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〈滋賀県の民俗〉琵琶湖における風伝承 ―風と漁撈の関わりを中心に―

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Academic year: 2021

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琵琶湖における風伝承

―風と漁撈の関わりを中心に―

  柳

  智

  之

はじめに   琵 琶 湖 は 滋 賀 県 に あ る 国 内 最 大 面 積 の 湖 で あ る。 湖 の 面 積 は 六 六 九. 二 六 平 方 キ ロ メ ー ト ル、 湖 の 周 囲 長 は 二四一キロメートルに及ぶ。湖へ行きはじめた当初は湖の岸に立ち、対岸に見えるマチやムラを地図上で照らし合 わせてムラの人々に尋ねてもうまく合致せず、その広さに圧倒させられた。また、古くから湖を巡る自然や文化は 固有の豊かさを備えており、滋賀県が「湖国」といわれる所以である。   湖畔に立つとその周囲、特に西側から北側にかけて比叡山、比良山地と続き、湖の北側には野坂山地、東側に伊 吹山地といった山々や山地がめぐり、湖周道路を歩くと崎や入り江、砂浜とさまざまな地形が湖を縁取り景観の豊 かさを実感させられる。一方、漁業は琵琶湖の生業の大きな柱の一つである。イサザやモロコに代表される琵琶湖 固有種が生息していること、タツベやエリ網、コイト網やチュウビキ網などさまざまな漁具漁法で操業されている ことがその豊かさを物語っている。   滋賀県の民俗をテーマとするとき、琵琶湖は外すことのできない要素の一つである。琵琶湖の民俗を追究するこ とは実に壮大な仕事であるが、本論は琵琶湖の風について漁撈との関わりからまとめたものである。漁撈との関わ りに焦点を絞ったのは、より鮮明に湖の風の性格を見出すことができるためである。本論は、平成一〇年から平成

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比叡山 琵琶湖全体図  国土地理院発行地形図二十万分の一「名古屋」・「岐阜」・「京都及大阪」の各々一部 を合成 71%縮尺 出 漁 可 キタカゼ    のとき カ カ シ シラ ヤ ヤマ 経由 地図 1 序章事例4、1章 116 、2章 95 、 99 、 125 、 126 関係 国土地理院発行五万分の一地形図「彦根西部」 ・「京都東北部」 ・「近江八幡」の各々一部を合成し加筆

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出 漁 可 キタカゼ    のとき カ カ シ シラ ヤ ヤマ 経由 地図 1 序章事例4、1章 116 、2章 95 、 99 、 125 、 126 関係 国土地理院発行五万分の一地形図「彦根西部」 ・「京都東北部」 ・「近江八幡」の各々一部を合成し加筆

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ユ ブ ブ キ キ 至 尾上上 至沖島 ユ ブ キ 強 ユブキ弱 ユブキ弱 ヒアラシ(冬季) サキ、カミ    (夏季)    (夏季) ユブキあたらず ユブキあたらず ユブキが吹くとき 沖島の漁師は 湖を縦断するもしくは 尾上から岸づたいに帰港 ヒアラシ 波立たず 波立たず ヒアラシ ヒアラシ  接岸できず  接岸できず ニニ シ カ ゼ ユ ユユ ブブ キ キ キ キ タ カ ゼ ゼ 南西風のとき(冬季) 南西風のとき(冬季)     海津大崎〜船木     海津大崎〜船木 崎 (破線)より西側で漁 地図 2 序章事例5、1 章事例 50、2章事例 87、92、93、130 関係 比叡山 地図 3 1章事例 51、54、55、65、66、71、80、83、113 関係 国土地理院発行地形図二十万分の一「名古屋」・「岐阜」・「京都及大阪」の各々一部を合成 し加筆

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比叡山

地図 3 1章事例 51、54、55、65、66、71、80、83、113 関係

国土地理院発行地形図二十万分の一「名古屋」・「岐阜」・「京都及大阪」の各々一部を合成 し加筆

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イサ ザの 生息 域 イ サ ザ の生 息域 ミナミが ミナミが   吹く初日   吹く初日 シオ マ発 生 海津 大崎 ↘ 菅浦 帰港ル ー ト ト 大浦 湾 大浦 湾 地図 4 2章事例 70 、 83 、 89 、 135 、 151 関係 国土地理院発行五万分の一地形図「竹生島」 ・「敦賀」各々一部を合成し加筆 地図 5 2章事例 88 関係 国土地理院発行五万分の一地形図「彦根西部」に加筆

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地図

5 2章事例

88

関係

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二二年にかけて筆者が湖で漁撈活動に従事してきた人々から聞き取りした資料に基づいて第一章では琵琶湖の風の 特性を、第二章では漁業と風との関係について事例を分類し考察した。   筆 者 は こ れ ま で に 琵 琶 湖 の 風 に つ い て 主 に 二 回 調 査 報 告 を し た ※ 1 。 今 回 は そ の 調 査 報 告 に、 平 成 一 一 年 九 月 二〇 日から平成二二年二月二八日までに調査した内容を加えた。本文中、特記していない事柄はこの新たに調査し たものである。   なお、事例中の(   )書きは筆者が補足したものである。写真資料は全て筆者が撮影した。また、自治体名は調 査時の名称としている。 序   章   琵琶湖の風―多様な呼称   琵琶湖には四季を通じまたは一日のあいだでもさまざまな風が吹いている。湖周に点在するムラムラで聞き取り していると、風に対する受け止め方も一様ではない。この章では、次章以降の項目に分類できなかった風の呼称に 関する事例を中心に、類似しているものや風位(風が吹いてくる方角)が同じでも季節によって呼称が異なるもの などをまとめた。 序章事例一   ヒラオロシとヒアラシは異なる。ヒラオロシは一年中吹くニシカゼであるのに対し、ヒアラシは南東から吹く風 である。 *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ 序章事例二   同 じ 南 東 寄 り か ら 吹 く 風 で も、 ( 春 の ) 彼 岸 ま で は ヒ ア ラ シ と 言 い、 彼 岸 を 過 ぎ る と サ キ と 呼 ぶ。 ヒ ア ラ シ が 吹 くとき東の空は曇り、西の空は晴れている。 *田村喜代治さん   高島郡今津町南浜   昭和八年生まれ   ※ 2 序章事例三   日 中 だ け に 吹 く 風 が あ る こ と に つ い て、 「 七 月 〜 八 月 に か け て、 ヒ ア ラ シ と 呼 ぶ 日 中 だ け に 吹 く 東 寄 り の 風 が あ る。漁はできる。 (近江)八幡から明神崎にかけて吹く。 」 *大釜俊弥さん   高島郡今津町浜分   昭和八年生まれ   ※ 3 序章事例四   マイアミ浜(野洲市吉川)の方角から七月〜九月に吹く風をミナミアラシという。この時は出漁できない。ミナ ミアラシはヒアラシとも呼び、南の方角から上がってきた雲が速く移動する。 【地図 1 】 *西居正吉さん   近江八幡市沖島町   昭和九年生まれ   ※ 4 序章事例五   ミナミカゼの中でも南西の方角(今津方面)から吹く風が多かった。この風を冬季にはヒアラシと呼び、夏季に はカミと呼ぶ。 *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ

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序章事例二   同 じ 南 東 寄 り か ら 吹 く 風 で も、 ( 春 の ) 彼 岸 ま で は ヒ ア ラ シ と 言 い、 彼 岸 を 過 ぎ る と サ キ と 呼 ぶ。 ヒ ア ラ シ が 吹 くとき東の空は曇り、西の空は晴れている。 *田村喜代治さん   高島郡今津町南浜   昭和八年生まれ   ※ 2 序章事例三   日 中 だ け に 吹 く 風 が あ る こ と に つ い て、 「 七 月 〜 八 月 に か け て、 ヒ ア ラ シ と 呼 ぶ 日 中 だ け に 吹 く 東 寄 り の 風 が あ る。漁はできる。 (近江)八幡から明神崎にかけて吹く。 」 *大釜俊弥さん   高島郡今津町浜分   昭和八年生まれ   ※ 3 序章事例四   マイアミ浜(野洲市吉川)の方角から七月〜九月に吹く風をミナミアラシという。この時は出漁できない。ミナ ミアラシはヒアラシとも呼び、南の方角から上がってきた雲が速く移動する。 【地図 1 】 *西居正吉さん   近江八幡市沖島町   昭和九年生まれ   ※ 4 序章事例五   ミナミカゼの中でも南西の方角(今津方面)から吹く風が多かった。この風を冬季にはヒアラシと呼び、夏季に はカミと呼ぶ。 *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ

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序章事例六   カ ミ か ら 吹 く 風 は 南 西 寄 り の 風 で あ る。 堅 田 で「 風 」 と い え ば、 キ タ カ ゼ を い う。 「 サ キ 」 は 雨 の 前 に 吹 く が 堅 田ではあまり使わない。 *竹端治さん   大津市本堅田   昭和二四年生まれ 序章事例七   北船木では東寄りから吹く風に対して三つの呼称がある。一つはウラカゼ、二つ目はイバ、三つ目はユブキであ る。 *橋本武さん   高島市安曇川町北船木   昭和十五年生まれ 序章事例八   伊吹山から吹き下ろす風をウラカゼという。 *田中三五郎さん   高島郡新旭町針江   大正一〇年生まれ 序章事例九   冬に吹くミナミカゼをユブキと呼ぶ。 *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん   昭和八年生まれ 序章事例一〇 ユブキは船木ではタツミカゼとされ、さらに(彦根市)柳川ではキタカゼである。 *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   事例一〜五はヒアラシに関する事例である。本論でこの後詳しく扱うヒアラシは冬季に吹く季節風の吹き出しの 風であるが、ここに挙げた「ヒアラシ」は夏季の日中に吹く風(事例二では春の彼岸まで吹く風で、春の彼岸が明 けるとサキとよぶ)とされている。八幡〜明神崎にかけて吹く東寄りの風である。   一方、冬季に吹くヒアラシは南西寄りから吹くとされているが、夏に同じ方位から吹く風をカミとよぶという。   事例六〜一〇はユブキに関する事例である。ユブキは湖の東寄りから吹く風とされている。湖の北西部に位置す る今津町南浜(事例九)は、ミナミカゼと認識されている。呼称は変わらなくても、風位に対する認識には地域に よって大きく変わる。なお、本稿では伝承者の言い方を重視し、 「イブキ」 「ユブキ」双方を使用する。 第一章   琵琶湖で吹くケの風・ハレの風   本章では琵琶湖で吹く風に関する口承事例を日常的に吹く風、季節の到来に応じて吹く風に分類した。いわばケ の風、ハレの風である。琵琶湖が風の発生が多い地域であることを理解し、特徴について述べたい。 一節   ケの風 (一)朝に吹く風、晩に吹く風 一   「カ ン ザ キ シ モ ト イ テ 」 と 言 い、 朝 の う ち に カ ン( 南 西 の 方 角 を さ す。 カ ミ と も い う ) か ら サ キ カ ゼ( 南 風 ) が吹いても、夕方になるとシモ(北西の方角をさす)からトイテ(北西風)が吹いてくる。

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ユブキは船木ではタツミカゼとされ、さらに(彦根市)柳川ではキタカゼである。 *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   事例一〜五はヒアラシに関する事例である。本論でこの後詳しく扱うヒアラシは冬季に吹く季節風の吹き出しの 風であるが、ここに挙げた「ヒアラシ」は夏季の日中に吹く風(事例二では春の彼岸まで吹く風で、春の彼岸が明 けるとサキとよぶ)とされている。八幡〜明神崎にかけて吹く東寄りの風である。   一方、冬季に吹くヒアラシは南西寄りから吹くとされているが、夏に同じ方位から吹く風をカミとよぶという。   事例六〜一〇はユブキに関する事例である。ユブキは湖の東寄りから吹く風とされている。湖の北西部に位置す る今津町南浜(事例九)は、ミナミカゼと認識されている。呼称は変わらなくても、風位に対する認識には地域に よって大きく変わる。なお、本稿では伝承者の言い方を重視し、 「イブキ」 「ユブキ」双方を使用する。 第一章   琵琶湖で吹くケの風・ハレの風   本章では琵琶湖で吹く風に関する口承事例を日常的に吹く風、季節の到来に応じて吹く風に分類した。いわばケ の風、ハレの風である。琵琶湖が風の発生が多い地域であることを理解し、特徴について述べたい。 一節   ケの風 (一)朝に吹く風、晩に吹く風 一   「カ ン ザ キ シ モ ト イ テ 」 と 言 い、 朝 の う ち に カ ン( 南 西 の 方 角 を さ す。 カ ミ と も い う ) か ら サ キ カ ゼ( 南 風 ) が吹いても、夕方になるとシモ(北西の方角をさす)からトイテ(北西風)が吹いてくる。

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   *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん(昭和八年生まれ) ※ 5 二   風は一日のうちで午後から夕方の間が多くなり、夜間(夕方から翌朝)には収まることが多い。    *神崎郡能登川町栗見出在家   松村喜久男さん   昭和一四年生まれ ※ 6 三   「キタカゼとヤトイド(雇い人)はヒ(日)のうち」と言い、夕方になるとキタカゼは止んだ。    *草津市志那町   故中嶋千代   明治一八年生まれ   ※ 7 四   夕方吹くキタカゼは、翌日はニワになる。    *大津市本堅田   竹端治さん   昭和二四年生まれ 五   オカからウミへ吹く風を「ウチビアラシ」という。天気や季節には関係なく朝のうちに吹く。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正九年生まれ   ※ 8 六   朝にはヒガシアラシが必ず吹く。    *東浅井郡びわ町八木浜   田辺信雄さん   昭和二年生まれ   ※ 9 七   マキタが吹く時間は短い。朝のうちに吹くことが多いが、一晩中吹くこともある。一方、ミナミ(南南東寄り の風)が吹く時間は長く、台風のときに多い。    *東浅井郡びわ町南浜   川瀬重義さん   昭和四年生まれ   ※ 10 八   夜はミナミカゼが吹く。    *東浅井郡湖北町海老江   今井俊美さん   大正一〇年生まれ   ※ 11 九   キタカゼとヤトイド(雇い人)はヒィサン限り    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 12 一〇   キタカゼは「ヒヤトイカゼ」といい、日が暮れると止んだ。    *伊香郡西浅井町月出   松田佐一さん   大正三年生まれ   ※ 13 一一   キタカゼとヤトイドはヒィサン限り    *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清太郎さん   明治四二年生まれ   ※ 14 一二   夕方、天気の良いときに涼しい風が山手から吹いてくる。この風をオチカゼという。    *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清太郎さん   明治四二年生まれ   ※ 15 一三   ウチアラシは朝方、オカからウミへ吹く風である。    *伊香郡西浅井町塩津浜   山路昇さん   大正一五年生まれ   ※ 16

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   *東浅井郡びわ町南浜   川瀬重義さん   昭和四年生まれ   ※ 10 八   夜はミナミカゼが吹く。    *東浅井郡湖北町海老江   今井俊美さん   大正一〇年生まれ   ※ 11 九   キタカゼとヤトイド(雇い人)はヒィサン限り    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 12 一〇   キタカゼは「ヒヤトイカゼ」といい、日が暮れると止んだ。    *伊香郡西浅井町月出   松田佐一さん   大正三年生まれ   ※ 13 一一   キタカゼとヤトイドはヒィサン限り    *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清太郎さん   明治四二年生まれ   ※ 14 一二   夕方、天気の良いときに涼しい風が山手から吹いてくる。この風をオチカゼという。    *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清太郎さん   明治四二年生まれ   ※ 15 一三   ウチアラシは朝方、オカからウミへ吹く風である。    *伊香郡西浅井町塩津浜   山路昇さん   大正一五年生まれ   ※ 16

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一四   ナガセのヒルヤミ(昼止み)といい、ナガセは朝晩にきついが日中には風が収まる特徴がある。    *伊香郡西浅井町塩津浜   山路   昇さん   大正一五年生まれ   ※ 17 一五   ニシノヨイヤミ、ヨアケノタヌキ    *近江八幡市沖島町   茶谷幸夫さん   昭和二年生まれ   ※ 18 一六   ヨザキヒルナガセといい、ナガセは気温の高い日中に吹き、サキは夜に吹く風である。南から南東寄りから 吹く風で、強く吹きつける風ではない。ナガセは長い時間吹くこともある。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 一七   「夜 ザ キ 夜 ミ ナ ミ、 ナ ン ガ ン デ リ ノ 朝 イ ブ キ 」 と い い、 三 月 か ら 六 月 に か け て 夜 間、 サ キ( 南 西 寄 り の 風 ) が 吹 き は じ め、 の ち に 吹 き 回 し て ミ ナ ミ( 南 寄 り の 風 ) に 変 わ る と、 明 け 方 に は イ ブ キ( 南 東 寄 り か ら の 風)に返すことをいう。    *高島市安曇川町北船木   橋本武さん   昭和一五年生まれ 一八   ヨザキヒルキタといい、夏前の時期に夜になると真南の方角からサワサワとした静かな風が吹く。日中はキ タカゼが吹く。    *高島郡今津町浜分   大釜俊弥さん   昭和八年生まれ 一九   六月になると、日が暮れるころから天気に関係なくヨザキが吹き出す。    *滋賀郡志賀町今宿   綾正一郎さん   昭和二年生まれ   ※ 19 二〇   「土用のヨザキ」といい、晩になると南寄りの涼しい風が吹く。    *神崎郡能登川町栗見出在家   福永たねさん   大正一四年生まれ   ※ 20 二一   ミナミカゼは南東から吹く風。涼しくなると吹く風である。昼止みするがシグレをつける。同じように晩の うちに南寄りから吹く風でも、ヨザキは暑い日の晩に真南から吹くが弱い波が寄せるほどのごく弱い風であ る。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ   ※ 21 二二   サキはミナミの風である。春になって一番最初に吹く風を言う。 「サキがおりた」という。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   〈昼吹くキタカゼ、夜吹くサキカゼ〉   日 中 に 吹 く 北 寄 り の 風 は 夕 方 に な る と 止 む こ と が 分 か る( 事 例 三、 九、 一 〇、 一 一 )。 ヤ ト イ ド は「 雇 い 人 」 で あ り、毎日商家へ通勤する雇用人にたとえている。事例一五も同類の口承で、宵から日中にかけて吹いていたニシカ ゼが夕暮れ時になると止み、翌朝になると再び吹き出すことを言う。行夫さんも「ゆうべ、アラシが降りたで、ヒ ノクレから出られるで。 」などと仲間と言いながら、翌日の出漁を見込んでいた。

