情報処理教育 に関する一考察
一 初級プ ログラ ミング教育 の内容 と方法 について一
海老 沢
信
一
A Study
of Information
Management
Education
— Education
Content
and Method
of Courses
for Teaching
Programming
to Beginners
—
Shin'ichi
Ebisawa
Japan and other industrialized countries are now in the process of becoming highly
advanced information societies. Many guidelines and proposals on how to teach
informa-tion processing have been made by various organizainforma-tions and committees. There are
also a number of books, published in recent years, on information processing. These
guidelines and books, however , are offered for various purposes and do not necessarily
meet each school's educational policies or curricula.
At present, syllabus and teaching methods are in the hands of individual teachers and
lecturers. Each of these people develop their own course plans.
In this situation, the author has himself developed curricular and methods while
teaching elementary programming to beginners.
This report, on elementary programming education to construct information
proces-sing systems (business systems in particular) , is based on my experience teaching
in-formation processing and programming both to technical college students and college
stu-dents majoring in humanities and social sciences.
1..は じ め に 日本 を含 む先 進 諸 国 は,高 度 情 報 化 社 会 へ の 途上 に あ る と言 われ て い る。 そ の た め情 報 処 理教 育 を どの よ うに行 うべ きか につ い て は, い くつ か の 指針 や提 言 が 各 団体 や委 員 会 か ら 出 され て い る 。 また,情 報 処 理 に 関す る書 籍 も最 近 は 数 多 く市 販 さ れて い る。 しか し,こ れ らの指 針 や 書籍 もい ろ い ろな 目的 で記 述 さ れ て い る ので,必 ず し もそ の学 校 の教 育 方針 や授 業 に適 した もの が 存在 す る わ けで は ない 。 具体 的 な教 育 内 容 や教 育方 法 につ い て は, 担 当 す る教 員 や 講 師 個 人 々 々 の工 夫 に任 され て い る の が現 状 で あ り,ま た教 員 や講 師 は各 人 が 言 わ ば手 探 りの状 況 で教 育 を行 って い る の が 実情 で は な い だ ろ うか 。 筆 者 もそ の よ うな状 況 の 中 で,情 報 処 理教 育 を中心 と した カ リキ ュ ラム 編成 と科 目内 容
を考 え,同 時 に初 心 者 の情 報 処 理教 育 や プ ロ グ ラ ミ ング教 育 を行 って きた。 そ こで今 まで の文 科 系 大 学 で の プロ グ ラ ミ ン グ教 育 と専 門学 校 等 に お け る情 報 処 理教 育 の経験 か ら,筆 者 は情 報 処 理 シス テ ム(特 に ビ ジ ネス シ ス テ ム)を 構 築 す るた め の初 級 プ ロ グ ラ ミン グ教 育 の 内容 と方 法 を ま とめ た の で報 告 す る。 (本 稿 で は,プ ロ グ ラ ミ ン グ と は フ ロ ー チ ャー ト作 成 と プ ロ グ ラム作 成 の両 方 の作 業 を 含 む こ と とす る。) 2.情 報処 理 教 育 2-1情 報 処 理 教 育 の 背 景 教 育 界 で は時 代 の 進展 に対 応 で きる能 力 を 養 うこ と を一 つ の 柱 と して教 育 課 程 の 改 訂 を 続 け て お り,情 報 化 へ の対 応 が 検 討 され て い る 。即 ち昭 和62年 の 臨 時教 育審 議 会 の答 申 は, 次 の こ とを掲 げ て い る。 ・情 報 モ ラ ル の確 立 ・情 報 化 社 会 シ ス テ ムの構 築 ・情 報 手 段 と活 用 ・情 報 環 境 の整 備 そ して教 育 自体 を情 報 化 社 会 に対 応 で きる よ うに改 革 す る必 要 が あ る と述 べ て い る 。 平成4年 度 か ら,小,中,高 校 で コ ンピ ュー タ を使 った授 業 が ス ター トす る。 算 数,数 学, 理 科 な どの授 業 で積 極 的 にパ ソ コ ン を活用 す るほ か,中 学校 の技 術 ・家 庭 科 で は 「情 報 基 礎 」 が,選 択 コー ス の ひ とつ と して 用 意 され る。 一 方,こ の よ うな教 育 界 の動 き に対 して, 通 産 省 は早 くか ら情 報処 理 技 術 者 教 育 に力 を 入 れ て い るの は広 く知 られ て い る。 昭 和46年 か ら発 足 した 「情 報 処 理技 術 者 試 験 」 な ど に その 努 力 が み られ る。 ま た,「 日本 情 報 処 理 開 発 協 会 」 は 「初 級 情 報 処 理 技 術 者 育 成 指 針 」(昭 和61年 改 訂)や 「高 度 情 報 処 理 技 術 者 育成 に 関 す る調 査 報 告 書 」(昭 和62年)な どを 発 表 して,情 報 処 理 技 術 者育 成 の た め の指 針 を示 して い る 。 小 中学校 を含 め た 日本 にお け る本格 的 な情 報 処 理教 育 は まだ そ の端 緒 につ い た ば か りで あ るが,情 報 処 理 教 育 の 内容 は常 に時代 の 進 展 と共 に改訂 され な け れ ば な らない 運 命 を背 負 っ てい る。 