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Plasma N-Terminal Pro-Brain Natriuretic Peptide Levels Identifying Left Ventricular Diastolic Dysfunction in Patients With Preserved Ejection Fraction(左室拡張機能障害診断におけるNT-proBNP測定の有用性)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学)

学 位 記 番 号 第 1032 号

氏 名 園田 浩生

授 与 年 月 日 平成 26 年 3 月 25 日

学位論文の題名

Plasma N-Terminal Pro-Brain Natriuretic Peptide Levels Identifying Left Ventricular Diastolic Dysfunction in Patients With Preserved Ejection Fraction

(左室拡張機能障害診断における NT-proBNP 測定の有用性)

Circulation J 2012;76:2599-2605

論文審査担当者 主査: 三島 晃

(2)

論 文 内 容 の 要 旨 【背景】 左室拡張障害は、たとえ無症状であっても、その後心不全への進展や生存率低下に関係すること が知られている。そのため明らかな心不全症状がない場合においても、早期に左室拡張障害を診 断することにより病態悪化を予防できる可能性がある。しかし左室拡張機能の精密な評価には侵 襲的な心臓カテーテル検査が必須である。血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N 端フラグメ ント(NT-proBNP)濃度は、左室拡張機能を反映することが知られており、簡便かつ非侵襲的に 測定できる。以上から、心不全歴のない左室収縮機能の維持された(左室駆出率;LVEF 50%) 症例において、NT-proBNP 値測定により、左室拡張機能障害の評価が可能であるかを検証した。 【方法】 冠動脈疾患を疑い心臓カテーテル検査およびNT-proBNP 濃度測定を施行しえた連続 115 例のうち、 心不全歴がなく、LVEF 50%の 98 例を対象とした。腎機能障害(血清クレアチニン ≥1.5mg/dl)、 心房粗細動、人工ペースメーカー植え込み術後、中等度以上の弁膜症、人工弁置換術後、心筋症、 急性冠症候群の患者を除外した。左室圧はカテ先マノメーターで測定し、左室圧下降脚に指数関 数近似を適用して左室弛緩時定数(τ)を求めた。収縮末期左室駆出血流の慣性力(inertia force: IF) は、左室圧とその時間微分(dP/dt)の関係から計算した。対象者を弛緩正常群(τ <48 ms)と弛 緩障害群(τ ≥48 ms)の 2 群、さらに慣性力保有群(IF ≥0.5 mm Hg)と慣性力消失群(IF <0.5 mm Hg)の 2 群に分類した。本検討では、左室拡張障害を左室弛緩障害および IF 消失の視点から捉え、 特定のNT-proBNP 濃度でそれらを検出し得るか否かを検討した。 【結果】 弛緩正常群と障害群間で、年齢、性別、平均血圧には有意差を認めなかった。弛緩障害群では、 LVEF 50%の範囲内でLVEFは有意に低く、左室拡張末期圧(LVEDP)は有意に高値であった。左 室収縮機能が維持されているとはいえ、弛緩障害群には相対的な収縮機能低下が認められた。 NT-proBNP濃度は弛緩障害群で正常弛緩群に比べ有意に高値であった(155.0 [IQR 102.5–395.5] vs. 55.0 [IQR 39.0–118.5] pg/ml; P<0.001)。IF消失群はIF保有群に比べ、τは有意に延長しており、LVEDP は有意に高く、LVEF 50%の範囲内における相対的なLVEF低下を認めた。NT-proBNPはIF保有群 に比べIF消失群で有意に高値であった(322.5 [IQR 145.8–758.0] vs. 79.5 [IQR 43.5–134.0] pg/ml; P<0.001)。ROC曲線分析において、NT-proBNP <56.5 pg/mlを用い正常左室弛緩群を高感度で検出 できた(AUC=0.84, 95% CI 0.76–0.91, P<0.001;感度100%、特異度52.5%、陽性的中率56.1%、陰性 的中率100%)。一方、NT-proBNP 244.5を用いてIF消失を高特異度で同定することができた (AUC=0.89, 95% CI 0.82–0.97, P<0.001;感度62.5%、特異度93.9%、陽性的中率66.7%、陰性的中 率92.8%)。 【考察】 左室拡張機能障害を識別するためのNT-proBNP 濃度閾値に関する報告は限られており、観血的に 得られたτ や IF との関連での検討はない。IF を有する群は、LVEF 50%という範疇の中でも LVEF の相対的に高い群であり、そのような例では良好な左室収縮機能が左室拡張機能を保持する方向 に作用する。従ってIF 保有群では IF 消失群に比べ心不全を来たし難い。一方、LVEF 50%であ るがIF を消失すれば左室拡張機能が低下し、左室収縮機能の維持された心不全の原因と成り得る。 今回の検討では、正常左室拡張機能を欧州心臓病学会の基準に準じ左室弛緩時定数τ <48 ms とし、 我々の先行研究の結果からIF 消失を左室拡張機能障害有りのサロゲートとして、NT-proBNP 濃度 を用いて左室拡張機能を非観血的に予測することを試みた。今回得られた正常左室拡張機能を示

