幼児初期の歌唱行動について
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(2) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 幼児初 期 の歌唱 行動 につ い て. 伊. 藤. 目 1. 勝. 志. 次. は じめに. 1 1 歌唱の現れ方 m 歌唱の出現まで (一幼 児の音声分析より) W. まとめ. 註. 工.. は じめ に. 幼児期の子どもに見られる色々な行動の中でも 「音楽的な行動」 と呼び得るものは 聴覚機能の , 発達と共にその端緒を現わし, 幼児期から児童期に到る生活の中に 相当な割合を占めると言われ , ) る. 中 でも, 聴く, 踊る, 鳴らすなどに比し, 「最も目立つのは歌唱行動 であろう1 」 と指摘される. 如く, 幼児の生活に於ける様々な場面 で, 歌う ことは頻繁に観察さ れるところである 「歌いたくて , } たまらないエネ ルギー2 」のほとばしりとさえ言われる幼児の歌唱行動には, これを基礎として後の 音楽的諸能力が発達していくものであることを考える時,「自発的表出に基く快感情の体験」を強調. するあまり, 子 どもの自発性のみを期待するだけでは なお不充分な面 が いくつか含まれている , , ように思われる。 音楽的な諸能力は生来的な素質と環境的な種々の要因が幅奏して発達して行くことはす でに一般 的な見解となっ ているが, 梅本等によれば, 特に歌唱におけ る重要な要素たる旋 律の獲得には 環 , ) そう であれば一層のこと 幼児の歌について様々な角度から系統的な検 境の影響 が大きいと言う3 . , 討を加えることが是非必要 であろう. 幼児の歌唱における特徴に ついてはこれまでも多くの報告がなされているが 多くの場合 3~6 , , 歳代の, 言わば歌えるよう になっ た子 どもを対象としたものであり 彼等がいつ頃から どのよう , , な 形 で歌 う よ う に なる の か は, ほ と ん ど明 らか に さ れ て い な い の が 現状 と 思われる. 。 本研究は, このような観点から, 一人の 子どもが生れてから歌う ようになるま での経過を 生後 , 一年九ヵ月ま での音声を手がかりにいくつかの面から検討を試みようとしたものである . 1 1 .. 歌 唱の 現 れ 方. 幼児が歌を歌うようになっていく過程においては, 正常な聴覚と 初期の段階では ほとん ど無意 , 識かつ無統制な, 時には本能的とさ え言われる発声運動による音声とを基礎としている 点 で こ と , ばを習得していく過程と非常に共通した 面があることは, これま でも再三指摘されてきたところで. ある. この発声運動には, 産ぶ声に続く泣き声に始まり 生後2 ~ 3か月頃より現れると言われる , 157.
(3) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 快適時の発声や唖語を繰り返し, 心身の発達と相まっ て言語刺激に対する模倣の体験を重ねつつこ とばを獲得していく過程が一方にあり, 他方には, 音声の持つ高低・強弱・時間・音色等の諸特徴 を, 繰り返し産出する唖語の中に見いだし楽しむ中で, 発声諸機能の発達や環境の影響を受けつつ,. それらの諸特徴を様々に変化させながら産出し, やがてはことばの発達に 伴い, 歌そのものを模唱 するようになっ ていく過程があるものと思われる. 6 5 } ) 4 } l l 既 製 の 歌 を 模 唱 でき る よ う に な る 時 期 に つ いて は, A.Gese ,岩 淵 他 , 梅 本 と 新名 , 桜 林 等 の 報. 告があるが, それらによると, 不完全ながらも印象的な一節が歌えるのは2歳代 で, 一つの曲全体 を歌うようになるのは3歳代以 後と言われている. 従っ て, ことばを習得する以 前の子どもの歌唱 に つ い て は, 言 語 の 持 つ 抑 揚, 音 色, フ レ ー ジ ン グな どの 旋 律 性 と 相 ま っ て, 「し ゃ べ る と 言う こ と. ) 」とされ, 唖語と, それから派生すると思われる歌らしきものを と歌うと言うこととは分かち難い5 971 ) は, 1歳 づけられているに過 ぎない. この点について梅本と新名 (1 口ずさむ段階として特徴 2名を対象として, 自由遊 び中に歌われた自発的歌唱を録音分析し, メロ から5歳ま での保育園児3. = 南語が抑揚と音色とリ ズムを伴っ てメロ ディ ーのように聞こ プィ ー感を発達的に検討する中 で, 「 え」「音程のはっ きりしない発声遊 びのような形」 で現れるのが, 1歳代の子どもにみられる歌唱上 } 」 言わ の特徴 であろうと述べている. 唖語は, 「抑揚のある発声を自発的に産み出し楽しんでいる6 }の 指 摘 す る と ば 一 種 の あ そ び であ り, こ の あ そ びよ り メ ロ ディ ー が 発 生 す る こ と は し ベ ス (1946)7. こ ろ でも あ る.. 幼 児の歌唱が, 未だ音楽とは言い得ないような噸語の口ずさみより始まると言われる点について 9 ) 8 ) 19 説明 970 は,園部 (1 , 74 )も又,ことばを習得する過程に見られるいくつかの実例を示しながら うと 歳前後の ことばを獲得して行く過程にあるだろ を試みている. 彼は音楽の原初的形態が満1 , する一連の主張の中 で, 感情変化に伴う様々 な音声表出が旋律形成に重要な役割を果すことを強調. しながらも, 唖語の発声, 発音や初期の言語活動の中に, リズム, アクセントに従っ た声の高低変 化と言う形のメロ ディ ーを認め,「音楽以前の段階 ではあるが, す でに明確な音楽的要素を示してい る」 と 述 べ て い る.. ところで, 唖語の中に見いだされるこの種の旋律は, 如何に音楽的要素といえ ども, それがこと ばのリズムという時間的制約の中に留まる限り, ことばの-側面, 音声の一特徴に過ぎないもので, o } 」 と思われ 未だ歌唱とは言い得ないように思われる. 