っ て

横 隔 膜 脚 もLESと

共 に括 約 作 用 を 有 す る こ と

が示 唆 され た.動 物 実 験 で は 食 道 内 の 酸 負 荷 に

よ りLES圧

が 上 昇 す る とい う報 告 が あ るが 下

部 食 道 へ の酸 注 入 は 人 で はLES圧

に 影 響 を あ

た え な か った.Helmら(1990)も

我 々 と 同様 の

結 果 を報 告 して い る.

Helm, J. F. et al. (1990). Oesophsgeal acidification does not increase lower oeso-phageal sphincter pressure. Gut. 31: 266-269. Maher, J. W. et al.(1978). Autonomic control of acide-stimulated lower esophageal sphincter pressue. Surg Forum. 29: 430-432.

Martin, et al.(1988). Investigation of the eso-phago-crural reflex in the rabbit. Abstracts of 5th Biennial meeting, American Motility Society 94, Asilomar California.

西 成 尚 人 ら (1987). 食 道 内 圧 測 定 に よ る 健 常 人 の 嚥 下 波 の 検 討. 日 本 平 滑 筋 誌, 23: 199-201.

ニ ュ ウ モ ダ イ レ タ ー に よ る ア カ ラ シ ア

治 療 前 後 の 食 道 内 圧 の 変 動

旭川医科大学

第三内科

勝,北

茂,原

明,柴

好,小

毅 與 志,並

緒 言 ア カ ラ シ ア は 嚥 下 困 難 を 主 症 状 と す る 機 能 的 疾 患 で あ り,原 因 は 下 部 食 道 括 約 筋 を 支 配 す る 神 経 系 の 異 常 と推 定 さ れ て い る が,障 害 部 位 を 含 め そ の 詳 細 は な お よ くわ か っ て い な い(Cas-sela et al.,1964).メ カ ニ ズ ム は 不 明 で あ る が, ニ ュ ウ モ ダ イ レ ー タ ー を 用 い た 噴 門 拡 張 療 法 が

有 効(Vantrappen et al.,1980,Fellows et al.,

1983,Lishmans et al.,1982)で,嚥 下 困 難 は 改

善 さ れ る.今 回 わ れ わ れ は,拡 張 療 法 前 後 の食

道 内圧 の 変化 を 中 心 に,拡 張 療 法 の 有 効 性 に つ

い て検 討 した.

対 象 と方 法

1988年4月

よ り1990年3月

ま で の2年 間 に

当 科 に 入 院加 療 した5例

の ア カ ラ シ ア患 者 を対

象 と した.年 齢 は45-52歳,女

性4例,男

性1例

で 全 例 嚥 下 困 難 を 主 訴 と した.治 療 はX線

透 視

下 に径20-40mmのpneumatic

bagを 使 用 し,

(6)

A B C 図1. A拡 張 療 法 前後 のLESP B拡 張 療 法 前後 の下 部 食道 内 圧 Cガ ス トリン静注 に よ る引 き抜 きLES圧 の反 応

A.Before

B.After

図2.  拡 張 療 法 前 後 の24時 間 食 道 内pH測 定(Sweden, Synectics社 製 食 道 胃pHモ ニ タ ー)の 代 表 例

(7)

日本 平 滑 筋 誌26(6)1990 349

150-250mmHgの

圧 で90秒

間LESを

中 心 と

して3回 拡 張 し,こ

れ を一 週 間 に一 度 の 割 合 で

2-4回 行 っ た.そ の 結 果,全 例 に嚥 下 困 難 が 消 失

し,臨 床 的 に 有 効 で あ っ た.食 道 内圧 は 圧 トラ

ン ス ジ ュー サ を 経 口的 に挿 入 し,背 臥位 に て 測

定 した.ま た 食 道X線

検 査 に よる食 道 最 大 横 径

お よ び24時 間 食 道 内pH測

定 も行 い,こ れ ら の

結 果 を 拡 張 療 法 前 後 で 比 較 した.

LES圧

は 拡 張 術 前 平 均54.6mmHgで

あ った

の に対 して 拡 張 術 後 は13.0mmHgと

有 意 に 減

少 し た(図1A).ま

た 下 部 食 道 内 圧 も11.3

mmHgと

陽 圧 で あ った の に 対 し て 拡 張 療 法 後

は-3.3mmHgと

有 意 に減 少 して い た(図1B).

LES圧

また は 下 部 食 道 内 圧 と食 道 最 大 横 径 の

関 係 を み る と,い ず れ の 間 に も有 意 な正 の相 関

が 認 め られ た(p<0.05).次

に,引

き抜 きLES

圧 の ガ ス ト リ ン の 静 注 に対 す る反 応 を 検 討 し

た 。 治 療 前 の 例 で は ガ ス ト リン に よ るLES圧

の上 昇 が 観 察 され た が,拡 張 療 法 後 に は 同様 な

反 応 は5例 中1例

に観 察 され た だ け で あ る(図

1C).食

道 内圧(LESよ

り12cm,7cm,2cm口

側 の部 位3点)を

連 続 記 録 した と こ ろ,拡 張 療

法 前 で は 全 例 で 同 期 性 運 動 が 認 め られ た が,拡

張 療 法 後 で は,5例

中3例

に 同期 性 運 動 は 消 失

し て い た.24時

間 食 道pHモ

ニ タ ーを4例

行 っ た.そ の 代 表 例 を 図2に 示 す と,こ の 例 で

は 拡 張 療 法 前 の 胃 食 道 逆 流 頻 度 の 指 標 で あ る

pH4以

下 の 時 間 は わ ず か に1.1min.で

あ った 。

一 方

,拡 張 療 法 施 行 後 の そ れ は2.4min.と

拡 張

療 法 前 に比 較 し 明 か な 増 大 は み られ な か った.

他 の例 で も同 様 で あ った.

ニ ュ モ ダ イ レ タ ー に よ りア カ ラ シ ア患 者 を 治

療 した と ころ,自 覚 症 状 で あ る嚥 下 困難 は 改 善

し た.こ

の 症 状 改 善 の 要 因 を 評 価 し た 結 果,

LES圧

お よ び下 部 食 道 内 圧 の減 少 が 認 め ら れ,

病 態 の 改 善 を 強 く支 持 す る と思 わ れ る.ま た 食

道 の 最 大 横 径 の 内 圧 の程 度 と正 の 相 関 を示 した

こ とを 考 え る と,口 側 食 道 の 拡 張 はLES圧

依 存 す る こ と,食 道 体 部 運 動 の 同 期 性 が 拡 張 療

法 後 に 消失 した 例 が 認 め られ た こ とを 考 慮 す る

と,食 道 体 部 運 動 の 障 害 はLES圧

の 亢 進 に よ

る 口側 食 道 の拡 張 に よ る もの と推 定 され る.正

常 人 お よび ア カ ラ シ ア の症 例 で,外 来 性 に投 与

さ れ た ガ ス ト リン に よ るLES圧

が 高 ま る と報

告 され て い る(Cohen

et al.,1971).本

研 究 で

は ガ ス ト リン投 与 に よ りLES圧

の 増 加 傾 向 を

認 め,そ れ らの 成 績 を支 持 す る も ので あ った.し

か しな が ら,拡 張療 法 後 に は そ の よ うな 反 応 は

認 め られ ず,拡

張 療 法 に よ りLESの

液 性 因 子

に対 す る反 応 性 が 変 化 す る可 能 性 を 示 唆 した.

一 方

,LESの

重 要 な 機 能 の一 つ に 胃食 道 逆 流 防

止 機 構 が 知 られ て い る.拡 張 療 法 に よ るLES

圧 の低 下 は 胃食 道逆 流 頻 度 の増 加 を 引 き起 こす

可 能 性 が 考 え られ た.そ

こで 食 道 内 の持 続pH

モ ニ タ ー を行 っ た.し か し な が ら,拡 張 療 法 後

に著 明 な 胃食 道 逆 流 頻 度 の 増 大 は 認 め な か っ

た.す

なわ ち,本 拡 張 療 法 は 胃 か らの逆 流 防 止

機構 は保 た れ た ま ま で,食 物 の順 行 性 輸 送 に対

して は よ り促 進 的 な影 響 を 及 ぼす 合 目的 治 療 法

と考 え られ る.以 上 の 成 績 は ニ ュ ウ モ ダ イ レ

タ ー に よ る ア カ ラシ ア治 療 効 果 を客 観 的 に 支 持

す る もの と考 え る.

