兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(6)
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(2) 178. 郵送し,記名返送を依頼した。 (2)調査対象:神戸市内の中学校及び高等学校のうち, 吹奏楽部のある学校(中学校82校,高等学校41校, 合計123校)を対象とした。 (3)調査時期: 1995年12月 (4)調査用紙の回収結果:中学校69校(84.1%),高 等学校35校(85.4%) (5)調査内容:設問は選択肢によるものと記述式によ るものがある。内容は I顧問教諭自身のことについて(井手口) Ⅱ学校及び吹奏楽部について(鷹尾・岡田) Ⅲ地震と吹奏楽部との関わりについて Ⅳ顧問教諭自身の意見(in・iv竹内)の4部分に より構成されている。 ( )内は集計・分析の各担当者名である。 3)これまでの研究経過 (1)アンケート調査実施:1995年12月 (2)アンケート用紙回収終了:1996年4月 (3)研究口頭発表「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震 災)による学校吹奏楽部の被災状況とその後の活 動状況に関する調査」学校教育学会第9回研究発 表大会,兵庫教育大学, 1996年1 1月 (4) 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学 校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関す る調査( 1)」 『学校教育研究Vol.8』学校教育学 会, 1997年11月 (5)研究口頭発表「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震 災)による学校吹奏楽部の被災状況とその後.の活 動状況に関する調査(2)」学校教育学会第10回 研究発表大会,神戸国際展示場, 1997年11月 (6) 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学 校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関す る調査(2)」 『学校教育研究Vol.9』学校教育学 会, 1998年10月 (7) 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学 校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関す る調査(3 )」 『兵庫教育大学研究紀要第19巻第2 分冊』兵庫教育大学, 1999年2月 (8) 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学 校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関す る調査(4)」 『香川大学研究紀要第31号』香川大 学, 1999年3月 (9) 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学 校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関す る調査(5)」 『学校教育研究Vol.10』学校教育 学会, 1999年(投稿済み,印刷中)′. 凡例 ア,分析にあたっては,中学校,高等学校のデータを それぞれの学校が所在する区ごとに分けて集計し た。 ィ,アンケート中の回答の具体的記述内容を文中に引 用する際は『 』でくくることとした。 Ⅱ集計結果 1)回答総数 設問Ⅲ 「先の地震と吹奏楽部とのかかわりについて, 先生のご意見・ご感想を自由記述してください。」に対 する回答総数は,以下の通りであった(表1参照)0 m印g. 東 灘 区 灘区 中 央 区 兵 庫 区 北区 3. 1. 2. 3. 長 田 区 須 磨 区 垂 水 医 西区 5. 2. 4. 1. 3 T 24. 2)集計・分析 回答総数は上記の通り24であった。集計・分析にあたっ ては,すでに発表済みの「設問Ⅲ中学校」と同様の方法 を採用することとし,次のような6つの側面と22の項 目を設定した。 (1) 6つの側面と22の項目の設定 自由記述の内容を吟味した上で,全体像を鮮明にする ために次の6つの側面を設定することとした。それらは, ①プラス思考②マイナス思考③支障をきたした・被 害状況④考えさせられた・心配した⑤ボランティア 関連⑧その他・特になし・分からない である。 ① 「プラス思考」は,地震により何らかの成長・発達・ 発展,及び何らかの生産的な面を見て取ることがで きた,さらには,音楽の必要性などを再認識したと いう内容のものである。 ② 「マイナス思考」は,その逆の内容のものである。 ③ 「支障をきたした・被害状況」は,被害状況の有無 とその内容,支障をきたした内容,不便を感じたこ と,などについて記述されているものである。 ④「考えさせられた・心配した」は,プラス・マイナ スに拘わらず,これまでのバンド指導のあり方,部 活動のあり方について考えさせられた,あるいは, 部員や部のことを気に掛けた・心配した,などとい う内容のものである。.