確かに 「歌はことばの口ずさみより始まるl るが, そこにはなお, ことばの旋律性を 基礎にしながらも, 発声と言う運動の中 での時間的な操作, つまり, ことばのリ ズムを変えることが要求されなければならない. これは幼児初期の, 既製の歌 を仮え不正確な一節でも歌うようになる以前の子どもの 「メロディ ー」 にも適用され得るものであ り, そ う い う 意 味 に お い て 「メ ロ ディ ー は こ と ばの 遊 びよ り 発 生」 す る と 思 わ れ る の であ る.. いうまでもなく, 幼児の周囲にある音声や音の刺激は, 決してことばのみに 限られたものではな い. 彼等は, 生後6ヵ月も過 ぎると, ことばはもとより, 種々の音刺激に含まれる諸特徴を聞き分 け, 模倣し, 一方では自らも感情につれて様々 な音声を産出することで, 呼吸の調整をさらに確実. にし, 音声による表現を一層深く豊かにして行くものと思われる. こうして獲得される音声の, 多 l l sang注と呼ばれる如き歌唱形態 様な表現様式が唖語の発声にも取り 入れられることによっ て,La ge が 生 じて く る の であ ろ う. 1 1 )は 生 後 3 ヵ 月 か ら 2 歳 ま での 乳 幼 児 計 183名 に つ い て 歌 唱 リ ズ ム 和 音 な ど H.Moog( 1967 ) , , ,. 6種類の課題を与えて反応を求める一連の調査を通して, 各年齢段階における子どもの音楽的特徴 を観察しているが、 特に歌唱に関する項目 では, 0:6. 158. l ie は ま だ み ら れ な い が, 喜 び の 表 現 と し て の La l - 色々 な 高 さ の 音 の 連 続 と し て の Me od.
(4) . 伊藤 勝志:幼 児初期 の歌 唱 行動 に つ い て. 2 ) lmono l ) が, 身体 的運動 を 伴 っ て 観 察 さ れた. ogen (=南語1 l l 0: 9 17名 中 9名 に La gesang が観 察 さ れ, 歌 唱 課 題 の 曲 に 誘 発 さ れ て 独 自 に 歌 い 出 し た 子 ど. 1:0 1:6. 2:0. も も 現 れ て い る.. l i 聞いた課題を模して歌う頻度,種類共に増加 しているが,Me od eの音高を保つことが出来 ず, 子どもは課題として呈示された曲と関わりない音程 で歌う場合が多い, l l な お La gesang がみ ら れは す る が, 課 題 曲 の 数 種 類 を, ほ ぼ 正 し い 詞 で 歌う 子 ども も 数 人. み ら れた.. 3 )音域も広がっ た 特に ことば リ ズム 音高 前の段階よりも歌う回数は一層多くなり1 , , , , などの変化を同時に把握できるようになっ た点で, 1:6の子どもの歌とは明 らかに異なっ て い る.. などの結果を報告している.. 唖 語の 音 声 が旋 律へ 発 展 す る 過 程 は, こ こ に お い て も なお 不 明 な 点は あ る が, La l l gesang 以前に l lmono l は唖語 (La ogen) があ り, や がて 外 界の 音 刺 激 に 誘 発 さ れ つ つ, 不 完 全 な がら も 旋 律へ 進 む ものと考えられる点 では, 日本の子どもを対象とした これまでの報告とほぼ一致する 面があ る もの l l l lmono l と思わ れる. た だ, こ こに 言 う La こつ いて は, 採 譜 さ れ て い ogen と の 相 異 点‘ gesang と La. るとはいえ必ずしも明確ではない.. 以上のような観点から, 本小論においては, 泣き声に始まる子どもの音声を機械的に分析しなが ら, 歌唱の現れる過程を 二, 三検討したいと思う. 1 1 1 .. 歌唱の出現ま で (一幼児の音声分析より). 1) 研究の目的 乳幼児から幼児初期の年代にある子ども が旋律を歌うようになるまでの過程に関する これま での 研究は,主として聴覚のみを頼りに観察されたものが多く,客観的かつ詳細な資料に乏しい面があっ たことはす でに指摘されてきたところ である. 五線譜による音声の視覚化も試みられてはいるが , これとても近似的なものに過 ぎず, 時間経過の中 で産出される音声の 「長短」 「高低」 「速度」 或は 「強弱」 な どを明示することは不可能である それ故 幼児が旋 律を歌うまでの過程には なお不 . , , 明な点が残されているように思われる. 本研究においては, 聴覚のみの判断及びその記述において 不足する面を音響分析装置の利用によって補い, さらに子 どもの音声にみられる諸特徴の一部を視覚 的に再現し, ことばと歌唱とのつながりを, 主としてリズムと高低の面から観察しようとするもの である. 2) 音響 分 析装 置 (Sound spec t rog raph) に つ い て. t 音響分析装置 (Soundspe c r og r aph) は, 過渡的な音響信号 (例えば音声, 楽器音, 騒音, 心音 など) あるいは, 一般的電気信号などを録音し, これをくりかえし再生することによ っ て周波数分 4 ) 析を行う装置 で, 周波数成分の時間的変動が, 濃淡をもつ パター ンとして記録紙上に示される1 , こう して 得 ら れた パ タ ー ン を Spec t rogram と 言 う が, こ れは 音 声 の 成 分 を, た て 軸 に 周 波 数, よ こ. 5 ) この装置は音響に関連する様々な領域 で活用さ 軸に時間を取った図表を用いて示した図である1 . れているが, 特に音声を素材とする場合, 音声学をは じめとして, 音楽 (声楽) や演劇 などの発声. 研究にも利用されている. なお, その仕様は下表の通り である, 3) 研究の対象. 音響分析装置 (Soundspectrograph) に て 分 析 さ れ る の は, S 児 (昭和 50 年 10月 1 日 生 れ の 男 159.
