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西双版納州水タイ族の祭祀活動と植物: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

西双版納州水タイ族の祭祀活動と植物

Author(s)

益山, 樹生; 劉, 剛

Citation

沖縄大学地域研究所所報(21): 1-13

Issue Date

2000-10-06

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/8781

Rights

沖縄大学地域研究所

(2)

西双版納州水 タイ族の祭紀活動 と植物

は じめに J.Frazer(1922)は

F金枝 篇A(1)の中で、古代 アー リア民族 は樹 木崇拝の念が 強かったこと、とりわけ撲樹

Que

r

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usr

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L.聖木 と し、それ に寄生 す る榔 寄生

vi

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um

L.をその堅木の生命の象徴 として崇めた ことを指摘 した上 で、 当時 の撲樹の森の守護職がそれ らの技 を用いて行った職位継承儀式 に見 られる様式が、そ の後の古代ギ リシャか ら近代 に至 るヨーロッパの歴史の中で見 られる様 々な祭紀活動 の原型 となっていることを見事 に論証 した。このよく知 られた大著が示す ように、 日 常の祭紀活動 に植物が何 らかの形で用い られるのはご く普通のことである。そ して、 その植物の用い られ方の比較 を通 して、民族間の祭紀活動の類縁性や分化の方向 を探 ることがある程度可能である。 筆者 らは1992年か ら1996年にかけて数次にわたって云南省西双版納 タイ族 自治州 に 滞在 し、そこで行われる祭紀活動について詳 しく見聞する機会 を得た。同州 には、漢 族の他に十数余の少数民族が生活 している。中で も北部に限定的に生活する花腰 タイ 族 と中 ・北部に広 く生活する水 タイ族か らなるタイ族は最大の人口を擁する民族であ る(2)。同州のタイ族の社会に関 してはこれまで多 くの研究がなされてお り、その祭紀 活動に関する研究 も少な くない。 しか し、祭紀活動 に用い られる植物 に関 しては、他 の少数民族の場合 と同様に、研究例はほとん どない。本論文は、同州の水 タイ族 を対 象に、その点 を明 らかに しようとするものである。 同州の水 タイ族のほとんどは/」、乗仏教 を信仰するo従って、村の祭耐 舌動の多 くは 仏教活動の形 をとって行われている。 しか し、それ とは別に、古 くか らの土着信仰(3) に基づ く祭祀活動 も多い。本論文では、水 タイ族の祭紀活動 を稲作祭耐 舌動、 日常生 活祭紀活動、仏教祭紀活動 に大別 し(4)、それぞれの祭紀活動の うち植物が よ く用 い ら れる例 を取 り上げて、 どの ような植物が どの ように用い られているかを明 らかにする。 そ して、その上で、それ らの植物が用い られる意図について総合的な考察 を試みる。 本論文ではタイ語はローマ字で表記 した。表記 に当たっては、長音 はその母音 を重 ねて表 し (例 えば

haa)

、促音 はそれに続 く子音 または母音 を重 ねて表 した (例 えば

no

g

gu

i

)

。ただ し、促音で終わる語の場合は語尾の母音 に

t

t

をつけて表 した (例 えば

ha

ol

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nb

at

t

)

。 また、高音はその母音の上に 'を付 して表 した。また、発音 の誤 りを 避けるために、必要に応 じて音節の区切 りを_で しめ した。 なお、祭紀活動 に用い られていた植物の うち、現地で採集可能なものはで きるだけ 採集 して乾燥標本に して残 した。それ らはすべて云南民族学院民族博物館 に研究資料

(3)

-1-として納め られている。

Ⅰ.稲作無死活動 と植物

1

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t

t

nia

EEl植 えの時は

、hdunaa (

hou

は頭

、naa

は水 田の意味 ) と呼 ばれ る特別の田の角 につ くりものを立ててか ら稲 の苗 を植 え始める。これを

he

t

t

nia (

he

t

t

は始 めるの意 咲)とい う.稲 の豊作 を祈願するため とも、稲の魂である

yaakwまnhao(

yaa

は母、

kwan

は魂

、hao

は稲の意味)を田に招 くため ともい う。つ くりもの には次の ような ものがある。

l

i

aonaa:

直 径

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ほ どの

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の 項 を参 照 )の ふ ち を

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L.)

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白茅、禾本科) の葉でかが り、それに

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l

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豪文 、菊科 )の 茎 を通 して柄 に した もの。

l

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(または

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:直径

3

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0

c

m

ほどの大 きな

t

aal

i

ao

2m

ほどの高さ の木の枝 につけた もの。用い られる木の種類 は年毎 に決 まっていて(5)

、1

2

年で一巡

するとい う(量輿、量亮傘 )。ただ し、 その年の木が 身近 にない ときは

mai

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Mi

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l

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)Wal

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異色慣衛茅、衝茅科)を用いることが多いO また 、 常 に枝 葉 つ きの 竹 (多 くは

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S

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o.

小葉龍竹 、禾本科)を用いる村 もある。枝か らは竹 ヒゴの希 を連ねた鎖 と竹 ヒゴを二又状 に編 んで連ねた鎖が垂 らされ、通常、連絵鎖の先端 には鶏卵の殻 が、二又状鎖 の先 には竹 ヒゴ製の魚のつ くりものが吊される。鎖は

s

oi

と呼 ばれる。

ノ ノ

村人は、苗の植 え付 けに先立って

、holnaa

の角に

4

本の

1

i

ao

na

a

を挿 して

mai

s

umu

n

と呼ばれる木綿糸でつな ぎ、そばの畔に

l

i

a

ol

on

を立 て る。 そ して

、mai

s

umun

で囲 んだ ところか ら苗 を植 え始める。ただ し、村 によっては

、l

i

a

ol

on

は立 てず に

l

i

a

o

na

a

を挿すだけで済 ませ るところ もある。また、村 によっては

、1

i

a

ol

on

hduna

a

の畔に 特別に植 え られた

ya

a

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uuhao(

Be

l

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s

(L.)

