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卵黄ホスファッチジルコリン・ビタミンB_1_2摂取による短期記憶能への影響

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Academic year: 2021

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(1)Title. 卵黄ホスファッチジルコリン・ビタミンB_1_2摂取による短期記憶能への 影響. Author(s). 杉山, 喜一; 小黒, 健司; 細川, 佐知子; 佐藤, 和; 増田, 泰伸; 平山 , 修治; 犬飼, 進; 長谷川, 峯夫. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 53(2): 47-53. Issue Date. 2003-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/590. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (自然科学編) 第53巻 第2号. 平成 1 5年 2 月. i勾 of Edu(乳don (NatwaI Sciences) VO1 lof Ho霊山;mdo Umve Jouma s r ‐53 .2 , No. February , 2003. 卵黄ホスフ ァ チ ジ ルコリン・ ビタミン B. 2摂取による短期記憶能へ の影響. 杉山. 喜 一・ 細川佐知子・小黒 平山. 健司・佐藤. 修 治*・ 犬 飼. 和・増田. 泰伸*・. 進*・ 長 谷 川 峯 夫*. 北海道教育大学旭川校 *キユーピー株式会社研究所. tn i tal The Effectiveness of Egg PhosPhatidylchol 1 l l le and Vi ‐ B乾 UPtake. i n shoコ【一tenn ~1e孤Lory j ko HOSOKAW÷A・Yamato SAT0・Yastmobu MASUDA*・ i i oGUR0・Sach Kゴ ロc恒 SUGNrAMA・Ken j d*・ Mmeo HASEGAW A* I IRAYA人心A*・Susuumu 口頭怨むA Sh叫i H. も【aido Umve Ho iけ of Educa亘on r s *Q P Co oranon R&D Di項s i on ‐ . -P ,. Abstract. lcho五1 PhosPhat idy le. ine im suPP亙er of chol Ch) is an i 1口Po忙ant ComPound as a ma ‐ The. lcho丘ne i 〕 nciPal 血g鷲 山ent of PCh,fonns ace切′ le, as a Pr cho丘1. ACh) e ch P1ays a に ni l口Ponantrol , whi. fect of Vi l l dm B隙 ta 〔 ut ro 1m the ef ter m dhe central nenr ous system. Considered f rans【 as a neu に rot. ) on the activation of 化}e ACh synthesis enz α桜. f B12 uPtake is e文Pected i tant use o me , a conco打P. i 「 鱈 i l e ] エ 101γ ry retendon ofll t組di to promot i ous s es have shown that 官 e 立・elnol e廿 e efficacy of PCh‐ Pre ▼ Zheimer def i ic ient mice an山or pat s disease i s mlproved as a res山t of the 釦IProvement ents of AI 2 i is官at ion of PCh and B1 r tt ldy a l j誼 and nelvous system 貸出cdon by the admin 1n s ss l e bra oft ‐ Thi ‐ ‐ ‐ を 〕 Jetes to 立L igate the 出品uence of PCh‐B12 uPtake on shonヒ ‐tenロ 1 1 ・e l エ ー o1γ of nonnal at vest ‐ lege students par TWe1Ve col t 1cipated. 7g ゴ ロed 2 m 仕口s st緑dy- The foods m PCh-B12 group contaj -. l [ucted to mgestthem da江y for 4 weeks PCh and 180耀g B12 e de‐ e subjects were 化lsb ‐ As 化 ‐ A且 せl 顕i ce for the memo 1γ test, a personal comPuter system was used. The character st江口副Lus used was r l ] 丘 for this test shown on 廿l tor screen, lmu t e 36 s e moni randomユy composed of two nu □ c ubers ‐ of t 5 ion were o t 5 were colored‐ The presentadon ta田es of dbe sttm副L us for each e l にPe吐血ental condi ‐ , l o seconds 1 0 ld 2‐ ly ab道 坪 was assessed accordlog to how many ‐ , 1丘 al , respecdvey‐ The memo ion. led in ProPer locat l i were recal colored s住mu As a res l l l l t e levels of plasmLa cho五ne ,仕. m PCh‐B乾 group. becaエロe. 29 6% 超igher a先er dieta1y ‐. ion,i th regards to memo坪 retent t miproved s ion of 位e PCh‐B蹴 for 4 weeks i容D i五‐ a電ni唖strat . Wi l l as the reS i l l L d not change t r l td j i e conロol g士ouP i candyin せ e PCh-B隙 gloup, whereasin t ‐ As we. 47.