(5) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 2,4秒 7.2秒 0.8秒. フ ィ ルタ 幅. 周 波 数 範 囲. レンジ. 狭. 85~8,00OHz 85~4,00OHZ. 300HZ 約 2,2禾少. 15Hz. 10OHZ. 約6,6秒. 13 5Hz 90OHZ. 7秒 約0.. 30~2,500Hz 30~1,25OHz 30~625Hz. 300Hz~6KHz. 分析時間. 45Hz. 85~2,00OHZ. 30oHz~24KHz~12KHz. 広. 児) が産出した音声 で, 生後12日目に始まり現在に到る継 続的な録音記録の一部である. S児は正 560 g 身 長 51.5cmの 満 熟 児 で, こ れ ま でさ し た る 病 気 も なく 過 ご し て い る. 身 常分娩による体重3, 体的諸機能, 中 でも聴覚や発声器官等には, 特に異常がないよう で, 又, 知的にも情的にも, 更に は運動的にも, 特記すべき発達の遅れは 認められないように 思われる. ことばに関しては, 母音と 子音の分化が未だ不明瞭な段階ではあるが, リズム, 抑揚, 音色等から判断して, 具体物や動作等 と結びついていると断定 できるような音声は すでに獲得している. な お, S 児 の 音 声 採 録 に 用 い ら れ た 器械 は, Sony, TC‐1100 型 の, マイ クロ フ ォ ン を 内 臓 した カ. セ ッ ト テ ー プレ コ ー ダー であ る.. 4) 分析の結果及び考察. a:音声の模倣が明確になる前の段階 ) 」 泣き声と, それに続く なめらかな柔 この段階では 「自然な呼吸のリ ズムにしたがって出される4. ら か い 感 じの 声 に 始 ま る 唖 語 が 主 と な っ て い る. 図 - 1 は, 生 後 12 日 目 の 泣き 声 であ る. こ の 中 で. 中央より下半分に描かれている多数の線が音声の周波数を示している. 左端のa, b, Cについて i t ch) で, b, Cはその第一倍音, 第 言うならば, aは声帯の振動数, つまり音声の基本周波数 (p 70Hz程度で 思われる点の周波数は約4 二倍音をそれぞれ表わしている. aの場合, 山のほぼ頂上と ,ぐら あり, これはおおよそa ,の高さに相当する. 又, 山すそに当る部 分はこれよりほぼ一音低い g べき音程が 旋律の基本となる いの高さ である. このようにみると, 初期の自然な泣き声の中にも, す でに 存 在 して い る こ と がう か が え る, *-”域. ,. 」. 」‐} ◆\. 、. . , ... メ ー キ ! メー、 ヨ. ‐ ー ノ ◆{ .. 」 \, ,. .. . ″ ; (シー ミキヂ. . 図-1 乳児の泣き声 (1) 160. , =. ‐ ニ. ◆. ず さ,.. ヘ ノ\. . . . -ーr ‘ ノ、 メ Y. ‐ . . r. ; ′ ′\ , , \~ ~. ′ ・ 、ノ \ 〆ゞ .. . . . , , TA. . .