(3) 兵庫県南都地震(阪神・淡路大震災)による学校吹奏学部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(6). ⑤「ボランティア関連」というのは,何らかの形でボ ランティア活動をした,するべきであった,または, したかったという内容のものである。 (◎ 「その他・特になし・分からない」は,上記以外の. 179. ①∼③の側面は,それぞれ, 「音楽外的な内容」と 「音楽的内容」の2側面に分け,前者についてはさらに, 「精神面」 「学校外」 「学校内」 「部内」の4つに仕分けし, 以下の2 2の項目が結果的に設定された(表2参照)0. ものである。. (表2) A. プラス思考. 音楽外的. 精 神 面. B. 学 校 外. C. 学 校 内. D. 部 音 楽 的. E F. 内. マ イナス思考. 音楽外的. H. 学 校 内 部. 内. 音 楽 的. ∫ 支 障を きた した . 被害状況. 音楽外的. 0 精 神 面. L. 学 校 外. M. 一学 校 内 部 内. N. P. 1. 21. 音 楽 的. 0 考 え させ られた . 心配 した. 音楽外的. 23 精 神 面. Q. 学 校 外. R. 学 校 内. S. 部. 内. 2. 2. 音 楽 的. T. 16. 精 神 面 学 校 外. K. 9 5. G I. 2. 4. U. ボ ランテ ィア関連. 7. 7. Ⅴ. そ の他 . 特 にな し . 分 か らない. 3. 3. 53. 但し、右端の数字は、それぞれの記述数である。 (2) 6つの側面の数的比較について 自由記述された回答(重複可)の内容は,上記の通り 53個であった。それらを前述の2 2項E]に仕分けし,多 い順に並べてみると, 「支障をきたした・被害状況」 23, 「プラス思考」 16, 「ボランティア関連」 7, 「考えさせ られた・心配した」 4, 「その他・特になし・分からな い」 3, 「マイナス思考」 0,という結果であった。 高校に関しても,中学校の結果とはぼ同様の傾向を見 て取ることができた。それは,地震による吹奏楽部(音 楽)活動への影響として,何らかのプラス思考として捉 えている記述が多かったということであり(中学は28個), 逆にマイナス思考として捉えているものが全く無かった (中学は3個)ということ-である。マイナス思考が極端 に少なかった理由については,中学校の分析において述 べた通り,学校教育という現場を考えた場合,教師とし て,この度の地震と吹奏楽部との関連をマイナスとして. 捉えるのではなく,少なくとも,前向きに捉えようとす る姿勢の現れか.あるいは,わざわざ自由記述したくな いという心情が潜在的に働いていたといえるかもしれな いのである。 高校の特記事項としては, 「支障をきたした・被害状 況」が最も多く記述されていたことである。 (3)各項目別数的比較について 22個の各項目について数的比較をしてみると,上記の 表2の通りであった。数の多い順に並べてみると,以下 の通りとなる。.