2-2情 報 処 理 教 育 の 内容 今 日必 要 と され る情 報 処 理 教 育 の 内 容 は何 か,ま た どの よ う に教 育 す べ きか に はい ろい ろ な意 見 が 存 在 す る。 筆 者 は大 き くと ら えて,情 報 処 理 教 育 に は 次 の事 柄 が 必 要 と考 えて い る。 (1)コン ピュ ー タ リテ ラ シー教 育 コ ン ピュ ー タ リテ ラ シ ー教 育 とは,コ ン ピ ュー タを道 具 と して 使 い こ な し,日 常 生 活 や 仕 事 に役 立 たせ る能 力 で あ り,次 の知 識 が必 要 で あ る 。 ・キ ー ボ ー ドや コ ン ピ ュ ー タの扱 い 方 に関 す る 知識 ・各種 ア プ リケ ー シ ョ ン ・ソ フ トウ ェ アの 利 用 に 関 す る知 識 (2)プロ グ ラ ミ ング教 育 プ ロ グ ラ ミング教 育 とは,情 報 処 理 シス テ ム を設 計,開 発,運 用 す る こ とに関 す る種 々 の能 力 を養 う こ とで あ り,次 の知 識 が 必 要 で あ る。 ・情 報 処 理 シス テ ム の設 計 ,開 発,運 用 に 関す る知 識 ・プ ロ グ ラ ム言 語 ,文 法,作 成 に関する知 識 ・フ ァイ ル とそ の 扱 い 方 に関 す る 知識 (3)情報 処 理 関 連 知 識 教 育 情 報 処 理 に 関連 す るい ろい ろ な分 野 の 一般 知 識 で あ り,次 の知 識 が 必 要 で あ る 。 ・ハ ー ドウ ェ ア や ソ フ トウ ェ アに 関 す る知 識(オ ペ レー テ ィ ング シス テ ム を含 む) ・デ ー タ通 信 や デ ー タベ ース に関 す る知 識 ・情 報化 社 会 ,組 織,プ ライバ シーなど社 会 的 な側 面 に 関す る知 識 ・数 学,簿 記 な どコ ン ピ ュー タ に関 連 す る
基 礎 知 識 2-3プ ロ グ ラ ミン グ教 育 の必 要性 既 に述 べ た よ う に コ ン ピ ュー タ リテ ラシ ー 教 育 は情 報 処 理 教 育 の 上 で必 要 な もの の1つ で あ る。 例 え ば,市 販 の 「LOTUS123」 とか 「Multiplan」な どの ソ フ トウ ェ ア を購 入 し, 問 題解 決 に応 用 しよ う とす る方 法 即 ち アプ リ ケ ーシ ョ ン ・ソ フ トウ ェア(ビ ジ ネ ス ソ フ ト と も呼 ば れ る)の 活 用 は,社 会 生 活 や職場 の 仕 事 で今 日不 可 欠 な情 報処 理 手 段 に な って い る。 各種 ア プ リケ ー シ ョン ・ソフ トウ ェ ア を利 用 しつつ,コ ンピ ュ ー タ リテ ラ シ ー教 育 を行 う方 法 は,中 学 高 校 で の情 報 処 理 教 育 で行 わ れ て い る 。 また,大 学,短 大,専 門学 校 等 の 高 等教 育 機 関で も盛 ん に行 わ れ て い る。 しか し西 暦2000年 に は約34兆 円 と も試 算 さ れ る ソフ トウ ェ ア需 要(産 業構 造 審 議 会 情 報 化 人材 対 策小 委 員 会 ま とめ)や 同 じ年 に必 要 と され る230∼300万 人 に もの ぼ る情 報 技術 者 需 要(文 部省 教 育 改 革 実 施 本 部)な ど社 会 的 な要 請 を 考 え る と,こ れ らの ア プ リケ ー シ ョ ン ・ソフ トウ ェア の教 育 だ けで は不 足 であ る。 そ の た め シス テ ム設 計 を含 め た プ ロ グ ラ ミ ン グ教 育 は 依然 大 切 な もの で あ る と筆 者 は確 信 す る。 3.初 級 プ ロ グ ラ ミン グ教 育 の方 法 初 心者 に ビジ ネ ス シ ス テ ム構 築 の プ ロ グ ラ ミ ング を教 育 す る に は,ア ル ゴ リズ ム の組 立 て即 ち フ ロ ーチ ャー トの作 成 方 法 を教 育 しな が ら,同 時 にプ ロ グ ラ ム を作 成 して す ぐに そ の ア ル ゴ リズ ム を演 習 す る方 法 が 有 効 で あ る 。 言 い換 えれ ば,ア ル ゴ リズ ムの 組 立 て とそ の実 践(プ ロ グ ラム の実 行)を い か に有機 的 に結 合 し,わ か りや す く教 育 して い くか を 考 え,こ の 観 点 か ら カ リキ ュ ラム編 成 と科 目内 容 が検 討 され るべ きで あ る と言 って も過言 で は な い。 3-1フ ロ ー チ ャ ー ト作 成 に つ い て 企 業 や ソ フ トウ ェ アメ ー カ等 が初 級 プ ロ グ ラマ に期 待 す る知 識 と,初 心 者 の理 解 度 や 実 情 の両 者 を考 慮 して,筆 者 は プ ロ グ ラ ミン グ 教 育 の た め に,次 の よ うな指 導 項 目とそ の 順 序 を考 え た。 (1)フロ ーチ ャー ト基 本記 号 の説 明 (2)フロ ー チ ャー ト基 本 三構 造 の説 明 (3)直線 型 フ ロ ーチ ャー トとそ の演 習 ① 逐 次 処 理 の 概 念把 握 ② 領 域 の概 念 把 握 ③ 内部 ・外 部 の 概 念把 握 (4)分岐型 フ ロ ーチ ャー トとそ の演 習 ① 分 岐 の概 念 把 握 (5)繰返 し型 フ ロ ーチ ャー トとそ の演 習 ① 繰 返 しの概 念 把 握 ② カ ウ ンタの 概 念 把握 ③ 合 計 と平 均 の 概 念把 握 (6)基本 プ ロ グ ラ ミン グ技 術 とそ の演 習 ① フ ァイ ル を読 む演 習 ②1つ の フ ァイル を取 扱 う演 習 ③2つ の フ ァイル を取 扱 う演 習 ④ 配列 を取 扱 う演 習 次 に フロ ーチ ャー トの 演 習 問題 の作 成 と提 示 方 法 につ い て考 察 して み る。 フ ロー チ ャー トの演 習 問 題 は,最 初 に複 雑 な問 題 を示 して も初 心 者 は理解 で きな い こ と は当 然 で あ る。 問 題 を作 成 す る場 合,1つ の 問 題 に は多 くの機 能 を含 め ず,ま ず 簡 単 な機 能 を含 ん だ 問題 か ら提 示 す べ きで あ る。 そ の 後 徐 々 にい くつ か の機 能 を結 び つ け,複 雑 な フ ロ ーチ ャー トに 自然 に導 くよ うな演 習 問題 の作 成 と提 示 方 法 を研 究 す る必 要 が あ る。 とこ ろが,往 々 に して 市 販 の テ キ ス トな ど は,こ の 辺 の事 情 を余 り考 慮 しな い テ キ ス ト が見 受 け られ る。最 初 か ら多 くの機 能 を含 ん で い た り,途 中 か ら突 然 難 し くな る よ うな展 開 の仕 方 な どで あ る。 更 に,初 心 者 に は認 知 心 理 学 的 な手 法 は有 効 な手 段 で あ ろ う。説 明 す る際 に は,日 常 生
