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バンペイユ中の苦み物質の代謝

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Academic year: 2021

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(1)

パンペイユ中の苦み物質の代謝

森 下 敏 子 , 藤 井 治 二 f , 附 尾 康 三

(武庫川;交子大学家政学部食物'学科〕

Methabolism o

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and Kozo N

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Department 01 Food Science

Mukogawa Women's University, Nishinomiyα663

The constitutions of bitter principles in the Banpeiyu stem were studied and changes of bitterness during growth of Banpeiyu fruits were surveyed.

1 . Crystals were detected in the parenchyma cells of the cortex. As a result of analysis with HPLC and 'H -NMR, the crystals were assumed to be limonoids.

2. Needle crystals were detected in the pith of the stem and the f!avedo. As a result of analysis with HPLC and HPTLC, the crystals were assumed to be naringin.

3. The bitter principles decreased gradually as the growth stage of the fruit proceeded. The bitter principles were transferd to the fruit and stored at the seed and the peel.

4. The ratio of limonin and nomilin was 1:4 in the cotyledon.

"

倒防{・ 'Ib~* ら:の研究により,カンキツ栄::kの成熟 過釈において

1

1

7

み物質は発育の初期jに急速に.l1¥)))11し, 果 実 の 成 熟 に 伴 L、減少すると綴合されている これら カンキツ ~j の所み成分であるリモノイドやナリンギン が来実に移行する絞路ならびに代謝過程については詳 細な綴告は見られない.そこでカンキツ類の苦み物質 であるリモノイドとフラボノイドの代泌総路を知lるこ とにより収穫以前の処.1

m

によって背みの!;ii凶となる物 質の生成を紡ぐことも可能であると汚え,法み物質の 代謝について検討した.

実 験 方 法

1

.原材料 パンベイユは熊本県来総試験場より1I{:1和631F5

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1

1

月に採取されたものを別し、た.

2.

顕微鏡観察 パンベイユの菜, !.!ミi文言ピフッカーミクロトーム(

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本医化器械製作'J引 をj羽い ,J¥さ

2

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の縦断的

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および 徴的rlujを作成した.千十切 )jをレゾ、ノレシンフ、ノレーで染色 し,光学顕微鏡ニコン OptiphotXF-31 (II~ 光'予) で200または100{{'iで観察した.

3.

試料の調製 3. 1 ワモノイド畑の

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パンベイュの菜・l,!,!:JJ(.!.!ミ肉・純子をフッカーミク ロト…ムで弁

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L.1:でJlI( 発させ,得られた組結 Ifh をグラスフィノレター (II~Hn. 2cm, size4).1:iこ移し,われhエーテノレを)!JI,、て色ぷを 除去した.さらに,水洗浄を行い風乾後, Iザび少11~:の J;i,i{とメチレンで溶解し,取化メチレンを:f!![発させた後 溶解し,

0.45μm

メンプランフィノレターで泌過した

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:Llはf1ii酸1 チノレにより行っ た.色 J~ の除ムーはリモノイドと l'íJ 様に行ったー fliH俊コ二 チルで'flhLl¥した後メタノーノレに溶解しHPLCおよび

(2)

-15-武庫川 女子大学紀 要 自然科学編 第37巻 (1989) HPTLC用試料液 と した

4.H P LCの測定条件

装置 は 日本分光製,Uv IDEC-loom, ポ ンプ 部TW INCLEを用 いた .カラムはナカライテス ク 製Cosmosl15C18Packedcolumn (4.6IDX150mm)

を用 いた . リモノイ ドの分析 に■は ,移動相 は メタノー ル/ 水-75/25(Ⅴ%) を用 い ,カラム温度35℃,感 度0.08AUFS,流速02m′/mln.,波 長215nmで測 定 を した .またナ リソギ ソの分 析 に は ,移 動 相 は

0.