(3) . 杉山 喜一・細川佐知子・小黒 健司・佐藤. 和・増田. 泰伸・平山 修治・犬飼. 進 ・長谷川峯夫. i l le 1noly ロロProved as 化 l i beco北le longer t was of 仕口s e×Pe口頭ent e s比mu e Presenta口on tDme oftr .l ,11 〕 ” … le j し Zat ion 出 仕l l nent was mmch c suggested 化lat 官l ee ect of PCh‐B泌 せeat そばer for 立・ e ] エ ー ol e longer ion t ame ofs pmu五 t presentat. ー 〕 d 丘[ ねct us ion of PCh-B乾 for usef The admin ionabniけ i l ロat s eKpected to. develop mーotor sk土us however funher s l t組dy is wa to account these effects 1ばanted to takej 1 , ,. 出 仕ie. r i assessment of t e role of PCh‐B箆.. 緒. 言. 卵 黄 ホ スフ ァ チ ジ ル コリ ン(PCh)及 び ビタ ミ ンB乾(B乾 )との 併用 療法 の有 効 性 に関 して, こ れま で マ ウ ス. を用いた動物実験やアルツハイマー型痴呆症患者を対象とした臨床検査を中心に論議されてきたが, 最近で は健常者とりわけアスリートを対象にした報告もいくつかみられる. その中でわれわれも単純・選択・複雑 反 応 課 題(Sugi ), タ ッ ピ ン グ課 題(杉 山他;2002a )や ス テ ッ ピ ン グ課 題(杉 山 他;2002b), ;1999 yama et 司‐ さ ら に は Ha1 )にお ける PCh‐B乾併用療法の有効性について検討してきた ・d‐eye 協 応 課 題(杉 山 他;2001. . そしてこれら実験結果から, PCh-B惚の併用療法が, 反応課題といった単発的な運動作業よりはむしろ, 連続的でしかも器用性や調整能を要する運動作業においてその効果が発揮されやすい点を明らかにし, PCh‐B. 2の併用療法における運動技能向上のための機能食品としての有用性を指摘した. ところで本研究ではPCh‐B塊の併用療法の新たな効果として, 健常者における短期記憶能の改善に着目 した. 従来の報告の中で, たとえば痴呆マウスを用いた実験では, すでにPChを含む食餌療法によって記 憶 能 の 改 善 が 認 め ら れ て い る(Mon l ). ま た アル ツ ハイ マ ー型 痴 呆 症 患 者 を対 象 に した 臨 ;1996 yamQa et a ‐ r. 床検査でも, 大脳皮質や海馬のコリン系神経細胞の脱落が認められ(W1 ), こ の よう ut ehouse et al ;1982 ‐ な脱落の程度と記憶障害との関連性が指摘されている. さらにフイ ゾスチグミンを含むレシチン投与によっ て, アルツハイマー型痴呆症患者における記憶・学習能力の改善が報告されている(Tha ). こ l et m. ;1983 れら有効性は, 脳内の AChの低下によりコリンが不足状態にあっ たり, 神経機能障害を患っている場合に 認められるものであるが, 外因性のコリン摂取によってこれら障害が改善されるのであれば, 健常者の記憶 能においてもある程度改善される可能性がある. PCh と い っ た い わ ば コリ ン物 質 を主 成 分 と す る レ シチ ン は, す で に ア セ チ ル コリ ン(ACh)の 生 成 に関 与. し, 脳の神経伝達物質として, 自律神経や頭脳の働きを活発化するので, 運動能力を高めるためのいわば機 能食品として市販されている‐ また B乾はメチ ル基転移反応を介して AChの合成に関与し(田代;1 ), 981 )ことなどからPChとの併用による効 その合成酵素活性の賦活作用にかかわっている(Nadeau et aL 988 ;1 ・ 果が期待されている. そこで本研究では, このようなPCh- B乾の併用療法を用いて, 健常者における短期 記憶能への影響について検討し, その有効性に関する基礎的知見を得たい.. 方. 法. 本実験は, 平成1 2年1 2月中旬から平成1 3年1月中旬の4週間, 場所はH教育大学実験室内および体育館で ある. 被験者はH教育大学における体育・生涯スポーツ を専攻している男子学生1 2名である. これら被験者 は, 弱視あるいは色弱・色覚等, 視機能に関して特に異常がみられず, また健康上の問題も認められなかっ た.. 各被験者には, 卵黄コリン& ビタミン B. 2(キユーピー株式会社製, 卵黄レシチン加工食品) が与えられ た. 与 え ら れ た加 工 食 品 は 1 袋1 6g , PCh450mg ‐ , B捻30”g を含 む 粉 末 状 のも の で, 各 被 験 者 は 毎 日 6 袋. 48.