DC.

射干、鳶尾科 )の そばに立てる。また、地域 によっては

、l

i

a

ol

on

の代わ りに

、1m

ほどの竹竿 の先端を

4

つ に割 って、割竹で編 んだ方形の棚 を挟み込 んだ もの を

、h6una

a

に立 てる。その とき、チマキなどと一緒 に

、mooha

/

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黒 葉駁骨革 、爵床科)

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l

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L.芦子 、胡槻科)

、maapi

i(

Ca

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m

L.妹轍 、茄科)などの葉 を棚 に供 える

。bai

(芦子)の葉 は、楕櫛 の殻果 を包んで 噛むのに 日常 よ く使われる ものである。

2.dant

an-

na且

dan

は供物 を捧 げる

、t

an

は拝む

、naa

は水 田を意味す る。 田の稲 が穂 ば らみ始め る頃に行 われる。稲 の虫避け、病避けを祈願すると同時に、家の安 タイを祈願する。

(4)

当 日朝、村人は、籾 と精米、紙幣つ きの ロー ソク、川砂 (村 に よっては短 く切 った

baa

(白茅 )の茎 を混ぜ る)の他 に、次の ようなつ くりもの をもって寺廟 に集 まる。

l

i

aonaa:

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naa

の ときに用いた もの と同 じ.

1

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の ときに用いた もの と同 じ。ただ し、木 は

mai

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i

s

Mill.壇唐木 、漆樹科)を使 う。

hou-

dyuf

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aanaa:

1m

ほどの竹竿の先端 に割 り竹で作 った小 さな両 を据 えた もの。

s

on:

先端部 を細 く割 って円錐形のカゴに編 んだ

1m

ほ どの竹竿。供物 を入れる。

t

aal

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ao(

6

)

:折 った竹 ヒゴ6本、あるいは幅広の竹 ヒゴ多数 を、六角形 の 目が で き るように組 んだつ くりもの。

haahyGu:haa

(白茅)で掬 った細縄。普通、右巻 きに掬 う。

式に先立 ち、寺 廟 内 に

mai

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un

(木綿 糸 ) を張 り巡 ら し、その一端 を

Kwan

t

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(

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i

a

L.三葉蔓荊 、馬稚革科)の枝が入れてある水壷 につ なげる。村人 は籾 、

精米 を紙幣つ きの ローソクなどと一緒 に仏前 に供 え

、l

i

aol

on

を中央 に ま とめて立 て かけて、僧侶 と

pio-

t

s

an

(僧侶か ら還俗 した知識者で、村 の活動 を と りしきる)が

′ 念経するのを拝聴す る。念経が終 わると

、poot

-

s

a

nが

Kwant

i

i

の枝で壷の水 を村人 と

l

i

aol

on

にかけて回 り、式 は終わる。式の後、村人は持 ち帰 った

t

aal

i

ao

を家の居 間の

入 り口の上や穀倉 な どにつける。その後で田に出向 き

、hounaa

には

、hou-

dyuf

r

an

aa、s

on

を挿 し、その他の田には

l

i

aonaa

1

本ずつ挿 して回る。挿す ときは、砂 を ま

きなが ら虫避 け、病避 けの唱えごとをす る。

家の居間の入 り口の上の

t

aal

i

ao

には

haahyこ

uと

mai

s

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を通 し、 それで家 を囲 う よ うにす る 。 そ の と き

t

aal

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ao

に しば しば

Kwant

i

i

(三 乗 蔓 荊 ) の 小 枝 や

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Go

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L.海鳥綿、錦莫科の、実か ら得た綿)が添 え られる。 蜂 の 巣や

he

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Ge

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p.

仙影拳類、仙人掌科 )を添 える家 もある。

村によっては

、hounaa

には

l

i

aol

on

だけ、あるい は

hou-

dyuf

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aanaa

だ け を挿 す と ころもある。 また

、he

t

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の ときに立 てた

l

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の基部 に

mai

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(異色仮衛 茅)や

mai

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(塩膚木 )や

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麻撲 、 山毛 樺科)などの枝 を くくりつける村や

、l

i

aol

on

のそばに柑橘 類 の実 を先端 に挟 ん だ棒

(

houf

ai

とい う)を挿す村 もある。 また、地域 によっては

l

i

aol

on

などを立 てず に、 た んに竹竿の先端 を

2

つ に割 って、そ こに

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L.紅 睡蓮 、睡蓮科 ) の葉や

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a L.鉄 刀木 、云実科 ) の花枝 な どを挟 ん だ もの を

hounaa

に挿す ところ もある。

3.yaakwanhao

yaakwanhao

は稲 の魂 をさす呼称であるが、稲 の刈 り取 りの際 の祭紀活 動 そ の も

のの呼称 として も用い られる。村人は、稲 の刈 り取 りに当たって 、 まず

/

。hounaa

に 立ててある

l

i

aol

on

の足元

(

hou-

dyuf

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aanaa

だけの ときはその足 元 ) の稲 を一握 り

(5)

-3-刈 って、その束 を

l

i

aol

on

に架ける (または

hou-

dyuf

r

aanaa

の中に納 める)。 それか ら刈 り取 りを開始す る。 自分の家のすべての田で刈 り取 りが終わ り、脱穀 した籾 を家 の穀倉 に搬入 し終えた ら、家の先輩の女性が

hbunaa

に出向 く。出向 くときは大 きな ウチ ワを携 え、炊いたモチ米や焼 き魚 などを供物 として持 ってい く。供物 には、若い

noggui

(

Mus

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L働 嘗薫、草葉科 )と

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sRoxb.

