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那須野ヶ原地域における間伐材搬出作業の機械化による生産性・コスト改善の可能性(Ⅱ) ―従来型作業と機械化作業の比較分析から―

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第 47 号(2011)論 文 No.47(2011)Article

那須野ヶ原地域における間伐材搬出作業の機械化による生産性・コスト改善の可能性(Ⅱ)

−従来型作業と機械化作業の比較分析から−

Improvement on operational effi ciencies and costs of extracting thinned

woods using a processor and a forwarder in Nasunogahara area(

Ⅱ)

− Based on comparative analyses of current operations and

mechanized operations

仲畑  力1・有賀 一広1・武井裕太郎1・山口 鈴子1・伊藤  要1・ 村上 文美1・斎藤 仁志1・田坂 聡明1・金築佳奈江2

Chikara NAKAHATA1, Kazuhiro ARUGA1, Yutaro TAKEI1, Reiko YAMAGUCHI1, Kaname ITO1, Ayami MURAKAMI1, Masashi SAITO1, Toshiaki TASAKA1, Kanae KANETSUKI2

1

宇都宮大学農学部森林科学科 〒 321-8505 宇都宮市峰町 350

1

Department of Forest Science, Faculty of Agriculture, Utsunomiya University, 350 Mine, Utsunomiya, 321-8505,Japan

2

那須野ヶ原土地改良区連合 〒 329-2807 那須塩原市接骨木 447-8

2Nasunogahara Land Improvement Districts, 447-8 Niwatoko,

Nasushiobara, 329-2807, Japan 要 旨  那須野ヶ原地域に属する那須塩原市の A 森林組合(従来型作業)ならびに那須町の B 森林 組合(機械化作業)を対象に間伐材搬出作業の調査を行い、機械化による生産性・コスト改善 の可能性について分析した。作業調査のデータをもとに、従来型作業地である調査地①(初回 間伐)、②(第 2 回間伐)において間接費を加えた支出を試算したところ、調査地①では従来 型作業、調査地②では施業面積 0.8ha 以上であれば機械化作業の方が低コストとなったが、収 支は両調査地ともマイナスとなった。ただし、栃木県における現状の間伐補助金額を加えると、 調査地①は従来型作業で施業面積 0.5ha 以上、調査地②は機械化作業で施業面積 3.1ha 以上で あれば収支プラスとなった。さらに、那須野ヶ原事業の目標である残材土場渡し 1,000 円 /m3 が実現され、自家労働などにより残材を土場まで搬出することができれば、調査地①では従来 型作業で施業面積 0.4ha 以上、調査地②では機械化作業で施業面積 2.5ha 以上であれば収支プ ラスになると試算された。 キーワード:間伐材搬出、経済収支、機械化、団地化、補助金 ABSTRACT

This study investigated current operations of extracting thinned woods of A Forest Owner s Cooperative in Nasushiobara City and mechanized operations of B Forest Owner s Cooperative in Nasu Town. Then, this study discussed improvements of efficiencies and costs by mechanization. The estimated total costs including overhead costs based on the survey data in Site ① (fi rst thinning) and Site ② (second thinning) of current operations, for Site ① became lowest total costs by current operation system and for Site ② became lowest total costs by 0.8 ha and mechanized operation system, but the balance with Site ① and Site ② were defi cits. However, considering current subsidies against to thinning in Tochigi Prefecture, the balance for Site ① became surplus by 0.5 ha and current operation system, for Site ② became surplus by 3.1 ha and mechanized operation system. Furthermore, by selling logging residues at the target price of 1,000 yen/m3 at landings for Nasunogahara project, the balance with Site ① by 0.4ha

and current operation system would be surplus and that with Site ② by 2.5ha and mechanized operation system would also be surplus.