(4) . 2摂取による短期記憶能への影響 卵黄ホスファチジルコリン・ ビタミンB1. )ならびに4週間にわたる投与後 を経口投与するよう義務づ けられた. 実験計測は, PCh‐B隙投与前(Pr e ( Pos t月こ実施し, また血清コリン, B艶濃度を定量するために採血も行っ た. なお本実験は, 各被験者にあ .実験期間中に何らかの異常が認められた場 らかじめ実験内容について説明し同意を得た上で実施されたが, 合には, 必ず験者に報告するように義務づ けた. 本実験課題は, 自作による短期記憶能力テストである. 被験者は, まずコー ド番号を入力し, モニタ上で 実験の説明を受ける. それから予備刺激が呈示され, その後計測開始と同時に6行6列, 計36個の記憶刺激 が同時に呈示される. これら記憶刺激はそれぞれ2桁の数字(白地の背景色に反転表示)であるが, その中の 指定された6つの記憶刺激(赤地の背景色に反転表示)の場所とその数字をできるだ け多く記憶し, 呈示終了 後に回答する. これら記憶刺激の位置は各行・列いずれも1つづっ配置されるように設定された. なお刺激 5秒 の 4条 件 と し, 実 験 試 行 はこ れ ら呈示 条 件 ごと に3 回 づ つ と した. の 呈 示 時 間 は, 2 0秒, 1 5秒, 1 0秒, 0 ‐ ‐ ‐ ‐ 実 験 装 置 は, Micr t Windows95以 上 の OS が動 作 する パ ソ コ ンで ある. 開 発用 のソ フ トウ ェ ア は F‐ osof BAS工C95 (富 士 通 ミ ドル ウ ェ ア 株 式 会 社) で, 一 応 動 作 環 境 と して, メ モ リ が16M翌 以 上, ハ ー ドデ ィ ス. クが23M[ B以上の空き容量があれ ば特 に問題はない. また一連の操作はすべてキーボー ド上で行っ た. 得られたデータについては条件ごとにまとめ, 血清コリン濃度については1標本t検定を用い, また短期 記憶能についてはA要因( PCh‐B乾投与前・後)xB 要因(記憶刺激の呈示時間)の2元配置法(繰り返しあり) によって統計的に処理した. さらにPCh‐B泌投与による記憶能への影響が認められた場合には, 本被験者 とは異なる別のグルー プを対象に, PCh‐B惚の併用療法無しのコントロール条件で再実験を行い, 記憶能 の影響の違いについて比較検討した.. 結. 果. 4週 間 にお よ ぶ 卵 黄 コリ ン & ビタ ミ ン B堰の経口投与による血清成分の影響について検討した結果. , 血清. コ リ ン 濃 度 の 平 均 値(標 準 偏 差)は, 投 与 前 で10 )n1 8( 1 30 l )mno /ml 0( 3 91 l /mlに 上 昇 し, no ‐ ‐ , 投 与 後 は14 . . 29 6%の 上 昇 率 が 認 め ら れた. な お12名 の 内, 3 名 につ い て は血 清 コリ ン濃 度 が わ ず か に減少 し, ま た 1名 .. については5%未満の上昇にとどまっ た. そこでこれら4名を除いた残り8名のデータをもとに分析を行っ た 結 果, そ の 平均 値(標 準 偏 差)は 投 与 前 で11 )mno 1( 2 1 l )nI / lm, 投 与 後 で15 2 5( 9 l /ml を示 し, 血 清 コ リ no ‐ ‐ ‐ ‐ ン濃度 の 上昇 率も39 6%とな っ た. さ ら にt 検定 の結 果, 2 つ の平均 値 の 間で有 意差 が認 め られた( 10 df t =4 = . . , ). 