甘煮、禾本科)の茎の先のほかに、 しば しば

I

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a L.青相 、見 料 )の花枝が添 えられる。そ して、それ らを

l

i

aol

on

(または

hou-

dyuf

r

aanaa)

の前

に供 え

、yaakwanhao

に一緒 に家に帰 って くれる ように唱 え ご とを してか ら、架 け てある稲穂の束 を供物 と一緒 に家 に持 ち帰 る。帰 り道ではウチワで顔 を隠 し、人に出 会 って も話 を しない。家 についた ら、稲穂の束 を穀倉の新米の上 に供え物 と一緒に安 置 した り、穀倉 の中に吊 した りして紀 る。示巳った稲穂の束は、1年 間その ままに して お く家 もあるが、多 くの家はいずれ新米 と一緒 に食べ る。昔 は翌年の種籾 に混ぜて播 種 した とい う。

4.haol

unbat

t

hao

は稲

、l

unba

ttは溢れることを意味する。村のすべ ての家が稲 の収穫 を終 えた 時点で行 われる。当 日、村人はチマキヤその他多 くの供物 と一緒 に新米の籾 と精米を

寺廟 に持 ち寄 り、寺廟内の床 にい くつかの籾 と精米の山を作 る。寺廟内に

mai

s

umun

(木綿糸)を張 り巡 らし、その一端 を水壷 につ な ぐ。水壷 には

Kwant

i

i(

三業蔓荊 )

の枝が入れ られている

。poo-

t

s

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が僧侶 と一緒 に豊作 を感謝 して念経 したあ と、壷

の水 を

Kwant

i

i

の枝で村 人 にか けて式 は終 わ る。村 によっては供物 に

moohよadam

(果菜駁 骨草 )の葉 を添 える こ とがあ る。 また、村 に よって は水壷 の 中 に

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DC.

肉果金合歓 、含蓋革科 )の実入 りの英 を

kwまnt

i

i

の枝 と一緒 に入れることもある。 Ⅲ.日常生活祭祀活動 と植物

1.s

anhan-

bi

i

mai

(漠称、溌水節) タイ暦では、太陽が黄道上 を移動 して自羊宮 と重 なる 日が一年の始 ま りとされる。 その 日はだいたい新暦の

4

月中旬、タイ暦の

6

月下旬 に巡って くる。(7)元旦の朝は、村 人が川 か ら持 ち寄 った砂 で寺廟 の庭 に大 きな堆 抄 を作 り、紙 の 幣 をつ け た棲竹

(

mai

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大節竹美頁、禾本科)や竹

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p.

真竹 類、禾本科 )を挿す.これを

dd

。とい うO堆沙 には

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i

l

e

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n

と呼ばれる/ト幣や造花 と一緒 に

、kwant

i

i

(三業蔓荊 )の枝や

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i

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Pandanust

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露兜 樹、露兜樹科 )な どの季節の花 も挿 される。寺廟にはチマキヤその他多 くの供物を持っ

た村人が早朝 か ら集 ま り、堆抄や供物棚 にそれ らを供 える。寺廟 内 には

mai

s

umu

n

(6)

つなげる。壷 には

Kwant

l

i

の枝 を入れる。村人は僧侶 と

poo-

t

s

an

が念経するのを座っ

て拝聴す る。一年 の五穀豊穣 、村 内安泰 を祈願 した念経が終 わる と

、poo-

t

s

an

が ノ

Kwant

i

i

の枝で壷の水 を村人に振 りかけて回る。その後、村の内外で人々は互 い に水 をかけ合って、新年を祝 う。

2.1

i

nban

村の祖霊であ る

pi

i

ban

(または

dyur

r

aaban)

に村 の安 タイを祈願す る もので 、

l

i

npi

i

ban

とも

1

i

n-

dyuf

r

aaban

ともいう

(

l

i

n

は供物 を捧げて拝 む、pliと

dyuf

r

aa

は霊

ban

は村 を意味する)。タイ暦

8

月前後および

1

月前後、村 はずれの林の 中に作 られ た、茅葺 きや板葺 きの小 さな両の前で行われる。その両 を

hou-

dyuf

r

aaban

とい う。 タイ族の村の数カ所 には丸太で作 った村門があるが、挙行 の前 日、その横 に

t

aal

i

ao

(

dant

an-

naa

の項 を参照)を挿 して人の出入 りを禁ずる。そ して、当 日未明に村の老 人が

hou-

dyuf

r

aaban

の前 に集 ま り、チマキヤ酒 な どを供 え、鶏 を殺 してその血 を

pi

i

ban

に捧げた後に皆で直会 を行い、村の安 タイを祈願する。その とき

、r

a

主(捕 )、

糸 で連 ね た

ma

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(

Ar

l

e

C

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C

hu L.

梼 榔 、 綜 欄 科 、 の穀 果 )

、 I

uo-

s

anpou

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金鳳花 、雲実科 )の花 枝

、I

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K.

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hum.

