Bu
l
l
e
t
i
nofNa
ga
n
oWo
me
n'
sJu
n
i
o
rCo
l
l
e
g
e Vo
l
.
7 3
1
-3
8
,1
9
9
9
翻刻「江戸時代料理本集成」に見るおから料理
清 水 祥 子
要約 江戸時代の料理本 にみるおか ら料理 は実に豊かである。前菜か ら食後 (甘味)に至 る様々な 料理がみ られる。その料理名がまた素敵である。むろん少ないお米におか らを混ぜてかさを増やすい わゆる 「中て飯」 として庶民の貧 しい食事の様 もみえるが、華やかに食卓を飾.った料理 もあった。時 代 とはいえおか らも庶民の命を養 う食材の一つであ.ったこと、従 っておか ら料理の実に豊かだったこ とがうかがえる。 キー ワー ド おか ら料理 江戸時代 はじめに 近年、おか ら料理を食べな くなって久 しい。 おからは豆腐製造の際に出来るいわば残樺であ るが、その処理に産業廃棄物かどうか裁判沙汰 になる時代である。世はゼロエ ミッションを進 めることが緊急の課題である。 最近は、食事をはじめとする日常生活か ら由 来する生活習慣病 (従来の成人病)の急増が言 われ、大 きな問題になって きている。食生活の 歪みが指摘 されており、動物性たんぱ く質 と油 脂の摂取が増え、 ここらで食生活の欧米化を止 めることが焦眉の急であると言われもする。 東洋医学の食べ物に関する思想 "一物全体〝 食からみて も、豆腐とおか らを両方食べること に意味がある。植物繊維の多いおからは栄養的 にみて も棄てがたい。 以上のことから筆者はおから料理に関心をもっ たが、筆者 自身 もかつて、おか ら料理を食べた 経験はそう多 くない。おか らの妙 り煮程度であ る。そこで、先人はどんなおか ら料理を作 り、 食べていたかを調べてみた。 筆者 は大正末期か ら昭和初期にかけて作 り、 食べ られて いたおか ら料理を r日本食生活全 集l
)
J
・のなかか ら調べてまとめた2)。そこでお か らを廃棄物 とするどころか、J様々な工夫をこ らして実に豊かなおか ら料理を作 りミ食べてい たことがわかった。1
8
8
4
年 (明治1
7
年)刊の rおかずの早見番付J に精進物の三役は 「八盃豆腐」 「卯 の花妙 り」
「葱 と油揚げのか ら汁」であった とい う3).rま た昼食に商人は 「冷や飯」に 「八杯豆腐」 (煮 出 し汁に少量の酒または味琳 ・醤油を入れて煮 立て、拍子切 りにした豆腐を入れて煮たもの。 熱いうちに紫海苔をかけて食べ る) といったと ころで、職人になると 「冷や飯」 に 「卯の花い り」 となりJ さ らに下級武士 は 「冷や飯」 に 「野菜の煮付 け」あたりが標準だ ったよ ぅであ る4)。 また飢経の時などおか らを詰めたいTilりず Lも作 られた と言 うS)。江戸庶民の日常の食 生活 が うかがわれる。 このよ うな ことか らおか らを よ く食べていた と言 えよ う。 そこで、江戸 時代 におけるおか ら料理 を一部調べたので報告 す る。 資料及び研究方法 翻刻 「江戸時代料理本集成」別巻6)か ら、 お か ら、 きらず (雪花菜)、卯 の花、 うの はな、 か ら、唐、かす、 などの言葉 を検索 し、 おか ら を使 った料理 を取 り上 げた。 結果および考察 以下 におか ら料理を記 し、 口語訳 と解説を加 え る。 各定本 は句読点がな く読みづ らいので、編者 が句読点 を推測 して一字 あけて書かれて いる。 しか し、的確ではないところ もみ られる。 「雪花菜飯焚法」 (者帽B安逸倖) などは句点、 読点 の区別な く、句点が付いている。 また同 じ 語句 で も様々な言 い方や当て字 も数多 くみ られ る。各料理 は資料本 に忠実 に記す。 か ら