Cassella, R. R. et al. (1964). Achalasia

of the

esophagus:

pathologic and eyiologic

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Ann. Surg. 160: 474-487.

Cohen, S. et al. (1971).

Role of gastrin

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Fellows,

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Gut 24: 1020-1023.

Lishman, A. H. et al. (1982). Management

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Gut 23: 541-544.

Vantrappen,

G. et

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achalasia

and related motor disorder.

Gas-troenterology 79: 144-154.

(8)

食 道 ア カ ラ シ ア に 対 す る 超 音 波 内 視 鏡 所 見

(超 音 波 内 視 鏡 所 見 に よ るStaging)

日本大学医学部 第三外科

公,田

隆,佐

重,河

彦,須

は じ め に 食 道 ア カ ラ シ ア の 診 断 基 準 は,ア カ ラ シ ア 委 員 会 が 決 め た 拡 張 型,拡 張 度,内 圧 波 型 な ど を 用 い て い る.し か し,本 症 は 機 能 的 食 道 疾 患 で あ る た め,食 道 通 過 時 間,内 圧 曲 線 上 の 下 部 食 道 括 約 筋 圧 な ど を 加 味 し て 検 討 し て い る.さ ら に 最 近 で は,超 音 波 内 視 鏡(以 下EUS)を 用 い, 狭 窄 部 分 の 検 索 を 行 っ て い る の で,EUS所 見 に 応 じ てStagingを 試 み た の で,症 例 を 呈 示 し, 報 告 す る. 対 象 お よ び 方 法 1990年6月 ま で に 当 教 室 で 経 験 し た 食 道 ア カ ラ シ ア 症 例 は96例 で あ る.紡 錘 型36例,フ ラ ス コ型44例,S字 型16例 で あ っ た.拡 張 度 は GradeIが6例 全 て 紡 錘 型 で あ り,GradeIIは 60例 の う ち 紡 錘 型27例,フ ラ ス コ 型30例,S 字 型3例 で あ っ た.Grade IIIで は,フ ラ ス コ 型 14例 とS字 型13例 が 多 く,紡 錘 型 は3例 と 少 な か っ た.内 圧 曲 線 分 類 を 拡 張 度 別 に み る と,紡 錘 型 で はA型 が33例,B型 が3例 とA型 が 多 か っ た.フ ラ ス コ 型 で はA型22例,B型19例 と ほ ぼ 同 数 で り,S字 型 で はA型 は1例 も な く,B型 は15例 で あ っ た.96例 の うち,1987年 9月 以 降 に 経 験 し た11例 全 例 にEUSを 施 行 し た.使 用 し た 機 種 は ラ ジ ア ル タ イ プ の オ リン パ ス,ア ロ カ 社 製 のGF-UM2お よ びUM3で あ る.フ ァ イ バ ー ス コ ー プ を 胃 内 に 挿 入 後,バ ル ー ン 内 に 脱 気 水 を 約5-8ml注 入 し,引 き 抜 き な が ら 主 に 狭 窄 部 分 の 観 察 を 行 っ た.狭 窄 部 分 の EUS所 見 は 第3層,第4層 が 均 一

なhypo-echoic spaceと し て 描 出 さ れ た.こ のecho

spaceを 肥 厚 の 程 度 に 応 じ て,5mm未 満 を 軽 度,5mm以 上10mm未 満 を 中 等 度,10mm以 上 を 高 度 と し て 分 類 し,検 討 し た. 成 績 症 例1は54歳,女 性.S字 型,GradeII,B型 で 病 悩 期 間 は10年 で あ る.EUSで は 門 歯 列 よ り35cmに 高 度 の 狭 窄 を 認 め,EUSで は 第3 層,第4層 に 相 当 す る 部 分 に 均 一 なhypoechoic spaceと し て 描 出 さ れ,10mm以 上 の 肥 厚 を 伴 っ て い た た め 高 度 肥 厚 例 と し た.手 術 はlong

myotomyに 胃 底 部 を 縫 着 し たGirard変 法IV

を 行 っ た.病 理 組 織 学 的 に は ア ウ ェ ル バ ッ ハ 神 経 叢 の 欠 如 と高 度 なfibrosisを 認 め た(図1a). 症 例2は71歳 の 男 性 で,S字 型,GradeII,B 型,病 悩 期 間18年 で あ る.現 在 内 科 的 に 拡 張 ブ ジ ー を 施 行 し て い る 症 例 で あ る が,EUSで は 肥 厚 の 程 度 は5-6mmで あ り,中 等 度 の 肥 厚 と し た. 症 例3は28歳 の 女 性 で,紡 錘 型,GradeII,A 型,病 悩 期 間 は2年 で あ る.EUSで は 今 ま で の 例 と異 な り,狭 窄 程 度 は わ ず か で,肥 厚 は2mm と 少 な い た め,軽 度 肥 厚 と し た.こ の 症 例 で は, 小 範 囲 のmyotomyのGirard変 法IIIを 行 っ た.病 理 組 織 学 的 に は ア ウ エ ル バ ッ ハ の 神 経 叢 の 欠 如 と,軽 度 のfibrosisが 認 め ら れ た(図 1b). 症 例4は33歳 の 男 性 で,フ ラ ス コ 型,Grade II,A型,病 悩 期 間18年 の 症 例 で あ る.胃 透 視 で は 胃 角 部 後 壁 の 胃 潰 瘍 と 十 二 指 腸 球 部 の 変 形 を 認 め た.EUSで は 肥 厚 の 程 度 は4mmで 軽 度 肥 厚 例 で あ っ た.手 術 はGirard変 法IIIを 行 っ た.病 理 組 織 学 的 に も ア ウ ェ ル バ ッ ハ 神 経 叢 の

(9)

日 本 平 滑 筋 誌26(6)1990 351 図1a 図1b 図1c 図1. EVSと 病 理 組 織 像 表1. EUS所 見 と 拡 張 型,拡 張 度,内 圧 分 頻 変 性 と,軽 度 のfibrosisを 認 め た(図1c). EUS所 見 と拡 張 型,拡 張 度,内 圧 曲 線 分 類 の 関 係 を 見 る と,軽 度 肥 厚 と し た も の は4例 で あ る が,紡 錘 型,Grade II,A型 が 多 か っ た .中 等 度 肥 厚 と し た も の は6例 で,フ ラ ス コ 型,Grade III,B型 が 多 か っ た.高 度 肥 厚 は1例 の み で,S 字 型,GradeII,B型 の 症 例 で あ っ た(表1). 考 察 お よ び 結 語 EUSに よ る 肥 厚 程 度 と 他 の 分 類 に よ る 重 症 度 と は 相 関 が あ っ た.当 教 室 で はEUS所 見 に よ り,軽 度 肥 厚 例 はGirard変 法III,中 等 度 以 上

の 肥 厚 例 はGirard変 法IVと し て い る .EUS

はmyotomyの 範 囲,噴 門 形 成 付 加 手 術 の 目安 と な る 検 査 法 で あ る. 文 献 村 山 公, 他(1989). 食 道 疾 患 に 対 す る 超 音 波 内 視 鏡 の 有 用 性 に つ い て. 日大 医 誌48: 667-673. 佐 藤 博 信, 他(1989).狭 窄 を 伴 っ た 逆 流 性 食 道 炎 に お け る 超 音 波 内 視 鏡 の 有 用 性 . 消 化 器 内 視 鏡 の 進 歩35: 30-34. 田 中 隆, 他(1988a). 食 道 ア カ ラ シ ア の 臨 床 像-と く に 呼 吸 器 症 状 に つ い て-. 日本 胸 部 臨 床47: 733-739. 田 中 隆, 他(1988b). ア カ ラ シ ア ー 食 道 ア カ ラ シ ア の 現 況 と未 来, と くに 診 断 と治 療 に つ い て . 日消 外 会 誌21: 97-100.