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一九   六月になると、日が暮れるころから天気に関係なくヨザキが吹き出す。    *滋賀郡志賀町今宿   綾正一郎さん   昭和二年生まれ   ※ 19 二〇   「土用のヨザキ」といい、晩になると南寄りの涼しい風が吹く。    *神崎郡能登川町栗見出在家   福永たねさん   大正一四年生まれ   ※ 20 二一   ミナミカゼは南東から吹く風。涼しくなると吹く風である。昼止みするがシグレをつける。同じように晩の うちに南寄りから吹く風でも、ヨザキは暑い日の晩に真南から吹くが弱い波が寄せるほどのごく弱い風であ る。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ   ※ 21 二二   サキはミナミの風である。春になって一番最初に吹く風を言う。 「サキがおりた」という。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   〈昼吹くキタカゼ、夜吹くサキカゼ〉   日 中 に 吹 く 北 寄 り の 風 は 夕 方 に な る と 止 む こ と が 分 か る( 事 例 三、 九、 一 〇、 一 一 )。 ヤ ト イ ド は「 雇 い 人 」 で あ り、毎日商家へ通勤する雇用人にたとえている。事例一五も同類の口承で、宵から日中にかけて吹いていたニシカ ゼが夕暮れ時になると止み、翌朝になると再び吹き出すことを言う。行夫さんも「ゆうべ、アラシが降りたで、ヒ ノクレから出られるで。 」などと仲間と言いながら、翌日の出漁を見込んでいた。

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  一方、サキカゼは夜間に吹く南寄りの風と伝えられている。 「ヨザキヒルナガセ」 (事例一六) 、「ヨザキヒルキタ」 (事例一八)という口承から、サキカゼが夏場の天候が穏やかな一日の中で吹く風の一つであることを伝えている。 事例一七にある「ナンガンデリ」について武さんからはその由来を聞き出すことはできなかった。ナンガンはカボ チャ(南瓜)を指し、デリは照りの意から。サキからユブキへ吹き回すと南瓜の出来が良くなるような好天になる と推測できる。   ま た、 「 土 用 の ヨ ザ キ 」( 事 例 二 〇 )、 「 ド ヨ ウ ミ ナ ミ の 風 は 百 姓 に と っ て も よ い 」( 東 浅 井 郡 湖 北 町 東 尾 上   七 里 一 郎さん   昭和六年生まれ)といわれるように、夏場の南寄りの風は農業を営む人々にも都合がよい。これは南寄り の風が気温を上昇させて作物の実入りに良い影響を与えたり、田草についた虫を払う効果(事例七六)も期待でき るためである。 〈吹き回す風〉   一 日 の 間 で も 吹 き 回 す 風 が あ る こ と を 伝 え て い る の が 事 例 一 で あ る。 「 カ ン ザ キ シ モ ト イ テ 」 と い う 口 承 が 残 さ れ て お り( 事 例 一 )、 朝 方( 日 中 ) 南 寄 り の 風 が 吹 い て い て も 夕 方 に は 北 西 の 風 に 変 わ る こ と を 伝 え て い る。 琵 琶 湖畔の漁師たちは風がいくつかの風位を変えながら吹くことを「吹き回し」と言う。吹き回しの伝承はとくに強い 季節風が吹いたときに発生することを次節で明らかにするが、一日の間で吹き回すときは必ずしも強風が発生する ときとは限らない。 〈山の地形とオチカゼ〉   事例一二には「オチカゼ」という言葉が伝えられている。山の尾根を伝って湖に吹きこむと考えられる風をオチ カゼと伝えている。大浦のムラからみて山手はちょうど北側にあたり、ここでいうオチカゼはキタカゼと考えられ る。琵琶湖とくに北湖の西、東、北側は山を近くに臨むことができる。   オチカゼのように山から吹き下ろす風の中には湖に到達すると勢力を増すものもあると考えられる。次節で取り 上げるハヤテはその一つである。 (二)風と天候 二三   三月から気温が低くなる時期までのあいだにヒカタという風が吹く。ヒカタは陽が昇ると吹き、夕方になる と止む風で、雨の日は吹かない。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 二四   夏季の午後に風が吹くと天気が続くことが多い。また、夕方のニシカゼは翌日天気になる。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正八年生まれ   二五   ミナミ(南東の方向)から風が吹くと天候が荒れる。    *高島郡マキノ町知内   野崎吉平さん   昭和一〇年生まれ 二六   イバは雨の前に吹く風をいい、雨の降る前の穏やかな天気をイバゲニワという。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ

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カゼと伝えている。大浦のムラからみて山手はちょうど北側にあたり、ここでいうオチカゼはキタカゼと考えられ る。琵琶湖とくに北湖の西、東、北側は山を近くに臨むことができる。   オチカゼのように山から吹き下ろす風の中には湖に到達すると勢力を増すものもあると考えられる。次節で取り 上げるハヤテはその一つである。 (二)風と天候 二三   三月から気温が低くなる時期までのあいだにヒカタという風が吹く。ヒカタは陽が昇ると吹き、夕方になる と止む風で、雨の日は吹かない。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 二四   夏季の午後に風が吹くと天気が続くことが多い。また、夕方のニシカゼは翌日天気になる。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正八年生まれ   二五   ミナミ(南東の方向)から風が吹くと天候が荒れる。    *高島郡マキノ町知内   野崎吉平さん   昭和一〇年生まれ 二六   イバは雨の前に吹く風をいい、雨の降る前の穏やかな天気をイバゲニワという。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ

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二七   土用のニシカゼは雨のもと    *神崎郡能登川町栗見出在家   福永タネさん   大正一三年生まれ   ※ 22 二八   雨のときはミナミカゼ    *神崎郡能登川町栗見出在家   松村喜久男さん   昭和一四年生まれ   ※ 23 二九   「雲が比叡山参りやで雨降りや。 」と言い、比叡山方向に雲が流れると雷雨になる。    *草津市志那町   中嶋五十鈴さん   大正五年生まれ   ※ 24 三〇   ミナミカゼが吹くと雨降りだが、キタカゼに返ると天気になる。    *東浅井郡湖北町海老江   今井俊美さん   大正一〇年生まれ   ※ 25 三一   雨降りの後に北から南へシオが流れるとアマゲの南東風が吹く。    *高島郡マキノ町新保   平山次夫さん   昭和二五年生まれ   ※ 26 三二   東が曇れば雨となる、西が曇れば風となる。千石積んだる舟でさえ、おいてかわれば出て戻る。    *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん   昭和八年生まれ   ※ 27 三三   梅雨のニシカゼ、雨の声    *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん   昭和八年生まれ   ※ 28 三四   梅雨のキタカゼ、雨の声    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 29 三五   梅雨のミナミゲ、アホの夜遊び    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 30 三六   サキの送り雨    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 31 三七   一〇月末から一一月にかけてニシカゼをもたらし雨が降りそうなぐずついた空模様をシグレゲという。シグ レゲのときは「弁当忘れても雨具忘れるな」というほど必ず雨が降る。    *滋賀郡志賀町北小松   池田俊雄さん   大正一五年生まれ   ※ 32 三八   ミナミゲは雨を降らせないと止まない。    *伊香郡木之本町飯浦   内貴周一さん   大正一〇年生まれ   ※ 33 三九   「北降り」と言い、北から風が吹くと雨になる。

