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アポトーシス関連遺伝子発現制御における活性化型E2FのN末端領域の役割

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Academic year: 2021

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アポトーシス関連遺伝子発現制御における活性化型

E2FのN末端領域の役割

著者

田中 達也

(2)

2012 年度 修士論文要旨

アポトーシス関連遺伝子発現制御における

活性化型 E2F の N 末端領域の役割

関西学院大学大学院理工学研究科

生命科学専攻大谷研究室 田中 達也

[研究目的] 代表的ながん抑制遺伝子産物 pRB の標的である転写因子 E2F は、増殖刺激による pRB の不 活性化で生理的に活性化され、Cdc6 などの増殖関連遺伝子の発現を誘導し、細胞増殖に重 要な役割を果たす。一方 E2F は、がん性変化の代表である pRB の機能欠損によって pRB の 制御を外れて活性化されると、がん抑制遺伝子 ARF や TAp73 などのアポトーシス関連遺伝 子の発現を誘導し、がん化抑制に重要な役割を果たす。細胞増殖とアポトーシスとの細胞 運命決定において、相反する作用をもつ標的遺伝子を E2F がいかにして制御仕分けている のか明らかにされていない。細胞増殖とがん化抑制ともに活性化型 E2F が重要であり、活 性化型 E2F は抑制型 E2F には無い特徴的な N 末端領域をもっている。活性化型 E2F(E2F1, E2F2, E2F3a)のうち、E2F1 はアポトーシス誘導能が最も強く、E2F3a は細胞増殖に最も重 要と考えられている。加えて、E2F1 と E2F3a のアミノ酸配列は DNA 結合領域や転写活性 化領域が極めて高い相同性を示すのに対し、N 末端領域の配列は比較的低い相同性を示す。 このことから、活性化型 E2F の N 末端領域が標的遺伝子発現の仕分けに関与している可能 性が考えられる。本研究は、pRB の制御を外れた E2F による ARF、TAp73 遺伝子の活性化 において、活性化型 E2F の N 末端領域の転写制御への関与を解明することを目的とする。 [実験方法] 細胞は全てヒト正常線維芽細胞 HFF を用いた。活性化型 E2F の野生型と N 末端領域欠失変 異体による ARF, TAp73, Cdc6 プロモーターの転写活性化能は、レポーターアッセイで調べ た。遺伝子導入にはリポフェクション法を用いた。活性化型 E2F の野生型と N 末端領域欠 失変異体による内在性の ARF, TAp73, Cdc6 遺伝子に対する活性化能は、quantitative

(q)RT-PCR で調べた。遺伝子導入には組換えアデノウイルスを用いた。活性化型 E2F の野生 型と N 末端領域欠失変異体によるアポトーシス誘導能は、FACS 解析で調べた。遺伝子導入 には組換えアデノウイルスを用いた。活性化型 E2F の N 末端領域欠失変異体のタンパク質 の発現量は、ウエスタンブロッティング(WB)で調べた。遺伝子導入には組換えアデノウ イルスを用いた。

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[実験結果と考察]

増殖関連遺伝子の代表として Cdc6 プロモーター、アポトーシス関連遺伝子の代表として ARF および TAp73 プロモーターに対する E2F の N 末端領域欠失変異体の転写活性化能をレ ポーターアッセイで野生型と比較した。その結果、E2F1 の N 末端領域の欠失によって、ARF および TAp73 プロモーターに対する転写活性化能の著しい低下が認められた。一方、E2F3a の N 末端領域の欠失によって、ARF および TAp73 プロモーターに対する転写活性化能の増 強が認められた。両者の N 末端領域の欠失ともに、Cdc6 プロモーターに対する転写活性化 能には大きな影響は与えなかった。また、E2F1 と E2F3a の N 末端領域が内在性アポトーシ ス関連遺伝子の発現に及ぼす影響を qRT-PCR を用いて調べた。その結果、レポーターアッ セイと同様に E2F1 の N 末端領域の欠失によって ARF および TAp73 遺伝子に対する活性化 能が低下したのに対し、E2F3a の N 末端領域の欠失によって増強した。さらに、活性化型 E2F の N 末端領域がアポトーシス誘導能に影響しているかどうか、FACS 解析で調べた。そ の結果、N 末端領域の欠失により、E2F1 はアポトーシス誘導能が低下したのに対し、E2F3a はアポトーシス誘導能が増強された。また、WB で両者の N 末端領域欠失変異体のタンパ ク質の発現量を野生型と比較したところ、両者ともに、N 末端領域の欠失によってタンパク 質の発現量には大きな影響はなかった。従って、E2F1 の N 末端領域はアポトーシス関連遺 伝子の活性化に貢献し、逆に E2F3a の N 末端領域はアポトーシス関連遺伝子の活性化の抑 制に貢献している可能性が示唆された。 図. E2F1 の N 末端領域はアポトーシス関連遺伝子の活性化に、E2F3 の N 末端領域はアポ トーシス関連遺伝子の抑制に貢献している

NTD: N-terminal domain, DB: DNA binding domain, DD: Dimerization domain, TA:

Transactivation domain

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