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全国学力・学習状況調査「算数A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善 : 第1学年「濃度」の指導に注目して

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(1)Title. 全国学力・学習状況調査「算数A問題」の結果を踏まえた中学校理科の 授業改善 : 第1学年「濃度」の指導に注目して. Author(s). 森, 健一郎. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(2): 191-200. Issue Date. 2015-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7698. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 2号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 5,N O . 2. 平成 2 7年 2 月. 0 1 5 February,2. 全国学力・学習状況調査「算数 A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善 第 1学年「濃度」の指導に注目して. 健一郎. 森. 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻(釧│路担当). TheL e s s o nImprovementStudyBasedon“N a t i o n a lAssessmento fAcademic A b i l i t yandS t u d y " ThroughL e s s o n so faJ u n i o rHighS c h o o lS c i e n c eU n i ton“Concent r at i o n ". MORIK e n i c h i r o HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o nAdvancedTeacherP r o f e s s i o n a lD e v e l o p r n e n tP r o g r a r n. 概要 本研究は,世界的に広く提唱されている 1 2 1世紀型能力」を学校現場においての具体的な実 践につなげるための研究として位置づけられるものである。研究の基本データとして, 2009年. 0 1 2年度の全国学力・学習状況調査(中学校理科) 度の全国学力・学習状況調査(小学校算数), 2 の調査結果を用いた。それらを比較し,かつ,対象となった時期に使用されていた教科書など を検討した結果,以下の 2点が明らかとなった。 1)百分率を正しく求められる生徒の割合は, 2009年度の小学校第 6学年(対象教科は算数). では 57.1%,その 3年後,同じ集団が中学校第 3学年(対象教科は理科)になった時点では. 52.0%であった。 2)中学校理科の教科書に見られる濃度の記述は,少なくとも 30年前から変化が見られない。. これらの結果から,中学校理科教科書においても,基準量や比較量という観点から濃度を扱 う必要があることが示唆された。. 序 論 ( 1 ) 研究テーマ 2012年度 1 )に実施された全国学力・学習状況調査(中学校理科)は,第 3学年の生徒を対象に 4月段階で. 実施されたものである。その中の濃度に関する問題は,第 1学年で学習する内容であるものの,正解率が公. 1 9 1.

(3) 森. 健一郎. 立校については 49.8%であった(無回答率は 18.8%)2)。このときの問題は,「濃度 10%の食塩水 1 0 0 0gをつ. 0 0 g,水 9 0 0 g )J というもので,出題の趣旨は「特 くるために必要な食塩と水の質量を求める(正答は食塩 1 定の質量パーセント濃度の水溶液をつくる技能が身に付いているかどうかを見る」であった。「技能が身に 付いているかどうか」という記述であるが,ここで言うところの「技能」は,「基準量や比較量をもとにし て百分率を求める」という基本的な知識も含んでいるものと判断できる。この全国学力・学習状況調査では, 模範解答だけではなく,誤答も含め,予想される解答類型がルーブリックの形式で予め示される。この問題 については,表 1のような解答類型が示されていた。公開されている分析結果によると,正答の次に多かっ た類型は '9 上記以外の解答」であり,「食塩 1 0 g,水 1 0 0 g J,'食塩 5 0 0 g,水 5 0 0 g J,'食塩 9 0 0 g,水 1 0 0 g J,. 0g,水 9 1 0 g J などの解答であった。これらを解答した生徒については,「質量パーセント濃度につ 「食塩 9 いての知識と技能を身に付けていないことが考えられる」としている。. 濃度 10%の食塩水 1 0 0 0 9をつくるために必要な食塩と水の質量を求める」問題の 表1 r 解答類型(国立教育政策研究所のホームページより引用). 解答類型. 期題番号. τ. 百. 覇 空 番 号. 食塩の質量. 水の質量. 100. と解答しているもの。. 100. と 解 答 し て い る も の 。 : 1000. 10. と解答しているもの窃. 