活 に適 した 図 や絵 を示 し,対 象 物 を具 体 的 な イ メ ー ジ と結 び つ け て理 解 しやす い よ う にす る こ と も大切 で あ る 。 3-2プ ロ グ ラム 言 語 の 選択 につ い て プ ロ グ ラム 言 語 に は多 くの種 類 が あ るの で, どの 言 語 を採 用 す る か につ いて は 目的,環 境, 費 用 な どい ろ い ろ な要 素 を考 慮 しな けれ ば な ら ない 。 また,プ ロ グ ラ ミン グ教 育 で どの言 語 を扱 うか に つ い て も,そ れぞ れ の 言 語 に一 長 一 短 が あ り,適 切 な言 語 を選 択 す るの は な か な か 難 しい 。 しか し,「 初 心 者 に フ ロ ー チ ャー トを教 育 す る補助 手 段 」 とい う観 点 か ら言語 を選 ぶ な ら ば,筆 者 はBASIC言 語 が 適 切 で あ る と考 え る。 プ ロ グ ラ ミ ング教 育 にBASICを 採 用 す る こ とは,特 別 に 目新 しい試 み で は な い。 しか し筆 者 の知 る 限 り,フ ロ ーチ ャー トの作 成 を 理 解 させ る た め の 道 具 と してBASICを 有 効 に 活 用 し て い る 教 材 は 少 な い。 筆 者 は BASICを 言 語 と し て 教 育 す る よ り も,フ ロー チ ャー トを理 解 す るた め の1つ の道 具 と して位 置 づ け,新 しい 切 り口で この言 語 を活 用 した。 BASICを 使 用 す る利 点 は.次 の よ うな 点 で あ る。 (1)フローチ ャー トの1つ1つ の処理 とBASIC の各 命 令 を,ほ ぼ1対1で 対 応 す る こ と が で き,初 心 者 で も フ ロー チ ャー トとプ ロ グ ラ ム の結 びつ きが 理解 しやす い。 (2)BASICは イ ン タ ー プ リ タ型 な の で,修 正 や実 行 が 簡 単 で あ り,環 境 整 備 に手 間 取 らな い。 (3)BASICは どの よ う なパ ソ コ ンで も個 人 で 簡 単 に練 習 す る こ とが可 能 で あ る。 と こ ろ で,BASICは 普 及 して い る割 りに は,実 際 の ビ ジ ネス 用 言語 と して採 用 さ れて い る こ とは 少 ない 。 む しろCOBOLの 採 用 の 方 が 多 い と思 われ る。 しか し,フ ロ ーチ ャ ー トが完 成 した らプ ロ グ ラ ミン グ作 業 の 半分 以 上 は完 了 した と言 わ れ る よ う に,フ ロ ー チ ャー トを理 解 す る こ と は重 要 で あ り,そ の た め の道 具 と してBASIC を活 用 す る方 法 は 大変 有 効 で あ る。 実 際 に フ ロ ー チ ャー トを充 分 理 解 さ せ て か らCOBOL 言 語 を教 育 して み る と,そ の理 解 が はや い こ とを確 認 で き る。 な お,本 稿 はBASIC言 語 と して,現 在 比 較 的 容 易 に入 手 で きるN88DISKBASICを 想 定 して い る。 4.フ ロ ー チ ャ ー ト作 成 方 法 の 教 育 4-1フ ロー チ ャー ト基 本 記 号 の 説 明 フ ロー チ ャー トで使 用 す る記 号 につ い て は, まず 最初 の段 階 で は基 本 的 か つ 最 小 限 の 記号 を提 示 し説 明 す る だ け に止 め るべ きで あ る。 この段 階 で沢 山 の記 号 を教 え る と,記 号 の 意 味 を混 同 した り,フ ロ ーチ ャ ー トの 作 成 を 面 倒 な もの と考 え,結 果 的 に プ ロ グ ラ ミン グ が 嫌 い に な って し ま う恐 れが あ る。筆 者 が考 えた この段 階 で教 え るべ き基 本 記号 と は次 の 記 号 に限 定 した 。(図1) 初 心 者 に は フ ロ ー チ ャー トの 導 入 と して 日 常 生 活 を題材 と した フ ロ ーチ ャ ー トを作 成 さ せ て み る と,こ れ らの基 本 記 号 の 意 味 を良 く 理 解 す る 。 フ ロ ー チ ャー トとい う抽 象 的 な概 念 を 日常行 動 とい う具 体 的 な概 念 と結 びつ け られ る こ とが,導 入 と して は適 切 なの で あ ろ う。 4-2フ ロー チ ャー ト基 本 三 構 造 の 説 明 今 日,構 造 化 プ ロ グ ラ ミ ング は広 く認 め ら れ て い る プ ロ グ ラ ミ ング の基 礎 技術 で あ る。 また プロ グ ラム の すべ て の ア ル ゴ リズ ム は基 本 的 な3つ の構 造 で書 くこ とが で き る こ と は 広 く認 め られ て い る。 フ ロ ーチ ャ ー トの 作 成 ま に は,ま ず 最初 に こ の基 本 三 構 造 を教 育 す る こ とが 適 当 で あ る 。 フ ロー チ ャー トを分 析 的 に と ら えた 基 本 三 構 造 は,教 育 しやす い だ けで は な く,現 在 多 くの 企 業 や ソフ トウ ェ ア メ ー カが何 らか の 形
(1)端 子 記 号 端 子 記 号 は フ ロー チ ャ ー トの 始 め と終 り を表 す 記 号 で あ る。 1
C1
(2)処 理 記 号 処 理 記 号 は 処 理(代 入 、 演 算 な ど)を 表 す 記 号 で あ る。 (3)判 断 記 号 判 断 記 号 は条 件 を判 断 し 出 口 を選 ぶ 記 号 で あ る。 (4)ル ー プ 端 記 号 ルー プ 端 記 号 に は ル ー プ 始 端 とル ー プ 終 端 の2つ の形 が あ り、 それ ぞれ ル ー プ(繰 返 し)の 開 始 と 終 了 を表 す 記 号 で あ る。/丶
、 \ ノ (5)デ ー タ記 号 入 力 と 出 力 を表 す 記 号 で あ る。/
/
(6)線 デ ー タや 制 御 の流 れ を表 す 記 号 で あ る。 図1フ ロー チ ャ ー ト基 本 記 号 で構 造化 プ ロ グ ラ ミング技 術 を と りい れ て い る こ と を考 えれ ば教 育 に は不 可 欠 な知 識 で あ る。(フ ロ ーチ ャ ー トに代 わ って,NSチ ャ ー トやSPDな ど構 造 化 を考 慮 した チ ャー トが 各 メ ー カで 工 夫 され 使 用 され て い る。 しか し どれか1つ を教 育 す れ ば,他 の手 法 は理 解 で きる。) フ ロ ー チ ャー ト作 成 に は これ ら3つ の型 式 に 関 す る 問 題 を提 示 し,初 心 者 に充分 練 習 さ せ る こ とが プ ロ グ ラム の上 達 に は早 道 で あ る。 基 本 三構 造 とは,次 の よ うな もの で あ る。 (1)直線 型 の フ ロ ーチ ャ ー ト(図2(a)) '直線 型 は処 理 が 上 か ら下 へ 流 れ る形 を し て い る もの で,最 も基 本 的 な形 で あ る。 (2)分岐 型 の フ ロ ー チ ャ ー ト(図2(b)) 分 岐 型 に はIFTHENELSE型 とIFTHEN 型 の2つ の 形 が あ る 。 IFTHENELSE型 は 条 件 を 判 断 し,条 件 が 成 り立 て ば あ る 処 理 を 行 い,条 件 が 成 り 立 た な け れ ば 別 の 処 理 を 行 う 形 を し て い る 。 INTHEN型 は,条 件 が 成 り立 て ば あ る 処 理 を行 い,条 件 が 成 り立 た な け れ ば 何 も し な い 形 を し て い る 。INTHEN型 はIF THENELSE型 の 特 別 の 場 合 とい え よ う 。 (3)繰 返 し 型 の フ ロ ー チ ャ ー ト(図2(c)) 繰 返 し 型 に はDOWHILE型 とREPEAT UNTIL型 の2つ の 形 が あ る 。 DOWHILE型 は,条 件 が 成 立 す る ま で あ る 処 理 を 繰 り返 す(ル ー プ)形 を し て い る 。 REPEATUNTIL型 は 条 件 が ル ー プ の 最 後 に あ る 形 を し て い る 。 i 条件 処理1 条件 i 処理2 処理1 処理2 処 理 E i ← (a)直 線 型 IFTHENELSE型IFTHEN型 (b)分 岐 型 ii !丶繰返 し 条 件 〆 丶 繰返 し 処 理 処 理 繰 返 し ノ 条 件 繰返 し \ ノ ii DOWHILE型REPEATUNTIL型 (c)繰 返 し型 図2フ ロ ー チ ャ ー トの 基 本 三 構 造4-3直 線 型 フ ロ ー チ ャ ー ト と そ の 演 習 初 心 者 に と っ て フ ロ ー チ ャ ー トと プ ロ グ ラ ム の 関 係 を 理 解 す る こ と は な か な か 容 易 な こ と で は な い 。 そ こ で 筆 者 は 両 者 の 関 係 を 分 析 し て,次 の 概 念 に 着 目 し た 。 ・逐 次 処 理 の 概 念 ・領 域 の 概 念 ・内 部 と外 部 の 概 念 こ れ ら の 概 念 を 説 明 し な が ら 問 題 を演 習 さ せ,フ ロ ー チ ャ ー ト と プ ロ グ ラ ム と の 関 連 を 教 育 す る 。 更 に 必 要 な 場 合 は 簡 単 な コ ン ピ ュ ー タ の 構 造 を 提 示 し理 解 させ る。 こ れ らの 概 念 を 繰 り返 し教 え る と,そ の 後 の プ ロ グ ラ ミ ン グ の 上 達 は 早 く,ま た フ ロ ー チ ャ ー トや プ ロ グ ラ ム に 関 す る 無 用 な 勘 違 い が 少 な い よ う で あ る 。 (1)逐 次 処 理 の 概 念 把 握 現 代 の コ ン ピ ュ ー タ は,プ ロ グ ラ ム を1命 令 ず つCPU(CentralProcessingUnit)で 解 析 し,実 行 す る構 造 に な っ て い る 。 そ の た め フ ロ ー チ ャ ー トの 流 れ も こ れ に 沿 っ た 形 で,処 理 は 上 か ら下 へ 流 れ る 逐 次 処 理 の 構 造 に な っ て い る 。 フ ロ ー チ ャ ー トの 説 明 で,1つ ず つ(逐 次 に)処 理 が 行 わ れ る と い う概 念 を は っ き り示 す こ とで,初 心 者 の 中 に 厂手 続 き型 プ ロ グ ラ ム の 概 念 」 を 形 成 させ る こ とが 大 切 で あ る。(図3) i
条 件
㍉
i 処理1 〆繰返 し丶 条 件 ▲i
1i
処理2 ▼ 処 理1 処理2 処 理 ▼→
繰返 し \ ノ i 直線型 分岐型 図3逐 次 処理 の概念 繰返 し型 こ の考 え方 は上 級 者 に と って は 当 り前 の概 念 で あ るが;初 心 者 に は明 確 に示 す必 要 が あ る。 逐 次 処 理 の 概 念 の 説 明 に は,た と え ば 厂双 六 」 な ど をイ メ ー ジ させ る こ とは 良 い こ とで あ ろ う。 双 六 は1つ ず つ マ ス を進 む の で, マ ス を処 理 に例 え れ ば逐 次 処 理 の概 念 を想 定 しや す い 。 (2)領域 の概 念 把 握 現代 の コ ン ピ ュー タは,メ モ リ内 に確 保 さ れ た 領 域(エ リ ア:Area)に プ ロ グ ラ ム の 命 令 や デ ー タ を格 納 し,実 行 す る構 造 に な っ て い る。 そ の た め フ ロ ーチ ャー トの 中 で もこ の領 域 を定 義 す る必 要 が あ る。 フ ロ ー チ ャー トの領 域 が プ ロ グ ラ ム の変 数 と対 応 す る こ と を,こ こ で教 〉,るべ きで あ る。 フ ロ ー チ ャー トで 領 域 を定 義 す る に は,領 域 に名 前 をつ け て定 義 す る。 領 域 の 名 前 は英 数字 で も 日本 語 の単 語 で も 良い 。 次 の よ う に 日本 語 を領 域 名 に して も,領 域 が 定 義 され, 領 域 の 中 に デ ー タが 保 存 され る とい う こ と を 理 解 させ る必 要 が あ る。 単 価 ←250 単価 領 域 の 概 念 の 説 明 に は,日 常 生 活 で の 「箱 」 と か 「カ セ ッ トテ ー プ」 を イ メ ー ジ さ せ る 手 法 が 良 い 。 カ セ ッ ト テ ー プ に デ ー タ (音 楽 な ど を想 定 させ る)を 記 録 す る と い う イ メ ー ジ で あ り,新 し い デ ー タ を 記 録 す る と, AFB A B口
Z X十Y關
代 入〔}閲
演算 図4領 域の 概念前 の デ ー タ は消 滅 して しま うこ と を理 解 させ な けれ ば な らな い 。(図4)。 と ころ で 領 域 をい くつ か並 べ 同一 の 名 前 を 付 け た も の が 配 列(テ ー ブ ル:Table)で あ る。 初 心 者 に と って 領 域 に 関す る何 の知 識 も な く,配 列 の 概 念 を理 解 す るこ とは難 しい 。 こ こで 領 域 の概 念 を しっか り把 握 させ る こ と は,プ ロ グ ラ ム に お け る配 列 の概 念 を理 解 さ せ る上 で 大 変 役 立 つ 。 配 列 は領 域 を複 合 化 し た もの と考 え る こ とが で きる。 しか し,こ の 段 階 で配 列 を説 明す る必 要 はな い 。 混乱 を増 す だ けで何 の効 果 もな い と思 わ れ る。 (3)内部 と外 部 の概 念 把 握 現代 の コ ン ピ ュ ー タ は,ほ とん どの機 械 が 通 常 ノ イマ ン型 コ ン ピ ュー タで あ る。 そ こで プ ロ グ ラ ム は メモ リ ー に搭 載 さ れ,処 理 され るべ きデ ー タ は コ ン ピ ュー タの外 部 か ら内 部 (メ モ リ)に 入 力 され た り,コ ン ピ ュー タ の 内部 か ら外 部 に 出力 さ れた りす る構 造 に な っ て い る。(図5) 外部 メ モ リ ー 外部