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28 1.はじめに  栃木県の那須野ヶ原地域では、内閣府の平成 20、 21 年度地方の元気再生事業の一環として、農業団体 が主体となり、水源林整備の際に発生する切り捨てら れた間伐材などを含む林地残材を木質バイオマス発電 で利用することを検討している2)。この地域に属する 那須塩原市の A 森林組合ではチェーンソーによる間 伐、林内作業車による間伐材搬出を伴う利用間伐を含 めて年間およそ 50ha の施業を行っているが、那須塩 原市の民有林における針葉樹人工林約 4,000ha の間伐 を実行し、間伐材の搬出を促進させるためには、機械 化が必要であると考えられる。  そこで、平成 20 年度の研究では A 森林組合で行わ れている現状の間伐材搬出作業(以下、従来型作業) を調査し、生産性、コスト、収支を分析するとともに、 プロセッサやフォワーダなどの高性能林業機械を導入 した場合の生産性、収支の向上、コストの低減につい て検討した1)。その結果、従来型作業では収支プラス とならない林分であっても、プロセッサやフォワーダ を導入した場合、団地化などによる施業面積の増加、 那須野ヶ原事業の目標である残材土場渡し 1,000 円 / ㎥の実現により、収支が改善される可能性が確認され た。  ただし、この研究では高性能林業機械の生産性や機 械経費は一般的な値を用いて解析しているため、この 那須野ヶ原地域に適していない可能性がある。そこで、 本研究では那須塩原市近隣の森林組合で行われている 機械化された間伐材搬出作業(以下、機械化作業)を 調査し、その結果を用いて機械化による生産性・コス ト改善の可能性について分析した。 2.調査の概要 2.1 調査地  調査地の位置を図− 1 に、調査地の概要を表− 1 に 示す。従来型作業については栃木県那須塩原市の民有 林である調査地①および②で作業調査を行った。両調 査地とも平坦地にあり、間伐材搬出の方法はチェー ンソーによる伐倒造材、ミニグラップルローダ(ベー スマシン:クボタ製 K-040、バケット容量 0.14㎥、グ ラップルヘッド:イワフジ工業製 GS40LHV)による 短幹集積と林内作業車(及川自動車製 RM8HWD-AS) への積込みの後、林内作業車による搬出、トラックク レーンを利用した荷下ろしである1)。なお、選木は間 伐前に行われ、作業路作設は集積または搬出時にチェ ーンソーによる切株の切り下げのみにより行われた。  調査地①の施業面積は 1.27ha、31 年生ヒノキの初 回間伐林分で、幅員 2.0m の作業路延長は 1,027m、路 網密度は 809m/ha であり、高密に路網が配置されてい た(図− 2)。調査地②の施業面積は 0.51ha、48 年生 スギの第 2 回間伐林分であり、道路沿いの奥行きが短 い林分のため、ミニグラップルローダにより直接、道 路脇に集積し、トラックで運び出された。なお、那須 塩原市の民有林における針葉樹人工林の林地傾斜は 0 ∼ 5°の平坦地がおよそ半分を占めることから、今回 の調査地はこの地域においては標準的な地形である (図− 1)。 宇都宮大学演習林報告第47号 2011年3月 ࿑ ખ ᦭⾐ ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 0 10 20 30 40 50 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 ᯐᆀലᩫ䟺㼲䟻 㟻✒๪ྙ䟺 䟸䟻 㑛㡪ሲཋᕰ 㑛㡪⏣ ㄢᰕᆀ䐖 ㄢᰕᆀ䐗 ㄢᰕᆀ䐘 ㄢᰕᆀ䐙 㑛㡪ሲཋᕰ 㑛㡪⏣ 図−1 調査地の位置と民有林針葉樹人工林における林地傾斜の面積割合 図− 2 調査地① ※ 造材歩留まり調査1) から推定した値、※※ 調査地③(団地化された小班3箇所) の合計、※※※ 調査地④(団地化された小班 17 箇所)の合計 ⴫ ⺞ ᭎ ⺞ᩏ࿾㽲 ⺞ᩏ࿾ԙ ⺞ᩏ࿾㽴㩷 ⺞ᩏ࿾㽴㩷 ⺞ᩏ࿾㽴㩷 ⺞ᩏ࿾㽵㩷 ᨋዊ⃰ฬ 88 ᨋ⃰ 91 ᨋ⃰ 10 ᨋ⃰ 10 ᨋ⃰ 10 ᨋ⃰ 䋭  ࠗ1B ዊ⃰ ࠗ64A ዊ⃰ ࠝ2 ዊ⃰ ࠝ3 ዊ⃰ ࠞ1 ዊ⃰ 㧙 ᮸⒳ ࡅࡁࠠ ࠬࠡ ࠬࠡ ࡅࡁࠠ ࠬࠡ ࠬࠡ࡮ࡅࡁࠠ ᨋ㦂㧔ᐕ㧕 31 48 53 53 53 39䌾56 㕙Ⓧ㧔ha㧕 1.27 0.51 3.09 1.85 1.41 26.74 ᐔဋ⢷㜞⋥ᓘ㧔cm㧕 18 22 32 27 34 䋭 ᐔဋ᮸㜞㧔m㧕 16 16 19 20 20 䋭 ᐔဋᐙ᧚Ⓧ㧔m3/ᧄ㧕 0.26 0.32 0.70 0.63 0.82 䋭 ┙ᧁኒᐲ㧔ᧄ/ha㧕 2,180 1,640 1,000 1,200 800 䋭 㑆બᣇᴺ ቯᕈ ቯᕈ ቯᕈ ቯᕈ ቯᕈ ቯᕈ 㑆બᧁᐔဋ⢷㜞⋥ᓘ㧔cm㧕 15 20 26 19 29 䋭 㑆બᧁᐔဋ᮸㜞㧔m㧕 16 15 16 17 19 䋭 㑆બᧁᐔဋᐙ᧚Ⓧ㧔m3/ᧄ㧕 0.16 0.25 0.40 0.25 0.59 䋭 ᧄᢙ㑆બ₸㧔%㧕 35 25 30 42 25 䋭 ᧚Ⓧ㑆બ₸㧔%㧕 22 20 17 16 18 䋭 㑆બ᧚Ⓧ㧔㨙㧕 154.9 52.5 370.8 231.3 166.4 ៝಴᧚Ⓧ㧔㨙㧕 ̪142.5 ̪46.2 ̪̪607.0 ̪̪̪3,780.6 ៝಴₸㧔㧑㧕 ̪92.0 ̪88.0 ̪̪79.0 㧕 表−1 調査地の概要  また、機械化作業については那須塩原市近隣の B 森林組合を対象として、栃木県那須町の民有林であ る調査地③および④で作業調査を行った。間伐材搬 出の方法はチェーンソーによる伐倒、グラップルロ ーダ(ベースマシン:日立建機製 ZAXIS135US、バケ ット容量 0.45㎥、グラップルヘッド:イワフジ工業製 GS90LJV)による全木集積、プロセッサ(ベースマシ ン:日立建機製 ZAXIS135US、バケット容量 0.45㎥、 プロセッサヘッド:イワフジ工業製 GP-35A)による 造材、または、チェーンソーによる伐倒造材後、フ ォワーダ(諸岡製 MST-600VDL)による搬出が行わ れた(写真− 1)。なお、選木は伐倒と同時に行われ、 作業路作設はバックホウ(ベースマシン:日立建機製 ZAXIS120、バケット容量 0.45㎥)により行われた。  調査地③は 53 年生スギ・ヒノキの第 2 回間伐林分 で小班 3 箇所が団地化され、施業面積は 6.35ha、平均 林地傾斜は 14.5°である(表− 1、図− 3)。作業路幅 員は 3.5m、延長は 1,978m、路網密度は 311m/ha であり、 高密に路網が配置されていた。調査地④は 39 ∼ 56 年 生スギ・ヒノキの第 2 回間伐林分で小班 17 箇所が団 地化され、施業面積は 26.74ha、平均林地傾斜は 13.1 °である(表− 1、図− 4)。作業路幅員は 3.5m、作業 路延長は 4,888m、路網密度は 183m/ha であり、調査 地③と同様、高密に路網が配置されていた。