(4) 雰囲気づくりをしてほしかった。 N : 支 障 を き た した (被 害 状 況 の 有 無 、 不 便 を 感 じ た こ と)、 部 内. 21. D. : プ ラ ス思 考 、 部 内. 9. U. : ボ ラ ン テ ィ ア関 連. 7. E : プ ラス 思 考 、 音 楽 的. 5. V. : そ の他 、特 に な し、 分 か らな い. 3. A : プ ラス思 考 、 音 楽 外 的、 精 神 面. 2. P : 考 え さ せ られ た . 心 配 した 、 音 楽 外 的 、 精 神 面. 2. S : 考 え させ られ た . 心 配 した 、音 楽 外 的 、 部 内. 2. K : 支 障 を き た した 、 音 楽 外 的 、精 神 面. 1. 0 : 支 障 を き た した 、 音 楽 的. 1 計. 53. 【長田区】被災者第-,被災者への配慮は当然だが, 生徒たちにとっては,部活動ができること が,第一の復興なのだと思う。 【長田区】普段,当たり前のように活動していたクラ ブが,いざ活動できなくなってしまうと (1-3月ごろ),生徒たちはもちろん顧問 も早く練習がしたいと思うようになり,そ してやっと4月に開始したときには,生徒 達の満足した様子が印象に残っている。 [被害状況,被害有り] 【東灘区】 2 ・ 3年生の部且中自宅全壊者4名,半壊 者5名と約三分一の生徒が被害を受け,他 にも父親が死亡したり,親の職場が大きな 被害を受けたり,あるいは避難先から通学 してくる部員などがいて大きな影響を受け lit,. 「N :支障をきたした,部内」が21個で,第1位であっ た。中学校の集計では, 「Q:ボランティア」が第1位 (13個)であったことと比べて特筆されるところであろ う。第2位は, 「D:プラス思考,部内」 9個であった。 続いて, 「U:ボランティア関連」が7個となっている。 「E:プラス思考,音楽的」が第4位で5個であった。 一方, 「マイナス思考」に関する各項目は,皆無であっ た。災害に向かって前向きに生きて行こうとする高校教 師の力強い姿勢を,われわれは痛切に感じさせられたの であった。. 【東灘区】地震のため,部室はメチャクチャになり, 楽器類は棚から飛び出るなど悲惨なもので した。 【灘区】かけがえのない部員を1名失ったことは痛恨 のきまみであったが,追悼式には市と県の吹 奏楽連盟の代表者が参列して下さったり,各 方面からお見舞いをいただくなど,吹奏楽に たずさわる者同士の連帯感の強さを感じ嬉し かった。. (4)各項目の内容的特徴について 22の項目について,その数的な特徴については前述の 通りである。ここでは,それらの項目について書かれて ある内容を紹介することによって,各々の項目の特徴を 浮き彫りにしてみることとする。ただし,数の多い項目 順に記述すると共に,回答文のうち,各項目に当たると 思われる部分のみを抜き書きすることとした。さらには,. [被害状況,被害無し] 【北区】先ず,学校に出勤して楽器庫の中で破蝦の様 子を調べたが,たくさんひっくり返っていた わりには,ケースに入った状態であったので ほとんど助かった。このことはホッとした。 (けっこう個人持の高価なものも含まれてい たので). 紙面の都合上,内容を変更しない範囲内で,文言を一部 修正・省略した箇所もいくつか存在している。. 【垂水区】本校は被害が比較的少なかったので,影響 がなかった。. ① N:支障をきたした(被害状況の有無,不便を感 じたこと),部内-21個. [部運営に支障,及び,不便・不自由を感じた] 【東灘区】反面今年も3月23El (土)に神戸文化ホー ル(小)で第3回の定期演奏会を開く運び になりましたが,中々練習に部員が集中で きていません。これからたてなおしていき たいと思っています。. [演奏(会) ・コンクール,及び,部活動への切望] 【東灘区】演奏活動のできる場所の情報提供がはしかっ m 【東灘区】アンサンブルコンテストを全国的に日程を ずらすことで,県大会を何とか実施してほ しかった。辛いとさほど,音楽をしたいと 思うものです。 【長田区】地震後,部活動をもっと早く活発に始める. 【兵庫区】本校では,部員に家屋の被害の大きかった ものが, 2-3名いたが,けがや楽器など の破損もなく,平常の活動は可能であった が,生徒の登下校の手段や,かかる時間の.