2%リン酸/ アセ トニ トリル-75/25(Ⅴ%) を用 い, カラム温 度35'C,感 度008AUFS,流速1.Oml/ mln.,波長283nmで測定 を行 った . 5. H PT LCの測定条件 プ レ- トは メル ク社製HPTLC-FertlgPlatten(シ リカゲル60)10×10cmを用 いた .展開溶媒 は , リモノ イ ド分析 には , クロロホル ム :エチル --テル :酢酸 (130:65:2 v/ v),ペ ソゼ ソ :エ タ ノール : 水 :酢酸 (200:47:15:1 v/ v),エチル エーテ ル :酢酸 :水 (15:3:1 V/ v) の3種類 を ,漢 たナ リンギ ソの分析 には クロロホル ム :エチル エーテ ル :酢酸(130:65:2 v/ V)を用い,いずれ も室 温 で7.5cm展 開を行 った . リモ ノイ ドの発 色 はp- ジ メチル ア ミノベ ンズ7ルデ ヒ ドを噴諾 し,105-110'C で5分間発色 を行 った .ナ リソギ ソの発色は ジ7 ゾ試 薬を噴諸 し,105-110'Cで5分1LE,]発色 した 6.1H- NM Rスペ ク トルの測定条件 装 位 は 日本電 子FX -200 (FUOURI ER-TRAN-SFORM NMRスペ ク トロメーター) を用 い,irlp離 し. た未知物JEfを クロロホル ムに溶解 し,2000

Hz

,4/∠ S45℃ ,待 ち時間6秒 で測定 を行 った .

実験結果お よび考察

1

.茎に存在する リモ ノイ ドの検討 バ ンベイユの茎の縦 断面お よび横断IfFlを作成 し,

徴鏡 で観察 した (Flg 1). 皮層 の柔細 胞の部分に結 晶が認め られた .この結FE171 に0.1Nの硫酸 を加 えたが溶けず , リモ ノイ ドを溶解 す る塩化 メチ レソを加 えると溶けたため リモ ノイ ドで あ ると推定 されたI

.

薬で生合成 された 1)モ ノイ ドは薬か ら茎を通 って果 実 ,種子に移動す る2.その中で 1)キ ノイ ドの一 都は 皮層柔細胞 に一時的に結 晶形 で貯威 され ,結実

j

U沖こな ると再 び可溶性 にな り,師管 に入 って果実 ,種 7--珍 動す る ことが示唆 された .

Flg 1 MicrograghofbitterprincipleslnBanpe -1yuSteW ■

2.

成長過程におけるナ リンギ ンの検討 5月採取 のバ ンペ イ ユ幼 果 の果托 の横 断 面 を作 成 し.(Flg 2)トリス緩衝液 (pH90)を加 え検鏡 を 行 った ところ,果托 内部 (価) において針状結 晶が観 察 された .この結 晶は時間の経過 とともに増加 し,形 状 も少 しずつ):き く成長 し,短 冊状 にな ることを認め た 果雌 において も髄 の苫み物質 を酢酸 エチルで抽 出 した ところ針状結 晶が得 られた . しか し9月お よび11 月採収 の茎においては ,小 さな粒状 の ものが多数観察 されたのみで針状結 晶は見 られなか.った .そ こで松野 ら3の研究 に よ りバ ソペイユ果皮 に ナ 1)ソギ ソが存 在 す ると報告 され ていることお よび果実 の肥 大に伴 いお ころ児托か ら果実- の フラボノイ ドの移行 を検討す る ため ,児皮 につ いて も検討を行 った. 5mm厚 さに剥皮 した9月採取 の外果皮を ミクロ トー ムで36FLの切片を 作成 し,倹鏡 を行 った. 5月採取 のバ ンペイユ果托 で み られた もの と同一 と思われ る針状結 晶が多数観察 さ れ ,時問の経過 に伴 い成長す る様 子がみ られ た (Fig 3).このi・F状結 晶は5月採取 のバ ンベイユの茎 の中心

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FIg 2 Thepartofcitrusfruit

(3)

6-バ ンベイユ中の苦み物質 の代謝 (森下 ・藤井 ・西尾)

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F唱.3 Micrographs or bltter prlnCiples ln BanpelyuStem andpericarp

a:Resepteclecrosssection(May)

b:Pericarpcellscrosssection(September) C:Recrystaled 部であ る髄 に存在す ることが推定 され たため

1

, 5月の 髄 を酢酸 エチルで抽 出 し.メタノールに溶解後,HP TLCで定性 を行 った .ナ リンギ ソと一致す るR f値 0.54にスポ ッ トが検 出 された (Flg 4).さらにHPL Cで定性 した ところ ,ナ リンギ ソの カラム保持時間 と 一致す る4分 に顕著な ど- クが検 出 され , 5月採取 の 茎 の髄 には ナ リンギ ソの存在 が推測 された (Flg 5).

