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難聴学級在籍児童の障害認識を支援する取り組みに関する調査

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Academic year: 2021

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(1)難聴学級在籍児童の障害認識を支援する取り組みに関する調査.                    専  攻  特別支援教育学専攻.                    コース 心身障害コース.                    学籍番号  M08109G                    氏 名 細見 美貴子 I.問題と目的  難聴学級在籍児童は、難聴学級と通常の学級 で生活しており、両方に所属意識を持っている. 観察によって、難聴学級児童の障害認識を支援 する取り組みについて整理を行いたい。 皿.方法. と考えられる。美濃・鳥越(2007)は、このよう. (1)対象者. な環境で、友人関係、学習、障害認識の3つの 課題があるとし、特に障害認識に関しては、難.  3小学校の難聴学級担任4名(いずれも地域. 聴児たちはコミュニケーションが困難な場面 を多く経験せざるを得ず、否定的に自分の障害 を認識していると述べている。また、松本 (2001)は、日本語の読み書き能力を標準以 上に獲得している児童であっても、健聴者の自. 然な形の音声コミュニケーションについてい けないという厳しい現状があり、一人の人間と してのポジティブ・セルフ(肯定的な自己像). 獲得の機会を奪ってしまうことにならないの だろうか、と述べている。.  田原(2002)は、難聴児の通級指導での障 害認識を目的とする授業と通常の学級での聴 覚障害理解教育の実践を行い、結果として、学 級全体の成長を支援することにもつながった と、その成果を述べている。しかし、その取り. 組みの過程について専門性と経験の必要性を 述べている。.  難聴児教育の現状として、文部科学省 (2007)の調査によると、難聴学級が全国で 473学級と少なく、特別支援学級担当教員の特 別支援学校教諭免許状保有率は、聴覚特別支援 学校教員の46.5%と比べ34.2%という実態で ある。また全国公立学校難聴・言語障害教育研 究協議会調査によると、難聴教育担当の経験年 数が3年未満の教員は過半数を越えている現 状が何年にも渡って報告されている。多くの難 聴学級が1人の教員によって運営されている ことを考えると、難聴学級において専門1性の保 持が難しいのが現状であろう。  このように専門性の保持が乏しい難聴学級 でも、障害認識を支援する取り組みを整理した プログラムがあれば、各学校での取り組みがす すめやすいと考える。.  そこで本研究では、通常の学級の担任と難聴 学級担任に対するインタビューと授業の参与. のセンター校で、難聴学級在籍児童数について. はX小学校11名、Y小学校4名、Z小学校8 名)および通常の学級の担任12名、校長1名。 (2)調査手続き.  面接調査は2008年9月から2009年3月に 行った。面接場所は対象者が指定する場所(小 学校の会議室・難聴学級教室等)であった。面. 接は、30分から1時間程度の半構造的面接で あった。難聴学級担任、校長については、複数 回面接を行った。主な質問項目は、難聴学級在 籍児童の通常の学級での様子や取り組み、障害 認識に関する授業実践の内容・成果・課題、通 常の学級の担任との連携についてであった。難. 聴学級の参与観察は2008年6月から2009年 9月に行った。インタビューと参与観察で得ら れた資料は文章に書き起こし、オープンコード 法(犬木,2006)により分析した。 皿.結果と考察 1.エピソードの概略.  面接の総時間数は約20時間、総観察時間は 約100時間であった。抽出されたエピソード が251あり、コードの分類の結果、r本人へ の直接的な支援」と「周りの障害理解を促進す るための支援」の2つに分けられた。 2.本人への直接的な支援  このカテゴリーでは、通常の学校においては、 r聴覚障害児がわかる条件設定」、rコミュニケ ーション」、r自己像の形成のための学習」によ り、情報保障1伝え合える手段の保障、きこえ ない自分を認めていくことをねらいにした取 り組みが必要であることが、具体的な事例を挙 げて述べられた。そのためには∵難聴学級担任 と通常の学級の担任が連携することの必要性一 が示されている。また、自己像の形成のための 学習の申の自己の認識に関する学習について は、一人一人に合わせた段階的な指導が必要で. 一216一.