(6) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について { . + ・ ′. るにバリ 写. ・′ ′ ー≧・: ▲ぞ . \ , 、 ・ .. ノ - \ . 、 !、 、 ′ , ・ 、 . ’ “. 、 ー ′ 1r 、 . L ’ー 1 - \ 工 r ノ 」 , 、 ミ ? t . \ { L , ・ ± ” , ” ) い, . ,. も,押-- 搬 勘札一 ・ 粒 『癒 ~『 . ′ 11 ・r1 \. ′- ソ ′ / ー. 1 . ,. さ . , ,\ 、, . ふ. デー. . . i榊 . - ,. ..「 ′- . 平 , . ‐「 h 酬 品′ ‐ - , . - . - -- - r ー 〉 バ ・ - ′ ; ” / , 図-2 乳児の泣き声 (2). ①~④は声が途切れてから次の声が終るま での時間を示すもの であり, 何れもほぼ一定の間隔を )に依れば この周期はほぼ1秒 で 発声と休止との時 保って反復されていることがわかる. 切替ら4 , , 間比は2:1の割合になっ ている. 以上のように, 初期の泣き声にはある程度の音程と, 時間的に 規則正しい周期リ ズムに特徴づけられていると言うことが出来よう. こ のよ う な, 自 然 の 呼 吸 リ ズム に した が っ て 出 さ れ る 泣 き 声 も, や がて, 高さ, リ ズ ム, 声 の 持. 続時間な どの面にいくつかの変化が見られてくる.生後2か月半の泣き声である図-2 においては, 規則的な繰り返しのリズムはもはや見られず, 声の出ている時間, 休止の時間の何れも不規則なも の に な っ て い る. 特に, 図 - 1 に 於 い て は l sec に 満 た な か っ た 持 続 時 間 は, こ こ では 3 倍 近 く に も. なっていることが解る, しかも, このような長い時間にも拘らず, 途切れる前の音高がほぼ一定に 保たれている (aの部分) ことは, 呼吸が力強くなっ たことと同時に, 発声諸筋肉等の発達が進ん でい る こ と を物 語 る も の と 思 わ れ る,. 一方, 旋律的な面についてみると, この段階ではまだ明確 ではないが, 図-1にみられた山型は. b 及 びc に み ら れ る よ う な, い っ た ん 下 が っ て か ら 再 び 上 昇 す る 形 へ と 変 っ て い る な お, 音 高 は .. a の ○ 印 がほ ぼ g. , C では C2を 少 し越 え る 程 度 と 思 わ れ る.. このような泣き方をする頃, 鋭い泣き声とは別なひとり言 のよう な声が時々観察さ れるように なっ てくる. このような発声は最初間隔の長い単発的なものであるが,(図-3) やがて頻繁に発せ. ら れ (図 - 4) 持 続 時 間 も 長 い も の に な っ てく る (図 - 5) t rogram で . こ れ ら が初 期 の唖 語 の Spec. tch の 低 あろう.これらの図より明らかなように,この期の音声にみられる泣き声との相異は先ず pi 下がみられる事 である. 図-3は2ヵ月目の後半にみられた音声で, 短いけれど一定の高さ(約320 Hz) に保っ て発声されたものである. ここでのリ ズムは持続時間以外に認められないし, 旋律的な. 特徴も顕れていないが, さらに4ヵ月経過後のひとり言では, 初期の泣き声にみられたような発声 のリズムがあらわれ, 音声の産出が流暢になっ てきたことを示している. 旋律的な面にはまだ顕著 な 変 化 は 認 め ら れ な い が, 高 低 の 幅 は b お よ びa の 点 で だ い た い 250~340Hz(およそhから f,の 減. 五度に相当する) と, さらに低い方への変化がみられる.. このような経過を辿った後, 機能の一段の充実と共に, 持続時間の長い, 無意識的, 偶発的とは いえ, 比較的抑揚のある声を出すようになり(図-5) , 同時期にしだいに頻度を高めてくる音声模. 倣を繰り返すなかで, 音声のリズムや抑揚などがさらにはっ きりとしてくるものと思われる,. 161.
(7) . :幼児初期の歌唱行動について , t . ・ . . ● , . ● . ; , . ・ ‘. . . し. . . 1 ● . ● . . ● 」 ● . . . ‘ ● . L ◆ i 参も - - .. . . ● “ 「 「← --- ▽町-- -- t. i fr 一 冊- - ま 【喝--→ ;~ ;- … ず. …、 ・. -- -キ ー燕 仙 「考. 図-3 初期の発声. ^. . ・ r , ;. ー ・ , . 一 ′ ふ \ ゞ. . , ▼′ . .・ / ◆ 1 ▲ ・ r ●. 二 ◆ , ・ . . 、 ◆ ′ /、 . r、 ′ . , \ 、 、 ◆ . 、 , \ 、 、 1 ・′. ・ ・ \ 1 1 , . 74 ” \’ ご 」 、 . も . r { ! ′ ▼t , ′、 ′ \ → ~ ◆ ′ . ノ ・ 1 4 ▲. r き二. ふ ノき. L .. 一 , Lゴー r f, てず . 対 ・一 , -- “礼 … -ナハト, ↑」 “. 、 ,パー. ~. 図-4 連続的になった発声 ′ ノノ /、ノ 、 ′ー ノ ・‘ ▼ \ ′ ~ -ノ. . ′ /\▲- \ ′◆ . t〆 〆 \ ノ - 、 ノ 、 ,‐ \メ ,. . . … -. / \ ,\ ・ , ‐ .\\ ノ . 、 t ◆ , \ ,.」 ′ 」 ,′ . 、.. k一 馴‐一. 、 ′ ノ . ′ -\. ・ 、 ・ ・ ′、 ー′ ▼ ′ 、 ▼ 1\ - ‘ ご \ ~ 、 . “ ・ L ) y メ. . - - 筑-- - いざ一. 醜い 図-5 持続的になった発声. . - -- - ? . . . . ・ ● . ● .. ・ 1 ● ● ‘.