7. 次にPCh‐B。投与の影響として, 短期記憶テス トにお ける記憶量の変化について着 目した. 表1‐は PCh‐B。投与前・後における呈示時間ごとの記憶量を示している. まずA要因とB要 因との間に有意な交 互作用が認められなかっ たことから, PCh‐B惚投与前・後ならびに記憶刺激の呈示時間といっ た条件毎 に 分析を加えた. その結果, 記憶刺激の呈示時間が最も短い条件でその記憶量が最も低く, これら4つの条件 間で有意差が認められた. また平均対による多重比較の結果, 呈示時間の1秒,1 5秒, 2秒の3つの条件間 ‐ では記憶量において特に有意な差は認められなかっ た. さらにPCh‐B泌投与前・後で比較してみると, 0 5 . 秒を除くいずれの条件 においても PCh‐B鷲投与後の方がその 記憶量が大きく, 全体の平均 値でみると PCh‐B乾投 与前2 28に比 べ 投 与 後 の方 が2 63と有 意 に大 き い 値 を示 した. ‐ .. 49.

(5) . 杉山 喜一・細川佐知子・小黒 健司・佐藤. 和・増田 泰伸・平山 修治・犬飼. 進・長谷川峯夫. 表I PCh‐B。投与前・後にみられる記憶量の比較 B要因 条 件. 投与前. A要因. 投与後. 全. 体. 、 記憶刺激呈示時間砂 ). n=8. 全体. 0 5 ‐. 1 O .. 1 5 ‐. 2 O .. 平均値. 1 88 .. 2 50 .. 2 50 .. 2 25 .. 2 28 ‐. 標準偏差. 63 0 .. 71 0 .. 71 0 .. 0 84 ‐. 1 44 ‐. 平均値. 1 88 ‐. 2 75 ‐. 3 00 .. 2 88 .. 2 63 .. 標準偏差. 0 77 ‐. 0 71 .. 0 71 .. 0 63 ‐. 1 41 .. 平均値. 1 88 ‐. 2 63 .. 2 75 .. 2 56 ‐. 標準偏差. 1 18 .. 1 19 .. 1 19 ‐. 1 48 ‐. ), P=0 01I A :F;6 77(df,=1, df 2=56 . . ), P〈0 B :F=8 00I 86(df,=3, df 2=56 ‐ . A x B :F;1 10(df,=3, df ), P=0 35 2=56 . ‐. PCh‐B, 2投 与 の 影 響 が み ら れ た こ と か ら, コ ン トロ ー ル と して PCh‐B協無 しの 条 件 で 短期 能 力 テ ス ト を. 4年1月 中旬に2 2月 中旬に1回目を行い, その4週間後の平成1 3年1 別のグルー プで実施した. 計測は平成1 回 目 を 行 っ た. 表 2 は コ ン トロ ー ル 群 の記 憶 量 を示 して い る. そ の 結 果, PCh‐B捻摂 取 群 と 同 様 にA 要 因. とB要因との間には有意な交互作用が認められなかった. また記憶刺激の呈示時間についても4条件で有意 5秒, 2秒といったそれぞれの条件間では特 差が認められ, 0 5秒の呈示条件で最も記憶量が少なく, 1秒,1 ‐ ‐ 59 に有意差は認められなかっ た. しかもPCh‐B銘投与前・後で比較 して みる と投与前の平均値が2 ‐ , 投与 後も2 59で同じ値を示し, 有意差は認められなかった. ‐. 表2. コントロール群における記憶量の比較 B要因. 条. 件. 1回目. 2回目 A要因 全. 体. 全体. 0 5 ‐. 1 O .. 1 5 .. 2 O ‐. 平均値. 2 00 .. 2 75 .. 2 88 .. 2 75 .. 2 59 ‐. 