/T一 タ/一
プ ロ グ ラム 一ゾ データ/
入 力 処理 図5内 部 と外部 の概念 出力 内 部 と 外 部 の 概 念 の 説 明 に は,日 常 生 活 で の 「電 卓 」 を イ メ ー ジ さ せ る 。 キ ー ボ ー ド か ら デ ー タ を 入 力 し,計 算 し て,結 果 を 出 力 (表 示)す る イ メ ー ジ は,内 部 と外 部 の 概 念 把 握 に 役 立 と う 。 デ ー タ と プ ロ グ ラ ム と は 別 で あ り,デ ー タ を 集 め た もの が フ ァ イ ル で あ る 。 こ れ を外 部 か ら 入 力 し,処 理 した 結 果 を再 び デ ー タ と し て 外 部 の フ ァ イ ル に 集 め る こ と を 説 明 して お く と,「 フ ァ イ ル の 概 念 」 が 初 心 者 の 中 に 形 成 さ れ る 。 4-4分 岐 型 フ ロ ー チ ャ ー トと そ の 演 習 分 岐 型 フ ロ ー チ ャ ー トの ポ イ ン ト は,判 断 記 号 を理 解 す るか ど うか にか か って い る。 (1)分岐 の概 念 把 握 分 岐型 に は基 本 三 構 造 の と こ ろで 示 した よ う に,IFTHENELSE型 とIFTHEN型 の2 つ の 形 が あ る。 ど ち らに しろ判 断 記 号 の 意 味 を充 分理 解 させ る こ とが 必 要 で あ る。 判 断 記 号 自体 は領 域(エ リア)同 士 を比 較 す る 関係 式 で あ り,さ して 難 し くは な い。 分 岐 型 フ ロ ー チ ャ ー ト作 成 の指 導 上 の 難 しさ は,「 条 件 を何 に し,条 件 を どの よ うに設 定 す る か」 を考 え させ る こ とに あ る 。 4-5繰 返 し型 フ ロ ー チ ャー トと その 演 習 (1)繰返 しの概 念 把 握 繰 返 し型 に は,DOWHILE型 とREPEAT UNTIL型 の2つ の形 が あ る 。 繰 返 し(ル ー プ)に つ いて は,繰 返 し型 の フロ ー チ ャー トを示 し,そ の動 き方 を説 明 す れ ば 比較 的容 易 に理 解 しよ う。 ル ー プ端 記 号 は比 較 的新 しい記 号 な の で,誤 解 の ない よ う に説 明 すべ きで あ る 。 しか し,こ こで も難 しい の は 「ル ー プ の終 了 条 件 を何 に し,終 了条 件 を どの よ う に設 定 す るか 」 を考 え させ る こ とで あ る 。 フ ロ ーチ ャー トの作 成 は数 多 くの 問題 を演 習 させ,身 を持 って 理解 させ る事 が大 切 で あ り,講 義 だ けで は不 足 で あ ろ う。 (2)カウ ンタの 概 念 把 握 領 域Nを 用 意 し,Nを あ る一 定 数 ず つ 増 加 させ る と きNを カ ウ ン タ(Counter)と 呼 ぶ 。 カ ウ ン タの概 念 は プ ロ グ ラ ム を作 成 す る場 合, 必 要 不可 欠 な概 念 で あ る 。例 え ば,Nを1つ ず つ 増 や す フロ ー チ ャー トの処 理 は次 の よ う に表 され る。 そ こで,初 期 値 とし てNに0を 代 入 して お き,ル ー プ の 中 に カ ウ ン ト処 理 を含 め れ ば, Nは1つ ず つ増 加 す る要 領 で あ る。(図6)回 ぐ一国+口
1回目ロ ー 巨]+口
・
回目[}{コ+口
・
回目[コー 口+口
図6カ ウ ン タ の 概 念 (3)合計 と平 均 の概 念 把 握 カ ウ ンタ の概 念 を更 に進 め て,合 計 と平均 の概 念 を理 解 させ る。 この 段 階 ま で くる と,筆 者 の経 験 で は 直線 型 フ ロ ーチ ャー トの箇 所 で 示 した 「逐 次 処 理 の概 念 」 は も とよ り 「領域 の概 念 」,「内部 と 外 部 の概 念 」 をか な り理解 す る よ うに な って い る。 合 計 処 理 を行 う に は例 え ば合 計 とい う名 前 の領 域 を用 意 し,得 点 をそ の合 計 に加 算 す る 処 理 をル ー プ の 中 に含 め る こ とで 行 え る。 た だ し,合 計 を初 期 値 と して0に して お か な け れ ば な らな い こ と を注 意 す る。 個 人 差 に もよ るが,こ の 合 計 を加 算 す る概 念 が 理 解 で き なか った り,誤 解 す る よ うな初 心 者 が い る。 主 な原 因 は合 計 と得 点 を加 算 し た値 を,再 び 合 計 に保 存 す る こ とが 理 解 で き な い た め で あ る。 す な わ ち 厂合 計 と い う領 域 」 に とっ て は,自 分 自身 を読 ん だ後,自 分 自身 を壊 しな が ら加 算 した値 を再 び保 存 す る とい う概 念 が 理解 で きな い こ と に起 因す る こ とが 多 い。 さ て,合 計 とカ ウ ン タを組 み 合 わ せ れ ば, 平 均 が 計 算 で きる。 即 ち ル ー プの 中 に,合 計 処 理 と件 数 の カ ウ ンタ を含 め て お き,ル ー プ が 終 了 した 時 点 で 合 計 値 を件 数 で割 り算 す れ ば,平 均 が 求 め られ る。 4-6基 本 プ ロ グ ラ ミ ン グ技 術 と その 演 習 以 上 で基 本 三 構 造 を提 示 しなが ら,フ ロ ー チ ャー トの作 成 とプ ロ グ ラ ム の結 びつ きを教 え た ら,次 に初 心 者 に とって 理 解 しに くい も う一 つ の ポ イ ン ト,即 ち フ ァイル の 取 扱 い を 教 え る こ とが 大 切 で あ る。 技 術 計 算 や シス テ ム プ ロ グ ラム作 成 の た め のFORTRANやC言 語 を扱 う場 合,フ ァ イ ル の取 扱 い がCOBOL程 に は重 要 視 さ れ な い 傾 向 が あ る。 しか し,ビ ジ ネ ス シ ス テ ム の構 築 に は フ ァイ ル の概 念 は不 可 欠 で あ り,是 非 教 育 して お くべ きテ ー マ で あ る 。 と ころ で フ ァイ ル の概 念 そ の もの に つ い て は 厂内部 と外 部 の概 念 」 の説 明 で,あ る程 度 理解 して い る こ とを前 提 とす るが,基 本 プ ロ グ ラ ミ ング技 術 を説 明す る 中で よ り深 くフ ァ イ ル の概 念 を理 解 させ る よ う に したい 。 (1)ファイ ル を読 む演 習 初 心 者 に フ ァイ ル の概 念 を教 え るた め に は, 「フ ァイル を読 む」 こ とか ら演 習 させ た方 が 良 い。 即 ち,初 心 者 に は フ ァ イル は作 成 させ な い(書 かせ ない)方 針 を筆 者 は とる 。 そ れ は次 の 理 由 に よ る。 ・フ ァイ ル を作 成 す る作 業 は,環 境 整備 に 手 間 が か か る こ とが多 い 。 ・デ ー タ を作 成 す る作 業 は,時 間 と労 力 が か か る。 ・学 習 者 が デ ー タ 自体 を作 成 す る こ とに興 味 を示 した り,夢 中 に な っ た り して デ ー タを作 成 す る作 業 に埋 没 す る こ とが あ る。 筆 者 は フ ァ イ ル を 「デ ー タ を作 成 す る 作 業 」 か ら理 解 させ る よ り も,通 常 で は 目で み え な い ブ ラ ックボ ック ス と して の フ ァイ ル を, 「プ ロ グ ラム とい う ツ ール を使 って 読 む とい う作 業 」 か ら理 解 させ た ほ うが 理 解 が はや い と考 え る。 そ こで教 え る側 が フ ロ ッピー デ ィス クな ど にあ らか じめ フ ァイ ル を支給(コ ピー)し,学 習者 は この フ ァイ ル を読 む プ ログ ラム を作 る こ とか ら演 習 に入 る のが 適 当 で あ る 。 (2)1つ の フ ァイ ル を取 扱 う演 習 基 本 プ ロ グ ラ ミ ング技 術 の演 習 と して は, まず1つ の フ ァ イル を取 扱 う演 習 を行 うの が 良い 。1つ の フ ァ イル を取 扱 う技 術 と して 代 表 的 な,次 の 演 習 を行 う必 要 が あ る。 ・明 細 出力 処 理 ・ペ ー ジ コ ン トロ ール処 理 ・グ ル ー プ コ ン トロ ール処 理 ① 明細 出力 処 理 学 習 者 に ブ ラ ック ボ ックス(デ ー タ内容 を 教 え な い)と して の フ ァイル を支給 す る。 そ して フ ァイ ル の 内容 を何 の加 工 もせ ず,そ の ま ま明細 と して表 示 す る よ う な プ ログ ラム を 作 成 させ る。 この よ うな処 理 を明細 出力 処 理 と呼 ぶ 。 明 細 出 力 の 演 習 はプ ロ グ ラ ム とデ ー タの 扱 い 方 が 明 確 に 区 別 さ れ て い る現 代 の コ ン ピ ュ ー タの 特 質 を理 解 させ る の に有 効 で あ り, ま た フ ァイ ル の概 念 を把握 させ る の に役 立 と う。 明 細 出力 処 理 は繰 返 し型 の応 用 で あ り,次 の要 素 を含 ん で い る ので,こ れ まで の復 習 を 兼 ね て説 明 す る と良 い。 ・前 処 理,主 処 理,後 処 理 とい う よ うに フ ロー チ ャー トをカ テ ゴ リ分 け して 考 え る 考 え方 。 ・入 力 ,処 理,出 力の明確 な区別。 ・ル ー プ(繰 返 し)の 終 了方 法 。 更 に進 んで,明 細 行 を編 集す る演 習 す な わ ち編 集 コ マ ン ドの練 習 を させ て み る こ と も良 い で あ ろ う。 編 集 と は,例 え ばPRINTUS-INGな ど を使 用 して,明 細 行 をわ か り易 くす る こ とで あ る 。 ② ペ ー ジ コ ン トロ ー ル処 理 明細 出 力 処 理 の 演 習 が終 了 した ら,今 度 は 1ペ ー ジ に一 定 行 数 の 明細 行 を 出力 す る制御 構 造 を教 育 す べ きで あ る。 この制 御 をペ ー ジ コ ン トロ ー ル と呼 ぶ 。 通 常 の 帳票 は,こ の よ う な制 御 構 造 で 印 刷 され て 見易 い 帳 票 とな っ て い る。 ペ ー ジ コ ン トロ ール の 制 御 に はペ ー ジ カウ ンタ の導 入 が 不 可 欠 で あ る。 ペ ージ カ ウ ン タ と は,「 出力 し て い るペ ー ジ に つ い て 現 在 何 行 目を 印刷 中 な のか を記 憶 して 置 く1種 の カ ウ ンタ」 で あ る。 カ ウ ン タ の概 念 につ い て は, こ こで は す で に学 習 済 み な ので 容 易 に理 解 し よ う。 カ ウ ンタ の制 御 構 造 だ け を抜 き 出 して 示 す こ と も有 効 で あ ろ う。(図7) L=10 Y L←0 i N L←0 i f
擁/
LPL十1 1 前処理 主処理 図7ペ ー ジ コ ン ト ロ ー ル ③ グ ル ー プ コ ン トロー ル処 理 次 に レ コ ー ドの 中 の あ る項 目(コ ン トロ ー ル キ ー)に 注 目 し,こ の項 目が等 しい値 を持 つ レコ ー ドの 集 ま りを1つ の グ ル ー プ と して, 集計 や 印字 を行 う処 理 を グル ー プ コ ン トロ ー ル と呼 ぶ。 グ ル ー プ コ ン トロ ール はキ ー が昇 順(あ る い は 降順)に 並 んで い る こ とが 前提 で あ る。 この処 理 も基 本 的 な ア ル ゴ リズ ム な の で,充 分 に理 解 させ るべ きで あ る。 この 処 理 は コ ン トロ ー ル キ ーが ど こか ら変 わ っ たの か(キ ー ブ レイ ク とい う)を 見 つ け る こ とが ポ イ ン トで あ り,次 に示 す 制 御 構 造 を充 分 理 解 させ るべ きで あ る。例 え ば,日 付 毎 に売 上 フ ァイル を集 計 す る場 合 を考 え て み る。(図8)フ アイ ル 月 日 内容 5 1 ● ● ● グル ー 切 れ 目 (キ ー プ , 5 1 ● ● ● 5 1 ● ● ● 5 2 ●● ● イ ル 5 2 ●● ● 5 3 ● ● ● ● ● ● 5 30 ● ● ● 5 30 ● ● ● 売 上 フ ァ イ ルの レ コー ド 図8グ ル ー プ コ ン ト ロ ー ル (3)2つ の フ ァ イ ル を取 扱 う演 習 2つ の フ ァ イ ル を取 扱 う ア ル ゴ リズ ム と し て 次 の 演 習 を 行 う必 要 が あ る 。 ・フ ァ イ ル の 突 合 せ 処 理(1:1の マ ッチ ン グ) ・フ ァ イ ル の 突 合 せ 処 理(1:Nの マ ッチ ン グ) ・フ ァ イ ル の 併 合(マ ー ジ)処 理 ① フ ァ イ ル の 突 合 せ 処 理(1:1の マ ッ チ ン グ) 手 作 業 で は 在 庫 台 帳 と入 出 庫 伝 票 を 突 合 せ る 必 要 が あ る よ う に,コ ン ピ ュ ー タ処 理 に と っ て も,フ ァ イ ル の 突 合 せ 処 理 は 不 可 欠 な ア ル ゴ リズ ム で あ る 。 突 合 せ す る た め の キ ー を マ ッチ ング キ ー と呼 ぶ 。 この 処 理 は トラ ンザ ク シ ョンデ ー タで マ ス タ フ ァイル を更 新 す る 時 や,ト ラ ンザ ク シ ョ ンフ ァイル の キ ー とマ ス タ フ ァイ ル の キ ー を1:1で 対 応(マ ッチ ング)さ せ る時 に使 用 す る代 表 的 な もの で あ る。 この処 理 もキ ーが 昇 順(あ るい は 降 順) に並 んで い る こ とが 前 提 で あ る 。 