10. と 解 答 し て い る も の 。 : 90. 91. と解答しているもの包. :900. :990. i909. と解答しているもの。 と解答しているもの。. I2. と解答しているもの。. I3. と解答しているものロ. I4. と解答しているもの。. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -T-ーーーーーーーーーーーーー. 100. と解答しているもの。. 1@. r-~ ー』ーーーーーー. '900,1000 以外を解答しているもの。 I6 1 ・無解答. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-.-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』ーーーーーー. '100 以外を解答しているもの。 喰無解答. ;900. と解答しているもの。. m. g. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー"-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』ーーーーーー. 上記以外の解答. 9. 。. 然解答. 濃度に関する内容としては,同じ集団が小学校第 6学年だった時期 ( 2 0 0 9年度)の 4月に行われた全国 学力・学習状況調査において,人数の百分率を求める問題として出題されている。このときの問題は, ' 2 0 0 人のうち 8 0人が女子のとき,女子の人数の割合は全体の何%なのか選択肢 (10.4%,2 2.5%, 3 40%,. 4 80%) から選ぶ(正答は 3 40%)J というもので,出題の趣旨は「百分率を求めることができるかどう かを見ること」であった。この趣旨を,実際の指導に即した具体的な記述にすると,「何が比較量で,何が 基準量であるかを適切に判断し, (比較量). 7. (基準量)で立式することができる」と表現できる 3)。この. 問題については,表 2のような解答類型が示されていた。公開されている分析結果によると,正答の次に 多かった類型は '2 2.5%J であり, '200780=2 .5 J として '2.5%J を選択したと判断されている。そ の次に多かった類型は '1 0.4%J であり,「8 0で 2 0 0=0 . 4 J として '0.4%J を選択したと判断されてい る 。. 192.

(4) 全国学力・学習状況調査「算数 A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善. 表2 ' 2 0 0人のうち 8 0人が、女子のとき,女子の人数の割合は全体の何%なのかを求める」. 問題の解答類型および反応率(国立教育政策研究所のホームページより引用). 解答類型. 問題番号. 回. 1 I 1 と解答しているもの 2 I 2 と解答しているもの. 反応率. ( % ) I 11 .2 I 22.6. _~_L~__~~号竺~ -Cv '主ちIJ)一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ーし 4 I 4 と解答しているもの 9 I上 記 以 外 の 僻. oI 無解答. │豆答. 6 . 9. [~~}] │. 中学校理科教科書の濃度に関する記述は,「以下の式で求めることができる」といった文章の後に,公式 の形で記述されており,これはどの出版社も同様の傾向である。したがって,これ以上の詳しい説明や授業 展開がなされるかどうかは,教科書ではなく,教師による生徒の現状把握の度合いに左右される。濃度の計 算自体は小学校第 5学年で学習するため,中学校理科教育の実践研究において,濃度などの計算の指導法に ついての検討はほとんど見られない。例えば,現行の中学校理科教科書の教師用指導書4)では,濃度に関す る箇所に「濃度の計算をする意味を最初に示すとよい」という記述と「濃度の計算ができるようになるには, ある程度の練習をさせる必要がある」との記述があるが,立式に困難がある生徒への指導については触れら れていない。 本稿において,全国学力・学習状況調査の結果を参考にして,濃度の指導法について検討することは,国 立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) が示した,知識・技能の学習と結びっくべき資質・能力の各要素のうちの「基礎 力」を確実なものにすることに貢献できると考える。「知識・技能の学習と結びつくべき資質・能力」は, いわゆる ' 2 1世紀型能力」と呼ばれているものである。この ' 2 1世紀型能力」は,海外の教育動向を由来と するものであるが,国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) によって整理され,「「生きる力」としての知・徳・体を構 成する資質・能力から,教科・領域横断的に学習することが求められる能力を資質・能力として抽出し,こ れまで日本の学校教育が培ってきた資質・能力を踏まえつつ,それらを「基礎J '思考 J '実践」の観点で再. 2 1世紀型能力」は,「基礎 構成した日本型資質・能力の枠組みである。」と定義されている。そして,この ' 力 J,'思考力 J,'実践力」の 3つの資質・能力から構成されるものとして図示されている(図 1)。これら. 図1 ' 2 1世紀型能力 J (国立教育政策研究所, 2 0 1 3 ). 1 9 3.