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すNT-proBNP <56.5 pg/ml は既報の日本人における健常者 NT-proBNP 濃度と極めて近似し、左室 拡張機能障害有りを示す NT-proBNP 244.5pg/ml は、欧州心臓病学会の提唱する左室収縮機能の 維持された心不全を検出するNT-proBNP 閾値と類似であった。 【結論】 心不全歴のない左室収縮機能の維持された冠動脈疾患者において、NT-proBNP <56.5 pg/ml で正常 左室拡張機能を高感度で診断でき、NT-proBNP ≥244.5 pg/ml を用いて拡張機能障害を高特異度で 診断できる。

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論文審査の結果の要旨 【背景】左室拡張障害は心不全への進展や生存率低下に関係するので、早期に左室拡張障害を診断す ると病態悪化を予防できる可能性がある。血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメン ト(NT-proBNP)濃度は、左室拡張機能を反映し簡便かつ非侵襲的に測定できる。左室収縮機能の維 持された症例において、NT-proBNP 値を測定し左室拡張機能障害の評価が可能であるかを検証した。 【方法】心臓カテーテル検査とNT-proBNP 濃度測定を行った連続 115 例のうち、LVEF 50%の 98 例 を対象とした。腎機能障害、心房粗細動、人工ペースメーカー植え込み術後、中等度以上の弁膜症、 人工弁置換術後、心筋症、急性冠症候群の患者を除外した。左室圧を直接測定し左室弛緩時定数 (τ)を求め、収縮末期左室駆出血流の慣性力(inertia force: IF)は、左室圧とその時間微分(dP/dt) から計算した。対象者を弛緩正常群(τ <48 ms)と弛緩障害群(τ ≥48 ms)に、さらに慣性力保有群 (IF ≥0.5 mm Hg)と慣性力消失群(IF <0.5 mm Hg)に分類した。左室拡張障害を τ の延長と IF 消失 の視点から捉え、NT-proBNP 濃度で検出し得るか否かを重回帰分析と ROC 曲線分析で検討した。 【結果】弛緩正常群と障害群間で、年齢、性別、平均血圧には有意差を認めなかった。弛緩障害群で は弛緩正常群に比し、LVEF は有意に低く、左室拡張末期圧(LVEDP)は有意に高く、NT-proBNP 濃 度は有意に高値であった(P<0.001)。IF 消失群は IF 保有群に比べ、τ は有意に延長し、LVEDP は有 意に高く、NT-proBNP は有意に高値であった(P<0.001)。ROC 曲線分析において、NT-proBNP <56.5 pg/ml を用い正常左室弛緩群を高感度で検出できた(AUC=0.84, P<0.001;感度 100%)。NT-proBNP 244.5 を用い IF 消失を高特異度で同定できた(AUC=0.89, P<0.001;特異度 93.9%)。 【考察】左室拡張機能障害を識別する NT-proBNP 濃度閾値の報告は少なく、τ や IF との関連は検討 されていない。IF を有する群は LVEF の相対的に高い群であり、良好な左室収縮機能が左室拡張機能 を保持するので、IF の無い群に比し心不全を来たし難い。今回得られた正常左室拡張機能を示す NT-proBNP <56.5 pg/ml は既報の日本人における健常者 NT-NT-proBNP 濃度と極めて近似し、左室拡張機能障 害を示唆する NT-proBNP 244.5pg/ml は、欧州心臓病学会の提唱する左室収縮機能の維持された心不 全を検出するNT-proBNP 閾値と齟齬は無かった。 【結論】左室収縮機能の維持された冠動脈疾患者において、NT-proBNP <56.5 pg/ml で正常左室拡張 機能を高感度で診断でき、NT-proBNP ≥244.5 pg/ml を用いて拡張機能障害を高特異度で診断できる。 【審査の内容】以上の論文内容をもとに第Ⅰ副査の早野教授から、1)研究対象の除外疾患を決めた 理由と根拠は? 2)重回帰分析モデルの目的は? など 8 項目の質問が、主査の三島から、1)弛緩時定 数と慣性力の関連と相違は? 2)βブロッカー投与の判断根拠は?など 10 項目の質問があった。第Ⅱ副査 の大手教授からは、1)LVEF に基づく心不全の治療戦略は? 2)高血圧治療におけるβブロッカーの位置 づけは? など専門領域に関する 2 項目の質問があった。学位申請者はこれらの質問に概ね満足ので きる回答を行い、学位論文の趣旨を理解し大学院修了者に相応しい学力を備えていると考えられ た。本研究は、簡便に測定できるNT-proBNP によって左心室機能と心不全の程度を診断できること を示したもので、今後心機能の評価と心不全の治療に大きく寄与することが期待される。よって 申請者には博士(医学)の学位を授与するに値すると審査委員会は判定した。 論文審査担当者 主査 三島 晃 教授 副査 早野 順一郎 教授・大手 信之 教授

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