(10)

ス ト レ ス の 食 道 運 動 に 及 ぼ す 影 響

旭川医科大学

第三内科

勝, 北

茂, 上

人, 長

明, 柴

毅 與 志, 並

消 化 管 機 能 が ス トレ ス に よ り影 響 を 受 け る こ

とは,胃

の ス トレス 潰 瘍 を代 表 と して 良 く知 ら

れ て い る(並

木 ら,1979,1983;奥

村 ら,1989,

1990).し か し なが ら,食 道 の機 能 が ス トレス に

よ り どの よ うな 影 響 を受 け るか に つ い て は,あ

ま り知 られ て い な い.今 回,わ れ わ れ は ス トレ

ス に よ り食 道 運 動 機 能 が影 響 を 受 け る か否 か 検

討 した.

対 象 と方 法

嚥 下 困 難 の な い健 常 人 男 性10人(年

齢22-27

歳)を

対 象 と した.食

道 運 動 機 能 は 内 圧 測 定 法

に よ り評 価 した.早

朝 空 腹 時,咽 頭 を キ シ ロ カ

イ ン ス プ レ ー で麻 酔 した 後,座 位 に て 食 道 内圧

測 定 用 カ テ ー テ ル を 経 口的 に挿 入 した.カ

テ ー

テ ル は先 端 よ り5cm,10cm,15cmの

部 位 に 微

小 トラ ン ス ジ ュ ーサ が 装 着 され て い る も の を 用

い,門 歯 よ り27cm,32cm,37cmの

部 位 の 食 道

内 圧 を ポ リグ ラ フ上 で モ ニ タ ー し記 録 した.測

定 開 始 後,5分

間 被 検 者 が カ テ ー テ ル に慣 れ る

の を待 った.そ の 後 の10分

間 は安 静 時 の,引 続

き10分 間 は ス トレス 負 荷 時 の,さ らに そ の 後 の

10分 間 は安 静 時 の食 道 内 圧 を測 定 した.ス

トレ

ス と して は ヘ ッ ドホ ー ン よ り片 側 そ れ ぞ れ100

dBの

騒 音 を 負 荷 した.

図1お

よ び 図2に 代 表 例 を 示 す.図1Aの

で は,騒 音 開 始 の 約2秒 後 よ り最 上 段 の 門歯 よ

り27cmの

部 位 の 食 道 内 圧 が 基 線 の 揺 れ の 増

大 を 伴 っ て 上 昇 し,約3分

間後 に は ス トレス 負

荷 開 始 前 に 比 べ13mmHg増

加 して い た.こ

変 化 は ス トレ ス解 除 ま で続 き,ス

トレス解 除後

速 や か に 元 の レベ ル に戻 った.し か しな が ら,こ

の よ うな 内 圧 の変 化 は 中段 ・下 段 の よ り肛 門側

の 食 道 内 に お い て 認 め られ な か った.図1Bの

例 で は,騒 音 開 始 の1分 後 よ り下 段 の37cmの

部 位 の 食 道 内圧 が上 昇 し,1.2分 後 に は ス トレス

負 荷 開 始 前 よ り7mmHg,3分

後 に は20

mmHgと

食 道 内 圧 が 上 昇 し,ス

トレス解 除 後,

徐 々 に元 の レベ ル に 戻 る の が観 察 さ れ た.し か

し,よ

り 口側 の 食 道 内 に お い て は そ の よ うな反

応 は 認 め られ な か った.図2の

例 で は,ス

トレ

ス 負 荷 中 の食 道 内 圧 に 変 化 を 認 め な か った が,

ス トレス を解 除 した 後,上 段 の27cmの

部 位 の

食 道 内圧 が12mmHg上

昇 した.こ の よ うに,食

道 内 圧 に 変 化 が 認 め られ た の は,ス

トレス負 荷

中10例

中4例,ス

トレス解 除 後10例

中1例

あ っ た.ま た,図2に

示 した 例 で は,ス

トレス

解 除 直 後 よ り食 道 の収 縮 波 頻 度 の増 加 が 認 め ら

れ た.こ の よ うに,食 道 の 収 縮 波 頻 度 に変 化 が

認 め られ た の は,ス

トレ ス負 荷 中10例

中2例,

ス トレ ス解 除 後10例

中1例 で あ り,全 体 で い ず

れ か の 変 化 が 認 め られ た の は,10例

中7例

あ った.

本 研 究 で は,騒 音 ス トレス 負 荷 に よ り食 道 内

圧 が 影 響 を 受 け る事 実 を知 った.こ

れ ら の実 験

結 果 は,食 道 機 能 も他 の 消 化 管 機 能 と同様 に,ス

トレス に よ り影 響 を受 け る こ とを 示 唆 す る.過

敏 性 腸 症 候 群(IBS)の

病 態 に は 消 化 管 全 体 の運

動 異 常 を考 慮 す べ きで あ る と指 摘 さ れ て い る.

IBSの

病 態 が 自律 神 経 の 失 調 を基 盤 と し,し か

も ス トレ ス の影 響 が 密 接 に 関 与 す る こ とを考 え

れ ぼ,む

し ろ 当然 とい え よ う.本 研 究 で得 られ

(11)

日 本 平 滑 筋 誌 26(6) 1990 353

A

B

図1.  騒 音 ス ト レ ス に よ る 食 道 内 圧 の 変 化

A,B:上 段 よ り門 歯 よ り,27cm, 32cm, 37cmの 部 位 の 食 道 内 圧 .ON;騒 音 負 荷 開 始OFF; 騒 音 負 荷 終 了.

図2.  騒 音 ス トレ ス に よ る 食 道 内 圧 の 変 化

上 段 よ り,門 歯 よ り27cm, 32cm, 37cmの 部 位 の 食 道 内 圧.ON;騒 音 負 荷 開 始OFF;騒 音 負 荷 終 了.

(12)

た 結 果 は ス ト レ ス関 連 疾 患 で あ るIBSの

病 態

とそ の 発 症 の メ カ ニズ ムを 考 え る うえ に も参 考

と な る.

並 木 正 義 (1983). ス ト レ ス に 対 す る 生 理 学 的 ア プ ロ ー チ. 医 学 の あ ゆ み125: 338-345. 並 太 正 葬 (1979). ス ト レ ス 潰 瘍 の 概 念 と 問 題 点. ス トレ ス 潰 瘍 (並 木 正 義 編), 新 興 医 学 出 版 社, 東 京, 1-8. 奥 村 利 勝 (1989). 迷 走 神 経 背 側 核 へ の カ イ ニ ソ 酸 注 入 に よ る実 験 的 潰 瘍 の 研 究. 日 本 消 化 器 病 学 会 雑 誌86: 1597-1603. 奥 村 利 勝 (1990). 水 浸 拘 束 ス ト レ ス 潰 瘍 の 発 生 に 対 す る 外 側 視 床 下 部 破 壊 の 影 響. 日 本 消 化 器 病 学 会 誌87: 1371-1375.

胃 切 除 後 残 胃十 二 指 腸 運 動 か らみ た

逆 流 性 食 道 炎 の検 討

新潟大学医学部 第一外科

田 信

夫,松

之,佐

弘,小

之,松

は じ め に

近 年 食 道 内pHの

長 期 連 続 測 定 が 可 能 に な

り,逆 流 性 食 道 炎 の病 態 生 理 は次 第 に解 明 され

つ つ あ る.ま た,胃 癌 の 代 表 的 手 術 で あ る幽 門

側 胃亜 全 摘 術(Billroth I法 再 建)は,リ

ンパ 節

郭 清 に伴 う下 部 食 道 括 約 機 構 の低 下 と幽 門 輪 切

除 に 伴 う逆 流 防 止機 構 の 廃 絶 に よ り,十 二 指 腸

液 が 残 胃 食 道 内 に 容 易 に逆 流 し うる病 態 下 に あ

る こ とが 知 ら れ て い る.今 回我 々は,こ

の 胃亜

全 摘 術 後 の 胸 や け 症 状 が 夜 間空 腹 期 に多 く生 ず

る こ とに 注 目 し,夜 間 の食 道pHと

残 胃 ・

十 二 指

腸 内 圧 変 動 の 同 時 連 続 測 定 を 行 い,空 腹 期 十 二

指 腸 運 動 と残 胃食 道 逆 流 現 象 の 関 連 に つ い て 検

討 した.