に
「唐煮」
7
)
鍋へ とうふのか らを しき生鰯をな らべてまた か らを しきていわ しをな らべ斯 の ごとく四五遍 ほど して真申へ穴 を明醤油ひたひたにして酒少 しくはへ にる ' (口語訳)鍋 におか らを しいて鰯 を並べ、 ま たおか らを しいて鰯を並べを4
、 5
回繰 り返 して重ね、中央 に穴 を開 け て醤油と酒を適宜 加えて煮る。か
ん とう しる「
広
東掛勇
」8) 鶏卵をす りまぜたる未醤 しるを沸 し雪花菜 の 油煤 を入 る也 (口語訳)卵を ときほ ぐして混ぜ込んだ味噌 汁 を煮立 た し、油で沙 ったおか らを 入れ る。 こ す t:る 「呉州掛糞」8) 丹後の金太郎姐焦て尾 とか しらをさりっぷ ぎ りに し葱 白のつぶ切 りとを入れ腐樺 の未曾 しる にす (口語訳)鰯 を焼 いて頭 と尾を取 り除 いてぶ つ切 りに し、 白葱のぶつ切 りに した ものとおか らを入れて味噌汁 に仕立 て る。 餅 金太郎塩 :京都府与謝郡の近海で捕獲す る小形マイワシの俗称で、味は淡泊である。 「ノリ
マキラズシ」8
)
の
り
ま さらすL紫葉
巻腐樺酢とい
うこと也 浅草紫菜 に鰐 を 少 しうち尋常 のの りまき酢 の如 くして飯 の代 り に雪花菜を用 る也 難卵つな ぎに入れ 香油 酒 しお 豆油 にて味つけむ しり紅魚 木耳 葉 子 のはり 秦轍 の末 (口語訳) の り巻 き寿司の ことである。浅草 海苔 に少 々酢 をふ って、すめ しの代 わ りにおか らを使 う。 おか らに卵を 入 れてつなぎに して、 ごま油、酒、 醤油で味をつ け、む しった鯛、 きく らげ、菓子のせん切 り、粉山根など も入れ る。ナし
に「
酢
烹」9) 大平鍋 に雪花菜をあっ さ六七分 に しき生姐-ペんな らべ しき復同 じく雪花菜を しきいわ しを な らべか くの如 く四五層 もして真申へ孔 を穿 け 其孔へ豆油ひたひたに入れ酒 をさ し烹 る (口語訳)大 きい平鍋 におか らを2
皿 ほど し き、鰯 を-並べ してまたおか らを し-3
2
-き、鰯を並べを
4、5
回繰 り返 して、 真ん中へ穴をあけてその穴 にたまり 醤油をひたひたにいれ、酒を加えて 煮 る。 あ さ 甘 たい 「浅茅紅魚」9) 一夜塩の紅魚をよきほどにきりてよ く蒸 した るを油勲の雪花菜に珍 し椴紅の末ふる (口語訳)塩をして一晩置いた鯛を適宜に切 っ てよく蒸 した ものを、油で妙 ったお か らにまぶ して粉山根をふ る。 紬 紅魚 は鯛 (タイ)のことで、現在の辞書 には見あたらない。当時の辞書にはある。 浅茅 とはまば らに生えたチガヤ、 または丈 の低いチガヤのことである。おか らをまぶ した様子がその景色を表現 しているのであ ろう。 たちうおのやさもの 「柴魚の灸肉 」 10) 大柴魚を三片におろし肉の方を稀塩 あて生の 雪花菜に少 し塩をまぜ合せ右の肉を雛 につ け圧 石をよ くかけ一夜 ほどをきて とり出 し雪花菜を 払 はずそれなが ら灸なり 質素の清味なり (口語訳)大 きい太刀魚を三枚 におろして、 身の方 に軽 く振 り塩をし酢につける。 おか らに塩を少々混ぜて太刀魚 にま ぶ し、重石を して一晩お く。おか ら をつけたまま焼 く。 さっぱ りとした 味わいである。た