次 に示 す よ う に,キ ー を比 較 す る部 分 の 制 御 構 造 だ け を抜 き出 して 説 明 す る必 要 が あ ろ う。 Y MK=TK N MKCTK Y N トラ ンザ ク シ ョ ン処 理 マ ス タ 処 理 マ ッ チ ン グ 処 理 《 ・MKマ ス タ キー ・TKト ラ ンザ ク シ ョン キー ・トラ ン ザ ク シ ョ ン処 理 …TKに 対 応 す るMKが な い こ と を示 し、 ま た 次 の トラ ン ザ ク シ ョ ンデ ー タ を 入 力 す る。 ・マ ス タ処 理 … 次 の マ ス タデ ー タ を入 力 す る 。 ・マ ッチ ン グ処 理 … キ ー が 一 致 した場 合 の処 理 を行 い 、 次 の マ ス タデ ー タ と トラ ンザ ク ショ ン デ ー タ を入 力 す る。 図911の マ ッ チ ン グ ト ラ ン ザ ク シ ョ ン フ ァ イ ル に 同 一 キ ー が 複 数 件 存 在 す る場 合 を,1:Nマ ッ チ ン グ 処 理 と 呼 ぶ 。 ま た,2つ の フ ァ イ ル を突 合 わ せ て, 1つ フ ァ イ ル に ま と め る こ と を 併 合(マ ー ジ)と 呼 ぶ 。
(4)配列 を取 扱 う演 習 領 域 の概 念 を進 め て配 列 の概 念 につ な げ る こ とが で きる 。既 に述 べ た よ う に,領 域 はメ モ リの 中 に確 保 した 「箱 」 とい う イ メ ー ジで 考 え る こ とが で きる 。 この箱 をい くつ か並 べ て 処 理 す る場合,1つ1つ に名 前 をつ けて 定 義 して い て は非常 に不 便 で あ る。 そ こで 箱全 体 に1つ の 名 前 をつ け,個 々 の箱 を呼 び 出す に は添 字 をつ けて 呼 び出 す 方法 が考 え られ た。 こ れ は配 列(テ ー ブ ル:Table)と 呼 ば れ て い る。 配 列 の 説 明 で は,ベ ク トル や マ トリク スが 例 と して 使 用 され る こ とが 多 い 。 日常 生 活 を 題 材 とす る観 点 か らい え ば,筆 者 は 「マ ンシ ョ ン」 の例 を挙 げ て説 明す る こ とに して い る 。 即 ち,マ ンシ ョ ンは建 物 全 体 と して何 々 マ ン シ ョン とい う名 前 を持 ち,個 々 の 部屋 は1階 な ら ば101,102,103,…2階 な ら ば201, 202,203,… とい う よ うに な って い る場 合 が 多 い 。 こ の考 え方 は そ の ま ま配 列 の概 念 に 一 致 す る の で,初 心 者 は イ メ ー ジ を作 り易 い 。 た だ し,こ こで 是 非注 意 を喚 起 したい の は, 配 列 はあ くまで コ ン ピ ュー タ の メモ リ ー上 の 概 念 で あ るが,初 心 者 は往 々 に して フ ァイ ル の 概 念 と混 乱 す る こ とが あ る 。特 に学 習 者 の 注 意 を喚 起 す る必 要 が あ ろ う。 r-一 要素 ・ ! 旨 配 列名URI T 1 URI(1)URI(2)URI(3)URI(4) 図10配 列 の 概 念 配 列 に は1次 元配 列 や2次 元 配 列 な どが あ るが,1次 元 配 列 だ け は教 育 して お きたい 。 5.プ ロ グ ラム作 成 方 法の 教 育 5-1プ ロ グ ラ ム言 語 と文 法 の 説 明 (1)BASIC言 語 の使 い方 筆 者 は フ ロ ー チ ャ ー トの 理 解 を 助 け る た め の 道 具 と し てBASIC言 語 を 選 ん だ 。 そ こ で, BASIC言 語 そ の も の の 教 育 に つ い て は,フ ロ ー チ ャ ー ト を 理 解 す る の に 必 要 な 範 囲 の BASIC文 法 の み を 教 え る こ と と し,こ れ 以 外 の 文 法 はBASICと して 典 型 的 な 命 令 で も, 敢 え て 教 え な い こ と と し た 。 言 わ ば,新 し い 切 り 口 でBASICと い う 言 語 を と ら え 直 す こ と を試 み た 。 次 の よ う な 試 み で あ る 。 ①BASICの 「FOR∼NEXT命 令 」 は 繰 返 し を 処 理 す る典 型 的 な 命 令 で あ る 。 プ ロ グ ラ ム と して は便 利 な 命 令 で あ る が,繰 返 し型 の フ ロ ー チ ャ ー ト と結 び つ け る と1:1で 対 応 せ ず,か え っ て 理 解 を 難 し くす る こ と が 考 え ら れ る 。 そ の た め 最 初 の う ち は こ の 命 令 の 代 りに, 敢 え てIF命 令 とGOTO命 令 を フ ロ ー チ ャ ー トの 流 れ に あ わ せ て 使 用 す る よ う に し た 。 ② 繰 返 し 型 の フ ロ ー チ ャ ー ト をBASICで 演 習 す る に は,ま ず 上 述 の よ う にIF命 令 と GOTO命 令 を 使 用 し て 理 解 さ せ,そ の 後 「WHILE∼WEND命 令 」 を 教 え る よ う に し た 。 「WHILE∼WEND」 は,COBOL言 語 の 「PERFORM∼END-PERFORM」 を 連 想 し や す く,構 造 化 プ ロ グ ラ ミ ン グ 手 法 を 理 解 さ せ る た め の 一 助 と な ろ う 。 (繰 返 し を 理 解 し た あ と に,FOR∼NEXT命 令 を 教 え て も何 の 支 障 も な い 。) ③BASICの 「READ命 令 」 は,プ ロ グ ラ ム の 内 部(DATA文)で 作 成 し た デ ー タ を あ る 領 域 に 代 入 す る 命 令 で あ る 。 こ の 命 令 は コ ン ピ ュ ー タ に お け る 内 部 と 外 部 を説 明 す る 場 合 に は,む し ろ 邪 魔 に な る 場 合 が 多 い の で 教 え な い よ う に した 。 一 見 難 し い 命 令 に 見 え て も,INPUT命 令 (キ ー ボ ー ド か ら の 入 力)やINPUT#命 令 (フ ァ イ ル か ら の 入 力)を 使 用 し,説 明 を し た 方 が ア ル ゴ リ ズ ム は 理 解 しや す い 。 (2)BASIC言 語 の 命 令 一 覧