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2.2 調査方法  本研究では、間伐材搬出作業の生産性・コストを把 握するために日報調査ならびに時間観測を行った。時 間観測は作業システムを構成する各作業について、ビ デオ撮影により測定を行った。さらに間伐材搬出作業 による収入を把握するために、森林組合より素材販売 代金清算書を入手した。また、本研究では素材販売代 金清算書に記載された売上材積を搬出材積と定義した (表− 1)。ただし、従来型作業地の調査地①、②につ いてはパルプ材の売上材積を把握することができなか ったため、昨年度の研究1)と同様に、造材歩留まり 調査から推定した搬出材積を以降の解析に使用した が、一般材、杭木については素材販売代金清算書に記 載された売上材積を用いて解析を行ったため、昨年度 の研究1)とは一部、結果が異なっている。 3.調査結果 3.1 生産性 3.1.1 調査地①  間伐材積 154.9㎥に対して、造材歩留まり 0.92 より、 搬出材積は 142.5㎥と推定された(表− 1)。日報調査 より、作業人工数は合計 223.5 人時であり(表− 2)、 1 日当たりの実働時間を 6 時間とすると、搬出材積の 生産性は 3.83㎥ / 人日となる(表− 3)。 表−2 作業人工数(単位:人時) 表−3 搬出材積の生産性(単位:㎥ / 人日※ 図−3 調査地③ ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 ᣢ⸳ᨋ㆏ ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 ᣢ⸳ᨋ㆏ 図−4 調査地④ ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 ᣢ⸳ᨋ㆏ ዊ⃰⇇ ૞ᬺ〝 ᣢ⸳ᨋ㆏ 3.1.2 調査地②  間伐材積 52.5㎥に対して、造材歩留まり 0.88 より、 搬出材積は 46.2㎥と推定された(表− 1)。日報調査 より、作業人工数は合計 155.5 人時であり(表− 2)、 これより搬出材積の生産性を求めると合計 1.78㎥ / 人 日となる(表− 3)。 3.1.3 調査地③  間伐材積 768.4㎥に対して、搬出材積 607.0㎥より、 搬出率は 79.0%と推定された。(表− 1)。なお、小班 および樹種別の搬出材積は把握できなかったため、上 記の結果は団地化された小班 3 箇所の合計である。日 報調査より、作業人工数は合計 810.0 人時であった (表− 2)。これより搬出材積の生産性を求めると合 計 4.50㎥ / 人日であり、林齢が近い調査地②の生産性 1.78㎥ / 人日と比較すると大幅に高い値であった(表 − 3)。 3.1.4 調査地④  調査地④においては各小班でプロット調査を行って いないため、搬出率は算出できなかった。団地化され た小班 17 箇所の搬出材積は 3,780.6㎥であり、作業人 工数は合計 4,291.5 人時であった(表− 2)。これより 搬出材積の生産性を求めると合計 5.29 ㎥ / 人日であ り、調査地③と同じく林齢が近い調査地②の生産性 1.78㎥ / 人日と比較すると大幅に高い値であった(表 − 3)。 3.2 経済収支  素材販売代金精算書より把握した各調査地の収入 写真−1 機械化作業(左上: グラップルローダによる全 木集積、右上:プロセッサ による造材、左下:フォワー ダによる荷下ろし) ( )内はプロセッサの作業人工数 ※1日当たりの実働時間は 6 時間