(5) 森. 健一郎. 3つの資質・能力は,「さらに検討を進める」という条件付きではあるが,さらにいくつかの下位要素に分 けられる。「基礎力」の下位要素としては,「言語スキル j,1数量スキル j,1情報スキル」が例示されている。 「思考力」の下位要素としては,「問題解決・発見力・創造力 j, 1論理的・批判的思考力 j, 1メタ認知・適 応的学習力」が例示されている。「実践力」の下位要素としては,「自律的活動力 j, 1人間関係形成力 j, 1社 会参画力 j, 1持続可能な未来への責任」が例示されている。. ( 2 ) 研究の意義・必要性・重要性. 近年,先進諸国の教育の目標には,内容の定着に加えて,教科横断的な資質・能力を明確に定義したもの が見られるようになってきた。先進諸国の教育の目標について論じる際, OECDの「コンピテンシー」お よび「キー・コンピテンシー」が重要なものとして挙げられる。「コンピテンシー」とは,「単なる知識や技 能だけではなく,技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して,特定の文脈の中で複雑な 要求(課題)に対応することができる力(中央教育審議会資料) j とされている。この「コンピテンシー」 をさらに焦点化したものが「キー・コンピテンシー」であり,これは,「コンピテンシーの中で,特に,① 人生の成功や社会の発展にとって有益,②さまざまな文脈の中でも重要な要求(課題)に対応するために必 要,③特定の専門家ではなくすべての個人にとって重要,といった'性質を持つとして選択されたもの(中央. jである。もう一つの重要なものとして, ACT21Sプロジ、エクトが提唱している 1 2 1世 教育審議会資料) 紀型スキル」が挙げられる。これは,主にアメリカの 1T関連の企業が提唱して国際プロジ、エクトとして研 究されているものであり,世界規模で進む大きな変化に対応できる子どもの育成を目的としている。学習指 導要領の改訂もそのような動きを反映したものになると考えられる。本研究は,学習指導要領に示される原 理・理念を学校現場の授業で実践・実行することに寄与すると考える。. ( 3 ) 本研究の周辺. これからの社会で求められる資質・能力,いわゆる 1 2 1世紀型能力」については,国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) が,知識・技能の学習と結びっくべき資質・能力を「基礎力 j,1実践力 j,1思考力」という 3つのカテゴリー で整理している。このうちの「基礎力」は,「言語スキル j, 1数量スキル j, 1情報スキル」の下位要素から 構成されている(国立教育政策研究所, 2 0 1 3 )。ただし,これら 3つの下位要素は,今後検討を要するもの とされており,必ずしも確定したものではない。本稿で取り上げた百分率に関して,その計算の考え方を身 に付けたり,活用することは,「数量スキル」を身に付けることを意味すると思われる。実際に出題された ときの形態 5)を見ても,「数量スキル」を身に付けているかどうかを評価するものとなっている。 国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) が示した 1 2 1世紀型能力」の各要素,すなわち「基礎力 j, 1 実践力 j,1 思考 力」については,認識されつつあり,このような「教科・領域横断的に学習するカリキュラム」の重要性も. 1世紀型の学力を身に付けていく子供の 周知されつつある。例えば,北海道教育大学附属函館小学校は,「2 育成」を目標に掲げ,「アクテイブ・ラーニング」に取り組んでいる。課題解決型の学習を軸に,その過程 を「開始期 j 1展開期 j. 1まとめ期」の. 3つに分類し,各段階では教師が学びと支援の連続性を図りながら自. 0 1 4 . 9 . 2 2 )。また,埼玉県教育委員会は,児童・生徒 主的・主体的な子どもを育てている(日本教育新聞, 2 の2 1世紀型スキルの育成を目的として, 2 0 1 2年度から,東京大学が設立した大学発教育支援コンソーシアム 推進機構 (C0REF) とインテル株式会社と連携した新たな教員研修プログラムをスタートさせている。. I n t e lTeachj と,児童・生徒が互いに 同研修会は,児童・生徒が自ら考える思考支援型の授業を目指す '. 0 1 3 . 1 . 1 4 )。 学びを深め合う協調学習の手法を組み合わせて構築されている(日本教育新聞, 2 ただし,これらはいわば先駆的な取組であり,大部分の学校にとって,「教科・領域横断的に学習するカ. 1 9 4.