黄花爽竹桃、爽竹桃科 )の花枝

、I

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O

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um H。

。k.黄 白妻花、萎科)の葉

、moohAadam

(黒葉駁骨草)の葉 な ど が供物 に添えられることがある。

3.gons

ai

muukon

gon

は三角、 saiは砂

、muukdn

は一万を意味する。 タイ暦1

0-

11月頃、寺廟の庭 に 大 きな堆抄を作 り、各種の供 え物 を して悪霊 を追い払い、全村の安 タイを祈る。 当日朝、寺廟の庭 に人の膝丈 ぐらいの高 さの大 きな堆抄がい くつか作 られる。堆抄 には

ddn

(紙の幣 をつけた接竹や竹)が挿 され

、mai

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umdn

(木綿糸)でつ なげ られ る

。d.

'

n

と一緒 に

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L.失権 、錦薬科 )の花枝 も好 んで挿 される。寺廟 に来た村人は、大 きな堆抄の周 りに小 さな堆抄を家族の数だけ作 ノ り、ローソク、チマキなどを供 え

、t

i

l

e

n

を挿す。また、寺廟 に至る参道に割竹で編ん だ方形の板

(

de

ttとい う)を敷 き、そこに家の安 タイを祈願 してチマキなどの食物 と 季節の花 を供え、悪霊払いのために天秤 カゴのつ くりもの、髪の毛、焼いた木、炭、 炭の付いた白飯 などを供 える。天秤 カゴのカゴが革 (多 くの場合、禾本科の

Di

gi

t

ar

i

a

s

pp.

馬唐頬か

Pas

pal

um s

pp.

雀稗頬)で作 られているものを

haayaa

、木の小枝 で 作 られて ものを

haahuu

/

n

とい う。村人が堆抄や

de

ttの飾 りを付 けを終えた ところで、 僧侶が庭 に座って念経 し、村人はそれを合掌 しなが ら拝聴す る。

(7)

4.

danhbun

家の新築の さいに行われる一連の祭紀活動 を

danht

;

un(

dann

は供物 を捧げること、

houn

は家を意味す る)とい う。その一つに、棟上げの時に、女柱(8)に白布 を巻 きつ け、その中に数種 の植物の葉 を包み込む祭紀活動が あ る。 白布 を

yenbai

s

o (

ye

nは 布

、bai

は上

、S

;

Oは柱 を意味す る)とい う。その 中に包み込 まれる植物 には次の よ うな ものがある。

noggui(

粉芭蕉 )

nよ。。i

(甘煮 )

mai

koban (

麻摸 )

qu

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O-

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Ps

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崖萎蕨、槻蕨科)

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二叉破布木、柴草科 )

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中平樹、大戟科 )

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n・版紺 竹 、禾本科)

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(棉)

この うち、n

Z

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uiとnO-ooiは比較的広 く使われるが、 そのほかの ものは村 によっ て使われた り使われなかった りする。

ノ. ノ

5.s

uuz

al

t

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t

i

家族 に重病 人が 出た ときや家 に不幸 が起 こった ときに行 う。行 うに当たって、

mai

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n

(

De

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n

r

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小 葉 龍 竹 、 禾 本 科 )

、mai

hou

(

I

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a Chu etCha.

中華 大 節 竹 、 禾 本 科 )

、 mai

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undi

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um Ret

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.

班茅 、禾本科 ) な どの長 い竿 を何 本か束ね 、先端 に

noggui

(粉芭蕉)、あるいはそれに加 えて

nO-

ooi

(甘煮 )の若い茎の先 をつけた ものを用意す る。束ねる竹竿 は9本のことが多 く、それに皮をむいた数本の白地の棒 を加えること もある。家 によっては竹竿の各節に三角形の穴 を穿 ち、精米、籾、水 、砂 を納める。

ノ この竹竿の束 を

mai

kam-

f

as

i

l

i

i

とい う。用意で きた ら、僧侶 に家に来て もらって、家 ノ

の祖霊

dyuf

r

aahdun

に加護 を祈願 して もらう。僧侶 は

mai

kam-

f

まs

i

l

i

i

か ら

mai

s

umt

i

n

(木綿糸)を延ば し、その糸で病人 を囲ってか ら、祈願の念経 を行 う。僧侶 に念経 し

て もらったあ と、家族 は村内の大 きな

guosi

l

j

i

(

Fi

c

us

r

l

e

l

i

g

i

o

s

a

L.菩提樹 、重科 )の

ノ 下 に

mai

kam-

f

as

i

l

iiを持 って い って立 て か け て お く。 この た め この祭祀 活 動 を ノ

t

anguos

i

l

i

i

とも呼ぶ。 Ⅲ.仏教祭祀活動 と植物

1.haowas

s

a

(漠称、関門節 ) タ イ暦9月上15日か ら3ケ月間、僧侶は寺廟 にとどまって修行を積み、村人は結婚式

(8)

や家の新築 な どの祝い事 を慎 んで静か な生活 を送 る。この斎居の期間 をwassa(漠称 、 安居 または雨安居 )といい、haowassaと次 出のouwassaはそれぞれ安居入 り、安 居

ノ ノ

明けを意味す る。村人はこの 日に向けて、maikam-fasiliiとgouna-munsAiと呼 ばれ るつ くりものを用意 し、寺廟 に供 える。maikam-fasiliiは、皮 をむいた白地の相棒