標準偏差. 84 0 ‐. 0 77 .. 0 71 ‐. 0 00 .. 1 34 ‐. 平均値. 2 00 ‐. 2 63 .. 3 00 .. 2 75 ‐. 2 59 .. 標準偏差. 71 0 .. 0 71 .. 0 71 .. 0 71 ‐. 1 41 ‐. 平均値. 2 00 .. 2 69 ‐. 2 94 .. 2 75 .. 標準偏差. 0 71 ‐. 1 00 ‐. 1 05 .. 10 1 .. A :F=0(df,=1,df2=56), P=1 0O . ), P〈0 00I B :F;986(df,=3, df2=56 ‐ ), P;0 92 A x B :F=0 15(df 2=56 .=3,df ‐ ‐. 50. 記憶刺激呈示時間(秒). n;8.

(6) . 卵黄ホスファチジルコリン・ビタミンB12摂取による短期記憶能への影響. 考. 察. 血 清 コ リ ン濃 度 に 関 して い え ば, 今 回 の よ う に1 袋1 6g , PCh450mg , B賜30“g を含 む 粉 末 状 の 卵 黄 レ .. Su惇y シチン加工食品を1日6袋, 4週間にわたって投与した結果, 固形乾燥食品の場合( a mQa et al ; 1999 ‐ , )と同様, 概ね3割程度の上昇が明らかになった. ただし1日分の固形乾燥食品におけるPCh 杉山他;2001 7gであった. このことから, 固 の含有量は5g ‐ , 本実験で使用 した粉末状のレシチン加工食品の場合には2 形乾燥食品と比べ, 粉末状のレシチン加工食品の方が血清コリン濃度をより効率よく上昇させる点が明らか にな っ た.. ところで被験者1 2名のうち4名については, 血清コリン濃度において特に大きな変化が認められなかった. この理由として, 4週間におよぶ各被験者の食事内容や生活行動などがそれぞれ異なっており, 加工食品に ついても被験者それぞれが飲みやすい方法を用い, しかも自由なタイミングで摂取していることなどが考え られ, 個人差等の問題も含めて, 摂取方法の違いによる影響についても今後詳細に分析していく必要がある. さてこれら被験者を除く残り8名の血清コリン濃度は, 平均で約40%近い上昇率を示したことから, コリン 濃度の上昇が認められた被験者に限定して記憶能への影響について分析することの意義は非常に大きい. そ 5%増加し, 血清コリ こでこれら被験者の記憶量の変化に注目すると, PCh‐B. 2の併用療法後に記憶量も約1 ン濃度の上昇に伴う記憶能の有意な改善が認められた. その一方で, コントロール群については, 記憶量に おいて有意な差がみられなかっ た. これらの結果は, PCh‐B墜の併用療法 が短期記憶能の 向上を促す可能 性を示唆するものであるが, 今後はさらに被験者の数を増やしつつ, 様々な記憶検査法を用いてさらなる分 析をすすめる必要がある. 特に記憶検査については, 記憶材料や刺激の呈示方法を中心に, これまで各研究 者の意図に応じてさまざまなかたちで工夫され機械的に操作されてきた. 憶える材料(刺激)を学習し億え込 む(記銘) , その後で刺激を思い出す(想起)といった, , そしてそれらを一定の遅延のあいだ億えておき(保持) 記銘-保持-想起といった3つの段階はこれまでの記憶検査の基本的枠組みとされてきた. もしもコリン濃 度の上昇が記憶能の改善に大きく貢献するのであれ ば, これらいずれかの段階において大きく影響している 可能性がある. )は, 30名の被験者を対象 に, 瞬間視( 0 1秒)という刺激の呈示時間を極力短く した条件で 杉山( 1 998 ‐ PCh‐B乾の併用療法後の記憶能への影響について分析している. その結果プラセボを与えられたコントロー ル群もPCh‐B. 2を含む固形乾燥食を与えられた実験群も, 記憶量において有意な変化を認めていない. 