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30 用した調査地③では 29.18㎥ / 人日、993 円 /㎥、調査 地④では 31.74㎥ / 人日、913 円 /㎥と調査地①の方が 生産性が高く、搬出費用は低い値であった(表− 3、6)。 これは調査地①は調査地③、④と比較して平坦地であ り、また、土場までの搬出距離が短く、作業条件が良 かったことが考えられる。  以上より、収支は調査地①、②、③、④でそれぞれ 27 円 / ㎥、 − 3,586 円 / ㎥、3,984 円 / ㎥、2,562 円 / ㎥ と試算された。従来型作業地の調査地①は収支プラス であるが 27 円 /㎥と低く、また、調査地②においては 収支マイナスであった。一方、機械化作業地では調査 地③、④ともに収支プラスとなり、調査地①と比較し て高い値であった。 4.高性能林業機械を導入した場合の生産性・コスト の試算  3.2 節において、従来型作業地の調査地①では収支 プラスとなったが機械化作業地の調査地③、④と比較 して収支は低く、また、調査地②は収支マイナスと試 算された。そこで、日報調査ならびに時間観測結果を もとに各作業工程の直接費計算式を作成し、従来型作 業地である調査地①、②にプロセッサやフォワーダな どの林業機械を導入した場合の収支改善の可能性につ いて検討した。 4.1 直接費計算式 4.1.1 選木  日報調査より、調査地①、②における選木の作業人 工数の平均値は 11.4 人時 /ha となり(表− 1、2)、こ れに労務経費を乗じると、選木費用 OES(円 /ha)は 次式で表わすことができる。  A:施業面積(ha) 4.1.2 作業路作設  日報調査より、調査地③、④における作業路作設の 作業能率の平均値は 14.9m/ 人時であった。今回、仮 に作業に必要な路網密度を 200m/ha とすると、作業 人工数は 13.4 人時 /ha となり、これに労務経費、機械 経費(表− 5)をそれぞれ乗じると、作業路作設費用 OER(円 /ha)は次式で表わすことができる。 4.1.3 伐倒  チェーンソー伐倒の時間観測結果を表− 7 に示す。 チェーンソー伐倒の生産性は調査地①、②、③でそれ ぞれ 2.86㎥ / 人時、19.90㎥ / 人時、11.36㎥ / 人時であり、 時間観測データから伐倒作業 1 サイクル当たりの幹材 積 Vn(㎥ / 本)とチェーンソー伐倒のサイクルタイム TF(秒 / 本)は次式で表わすことができる(図− 5)。  次に生産性 P(㎥ / 人時)を次式より求める。 表−5 機械経費の諸元 表−6 支出(単位:円 /㎥) ※運搬+はい積み+市場手数料 を表− 4 に示す。ただし、従来型作業地の調査地①、 ②におけるパルプ材の売上材積は造材歩留まり調査1) から推定した搬出材積と一般材・杭木売上材積の差と し、その売上単価は聞き取り調査より 3,000 円 /㎥と した(表− 4)。これより、合計の売上単価は調査地 ①、②、③、④でそれぞれ 3,507 円 /㎥、4,588 円 /㎥、 12,391 円 /㎥、9,273 円 /㎥となった。  支出については労務経費を 1,300 円 / 人時、機械経 費を表− 5 に示した値と仮定して土場までの費用を試 算した(表− 6)。さらにその他の経費として共販所 に出荷される一般材および杭木にかかるトラック運搬 費用(約 1,500 円 /㎥)、はい積み料(約 700 円 /㎥)、 組合・市場手数料(木材売上額の 1 割)を加えると、 支出は調査地①、②、③、④でそれぞれ 3,480 円 /㎥、 8,174 円 /㎥、8,407 円 /㎥、6,711 円 /㎥となった。な お、ラミナ材とパルプ材は土場渡しで取引されていた ため、その他の経費を適用していない。 (1) A OES 14,812 㩷 㩷 4 . 1 . 2  ૞ ᬺ 〝 ૞ ⸳ 4 . 1 . 3  બ ୟ (2) 4 . 1 . 2  ૞ ᬺ 〝 ૞ ⸳ A OER 79,583 㩷 㩷 4 . 1 . 3  બ ୟ (3) 4 . 1 . 2  ૞ ᬺ 〝 ૞ ⸳ 4 . 1 . 3  બ ୟ 111 136 n F V T 㩷 㩷 (4) T V P 3,600 㩷 㩷 4 . 1 . 4  ㅧ ᧚ ࡮ 㓸 Ⓧ 宇都宮大学演習林報告第47号 2011年3月 ※ 造材歩留まり調査1) から推定した合計売上材積(搬出材積)と一般材・杭木売上 材積の差、※※聞き取り調査より、※※※造材歩留まり調査1)から推定した値 表−4 収入  林齢の近い調査地②、③、④で伐倒造材作業の生 産性と費用を比較すると、チェーンソーで伐倒造材 を行った調査地②の 2.24㎥ / 人日、4,614 円 /㎥に対し て、プロセッサを利用した調査地③では 8.07㎥ / 人日、 2,003 円 /㎥、調査地④では 9.34㎥ / 人日、1,447 円 /㎥ と大幅に生産性が向上し、伐倒造材費用が低下した(表 − 3、6)。一方、搬出作業の生産性と費用に関しては、 搬出材積、林齢が異なるものの、調査地①、③、④を 比較すると、林内作業車で搬出を行った調査地①の 38.86㎥ / 人日、734 円 /㎥に対して、フォワーダを利