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Flg 4 HPTLC chromatogram or Naringin extractedfrom Banpeiyustem

Solv.;n-BuOH :HAc:Hz0-4:l:2 Colorreagent;NHrAgNO

,

4

8

Time (min)

Flg 5 HPLC chromatogram ofNaringin extr a-ctedfrom Banpeiyustem

また5月の果便 ,果托 お よび9月,11月採取 の茎か らそれ ぞれ髄 部を取 り出 し,メタノ-ルで抽 出 しHP LCを行 った結果 ,総 ての試料 においてナ リンギ ソが 検 出 された .ナ T)ソギ ソ食品は5月の果托 ,果硬 には 多 く存在す るが,9月の茎,11月の茎 の順 に減少憤 向 を示 した .これに よ りバ ソベイユ茎中では髄 において ナ リソギ ソが存在 し成熟に伴 い減少す ることが示唆 さ れた (Fig.6).

3.

部 位 別 苦 み 物 質 の 季 節 的 消 長 髄 ・師 部 ・果皮 お よび果 肉の各部位 におけ る苦み物 質の季節的な消長を5月 お よび9月採収 の試料 を用 い 検討を行 った .5月お よび9月の各部位 のいずれにお いて も リキノイ ド・ナ リンギ ソともに成熟 に伴 い ,減 少傾 向を示 した (Flg 7).特 に 5月にナ リソギ ソが き -1

(4)

7-武!市川女子大伊紀~ I~I 然科掌編 第

3

7

考会(1

9

8

9

)

わめて多く検出された

*

1

文および果肉では著しい減少 がみられたが. *iY:においては栄肉に比べ減少割合が 少ないことが認められ,果肉よりも泉氏の方が残存

1

i

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の多いことがぶされた.これらのことより苫み物質は 発育のごく初期の段階に急速にJ¥;'f)JIlし,以後減少する ことが般測された.また,ノミリンは1$1;11,\ に伴い -t~l) で代議し,リモニンとして果皮に諮る

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されることがJ1

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では*淡にナザンギンが多いことから *梗の髄からよ

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支に移行することがJ1

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Fig. 7 Seasonal changes of Limonoid and Naringin content in the part of Banpeiyu

A : Stem (inner) B: Stem (outer) C : Pericarp D :ドlesh

口:

May圏師:September

Fig.6 Seasonal changes of Naringin content in

a

stem

a : May Receptacle b : May Pith c : September Pith d Novem訂erPith

4. 種子に存在するリモノイドの検討

背みの紋終の代謝経路として種子が考えられるため l 総子の苦み物質の定悦を行った

10

孫子をフッカーミクロトームで!ジさ24μの切

)

f

と し,風化メチレンを加えてリモノイド、を抽出し.H P L C ~こより定伐を行った カラム保持時間16分および 18分に顕著なピークを示し,リモニンおよびノミジン の存夜を認めた (Fig.8)ー

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Fig. 8 HPLC chromatogram of Limonoid extracted from Banpeiyu seeds a : Limonin b : Nomilin

。 。

(5)