(5) 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学校吹奏学部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(6). 181. 問題など,音楽室の横に避難所になってい. コンサートを聴いて元気づけられたことも. る体育館があり.しばらくの問自粛してい m 【兵庫区】休校期間が長かったこと等で練習時間がか なり少なかった。 【北区】地震がおさまっても,その大きさや余震のた めに部員は落ち着いて練習ができず, 【北区】被害のほとんどなかった本校でしたが,兵庫 校が仮設され半年間学校としては不自由な面 もありましたが,. あり,吹奏楽部の役割の大きさを認識しま. 【須磨区】音の出るクラブ活動はその環境がかなり大 きな部分を占める。 【須磨区】楽器があっても,場所のない苦しさを十分 に勉強しました。 【須磨区】本校では活動上大きな支障はなかったが1 -3月ほとんど練習できなかったことが, 多少新学期以降の練習計画(コンクールに 向けた練習)に影響を及ぼしたと思われる。 【垂水区】音楽室が域されているため,仮の教室で行っ ている。楽器置場もほとんど取れず,また, 解体などの騒音で練習しにくいことが多かっ た。講堂もなくなったので,発表の場がな く幼稚園の講堂を借りたが,使用法が難し くこれまでの何倍も労力と気を使った。 【垂水区】 4 ・ 1に予定していた定期演奏会が,会場 予定として確保していた明石市民会館の被 災のために,一時中止まで検討したが,那 員の強い要望により会場を体育館へ移動し て実施した。. した。 【北区】地震によって,部員数は減少した(但し,也 震のみが原因ではない)が,かえって一人一 人に目が届くようになった。 【北区】生徒も,ボランティアに参加するなど自発的 に動くようになった。 【北区】被害にあった生徒の心を和らげるためにも, 部としての団結思いやりが大きな力を発揮し たようだ。 【北区】クラブとしては悪い点は皆無でした。 【北区】地震後,部員の活動意識に今までと違う,ま じめにとりくもうとする姿勢が若干見受けら れたように思う。 【垂水区】当初自粛のムードがあったが,音楽は人の 心を豊かにすると思うのでどんどん活動す るべきだと思った。 ③ U:ボランティア関連-7個 【東灘区】管理職に折衝して2週間という短い期間で 3月の震災復興コンサートを何とか成功さ せることができました。 【灘区】部員たちが,ボランティア活動として慰問演 奏に地域へ出かけてゆくなど,いままで見ら れなかった行動が生まれてきたことは喜ばし いことであるし,これからも大切に育ててゆ かねばならない方向だと思う。 【中央区】保育園や避難所への慰問コンサートをしま したが,むしろ部員の方が励まされること. [部運営に支障,無し] 【兵庫区】例年どおりの部員数の場合,合奏場確保に 困難を生じたと思う。たまたま部員数が少 なかったので練習場には不自由しないとい う皮肉な結果となった。. も多く 【北区】生徒も,ボランティアに参加するなど自発 的に動くようになった。 【北区】避難住民や被災者の方々を支援する催しに参 加させていただくことができた 【長田区】練習曲を,できるだけ,テンポの速い明る. ② D:プラス思考,部内-9個 【灘区】部員たちが,ボランティア活動として慰問演 奏に地域へ出かけてゆくなど,いままで見ら れなかった行動が生まれてきたことは喜ばし いことであるし,これからも大切に育ててゆ かねばならない方向だと思う。 【兵庫区】交通情報の悪さにもかかわらず,皆良くが んばって活動を続け,例年の企画にはない 行事にまで参加できた。部活動に関しては ダメ-ジよりも頑張りの意欲が勝ったと思 う。 【兵庫区】だんだん街が回復して行く中,自分自身も. い元気の出る曲を選んで練習してきました。 せめて耳にする音楽からでも皆の元気が出 ればと思います。 【垂水区】当日は赤十字への募金,避難住民の方の招 待をはじめ,プログラム全体に「がんばろ う神戸」をメ.ッセージとして添え,かえっ て結束の固い良いコンサートになりました。 ④ E:プラス思考,音楽的-5個 【東灘区】また,練習も進まぬ中,野球の応援に姫路 へも3匝】出向いたり--ドでしたが,コン ク--ルも出場できました私自身,地震を経.