(6) 全国学力・学習状況調査「算数 A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善. リキュラム」は「原理・理念」の段階であると思われる。その理由のーっとして,文部科学省や国立教育政 策研究所から示された資料は,現時点では参考資料であるため,学習指導要領のようにすべての学校に周知 されているわけではないことが挙げられる。公開されている資料も,現時点では概念の説明・整理といった 方向で、つくられているものがほとんどである。もう一つは,参考資料という性格から概念的な記述が主であ るため,具体的な指導内容と結びつけたイメージを現場教員が持ちにくいことである。カリキユラムを考え る以上,資質・能力と同時に内容も考慮しなければならないことを考えると,現時点では「実践・実行とし てのカリキュラム」になる段階ではなく,その準備段階ということになる。. ( 4 ) 本研究の目的. 2 0 1 4 年 9月)で,いわば「原理・理念としてのカリキュラム」として示されている ' 2 1 本研究は,現段階 (. 世紀型能力」を「実践・実行としてのカリキュラム」にするための研究の一つである。国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) においても, ,(前略)指導と評価の一体化を,全国学力・学習状況調査や国際到達度テストなどと. 連携して実施・分析できるようになって初めて,信頼性のあるエビデンスの上で教育の効果を検討すること が可能になる」との指摘がなされている。全国学力・学習状況調査の結果に関しては,国語・数学・理科と いった教科の枠内で議論されても,例えば「数学と理科」といった相互の関連を検討することは,特に教科 担任制の中学校ではなされていないと思われる。「実践・実行」といった視点に立っと,指導の方法を検討 することになり,それは評価の在り方を検討することにもつながる。いわゆる「指導と評価の一体イ七」であ る。前出の資料でも, ,(前略)指導と評価の一体化,および,それらと学習到達度調査の常時連携・一体解 釈が可能になれば,質保証の問題も含め,新しい評価の在り方を考える必要が出てくる」との指摘がなされ ている。 さらに,国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) が示した,「2 1世紀型能力」の下位要素の一つである「基礎力」を 2 1世紀型能 確実なものにすることに貢献できると考える。現時点では,これら「基礎力」をはじめとする '. 力」の下位要素は,現時点ではその内容が確定したものではなく,検討が進められている段階である。その ため,具体的にどのような事項をどう指導すべきなのかの議論は現時点ではあまり見られない。今後,この ' 2 1世紀型能力」を中心として,学習指導要領をはじめ各教科のカリキュラムが論じられることになると思 9 9 9 年 1月から 2014年 9月までの記事で ' 2 1世紀型能力」 われる。日本教育新聞社記事検索データベースで, 1. の語句を含んだ記事数を検索したところ, 1 9 9 9年から 2 0 0 8 年までは ' 2 1世紀型能力」の語句を含んだ記事は 見られず, 2009年は 4本 , 2010年は 2本 , 2 0 1 1年は 4本 , 2 0 1 2年は 2本 , 2 0 1 3年は 3本であった。そして, 2014年は 1月から 9月までの 9ヶ月で既に 5本となっている。. 2 方 法 研究のための基礎データとして, 2009年度全国学力・学習状況調査(小学校算数人 2 0 1 2年度全国学力・ 学習状況調査(中学校理科)の調査結果を国立教育政策研究所のホームページからダウンロードして収集し た。国立教育政策研究所のホームページでは, 2 0 0 7年度からの全国学力・学習状況調査の調査問題,正答例, 解説資料,報告書,集計結果などが公開されている。これらの公開資料のうち,報告書においては,各設問 の正答率の他,各設問の正解と誤答の関係がクロス集計された形で公開されており,目的に応じた活用が可 能となっている。さらに,全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた授業アイデイア例も,国語と算数・数 学についてのみであるが掲載されている。ここでは,授業で当該の問題,または類題を扱う際の具体的な展 開例が掲載されており,学校現場ですぐに活用できるようになっている。. 1 9 5.