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31  V:1 サイクル当たりの処理材積(㎥ / 本)、T:サ イクルタイム(秒 / 本)  (3)式を(4)式に代入すると、チェーンソー伐倒 の生産性 PF(㎥ / 人時)は次式で表わすことができる。  さらに直接費 OE(円 /㎥)を次式より求める。  luc:労務経費(円 / 時)、muc:機械経費(円 / 時)  労務経費、機械経費(表− 5)、(5)式を(6)式に 代入すると、チェーンソー伐倒費用 OEF(円 /㎥)は 次式で表わすことができる。 4.1.4 造材・集積  チェーンソー造材およびプロセッサ造材の時間観測 結果を表− 7、8 に示す。チェーンソー造材の生産性 は調査地①、②、③でそれぞれ 2.29㎥ / 人時、3.11㎥ /人時、4.30㎥ / 人時であり、時間観測データから造 材作業 1 サイクル当たりの丸太材積 V1(㎥ / 本)とチ ェーンソー造材のサイクルタイム TPC(秒 / 本)は次 式で表わすことができる(図− 6)。  一方、プロセッサ造材の生産性は調査地③、④でそ れぞれ 12.14㎥ / 人時、10.52㎥ / 人時であり、チェー ンソー造材を大幅に上回る値であった(表− 8)。造 材作業 1 サイクル当たりの丸太材積とプロセッサ造材 のサイクルタイム TPP(秒 / 本)は次式で表わすこと ができる(図− 7)。 表−7 チェーンソー伐倒造材による1サイクル当たりの作業時間と占有率 表−8 プロセッサ造材による1サイクル当たりの作業時間と占有率 図−5 チェーンソー伐倒による1サイクル当たりの幹材積とサイクルタイムの関係 y = 136x + 111 R2 = 0.70 0 50 100 150 200 250 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ᖷᮞ✒䟺㼐㻖㻒ᮇ䟻 䜹䜨 䜳 䝯 䝃 䜨 䝤 䟺 ⛂ 㻒 ᮇ䟻 図−6 チェーンソー造材による1サイクル当たりの丸太材積とサイクルタイムの関係 y = 690x + 81 R2 = 0.63 0 100 200 300 400 500 600 700 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ୷ኯᮞ✒䟺㼐㻖㻒ᮇ䟻 䜹䜨 䜳 䝯 䝃 䜨 䝤 䟺 ⛂ 㻒 ᮇ䟻 (5)

136 111

600 , 3 n n F V V P 㩷 4 . 1 . 4  ㅧ ᧚ ࡮ 㓸 Ⓧ (6)

luc muc

P OE  㩷 㩷 4 . 1 . 4  ㅧ ᧚ ࡮ 㓸 Ⓧ (7) 65 53 n F V OE 㩷 㩷 4 . 1 . 4  ㅧ ᧚ ࡮ 㓸 Ⓧ (8) 81 690 l  PC V T 㩷 㩷 (9) 114 89 l PP V T 㩷 㩷 図−7 プロセッサ造材による1サイクル当たりの丸太材積とサイクルタイムの関係 y = 89x + 114 R2 = 0.54 0 50 100 150 200 250 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ୷ኯᮞ✒䟺䠿㻖㻒ᮇ䟻 䜹䜨 䜳 䝯 䝃 䜨 䝤 䟺 ⛂ 㻒 ᮇ䟻 (11)

89 114

600 , 3 l l  PP V V P 㩷 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ୷ኯᮞ✒䟺䠿㻖㻒ᮇ䟻 ⏍⏐ᛮ䟺䠿 㻖㻒ெ᫤䟻 䝅䜫䞀䝷䝁䞀㏸ᮞ 䝛䝱䜿䝇䜹㏸ᮞ 図−8 チェーンソー造材およびプロセッサ造材の生産性  (8)および(9)式のサイクルタイムを(4)式にそ れぞれ代入すると、チェーンソー造材およびプロセッ サ造材の生産性 PPCおよび PPP(㎥ / 人時)は以下の 式で表わすことができる(図− 8)。 那須野ヶ原地域における間伐材搬出作業の機械化による生産性・コスト改善の可能性(Ⅱ)−従来型作業と機械化作業の比較分析から− (10)

690 81

600 , 3 l l  PC V V P

(6)