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   *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん   昭和八年生まれ   ※ 28 三四   梅雨のキタカゼ、雨の声    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 29 三五   梅雨のミナミゲ、アホの夜遊び    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 30 三六   サキの送り雨    *滋賀郡志賀町北小松   故池田みの   明治八年生まれ   ※ 31 三七   一〇月末から一一月にかけてニシカゼをもたらし雨が降りそうなぐずついた空模様をシグレゲという。シグ レゲのときは「弁当忘れても雨具忘れるな」というほど必ず雨が降る。    *滋賀郡志賀町北小松   池田俊雄さん   大正一五年生まれ   ※ 32 三八   ミナミゲは雨を降らせないと止まない。    *伊香郡木之本町飯浦   内貴周一さん   大正一〇年生まれ   ※ 33 三九   「北降り」と言い、北から風が吹くと雨になる。

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   *伊香郡西浅井町月出   松田佐一さん   大正三年生まれ   ※ 34 四〇   梅雨時分を除き、ヒアラシという南寄りの風や南東風が吹くと雨になる。    *高島郡安曇川町北船木   大置省三さん   昭和六年生まれ   ※ 35 四一   高島シグレは一〇月中旬になると吹き出すが、雲が今津の山を越えると雨が降り出す。    *高島郡新旭町藁園   中村伊之一さん   大正一四年生まれ   ※ 36 四二   九 月 か ら 冬 前 に な る と、 高 島 シ グ レ が 吹 く。 キ タ カ ゼ が 吹 く と きはしぐれる(雨をもたらす) 。    *高島郡マキノ町新保   平山次夫さん   昭和二五年生まれ   ※ 37 四三   雪になるときにはカミからとおす(南西寄りの風が吹く) 。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 四四   ニシカゼ(今津方から吹く風)があると雪になる。    * 伊 香 郡 西 浅 井 町 菅 浦   菅 浦 里 士 さ ん   昭 和 一 〇 年 生 ま れ 【 写 真 1 】 四五   雪オコシはニシカゼが吹く。 写真 1 橋本丸船上から六ツ矢崎付近(高島市 新旭町深溝)をのぞむ この一帯がニシカゼの吹き出し口とな る。平成 21 年 8 月 25 日撮影    *伊香郡高月町片山   片山四郎さん   大正一三年生まれ   ※ 38 四六   北風が吹きはじめると、彦根、米原で雪が降りだす。    *伊香郡高月町片山   片山四郎さん   大正一三年生まれ   ※ 39 四七   弱いヒアラシの後には雪が降る。    *伊香郡木之本町飯浦   内貴周一さん   大正一〇年生まれ   ※ 40 四八   霧が晴れてくると、キタカゼが吹き出す。    *東浅井郡湖北町海老江   今井俊美さん   大正一〇年生まれ   ※ 41 〈天候変化のあとさきに発生する風〉   事 例 を 通 覧 す る と、 事 例 二 三、 二 四 以 外 は お お む ね、 天 候 が 変 わ る 前 後 で 風 が 発 生 し て い る こ と が 分 か る。 と く に 雨 や 雪 が 降 る 前 に 風 が 発 生 す る こ と が 多 い。 詳 し く は 次 章 で 天 候 の 変 化 が 漁 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し た の か、 関係する事例を取り上げ、漁師が風をもとにどのような判断をしていたか考察する。 二節   ハレの風 (一)カエシの風   前節で吹き回しの風について触れた。漁師の経験をもとにまとめると、風が吹き回すとはある方位から発生した

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   *伊香郡高月町片山   片山四郎さん   大正一三年生まれ   ※ 38 四六   北風が吹きはじめると、彦根、米原で雪が降りだす。    *伊香郡高月町片山   片山四郎さん   大正一三年生まれ   ※ 39 四七   弱いヒアラシの後には雪が降る。    *伊香郡木之本町飯浦   内貴周一さん   大正一〇年生まれ   ※ 40 四八   霧が晴れてくると、キタカゼが吹き出す。    *東浅井郡湖北町海老江   今井俊美さん   大正一〇年生まれ   ※ 41 〈天候変化のあとさきに発生する風〉   事 例 を 通 覧 す る と、 事 例 二 三、 二 四 以 外 は お お む ね、 天 候 が 変 わ る 前 後 で 風 が 発 生 し て い る こ と が 分 か る。 と く に 雨 や 雪 が 降 る 前 に 風 が 発 生 す る こ と が 多 い。 詳 し く は 次 章 で 天 候 の 変 化 が 漁 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し た の か、 関係する事例を取り上げ、漁師が風をもとにどのような判断をしていたか考察する。 二節   ハレの風 (一)カエシの風   前節で吹き回しの風について触れた。漁師の経験をもとにまとめると、風が吹き回すとはある方位から発生した

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風が風位を変え、最後に吹き返しの風が発生して止む現象をいう。とくに一連の風で最後に発生する風を「カエシ (返し)の風」と呼び、時には激しい雨や雪をもたらす場合もある。 ①   ヒアラシ 四九   南 東 寄 り の 風 か ら 変 わ っ た 風 が ヒ ア ラ シ で あ る。 ヒ ア ラ シ は 北 風 の 一 つ だ が、 太 陽 の そ ば に で き る 短 い 虹、 カ シ ラ ガ シ が で き る と 二 〜 三 日 後 に は キ タ カ ゼ が 吹 き 天 候 が 荒 れ る。 ま た、 ハ ナ( 船 木 崎( 安 曇 川 尻 )) を 吹き回してくる。    *高島郡マキノ町西浜   和田弥栄男さん   大正一五年生まれ   ※ 42 五〇   冬 の 間 は ヒ ア ラ シ が 吹 く。 ヒ ア ラ シ の 後 は ニ シ ビ ア ラ シ に 風 向 き が 変 わ る が、 ニ シ ビ ア ラ シ の 方 が 風 は 強 い。また、ヒアラシを「カンビラシ」ともいう。ヒアラシが吹いているときは竹生島に舟を接岸することが できないほど波が立つが、今津付近の湾内では波が立たない。     北西寄りから吹くニシビアラシは竹生島、葛籠尾崎方面から吹く冷たい風。この風が吹くことを「シマが吹 いてきた」という。ニシビアラシが止むと雪降りになる。     またこの時期には、白谷口(マキノ付近)から吹くニシカゼも多い。ニシカゼはシグレ(雨)をつけること が多い。 【地図 2 】    *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん   昭和八年生まれ   ※ 43 五一   ヒ ア ラ シ が 安 曇 川 を 三 日 通 せ ば( 越 え て 吹 い て く れ ば ) 雪( が 降 る )。 ヒ ア ラ シ が 吹 く 前 日 の 夕 方、 南 の 空 が 透 き 上 が り 赤 く 晴 れ て い る。 ヒ ア ラ シ が 止 む か 止 ま な い う ち にニシカゼに変わる。 【地図 3 】    *高島郡安曇川町南船木   八木勝さん   昭和六年生まれ   ※ 44 五二   当 地 に お け る ニ シ カ ゼ に は 安 曇 川 を 境 に 西 回 り と 北 回 り が あ る。 西 回 り は 安 曇 川 の 南 方、 小 松、 白 髭 か ら 吹 く 風 で あ る【 写 真 2 】。 北 回 り は そ の 北 側、 今 津 付 近 か ら 吹 く 風 で あ る。 一 般 に 山 陰 か ら 吹 き 降 ろ す 風 は 強 く、 小 松 の 山 か ら 吹 き 降 ろ す 風 が 強いのはそのように山並みがダイラになっているためである。     ニシビアラシとは西に回ったミナミカゼをいう。    *高島市安曇川町南船木   八木勝次さん   昭和二五年生まれ 五三   冬 は 南 西 風 の ヒ ア ラ シ が 吹 く。 「 ヒ ア ラ シ の 八 日 吹 き 」 と い う よ う に、 ヒ ア ラ シ は 三 日 〜 七 日 ほ ど 吹 く。 ヒ アラシが西寄りの風に変わるときには雪は降らないものの、北西寄りの風からキタカゼに変わるときは雪が 降る。伊吹山の東側の谷間「ミノグチ」 (美濃口か)が透くと(雲が取れると)翌日はニワになり季節風が収 まる。    *滋賀郡志賀町北小松   池田俊雄さん   大正一五年生まれ   ※ 45 五四   「ヒ ア ラ シ 三 日、 雪 ア レ 七 日 」 と い い、 南( 南 西 ) か ら 安 曇 川 崎 を 吹 き 通 す ほ ど ヒ ア ラ シ が 安 曇 川 を 三 日 間 写真 2 白髭浜から近江白浜、船木崎をのぞむ。 ヒアラシは陸地(左手)が吹き出し口 となり、湖に向けて吹く。 平成 11 年 9 月 21 日撮影