(6) 182. 験し,不安な中,吹奏楽へ打ち込むことで 音楽に助けられたと思っています。 【中央区】被災した部員の多くが,苦労の中で,音楽 を心のささえとし,頑張っている姿を見て, 音楽の必要性を実感した。. 【西区】かなりの学校,一般バンドに被害があったと 聞いております。大変悲しい出来事でした。 人的被害も大でありますし,楽器までがダメー ジを受ける最悪の天災であります。もう二度 とおきてほしくないと感じました。. 【北区】音楽を通じて人の心に励ましを与える喜びを 生徒達も知ってくれたと思います。 【長田区】音楽が人々の心に大きな影響力を持ってい ることを再認識した。. ⑬ o:支障をきたした,音楽的-1個 【兵庫区】地震直後は音楽どころではない状況でした が,. 【垂水区】音楽の持つ力を再認識した次第です。 Ⅲ分析と考察 ⑤ Ⅴ:その他,特になし,分からない-3個 【兵庫区】地震との関わりといっても何を書いてよい かよくわからない。 【長田区】楽器の点検なども無料で業者にしていただ き大変有り難かった。 【須磨区】来年12月には元の須磨には,地下室の練習 場所ができています。 ⑥ A:プラス思考.音楽外的,精神面-2個 【長田区】禍い転じて福となすということを実感しま した。 【長田区】与えられた(?)状況下で明るく前をみて (見通しを持って)やればなんでもできる んではないでしょうか。芸術に限ったこと ではないでしょうが,飽食より少し-ング リーになるほうがいいのかもしれません。 ⑦ p:考えさせられた・心配した,音楽外的,精神 面-2個 【東灘区】復興のために,生徒を元気づけるためにと 思ってやったことが,逆にとられはしない かといろいろ悩みました。 【中央区】多忙な状況の場所へ「聴いてください」と, おしかけることになりはせぬかという心配 の方が多かったように思います。 ⑧ S:考えさせられた・心配した,音楽外的,部内2個 【東灘区】部の運営方針をかえるいい転機になった。 「勝つ音楽」から「楽しむ音楽へ」 【東灘区】練習をしていた教室が使用できなくなりま した。地震後練習するにあたって一番気にかけたこと は,学校周辺には避難している人達もいる中で,楽器 を吹かして練智させていいものかどうかということ でした。. ⑨ K:支障をきたした,音楽外的,精神面-1個. 1)吹奏楽部の運営(活動)上,支障をきたしたこと, あるいは被害状況に関して 被害状況に関する記述の中に,地域によってかなり の差異があることが明確となった。東灘区や灘区にお いては, 『約三分の一の生徒が被害を受け(中略)大 きな被害を受けた皿『部室はメチャクチャになり,楽 器類は棚から飛び出るなど悲惨なものでした』, 『かけ がえのない部員を1名失った』に見る通り,生々しい 被災状況が記述されていた。一方,北区や垂水区の中 には,楽器類はほとんど壊れないで『助かった。この ことはホッとした』や『本校は被害が比較的少なかっ たので,影響はなかった』と書かれてあり,かなりの 温度差を感じさせられる結果となった。 「演奏(会) ・コンクール,及び,部活動」などへ の思いが切実に伝わってくる記述も存在した。例えば, 『演奏活動のできる場所の情報提供を』 『アンサンブル コンテストの県大会を実施してほしかった』 『部活動 の早期の再開を』 『部活動ができることが,第一の復 興だ』 『早く練習がしたい』などである。特に, 「部運 営に支障,及び,不便・不自由を感じた」の項では, 『中々練習に部員が集中できない』 『しばらくの問(部 活劫を)自粛した』 『練習時間がかなり少なかった』 『落ち着いて練習できなかった』 『(他校が)仮設され 半年間不自由な面もあった』 『音の出るクラブ活動は その環境がかなり大きな部分を占める』 『(練習)場所 のない苦しさを十分に勉強した』 『1-3月ほとんど 練習できなかった』 『解体などの騒音で練習しにくい ことが多かった』 『定期演奏会の会場が被災したため, 会場を体育館に(変更)した』など,多くの不自由な 状況が記述されていた。 2)吹奏楽部の運営(活動)上,震災を前向きに捉えよ うとした内容に関して 記述の中に,震災に立ち向かいっつ,部活動を意義 深いものにしようとする前向きの姿勢が,如実に表現 されていた。例えば, 『慰問演奏に出かけて行くなど,.