9

ノ ノ

本 を1mほ どに切 って束 ね た もので 、yaamin (家文 )やyaamonhan(Eupatn'um

odwatum L 飛机革 、菊科 )やzaaluo-wanwai(Tilhonia divers2foliaA,Gray腫 柄

菊、菊科 )な どの茎が使われる。gouna-munsaiは10cmてい どに切 った竹筒 を

9本1

組 に し、それ を

4

組 一緒 に束 ね た もので 、 束 には若 いnoggui(粉 芭蕉 ) とnd-ooi

(甘煮 )の茎の先 を挟み、束の各組の竹筒 には水 、砂 、精米 、籾 を入 れ る。上15日の 朝、村人はチマキヤその他多 くの供物 を持 って寺廟 に集 ま り、僧侶 とp60-tsanが念 経するのを拝聴 し、拝仏す る。老人はその後毎週

1

回、交代 で寺廟 に泊 まって念経 を 行 う。これを dokushiとい う。dokushinはwassaの期 間 中続 け られ るが 、 その際 に

chendinshan(MirTlayaPaniculata(L)Jack九 里 香 、 芸 香 料 ) の花 枝 やIuoliiluu

(Grinumasiaticum L.var.sinicum Baker文殊蘭、石蒜科 )やbムu(紅 睡蓮 ) の花 などを好んで仏前 に供 える。

2.ouwassa(漠称 、開門節 )

タイ暦12月上15日にwassa(haowassaの項 を参照 ) は終 わ る。 この 日をouwassa ノ ノ

とい う。当 日、村人は maikam-fasiliiやgouna-munsAiを持 って寺廟 に集 ま り、僧侶 とpoo-tsanが念経す るのを拝聴 し、拝仏す る。 この 日に寺 廟 の庭 に大 きな堆 抄 を作 るところが多い。椎抄はひとつで 、gonsよimuukonの ときと同 じようにdoよやtil占nや 造花で飾 られ、lu0-mailian (宋棲 )の花枝 も好 んで挿 される.村 に よって は、一振 りぐらいの太 さの木 を切 って皮 をはいだ白地の長い棒 を、寺廟のそばの菩提樹 にたて かける.棒の上部 には若い ndggui(粉芭蕉 )の茎の先 をつ け る。 この棒 をmaikam- fasiliilonと呼ぶ 。 また、村 に よっては、 この 日に柴焼 きをす る。穂 の 出 たmaiou (斑茅 )の長い幹 を切 って束ねた ものをあ らか じめ用意 し、寺廟 の庭 や近 くの広場 に 円錐状 に寄せ集めて櫓 を組 む。その回 りにチマキヤバ ナナな どの食べ物 を供 え、寺廟 ノ での式が終わった ところで燃やす。この柴焼 きのことをhao-suumalonとい う。 3.dantan なにか祈願 したいことが生 じた とき、寺廟 に詣でて、紙幣やチマキな どの食べ物 を 入れた供物 カゴを供 え、僧侶 に念経 して もらう。 これ をdantanとい う。danは供物 を捧 げる、tanは拝 むことを意味す る。その とき、供物 カゴの中に、 い くつ かの草 木 の葉 を添 えることがある。例 えば、次の ような ものが用 い られる。 ノ

Iuupon(Petr10SPenLmum lanceofolium Roxb.窄葉半楓荷 、梧桐科 ) fuublott(EkzeagnusgonyanthesBenth角花胡規子 、胡頼子科 )

(9)

-7-yokk

占a(

zh

ant

ho

x

yl

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m a

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mal

um DC.

竹葉轍 、芸香料 )

gas

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oon(

Mi

l

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i

n

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r

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n

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i

s

L.老親畑簡花、紫威科)

mat

t

n(

zi

z

y

phusma

ur

i

t

i

a

naLam.

緬乗、鼠李科 )

これ らの革木の葉 は

hao-

s

uumal

dn

の時の供物 に も添えられた りする.

Ⅳ.

考 察

1

.祭紀活動用植物の類型化 人々が祭紀活動 に植物 を用いる場合、意識する しないにかかわらず、代々継承 され た何 らかの意図 (モチーフ)がそこに込め られている。ここでは、水 タイ族の祭紀活 動 に用い られる植物 を通 して、その ような意図の類型化 を試みてみたい。

donhou

nの際、村人は女柱 に白布 を巻 き、その 中に数種 の植物 の葉 を納め る。 そ の うち、例 えば崖妾蕨 は、葉が枯れて も長い間朽 ちず に残 るので、それにあやかって 家族が長寿であるように願 って納めるのだ とも、葉の基部の広い翼が重 な り合 って妊 婦の腹 の ように見 えるので、それにあやかって子宝 に恵 まれることを願って納めるの だともい う。 また、二又破布木は葉が重 なるように出るので、それにあやかって金銭 が貯 まることを願 って納めるのだとい う。ほかの植物 について も、それを納める理由 は今 では人によって まちまちだが、なん らかの特性 に象徴 される力にあやかるために その葉 を白布の中に納める点では共通 している。同 じような意図で祭紀活動 に用いら

れる ものに

、dant

an-

naa

の際の塩膚木や白茅 などがある。塩膚木は、田に挿す

l

i

aoI

on

の材 として用い られる。それはこの木 に虫避けの力があるので、その木の力 を借 りて 田に虫や病が生 じないことを願 って用いるのだとい う。自茅は茎 を短 く切って砂