(8) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について L . 1t . ・ 、 , . キ ー ト ー . ・ l t t 、 \ . ・ . ・ 、. . ム ー ‐ 」【もぎ -- L \リ. ←. なキー ÷「. キも. 図-6 初期の言語模倣. 割 i -瞥辱 キ ール ≦ ぶ 、. 購. . 図-7 リズム的な音声の模倣. b:模倣の段階 S児の場合, 音声模倣が顕著と思わ れるようになっ たのは8ヵ月を過ぎ 「ウマ」 と聞きとれる発 ,. 音 を す る よう に な っ て か ら の こ と であ る こ の 段 階 では 単 語 や 歌 の 一 節 あ る いは リ ズ ム パ タ ー . , ,. ンや音階など, 色々な音や声を手当り次第に模倣することが主となっ ている , 初期の模倣は 「ア-」「ガー」 のような単音が多かったよう であるが, これもやがて三音四音のよ. り複雑な音声へと進んでいくようになるの である.. 図-6は1 1ヵ月後半の音声 で,「チョ ー ダイ」と言う保護者の声を模倣しているところ である こ . の図より明らかなように, 刺激音声はチョ ゴタワ の形 であるのに対し 模倣の方では高低が逆転し , た形となっ ている. 勿論, この段階では 「チョー ダイと聞く ことは全く困難 で ただ 刺激に続い , ,. て発声された. 強弱や抑揚は異るにしてもリズムの似かよった音声に過 ぎない 言語を獲得してい . くうえで, 抑揚が先ず覚えられると言われるのは, もっ と先の段階になっ てからのこと で ここ で , はリズム的なものの方がほぼ正確に再現されているよう に思われる ,. 図- 7 は 「チ ョ ー ダイ」 に 2 ヵ月遅 れて模倣さ れたもの である (刺 激は連続 的に 発音さ れた , 6 da da da の 三 音 であ る ) こ こ でも 又 子 音 d が 1 歳 の 子 ども に は 難 し い こ と も1 )加 わ っ て da を完 , , . , ,. 全に聞きとることは できないが, 三拍のリズム, 特に三拍目の上昇と強拍に示される抑揚など ほ , ぼ正確に把握されていると思われる, 時間的に引き伸ばされることは, 発声, 発音諸機能の未熟な この期の子どもにとっ ては当然と考えて良いものと思われる . これとほぼ同 じ頃, 単音の模倣においては時間的な長さの違 いをかなり正確に把握 するように. な っ てき た. こ れ を 示 す の が 図 - 8 及 び図 - 9 であ る 比 較 的 持 続 時 間 の 長 い 図 - 9 に お い て も . ,. i 筋緊張の緩みによると思われる p t ch の低下とそれに伴う振幅の縮小はあっ たものの, 途切れる直 前でほぼ最初の高さに戻っ ていることは, 仮えそれが無意識的になされたもの であるにせよ 発声 , 機能がそれなりの発達を遂 げている事によるもの であるうと 思わ れ る な お pi , tch は 図 - 8 の 場 . 合, 刺激音が170~180HZ , 模 倣 音 が 380~390HZ , 図 - 9 に お い て は a が 125~135Hz, b が330 ~340HZである, 刺激音と模倣音の高さが比例しているように思われるが 単音の模倣において , , i t 刺激音の p i t ch 変化に依っ て模倣音のp ch も変化す ることが確認 できたのは, この段 階より6 ヵ 月 程 後 の こ と であ っ た た だ, こ の 二 つ の 音 声 記 録 か ら 示 唆さ れる こ と は 例 え ば図 - 8 に お い て . , 163.
(9) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. ( .. { 〆イ ー . キ ー -ノ \ . は 第 五 倍 音 ま で明 瞭に 現 れ て いる の に 対 し, 図 -. うけ′ ~ ゞ \ もき . 、~′ \ 、 ” , \. 9では同じ母音を発声したにも拘らず第三倍音以. \. r. . . . . →茅竪 キ 喚 i. ▲ ′ :-→ご △ 圭二ヒメ達雲海 1 ーー ‘ ; \ ″ / d. ”〆に ゴム . . 図-8 単音模倣における時間的側面 (1) 、 、, ′ ′ 、f ;. M , “ゞ. 上 が ほ と ん どみ ら れな い こ と か ら, 声 の 出 し方 の. 上で, 歌うよう な時としゃべ るような時との区別 がす でに無意識的にせよ出来ているの ではないか 点 と言う こ と であ る. に つ い て は, 泣き 声 の こ の . t rogram とし ゃ べ り 始 め た 時の そ れを 比 較 し spec て み る とあ る 程 度 共 通点 が認め ら れる よう に 思. う. し か し, こ の 点 は 刺 激 の 音 声 に つ い て も 言 え る こ と な の で, こ こ では こ れ 以 上 触 れ な い でお く.. 図-9 単音模倣における時間的側面 (2) /. 「 ′ ; , , ,, , . 、, , ,. , も ‘ ,・ , 、 ,. ノ\ て も . ー 雫 ‐ “ - m ・ 鞠 バ .”-≦ 、【 * ー *- ≠ , キ 一 - ~ ー ー ▼ 咋“ 】* く “ ご 一 ‐r ん ふ ~ “ - 、 -{- ▼ h “ 州 ; ]. ”.▼ 々 、′ も 一 * ・ 一 ・′ ▲ 愛- 尋 -、 ‐.