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が 透 き 上 が り 赤 く 晴 れ て い る。 ヒ ア ラ シ が 止 む か 止 ま な い う ち にニシカゼに変わる。 【地図 3 】    *高島郡安曇川町南船木   八木勝さん   昭和六年生まれ   ※ 44 五二   当 地 に お け る ニ シ カ ゼ に は 安 曇 川 を 境 に 西 回 り と 北 回 り が あ る。 西 回 り は 安 曇 川 の 南 方、 小 松、 白 髭 か ら 吹 く 風 で あ る【 写 真 2 】。 北 回 り は そ の 北 側、 今 津 付 近 か ら 吹 く 風 で あ る。 一 般 に 山 陰 か ら 吹 き 降 ろ す 風 は 強 く、 小 松 の 山 か ら 吹 き 降 ろ す 風 が 強いのはそのように山並みがダイラになっているためである。     ニシビアラシとは西に回ったミナミカゼをいう。    *高島市安曇川町南船木   八木勝次さん   昭和二五年生まれ 五三   冬 は 南 西 風 の ヒ ア ラ シ が 吹 く。 「 ヒ ア ラ シ の 八 日 吹 き 」 と い う よ う に、 ヒ ア ラ シ は 三 日 〜 七 日 ほ ど 吹 く。 ヒ アラシが西寄りの風に変わるときには雪は降らないものの、北西寄りの風からキタカゼに変わるときは雪が 降る。伊吹山の東側の谷間「ミノグチ」 (美濃口か)が透くと(雲が取れると)翌日はニワになり季節風が収 まる。    *滋賀郡志賀町北小松   池田俊雄さん   大正一五年生まれ   ※ 45 五四   「ヒ ア ラ シ 三 日、 雪 ア レ 七 日 」 と い い、 南( 南 西 ) か ら 安 曇 川 崎 を 吹 き 通 す ほ ど ヒ ア ラ シ が 安 曇 川 を 三 日 間 写真 2 白髭浜から近江白浜、船木崎をのぞむ。 ヒアラシは陸地(左手)が吹き出し口 となり、湖に向けて吹く。 平成 11 年 9 月 21 日撮影

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吹き通すと、そのあと七日間は降雪に見舞われるということをいう。ヒアラシのあとはニシカゼ(マキノか ら吹く)に返し、雪が降る。マキノから吹くニシカゼは風上なので風は強いが波は小さい。     ヒアラシが吹き始めると日を追うごとに寒さが厳しくなってくる。シジミ掻きをしている時期は網を上げる と凍ってしまうくらい寒かった。    *高島市安曇川町北船木   橋本武さん   昭和一五年生まれ   【地図 3 】 五五   比叡山から吹き下ろす南西風で一一月末から四月にかけて吹く風をヒアラシという。 【地図 3 】    *滋賀県大津市本堅田   竹端さん   昭和一三年生まれ   ※ 46 五六   西側の山の付近で夕陽のまわりに短い虹が付くことがある。太陽の片一方に付くと三日、両脇に付くと一週 間、それぞれヒアラシが吹き続く。    *大津市本堅田   小西益夫さん   昭和一〇年生まれ   ※ 47 五七   ヒアラシはニシビアラシ、キタカゼへと変わる。    *神崎郡能登川町栗見出在家   福永たねさん   大正一四年生まれ   ※ 48 五八   ウチアラシからヒエイアラシへ、さらにキタカゼからキタニシへ風向きが変化するのが冬の間に吹く風の特 徴である。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正八年生まれ   ※ 49 五九   ヒアラシは一一月末から三月にかけて吹く。この風が吹くと長浜方面へ雨雲が流れる。ヒアラシの後にニシ ビ ア ラ シ へ、 さ ら に キ タ ニ シ へ と 風 向 き が 変 わ り 再 び、 ヒ ア ラ シ に 戻 る。 こ の 周 期 の 期 間 は 一 定 で は な い。 一晩経って朝にヒアラシに戻っているときもあれば、一週間キタニシが続くこともある。ヒアラシには必ず シグレがつく。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正八年生まれ   ※ 50 六〇   ヒアラシという南寄りの風が吹くと寒くなり、その風がニシカゼに変わると雪に変わる。    *彦根市八坂町   森忠助さん   大正七年生まれ   ※ 51 六一   ニシからマキタへ風向きが変わったのち天候は荒れじまいとなるが、マキタのカゼが吹けば天気は大荒れに ならずに済む。ニシカゼは二〜三日荒れる。ニシカゼが吹くときは雪が降ることなくきついカラッカゼが吹 く。    *東浅井郡びわ町南浜   川瀬義隆さん   昭和五年生まれ   ※ 52 六二   カエシの風は寒い時期に起こる。冬季はミナミカゼが吹いた後に(天候が)荒れる。また、南浜では知内・ 海津・今津方面をニシと呼ぶ。    *東浅井郡びわ町南浜   蒲生律男さん   昭和六年生まれ 六三   ヒアラシからニシビアラシに変わると雪になる。

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五九   ヒアラシは一一月末から三月にかけて吹く。この風が吹くと長浜方面へ雨雲が流れる。ヒアラシの後にニシ ビ ア ラ シ へ、 さ ら に キ タ ニ シ へ と 風 向 き が 変 わ り 再 び、 ヒ ア ラ シ に 戻 る。 こ の 周 期 の 期 間 は 一 定 で は な い。 一晩経って朝にヒアラシに戻っているときもあれば、一週間キタニシが続くこともある。ヒアラシには必ず シグレがつく。    *彦根市須越町   疋田新作さん   大正八年生まれ   ※ 50 六〇   ヒアラシという南寄りの風が吹くと寒くなり、その風がニシカゼに変わると雪に変わる。    *彦根市八坂町   森忠助さん   大正七年生まれ   ※ 51 六一   ニシからマキタへ風向きが変わったのち天候は荒れじまいとなるが、マキタのカゼが吹けば天気は大荒れに ならずに済む。ニシカゼは二〜三日荒れる。ニシカゼが吹くときは雪が降ることなくきついカラッカゼが吹 く。    *東浅井郡びわ町南浜   川瀬義隆さん   昭和五年生まれ   ※ 52 六二   カエシの風は寒い時期に起こる。冬季はミナミカゼが吹いた後に(天候が)荒れる。また、南浜では知内・ 海津・今津方面をニシと呼ぶ。    *東浅井郡びわ町南浜   蒲生律男さん   昭和六年生まれ 六三   ヒアラシからニシビアラシに変わると雪になる。

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   *東浅井郡湖北町尾上   松岡正一さん   昭和二年生まれ   ※ 53 六四   ヒアラシが止みかけるとキタカゼに変わり、天候は回復に向かう。    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 54 六五   ヒ ア ラ シ は 堅 田 方 面 か ら 吹 く 風 で、 飯 浦 で は 西 寄 り の 風 に な る。 飯 浦 で は 藤 ヶ 崎 を 吹 き 回 し て く る。 【 地 図 3 】    *伊香郡木之本町飯浦   内貴周一さん   大正一〇年生まれ   ※ 55 六六   大津方面から吹き出す風をニシアラシといい、その風向きが東に回ればヒアラシとなり、西に回るとニシビ アラシとなる。ヒアラシは午前一〇時から一一時の間に吹き、風は船木崎、雄松崎まで延びる【地図 3 】。     一方、ニシビアラシは一週間吹き続けることもあり、この風が北に回り、キタカゼが吹き出すと雪をもたら す。北の方角でヒカリゲシキ(稲光がしている)になるとアラシが発生する。ヒトツビカリの後は天候が荒 れるので怖いという。キタカゼが吹き終わると天候は回復しニワになる。    *近江八幡市沖島町   西居正吉さん   昭和九年生まれ   ※ 56 六七   一一月から二月にかけてヒアラシが吹くと、西寄りから東寄りへ雲が流れる。塩津では波は小さいが、竹生 島へ行くと波は大きくなる。ヒアラシが吹く前は水平線が赤くなり、午前中を中心に吹き午後は南寄りの風 に変わる。翌日は雪がちらつく。    *伊香郡西浅井町塩津浜   熊谷善一郎さん   大正九年生まれ   ※ 57 六八   キ タ カ ゼ が 吹 い て い る と き は 雪 に は な ら ず、 北 西 寄 り の 風 が 止 み か けのときに雪が降る。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 〈一〉   ヒアラシの特徴   ヒ ア ラ シ は 冬 の 琵 琶 湖 を 代 表 す る 季 節 風 で あ る。 冬 に 吹 く 季 節 風 と 言 え ば、 北 寄 り や 西 寄 り か ら 吹 き つ け る 印 象 が 強 い が、 ヒ ア ラ シ は 南 寄 り か ら 吹 く。 さ ら に、 「 ヒ ア ラ シ の 八 日 吹 き 」( 事 例 五 三 ) と あ る よ う に、 数 日 か ら 約 一 週 間 に わ た っ て 西( ニ シ ビ ア ラ シ ) 北 西( キ タ ニ シ の カ ゼ )、 北( キ タ カ ゼ ) と い う よ う に 風 向 き を 変 え な が ら 吹 き 付 け る。 こ の よ う な 風 向 き を 変えた風を「カエシ(返し)のカゼ」とよび、降雨や降雪をもたらす(事例六〇、 六二、 六三) 。【写真 3 】   事例二にある「カンビラシ」は「寒ヒアラシ」の意味であろう。あとの項でも述べるが、ヒアラシとよばれる別 の風があり、この風は夏季の日中に吹く風であるが、この風と区別するために「カンビラシ」と呼ばれたものと考 えられる。 〈二〉   シグレをもたす風   降 雨 や 降 雪 に つ い て、 事 例 五 〇、 五 九 で は 雨 模 様 に な る こ と を「 シ グ レ を つ け る 」 と 伝 え て い る。 ヒ ア ラ シ が 吹 写真 3 琵琶湖の雪景色 彦根市三津屋町  平成 13 年 1 月 21 日撮影