と-ノ

緒 に田に撒 く。 また、縄 に掬 って

haahyuu

を作 り、 それで家の居 間の入 り口の上 に

t

aal

i

ao

を吊 し、さらに家全体 を囲む

。ganban

と呼ばれる祭把活動の際にも、村 のす べての門を

haahyuu

でつなぎ、村全体 を囲む(4)。これ らは、白茅 に悪霊避けの力があ ると信 じ、その力 を借 りて、田や家や村 を悪霊か ら守 るために行われるものである。

he

t

t

naa

s

anhanbi

i

mai

の時に溌水 に用いる三業葦荊 も同 じ例 であ る。す なわち、 三薬草荊 には悪霊避 けの力があるとされ、水 を介 してその恩恵に与ろうとするもので ある。以上の諸例 は、植物の特性 に直接 関係す るか間接的に関係す るかの違いはあっ て も、基本的には植物 になん らかの特別の力、すなわち神霊力 を感 じ、その力に与る ために祭紀活動 に用いる もの とみなす ことがで きる。 この ような植物 を、 ここでは 「霊有植物」 と呼ぶ ことにす る (

/

植物以外の場合は 「霊有体」 と呼ぶ)0 同 じ

1

i

aol

on

に用 いる植物で も、異色仮衛茅は塩膚木 と用 い る意 図が異 なる。異色

ノ 仮衛茅 は

、yaakwanhao

の伝説に基づいて 、稲 の魂 であ る

yaakwanhao

を田に招 く

ための植物である。 この他 に、堆抄に立 て る幣付 の接竹類 や竹類

、s

uuz

al

t

at

tiの時

ノ に

mai

kam-

f

as

i

l

i

i

の材 として用 いる竹類 なども神霊 を招 くための植物 と言 える。この ように、何 らかの神霊 の降臨を期待 して祭紀活動 に用いる植物 をここでは 「招霊植物」

(10)

と呼ぶことにする (植物以外の場合 は 「招霊体」 と呼ぶ)0

祭紀活動に用いる植物の中には、これ らの 「霊有植物」 (あ るいは 「霊有

休」)

や 「招霊植物」(あるいは 「招霊体

」)

に力 を高め させ ようと して用 いる もの もあ る。

dant

an-

naa

の時には、家の居間の入 り口の上 に新 しい

t

aal

i

ao

を付け加 えるのが普通 だが、その時に しば しば三業葦荊や綿が添え られる。これは 「霊有体」である

t

aal

i

ao

の悪霊避けの力をより高めるための添え もの と言える

。he

t

t

nまa

の時に

l

i

a。l

。n

を射千 のそばに立てる地域がある。この場合 、射千は

l

i

aol

on

とい う 「招霊体」 を花 で飾 る

ノ ことによって 「招霊体」の力 をよ り高め させ てい る と言 える。 また

、s

uuz

ai

t

at

t

i

ノ ノ

時、通常、粉芭蕉や甘煮の茎の先 を

mai

kam-

f

as

i

l

i

i

に付 ける。 さらに

、ouwas

s

a

gons

よi

muukon

の時、大 きな堆抄に

do

占と一緒 に宋種の花枝 も好んで挿 される。 これ

らの植物は、「霊有植物」や 「招霊体」 であ る

mai

kam-

f

as

i

l

i

i

や堆抄や

don

の力 を高 めるための添えもの と言える。この ように、「霊有植物 (体)」や 「招霊 植物 (体 )」 の力を高めようとして用いる植物 を、ここでは、「常助植物」 と呼ぶ こ とにす る (植 物以外の場合は 「酎助体」 と呼ぶ)0

以上の祭紀活動用植物の他に、単 に神霊 を崇拝 して供 える植物 もあ る。例 えば、

l

i

nban

の時に

、hou-

dyur

r

aaban

の中に綿 などと一緒に金鳳花や草花爽竹桃 や黄 白妾 花の花枝などが供えられる。 また

was

s

a

の期間中に行 われ る

dokus

hi

n

の時 に、寺廟 内の仏前に九里香や文殊蘭の花が好んで供 えられる。これ らはその季節 に目立つ花で あって、特 に 「霊有植物」や 「招霊植物」や 「酎助植物」 に相当するとは思えない。

ノ また

、haowas

s

a

ouwas

s

a

の時に、家文や飛机革や腫柄菊の茎で

mai

kam-

f

as

i

l

i

i

を 作 って寺廟 に献上するが、少な くとも飛机草や腫柄菊に関 しては、皮 をむけば容易 に 白地の棒が得 られるとう単純な理由で用い られるようである。このように、神霊 を崇 拝 して供 える植物 を、ここでは 「供養植物」 と呼ぶことにする。 西双版納水 タイ族の祭紀活動 に用い られる植物は、以上の ように 「霊有植物」、「招 霊植物」、「封助植物」、「供養植物」の

4

群 に類別で きる。西双版納水 タイ族 の祭紀活 動は多様であ り、それに用い られる植物 も多様 なので、この類型化は他の民族の祭紀 活動用植物 にも当てはまるもの と思われる。 植物の中には複数の祭紀活動に用い られる もの も少な くない。その場合、祭紀活動 によって果たす役割が異なるもの もある。例 えば、粉芭蕉や甘燕の若葉つ きの茎頂 は、

yaakwanhao

の際は 「招霊植物」 として田 と家 を往復 し

、danhdu

nの際 は 「霊 有植

物」 として

ye

nbai

s

ao

の中に納め られ

、haowas

s

a

ouwas

s

a

の際、およ

びs

uuz

ai

t

at

t

/

の際は、「酎助植物」 としてそれぞれ

gouna-

muns

a

iや

mai

kam-

r

as

i

l

i

i

に付 け られ る。 また、白茅は

、dant

an-

nよa

の際は 「霊有植物」 として家を囲む

haahyd

uの材料 に用 い られた り、刻んで砂 と一緒に田に撒かれた りする一方

、he

t

t

nよa

の際は 「酎助植物」

として田に挿す

t

aal

i

ao

の縁 をかがるのに使われる。

(11)