(7) 森. 健一郎. 2 0 0 9年度の集団(小学校第 6学年の児童)の算数(百分率を求める問題)の結果に注目し,. 3年後,その. 集団が中学校第 3学年になった時期の理科(濃度を求める問題)の結果と比較した。まず 2 0 0 9年度の小学校 第 6学年の集団が,算数の百分率の問題に対してどのくらいの正答率であったか,また,どのような課題が あったのかを把握する。集計結果は,国立,私立,公立の区別がされている数値と,区別をつけずに全体の みを一括して集計している数値があるが,本研究では,全体を一括して集計した数値を用いることとする。 そして,その小学校第 6学年の集団が中学校第 3学年になった時期 ( 2 0 1 2年度)の理科の問題のうち,百分 率に関する問題の正答率や課題となる点に着目する。全国学力・学習状況調査の調査結果報告書では,正答 率だけではなく,誤答の傾向についても記載されているため,指導のための示唆を得ることができる。 加えて,現在用いられている中学校理科教科書の濃度の記述についても検討を加える。検討の方法として. 1 9 8 3年前後の教科書との比較をおこなう。 1 9 8 3年は,中学校達成度調査(中学校第 3学年)理科 A問題で濃 度が出題されており,正答率と併せて考察することができる。その次に, 1 9 9 7 年前後の教科書を比較の対象 とする。このときは全国学力・学習状況調査は実施されていないが, 1 9 8 3年前後の教科書と記述の仕方に大 きな違いはないのではないかと考え,比較の対象とした。. 3 結 果 比較の結果,以下のような結果が得られた。. 1)百分率を正しく求められる生徒の割合は, 2 0 0 9年度の小学校第 6学年(対象教科は算数 A問題)6)では 5 7 . 1% (無回答率は1.5%),その 3年後,同じ集団が中学校第 3学年(対象教科は理科)7)になった時点 ( 2 0 1 2 年度)での正答率は 52.0% (無回答率は 17.8%) であった。 2)中学校理科の教科書に見られる濃度の記述は,少なくとも 3 0 年前から変化が見られなかった。. 1 9 8 3年度中学校達成度調査(中学校第 3学年)理科 A問題では,濃度 10%の食塩水 1 0 0gをつくるために 必要な食塩と水の質量を求める問題が出題され,正答率が 69.8%であった。 1 9 8 3年前後の中学校理科教科書 の濃度に関する記述の実例 8)を図 2に示す。「溶液の濃度は,溶液全体の質量に対して,溶質の質量がどの くらいの割合になっているかという値で表すこともできる」という記述から,「割合」の意味が理解されて. 0 1 2年度の中学校第 3学年が第 1学年の時 いることが前提となっており,求めるための式が示されている。 2 期に用いた濃度に関する教科書の記述 9)を図 3に示した。「水溶液の濃さは農度)は,水溶液全体の重さに 対する溶質の重さの割合を,百分率を使って表している」という記述から,ここでも「割合」の意味が理解. 3 . 選濯の濃さの事長し方 これまでは,溶液の濃さ(濃度〉めちがいを,一定幸設の溶液中 i こ 溶けている溶焚の去を畿を討やすにして,愛そしてきた。 丸溶液全体め宝室長設にがjしてー しかし,溶液の濃度i H. r 森 重 苦c η 緊滋. ‘. がどのくらいの複合になっているかという総て。表すこともでさるの この茨し方を重量量産~~ーセントとし山\次めま丈てヲ文めることがでさ. ゐ 。. 濃度(%) =. c : :c : _" '. 1 終伎の後緩〔臣〕 : : : : : ~ ~ 溶 液 の 質 量 ま (g ). x100 X1 0 0. 図2 1 9 8 3 年前後の中学校理科教科書の濃度に関する記述. 1 9 6.