-- も 「 ‐ ← -〆 ” + L , ー - - - ▲ 霞 掌 キ 叫 ; 戸 や ‘ -メ .r . . ‐ --,[ -- コ ←…』‐ i twγ メベーf-』キー一一 d. ん ・← ▼ ・ {ご 」れ * せ - -. 【脳 ▲ 欺 き ▲ - 潔 『 : ご 「 * … ′ . カ執 ド----帽- ブ3〆,-[---- - ÷「ュド. c:旋律の形成ま で さて, 模倣がこのように単音から二音三音さらには四音と進むなかで, 時間や高低, リ ズム, さ らには強弱などの面でも一層刺激に近いものが出来てくると, 子どもの日常生活は非常に豊かな音 声 で満たされるようになる.しかし, 模倣初期における音声は どちらかといえば単発的 な音が多く, その中に求められる旋律は純粋に音声の抑揚に過ぎず従っ て歌と混同するような発声はまだ現れて こ な い. S 児に お い て は, 12ヵ 月 目 に な っ て 歌 唱 の 模 倣 を 始 め る 以 前 に は 明 確 に 現 れ て こ なか っ た. 南語の延長として現れると言われる幼児 ように 思われる. 本事例のみから簡単には言い得ないが, = の旋律は, それ以前に何かの形 で歌唱を体験することを通して, 歌い方のようなものを学習した 後. にみられるもの ではないかと 思われる点もある. 次に, S児が既製の歌を学習していく 過程について少し検討してみよう. S児の音声記録の中で, 既製の歌として認め得ると思われるものが図-10である. これは, 1歳 3 ヵ月の時であるが, この図に記 録されているのは, 彼が生れた時から母が機に 触れて歌っ てきた. 164.
(10) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 図一10 歌唱のあらわれ (子守りうた). Schube t曲)の最初の部 分と思われる.1 0カ月頃より, 親の歌に一節ずつ模唱を繰り 返 r 子守り歌(F. ′ していたものである, 図より解る通り, a, a の部分は振幅にあらわれた パターンや持続時間な ど も ほ ぼ 一 致 し, 又, プレ ス の 間 隔 も ほ と ん ど等 し い, 極 め て リ ズ ム 的 な 音 声 で ある. 又, お お よ そ. の周波数を測定し, これを五線譜にあてはめてみると, 不完全ながら, 右に示すような旋律が歌わ れ て いる こ と が 解 る.. このように, 既製の歌を歌う場合にはこの程度の年齢において, 個々の音の時間は別としても, リズムと旋律がかなり明確に なる場合もあり得るよう である.. さ て, こ う し た 歌 唱 の 旋 律 を 獲 得 し て い く 過 程 で気 の つ い た 一 つ の 点 に 関 して, もう 少 し 述 べ て. み た い,. 一般的には, 幼 早期に現れる旋律は, 基本的な形として下降進行が最初であり, それ以後の歌唱 においても, これが最も容易 であると言われている, 既製曲を学習する以前の段階では, 例えば図- 4, 図-5の発声よりうかがわれるものは, 上昇も下降も共に含んでおり, この点のみからは何 と. も言い得ない. ただ, 泣き声などのような, 極めて, 自然の呼吸リ ズムに 基いた音声産出において i t は, 音声が途切れる 直前に p ch の下降が観察されるところである. S児の場合, 図-10に現れた ように, 上昇旋律を先に覚えた故かどうかは不明ながら, 以下にみられるように, 下降の旋律を模 1は, S児の旋律形成の過程でしばらく 続いた三 倣できるま でにかなりの時間を費している. 図-1. 音の上昇音程を持つ 基本的なパターンである, この パターンは図-12の如き下降旋律を刺 激として 与えた場合でも頑固に維持され続けた. 歌唱におけるこのようなパターンの固執はほぼ3 カ月間程. 3のように歌われるようになっ たの である. この段階を 持続し, 1歳5カ月 ごろからようやく図-1 経ると,こうして学習した歌の旋律を,ことばがないままに歌うことが頻繁に観察されるように なっ 4名の大学生に, 曲名を知らせないままに聞かせ何の 歌かを た 因み に, 図 -14に 示さ れ る 音 声 を 2 ,. 5%)のものがこれを聞き分けることが出来た.(1カ月後に歌われた同じ歌 尋ねた結果,21名 (87. では全員に聞き 分けられた.) 先述の如く, 既製の歌を口ずさむ場合, ことばは 全く解らないにも拘らず, 音響分析装置を用い 165.
(11) . . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 、 --. !. \. ドハ. \. U. r ・ き. . \ ←. . \! 、. . . . . . 」. . . . \. 〉 、 .. . . 一 - ~. \. r ハ f .. U i でき Vビー 崎ぽ. . . . , ャ ~ ノ 、三 -. ト~, 、. . . 図-11 模唱の初期のパターン (チューリップ) 1. 、 ゞ- ,. ‘、し. \ ゞ. ‐ .. ハ ー 、 、 ノ 一 \ , ー ミ ノー . ノ も ド ノ 」 , い , .ミ ゞ , , , ヂ~べ, . ヤー ,. h ・ ~”. 、. ,ニ t ノ. . キー. t」. 図-1 2 固執される模唱のパターン (ちょうちょう). ノ ト ) )・灘 お か‐. . . . . い ◆ , , .だき ハ . き , ,. . 図一1 3 下降旋律を模倣 166. . . 、ミ 冒 ノ メ キ \.