当 科 で 胃 癌 に 対 し 幽 門 側 胃 亜 全 摘

術(Bil-lroth I法 再 建)を 施 行 した21例

を 対 象 と した.

逆 流 性 食 道 炎 の 内 視 鏡 分 類(Savary-Miller分

類)に 従 いA群:食

道 炎 非 合 併9例(年

齢:46

∼66歳

平 均56 .8歳,男 性8例 女性1例,術

経過 期 間:11力

月 ∼11年10力

月 平 均3年7力

月)B群:食 道 炎 合 併12例(年 齢:50∼71歳 平 均62.9歳,男 性10例,女 性2例,術 後 経 過 期 間:7力 月 ∼16年4力 月 平 均5年1力 月)の2 群 に 分 け 比 較 検 討 し た. 方 法 食 道 内pHは 複 合 型pHセ ン サ ー(比 較 電 極 組 込 み 型PH-3110ク ラ レK.K.)を 用 い,消 化 管 内 圧 はInfused-Catheter法 に て 測 定 し た.透 視 下 にpH電 極 を 食 道 胃 接 合 部 よ り 口 側5cm に,3ル ー メ ン 内 圧 測 定 用 カ テ ー テ ル(段 位 側 孔 5cm間 隔)を 残 胃(1点)十 二 指 腸 内(2点)に 留 置 し た.被 検 者 は6時 間 以 上 絶 食 と し た 後, ベ ッ ド上 仰 臥 位,就 眠 可 能 な 環 境 下 で,夜 間 の 食 道 内pHと 胃 十 二 指 腸 内 圧 を8時 間 以 上 連 続 測 定 し た. 結 果 1.  残 胃十 二 指 腸 運 動:胃 亜 全 摘 術 後 の 十 二 指 腸 運 動 は21例 中15例(A群:6例, B群:9

例)でPhase I∼Phase IIIの3相 か ら な る 空 腹

期 の 周 期 的 活 動 が 認 め ら れ た.強 収 縮 期(Phase

(13)

日 本 平 滑 筋 誌 26(6) 1990 355 図1.  胃亜 全 摘(BI)術 後 の残 胃,十 二 指 腸 内圧 曲線 と食 道内pHの 変動.十 二 指 腸 に約9分 間 の強 収 縮 波 群 を 認 め これ に 同期 して食 道 内pHは5.8か ら7に 上 昇 し同時 に被 検 者 は胸 や け を訴 えた. A群:食 道 炎(-) B群:食 道 炎(+) 図2.  十 二 指 腸 強 収 縮 波 群 出 現 に と も な っ た 食 道 内pHの 変 動.B群:20/23回,A群 に お い て も7/15回 に 十 二 指 腸Phase IIIに 同 期 し て 食 道 内pHの 上 昇 を 認 め た. 群:2.9回),平 均 持 続 時 間 は9.3分(A群: 9.9±3.9分,B群:8.8±4.6分)で あ っ た.残 胃 で は 内 圧 記 録 上,収 縮 波 は ほ と ん ど認 め ら れ ず, 空 腹 期 の 周 期 的 活 動 も 認 め ら れ な か っ た. 2.  食 道 内pH:測 定8時 間 の 平 均 食 道 内 pH値 はA群:5.84±0.22,B群:6.69±0.39と B群 で 有 意 に 高 値 を 示 した(M±SD, p<0.01) 3.胸 や け 症 状 と十 二 指 腸 運 動 の 関 係:測 定 中 の 胸 や け 症 状 発 現 はB群6例 に 合 計16回 認 め られ,5例(12回)は 食 道 内pHか ら ア ル カ リ の 逆 流 で あ っ た 。 ま た,こ の ア ル カ リ逆 流 に よ る 症 状 発 現 時 の 十 二 指 腸 運 動 はPhase II 7回, Phase III 5回 と,す べ て 運 動 亢 進 期 で あ っ た (図1) 4.  十 二 指 腸Phase IIIと 食 道 内pHの 関 係: 食 道 内pHが 十 二 指 腸 のPhase IIIに 同 期 し て 上 昇 し た も の は 観 察 さ れ た 十 二 指 腸Phase III 38回 中27回(A群:7/15回47%,B群:20/ 23回87%)で あ っ た(図2).ま た こ の 十 二 指 腸 Phase III出 現 後10分 以 内 に 食 道 内pH上 昇 の ピ ー ク を 認 め た 回 数 はA群:7/7回B群:12/ 20回 で あ っ た. 考 察 正 常 人 の 十 二 指 腸 胃 逆 流 現 象 に つ い て Keane et al.(1981)は 外 分 泌 亢 進 期 で あ る

Phase II晩 期 に 認 め ら れ る と,Gill et al. (1987)

は 空 腹 期 の 胃 のMMCに 同 期 し て 胃 食 道 逆 流

現 象 が 認 め ら れ た と報 告 し て い る.さ ら

(14)

サ ーを 留 置 し ア ル カ リ腸 液 及 び 胃液 の 胃食 道 逆

流 現 象 を報 告 して い る.今 回我 々 は 逆 流 防 止 機

構 の 破 綻 した 状 況 下 に あ る 胃亜 全 摘 術 後 の,食

道 逆 流 現 象 を 残 胃十 二 指 腸 運 動 との 関 連 で検 討

を 行 っ た.そ

の結 果,リ

ン パ 節 郭 清 を 伴 っ た 胃

亜 全 摘Billroth I法 術 後 に は,食 道 炎 群 で は 胸

や け症 状 と と も に ア ル カ リ性 腸 液 の 食 道 逆 流 が

認 め られ,ま

た 食 道 炎 非 合 併 群 に お い て も アル

カ リ逆 流 が 認 め られ た.こ の 逆 流 発 生 の 多 くは

十 二 指 腸Phase III出 現 に 一 致 し,胃 亜 全 摘

Billroth I法 術 後 の 残 胃食 道 逆 流 現 象 に は,空

腹 期 の 十 二 指 腸 運 動 が 関 与 す る こ とが 示 唆 され

た.

Cortesini, C. et al. (1984). Usefulness of Com-bined Gastric and Esophageal pH Monitoring in Detecting Gastroesophageal Alkaline and Mixed Reflux. Eur. surg. Res. 16: 378-383. Gill, R. C. et al. (1987). Gasto-oesophageal reflux

and the migrating motor complex Gut. 28,.: 929-934.

Keane, F. B. et al.(1981). Duodenogastric Reflux in Humans: Its Relationship to Fasting Antroduodenal Motility and Gastric, Pancre-atic, and Biliary Secretion. Gastroenterology. 81: 726-731. 小 林 清 男 (1980). 術 後 逆 流 性 食 道 炎 の 諸 問 題. 新 潟 医 学 会 雑 誌92: 326-341.

胃排 出能 か ら み た 迷 走 神 経 切 離 術 の 評 価

いわき市立総合磐城共立病院 外科

香,土

誉,佐

消 化 性 潰 瘍 手 術 症 例 に 対 す る迷 走 神 経 切 離 兼

幽 門形 成 術 に お い て,幽 門 洞 枝 を温 存 す る選 択

的 近 位 置 迷 走 神 経 切 離 術(SPV)と,幽

門 洞 枝

を切 離 す る全 幹 迷 走 神 経 切 離(TV),選

択 的 迷

走 神 経 切 離 術(SV)で

の 胃排 出能 に お よぼ す 影

響 を 知 る 目的 で,臨 床 例 で 検 討 を行 った.

十 二 指 腸 潰 瘍 穿 孔 で 迷 走 神 経 切 離 術 を 施 行 し

た12例

と健 常 例5例

を 対 象 とした.迷 走 神 経 切

離 術 の 内 訳 はSPV

5例,SV

3例,TV

4例 で

い ず れ も 幽 門 形 成 術 を 付 加 した.

平 均 年 齢 はSPV

36.6±6./歳,SV39./±5.6

歳,TV

48.2±4.3歳,健

常 例33.2±3.5歳

で あ

り,術 後 平 均 経 過 期 間 はSPV

15.4±7.8月,SV

47./±12./月,TV36.0±4.4月

で あ っ た.