記 憶刺激の呈示時間に関していえば, 通常呈示時間が長くなればなるほどその記憶量は増大することが知られ )が, 本 実 験 で は, 瞬 間視 と 違 っ て0 て い る(岩 瀬他;2000 5秒 か ら2 0秒 に設 定 さ ‐ ‐ , 杉 山;1999 , 杉 山 他 1999. れていることを考慮すれば, PCh-B賜の併用療法による記憶能への影響は, 刺激呈示時間と関係があるか も しれ な い. そ こ で 表 1 に注 目 して み る と, 0 5秒 と い っ た 刺 激 の 呈 示 時 間 が 短 い 条 件 で は, PCh‐B乾の 併用 療 法 に よ ‐. る影響はみられず, むしろ刺激の呈示時間が比較的長い条件でその効果が大きい. 記憶刺激の呈示時間が長 いということは, 記憶材料を学習して億え込むといっ たいわば記銘処理にかかる時間がその分だけ多いこと を意味している. 瞬間視のように刺激の呈示時間を極力短くした場合には, 記銘処理の時間が極度に制限さ れ, PCh‐B乾の 併用 療法 の 効 果 が 及 ばな か っ た の で あろ う. PCh は単 なる ACh の前 駆 体 と して だ けで はな. ) 99 4 く, 神経細胞や核膜の主成分として重要な物質であり(Can夢;1 , 脳の神経系の機能維持には欠かせな Ly )の い成分である. しかもPChを含む組成物が核膜の流動性を高め, 神経伝達に影響を与える( 98 5 t e ;1 であれ ば, PCh‐B泌の併用療法によるコリン濃度の上昇は, 記銘処理によっ て保持される段階で何らかの 影響を及ぼしているかもしれない.. 51.

(7) . 杉山. 喜一・細川佐知子・小黒. 健司・佐藤. 和・増田. 泰伸・平山. 修治・犬飼. 進・長谷川峯夫. さて本研究では, 運動経験豊かな アスリートにおける記憶能の向上について, PCh‐B塊の併用療法を用 )が 指 摘 して い る よ う に, 記 憶 はわ れわ れ の 運 動 技 能 を論 じる 上 で 重 i l ddt い て 検 討 した. Sch 1991 , R‐A‐ (. 要な概念であり, これら記憶特性への理解は, 情報プロセッ サーとされるアスリ ートのパフォーマンス に関 する論議においても不可欠である. 多くのプレーヤーは, 膨大な外部情報に対して戦術的に重要な手がかり を中心に注意をしむけ, それらを意図的に保持する. 記憶情報は, 記憶容量の範囲内で一定量保持されるが, 新たな記憶刺激に対しては, 記憶容量を超えた段階で, これまでの記憶情報と照合し取捨選択しながら記銘 処理を行う. 刺激を随時察知し, それらを短時間で正確に識別・解釈し, 素早く的確に反応行動を起こすと いった情報処理能力が重要視される状況では, 記憶情報が反応行動を決定する上で重要な手がかりとなる. 記憶の働きも, おそらく本来 「知覚」 「思考」 といっ た認知活動と切り離すことはできず, むしろそれら は 情報 処 理 の 一 環 と して 理解 さ れて いる(森;1995 ). 今 回 PCh‐B賜の 併用 療 法 によ っ て15% の記 憶 量 の増 加. が認められたが, 記憶能改善に伴う認知的活動への影響も考 えられ, スポーツ場面 における認知的活動にお いて, このような記憶能の向上がどのような影響を及ぼすか, 今後興味が注がれるところであろう.. 