(8) 全国学力・学習状況調査「算数 A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善. 質量パーセント濃麗 溶液の濃さとは,溶液の質主主に対する i 脊繁の償援の比 のうど. を意味し,これを i 蒋液の濃度という。 溶液の濃度を百分 率(%)で表したものを策重量パ叩セント潔度といい,次 の式で求めることができる。 賓量パーセント濠度(%) = =. 溶液の質量l 払濁楳の 挺績と滋艇のZ 華麗の和 だからー上の式を下の < =変形することがで 式1 きるんだね。. : == =: v :x 漕賓の質量 ( g ) ~ 港湾の質量1: ( 富 ]. 1 0 0. 港慣の質量1:( g ). 一湾媒の貿量 (g)+滋賀の質量1:(g) 水9 0gに霊主主匝 lOgをとかしたときの食滋水の質重量パー セント濃度は, 1 0g+( 9 0 gゃ 1 0 g )x1 前 官 10%となる。 右の留の 2種類の食塩水のうち,鍍量 パーセント濃度が高いのはどちらか。. 図3 2 0 1 2 年前後の中学校理科教科書の濃度に関する記述. されていることが前提となり, 1983年前後の教科書と同様に,求めるための式が示されている。. 4 考 察 この 30年余りで生じた正答率の違いを考慮すると,「何が比較量で,何が基準量であるかを適切に判断さ せるための記述」をした上で, (比較量)7 (基準量)という考えに基づいて立式がなされていることが明記 されても良いと考える。教科書,および教科書に準じた教師用指導書の記述には,この 30年間で特に変化は 見られない。 1983年前後の教師用指導書では,割合について理解されていることを前提とした表現となって いた。この時期の中学校第 3学年の濃度についての理解は,中学校達成度調査によると前述のように 69,8% であったため,割合について理解されていることを前提とすることは妥当であったと思われる。 2012年度の 教科書および教師用指導書の記述に関しても, 1983年前後のものと同様に,割合についての理解がなされて いることを前提とした記述であった。学習指導要領がこの 30年間で大きく変更されることはあったものの, 濃度に関する扱いは変わっていないため,教科書の記述にも大きな変化が生じなかったものと思われる。教 科書や教師用指導書の記述が必ずしも教師の授業方法を規定するものではないが,信頼性の高い全国規模の 調査結果を踏まえた改善案を検討することは,意義のあることと思われる。 2012年度の全国学力・学習状況 調査における小学校第 6学年 10)の百分率の問題 ( A問題)の正答率は 5 8,7% (無回答率は 9,9%) である. 0. 6割弱という正答率は,本稿の調査で、扱った 2009 年度の調査結果と大きく変わらない。この児童の集団が中. 学校の第 1学年で濃度の学習をすることを想定した場合,教科書の記述以上の対応が必要であると思われる。 例えば,全国学力・学習状況調査については,実施後に公開される報告書の中で,各問題の分析結果に基づ いた指導例が示される。図 4にその一部 11)を示した。中学校理科から見ると,異校種で他教科の報告書で はあるが,生徒の現状に対応した指導をする上で参考になる部分が大きいと考える。 図 4を参考にして,中学校理科の濃度の指導例として作成したものが図 5である。同様に,図 4を参考に して, 2012年度の全国学力・学習状況調査(中学校理科・濃度に関する問題)の指導例として作成したもの が図 6である。いずれの場合についても,指導の重点となる点を図 4の記述から得ることができる。すなわ ち,次の 3点である。. 1)何が比較量で,何が基準量かをとらえること。. 1 9 7.