方 法 12時 間 絶 食 後,空 腹 時 ガ ス 卜 リ ン 採 血 を 行 っ た.検 査 食 と し て,99mTc 1mCiを 混 合 し た 全 粥 200g,鶏 卵50gを 用 い,5分 以 内 に 全 量 摂 取 さ せ た.そ の 後,被 験 者 を 座 位 と し,ガ ン マ カ メ ラ を 用 い て 前 面 像 を3分 間 カ ウ ン ト し 摂 取 直 後 を0分 と し,15分 間 隔 で75分 ま で 測 定 し た.胃 部 に 関 心 領 域(ROI)を 設 定 し,食 事 摂 取 直 後0 分 を1/0%と し て,50%に な っ た 時 間 をhalf emptying time, T1/2と し,胃 排 出 能 の 指 標 と し た(谷 口,1975;小 泉 ら,1988). 結 果 T1/2は,健 常 群37.2±5.7分,SPV群36.8± 23.6分,SV群13.7±7.2分,TV群20.1±10.1 分 で あ り,SPV群 は 健 常 群 と 有 意 差 を 認 め な か っ た が,SV群,TV群 は 健 常 群 に 比 し,有 意 (p<0.05)に 排 出 能 が 亢 進 し て い た(Figure 1).

(15)

日本 平 滑 筋 誌 26(6) 1990 357 Figure1.  胃 排 出 能(T1/2)

ま た,胃 排 出 能 と術 後 経過 期 間 の関 係 は,術

後 経 過 期 間 が長 くな るほ ど,胃 排 出時 間 は短 縮

さ れ る傾 向 に あ る よ うに 思 わ れ た が,SPV, SV,

TVの

す べ て の 術 式 で,一

定 の 術 後 経 過 期 間 を

す ぎ る と ほ ぼ一 定 した値 と な った(Figure

2).

胃排 出 能 と空 腹 時 血 中 ガ ス トリン値 の 関 係 で

は,ガ

ス ト リン は 胃排 出 能 を 遅 らせ る といわ れ

て い るが(三 輪 ら,1976),本

症 例 に お い て両 者

に相 関 関 係 は み られ な か った.

1. 各 種 迷 切 兼 幽 門 形 成 術 症 例 に ア イ ソ トー

プ を 用 い た 胃排 出機 能 検 査 を 行 った.

2. TV+Pま

た はSV+Pは,術

後 胃 内容 停

滞 を お こ しや す い が(阿 部,1981),遠

隔 時 に お

Figure2.  胃 排 出 能 と 術 後 経 過 期 間

い て は,排 出 時 間 は健 常 人 よ り短 くな った.

3. SPV+Pで

は,術 後 比 較 的 早 期 よ り健 常

人 に 近 い排 出能 を示 した.遠 隔 時 に は,排

出時

間 はTV+P同

様 短 くな った.

4. 幽 門 洞 枝 の 温 存 の 有 無,幽

門 形 成 術 は 胃

排 出 能 に影 響 を お よぼ す.

阿 部 正 (1981). 減 酸 率 ・胃 内 容 排 出 時 間 ・術 後 愁 訴 か ら み た 消 化 性 潰 瘍 各 種 術 式 の 検 討. 日 消 外 会 誌 14: 1167-1177. 小 泉 文 明, 他 (1988). 蛍 光 偏 光 免 疫 測 定 法 に よ る 血 中 ア セ トア ミ ノ フ ェ ソ 濃 度 と 胃排 出 能 と の 関 係. 日消 誌85: 2559-2562. 三 輪 剛, 他 (1976). 胃排 出 に お よ ぽ す テ ト ラ ガ ス ト リ ン の 影 響. 日消 誌73: 843-849. 谷 口 勝 俊 (1975). 消 化 性 潰 瘍 胃 のGastroscinti-gramに よ る 胃 排 出. 日 消 誌77: 1871-1877.

(16)

胃内圧か らみた幽門側切除後残 胃における

噴門の内視鏡的検討

日本医科大学付属第一病院

内視鏡科

史,飯

章 太 郎,大

は じ め に 反 転 法 に よ る 内 視 鏡 的 な 噴 門 形 態 をCI ∼CVII型 の7型 に 分 類 し,観 察 に 使 用 し て い る(松 久 ら,1982;松 久,1988).幽 門 側 切 除 後 残 胃 に お け る 噴 門 形 態 の 変 化 を 検 討 す る た め, 切 除 術 式,吻 合 術 式,郭 清 リ ン パ 節 別 に 観 察 し, 内 圧 の 測 定 も 行 な っ た.さ ら に 術 後 の 噴 門 形 態 の 変 化 お よ び 推 移 を 経 時 的 に 検 討 し た. 対 象 噴 門 形 態 の 変 化 を 観 察 し た 症 例 は,術 前,術 後 の 内 視 鏡 検 査 を 行 な っ たA, M領 域 の 胃 癌 症 例47例(検 査 回 数 延 べ89回)で あ る. 方 法 1.  噴 門 形 態 の 内 視 鏡 的 分 類 H. Oshimaが1967年 以 来 西 ド イ ツ で 用 い て い た 旧 分 類(Schuchter et al., 1975)に 基 づ き, 大 島 自身 が 改 訂 し た も の を 用 い た(図1). 2.  術 前 と 術 後 の 噴 門 形 態 の 比 較(判 定 基 準) 図1左 に 示 し た よ う に,術 前 の 噴 門 形 態 が

CI, CII型(閉 鎖 型),CIV型(軽 度 開 大 型),CV

型(中 等 度 開 大 型)か ら,術 後 に 各 々CIV型,CV

型,CVI型(高 度 開 大 型)に 移 行 し 軽 度 開 大 し

た も の を(+),CI, CII型,CIV型 か ら 各 々CV

型,CVI型 に 変 形 し 中 等 度 開 大 し た も の を(廾),

CI, CII型 か らCVI型 に 高 度 開 大 し た も の を

(卅)と し た.さ ら に 変 化 の み ら れ な い も の を (-)と し た. 3.  ト ラ ン ス ジ ュ ー サ ー 法 に よ る 内 圧 測 定 下 部 食 道 括 約 部 圧,残 留 胃 内 圧 の 測 定 は Gaeltec社 製1チ ャ ン ネ ル ト ラ ン ス ジ ュ ー サ ー (4Fr.)を 用 い て 内 視 鏡 下 に 測 定 し た.(松 久 ら, 1984)

1. 切 除 術 式 別 に み た 噴 門形 態 の変 化

胃癌 症 例47例

中27例(57.4%)に

噴 門 の開 大

が 認 め られ た.こ れ を切 除 術 式 別 に み る と,幽

門 側 亜 全 摘 例 に お い て は39例

中59.0%に

噴 門

が 開 大 し て い た.幽

門 側 切 除 例 で は8例

50.0%に

噴 門 の 開 大 が み られ た.

2. 吻 合 術 式 別 にみ た 噴 門形 態 の変 化

Billroth第1法

に お い て は51.4%(35例

中18

例)の 症 例 に お い て 術 後 噴 門 の 開 大 が み られ た.

こ れ に 対 し,Billroth第II法

で は12例

75.0%の

症 例 で 噴 門 が 開 大 し て い た.

3. 噴 門 リンパ 節 郭 清 に よ る噴 門形 態 の変 化

幽 門 側 切 除 時 の噴 門 リンパ 節 郭 清 に伴 う噴 門

判 定 (+):軽度 開大.(廾):中 等度 開 大 、(卅):高度 開大 図1.  胃切 除後 に お け る内 視 鏡 的噴 門 形 態 の変 化 に 関す る判定 基 準

(17)

日本 平 滑 筋 誌 26(6) 1990 359

郭 清 リンパ 節

1番

1,2番

(-)

1) vs.3),

2) vs.3):P<0.05

図2.  噴 門 リソパ節 郭 清 に よる噴 門形 態 の 変化

周 辺 迷 走 神 経 枝 切 離 の噴 門形 態 へ の 影 響 を み る

と,1,2番

す な わ ち 左 右 の噴 門 リンパ 節 郭 清 群

に お い て は,5例

中80.0%の

症 例 に 噴 門 の 開 大

が 認 め られ た(図2).次

い で右 噴 門 リンパ 節(1

番),郭 清 群 の61.8%(34例

中21例),噴

門 リン

パ 節 の 郭 清 を 行 なわ な か った 群 の25.0%(5例

中1例)の

順 で あ った(図2).