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   *伊香郡西浅井町塩津浜   熊谷善一郎さん   大正九年生まれ   ※ 57 六八   キ タ カ ゼ が 吹 い て い る と き は 雪 に は な ら ず、 北 西 寄 り の 風 が 止 み か けのときに雪が降る。    *伊香郡西浅井町菅浦   菅浦里士さん   昭和一〇年生まれ 〈一〉   ヒアラシの特徴   ヒ ア ラ シ は 冬 の 琵 琶 湖 を 代 表 す る 季 節 風 で あ る。 冬 に 吹 く 季 節 風 と 言 え ば、 北 寄 り や 西 寄 り か ら 吹 き つ け る 印 象 が 強 い が、 ヒ ア ラ シ は 南 寄 り か ら 吹 く。 さ ら に、 「 ヒ ア ラ シ の 八 日 吹 き 」( 事 例 五 三 ) と あ る よ う に、 数 日 か ら 約 一 週 間 に わ た っ て 西( ニ シ ビ ア ラ シ ) 北 西( キ タ ニ シ の カ ゼ )、 北( キ タ カ ゼ ) と い う よ う に 風 向 き を 変 え な が ら 吹 き 付 け る。 こ の よ う な 風 向 き を 変えた風を「カエシ(返し)のカゼ」とよび、降雨や降雪をもたらす(事例六〇、 六二、 六三) 。【写真 3 】   事例二にある「カンビラシ」は「寒ヒアラシ」の意味であろう。あとの項でも述べるが、ヒアラシとよばれる別 の風があり、この風は夏季の日中に吹く風であるが、この風と区別するために「カンビラシ」と呼ばれたものと考 えられる。 〈二〉   シグレをもたす風   降 雨 や 降 雪 に つ い て、 事 例 五 〇、 五 九 で は 雨 模 様 に な る こ と を「 シ グ レ を つ け る 」 と 伝 え て い る。 ヒ ア ラ シ が 吹 写真 3 琵琶湖の雪景色 彦根市三津屋町  平成 13 年 1 月 21 日撮影

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く と す ぐ に シ グ レ を つ け る と い う こ と で は な く 、「 ニ シ ビ ア ラ シ が 止 む と 雪 降 り に な る 。」( 事 例 五 〇 )、 「 ニ シ カ ゼ が 吹くときは雪が降ることはなく 、きついカラッカゼになる」 (事例六一)場合や 「ヒアラシが西寄りの風に変わると き に は 雪 は 降 ら な い も の の 、 北 西 寄 り の 風 か ら キ タ カ ゼ に 変 わ る と き は 雪 が 降 る 。」( 事 例 五 三 )、 場 合 が あ る 。「 ヒ カ リ ゲ シ キ に な る と ア ラ シ に な る 。」( 事 例 六 六 ) と は 、 大 気 が 不 安 定 に な る こ と で 雷 が 発 生 す る こ と で あ る 。 と く に 日 本 海 側 で は 冬 季 に 雷 が 発 生 す る こ と が あ り 、 琵 琶 湖 で も 日 本 海 側 の 気 象 状 態 の 影 響 を 受 け る こ と が 分 か る 。 ※ 58   このようにカエシ(返し)の風が吹くときには降雨や降雪をもたらすことが伝えられている。 〈三〉   ヒアラシと地形   琵 琶 湖 の 周 囲 は 多 く の 崎 や 湾、 入 り 江 で 縁 ど ら れ て い る。 「 ヒ ア ラ シ は 船 木 崎 を 吹 き ま わ し て く る 」( 事 例 四 九 )、 「 ヒ ア ラ シ が 安 曇 川( 船 木 崎 ) を 三 日 通 せ ば( 越 え て 吹 い て く れ ば ) 雪( が 降 る )。 」( 事 例 五 一, 五 四 )、 「 藤 ヶ 崎 を 越 え て ヒ ア ラ シ が 吹 い て く る 」( 事 例 六 五 ) と い う 事 例 が 示 す よ う に、 船 木 崎 や 藤 ヶ 崎 を 吹 き と お す ほ ど 強 い 勢 力 を 持 っ た 風 は 三 日 も 吹 き 続 け 雪 を 降 ら せ た り す る が、 勢 力 が 弱 い と 崎 が 防 風 柵 の よ う な 役 目 を し て そ の 先 に風は到達しなかったり、天候が大きく崩れることも少ない。 【写真 4 】 〈四〉   ヒアラシの予兆   ヒ ア ラ シ が 吹 く 予 兆 は、 大 気 内 で 発 生 す る 光 の 現 象 に 関 係 し て い る 内 容 が見受けられる。 写真 4 船木崎近景 高島市安曇川町南船木  平成 21 年 8 月 24 日撮影   「ヒアラシが吹く前は水平線が赤くなり、 」(事例六七) 、「西側の山の付近で夕陽のまわりに短い虹が付くことがあ る。太陽の片一方に付くと三日、両脇に付くと一週間、それぞれヒアラシが吹き続く」 (事例五六)とある。   事 例 四 九 も「 太 陽 の そ ば に で き る 短 い 虹、 カ シ ラ ガ シ が で き る と 二 〜 三 日 後 に は キ タ カ ゼ が 吹 き 天 候 が 荒 れ る 」 とあり、ヒアラシが吹く前には虹が発生することを伝えている。 〈五〉   ヒアラシの風位   ヒ ア ラ シ の 風 向 き は ム ラ ム ラ に よ っ て と ら え 方 が 異 な る。 事 例 を み る と、 キ タ カ ゼ( 事 例 四 九 マ キ ノ 町 )、 南 西 風(事例五三志賀町   事例五五大津市) 、南寄りの風(事例六〇   彦根市) 、西寄りの風(事例六五   木之本町)と ある。 J R 湖西線の沿線でも北側に位置するマキノ町ではキタカゼ、湖西線のほぼ中間付近にある志賀町やその南 側の大津市では南西風と捉えられる。一方、湖の東側に位置する彦根市では南寄りの風と認識されている。 ②   ナガセ 六九   七月ごろに東南の方角から吹く風をナガセという。この風は七日間吹く。朝に吹き日中に止み夕暮れ時に再 び吹き出す。    *高島郡マキノ町知内   中川金一郎さん   大正三年生まれ   ※ 59 七〇   ナガセは七月から旧盆の間に安曇川から以北で吹く。日暮れから翌朝にかけて吹く。    *高島郡マキノ町新保   平山次夫さん   昭和二五年生まれ   ※ 60

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  「ヒアラシが吹く前は水平線が赤くなり、 」(事例六七) 、「西側の山の付近で夕陽のまわりに短い虹が付くことがあ る。太陽の片一方に付くと三日、両脇に付くと一週間、それぞれヒアラシが吹き続く」 (事例五六)とある。   事 例 四 九 も「 太 陽 の そ ば に で き る 短 い 虹、 カ シ ラ ガ シ が で き る と 二 〜 三 日 後 に は キ タ カ ゼ が 吹 き 天 候 が 荒 れ る 」 とあり、ヒアラシが吹く前には虹が発生することを伝えている。 〈五〉   ヒアラシの風位   ヒ ア ラ シ の 風 向 き は ム ラ ム ラ に よ っ て と ら え 方 が 異 な る。 事 例 を み る と、 キ タ カ ゼ( 事 例 四 九 マ キ ノ 町 )、 南 西 風(事例五三志賀町   事例五五大津市) 、南寄りの風(事例六〇   彦根市) 、西寄りの風(事例六五   木之本町)と ある。 J R 湖西線の沿線でも北側に位置するマキノ町ではキタカゼ、湖西線のほぼ中間付近にある志賀町やその南 側の大津市では南西風と捉えられる。一方、湖の東側に位置する彦根市では南寄りの風と認識されている。 ②   ナガセ 六九   七月ごろに東南の方角から吹く風をナガセという。この風は七日間吹く。朝に吹き日中に止み夕暮れ時に再 び吹き出す。    *高島郡マキノ町知内   中川金一郎さん   大正三年生まれ   ※ 59 七〇   ナガセは七月から旧盆の間に安曇川から以北で吹く。日暮れから翌朝にかけて吹く。    *高島郡マキノ町新保   平山次夫さん   昭和二五年生まれ   ※ 60