ぬ
きL
:
ち「
狸掛莫
」lO) こんに◆く 苗凍子をっぶつぶにむ しり香油 にて煤げこれ を実に してよ くす りたる雪花菜の未曾掛糞 なり (口語訳)ちぎりこんにゃく (こんにゃくを 手で一 口大にちぎった もの)を ごま 油で沙めたものを具に して、おか ら を入れた味噌汁に仕立てる。 鮮) 葡萄をたぬきに見立てて使 うので、 この 名がある。 ま ち か ね か ら 「待兼雪花菜」10) 腐樺を其 ままにて未曾桶の底へつめ殊茄を全 なが ら数みはわせに入れをき上層の味曾を平常 に漸 々つかいおはるまでを くな り 未曽つ きて 底 にいたり雪花を取いだ して初の妹茄の外に秦 轍 椎子 油麻 隣皮の未などみはか らひに加 料を用ゆ 好下酒也 (口語訳)味噌を仕込む時、桶の底 におか ら を敷 き詰め、上 に適量の唐辛子をそ のまま散 らし、味噌を仕込む。味噌 を使い終わ ってようや くおか らが出 て くる。おか らを取 り出 して山枚、 柚子、麻の実、 白胡麻、陳皮など適 当にみはか らって薬味 にする。酒 の 肴によく合 う。 細 おか らの味噌清けである。味噌を食べ終 わってようや くおか らの味噌漬 けが食べ ら れる。すなわち、待ちかねてや っと食べ ら れるおか らなので、 この料理名がついたの であろう。 はっし
も
「初霜」
1
1
)
雁 にて も見にて も鳥の吸物に芹 にて も水菜 に て も青料をあ しらひよそふたる上へ雪花菜を培 にかけ薬研にていかにもよ く細末 したるをば ら りとまく也 尤 さへぬ うちに手ぼや く出すべ し (口語訳)雁 または鴨など鶏肉の吸い物に芹 や水菜などの青味をあ しらって盛 り つけ、おか らを抄 って括 り鉢でよ く 擦 り、細か くした ものをパ ラリと入 れる。おか らが沈まぬうちに供する。 繊 吸い物におか らをパ ラ))といれるとち ょ うど霜の風情である。時間が経つ とおか らが沈んで しまうので手早 く供す るよ うにと 言 っている 。 かはやき
「
うづみ樺灸
」11) 鰻魔のかぼや き其外の矢内にて も雪花菜を尋 常の如 く麻油妙 に しその暖かなるに灸たてを肉 か くれるほどによくうづみ手ぼや く取 りあつか ひ器の蓋をよくしめてお くなり 是 は久 しく置 いて も冷めぬ.といぶ趣向也或は遠 く斎あ るき又 は人 に通 るなど 最佳調味 は附録浅茅紅魚など の趣向に同 じく最美 し 一難卵のにぬきたてを全 なが ら右の如 く雪花菜にうづむ亦お もしろし (口語訳)鰻 の蒲焼 きやその他の焼き物を冷 めないうちに、油で沙 ったおか らたっ ぷ りのなかに埋 め、手早 く蓋をする。 こうするとしば らく置いても焼 き物 が冷めない。持ち運びしたり人に持っ て行 った りす るのに重宝である。美 味 しい味つけは 「浅茅紅魚」 などの や り方 と同 じようにするととて も美 ・ 味 しい。ゆで卵を丸 のまま前述のよ うにおか らに埋めるの もまた趣があ る。 さ ら す ぎ う すい 「雪花菜雑炊」13) 雪花菜の塵を除去て雷盆にて雷擦 りよ くす り たる味そと仝 し水 にてのべ常のことく汁 たて煮 沸 し洗い飯を入ナ沸 さして食す 又加料 に葱微 塵 ささみを入 るもよ し (口語訳)おか らのごみを取 って、摺 り鉢で よく擦 った味噌 と同量の水でのば し て煮立て、洗 ったご飯を入れひと煮 立ち して食べ る。薬味に葱の微塵切 りを入れて も美味 しい。 