(7) 兵庫県南部地震(阪神・淡端大震災)による学校吹奏学部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(6). 183. 今まで見られなかった行動が生まれてきた』 『例年の. とで音楽に助けられた』 『被災した部員の多くが,普. 企画にない行事にまで参加できた』 『部活動に関して. 労の中で,音楽を心のささえとし,頑張っている姿を 見て,音楽の必要性を実感した』 『音楽を通じて人の 心に励ましを与える喜びを生徒たちも知ってくれたと 思う』 『音楽が人々の心に大きな影響力を持っている ことを再認識した』 『音楽の持っ力を再認識した』. は,ダメージよりも頑張りの意欲が勝った』 『吹奏楽 部の役割の大きさを認識した』 『部員数は減少したが, かえって一人一人に目が届くようになった』 『生徒が 自発的に動くようになった』 『部としての団結思いや りが大きな力を発揮した』 『クラブとしては悪い点は 皆無でした』 『今までと違う真面目に取り組もうとす る姿勢が若干見受けられた』などであり,こうした記. おわリに. 述が被害の程度に関係なく,ほとんど全市レベルにお いてなされていることが特筆に値するといえよう。 3)ボランティア関連に関して 前項と同様この点に関しても,全市的なレベルで, ボランティアに関して記述されていたことが特徴的で あった。この度の震災をきっかけとして,ボランティ アということについて,ある意味では,全国民的なレ ベルにおいてわれわれが初めて目覚めた,と言?ても 過言ではないのではなかろうか?われわれに,ボラ ンティア活動について真剣に考えさせ,かつ,定着さ せた,という点において,この度の震災は大変大きな 意味を有しているといえる。先生方の記述の中の, 『震災復興コンサートを何とか成功させることができ ました』『部員たちが,ボランティア活動として慰問 演奏に地域へ出かけてゆくなど,いままで見られなかっ た行動が生まれてきたことは喜ばしい』 『保育園や避 難所への慰問コンサートをしました.d 『生徒も,ボラ ンティアに参加するなど』 『避難住民や被災者の方々 を支援する催しに参加』 『せめて耳にする音楽からで も皆の元気が出れば』 『赤十字への募金,避難住民の 方の招待をはじめ,プログラム全体に「がんばろう 神戸」をメッセージとして添え』などに見る通り,こ れまでそれほど意識をすることがなかったであろう, 吹奏楽(部)を通しての様々な形でのボランティア活 動が明確に述べられているのであった。 4)音楽に有する癒しの効果,音楽できる喜びなどに関 して. 1995年12月から着手された本研究も,やっと最終段階 まで漕ぎ着けるに至った。その間, 4年間という長い時 間が経過してしまった。その理由として,次の4点があ げられる。 1つは,アンケート用紙の回収そのものに約 半年間を要したこと。 2つは,発表機関(学校教育学会 誌,本学研究紀要,香川大学研究紀要)の原稿枚数に制 限があり,膨大な内容をいくつかに分けて発表すること を余儀なくされたこと。 3つは, 4人の共同研究者の居 住が離れ離れになり,共同研究の体制に大きな制約がう まれたこと。 4つは,責任者である竹内が長期在外研究 員として海外出張(96.10-97.7)したこと。われわれ の怠慢ということも否定できないところではあるが,上 記4点が大きな理由であったと考えている。とはいえ, やっと最終稿まで漕ぎ着けることができたことは何より の喜びである。 本調査は, 「はじめに」において述べている通り. (1) 学校吹奏楽研究会における会員間の情報, (2)毎日新 聞コラム「『大震災』事実データの収集急げ」, (3)吹 奏楽部に関する調査の欠落,の3点を直接の契機として 取り組まれたものであった。吹奏楽部や学校さらには顧 問教諭御自身に関する被災状況,そして震災以降の部活 動の状況などについて,ある一定の基礎事実データを得 ることができたと,われわれは確信している。中でも, 設問Ⅲ ・ Ⅳの自由記述を集計・分析する作業を通して, 中・高校のほとんどの顧問教諭の「震災に打ち負かされ るのではなく前向きに生きようとする姿勢」 「音楽の持 つ癒す効果・鼓舞する効果の再認識」 「ボランティア活. その点についての先生方の記述は,以下の通りであっ. 