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七一   ナガセは東寄りから吹く風の一つである。彦根や伊吹山一帯が吹き出し口である。この風が吹くときは浦に は魚がいない。 【地図 3 】    *高島郡今津町浜分   大釜俊弥さん   昭和八年生まれ 七二   六 月 か ら 八 月 に ナ ガ セ が 吹 く と 暑 く な る。 ナ ガ セ は 昼 止 み し、 晩 か ら 翌 朝 に か け て 吹 く。 「 ナ ガ セ ナ ヌ カ 」 とも言い、数日間吹くこともある。    *高島郡今津町南浜   田村喜代治さん    昭和八年生まれ   ※ 61 七三   東浅井郡びわ町南浜ではナガセは吹かない。    *東浅井郡びわ町南浜   蒲生律男さん   昭和六年生まれ   ※ 62 七四   ニシビカタという西寄りの風が強いほど、南寄りから吹きつける風も強くなる。この風をナガセノシリバリ という。    *伊香郡西浅井町塩津浜   熊谷善一郎さん   大正九年生まれ   ※ 63 七五   ナガセのヒルヤミ(昼止み)といい、ナガセは朝晩にきついが日中には風が収まる特徴がある。    *伊香郡西浅井町塩津浜   山路昇さん    大正一五年生まれ   ※ 64 七六   百姓は草取り時分に七七(ナナ)ナガセが吹くと虫がつかないからヨシナカ(葦中)やぞと言った。    *伊香郡西浅井町菅浦   須原佐近さん   大正一二年生まれ   ※ 65 七七   マスの漁期にはナガセが吹く。明け方に吹き出して日中には止んでしまう状態が一週間続く。潮の流れには 特に影響を及ぼさない。また、雨をつけるのがこの風の特徴で、とりわけ、台風が接近しているときはこの 風が吹きやすい。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ 七八   一(ヒト)ナガセは一週間にわたってナガセが吹くことを言う。七七(ナナ)ナガセとは、四九日間ナガセ が吹くことを言う。昼夜を問わず南寄りの風が吹いて波が起こる。     また、横井孫三郎家では大正時代から昭和七年にかけて養蚕を生業としていた。その際に塩津の問屋から桑 を購入していた。塩津への往復はコブネ(小舟)を使用した。とくに夏蚕の時期はナガセの吹く時分と重な り、塩津湾から藤ヶ崎に出るとナガセの吹き返しを避けるため一人は艫から櫓で舟の進路を操り、もう一人 は舟が浅瀬に乗り上げないように陸からロープで舟を引っ張り進行した。塩津から山梨子へ戻るのに二時間 かかった。    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 66 〈ナガセの特徴〉   ナ ガ セ は ナ ガ セ ナ ヌ カ と い う よ う に 一 週 間、 ナ ナ ナ ガ セ と い わ れ る よ う な 一 カ 月 以 上 に も 及 ん で 吹 く こ と も あ る。南から東寄りの風が吹き、とくに昼は吹かずに日の出日の入りのころや夜間に発生するのが特徴である。

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   *伊香郡西浅井町菅浦   須原佐近さん   大正一二年生まれ   ※ 65 七七   マスの漁期にはナガセが吹く。明け方に吹き出して日中には止んでしまう状態が一週間続く。潮の流れには 特に影響を及ぼさない。また、雨をつけるのがこの風の特徴で、とりわけ、台風が接近しているときはこの 風が吹きやすい。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ 七八   一(ヒト)ナガセは一週間にわたってナガセが吹くことを言う。七七(ナナ)ナガセとは、四九日間ナガセ が吹くことを言う。昼夜を問わず南寄りの風が吹いて波が起こる。     また、横井孫三郎家では大正時代から昭和七年にかけて養蚕を生業としていた。その際に塩津の問屋から桑 を購入していた。塩津への往復はコブネ(小舟)を使用した。とくに夏蚕の時期はナガセの吹く時分と重な り、塩津湾から藤ヶ崎に出るとナガセの吹き返しを避けるため一人は艫から櫓で舟の進路を操り、もう一人 は舟が浅瀬に乗り上げないように陸からロープで舟を引っ張り進行した。塩津から山梨子へ戻るのに二時間 かかった。    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 66 〈ナガセの特徴〉   ナ ガ セ は ナ ガ セ ナ ヌ カ と い う よ う に 一 週 間、 ナ ナ ナ ガ セ と い わ れ る よ う な 一 カ 月 以 上 に も 及 ん で 吹 く こ と も あ る。南から東寄りの風が吹き、とくに昼は吹かずに日の出日の入りのころや夜間に発生するのが特徴である。

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  さらに、事例七四にある「ナガセのシリバリ」や事例七八にあるようにナガセも吹き返しの性質を持つ強い風で ある。 ③   ユブキと台風 七九   ユブキカゼは今宿では北寄りの風に相当する。三月から八月にかけて吹く。    *滋賀郡志賀町今宿   綾正一郎さん   昭和二年生まれ   ※ 67 八〇   ユブキカゼの吹き出し口の幅は広くなく、七月ごろに姉川から尾上付近の間から吹き出す。 【地図 3 】    *東浅井郡湖北町尾上   松岡正一さん   昭和二年生まれ   ※ 68 八一   ユブキは南東の方角から吹く東寄りの風である。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ 八二   ユブキは春の雨降り前に吹く。    *彦根市薩摩町   山本佐太郎さん   大正一三年生まれ   ※ 69 八三   ユブキは七月下旬から九月末にかけて吹く南寄りの風の一つである。強く吹きつけることが多い風だが、吹 いている時間は短い。船木崎から海津大崎にかけて吹く。風が強いときは海津大崎を舟で回り込むことがで きない。弱いときは船木崎よりも南側で吹く。 【地図 3 】    *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清一さん   昭和一六年生まれ 八四   雨の降る前はユブキ(北風)が吹く。    *大津市本堅田   小西益夫さん   昭和一〇年生まれ   ※ 70 八五   伊吹山から吹き下ろす風をユブキという。この風の後には雨が降ることが多い。    *彦根市八坂町   森忠助さん   大正七年生まれ   ※ 71 八六   雨降りのときは堅田ではユブキが吹く。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   ※ 72 八七   台風が通過したあと、強いカエシの風が吹く。その風は尾上の方角から吹いてくる。浜分では太平洋側で雨 が多い場合、彦根や伊吹山地から吹き出す強いヒガシカゼを受けることが多い。一方、日本海側で雨が多い 場合には南東の方角から吹き出す。台風によってはユブキが発生する場合もある。    *高島郡今津町浜分   大釜俊弥さん   昭和八年生まれ 八八   台 風( 本 体 の 雲 ) が 来 る 前 に は タ ツ ミ カ ゼ( ユ ブ キ ) が 吹 く が、 波 は 南 寄 り( 竹 生 島 方 面 ) か ら 大 き く な る。 波 は ナ ミ ガ シ ラ( 波 頭 ) を 蹴 り 水 し ぶ き と な っ て 飯 浦 へ 流 れ 込 む。 ( 南 寄 り か ら の ) 波 が 起 こ っ て い る 間に北のカエシ(返し風)が吹きはじめる。北のカエシが吹きはじめると波も収まってくる。

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   *伊香郡西浅井町大浦   柳谷清一さん   昭和一六年生まれ 八四   雨の降る前はユブキ(北風)が吹く。    *大津市本堅田   小西益夫さん   昭和一〇年生まれ   ※ 70 八五   伊吹山から吹き下ろす風をユブキという。この風の後には雨が降ることが多い。    *彦根市八坂町   森忠助さん   大正七年生まれ   ※ 71 八六   雨降りのときは堅田ではユブキが吹く。    *大津市本堅田   藤田恒夫さん   昭和四年生まれ   ※ 72 八七   台風が通過したあと、強いカエシの風が吹く。その風は尾上の方角から吹いてくる。浜分では太平洋側で雨 が多い場合、彦根や伊吹山地から吹き出す強いヒガシカゼを受けることが多い。一方、日本海側で雨が多い 場合には南東の方角から吹き出す。台風によってはユブキが発生する場合もある。    *高島郡今津町浜分   大釜俊弥さん   昭和八年生まれ 八八   台 風( 本 体 の 雲 ) が 来 る 前 に は タ ツ ミ カ ゼ( ユ ブ キ ) が 吹 く が、 波 は 南 寄 り( 竹 生 島 方 面 ) か ら 大 き く な る。 波 は ナ ミ ガ シ ラ( 波 頭 ) を 蹴 り 水 し ぶ き と な っ て 飯 浦 へ 流 れ 込 む。 ( 南 寄 り か ら の ) 波 が 起 こ っ て い る 間に北のカエシ(返し風)が吹きはじめる。北のカエシが吹きはじめると波も収まってくる。