4.  トラ ン ス ジ ュ ーサ ー法 に よ る内 圧

幽 門側 切 除 後 残 胃 に お い て測 定 した 下 部 食 道

括 約 部 圧,残

留 胃内 圧 を非 切 除 胃に お け るそ れ

ら(松 久,1988)と

噴 門 形 態 別 に観 察 した が,い

ず れ も有 意 差 は 得 られ な か った.

5.  幽 門 側 切 除 後 の 噴 門 形 態 の経 時 的 変 化

幽 門 側 切 除 後6ヵ

月 未 満 の 症 例 で は8例

75.0%の

症 例 に 噴 門 の 開 大 が み られ た.6ヵ

以 上3年

未 満 で は51例

中56.9%,3年

以 上 で は

30例 中33.3%で

あ った.

幽 門側 切 除 後 の 噴 門 を 術 前 の そ れ と比 較 す る

と,47例

中27例(57.4%)に

噴 門 の 開 大 を 認 め

た が,切 除 術 式 別(幽 門側 亜 全 摘,幽 門 側 切 除),

吻 合 術 式 別(Billroth第1法,第II法)に

分 け

た 観 察 で は,い ず れ に お い て も開大 率 に有 意 差

は み られ な か っ た.一 方,1,2番

す な わ ち左 右

の噴 門 ノ ンパ 節 郭 清 群 に お い て噴 門 の 開 大 率 が

最 も高 く(図2),迷

走 神 経 の切 離 が 噴 門 の開 大

に 関 与 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ た.こ れ は 胃 癌 発 生 部 位 別 の 観 察 に お い て も 類 似 し て い た (松 久 ら,1990). 幽 門 側 切 除 後 残 胃 に お け る 下 部 食 道 括 約 部 圧,残 留 胃 内 圧 値 は 非 切 除 胃 に お け る 測 定 値 と 近 似 し て い た. 噴 門 の 経 時 的 観 察 に よ る と,時 間 的 経 過 に 従 い 開 大 し た 噴 門 の 縮 小 す る傾 向 が み ら れ た 。 文 献 松 久威 史 (1988). 噴 門 と幽 門 の形 態 と機 能 に 関 す る 内 視 鏡 的 検 討 (第1報) 一 噴 門 に つ い て-. Gas-troenterological Endoscopy 30: 3-13. 松 久威 史, 福 富 義也, 高屋 善 章, 倉 禎 二, 大 島 博 (1982). 内 視 鏡 的 に観 察 さ れ る噴 門 部 形 態 の 種 々相 (第1報). Gastroenterological Endos-copy 24: 351. 松 久威 史, 花牟 礼 康 生, 清 水 義 人, 大 島 博 (1984). 噴 門の 内視 鏡 的検 討 一 形態, 内圧, 筋 電 図一. 消化 器 内視 鏡 の進 歩25: 63-67. 松 久威 史, 飯 田章太 郎, 大 島 博 (1990). 幽 門側 切 除 後 残 胃に お け る噴 門形 態 の変 化. 消化 器 内 視 鏡 の 進 歩36: 185-189.

Schuchter, A., Munuk, A. und Anhalt, G. (1975). Varianten der Cardiaregion im

Gastrokamera-Bild. In: Oshima, H., Bergemann, W. und Schuchter, A. (Hrsg.): Fortschritte der Endos-kopischen Magendiagnostik. S. 144-146, Acron Verlag, West-Berlin.

(18)

Non-ulcer

dyspepsiaに

お け る 胃 運 動 機 能 の 検 討

東北大学医学部

第三内科

洋,本

夫,山

西

夫,上

道,豊

東北労災病院

放射線科

は じ め に

Talley et al. (1986)は,一

般 診 察 お よ び通

常 の 臨 床 検 査 で 症 状 に対 応 す る器 質 的 異 常 が な

く,上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 に て 消 化 性 潰 瘍,食

道 炎 お よ び悪 性 腫 瘍 の病 変 が な い に もか か わ ら

ず 消 化 器 不 定 愁 訴 を 有 す る も の をNon-ulcer

dyspepsia (NUD)と

定 義 して い る.Rees et al.

(1980)はNUDの

病 態 に 胃排 出 遅 延 の 関与 を 報

告 し て い る.Malagelada

et al. (1985)は

NUD患

者 の 約70%に

胃 お よ び 腸 の 運 動 機 能

障 害 が あ る こ とを 報 告 して い るが,合

わ せ て 約

30%に

胃運 動 機 能 障 害 を 認 め な い こ とを 報 告

して お り,そ の 病 態 に つ い て は 不 明 で あ る.本

研 究 で は,Non-ulcer

dyspepsia (NUD)の

態 に お け る 胃 運 動 機 能 の 役 割 を 明 らか に す る こ

とを 目的 と し,胃 排 出能 検 査 お よ び経 皮 的 胃電

気 活 動 記 録(Electrogastography:EGG)の

か ら検 討 を行 った.

対 象 お よ び 方 法

悪 心,嘔

吐 等 の上 部 消 化 管 由来 と考 え られ る

愁 訴 が あ り,消 化 管 の 諸検 査 に て正 常 も し くは

い わ ゆ る慢 性 胃 炎 と診 断 され たNUD患

者10

名(平 均 年 齢51歳,女

性9名,男

性1名)を

象 と し,胃 運 動 機 能 検 査 を 施 行 した.尚,腹

に伴 う頻 回 の 下 痢,排 便 に よ る腹 痛 の 緩 和,交

代 性 便 秘 お よ び 下 腹 部 膨 満 感 な ど のirritable

bowel syndromeと

考 え られ る症 状 の あ る症 例

は対 象 か ら除 外 した.胃 運 動 機 能 検 査 は,RI標

識 固形 試 験 食 に よる 胃排 出 能 検 査 お よ び食 前 食

後 各 々30分

間 の 経 皮 的 胃 電 気 活 動 記 録

(Electrogatrography:EGG)を

用 い た.尚,両

検 査 は ほぼ 同時 期 に 施 行 した.

NUD患

者 の 固形 食 胃 排 出能 検 査 で は,平 均

胃内RI残

存 率 は,試 験 食 摂 取60分

後 か ら 胃排

出 遅 延 傾 向 を示 し,150分 後 の 胃 内RI残

存 率 は

正 常 域 よ り有 意 に 高 値 を示 した(図1).そ

の 値

を 個 々 の症 例 で み る と,10名 中4名

は 正 常 域 の

値 を 示 し て い るが,6名

は50%以

上 のRI残

率 を 示 し,著

しい 胃排 出遅 延 を 呈 す る症 例 も認

め られ た.

EGGで

は,正 常 者 と同様 の 規 則 的 な3.0cpm

を 呈 す る症 例,遅

い周 期 のbradygastria,速

周 期 のtachygastriaあ

る い は そ の 両 者 が 混 合

し たarrhythmiaを

呈 す る 症 例 が 認 め ら れ た

(図2).空 腹 期 お よび 食 後 期 のEGGを

個 々の 症

例 で み てみ る と,電 位,各

周 波 数 帯 の 占め る割

合 お よ び そ の積(power

product)の

す べ て の指

標 に お い て,空 腹 期 で3名,食

後 期 で4名

dysrhythmiaを

呈 した.こ れ ら はす べ て 胃排 出

遅 延 を 呈 す 症 例 で あ っ た.空 腹 期 お よ び食 後 期

EGG記

録 時 間 に 占 め る各 周 波 数 帯 の 頻 度 比 率

と 胃排 出能 との 関 連 の検 討 で は,胃 排 出能 正 常

のNUD患

者 群(N=4)は,健

常 者 と同 様 に両

時 期 と も3.0cpmの

波 の 頻 度 比 率 が20%以

で 最 大 値 を示 した.一 方,胃 排 出遅 延 のNUD患

者 群(N=6)で

は,両 時 期 と もに3.0cpmの

の 頻 度 比 率 は 約10%で

健 常 者 に比 し低 値 を 示

し,こ

とに 食 後 期 で は有 意 に 低 値 を 示 した.ま

た,bradygastriaお

よびtachygastriaの

成 分 が

健 常 者 に比 し有 意 に高 率 で 認 め られ た.ま た,胃

排 出 能 正 常 のNUD患

者 群 に お い て

もta-chygastriaの

成 分 は,健 常 者 に比 し有 意 に高 値

(19)