(2) あることが示されている。. 3.周りの障害理解を促進するための支援  このカテゴリーでは、難聴学級担任は教師の 理解促進のための取り組みと、友だちの理解促 進のための取り組みをしていることが述べら れた。難聴学級担任は教師の理解促進のための 取り組みと、友だちの理解促進のための取り組 みをしていることが述べられた。友だちの理解 促進のための取り組みでは、難聴学級担任と通 常の学級の担任との連携により、より多角的な 視点で継続的に話をすることができることが 示されている。. 4.難聴学級在籍児童への支援についての通常  の学級の担任と難聴学級担任の観点  このカテゴリーは、更に「聴覚障害児がわか る条件設定」、「コミュニケーション」、「自己像. の形成のための学習」の3つのカテゴリーに分 けて、整理した。違いが見られたコードは、通 常の学級の担任が、友だちや教師とのあるがま まの関係の中でのお互いの気付きによる行動 に着目していることに対し、難聴学級担任は、 聴覚障害児にも、聴児・者にも意図的な働きか けをしているという特徴が見られた。また、共 通性が見られたコードは、難聴学級担任が研修 会等で啓発している内容であったり、連携して いる内容であるという特徴が見られる。  学習面では、難聴学級・通常の学級ともに、 音環境が整備された中で視覚教材の多用化等 の取り組みをしている。通常の学級での情報の 漏れに対しては、難聴学級担任は予防に着目し ている。通常の学級の担任は、対策に着目して いる。その中でも、通常の学級の中で伝え合う 関係を目指しているという方向性は共通して いるが、通常の学級の担任は、クラス全体の温 かい関係づくりの中で、お互いに伝え合うこと で補えると考えており、難聴学級担任は、友た ちによる支援ができるようになるには、段階的 な指導が必要であると考えている。生活面では、 難聴学級・通常の学級ともに見通しが持てるた めの工夫と、聴児と同じ生活指導がされている。. 5.周りの障害理解を促進するための支援につ いての通常の学級の担任と難聴学級担任の観 点.  このカテゴリーは、更に「教師の理解促進の ための取り組み」r友だちの理解促進のための 取り組み」の2つに分けて整理した。「教師の 理解促進のための取り組み」では、難聴学級担 任のみの発言となっており、通常の学級の担任 は着目していないと言える。友だちの理解促進 のための取り組みでは、通常の学級の担任は障. 害を一人一人の違いと捉えているのに対し、難 聴学級担任は聴覚障害の特性から具体的な指 導や支援に繋げるための観点を持っていた。  このことについて、通常の学級の担任はあり のままの児童を受け入れようとしており、難聴 学級担任は周りの理解のための研修や学習を 必要と感じていることが示されている。. 1V.総合考察 1.難聴学級在籍児童の障害認識を支援する取 り組みについて  難聴学級在籍児童の障害認識を支援する取 り組みの中で、計画的に進めていける内容につ いて考察する。学習面についての友たちによる 支援の体制づくりには、原田・足立(2006)が 述べているように、聴児の聴覚障害児に対する 意識の変化を段階的に考えることと、聴覚障害 児への指導や支援を合わせた取り組みが必要 である。また、手話を聴覚障害児と聴児が一緒 に学習することを継続することで、美濃・鳥越 (2007)・杉田(2002)・松本(2001)が述べて. いるような、コミュニケーションが困難である ために否定的に自分の障害を捉えることが軽 減されるのではないだろうか。自己の認識に関 する学習については、田原(2002)・久保山 (2005)が述べているように、障害認識を目的 とする授業と通常の学級での聴覚障害理解教 育を連続的に考える必要がある。教師の理解促 進のためは、計画的に研修の機会を設ける必要 がある。友だちの理解促進のためには、教科学 習に関連させて学年に合った内容のことを計 画的に取り入れられる。聴覚障害児・者の好ま しい発達を考えるためには、坂田(1990)が述 べているように、漸成的な発達観を構築する必 要があり、聴覚障害児本人の発達観と周りの聴 児の発達観を合わせて考えた取り組みが必要 であることが示された。. 2.今後の展望  小学校で障害認識を支援するためのプログ ラムを作成する場合、聴覚障害児・者と聴者・ 児の聴覚障害児両方の漸成的な発達観を構築 し、それぞれの発達段階に見合った内容のもの が必要であると思われる。それとともに、二一 ズに応じた柔軟な対応も必要である。設備・難 聴学級在籍児童数・学校規模等、学校によって 異なる環境と、一人一人違った特性をもつ聴覚 障害児本人の実態や二一ズに、よりぴったりと くる取り組みを進めていくべきであろう。. _217一. 主任指導教員 鳥越 隆士. 指導教員鳥越隆士.

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