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   *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 73 八九   ミナミカゼは尾上、片山付近から吹き出す風である。とくに台風が接近しているときに起こる。    *伊香郡西浅井町菅浦   東来正義さん   昭和七年生まれ 九〇   台風のときはミナミカゼが一週間続く。    *伊香郡西浅井町塩津浜   山路昇さん   大正一五年生まれ   ※ 74 九一   台風のときはユブキオロシになる。ウミ(琵琶湖)が荒れることはない。    *坂田郡米原町朝妻   溝口昇さん   昭和元年生まれ   ※ 75 九二   台風の際にヒガシカゼが吹くと吹き返しがある。    *彦根市八坂町   森忠助さん   大正七年生まれ   ※ 76 九三   台風のときはイブキが吹く。東寄りから南寄りへさらに西寄りの風が吹き返す。波は南寄りから起こってい ても風はすでに西寄りに変わっている。    *高島郡安曇川町南船木   八木勝さん   昭和六年生まれ   ※ 77 九四   速度の速い台風からの強い吹き返しをタツミイブキという    *伊香郡西浅井町塩津浜   熊谷善一郎さん   大正九年生まれ   ※ 78 九五   太 平 洋 側 を 通 過 す る 台 風 は キ タ カ ゼ の 大 風 が 吹 く。 吹 き 返 し の 風 の 方が強い。    *東浅井郡びわ町南浜   川瀬義隆さん   昭和五年生まれ   ※ 79 九六   塩 津 浜 は 台 風 の カ エ シ 風( キ タ カ ゼ ) が 強 い が、 月 出 で は さ ほ ど 強 く当たらない。    *伊香郡西浅井町月出   松田佐一さん   大正三年生まれ   ※ 80 〈ユブキの特徴〉   ユ ブ キ は 降 雨 の 前 後 に 吹 く 風 で あ る。 ま た、 こ の 風 の 吹 き 出 し 口 が 姉 川 〜尾上付近の間(事例八〇)であることや伊吹山から吹き下ろす風(事例八五)とされていることから、 「ユブキ」 という呼称は「伊吹」の転訛であることは明らかで、この風が伊吹山とその周辺の山々の影響を受けて発生した風 であると考えられる。 【写真 5 】 〈台風の吹き返し〉   琵 琶 湖 に 吹 く 風 は 局 地 風 で あ り、 台 風 は 全 国 的 に 影 響 を 与 え る 点 で 対 極 的 な 関 係 で あ る。 台 風 も 冬 の 季 節 風 も、 カ エ シ( 返 し ) の 風 を 伴 う 風 の 代 表 格 と も い え る が、 台 風 の 進 路 に よ っ て そ の 吹 き 方 は 異 な る( 事 例 八 七 )。 事 例 写真 5 伊吹山 東浅井郡びわ町南浜  平成 13 年 2 月 25 日撮影

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   *伊香郡西浅井町塩津浜   熊谷善一郎さん   大正九年生まれ   ※ 78 九五   太 平 洋 側 を 通 過 す る 台 風 は キ タ カ ゼ の 大 風 が 吹 く。 吹 き 返 し の 風 の 方が強い。    *東浅井郡びわ町南浜   川瀬義隆さん   昭和五年生まれ   ※ 79 九六   塩 津 浜 は 台 風 の カ エ シ 風( キ タ カ ゼ ) が 強 い が、 月 出 で は さ ほ ど 強 く当たらない。    *伊香郡西浅井町月出   松田佐一さん   大正三年生まれ   ※ 80 〈ユブキの特徴〉   ユ ブ キ は 降 雨 の 前 後 に 吹 く 風 で あ る。 ま た、 こ の 風 の 吹 き 出 し 口 が 姉 川 〜尾上付近の間(事例八〇)であることや伊吹山から吹き下ろす風(事例八五)とされていることから、 「ユブキ」 という呼称は「伊吹」の転訛であることは明らかで、この風が伊吹山とその周辺の山々の影響を受けて発生した風 であると考えられる。 【写真 5 】 〈台風の吹き返し〉   琵 琶 湖 に 吹 く 風 は 局 地 風 で あ り、 台 風 は 全 国 的 に 影 響 を 与 え る 点 で 対 極 的 な 関 係 で あ る。 台 風 も 冬 の 季 節 風 も、 カ エ シ( 返 し ) の 風 を 伴 う 風 の 代 表 格 と も い え る が、 台 風 の 進 路 に よ っ て そ の 吹 き 方 は 異 な る( 事 例 八 七 )。 事 例 写真 5 伊吹山 東浅井郡びわ町南浜  平成 13 年 2 月 25 日撮影

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八七〜九六は台風に関する事例を挙げている。台風が接近するときは南東寄りからユブキが吹く。 【写真 6 〜 9 】 ④   イバ 九七   「イバの三日目」といい、イバビアラシ(弱いミナミカゼ)が続いた後に雪が降る。    *伊香郡木之本町山梨子   横井孫三郎さん   大正四年生まれ   ※ 81 九八   「イ バ( 伊 庭 ) の 七 日 荒 れ 」 と い い、 南 東 の 方 位 か ら ミ ナ ミ が 吹 き、 そ の 後 風 向 き が キ タ カ ゼ に 返 す。 返 し によるキタカゼは強い。    * 伊 香 郡 西 浅 井 町 菅 浦   東 来 正 義 さ ん   昭 和 七 年 生 まれ 九九   東 寄 り の 風 が 吹 く こ と を イ バ が 下 り る と い う。 冬 場 に イ バ が 下 り る と き は ボ タ モ チ ユ キ が 降 る( ニ シ カ ゼ の 吹 き 返 し が 多 い) 。    * 高 島 郡 今 津 町 南 浜   田 村 写真 6 台風 18 号接近中の伊香郡西浅井町月出 尾上方面を望む 平成 11 年 9 月 24 日午前撮影 写真 7 台風 18 号通過中の月出地区付近  木之本~高月方面を望む 平成 11 年 9 月 24 日 14 時 30 分撮影 喜 代 治 さ ん   昭 和 八 年 生 まれ   ※ 82 一〇〇   「イ バ の 三 日 目 は 山 を も 飛 ば す 」 と い い、 東 寄 り の 強 い 風 が 三 日 も 続 く と、 シ オ の 流 れ は き つ く な る。 こ の 風 が 秋 以 降 は 北 に 返 し、 海 津 大 崎 か ら 吹 き つ け て くる。    * 高 島 市 安 曇 川 町 北 船 木   橋本武さん   昭和一五年生まれ 一〇一   イバの七日荒れという。イバゲとは雨の降る前のケシキをいう。チュウビキ漁はできる。    * 大津市本堅田   今井政治さん   昭和二四年生まれ 一〇二   イバは南東寄りの方角から吹き出す風である。イバが下りると降雨が発生し、アラシになる。このアラシ は「 イ バ の カ エ シ 」 と も 言 い、 吹 き 出 し 口 が 南 東 寄 り か ら 北 西 寄 り に 変 わ る。 カ エ シ 風 が 発 生 す る と き、 写真 8 台風通過後の月出地区 平成 11 年 9 月 24 日 17 時 30 分撮影 写真 9 長命寺方面にでた夕立雲。この日、夕 立はなかった。 堀切港(近江八幡市白王町) 平成 13 年 8 月 3 日 17 時 06 分撮影

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喜 代 治 さ ん   昭 和 八 年 生 まれ   ※ 82 一〇〇   「イ バ の 三 日 目 は 山 を も 飛 ば す 」 と い い、 東 寄 り の 強 い 風 が 三 日 も 続 く と、 シ オ の 流 れ は き つ く な る。 こ の 風 が 秋 以 降 は 北 に 返 し、 海 津 大 崎 か ら 吹 き つ け て くる。    * 高 島 市 安 曇 川 町 北 船 木   橋本武さん   昭和一五年生まれ 一〇一   イバの七日荒れという。イバゲとは雨の降る前のケシキをいう。チュウビキ漁はできる。    * 大津市本堅田   今井政治さん   昭和二四年生まれ 一〇二   イバは南東寄りの方角から吹き出す風である。イバが下りると降雨が発生し、アラシになる。このアラシ は「 イ バ の カ エ シ 」 と も 言 い、 吹 き 出 し 口 が 南 東 寄 り か ら 北 西 寄 り に 変 わ る。 カ エ シ 風 が 発 生 す る と き、 写真 8 台風通過後の月出地区 平成 11 年 9 月 24 日 17 時 30 分撮影 写真 9 長命寺方面にでた夕立雲。この日、夕 立はなかった。 堀切港(近江八幡市白王町) 平成 13 年 8 月 3 日 17 時 06 分撮影

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