要. 約. 従来の報告では, 4週間に及ぶPCh‐B鷲併用療法により, 敏捷性や協応性に関わる運動技能の改善が認 められるなど, それら有効性に対する関心が高まっ ている. また脳内の AChの低下によりコリンが不足状 態にあっ たり, 神経機能障害を患っ ている状態にあるアルツハイマー型痴呆症患者や動物を対象にした実験 でも, 記憶能の改善が報告されている. そこで本研究では, PCh‐B捻併用療法による血清コリン濃度の変 動傾向を明らかにするとともに, 健常者を対象に短期記憶能への影響について検討した. 被験者はH教育大学に所属する12名のアスリートである. 実験で使用した記憶能力テストは自作によるも 6の記憶刺激のうち色分 ので, 実験装置はパソコンシステムを用いた. なお刺激記憶は2桁の数字を用い, 3 けされた6つの記憶刺激について, 刺激呈示後その位置と数字を正確に回答させた. 刺激呈示時間は0 5秒, . 1 0秒, 1 0秒 の 4条 件 で 設定 した. 5秒, 2 ‐ . ‐ )nl )mnov l 0( 3 l 6%の 上 昇 PCh‐B艶併用 療 法 の 結 果, 投 与 前 で は10 8( 1 30 91 / no nlで29 lm, 投 与 後 で は14 ‐ ‐ ‐ . .. が認められた. また血清コリン濃度において特に大きな変化がみられなかった4名の被験者を除くと, その 上昇率は39 6%を示した. そこで残り8名の被験者に対して, 投与前と後の記憶量を比較した結果, 記憶能 ‐ が有意に改善されており, その効果も刺激呈示時間が長い条件で大きい傾向を示した. なおコントロール群 の記憶量においては特に有意な変化が認められなかっ た. PCh は単なる アセ チルコリンの前駆体として神. 経伝達系に影響を与え, しかも神経細胞や核膜の主成分として脳の神経系の機能維持には欠かせない成分で もあり, コリン濃度の上昇は, 記銘処理によって記憶情報が保持される段階で何らかの影響を及 ぼしている かも しれな い.. 参考文献 l ) Lec lm a 1994 lmein ht dd i Czmザ, D.J i i thm a I Id ze se I 1d cho lman hea l l sease . .a . H.( . Nuロ. Revり 52 ,327-339 ,S r f h l n l 1 1 ‐ 1 1 l T A I Z h i m d i d i d i nm 口 S i 2 9 1 8 4 9 0 Coy 紙 ( ) l J t 1 9 3 m 8 e e c o e r c e r v a o n c e n c e e e r s e a e o r e ro s s s a ;a c o g . . . . . , ,. 岩瀬雅紀・高井 茂・杉山喜一( ) 視覚における記憶能力の基礎的研究,一短期記憶に関する刺激呈示時間の影響一‐ 束京理科大学紀要(教 2 00 0 養筋) . ,32 ,213‐222 i ll 33-1 38 Lyt im. Bi ) A spec ip i d mi X創lef d sh 1 8 ta 9 5 im惚卿, M.( eme 豊山電Zauon a or membr ophys och e 1 1 .Bi . Ac . . ,812 ,1 , M.a. ) 記憶のしくみ, (高野陽太郎編) 認知心理学2 記憶, 記憶東京大学出版界 pp.9‐26 森 敏昭( 1 99 5 .. 52.