日 本 平 滑 筋 誌 26(6) 1990 361 図1.  NUD患 者 に お け るRI標 識 固形 試 験食 に よ る 胃排 出能 NUD患 者10名 の平 均 で は,試 験食 摂 取60分 よ り胃排 出遅 延傾 向を 認 め,150分 後 の 胃内RI残 存率 は,正 常 よ り有 意 に高 値 を示 した(p<0.05).各 症 例 の150分 胃内RI残 存 率 で は,4名 は正 常値 を示 し,6名 は 胃排 出遅 延 を示 した. NUD(#1) NUD(#2) NUD(#3) NUD(#4) 図2.  NUD患 者 に お け る 経 皮 的 胃 電 気 活 動 記 録(Electrogastrography:EGG) NUD患 者 は 症 例 に よ り#1∼#4のEGG波 を 呈 す る. #1:3.Ocpmの 正 常 波 #2:2.5cpmのbradygastria波 #3:3.75cpmのtachygastria波 #4:#2と#3の 成 分 の 混 じ っ たarrhythmia

を 示 した.

食 後 期EGG記

録 時 間 に 占 め る3.0cpmの

の頻 度 比 率 と150分

胃 内RI残

存 率 との 間 に は

有 意 な 負 の相 関 関 係 を認 め る.

NUD患

者 の60%に

胃排 出 遅 延 お よ び 胃 電

気 活 動 異 常 を 認 め,本 症 の原 因 の 一 つ に 胃運 動

機 能 障 害 が 関 与 して い る こ とが 示 唆 さ れ た.

胃排 出遅 延 の 有 無 に関 係 な くNUD患

者 全 例

(20)

に お い て,EGG上tachygastriaの 成 分 が 健 常 者 に 比 し 有 意 に 高 値 で あ り,消 化 器 不 定 愁 訴 の 発 症 にtachygastriaが 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ る.ま た,3.Ocpmの 波 の 頻 度 比 率 と 胃 排 出 能 と の 間 に は 有 意 の 負 の 相 関 関 係 が あ り, EGGは 各 種 疾 患 の 胃 運 動 機 能 を 探 る う え で 有 用 な 検 査 法 で あ る と考 え ら れ る. 文 献

Malagelada, J-R. et al. (1985).

Manometriceval-uation

of functional

upper gut symptoms.

Gastroenterology

88: 1223-1231.

Rees, WDW. et al.(1980).

Dyspepsia,

antral

motor dysfunction, and gastric stasis of solids.

78: 360-365.

Talley, NJ. et al.(1986).

Randomized,

double-blind, placebo-controlled

crossover

trial of

cimetidine and prienzepin in nonulcer

dyspep-sia. Gastroenterology

91: 149-156.

イ ヌ の 中 脳 の 電 気 的 刺 激 に よ る胆 嚢 お よ び

Oddi括

約 部 の 反 応

川崎医科大学

第二生理学教室

匡,古

胆 道 系 の 中 枢 神 経 性 調 節 の研 究 は極 め て少 な

い(Fisher

et al.,

1986; Hopman

et al.,

1987).

昨 年,私

達 は麻 酔 イ ヌの 前 視 床 下 野 腹 側 部 の刺

激 に よ って 胆 汁排 出 反 応 が ひ き起 こ され,後 視

床 下 野 の 刺 激 に よ って 胆 汁 排 出反 応 が 中 断 され

る こ とを 報 告 した(岡 田,古 川1989).今

回 さ ら

に,そ の 尾 側 の 中 脳 刺 激 に よる 胆 道 系 の反 応 を

明 らか に す る た め こ の実 験 を行 った.

実 験 方 法

約15時

間 絶 食 した雑 種 成 犬28頭

を 用 い,ケ

タ ミ ン(10mg/kg)つ

い で ク ロ ラ ロー ス(50

mg/kg)麻

酔 下 に 実 験 した.そ の うち13頭

は 頚

髄3-4の

高 さで 切 断 して,交 感 神 経 系 を 経 由す

る影 響 を 除 い た.左 前脳 と中 脳 左 半 分 を 除 去 し,

ガ ラ ス 管 に 封 入 した 直 径50μmの

白 金 線 を 刺

激 電 極 と し正 中 切 断 面 よ り右 側 中 脳 の種 々の 部

位 に刺 入 し,一 般 に30Hz,

0.15mA, 1msecの

矩 形 波 の 連 続 刺 激 を約3分

間 与 えた.な

お 実 験

は ガ ラ ミ ン投 与,人 工 呼 吸 下 に行 っ た.腹 部 正

中切 開 後,胆

嚢 底 よ り圧 記 録 用 と内 容 量 調 節 用

の2本

の ポ リエ チ レ ン小 管 を 挿 入 固定 した.ま

たOddi括

約 部 の 活 動 の 指 標 と し て 総 胆 管 よ り

挿 入 固定 した ポ リエ チ レ ン小 管 を通 して ミニ ポ

ン プ でTyrode液

を 定 流 量 灌 流(約0.1ml/分)

し,Oddi括

約 部 の抵 抗 圧 変 化 を記 録 した.実 験

終 了後,組

織 標 本 を作 成 し,中 脳 刺 激 部 位 を確

認 した.

実 験 結 果

中 脳 の 電 気 的 刺 激 に よ って 胆 嚢 内 圧 お よ び

Oddi括

約 部 の 活 動 に促 進 性,抑 制 性 お よび そ れ

らの混 合 型 の反 応 が ひ き起 こ され た.胆 汁 排 出

に対 して 重 要 な反 応 型 で あ る胆 嚢 内 圧 上 昇 と括

約 部 弛 緩 反 応 が,脊 髄 健 在 イ ヌで は中 心 灰 白質

よ り腹 側 の被 蓋 の一 部 の 刺 激 に よ っ て得 られ た

(図2A).頚

髄 切 断 動 物 で も この よ うな 反 応 は

認 め られ た(図1上).し

か し,刺 激 開 始 初 期 に

しば し ば これ らの 反 応 に先 行 して 逆 の反 応 で あ

る胆 嚢 内 圧 下 降 が 認 め られ た.こ

の一 過 性 逆 反

応 は 頚 髄 切 断,非 切 断動 物 の両 方 で 認 め られ た.

上 述 の 胆 汁 排 出 促 進 型 の 反 応 は889点

の う ち

130点 の 刺 激 で 認 め られ た.な お 頚 髄 切 断 動 物

で は この型 の 反 応 は腹 側 の 中 心 灰 白質 刺 激 で も

一 部 認 め られ た(図2B)

.

他 方,上

述 とは 逆 の反 応 で あ る 胆 嚢 内 圧 下 降

(21)

日本 平 滑 筋 誌26(6)1990 363 図1.  イ ヌ の中脳 刺 激 に よる胆 嚢 とOddi括 約 部 の反 応. 上 図:頸 髄 切 断 後 の腹 側 被蓋 刺 激 に よ る胆 嚢 内圧 上 昇 と括約 部 弛 緩反 応 。 右側AとBで 刺 激 初 期 に 一過 性 胆 嚢 内圧 下 降 が認 め られ る. 下 図:脊 髄 健 在動 物 で の 背側 被 蓋刺 激 に よ る胆嚢 内圧 下 降 と括 約 部 緊 張増 加 反 応 お よ び α,β遮 断 剤 の効 果. 両 図 とも 曲線 は上 よ り:時 標 と刺激 期 間,胆 嚢 内圧(GB),Oddi括 約 部灌 流 圧(OS),胃 前 庭 部 (Ant)の 輪 状 方 向 の収 縮,右 大 腿動 脈 圧(BP).右 側 の横 断面 図の 黒点 は刺 激 点 を示 す.

と括 約 部 の緊 張 増 加 反 応 が脊 髄 健 在 動 物 の 中 脳

刺 激 で 高 頻 度(554点

中127点)に

認 め られ,著

明 な血 圧 上 昇 反 応 を 伴 った.こ

の 型 の反 応 の 刺

激 点 は 中 心 灰 白 質,背 側 被 蓋 と一 部 腹 側 被 蓋 の

広 範 囲 に 分 布 し た.し か し,頚 髄 切 断 動 物 で は

類 似 の 反 応 は 稀 に 認 め ら れ る に 過 ぎ な か った.