動への取り組み」など,震災前に比べて,むしろ「学ぶ べき点が多かった」という意味の多くの記述に触れるこ とができたことは,われわれの最大の収穫であったとい える。 震災から4年半が経過した。神戸市の学校吹奏楽界は, 相変わらず活発に活動が継続されているようである。震 災以降のバンド活動の動向を知る1つの手掛かりとして, 全日本吹奏楽コンクール神戸地区大会への参加状況を調 べてみた。われわれは,最も大きな編成であるA編成へ の参加校が,震災以降,減少しているのではないか?. た。 『地震を経験し,不安な中,吹奏楽へ打ち込むこ. あるいは,全体的な参加校数が減っているのではないか?. この度の震災を体験し,国民一人ひとりが, 「何か をやらねば」とボランティア活動などに対して自覚 的になったことは事実であろう。それと同時に,平時 には考えもしなかった, 「音楽ができる喜び」 「音楽を 聴いてもらえることの喜び」 「自分たちの演奏を喜ん で聴いてもらえることの喜び」など,この度の震災は 大きな不幸の中から,吹奏楽(部)の活動に対して新 たな発見をもたらしたといえるかもしれないのである。.
(8) 184. と危恨していたのであるが,それが妃憂であったことと95年以降のSは小編成(30人編成,部員数が35人以下 が下の表からも明らかである。ただし,表中, Aは大編の学校),招待は前年度関西大会出場バンド,である。 成(50人編成), Bは小編成(30人編成), 94年までの小 94年. 中学. A 27. B 25. 小18. 招待 1. 高校. A 16. B 7. 小9. 招待 3. 95年. 中学. A 26. B 26. 小19. 招待 0. 高校. A 15. B 12. 小6. 招待 2. 96年. 中学. A 29. B 25. 小18. 招待 1. 高校. A 15. B 4. 小13. 招待 3. 97年. 中学. A 31. B 22. 小20. 招待 0. 高校. A 17. B 3. 小11. 招待 3. 98年. 中学. A 33. B 19. 小22. 招待0. 高校. A 19. B 4. 小11. 招待 0. 99年. 中学. A 31. B 28. 小 19. 招待 0. 高校. A 19. B 3. 小12. 招待 0. 注1 :国土庁編『防災白書(平成7年版)』大蔵省印刷局,平成7年6月による命名。 注2 : 「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学校吹奏楽部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(2)」 『学校教育研究Vol.9』学校教育学会、 1998.
(9) 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による学校吹奏学部の被災状況とその後の活動状況に関する調査(6). 185. A Research on Damage and Activity of School Bands Caused by Great Hanshin Earthquake(6) Shun-ichi TAKEUCHI.Tomoya OKADA,Kazuyoshi TAKAO and Toshiro IDEGUCHI The purpose of this study is the following contents. First, what kind of damages did school bands in Kobe receive by South Hyogo Prefecture Earthquake? How did they overcome the difficult situations afterwards? We were going to collect basic fact data about such problems in this paper..
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