(8) . 卵黄ホスファチ ジルコリン・ ビタ ミン B12摂取による短期記憶能への影響 Mo贋yamQa i bu t t 2m, K. Ma smno o lmg a 1 ・d . . . , T. , Ue , Y. , Ch ,S , Uem, E. , Miyag ,S , Uza , Mり Masuda , Y. , KO類l ,T , Tzm誠に , Tっ a Yz 1996 ) E茸ec l l n ] i t t l = ] i i Iman Qo o s ofd e”キ ー y pho cho e on memo ryin memoぴ deac entn 1 ce mm l ow br am aceけl cho e ≦mhandy ,( ,S f I1‐1 18 i i concen立anon e Sc ence ‐L . ,58‐6 ,PLI Nad d Robe 1 ) 988 i I D ] f t in e狛u I ・ rge 1m s of 頃t a n B。 suppl ementanon on cho e aceぴlmms e rase acn頃夢 m cat bra ‐ E茸ec , A.a , A‐ G‐ ( . 無t t t ema ‐ Nu立. Resっ 58 ‐1 ‐ Vi . ,402‐406 fo l 1991 ) d pe l Sch dt も=c t i ng aI ni Ini ー I rma I 1 ce :Fr om pr est op orl ea r acnc p e mo p烈額, 乱:H 皿an Kinencs Books ‐ Mo , R‐ A‐( ‐Cha ,. 杉山喜一( ) 学習・運動パフォーマンスに対する卵黄レシチンの影響‐ 平成1 1 9 9 8 0年度財団法人旗影会研究報告資料. 杉山喜一( ) 短期記憶に関する刺激呈示時間の影響‐ 北海道教育大学紀要(自然科学編) 1 9 99 - 2 7 ‐ 2 9 8 ‐ ,4 ,7 杉山喜一・岩瀬雅紀・高井 茂( 1 ) 短期記憶に関する刺激呈示の影響(その2) 9 9 9 - 4 3 3 7 . 北海道体育学研究3 . ,3 ピング課題における 杉山喜一・増田泰信・平山修治・犬飼 進・長谷川峯夫( ) タ ジ 200 2a テ フオスファ イ ルコリンおよびビタミン B乾投与 . ッ 2- 2 ‐9 1 の有効性, 北海道教育大学紀要(自然科学編) 5 . ,5 ,8 ).Thee賃ecnvenessofyo Su淳yamQa 1 999 1k phospha口dy l l p ] d 西t i I E ou 1 ・d Kawz皿1wa cho n Bせup- ea l l l a , K‐ , Masuda ,Y. ,KmI , M.a , M.( d 1 take m r l j i eacnon 症met z sks ngs .3 ASPASP P士oceed . ,228-230. 20 1 ) 杉山喜一・門間幸弘・増田泰信・久能昌期・川村 満( 0 d‐ l l e ye課題におけるフォスファテイ ジルコリンおよびビタミン B盟投与の有 ‐Ha 効性, 北海道教育大学紀要(自然科学編) ‐ 1 - 2 2 5 9 ‐ ,5 ,8 杉山喜一・小黒健司・細川佐知子・増田泰信・平山修治・犬飼 進・長谷川峯夫( ) 2 0 0 2b ‐ ステッピング課題における卵黄フォスファテイ ジル コリ ンおよびビタミ ン B。投与の有効性, 北海道教育大学紀要(自然科学編) ‐ 3- 1 6 . ,5 ,1 1 9 8 1 ) 田代真一 ( ‐ 30 3 9 ‐脳神経系におけるメコパラミチンの代謝と作用. 神経系とメチル B捻 pp . , 協和企画通信, 東京. Th司, L ) ora 1993 l physosug Jり Fmd i i比ーm i t 司. ( i 2he ≠ = ime ne al l ld l ec n i rd prove memoぴ in A1 s e a se ‐ , P‐A‐ , Masw, D.M. e . 血粗 Ne 1 ミ カ ヒ o . ,13 ,491‐496 ,1983 f 1982 ) A1 zhe i頭e i d semle demenna Wmt ia Sc i 5 237‐1 239 r sd sease a r 1 ehous e o r ebra ence21 ;Lossof ne証ons m basm f ,PJ.et 心 ( ‐ ,1. (杉山 喜一 旭川校助教授) (細川佐和子 旭川校大学院生) (小黒. 健司 旭川校大学院生). 旭川校大学院生). (佐 藤. 和. (増田. 泰伸. キューピー株式会社研究所). (平山 修治. キューピー株式会社研究所). (犬飼. 進. キューピー株式会社研究所). (長谷川峯夫. キューピー株式会社研究所). 53.

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