32  昨年度の研究1)では、プロセッサ造材の生産性を 6 ㎥ / 人時または 12㎥ / 人時としていたが、調査地①、②、 ③の丸太材積から求められる生産性はこの範囲内であ る。  さらに労務経費、機械経費(表− 5)、(10)および (11)式を(6)式にそれぞれ代入すると、チェーンソ ー造材およびプロセッサ造材の費用 OEPCおよび OEPP (円 /㎥)は以下の式で表わすことができる。  ただし、従来型作業にプロセッサを導入した場合、 集積方式は短幹から全木になることを考慮すると、こ れらの費用も含めた解析を行う必要がある。そこで、 日報調査結果(表− 6)より、集積費用を短幹集積で は調査地①、②でそれぞれ 301 円 /㎥、1,437 円 /㎥、 全木集積では調査地③、④の平均値である 1,199 円 / ㎥として(12)、(13)式にそれぞれ加え、造材・集積 の費用を試算したところ、プロセッサ造材は丸太材 積 0.42㎥ / 本以上であれば林齢が近い調査地②のチェ ーンソー造材より低コストとなった(図− 9)。また、 プロセッサを所有している場合には、プロセッサ造材 はチェーンソー造材よりも労働負荷、労働災害の危険 性が低いため、丸太材積 0.42㎥ / 本以下でも実際の作 業ではプロセッサが利用されるものと考えられる。 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ୷ኯᮞ✒䟺䠿3/ᮇ䟻 ㏸ᮞ䝿 㞗 ✒㈕⏕䟺 ළ/䠿 3䟻 䝅䜫䞀䝷䝁䞀㏸ᮞ 䝛䝱䜿䝇䜹㏸ᮞ ㄢᰕᆀձ Ў ㄢᰕᆀղ Ў 図−9 チェーンソー造材およびプロセッサ造材に集積を加えた費用 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 0 200 400 600 800 1,000 ᦑฝ㊝㞫䟺䠿䟻 ⏍⏐ᛮ 䟺 䠿 3 /ெ᫤ 䟻 ᚉᮮᆵᦑฝ 䝙䜭䝳䞀䝄ᦑฝ 図− 10 従来型搬出およびフォワーダ搬出の生産性 4.1.5 搬出  搬出作業の時間観測結果を表− 9 に示す。生産性は 従来型搬出の調査地①で 4.84㎥ / 人時、フォワーダ搬 出の調査地③、④でそれぞれ 10.56㎥ / 人時、9.22㎥ / 人時であった。ただし、搬出作業の生産性は搬出距離 L(m)に負の相関があることから、これを変数とす る搬出作業サイクルタイム TE(秒 / 回)は次式で表わ すことができる。  tf:積込み・荷下ろし準備、積込み、実車移動、荷 下降ろし時間の合計(秒 / 回)、v1:空搬速度(m/ 秒)、 v2:搬出速度(m/ 秒)  時間観測データより、従来型搬出およびフォワ ー ダ 搬 出 の tf は 1,660 秒 / 回 お よ び 1,236 秒 / 回、v1 は 1.84m/ 秒 お よ び 1.29m/ 秒、v2は 1.81m/ 秒 お よ び (14)

1v1 1v2

L tf TE   㩷 (15) L TEC 1,6601.10 㩷 㩷 (16) L TEF 1,2361.50 㩷 㩷 1.38m/ 秒であった(表− 9)。なお、フォワーダ搬出 は調査地③、④の平均値である。これらを(14)式に それぞれ代入すると、従来型搬出およびフォワーダ搬 出のサイクルタイム TECおよび TEF(秒 / 回)は以下 の式で表わすことができる。  昨年度の研究1)では、フォワーダ搬出のサイクル タイムを従来型搬出の時間観測データをもとに試算し たが、今回の tf はほぼ同程度、速度は低い値となっ ている。  従来型搬出およびフォワーダ搬出の平均積載量(表 − 9)、(15)および(16)式を(4)式にそれぞれ代 入すると、従来型搬出およびフォワーダ搬出の生産性 PECおよび PEF(㎥ / 人時)は以下の式で表わすことが できる(図− 10)。ただし、フォワーダ搬出の平均積 載量は調査地③、④の平均値である 4.39㎥ / 回とした。 (19) L OEEC 7690.51 㩷 㩷 4 . 1 . 6  ⋥ ធ ⾌ ⹜ ▚ ⚿ ᨐ (20) L OEEF 3780.30 㩷 㩷 4 . 1 . 6  ⋥ ធ ⾌ ⹜ ▚ ⚿ ᨐ  さらに労務経費、機械経費(表− 5)と(17)、(18) 式を(6)式にそれぞれ代入すると、従来型搬出およ びフォワーダ搬出の費用 OEEC、OEEF(円 /㎥)は以下 の式で表わすことができる(図− 11)。 宇都宮大学演習林報告第47号 2011年3月 (12) 329 39 l PC V OE 㩷 㩷 (13) 161 207 l  PP V OE 㩷 㩷 表−9 従来型搬出およびフォワーダ搬出による1サイクル当たりの作業時間と占有率 (17)

L

PEC 8,928 1,6601.10 㩷 (18)

L

PEF 15,804 1,2361.50 㩷 4 . 1 . 6  ⋥ ធ ⾌ ⹜ ▚ ⚿ ᨐ

(7)