(9) 健一郎. 森. 2) (比較量) : (基準量)で割合が求められることを理解すること。. 3)基準となる量の大きさを 1 0 0として,それに対する割合で表す方法が百分率(パーセント)であるこ とを理解すること。. 5 結 論 本稿では,「百分率を求めることや,基準量や比較量をもとにして割合の大小を判断し,その理由を記述 することに課題がある」という小学校第 6学年の実態が,中学校第 3学年の段階においても改善されていな いことを,全国学力・学習状況調査の理科(濃度の問題)の結果を検討することで明らかにした。これを改 善するためには,中学校理科教科書においても,基準量や比較量という観点から濃度を扱う必要があると思 われる。今後,実際に学校現場での授業実践で活用し,その効果を検証したい。. 。. 学習猿導にきちたって 割合を求める場合,閑践の場認から,何が比較量で,. i 可が茎準量かをとらえる二と,及び. (比較愛): -(基準最)で割合が'"とめられることを理解していることが必裂である。本問題 2‘5%J と解答を君主った児童には事集まった小学生の人数と女子の人数をテープ阪など で 1 にかかせたり, r 集まった小学生め人数の-'i} { 1が女子の人数ですーというように表現させた こすることが考えられる りして,基準最と比較量をとらえられるよう i. B. J6 ご一一¥¥¥ h. で1 二 蛾. 2 0 0 人 一 / / / /. 。. 基準とする量の大きさを 1 0りとして,それに対する割合で還をす方診が,否分率(パ…セン. りであるひこのことを篠実;こ理解して,干浄潮手羽l t'i合〉子砂をとらえられるようにすることが大切でで}ある。 i 例 持 え ; ば ま 主 官 1 叩0 0明o/ o が1 ( { 傍 菩 音e ) と等 L し , く 印 50%が0 5 付 ( { 2 去 剖 E り ) に 苧 1(}~が 0.0 削1 ( 付 { 鍛 最 酎 ) と等しいことなど 晶. を数 威 i点 線i 上-で嫁認 るよう;にこすす一ることが考えられる 本閑是趨童で 「司自札. 4も % 号 j と角解手 3容事を i誤渓つ fた竺!児忍重蜜~!にこは, 1 0 . 4 1土 何 % ですか J , f40%を小数で事長してみましょう j などと潤 L、かけて‘ 1 0 4%J が擦りであること 00人の r 4 0 ' } Y lJ を求めさせて,繰りに気付けるようにしたりす に気付けるようにしたり, 2 D. 白. こ基づいて 2 00人 の 1 %が何人かそ線認すること る二とが考えられる。また,百分率の意味 i も考えられるロ. 図 4 2009年度の全国学力・学習状況調査(算数 A問題)の分析結果に基づいた指導例(固. 立教育政策研究所のホームページより引用) 100%. 溶液全体 125g. ______. (溶質 25g十 溶 媒 1 00g). 図 5 図 4の指導例をもとにして作成した濃度の指導例. 1 9 8.