筆 者 が フ ロー チ ャー トの 理解 の た め に採 用 したBASIC言 語 の命 令 は次 の命 令 で あ る。 ・定数 と変数 ・LET A ・+一*/ ・REM ・PRINT(LPRINT) ・PRINT(LPRINT)一 一一USING ・END ・INPUT ・IF∼THEN∼ELSE∼ ・_〈 〉 ・GOTO ・OPENCLOSE# ・INPUT# ・IFEOF(1)THEN ,IFNOTEOF(1)THEN ・WHILE∼WEND ・GOSUB∼RETURN ・DIM ・WRITE#(教 員 が フ ァ イ ル を 作 成 す る 時 の み 使 用) 5-2教 材 に つ い て の 一 考 察 以 上 述 べ た こ と を 基 本 に,筆 者 が 作 成 し た 具 体 的 な 教 材 提 出 の 一 例 を 報 告 す る 。 (1)直線 型 の フ ロ ー チ ャ ー ト 直 線 型 の フ ロ ー チ ャ ー トの 練 習 に は,ま ず 「出 力 」 だ け を 中 心 と した 例 題 を提 示 す る と 良 い 。 この例 題 を学 習 す る 中で,こ れ らの概 念 を 初 心 者 が 明確 に認 識 す れ ば,そ の後 の 上達 は 早 い 。次 に 「入 力 」 を 中心 と した教 材 を提 示 す る と良 い 。 10REMチ ョクセ ン 20X=50 30Y=60 40Z=X十Y 50PRINTZ 60END 図11直 線 型(出 力)の 例 題 例 題2(図12) XとYに 数 値 を 入 力 し,そ の 和 を 求 め る 。 例 題1(図11) Xに50,Yに60を 代 入 しそ の 和 を 求 め る 。 この例 題 で は フ ロ ーチ ャー トの処 理 は上 か ら下へ 流 れ る とい う 「逐 次処 理 の概 念 」 を示 す こ とが 可 能 で あ る。 次 に 「領 域 の概 念 」 も こ こで説 明す る と良 い。 す な わ ち領 域 と してXやYが 必 要 で,こ の領 域 に数 値 を代 入 す る こ とや,ま たZに は 計 算 の 途 中結 果 を保 存 す る こ とを説 明す る。 更 に 「内 部 と外 部 の概 念 」 を示 す 。 即 ち計 算 結 果(Z)を 内 部 か ら外 部(画 面)に 出力 す る考 え方 で あ る。 10REMチ ョクセ ン 201NPUTX 301NPUTY 40Z=X十Y 50PRINTZ 60END 図12直 線 型(入 力)の 例 題 こ こで も再 度 「逐 次 処 理 の 概 念 」,「領 域 の 概 念 」 を説 明 し,知 識 の 定 着 を はか る べ きで あ る。 「内 部 と外 部 の 概 念 」 と して は,外 部 か らデ ー タを入 力 す る考 え方 を説 明 す る こ と に な る。
こ この 説 明 で 入 力 の た め のINPUT命 令 に, 入力 を促 す ため の プ ロ ンプ ト文 を最 初 か ら示 す と,PRINT命 令 の 出 力 と混 同 し,混 乱 す る こ とが 多 い の で,む しろ プ ロ ン プ ト文 を こ の段 階 で は説 明 しな い ほ うが 良 い。 直 線 型 の フ ロー チ ャー トにつ いて は,次 に 例 え ば 「数 値 を入 力 して,面 積 を計 算 し表示 す る」 よ う な入 力 と出力 の両 方 を含 む 多 くの 問題 を作 成 し演 習 させ る と良い 。 (2)分岐 型 の フ ロー チ ャー ト 問題3(図13) XとYに 数値 を入 力 し,大 きいほ うの数 値 を表 示 す る。 図13分 岐 型 の 例 題 この 段 階 の説 明 は領 域MAXの 意 味 を理 解 させ る こ と に重 点 を置 くべ きで あ る 。 また, フ ロ ーチ ャ ー トの分 岐 とプ ロ グ ラム に お け る IF命 令 との対 応 を良 く説 明 す べ きで あ る。 (3)繰返 し型 の フロ ー チ ャー ト 問 題4(図14) 1か ら10ま で の 整 数 を 表 示 す る 。 この殺 階 の 説 明 はル ー プ始端 とル ー プ終 端
(開 始)
i
N←1/
i
.丶 ル ー フ N>10 Nを 表示/i
NON十11
o ル ー フ \ ン i(終
了)
10REMク リカ エ シ 20N=1 301FN>10 THENGOTO70 40PRINTN 50N=N十1 60GOTO30 70END 図14繰 返 し型 の 例 題 の記 号 の意 味 を説 明 しなが ら,繰 返 し(ル ー プ)の 動 き方 を良 く理 解 させ る こ とを 中心 に す べ きで あ る。 ま た,変 数Nに つ い て 次 の項 目の 相 互 関 係 を十分 に理 解 させ るべ きで あ る。 ・変 数Nに 初 期 値 と して 何 を 設 定 す べ き か 。 ・変 数Nの 表 示 と カ ウ ン トア ッ プの 場 所 をル ー プの 中 で,ど こに置 くべ きか 。 ・ル ー プの 終 了 条件 は何 か。 授 業等 で繰 返 し型 フ ロー チ ャー トまで の 説 明 に な るべ く時 間 を割 きな が ら,多 くの 問 題 を演 習 させ る と,筆 者 の経 験 で は その 後 の プ ロ グ ラ ミ ング技 術 の習 得 は はや くか つ確 実 な もの とな る 。 6.お わ り に 本 稿 は拙 著 に掲 載 した教 育 内 容 と方 法 の展 開 を論 文 形式 と して書 き直 して 報告 した もの であ る。 本稿 の紀 要 へ の掲 載 を快 く許 可 くだ さ った 文教 大 学 情 報 学 部 紀 要委 員 会 に感 謝 い た します 。[参 考 文 献1 ・BASICで 学 ぶ フ ロー チ ャー ト技 法 啓 学 出 版 海 老 沢 信 一 ・太 田信 宏 著 ・初 級 隋報 処 理 技 術 者 育 成指 針(1986-3) 日本 情 報 処 理 開発 協 会 情報 処 理 研 修 セ ン タ ・高 度 情 報 処 理 技術 者 育 成 に 関 す る ニ ー ズ 調査 報 告 書(1987-3) 日本 情 報 処 理 開発 協 会情 報処 理研 修 セ ン タ ・プ ロ グ ラ ム 流 れ 図の 作 成技 法 オ ー ム社 江村 潤 郎 ・野 津 明著 ・「情 報 基 礎 」 の解 説(1989-1) 東京 書 籍 中学 校 技 術 ・家 庭 科教 授 用 資 料 ・申 学 校 技 術 科 に お け る コ ン ピ ュー タ教 育 に関 す る基 礎 的研 究(1983-3) 東京 都 立 教 育研 究 所 科 学 研 究 部 ・学 校 に お け るパ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュー タ利 用 の研 究(1988-3) 東 京 都 立 教 育研 究 所 科 学 研 究 部 ・情 報 処 理 専 門学 校 教 育 改 定 標 準 カ リキ ュ ラ ム 試 案 の指 導 の 手 引(1990-3) 専 修 学 校 教 育 振 興 会 ・高 等 教 育 に お け る 情 報 処 理 教 育 の推 進 に つ い て (1990-9) 情 報 処 理 教 育 教 員 研 修 会 に お け る文 部 省 高 等 教 育局 専 門教 育 課 長 補 佐 レポ ー ト ・プ ロ グ ラ ミン グ に関 す る認 知 科学 的研 究(1) 松 原康 夫 文 教 大 学 情 報 学 部 情報 研 究 第7号 ・学 習指 導 と認 知 心 理 学 E・D・ ガ ニエ 著 パ ー ソナ ル メ デ ィア社