頚 髄 健在 動 物 で の胆 嚢 内 圧 下 降 と括 約 部 の灌 流

抵 抗 増 加 は そ れ ぞ れpropranolol(2mg/kg)と

phentolamine(4mg/kg)の

静脈 内 投 与 に よ っ

て 消 失 した(図1下).

そ の 他 の反 応 型 と して,胆 嚢 と括 約 部 の 両 方

の 活 動 が 増 加 す る型,両 者 の活 動 が 抑 制 され る

型,そ

の いず れ か 一 方 の み に反 応 が 出現 す る型

が 認 め られ た.

(22)

A

1

2

3

4.

B

図2.  中 脳 刺 激 に よ り胆 嚢 ・Oddi括 約 部 の 反 応 を 誘 発 す る 刺 激 点 の 分 布 を 示 す 模 式 図. ○ 印:胆 嚢 内 圧 上 昇 とOddi括 約 部 弛 緩 反 応,● 印:胆 嚢 内 圧 下 降 とOddi括 約 部 緊 張 増 加 反 応, ▲ 印:そ の 他 の 反 応 型,小 黒 点:無 反 応 。 A:脊 髄 健 在 イ ヌ,B:頸 髄 切 断 イ ヌ,1,2,3,4の 中 脳 横 断 面 図 の 各 間 隔 は2mm,3は 上 下 丘 間 の 高 さ に 相 当 す る.BCI:下 丘 腕,CI:下 丘,frt:被 蓋 網 様 体,CS:上 丘,LL:外 側 毛 帯, LM:内 側 毛 帯,nrpo:吻 側 橋 網 様 核,P:錐 体 路,PO:橋,R:赤 核,SGC:中 心 灰 白 質, SN:黒 質,右 上 線:5mm.

この実 験 で 示 され た 中 脳 刺 激 に よ る胆 嚢 お よ

びOddi括

約 部 の反 応 は視 床 下 部 よ りの 遠 心 性

下 行 路 あ る い は そ の 中 継 核 の刺 激 に よ る可 能 性

が考 え られ る.強

い血 圧 上 昇反 応 を 伴 った 胆 嚢

内圧 下 降 とOddi括

約 部 の 緊 張 増 加 反 応 は そ れ

ぞ れ β と α 受 容 体 を 介 して 発 現 す る とい え る

で あ ろ う(Persson,1973).他

方,頚 髄 切 断 動 物

で の 胆 嚢 内 圧 上 昇 とOddi括

約 部 弛 緩 反 応 は コ

リン性 線 維 の 活 動 増 加 と非 コ リン性 ・非 ア ドレ

ナ リン性 抑 制 線 維 の活 動 増 加 に よ って そ れ ぞ れ

出 現 す る もの で あ ろ う.な お,こ

の 胆 嚢 内 圧 上

昇反 応 に先 行 す る一 過 性 の 胆 嚢 内圧 下 降 反 応 は

類 似 の迷 走 神 経 性 抑 制 線維 の 胆 嚢 壁 筋 へ の支 配

を 示 唆 す る(Dodds

et al.,1989を 参 照).

中脳 刺 激 に よ り迷 走 神 経 を 介 して 胆 嚢 内圧 上

昇 と括 約 部 弛 緩 反 応 が,ま た 主 に 交 感 神 経 を 介

して 胆 嚢 内 圧 下 降 と括 約 部 の緊 張 増 加 反 応 が ひ

き起 こ され る こ とが 明 らか に され た.

Dodds, W.J., Hogan, W. J. and Geenen, J. E.(1989).

Motility of the biliary system.

In: Handbook

of Physiology, section 6;

The gastrointestinal

system, vol. 1, part 2, edited by S. G. Schultz,

(23)

日 本 平 滑 筋 誌26(6)1990 365

pp. 1059, Waverly Press, Baltimore.

Fisher, R. S., Rock, E. and Malmud, L.S. (1986). Gallbladder emptying response to sham feed-ing in humans. Gastroenterology 90: 1854-1857.

Hopman, W.P.M., Jansen, J. B. M. J., Rosenbusch, G. and Lamers, C. B. H. W.(1987). Cephalic stim-ulation of gallbladder contraction in humans: Role of cholecystokinin and the cholinergic

system.Digestion38:197-203.

岡 田 博 匡, 古 川 直 裕(1989). イ ヌ の 視 床 下 部 刺 激 に よ る 胆 嚢 か ら の 胆 汁 排 出 反 応 と抑 制 反 応.第31 回 日 本 平 滑 筋 学 会 総 会 抄 録 集pp.55.

Persson, C.G.A. (1973). Dual effects on the sphin-cter of Oddi and gallbladder induced by stimu-lation of the right great splanchnic nerve. Acta Physiol. Scand. 87: 334-343.

迷 走 神 経 の 胆 嚢 運 動 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て

長崎大学医学部

第二外科

阿比 留

佳,松

次,持

秀,小

幸,太

夫,角

同 第一薬理

子,上

島根医科大学

は じ め に

空 腹 期 に お い て,胆 嚢 に も,周 期 的 強 収 縮 運

動(CMA)が

み られ る こ とが 知 られ て い る.そ

の 胆 嚢 のCMAは,胃

前 庭 部 のCMAと

密接 な

関 係 に あ る こ と を,我 々 は,報 告 して き て い る.

胆 嚢 のCMAの

調 節 因子 と して,体 液 性 と神 経

性 の 因 子 が考 え られ て い るが,そ

の詳 細 に つ い

て は,未

だ不 明 で あ る.そ こで,今

回,迷 走 神

経 が 神 経 性 調 節 因 子 と して,胆 嚢 運 動 に 如 何 に

関 与 す る か を,空 腹 期 と食 後 期 に お い て,検 討

した.

雑 種 成 犬6頭

を 用 い,全 麻 下 に開 腹 し,胃 前

庭 部,十

二 指 腸,胆 嚢 漏 斗 部 の3ヵ 所 にforce

transducerを

装 着 し,約3週

間 の 回 復 期 間 後,

記 録 を 行 っ た.次

い で,全 麻 下 に開 胸 の上,迷

走 神 経 切 除 術(以

下,迷 切)を

施 行 し,術 後 回

復 期 間 を お い た 後,記 録 を 行 っ た.記 録 は16時 間 以 上 の 絶 食 の 上,起 立 位 に て 施 行 し た.空 腹 期 に お け る 胃,十 二 指 腸,胆 嚢 の 運 動 と モ チ リ ン(0.1μg/kg)静 注 に 対 す る 反 応 を 検 討 し た .更 に,4頭 に お い て は 食 後 期 運 動 も 胸 部 迷 走 神 経 切 除 術 前 後 で 検 討 し た. 結 果 1)  空 腹 期 運 動 空 腹 期 に お い て,迷 切 前 に は,胃,十 二 指 腸, 胆 嚢 のCMAが 同 期 し て 認 め ら れ,そ の 周 期 は 各 々,111±9分,113±9分,112±8分 で あ っ た. 迷 切 後 は,十 二 指 腸 の み にCMAが 認 め られ,そ の 周 期 は96±11分 で,迷 切 前 ・後 でCMA周 期 に 変 化 は な か っ た.一 方,胃 と 胆 嚢 に は,迷 切 後,CMAは 認 め ら れ な か っ た(図1). 2)  モ チ リ ン の 作 用 十 二 指 腸 のphaseIII終 了20分 後 の モ チ リ ン 投 与 で,迷 切 前 後 に,胃,十 二 指 腸 に 強 収 縮

Fig.  2.  Effects  of  application  of  C6  in  duodenum-bath  (A)  and  stomach-bath  (B)  on  caerulein-
Fig.  2A.  Changes  of  amplitude  in  the  sphincter  of Oddi  motility  after  administration  of  0.2 fig/kg  caerulein  intravenously
Fig.  1.  Serum  testosterone  level
Table  1.  Effects  of  castration  and  estrogen  on  the  autonomic  receptors  in  male  rabbit  urethra
+4

参照

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