(10) 全国学力・学習状況調査「算数 A問題」の結果を踏まえた中学校理科の授業改善 色 100今. 溶液全体 1000g. 図 6 図 4の 指 導 例 を も と に し て 作 成 し た 2012年 度 の 全 国 学 力 ・ 学 習 状 況 調 査 ( 中 学 校 理科・濃度に関する問題)の指導例. 附記. 研究は J SPS科研費(基盤研究(B) 課題番号 26285170,研究代表者:玉井康之)の助成を受けたもの である。. ==ロ. エ +. 1)全国学力・学習状況調査の実施年度については元号による表記が通常用いられるが,本稿では参考文献の出版年などとの 対象を容易にするため,西暦に統ーして表記した。. 4% 2)この数値は公立学校についてのものである。私立学校の正答率は 76.9% (無回答率は 6.3%),目立学校の正答率は8 0. (無回答率は4.7%)であった。また,この年の全国学力・学習状況調査は抽出調査であったため,参加率は81.2%であった。 3)この表現は,文部科学省および国立教育政策研究所から出されている「全国学力・学習状況調査調査結果のポイント」 によるものである 0 4)東京書籍 ( 2 0 1 1 ) の教師用指導書より引用したが,他社についても扱い方は同様であった。 5) 2 0 1 2年度の中学校理科の問題では. iある濃度の食塩水を使うと,古い卵は浮いてくるので区別ができる」ことを検証す. るために,濃度10%の食塩水をつくるという設定になっている。 6)集計結果によると,参加した学校数は21 .462校。児童の数は, 1 .150.097人であった。 7)集計結果によると,参加した学校数は4.469 校。生徒数は, 4 4 2 . 5 5 8人で、あった。小学生の時期と比較して参加人数が少な いが,これは,抽出調査であったためである。 8) 教育出版 ( 1 9 8 3 ) の教科書から引用したが,他社についても内容の扱い方は同様であった. 0. 9)教育出版 ( 2 0 1 1 ) の教科書から引用したが,他社についても内容の扱い方は同様であった。 1 0 ) 集計結果によると,参加した学校数は 5 . 2 2 3校。児童の数は, 2 6 2 . 0 8 6人であった。この年は抽出調査であったため,全数 調査の年 ( 2 0 0 9,2 0 1 3,2 0 1 4 ) よりも学校数および児童数が少なくなっている。 1 1 ) 目立教育政策研究所 ( 2 0 0 9 ) のホームページに公開されている報告書である。. 参考・引用文献 日本教育新聞社『日本教育新聞~. 2 0 1 4 . 9 . 2 2. 日本教育新聞社『日本教育新聞~. 2 0 1 4 .1 .14. 国立教育政策研究所 ( 2 0 1 3 ) i社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理 J Retrievedfrom h t t p : / / w w w . n i e r . g o . j p / k a i h a t s u / p d f / H o u k o k u s h o 5 . p d f 目立教育政策研究所 ( 2 0 1 2 ) i平成2 4年度全国学力・学習状況調査[中学校]報告書 J R e t r i e v e dfromhttp://www.nier .g o . jp/12chousakekkahoukoku/06chuu_shuukeikekka.htm 4年度全国学力・学習状況調査[小学校]報告書 J R e t r i e v e dfromhttp://www.nier .g o . 目立教育政策研究所 ( 2 0 1 2 ) i平成2 jp/12chousakekkahoukoku/03shou_houkokusho.htm. 1 9 9.

(11) 森. 健一郎. 国立教育政策研究所 ( 2 0 0 9 ) i平成 2 1年度全国学力・学習状況調査[小学校]報告書 J R e t r i e v e dfromh t t p : / / w w w . n i er .g o .. jp/09chousakekkahoukoku/02shou_chousakekka_houkokusho.htm 教育出版 ( 1 9 8 3 ) ~改訂中学校理科第 1 分野下~ p.77 教育出版 ( 2 0 1 1 ) ~自然の探究中学校理科 1 ~ p .3 7 東京書籍 ( 2 0 1 1 ) ~新しい科学 1 年教師用指導書~ p. 1 6 1. 自 (n 路校准教授). 2 0 0.

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参照

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