4.1.6 直接費試算結果  以上より得られた各作業工程の直接費計算式を用い て、調査地①、②における支出を試算した。この際、 平均丸太材積 V(㎥ / 本)は間伐木平均幹材積(㎥ / 本)1 ×搬出率(%)、平均搬出距離 L(m)は 1/2 ×路網密 度(m/ha)×施業面積(ha)、路網密度は仮に 200m/ haとし、その他経費を日報調査結果(表− 6)より計 上した。なお、機械化作業地の調査地③、④において 日報調査結果(表− 6)の造材工程はチェーンソーと プロセッサを併用した値となっているが、試算ではプ ロセッサのみの値とした。  その結果、従来型作業の支出単価は調査地①、②で それぞれ 3,255 円 /㎥、6,050 円 /㎥となり、調査地② は日報調査結果を大きく下回るが、この原因としては 日報にはロスタイムが含まれていることがあげられる (表− 6)。一方、機械化作業の支出単価は調査地①、 ②でそれぞれ 4,708 円 /㎥、6,006 円 /㎥となり、これ らを従来型作業と比較すると、初回間伐の調査地①で はコスト高、第 2 回間伐の調査地②ではコストは節減 されると試算された。この原因としては、調査地①で は平均丸太材積が小さいため、プロセッサによる造材 費用が嵩んだこと、一方、調査地②ではフォワーダに より搬出費用が低下したことがあげられる(表− 6)。  なお、検証のため、機械化作業地の調査地③につい ても試算したところ、機械化作業の支出単価は 7,121 円 /㎥となり、ロスタイムや一部チェーンソーによる 造材作業が含まれる日報調査結果と比べて低い値とな ったが、調査地③において従来型作業で試算した結果 はこれより高い 7,478 円 /㎥と試算され、試算結果は 妥当だと考えられる(表− 6)。調査地④については 各小班でプロット調査を行っておらず、間伐率や間伐 材積などを把握していないため、今回は試算できなか った。 4.2 間接経費を加えた収支  前節までは直接費のみを検討したが、実際の作業に は機械運搬費、車庫等管理費、諸経費、附帯人件費な どが必要となるため5)、これらの間接費を加えた収支 を試算した。ただし、機械運搬費は固定費であるため、 搬出材積により㎥当たりの間接費は変化する。そこで、 今後、林業機械を効率的に利用するために、団地化な どにより施業面積を増加、すなわち、搬出材積を増加 させた場合についても検討した。  間接費の算出であるが、まず、機械運搬費は機械運 搬単価(50,000 円 / 台)×搬入機械台数より算出した 5)。搬入機械台数はチェーンソーなどの手持ち機械や 従来型作業で使用されるトラックを除くため、従来型 作業はバックホウ、ミニグラップルローダ、林内作業 車の計 3 台、機械化作業はバックホウ、グラップルロ ーダ、プロセッサ、フォワーダの計 4 台となる。車庫 等管理費は搬入機械台数×簡易施設費(2,000 円 / 日) ×現場滞在日数より、諸経費は直接費合計額×間接諸 経費率(0.20)より、付帯人件費は労務賃金合計額× 付帯人件費率(0.55)よりそれぞれ算出した5)  以上の間接費を加えた支出を試算したところ、調査 地①では従来型作業、調査地②では施業面積 0.8ha 以 上であれば機械化作業の方が低コストとなったが、調 査地①、②の収入はそれぞれ 3,507 円 /㎥、4,588 円 / ㎥であり(表− 4)、収支は両調査地ともマイナスと なった(図− 12、13)。昨年度の研究1)では、機械化 作業の場合、調査地②は施業面積を増加させても収支 マイナスとなり、今回の試算結果と同様であったが、 調査地①は施業面積 1.1ha 以上であれば収支プラスと なり、今回の試算結果と異なる。これは今回売上材積 を素材販売代金清算書より把握し、調査地①では単価 の高い一般材の売上材積が昨年度の研究1)より大幅 に減少したためである。 0 250 500 750 1,000 1,250 1,500 0 200 400 600 800 1,000 ᦑฝ㊝㞫䟺䠿䟻 ᦑ ฝ㈕⏕䟺 ළ/䠿 3䟻 ᚉᮮᆵᦑฝ 䝙䜭䝳䞀䝄ᦑฝ 図− 11 従来型搬出およびフォワーダ搬出の費用 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 0 1 2 3 4 5 ᪃ᴏ㟻✒䟺ha䟻 ᨥฝ䟺 ළ 㻒 m 3䟻 ᚉᮮᆵషᴏ ᶭ᲌໩షᴏ ཭ථ ཭ථ(⿭ຐ㔘㢘ྱࡳ) ཭ථ(⿭ຐ㔘㢘࣬ṟᮞ཭ථྱࡳ) 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 0 1 2 3 4 5 ᪃ᴏ㟻✒䟺ha䟻 ᨥฝ 䟺 ළ 㻒 m 3䟻 ᚉᮮᆵషᴏ ᶭ᲌໩షᴏ ཭ථ ཭ථ(⿭ຐ㔘㢘ྱࡳ) ཭ථ(⿭ຐ㔘㢘࣬ṟᮞ཭ථྱࡳ) 図− 12 調査地①における施業面積と収支の関係 図− 13 調査地②における施業面積と収支の関係 4.3 補助金事業  4.2 節では従来型作業地は収支マイナスと試算され

(8)