ー9-2.祭紀活動 と植物の特性 上述の ように、ある植物が 「霊有植物」 として祭紀活動 に用い られる場合 は、その 植物の特性 に象徴 される力にあやかろうとする気持 ちが込め られている。 しか し、 「霊有植物」以外の祭紀活動植物の場合で も、植物特性 と祭紀活動が 「霊有植物」 ほ ど直接的に結 びつかないにせ よ、一般の植物 とは異なった特性があっては じめて、祭 紀活動 に用 い られるようになった点では同 じである。それ らの植物の中には、異色仮 衛茅の ように、ある伝説 と結 びついて用い られている例 もある。 しか し、その場合で も、その植物 に人の注意 を引 きつける何 らかの特性がなければ、伝説に取 り入れられ なかっただろ う。 では、祭紀活動 に用い られるきっかけ となる特性 にはどの ようなものがあるだろう か。水 タイ族の祭紀活動用植物 に関 しては、第- に挙げ られるのが植物の有用性、な かで も薬草 としての有用性である。郭、段編 『西双版納節用植物名録』 (9)を参照する と、本稿で取 り上げた祭紀活動用植物約

4

0

種の うち、名録 に載っていない ものはわず かに

1

5

種 (異色候衛茅、小葉龍竹、海鳥綿、紅睡蓮、鉄刀木、肉果金合歓、金鳳花、 黄白妻花 、二又破布木、中平樹 、版納甜竹、中華大節竹、斑茅、腫柄菊、窄葉半楓荷) である。 しか も、この うち約半数は、近縁種が薬用植物 として同名録 に記載 されてい るので、これ らの うちのい くつかは実際は水 タイ族の人々に薬草 として利用 されてい る可能性がある。祭紀活動 と植物の薬用性が直接結びついていると思われる好例を

1

つだけ示 してお く。同名録 によれば、塩膚木はいろいろな病気 に効能があるが、稲田 皮炎に も効能がある。 また、葉 につ く五倍子は殺虫効果がある。村人によれば、葉自

体 にも殺虫効果があるとい う。この ような特性が

da。t

amn;a

の時に

l

i

a。1

。と して水 田に挿 されるようになった所以 と思われる。 薬用性の他 に、食材 としての有用性 も無視で きない。例 えば上に記 した版納甜竹や、 粉芭蕉、甘燕 などが祭紀活動 によく用い られるのは、それ らが水 タイ族の人々にとっ て重要 な植物であることが大い関係 しているだろう。 植物の形態的特性 も、祭紀活動に用い られる きっかけとして重要な要素である。例

えば

he

t

t

nよa

の時に異色仮衛茅 を

1

i

aol

。n

として水 田に挿すが、村人によれば異色候衛 茅 は小 さな実 を房状 にびっ しりと付けるので、稲がそのように実 ることを願 って挿す のだとい う。 また、すでに指摘 したように、崖妻蕨は、葉の基部の翼が重 な り合って 妊婦の腹の ように見 えるので、その ように子宝 に恵 まれることを願 って女柱の白布の 中に納めるのだとい う。 これ らは植物の形態的特性が祭紀活動 と結びついた好例であ る。 水 タイ族の祭紀活動用植物の中には、上記の他に、植物の生態的特性 (例えば崖妻 蕨の非落葉性 など)、生理的特性 (例 えば九里香の芳香性 など)、特性的特性 (例えば 斑茅の良燃性 など)によって祭紀活動 に用い られるようになったと思われる例 も散見 される。

(12)

3.

祭紀活動用 植物 の重要度

祭紀活動 に用 い られ る植物 の うち、複 数 の祭紀 活動 に またが って用 い られ る もの 、 あるいは広 い地域 にわた って用 い られ る もの は、水 タイ族 の祭紀 活動 の 中で比較 的重 要 な位置 を占めて代 々継承 されて きた もの と考 え られ る。上述 の粉芭 蕉や甘蕪 や 白茅 はその よ うな植物 の一例 と言 える。以下 に、それ ら も含 めて ま とめてお く。

白茅

;he

t

t

nよa、dant

an-

nAa

な どに使 われ る。

文 ;he

t

t

naa、haowas

s

a、ouwas

s

a

な どに使 われ る。

竹類 ;

he

t

t

naa、s

anhanbi

i

ma

i

、gons

Ai

muukan、s

uuz

Ai

t

at

t

i

、haowas

s

a

ouwas

s

a

な どに使 われ る。

累乗駁骨

革 ;he

t

t

naa、haol

unbat

t

、l

i

nban

な どに使 われ る。

三乗葦荊 ;

dant

an-

naa、haol

unbat

t

、s

anhanbi

i

mai

な どに使 われ る。

海鳥綿 (綿毛) ;

dant

an-

naa、l

i

nban

な どに使 われ る。

麻撲 ;

dant

an-

naa、danhoun

な どに使 われ る

。ga

nban

に も使 われ る(4)a

粉芭蕉 ;

yaakwanhao、danhoun、s

uuz

ai

t

at

t

i

、haowas

s

a、ouwas

s

a

な どに使 われ る。

甘簾 ;

yaakwanhao、danhoun、s

uuz

ai

t

at

t

i

、haowas

s

a、ouwas

s

a

な どに使 わ れ る。

瑳竹類

;s

anhanbi

i

mai

、gons

ai

muukd

n

、ouwas

s

a

な どに使 われ る。 宋

種 ;gons

Ai

muukon、ouwas

s

a

な どに使 われ る.