さ ら ナ め L 「雪花菜飯」12) 雪花菜の塵境を択去て雷盆にて冨擦て銅筋に て こし雪花菜一升 に坪焼塩-陶の上下を去ル焼 土 あるかゆへ也 中心をわさび接 にてす り能和 調常の ことく飯を炊 きて飯上 の水尽 きて断薪の 時右の雪花菜を飯上におき蒸 し熟 し注子 に盛て 合和上下す △達矢汁を用ひず 随分 よき判昆 布 に梅諸を入常のことく達矢 にLや うゆかけん し煮汁を多 くしてかける (口語訳)おか らの ごみを取 って括 り鉢で擦 り、疎いでふ るう。素焼 きの壷 に入 .れて焼 いた塩の上下を取 り去 り (燃 え梓や土が付いて いるので)、 中心 の部分をわさびおろしです って細か くした ものをおか ら一升に混ぜ合わ せる。 いっ ものようにご飯を炊 き、 水が引いて火を消す時おか らを ご飯 の上 に置き、 よ く蒸 らしてお樺に移 し上下を返す。 △だ し汁を使わず に、上等の刻み昆布に梅干 しを入れ て、醤油加減 はいっものように して 仕立てて、その汁をたっぷ りかける。 かも む 「鴨のさらす蒸 し」15) 常のこと く料理たる鴨を小角に切 拐鍋に胡 麻 のあぶ らを少 し入れよくにえたる時 さらすを 入れ いり付 けさくらけ せ り さんせ う な と一所 に右之か もを入 よ くまぜ合火をはな し暫 く置其後鉢へ うつ し出す (口語訳)定法でさばいた鴨をさいの目に切 り、鍋にごま油を少々入れて熟 し、 おか らを入れて抄 りつけ、きくらげ、 せ り、 さん しょうなどと一緒に鴨 も 入れ、 よく混ぜ合わせて抄 り煮する。 火を止 めて しば らく置 き鉢 に盛 る。 き ら すナ し 「この しろの雪花菜酢」14) 常のことく水あ らひ して 中ばねをとり塩を-3
4
-す こしあて置き 暫 くしてよき酢こひたし 籾 豆腐のか らに醤油にて味を付よ く煮 右の酢に 浸 したる魚を取出 し 布巾にてよくぬ ぐひ肉中 へかの豆腐のか らを込入よき重 しにて押事二時 ばかり小口切にして出すへ し (口語訳) この しろを背開きにおろして、中 骨を取 り塩をする。 しばらく置 き、 ほどよく酢に浸す。おか らに醤油を 加えてよく抄 り煮す る。先の魚を取 り出して布巾で水気をふき取 り、開 いた魚の中におからを詰め、ほどよ い重石を して 4時間ほど置 き、小口 に切 って供する。 あへ 「たち魚のきらず和」16) 是 も魚の大小にかぎらず水洗いよくし三枚に おろし腹骨をすきとりよき程に塩を当置き 拐 豆腐の柏を醤油にて煎付右之肉を心まかせに切 さらすこまぶ し鉢へ入て上に浸けせ うが漬け さんせ う置て出ス鯛の生ず し杯に仕様同 じこと な り右之外 (口語訳)太刀魚の大小にかかわらず水洗い をよくして三枚におろし腹骨をすき 取 り、ほどよく振 り塩をす る。魚を 適宜に切 り、おからを醤油で味つけ て妙 り煮 したものをまぶ し、鉢 に盛 る。 しょうがの漬物やさん しょうの 漬物を天盛 りにして供する。太刀魚 のほかに鯛などもよい。 「うのはなにむめ」18) △つねのとうふのか らをすこしあぢっけばら ば らにいりしろざとうたっぷりとまぜてまぶす △にむめをてにてそっとかわむき右のさとう ま
ぜ