パンベイュ中の管み物質の代謝(森下・藤井・沼尾) 稜子中のりそノイド合致を,外殻・薄皮・子葉の3 つの部位別に比較すると,外殺と薄皮ではノミリンの 顕著なピークを得たのに対し,種子ではノミジンとリ モニンが4 : 1の比率で検出され,種子での最終産物 とされている4リモニン含有惑は,子築が{也の部位十こ 比べて高いことが認められた (Fig.9).種子中では外 殻から中心部へ向かつてノミリンに対してリモニンの 割合が増加していることが示された. 種子:やでもこのように外・中・内側でリモノイド最 に差が見られるのは奥味深いことであり,何故このよ うな違いが見られるのかは検討の余地がある.しか し,子楽にリモニ、ノが多いことは果実の種子の保存に おいて苦みを貯えることが大切な要因であることが

f

設 定された.パンベイュ種子全体の切片より塩化メチレ ンでリモノイドを抽出し,石油エーテルで‘脱JJ旨後水洗 浄を行って精製し,得た結晶をクロロホノレムに溶解 し, 1H-NMR測定を行った.得られたチャートを解 析した結果ノミリンの分子総造の第一の特徴である AcOと結合するアセチレン系プロトンは2.0ppmに鋭 いピークを示しペフラン芸誌の日フランおよび

5

フラ ンに結合する水素は7.4ppmおよび6.3ppmに検出され た.これは2重結合と鼠媛結合する水素は約5ppmよ り低磁場側にシフトするとL、う際理に一致する.エポ キシに結合している水若者は3.8ppmにピークを示し 7.3ppmのピークは溶媒であるクロロホノレムによるも のと思われるこれよりノミリンの特徴と, 1H-N M Rのシグナノレとの一致が認められ,積子より得た結 晶はノミリンであると般1さされた (Fig.10) (Fig. 11) カンキツ類の

2

つの苦み物質であるワモノイド類と フラボノイド中のナリンギンは各々,奥なった経路で 菜ゆを移動し果実の肥大を待つ問は,結晶形として貯 蔵されること,および果突が肥大するとナリンギンは 主として種子中に貯蔵されることを認めた.?苦み抑制 のためにはそれぞれの苦み物質の顕著な増加が見られ る時期にその部位にある穣のトリエチルアミン誘導体 のようなリモノイドの代議抑制物質8を与えることも 苦み抑制の方策ではなし、かと考えられる.

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Fig. 9 HPLC chromatograms of Limonoids extracted from Banpeiyu seeds a : Limonin b : Nomilin q υ

(6)

武庫川女子大学紀~ 自然科学編 第37巻(1989)

O

O

Fig. 10 Structure of Nomilin

-J

Fig. 11 沼町NMR spectrum of the exracted Nomilin

要 約

パンベイュ裟の苦み物質の構造を解析し,成長過程 における苦み物質の消長さと検訴した. 1 .主主の顕微鏡観察を行い ,

E

J

替の柔細胞にリモノイ ドと恩、われる結晶を認めた.

2

.

5

月採取の未熟来の巣托内部(髄)および果皮で 針状結晶が観察された.この結晶はpH9.0のトリ ス緩衝液でアルカリ悦に保持し

f

こところ検出される ことを認めた.

HPLC

および

HPTLC

による定 性の結果よりナザンギンと推定された.

-20-3

.

~苦み物質は発育のごく初期の段階に急速に増加 し,以後成熟にともない各部佼共に減少すること, および葉で、合成された苦味物質がナリンギンは髄で 結品形で貯綴され,結実j羽に果実に移行し種子およ び果皮に蓄積される過程が推測された. 4.稜子ではノミリンとリモニンは4 : 1の割合で検 出され,子葉,薄皮,外殻の1)誤に穂子の内部ほどリ モニン合設が多くなることを認めた.これによりリ モニンは子葉に蓄積されることが推定された.

文 献

1 .梅原敬三,宮本等,日食ヱ誌, 30, 1

1

.

(1983) 2. S. Hasegawa and J. E. Hoaglang, Phytochemis

try, 16, 469(1977) 3.松野

i

経努,刈米達夫,薬誌, 74, 363, (1954) 4.現代化学,東京化学問人, 1,18, (1987. 1) 5. D. L. Dreyer, Tetrahedron, 21, 75(1965) 6 . John. R. Dyer,有機化合物の吸収スベクトノレへの応

f

f

l

,東京化学問人, 63, (1971)

7

.

小川雅溺,機器分析へのてびき(1),化学問人, 18(1979) 8.長谷川信,化学と生物, 21, 823(1983) (1989年9月27日受怒)

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