(12) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. 歳 を 畿 も 』. . . . . . ′も← か. ノ 匹 . 」. . . . . . . . 撃. 一. ム--- -- - - - 一喜4〆 ー- -- - -- - 断ち ふも i , ノ;-. 図-14 見本なしで曲をうたう (チューリップ). 図 -15 歌 唱 (チ ュ ー リ ッ プ) の 分析 パ タ ーン (C A 6 : 2 女 子). - ノ ノ \ \ “ , \!. 〆 「一 , !・ ′ \. ー 」 , 、、 ,、 ’. 二. ,. ー ‘、 ▼ ゞ,. ・ L ‘; 一. \ド 、 , \t. ド\. メ\」\. \ , ノ \ /\ \ 、 ′ ′ ・ . \ 三 t … t… ′ t → , , ,「 ノ. , 、. \. 二 三 ,. よ-- 」 ---- -- -1 ≧ - G -- ¥ --- - .ド キ ------キ メ ラく-押上---- か ぎ ん - -- . . i , メド. . デ1 三三 ′ ; ー、 .まて. . . . 図-16 即興歌のリズムと旋律の一パターン. てみると, ほぼ原曲のリ ズム通りに歌われることが, 1歳半前後の子どもにもあり得ることが理解. t rogram を 図 -15 に 示 でき る. 図 -14 と こ の 点 を 比 較 す る ため, 1幼 稚 園 児 が歌 っ た 同 じ歌 の spec. t ch 周波数の違いな どは別として,少なくとも最初の 二呼間 では類 似したリズ す. 倍音の現れ方や pi ムで歌われていることが観察され得るものと思う, l Ll d ‐: a gesang に つ い て,. S児においては歌の一節を模唱するのと相前後して, 日常の嘘語の中にも高低変化に富んだ音声 がみられるようになり, これがやがて, 既製の曲とは異なるけれども明らかに歌っていると思われ 167.
(13) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. ー\. キ. . 、 ● - .. - ニ. コ ,・ . .. ・ ′、 . . . . ・. ・ 、 ▲ . 」 」 ヂニ. 、. ′ -ー . 」 . 、 , . r く. . . ,. ▼ . ~ . -. . 、 、 \ , . ・. ◆ ′, , ,. . 、 ◆. ‘ . ‘ . r J ., ゞ ゞ ,, ’. . . . 行だ浸す. ・r. .. Y {. . ・;. . Y.. 一、. 一〉. も. ! \ ノJ ー 、 1. ′ .. . ー 器rム も も ′ ヒモ ;. 一 、 , , ・ , ;、 二 、 \ . 轟 々ー. も -. \ が- *. { ・ .・ メル .「 ▼- キー. ド. ー. 図一1 7 噸語のリズムと抑場. るものにま で発展していく. しかし, このような所謂 「ことばのあそびから派生」 した旋律は しゃ , べ る こ と と どの よ う な点 で違 っ て い る の か は ま だ不 明 な 点 が 多 い 最 後に 二 つ の spec t r o r a m を通 g . して, それらの相異点が明確になるのかどうかを少し検討してみたい 図‐16は明らかに旋律を口 .. ず さ ん でい る よ う に 聞 こ え る お し ゃ べ り であ る が, こ の 特 徴 は 先 ず 発 声 が 途切れてから次の発声 , が終るま での所要時間が二周期ともほぼ2.5秒と一致する点である このことは, 自発的な歌唱に . も又, 自然的呼吸の周期によっ て規定される発声のリズムがあることを示唆しているものと思われ る. しかし, この点に関してはさらに検討 が必要であろう. 又, b, dの各音声は, 四個の短音と一個の長音からなる五音のパターンを有し ここでも又一 , つのリ ズムを形成しながらそれを繰り返 している. 五個の音は何れの場 合においてもある程度の時 呈を有しており,(勿論, ポルタメ ントのような上下はみられるが) 一定の持続が感じられる これ .. が歌うことの大き な特徴と言われ得 るものかも知 れない. 音高の変化は, dの部分において220. ~230一410~420 の ほ ぼ 一 オ ク タ ー ヴに 近 い .. 一方, 図-17は普通のしゃべり声 で, 図-16に示された如き時間的な周期性 やリ ズム パターンの ようなものの繰り返しはみられな い. 又, 各音の時呈も短く音 高にも例えば最後の-音の如き ほ , ぼ 一 オ ク タ ー ヴに も達 す る 急 激 な変 化 が し ば し ば み ら れる 従 っ て こ の よ う な し ゃ べ り 声 に お い , . て も 旋 律 性 は 非 常 に 豊 か と 言 っ て 良 い も の と は 思う し か し, La l l gesang に み ら れ る 旋 律 が, 純 粋 .. にことばの旋律から生れるのか どうかについては, 子どものことばがほぼ完成された段階でなけれ ば充 分 に は 解 ら な い も の と 思 わ れ る. こ の 点 に つ い て も 又, 今 後 さ ら に 検 討 さ れ る べ き であ ろ う .. W.. まとめ. 乳児期から幼児初期にかけての子 どもに, 歌唱 が現れる過程を, 1幼 児の音声生活を継続的に観 察し, 音響分析装置による分析記録な ども参考にしながら検討してきた が, すでに指摘されている 如く, 初期の泣き声やその後の発声の中にも, 旋律の基礎となる音の高低変化やリ ズムなどが観察 された. とはいえ, 歌唱の原形は言語獲得期の模倣が頻発する中に, 既製の歌の一節を模唱し始め ることに顕れてく るよう である. それ以前の音声は, 時間的にも短く, しかも単発的な発声が多く, 顕著な旋律として認め得るには到らなかっ た. 168.