たるか らによくまぶ して (口語訳) ・おか らに少 し味を付けパラパラ し-、 に沙 って白砂糖をたっぷりと混ぜる。 ・煮梅を手の中でそっと皮をむき、 砂糖を混ぜたおか らをまぶす。 鍵) 唯一砂糖が、 しかもたっぷ りと使われて いる料理である。 「うのはなあへ」17) △かうたけ三はんにあり うすあぢ △ うの はなはとうふのか らちりをよりよくす り酒 とし やうゆにて うまくいりてあっ-へ にてかうたけ をあへあたたかなるをいだす (口語訳) ・香茸 (シシタケ)を薄味に煮る。 ・おか らはごみを選 り分けて、よ く 擦 り、酒 と醤油で美味 しく抄 り煮 し て、す ぐ香茸を和えて温かいうちに 供する。 さ ら す は ん た さ やう 「雪花菜飯焚法」19) 常に飯を焚 くごとく米を洗て釜へ仕かけ。水 加減はいっ もより少 し和 らかめに飯の出来んと おもふ位に仕かけて焚。 じゃ一- と木引頃にな りたる時。雪花菜を飯の上 に置き。其上に塩を 程よ くふ り又蓋を して暫 く飯の熟る聞置き。 よ き時分に杓子をもってか一きませ飯槽へ うつ し食 すべ し。随分よきもの也。西国辺にては常に如 此 して米を境のばすなり。分量 は米壱升に。 き らず壱升入てよし。米壱升の手まへにておよそ 四台余の徳分なれば大に益あり (口語訳)米を洗 って釜に入れ、水加減はい つ もより少 し多 くして焚 く。水がひ いて火を止める頃におか らを飯の上 におき、塩を適宜ふ り再 び蓋を して しばらく蒸す。 じゅうぶん蒸 らした . ら杓子でかき混ぜ、お棺に移 しかえ て食べる。結構美味 しいものである。 西国辺 (九州 ・四国地方)ではいつもこのようにして米 の消費を抑えて 食べつな ぐものである。割合は米一 升におか ら一升 いれてよい。米一升 に対 しておよそ四台 ほど節約 になる ので、 とて も得策である。 「きらず汁」抑 おかべのか ら はそ切 りの油あげ牛房 ささが きこんにゃ くなど通用のかや くなり 吸 くちせ り三 ツ葉山せ うね ぎの頬な り 酒の吸 ものにし てよ し ていねいにすればす り鉢にてよ くす り てつかふべ し (口語訳)豆腐のおか らと細 く切 った油揚げ、 ささが き牛努、 こんにゃくなど通常 の具で汁を仕立て、せ り、三 ツ葉、 山地、ね ぎなどを吸 い口にす る。酒 の時の吸い物に合 う。ていねいにす るな ら、おか らをす り鉢でよ くす る とよい。 以上の料理を調理法、材料、調味料、時代 ・ 年代 にまとめて表
1
に示す。 料理名 は資料本のままであるが、おからは様々 な表現 なので便宜上 "おか ら〝 に統一 した。調 理法 は汁物 (吸い物 ・味噌汁)、 ご飯物 (す し、 雑炊)、焼 き物、煮物、和え物、 のよ うに実 に 幅広 い。食材や調味料については (9 主材料がはっきりしていて、 「ノ リマキ ラ ズシ」 (巻ず し)、煮物 (抄 り煮)以外 はおか \フ らは脇役的存在である。 ② 調味料 は基本的な もので実 にシンプルであ る。 ③ 一品の料理の食素材 もシンプルである。 ④ 植物油使用が比較的多 い。おか らは特別な 味がないので油を使 うことによってコクをだ し、美味 しさ、 旨味をっ けるのであろう。 ⑤ 香辛料を上手 に使 っている。などの特徴が み られ る。味鮒が出て こないのに筆者 は不思 議 に思 うのである。当時、味鮒 は結構造 られ ていたようであるが。 おか らを表す語嚢 について出現数および読み 方を表2
に示す。 おか らの表記 は 「雪花菜」が多い。読み方 は 「とうふのか ら」
「さらす」
「きらず」
「か ら」 と ル ビが付 くが、かなで 「さらす」