34 たため、除間伐ならびに作業路作設費用への補助金額 を加えた場合の収支改善の可能性について検討した。 補助金額は、対象地域、林齢、伐採率、搬出の有無ご とに設定された標準単価に、補助率と査定係数を加味 して決定される4)。そこで、設定条件を調査地①は林 齢 31 年、伐採率 35%、搬出有り、調査地②は林齢 48 年、伐採率 25%、搬出有りとして(表− 1)、これら に合致する標準単価を栃木県の標準単価表3)より求 めた。以上より、標準単価は調査地①、②でそれぞれ 600,612 円 /ha、386,176 円 /ha となり、これらに資源 循環利用林の補助率 4/10、査定係数 1.7 をそれぞれ乗 じると除間伐補助金額は 408,416 円 /ha、262,600 円 / haとなる。  また、作業路作設費用への補助金は、地形・林分条 件などにより 600 円 /m 程度まで、間伐への補助金と 一体的に支出されるため、上限 600 円 /m まで補助金 が支出されることと想定した4)。したがって、作業路 作設費用が 600 円 /m 以下となった場合は、作業路作 設費用は 0 円となる。  以上の補助金額を加えた場合、調査地①は従来型 作業で施業面積 0.5ha 以上、機械化作業で施業面積 1.3ha 以上であれば間接費の節減により収支プラスに なると試算された(図− 12)。一方、調査地②は従来 型作業では収支マイナスとなったが、機械化作業で施 業面積 3.1ha 以上であれば収支プラスになると試算さ れ、調査地②のように立木幹材積が大きく、ミニグラ ップルローダによる集積費用が嵩む林分においては機 械化・団地化による収支改善の可能性が確認された(図 − 13)。 4.4 那須野ヶ原事業  那須野ヶ原事業では、木質バイオマス発電施設が用 材として搬出されない残材を土場渡し 1,000 円 /㎥で 受け入れることを目標としていることから2)、仮に自 家労働などにより残材を土場まで搬出した場合、調査 地①では従来型作業で施業面積 0.4ha 以上、機械化作 業で施業面積 2.5ha 以上であれば収支プラスになると 試算された(図− 12、13)。 5.おわりに  本研究では、那須野ヶ原地域に属する那須塩原市の A森林組合の機械化による生産性・コスト改善の可能 性について、同様に那須野ヶ原地域に属する那須町の B森林組合を対象に機械化作業の調査を行い、この 結果を利用して分析することにより、昨年度の研究1) よりもこの地域に即したデータを活用して分析した。 機械化作業の場合、調査地②は施業面積を増加させて も収支マイナスと昨年度の研究1)と同様であったが、 宇都宮大学演習林報告第47号 2011年3月 昨年度の研究1)で施業面積 1.1ha 以上であれば収支プ ラスであった調査地①は、今回は売上材積を素材販売 代金清算書より把握したため、施業面積を増加させて も収支プラスとはならなかった。  ただし、栃木県における現状の間伐補助金額を加え ると、調査地①は従来型作業で施業面積 0.5ha 以上、 調査地②は機械化作業の搬出間伐で施業面積 3.1ha 以 上であれば収支プラスとなった。これより、機械化・ 団地化による収支改善の可能性が確認された。さらに、 那須野ヶ原事業の目標である残材土場渡し 1,000 円 / ㎥が実現され、自家労働などにより残材を土場まで搬 出することができれば、調査地①では従来型作業で施 業面積 0.4ha 以上、機械化作業で施業面積 2.5ha 以上 であれば収支プラスになると試算されることから、エ ネルギーの自給とともに間伐の促進による水源林整備 の観点からも、本事業の実現が期待される。  ただし、今回は数少ない現場の調査であったため、 今後は調査数を増やすとともに、残材搬出についても 調査し、その生産性、コスト、収支について検討して いく予定である。また、蓄積されたデータをもとに GISを用いて、那須塩原市や那須町などの那須野ヶ原 全域を対象とした機械化の可能性についても検討して いく予定である。  最後に、作業調査にご協力いただいた那須塩原市森 林組合、那須町森林組合、調査を手伝ってくれた森林 工学研究室諸氏に謝意を表します。 引用文献 1) 仲畑力・有賀一広・斎藤仁志・伊藤要・村上文美・ 金築佳奈江・前田由紀恵(2010)那須野ヶ原地 域における間伐材搬出作業の機械化による生産 性・コスト改善の可能性−現状の作業分析から −.宇大演報 46:19 ∼ 26. 2) 林野庁・那須野ヶ原土地改良区連合(2009)内 閣府平成 20 年度地方の元気再生事業「1000 年の 森を育み、エネルギーと食を自給する地域の環 境と経済循環可能性調査」. 3) 栃木県庁(2010)平成 22 年度造林事業標準単価表. 栃木県庁. 4) 山口鈴子・有賀一広・村上文美・斎藤仁志・伊 藤要(2010)栃木県佐野市における用材と林地 残材収穫の経済性を考慮した林地残材収穫量と 収穫費用算定モデルの構築.日エネ誌 89:982 ∼ 995. 5) 全 国 林 業 改 良 普 及 協 会 編(2001) 機 械 化 の マ ネ ジ メ ン ト. 全 国 林 業 改 良 普 及 協 会, 東 京, 239pp.

参照

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