(14) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について. このような模唱を繰り返す中 で, やがてリズムと旋律を学習し, ことばがまる でない, いわゆる La l l s ang(ララ唱)の形で一応完成される. このようなことが1歳半前後の幼 児にも可能 であると ge いう こ と は 一 つ の 発 見 であ る が, 例 え ば こ と ばの 獲 得 に お い て, 発 音よ り も 語 音 の リ ズ ム と 抑 揚 が. 先に覚えられることを考える時, これと同様の現象が既製の旋 律を覚える場合にも現れるのは む , しろ当然なのかも知れない. これには勿論, 充分な呼吸の調整力 や記憶力など 身心諸機能 の発達 , が必要と思われるが, これは泣き声以来の全音声生 活を通して獲得されてくるものであろう 音楽 . 教育の初期は満1歳前後と言う が(園部)このような点を考慮すると, 生まれた時から始まると言っ ても過言ではないものと思う.. 幼 児の歌唱においては一般 に, 下降旋律が好まれると同時に, 歌うのも容易 であると言われるが , 模唱の初期ではこれと全く逆の現象が観察された。 しかも, この下降旋律の模倣は 単語の抑揚を模. 倣する場合にも同様の傾向 を示した. このような, 下降旋律を模倣することの困難さがS児に特有 の傾向だったのか, 1歳代初期の 子どもの特徴なのかは明確 ではない ことばや歌唱の旋律構造を 。 さらに検討すべきことも今後の課題となろう.. さて, 既製の旋律を歌い始める時期に前後して, これまでの単発的な音声がしだいに時間的長さ と頻度を増してくると,やがて,明らかに歌っ ていると思われるような発声が目立つようになる 1 。 歳代の歌唱の特徴とされる 「しゃべることと 区別 できない歌」 がこれなのであろうが 分析結果を , み る と,」し ゃ べ る こ と と は, 例 え ば 音 声 の 持 続 や 休 止 の 時 間 発 声 さ れ る パ タ ー ン な どの よ う な , , ,. 主としてリズム的な面に, かなり明確な相異が見 られるように思う とはいえ 音声の持続と休止 . , の時間的側面は, 人間の呼吸リズムによっ て規定されるのであり, この点は歌唱においてもおしゃ べ り に お いて も 異 なる と こ ろ は な い た だこ の 場 合 自 由 な 歌 い 方 に よ る 歌 と お し ゃ べ り と では 。 , ,. 呼気と吸気の時間的比率に変化があるのか どうかはなお疑問が残るところである .. 何れにしろ, 本研究は特定の個性 を持ち, 特定の環境に生活する1人の子どもの事例 であり こ , こから得られたものを一般化するま でにはなお深い検討が必要 である さらに, 今回資料とした音 . 声の分析記録に ついても, もっ と別な点から利用することを考えていかなければならな いものと思 わ れ る. 註 1) 中村均 音楽行動 9 児童心理学の進歩 1 77年版第4章金子書房 1977 . 2) 渡辺茂 幼児はうたう. 音楽教育N Q49 . 7全日本音楽教育研究会 . P6. 1976 3) 梅本嘉夫, 新名和子 メロディ ー感の発達研究 口1 音楽教育研究6月号1 1 年 PP20一31 音 楽之 友 社 9 71年 4) 岩淵悦太郎, 波多野完治他, ことばの誕生. 日本放送出版協会 1 9 75 5) 梅本, 新名, 前掲書, 6) 桜林仁 幼児旋律の発生を探る 音楽教育研究, 1 9 6 7年11月号P1 32 , 音楽之友社. 7) 梅本義夫著, 音楽心理学 (誠信書房1 9 67 61より引用) . P4 8) 園部三郎 幼児と音楽 中公新書19 7 4 . 9) 〃 幼児の言語活動と音楽 音楽教育 研究 11月 号, 1970 年, PP12一19. 1 ) 広川正治 美的教育のための音楽の一考察 0. 169.
(15) . 伊藤勝志:幼児初期の歌唱行動について 北海道教育大学紀要第一部25 Q2, 1975 ,N l iker l ingen inunder l te Entwi t 11) H. Moog Beg ck ungdes Mus ebensim Kindes 副t er r s ag . A.Henn Ve . ,Ra l lmono l (カ タ コ 12) しa ト遊 びと も言 われる) ogen .. ) 課題は, 歌唱以外の場合でも全て, 何らかの演奏音楽で提示された, 1 3 14) SG-07 のテ クニカ ルノー トよ り引 用. 1 5) 村田重俊 音声の記録 2 9 関西外語大学研究論集22号, 19 75 , 2, P1 1 0 ) 幼児のことばと発音 6) 村田孝次 (1 97. 培風館. 170. (本学講師・函館分校).
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