「き らず」 を 含めると全体の約70%を占める。おか らは切 る 必要がないので 「きらず」 または 「さらす」 と 言 うが、「か ら」 とか 「かす」 の ようにず は り 言い表すよりず っと響 きが美 しく、かつ 「雪花 菜」 はおか らの景色を言 い当てて妙である。 こ のようなところにも江戸の粋な面が うかがえよ う。「うのはな」 は江戸時代 の終 わ りの方、 文 政 になって 「精進献立集」 に出現 している。 以上、江戸時代の2
0
品 目のおか ら料理を読み 下 してみて、 そのほとんどは筆者が調べた大正 時代の末期か ら昭和初期 にかけて作 り食べ られ ていたおか ら料理2)へ と続いていることがわか る。 r東海道中膝栗毛」(
1
8
0
2-1
82
2
〔享和 2-文政5〕)を見 ると弥次 ・喜多の旅立 ち前 のひ とこまに、庶民の食生活の一端が うかがえる。 弥次 さんの食事をす る場面で 「きらず とあれば きづけへな しだ」 とあるようにおか らは日常食 であったことがわか る21)。 また料理名においては 「おか らの味噌漬け」
を 「待兼雪花菜J
と酒落た表現を した り、 「浅 茅紅魚」
「初霜」などのように、 その料理 の景 色を素敵 に表現 しているが、当時の文人、趣味 人が料理本 に関心を もち、料理の世界 に深 く関 わ っていた様子が うかがえるのではないだろう-3
6-か。 理名 におか らを表す語桑のない ものもあると考 本報 は別巻の索引か ら 「うのはな
」
「おか ら」 え られる。 したが って、今後、全巻をチェック 「きらず」
「雪花菜」
「か ら」
「豆腐柏」などの語 しておか らを使 った料理をさらに調べ、江戸時 嚢が料理名に付いているものに限 って調べたも 代のおか ら料理をまとめてみたい。 のであるが、食材料におか らを使 っていて も料 蓑 1 翻刻 「江戸時代料理本集成」に見るおから料理 料 理 名 調 理 法 材 料 調 味 料 文献名 時 代 年号 唐煮 煮物 おから.鯖 醤油.宿 料理珍味集 宝暦14年 1764 朗 斜襲 味噌汁 おから.卵 味噌 惑酢形続題 天明3年 1783 呉州尉巣 味噌汁 おから.席.自葱 味噌 果菜竜馬梓昨 巻きずし 栗.おから.山坂浅草海苔.那.鯛.木耳. 堤.醤油.宿.節.胡座紬 詐灸 煮物 おから.婿 醤油.宿 浅茅紅魚 - 和え物 おから.鍋.山坂 堤.油 たち魚の灸肉 焼き物 おから.太刀魚 堤.節 狸掛襲 味噌汁 おから.萄葛 味噌.胡麻油 待兼雪花粟 味噌漬け おから.白胡麻.唐辛子.陳皮 山枚.麻子. 味噌 初霜 吸い物 おから.価 (覗).芹 (水菜) - 醤油 うづみ樺灸 焼き物 おから.鰻の蒲放き 油 雪花栗雑炊 雑炊 おから.伝.葱みじん切り 味噌 名飯頂 享和2年 1802 部 頓腰 飯物 おから.栄 堤 (だし.刻み昆布.醤油) 梅干し. 鴨のきらす蒸 抄り煮 おから.鴨.木耳.芹.山根 胡麻油 . 素人包丁
享和3- 1釦3 このしろの雪花宇部 姑 おから.このしろ(=こはだ) 堤.醤油.節 ■文政3年 ∼1820 たち魚のきらず和 和え物 おから.(漬けさんしよう)太刀魚.漬けしょうが 塩.醤油 うのはなにむめ 和え物 (甘み) おから.煮梅 白砂楯.(堤) 精進献立集 文政2年 1819 うのはなあえ 和え物 おから.香茸 (LLたけ) 醤油.宿 雪花菜駁 法 飯物 おから.栄 堤 椀 漣侍 天保4年 1833 きらず 吸い物 おから.油揚げ.芹 (三つ葉.牛秀.山捕根.
葱
)
堤.醤油 年中委棄録 嘉永2年 1849表2 お か ら を 表 す 語 愛 語 受 出現数 ル ビ と そ の 回 数 雪花菜さらすきらず