異色候衛茅 ;離 脱県 を除 く広 い地域 で

、he

t

t

nよa

に使 われ る。 塩膚 木 ;主力腺 県 を除 く広 い地域 で

、dabt

ab-

naa

に使 われ る。

これ らの植 物 は、水 タイ族 の祭紀活動 と他 の民族 、特 に タイ系 諸民族 のそれ との比 較 を進 め る際 に重 要 な手が か りを与 えて くれ る可 能性 が あ る。 この点 に関 して は稿 を 改めて論 議 したい。 謝 辞 本研 究で得 られた祭紀活動用植物 の標 本 の同定 に当た って は、云南省昆 明植物研 究 所 の武素功教授 に多大 な ご協 力 を頂 いた。 ここに厚 く感謝 の意 を表 します 。 Il

(13)

l-注 (1)

J.

G.

Fr

az

e

r

(永橋卓介訳 )『金枝篇』(1)

-(

5)

、岩波書店 (東京)

、1

9

51

-1

9

5

2

.

(

2)

云南省歴史研究所編 は 南少数民族』云南人民出版社

、1

9

8

0.

p6

3.

(3)小乗仏教 は7世紀 に ミャンマーか ら西双版納 に伝わった とされ る (揚学政、韓軍 学、李栄昆 『云南境内的世界三大宗教』云南人民出版社

、1

9

9

3.

p.

5

5)

。それ以前 はあ らゆる ものに霊魂が宿 ると信 じて、 それ を畏敬崇拝す る風習 を もっていた (劉岩 F南伝仏教与 タイ族文化』云南民族出版社

、1

9

9

3.

p.

4

8)

。 (4)現在 タイ族で行われている祭紀活動 にどの ようなものがあるかについては、次の 報告 を参照 :益 山樹生 「中国西双版納水 タイ族祭紀資料」、F東京女子大学比較文 化研究所紀要』第

6

0

、1

0

7

-

1

3

6、1

9

9

9.

(

5)

それ らは西双版納の水 タイ族 に広 く伝 わ ってい る

yaakwまnhao

の伝説 と関係が ある

。yaakwまnhao

はタイ族の伝説 に出て くる稲 の母であ る。伝説 の具体 的な 内容は村 によって少 しずつ異 なっているが、基本的には次の ような構成 となって いる。 (昔 はコメには羽が生 えていて、稲が熟す頃になるとコメの方か らコメ倉 に飛 び込んで きた。その昔のこと、仏陀が初めて村 を訪れた とき、老婆の形 をし

yaakwanhao

との間に、 どちらが偉いかをめ ぐって激 しい言い争 いが起 きた。

yaakwよnhao

は争いに負けて暗黒の世界に去 った。 とたんに村 には コメが飛ん

で こな くなった。そ こで村人は

、yaakwanhao

が稲 の母であ る ことを初 めて知 り、彼 女 を探 して連 れ戻 して くれ る よ うに仏 陀 に頼 ん だ 。 仏 陀 は ほ どな く

yaakwanhao

を見つけ出 し、村 に連れ戻 そ うと したが

、yaakwanhao

は嫌がっ て、近 くの木 を掴 んだ り、木 に隠れた りして抵抗 した。 しか し、最後は仏陀 と和

解 し、村 に戻 って稲 になった。

)1

2

種類の木は、その ときに

yaakwanhao

が掴ん だ り隠れた りした木であるともいい (畳興 、星杭混)、仏陀が杖 に した木である ともい う (畳亮傘 )。村人がそれ らの木の枝 を田に挿す風習 は

、yaakwAnhao

が 田に留 まって くれることを祈願するための もの と思われる。

(

6)t

aal

i

ao

t

aa

は 日を意味す る

。1

i

ao

は実在す る中型の鳥で、他の鳥や ネズ ミなど を捕 って食べ るとい う (鷹の ことか

)

。その昔

、s

amudi

(タイ族の伝説上の祖先 で、神 と話が交わせ た賢者 )が家 を建てた とき、神烏の

pi

al

i

ao

が、 自分の分身 を造って家に送 り、悪霊が家 に近づかないように守 らせ た。 それが

t

aal

i

ao

だ、 とい う (量養竿)。 また、その昔

、s

amudi

が家 を建てた とき、悪霊 を防 ぐために 鳥の

l

i

ao

に家 を見張 らせた。人々はそれ に習 って

、t

aal

i

ao

を作 って家 につける ようになった、 ともい う (量亮傘 )。 (7)タイ暦では、月の 日付 は新月か ら何 日目、満月か ら何 日目と呼称 される。本稿で は前者 に上 、後者 に下 をつけて記す。例 えば

8

月上

1

0

日は

8

月の新月か ら

1

0

日目、

8

月下

1

0

日は満月か ら

1

0

日日 (す なわち新月か ら

2

5

日日)を表す。

(14)

(

8

)

水 タイ族の家は高床式 となっていて、人々は二階で起居す る。二階の部屋 は居 間 と寝間 とに分かれている。居間の柱の一本 (ふつ うは、暖炉裏 よりの柱)を

s

aonan

(

s

ao

は柱

、nan

は女の意味) と呼び、寝間の外壁の柱 の一本

(

s

aonan

とつながっ ている柱 )を

s

aodao(

dao

は男の意味 ) と呼ぶ。

(

9

)

郭紹栄、段樺主編 F西双版納雨用植物名録』云南民族 出版社

、1

9

8

9

.

- 1

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